(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002194
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】マスキングテープ貼付治具
(51)【国際特許分類】
E04F 21/165 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
E04F21/165 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101250
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 貴雄
(57)【要約】
【課題】主に、マスキングテープを狭い部位にも容易に貼付け得るようにする。
【解決手段】マスキングテープ貼付治具3は、少なくとも前側部分21aに平らな面を有する治具本体21と、治具本体21の前側部分21aの片面側に設置されたマスキングテープ2の装着部22と、を有している。装着部22は、前側部分21aの前縁部21bに設置された幅方向Yに離間する一対の足部23と、前側部分21aの両側縁部21cに設置されて、一対の足部23を間に挟んだ両側に位置する一対の腕部24とを備えている。一対の足部23は、一対の腕部24よりも前側に位置している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前側部分に平らな面を有する治具本体と、
前記治具本体の前記前側部分の片面側に設置されたマスキングテープの装着部と、を有し、
前記装着部は、前記前側部分の前縁部に設置された幅方向に離間する一対の足部と、前記前側部分の両側縁部に設置されて、一対の前記足部を間に挟んだ前記幅方向の両側に位置する一対の腕部とを備え、
一対の前記足部は、一対の前記腕部よりも前側に位置していることを特徴とするマスキングテープ貼付治具。
【請求項2】
請求項1に記載のマスキングテープ貼付治具であって、
一対の前記足部は、一対の前記腕部よりも前記治具本体の面直方向に短いことを特徴とするマスキングテープ貼付治具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のマスキングテープ貼付治具であって、
一対の前記足部は、一対の前記腕部よりも幅が狭いことを特徴とするマスキングテープ貼付治具。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のマスキングテープ貼付治具であって、
前記足部と前記腕部との間は、前記マスキングテープを貼付ける対象物の厚み、または、前記対象物に設けられた凹部の深さよりも大きく離れていることを特徴とするマスキングテープ貼付治具。
【請求項5】
請求項4に記載のマスキングテープ貼付治具であって、
前記足部は、前記治具本体の前記前側部分から前記対象物の前記厚み、または、前記凹部の前記深さよりも前側へ長く延びる延長部に形成されていることを特徴とするマスキングテープ貼付治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスキングテープ貼付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物にマスキングテープを貼付けて、対象物のマスキングテープを貼付けた部分を保護することが行われている。この際、対象物に対してマスキングテープを貼付けるのに治具が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたマスキングテープを貼付けるための治具は、対象物の広い面に対して複数本のマスキングテープを一度で貼付けるのには適しているが、例えば、対象物の狭い部位にマスキングテープを貼るのには適していなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に対して、本発明は、
少なくとも前側部分に平らな面を有する治具本体と、
前記治具本体の前記前側部分の片面側に設置されたマスキングテープの装着部と、を有し、
前記装着部は、前記前側部分の前縁部に設置された幅方向に離間する一対の足部と、前記前側部分の両側縁部に設置されて、一対の前記足部を間に挟んだ前記幅方向の両側に位置する一対の腕部とを備え、
一対の前記足部は、一対の前記腕部よりも前側に位置しているマスキングテープ貼付治具を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記構成によって、マスキングテープを狭い部位にも容易に貼付けることなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1にかかるマスキングテープ貼付治具およびその使用状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1のマスキングテープ貼付治具によって貼られたマスキングテープを示す斜視図である。
【
図3】マスキングテープを装着したマスキングテープ貼付治具の正面図である。
【
図5】マスキングテープ貼付治具の単体の斜視図である。
【
図6】マスキングテープ貼付治具の部品図である。このうち、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【
図7】実施例2にかかるマスキングテープ貼付治具の斜視図である。
【
図8】マスキングテープの中間部をヘラで貼付ける状態を示す作動図である。
【
図9】マスキングテープ貼付治具の別の使い方を示す斜視図である。
【
図10】
図9のマスキングテープ貼付治具の対象物に対する使用状態を示す斜視図である。
【
図11】
図10に続くマスキングテープ貼付治具の対象物に対する使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~
図11は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例0010】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0011】
図1(
図2)に示すように、対象物1にマスキングテープ2を貼付けて、対象物1におけるマスキングテープ2を貼付けた部分またはその周辺を保護する。この際、マスキングテープ2の貼付けを、例えば、
図3(~
図6)の実施例1に示すような、マスキングテープ貼付治具3を用いて行う。
【0012】
まず、対象物1について説明する。対象物1は、マスキングテープ2を貼付けるものであれば、どのようなものでも良い。この実施例では、
図1に示すように、対象物1を建物の外壁11としている。そして、建物のリフォームやアフターメンテナンスなどの際に、外壁11の表面や、外壁11の狭い部位、例えば、外壁11に形成された目地部などの凹部12に対してマスキングテープ2が貼付けられる。以下、外壁11の凹部12の底部12aにマスキングテープ2を貼付ける場合を好適な例として説明する。
【0013】
ただし、対象物1は、建物の外壁11に限るものではなく、マスキングテープ貼付治具3は、建物のリフォームやアフターメンテナンスの際に凹部12(目地部)の底部12aにマスキングテープ2を貼付ける用途に限るものではない。
【0014】
次に、マスキングテープ2について説明する。マスキングテープ2は、比較的粘着力が弱く、対象物1に跡を残さずに容易に貼ったり剥がしたりできる粘着テープである。マスキングテープ2は、例えば、塗装、シーリング、コーキングなどの作業の際に、作業部分の周辺を保護して汚さないようにするのに使用されている。このような作業は、上記したような、建物のリフォームやアフターメンテナンスの際には、補修などのために行われる。ただし、マスキングテープ2は、建物以外や、建物の補修部分以外にも広く使用されている。
【0015】
マスキングテープ2は、テープ基材6と、粘着面7とを有する。粘着面7は、例えば、テープ基材6の片面に、粘着剤を層状に塗布することで形成される。マスキングテープ2の、粘着面7とは反対側の面(背面)は、テープ基材6が直接表面に露出する非粘着面となる。
【0016】
マスキングテープ2は、使用目的に適したものであれば、どのような素材(テープ基材6および粘着剤)や粘着性能のものを使用しても良い。マスキングテープ2は、ロール状に巻いたものなどを使っても良い。マスキングテープ貼付治具3では、マスキングテープ2は、主に、ロール部分から引き出して、引出部分を所要長さに切断したテープ片の状態で使用する。
【0017】
マスキングテープ貼付治具3は、対象物1に対するマスキングテープ2の貼付けを補助するための治具である。この実施例のマスキングテープ貼付治具3は、例えば、マスキングテープ2を対象物1の狭い部位に、短時間で正確かつ確実に貼れるものとなっている。なお、この実施例のマスキングテープ貼付治具3は、対象物1の表面の広い部分に対して正確に貼付けるのにも使用できる。
【0018】
そして、上記したように、対象物1としての外壁11の凹部12(目地部など)の底部12aにマスキングテープ2を貼付ける場合には、マスキングテープ2は、目地部の底部12aの幅W1とほぼ等しい幅Tのものを使用する。なお、マスキングテープ2は、目地部の底部12aの幅W1より幅Tの若干狭いものや、幅Tの若干広いものを使用しても良い。
【0019】
目地部(凹部12)は、外壁11を構成する外壁パネルの間に形成される細長い溝状の合せ隙間である。目地部は、全長に亘ってほぼ均一な幅W1でほぼ均一な深さG1とされる。目地部は、例えば、ガスケットなどによってシールされている。目地部は、縦長の縦目地でも良いし、横長の横目地でも良い。この実施例の目地部は、縦長の縦目地となっている。
【0020】
なお、外壁パネルがレンガ調やタイル調などの場合には、更に、外壁パネルの内側に、外壁パネルの表面に対して凹むように第二の目地部(第二凹部13)が、所要の間隔で複数平行に形成される。第二凹部13により、レンガやタイルの輪郭が形成されて、外壁パネルが立体的な模様になる。第二凹部13は、外壁パネルの表面に沿って、上記した目地部(凹部12)とは交差する方向(例えば、垂直な方向など)へ延ばされる。この実施例の第二凹部13は、横長の横目地となっている。
【0021】
第二凹部13は、幅W2が、凹部12の幅W1より大きい場合、同じ場合、小さい場合が有り得る。この実施例では、第二凹部13は、幅W2が、凹部12の幅W1と同じかそれよりも小さくなっている。また、第二凹部13は、深さが、凹部12の深さG1より大きい場合、同じ場合、小さい場合が有り得る。この実施例では、第二凹部13は、深さが、凹部12の深さG1と同じになっている。
【0022】
なお、広義の凹部12には、第二凹部13を含んでも良い。その場合には、凹部12を、第二凹部13と読み替えるものとする。
【0023】
そして、凹部12の幅W1および第二凹部13の幅W2は、人の指よりも細くなっていることが多い。その場合、凹部12および第二凹部13は、指を差し込んでマスキングテープ2を貼る作業が困難なものとなる。そのため、凹部12および第二凹部13に対してマスキングテープ2を貼るには、何らかの道具を用いる必要が生じる。このような場合に、この実施例のマスキングテープ貼付治具3が使われる。
【0024】
この実施例では、マスキングテープ貼付治具3は、以下のような構成を備えても良い。
【0025】
なお、以下の説明では、マスキングテープ貼付治具3を基準とした、互いに直交する三方向を、前後方向X、幅方向Y、面直方向Zとする。
【0026】
前後方向Xは、マスキングテープ貼付治具3を正しい姿勢で対象物1に向けたときに、対象物1と垂直になる方向である。このうち、対象物1に近い側がマスキングテープ貼付治具3の前側または前方、対象物1から遠い側がマスキングテープ貼付治具3の後側または後方となる。幅方向Yは、マスキングテープ貼付治具3が対象物1に沿って横に延びる方向である。面直方向Zは、マスキングテープ貼付治具3の厚み方向である。
【0027】
なお、対象物1としての外壁11を基準とした、互いに直交する三方向は、上下方向、幅方向(または壁幅方向)、内外方向(または壁厚み方向)となる。マスキングテープ貼付治具3は、使用時に、前後方向Xを外壁11の内外方向に向けられる。そして、マスキングテープ貼付治具3は、幅方向Yを凹部12や第二凹部13の延設方向(上下方向、壁幅方向)などに向けられる。また、マスキングテープ貼付治具3は、面直方向Zを凹部12や第二凹部13の溝幅の方向(壁幅方向、上下方向)などに向けられる。
【0028】
(1)
図5(
図6)に示すように、 マスキングテープ貼付治具3は、
少なくとも前側部分21aに平らな面を有する治具本体21と、
治具本体21の前側部分21aの片面側に設置されたマスキングテープ2の装着部22と、を有している。
装着部22は、前側部分21aの前縁部21bに設置された幅方向Yに離間する一対の足部23と、前側部分21aの両側縁部21cに設置されて、一対の足部23を間に挟んだ幅方向Yの両側に位置する一対の腕部24とを備えている。
そして、一対の足部23は、一対の腕部24よりも前側に位置している。
【0029】
ここで、
図5の全体斜視図には、マスキングテープ貼付治具3の形状が分かり易く示されている。
図6の三面図には、マスキングテープ貼付治具3の各部の寸法関係が示されている。以下、
図5、
図6は常に参照するものとする。
【0030】
治具本体21は、マスキングテープ貼付治具3の本体となる部分である。治具本体21は、金属製または樹脂製などとされる。この実施例では、治具本体21は、金属製とされている。
【0031】
前側部分21aは、対象物1に対してマスキングテープ貼付治具3を正しい向きで配置したときに、対象物1に近い側となる、治具本体21の前後方向Xのほぼ半部である。前側部分21aには、上記した一対の足部23と一対の腕部24とが設けられる。
【0032】
治具本体21の前側部分21aは、使用時に対象物1の側へ向けられ、対象物1と垂直に設置される。前側部分21aは、幅方向Yおよび前後方向Xに拡がる平らな面を主に有する。前側部分21aは、幅方向Yに長く延び、前後方向Xには短い横長の平面形状とされる。前側部分21aは、ほぼ全体が平らな面となっていても良い。また、前側部分21aは、例えば、凹部12(目地部)の幅W1の範囲内で平らでない部分を局所的に有していても良い。これにより、前側部分21aは、凹部12内への差し込みが可能になる。この実施例では、前側部分21aは、全体が平らな面となっている。
【0033】
これに対し、対象物1から遠い側となる治具本体21の前後方向Xの残りのほぼ半部は、後側部分21dとなる。前側部分21aと後側部分21dとの間には、明確な境界(または境界線)を設けても良いし、明確な境界を設けなくても良い。この実施例では、明確な境界は設けられていない。
【0034】
治具本体21の後側部分21dは、全体が、使用時に本体部分を手で持って操作するための把持部となる。または、後側部分21dは少なくとも把持部となる部分を有している。把持部はどのような形状や構造としても良い。後側部分21dには、例えば、ストラップなどの紐を通すための紐通し孔25などを設けても良い。なお、より具体的な治具本体21の構造については後述する。
【0035】
前側部分21aの片面側は、平らな面を有する前側部分21aにおける、一方の面の側である。片面側は、どちら側の面としても良い。一対の足部23および一対の腕部24は、治具本体21の前側部分21aの平らな面に関して、少なくとも同じ側に設けられる。
【0036】
一対の足部23および一対の腕部24は、前側部分21aの片面側となる同じ面から面外方向、または、治具本体21と交差する方向へ向けて延ばされる。面外方向、または、治具本体21と交差する方向は、前側部分21aの面直方向Zとしても良いし、面直方向Z以外の方向としても良い。
【0037】
これにより、一対の足部23および一対の腕部24は、前側部分21aの平らな面とは非平行になる。そして、一対の足部23および一対の腕部24は、互いにほぼ同じ方向に延ばしても良いし、若干であれば互いに異なる方向へ延ばしても良い。
【0038】
この実施例では、一対の足部23および一対の腕部24が延びる方向は、面の向きを考慮せずに中心線のみで見た場合に、互いに同じ方向にほぼ平行に延びている。この実施例では、一対の足部23および一対の腕部24が延びる方向は、前側部分21aに対して面直方向Zとなっている。
【0039】
マスキングテープ2は、例えば、対象物1のマスキングテープ2を貼付ける部分の長さに合わせて、それよりも長く切断されたテープ片の状態で装着部22に装着される。なお、マスキングテープ2は、装着部22に装着する前に切断してテープ片にしても良いし、装着した後に切断してテープ片にしても良い。
【0040】
装着部22は、治具本体21における、マスキングテープ2を装着するための部分である。装着部22は、マスキングテープ2を対象物1に貼るまでの間、マスキングテープ2のテープ片を安定して治具本体21に保持し続けられるものとする。
【0041】
前縁部21bは、治具本体21の前側部分21aにおける、対象物1の側に向いた縁部である。前縁部21bは、治具本体21に対し、前後方向Xの前側(前側)に位置して、幅方向Yに直線状に延びる辺となっている。
【0042】
足部23は、装着部22の一部としてマスキングテープ貼付治具3に設けられた足状の突出部分である。一対の足部23は、前後方向Xに対し、前縁部21bとほぼ同じ位置か前縁部21bよりも前側に設置される。なお、この実施例では、各足部23の、治具本体21の前後方向Xに対する位置関係は、ほぼ同じとなっている。
【0043】
一対の足部23は、前縁部21bにおける幅方向Yの両端の位置に、間隔D1を有して設けられている。一対の足部23の間隔D1は、上記したテープ片の長さよりも狭く設定される。例えば、間隔D1は、対象物1に対してマスキングテープ2を貼付ける部分とほぼ同等の長さに設定される。一対の足部23の間隔D1は、内側間で規定しても外側間で規定しても良い。
【0044】
側縁部21cは、治具本体21(の前側部分21a)における、前縁部21bの側部に位置する縁部である。側縁部21cは、治具本体21に対し、幅方向Yの両側に位置して、前後方向Xに延びる辺となっている。
【0045】
腕部24は、足部23とは別に、装着部22の一部としてマスキングテープ貼付治具3に設けられた腕状の突出部分である。一対の腕部24は、前後方向Xに対し、前縁部21bよりも後側に設置される。なお、この実施例では、各腕部24の、治具本体21の前後方向Xに対する位置関係は、ほぼ同じとなっている。
【0046】
一対の腕部24は、両側縁部21cのそれぞれの位置に、間隔D2を有して設けられている。これにより、一対の腕部24は、一対の足部23よりも幅方向Yに広い間隔となって(D2>D1)、一対の足部23より前後方向Xの後側に位置される。一対の腕部24の間隔D2は、内側間で規定しても外側間で規定しても良い。
【0047】
一対の足部23を間に挟んだ両側とは、一対の腕部24のそれぞれが、一対の足部23のそれぞれよりも、治具本体21の幅方向Yの外側に位置していることである。一対の腕部24は、治具本体21を後側から前側へ向かって前後方向Xに見た場合に、一対の足部23と共に、治具本体21の片側で、治具本体21の幅方向Yに沿ってほぼ直線状に並ぶように設置される。
【0048】
前側は、治具本体21の前側部分21aにおいて、対象物1に最も近くなる側である。最も前側に位置している(または、前に出ている)ことで、一対の足部23は、テープ片を介して対象物1にほぼ直接当接される。
【0049】
このようなマスキングテープ貼付治具3に対し、マスキングテープ2は以下のように装着される(
図3、
図4)。
【0050】
マスキングテープ2は、一対の足部23によって中間部2aを背面側から支持される。この際、足部23には、マスキングテープ2は付着されない。そのため、足部23は、マスキングテープ2の背面に対する支持部となる。
【0051】
また、マスキングテープ2は、一対の腕部24に両端部周辺2bを付着される。この際、各腕部24における、互いに対向する面(足部23側の面、または、治具本体21の幅方向Yの内側となる面)に対して、マスキングテープ2の両端部周辺2bの粘着面7が付着される。そして、腕部24は、マスキングテープ2の粘着面7に対する付着部となる。
【0052】
また、足部23は、マスキングテープ2の中間部2aに対し、両端部周辺2bを屈曲させて腕部24へ向かわせる屈曲起点部となる。
【0053】
そのため、マスキングテープ2の粘着面7は、中間部2aが前側へ向き、両端部周辺2bが足部23で屈曲され、屈曲された両端部周辺2bが幅方向Yの外側(足部23とは反対の側)へ向いた状態となって装着部22に装着される。
【0054】
一対の足部23に対し、マスキングテープ2の中間部2aは、ピンと張った状態で支持させても良い。ただし、マスキングテープ2の中間部2aの若干のたるみは許容される。腕部24に対してマスキングテープ2の両端部周辺2bを付着させる位置によって、マスキングテープ2の中間部2aに対する張り具合が調整される。
【0055】
この際、マスキングテープ2は、両端部または少なくとも一方の端部を、腕部24からハミ出すように長めに切断しても良い。そして、ハミ出した部分は、例えば、二つ折りにして粘着面7どうしを貼り合わせれば、周囲に貼付くことのないマスキングテープ2の操作端になる。この操作端を掴んで引っ張ることで、マスキングテープ2の張り具合が容易に調整できる。
【0056】
そして、マスキングテープ2を装着したマスキングテープ貼付治具3は、マスキングテープ2の対象物1への貼付け時に、中間部2aの背面を支持する一対の足部23が、対象物1の表面に押し当てられる(対象物1の表面に貼付ける場合)。または、一対の足部23が、対象物1に形成された凹部12(目地部)内へ挿入されて、目地部の底部12aに押し当てられる(凹部12の底部12aに貼付ける場合)。これにより、マスキングテープ2の中間部2aは、対象物1の表面や目地部の底部12aに貼付けられる。
【0057】
(2)マスキングテープ貼付治具3では、
一対の足部23は、一対の腕部24よりも治具本体21の面直方向Zに短くしても良い。
【0058】
ここで、一対の足部23は、治具本体21のほぼ面直方向Zに対し所要の長さで延びている(足長さL1)。また、一対の腕部24は、治具本体21のほぼ面直方向Zに対し所要の長さで延びている(腕長さL2)。
【0059】
そして、治具本体21の面直方向Zに対して短くとは、一対の足部23の足長さL1が、一対の腕部24の腕長さL2よりも短いことである(L1<L2)。または、一対の腕部24の腕長さL2が、一対の足部23の足長さL1よりも長いことである(L2>L1)。
【0060】
例えば、腕部24の腕長さL2は、足部23の足長さL1の1.5倍~2.5倍程度などとされる。
【0061】
なお、一対の足部23は、面直方向Zに対して、互いに同じ足長さL1に揃えても良い。また、一対の足部23は、若干であれば、互いに足長さL1が異なっても良い。この実施例では、一対の足部23は、面直方向Zに対して、互いに同じ足長さL1となっている。
【0062】
一対の腕部24は、面直方向Zに対して、互いに同じ腕長さL2に揃えても良い。また、一対の腕部24は、若干であれば、互いに腕長さL2が異なっても良い。この実施例では、一対の腕部24は、面直方向Zに対して、互いに同じ腕長さL2となっている。
【0063】
なお、構造的には、一対の足部23は、足長さL1を、一対の腕部24の腕長さL2と同じにすることも可能であるが、この実施例のように異ならせても良い。
【0064】
例えば、マスキングテープ2の幅Tを基準にした場合、マスキングテープ貼付治具3は、一対の足部23の足長さL1を、マスキングテープ2の幅Tよりも短くしても良い。そして、マスキングテープ貼付治具3は、一対の腕部24の腕長さL2を、マスキングテープ2の幅Tとほぼ同じかそれよりも若干長くまたは短くしても良い。
【0065】
例えば、足部23の足長さL1は、マスキングテープ2の幅Tの1/2程度以上または以下(例えば、0.4倍~0.7倍など)としても良い。また、腕部24の腕長さL2は、マスキングテープ2の幅Tとほぼ同じ程度(例えば、0.8倍~1.0倍など)としても良い。
【0066】
また、目地部の幅W1を基準にした場合、マスキングテープ貼付治具3は、一対の足部23の足長さL1を、目地部の幅W1よりも短くしても良い。そして、マスキングテープ貼付治具3は、一対の腕部24の腕長さL2を、目地部の幅W1とほぼ同じかそれよりも若干長くまたは短くしても良い。
【0067】
例えば、足部23の足長さL1は、目地部の幅W1の1/2程度以上または以下(例えば、0.4倍~0.7倍など)としても良い。また、腕部24の腕長さL2は、目地部の幅W1とほぼ同じ程度(例えば、0.8倍~1.0倍など)としても良い。
【0068】
(3)マスキングテープ貼付治具3では、
一対の足部23は、一対の腕部24よりも幅を狭くしても良い。
【0069】
ここで、一対の足部23は、所要の幅(足幅S1)を有している。また、一対の腕部24は、所要の幅(腕幅S2)を有している。この足幅S1、腕幅S2が上記した幅である。
【0070】
足部23の足幅S1は、マスキングテープ2の延設方向に沿った面の幅のことである。足部23の足幅S1は、マスキングテープ2の中間部2aに沿うことで、治具本体21の前側部分21aのほぼ幅方向Yの寸法となる。
【0071】
足部23の足幅S1は、例えば、マスキングテープ2の中間部2aの背面を支持できる最低限の強度以上の強度を有する寸法とされる。例えば、足部23の足幅S1は、治具本体21の板厚の3倍~5倍程度としても良い。なお、足部23の足幅S1は、上記とは別の要因に基づいて設定しても良い。
【0072】
腕部24の腕幅S2は、マスキングテープ2の延設方向に沿った面の幅のことである。なお、マスキングテープ2の延設方向は、マスキングテープ2の両端部周辺2bの曲がりによって変化される。腕部24の腕幅S2は、マスキングテープ2の両端部周辺2bにほぼ沿うことで、治具本体21のほぼ前後方向Xの寸法となる。
【0073】
腕部24の腕幅S2は、例えば、マスキングテープ2の両端部周辺2bを確実に付着させられる最低限の面積以上の面積を有する寸法とされる。腕幅S2は、マスキングテープ2の粘着面7の粘着力などによって設定される。
【0074】
足部23が、腕部24よりも幅が狭いとは、足部23の足幅S1が腕部24の腕幅S2よりも小さいことである(S1<S2)。または、腕部24の腕幅S2が足部23の足幅S1よりも大きいことである(S2>S1)。例えば、腕部24の腕幅S2は、足部23の足幅S1の2倍~3.5倍程度としても良い。
【0075】
なお、一対の足部23は、互いに同じ足幅S1に揃えても良い。または、一対の足部23は、若干であれば、互いに足幅S1が異なっても良い。この実施例では、一対の足部23は、互いに同じ足幅S1となっている。
【0076】
一対の腕部24は、互いに同じ腕幅S2に揃えても良い。または、一対の腕部24は、若干であれば、互いに腕幅S2が異なっても良い。この実施例では、一対の腕部24は、互いに同じ腕幅S2となっている。
【0077】
なお、構造的には、一対の足部23は、足幅S1を、一対の腕部24の腕幅S2と同じにすることも可能であるが、この実施例のように異ならせても良い。
【0078】
(4)マスキングテープ貼付治具3では、
足部23と腕部24との間は、マスキングテープ2を貼付ける対象物1の厚み、または、対象物1に設けられた凹部12の深さG1よりも大きく離れても良い。
【0079】
ここで、足部23と腕部24との間は、治具本体21の前後方向Xに対する足部23と腕部24との離間距離G2のことである。即ち、各足部23と、その足部23と同じ側の腕部24との、離間距離G2のことである。
【0080】
対象物1は、マスキングテープ2を貼る対象となるものであり、どのようなものでも良いが、この実施例では、上記したように、外壁11としている。
【0081】
対象物1の厚みは、例えば、外壁パネルの厚みであり、対象物1の裏面から表面までの寸法となる。
【0082】
対象物1の厚みよりも大きく離れているとは、足部23と腕部24との間の前後方向Xの離間距離G2が、対象物1の厚みよりも大きいことである。
【0083】
足部23は、足部23の最も前側となる部位の位置を基準とする。腕部24は、腕部24の最も前側となる部位の位置を基準とする。
【0084】
凹部12は、どのようなものでも良いが、この実施例では、上記したように、外壁11の目地部としている。凹部12には、第二の目地部(第二凹部13)を含んでも良い。
【0085】
凹部12の深さG1は、対象物1と面直な、目地部の奥行寸法(内外方向の寸法)のことである。凹部12の深さG1は、ほぼ一定とされる。
【0086】
凹部12の深さG1よりも大きく離れているとは、足部23と腕部24との間の前後方向Xの離間距離G2が、凹部12の深さG1よりも大きいことである(G2>G1)。
【0087】
前後方向Xに対して、各足部23は、互いに同じ位置に揃えて設けても良い。また、各足部23は、若干であれば、互いに位置が異なっても良い。この実施例では、各足部23は、互いに同じ位置となっている。
【0088】
前後方向Xに対して、各腕部24は、互いに同じ位置に揃えて設けても良い。また、各腕部24は、若干であれば、互いに位置が異なっても良い。この実施例では、各腕部24は、互いに同じ位置となっている。
【0089】
また、足部23と腕部24との離間距離G2は、幅方向Yの両側で互いに同じに揃えても良い。また、足部23と腕部24との離間距離G2は、若干であれば、幅方向Yの両側で異ならせても良い。この実施例では、離間距離G2は、両側で同じにしている。
【0090】
なお、構造的には、離間距離G2を深さG1と同じかそれよりも小さくすることも可能であるが、この実施例のように異ならせても良い。
【0091】
(5)マスキングテープ貼付治具3では、
足部23は、治具本体21の前側部分21aから、対象物1の厚み、または、凹部12の深さG1よりも前側へ長く延びる延長部31に形成されても良い。
【0092】
ここで、延長部31は、治具本体21の前側部分21aの前縁部21bから、治具本体21の前側に対して前後方向Xに細長く連続的に延びる部分である。延長部31は、各足部23に対し、それぞれ個別に設けられる。延長部31は、治具本体21と各足部23との間に介在される。または、治具本体21から前側へ延びる各延長部31の先端に各足部23が形成される。
【0093】
各延長部31は、各足部23の足幅S1とほぼ等しいほぼ均一の幅(=S1)に形成される。延長部31は、凹部12の深さG1よりも長く、前後方向Xにほぼ直線状に形成される(延長部31>深さG1)。一対の延長部31は、ほぼ平行に形成される。
【0094】
ただし、構造的には、各延長部31は、各足部23の足幅S1と異なる幅にしたり、均一でない幅にしたりできる。例えば、各延長部31は、足部23から前側部分21aへ向けて、幅が広くなって行くようにすれば、各延長部31の強度を高めることなどが可能である。
【0095】
また、
図7の実施例2に示すように、マスキングテープ貼付治具3は、治具本体21の前側部分21aと一対の足部23との間に、延長部31を設けない構成とすることも可能である。実施例2は、治具本体21の前側部分21aの前縁部21bに直接足部23が形成されている。実施例2は、前側部分21aを延長部31の分も延ばすことで、延長部31を無くしている以外は、全体として実施例1同じ寸法関係に形成される。なお、上記とは反対に、実施例2を基準にした場合、実施例2の治具本体21の前側部分21aの一対の足部23の間を切欠くことで、実施例1の延長部31が形成されることになる。例えば、凹部12の底部12aにマスキングテープ2を貼る場合、延長部31がないと、前側部分21aの少なくとも一部が凹部12内へ差し込まれるが、延長部31を設けることで、前側部分21aを凹部12内へ差し込まなくても良くなる。
【0096】
以下、この実施例のマスキングテープ貼付治具3のより具体的な構造について説明する。
【0097】
この実施例のマスキングテープ貼付治具3は、治具本体21と、一対の足部23と、一対の腕部24とが、一枚の平らな金属板を曲げ加工することなどによって一体に形成されている。このようなマスキングテープ貼付治具3は、1回のプレス加工で製造できる。これにより、マスキングテープ貼付治具3は、安価で、製造が容易で、小型軽量で持ち運び易く、取扱いや作業がし易いものとなる。
【0098】
この場合、治具本体21の少なくとも前側部分21aは、幅方向Yに延びる横長のほぼ矩形状となる。横長の前側部分21aは、前縁部21bが、一対の足部23間の間隔D1と、一対の足部23の足幅S1との和とほぼ等しい幅になる。
【0099】
一対の足部23は、一対のほぼ平行な第一突出片32の全部または一部を曲げ加工することによって形成される。第一突出片32は、横長の前側部分21aの前縁部21bの、幅方向Yの両端に、前後方向Xの前側へ突出するように一体に形成される。第一突出片32は、前側部分21aの片面側へ向けてほぼ面直に曲げられる。第一突出片32は、全長に亘ってほぼ均一の幅(=S1)となっている。この場合、第一突出片32の幅は、凹部12の幅W1および第二凹部13の幅W2よりも細くするのが良い。
【0100】
第一突出片32の全部を曲げた場合には、足部23のみで延長部31を有さない実施例2の状態となり、第一突出片32の一部を曲げた場合には、延長部31と足部23とを有する実施例1の状態となる。足部23は、治具本体21と面直で治具本体21の幅方向Yに拡がる面となるように、幅方向Yに沿って曲げられる。
【0101】
一対の腕部24は、一対の第二突出片33の全部または一部を、前側部分21aの片面側へ向けてほぼ面直に曲げ加工することによって形成される。第二突出片33は、横長の前側部分21aの両側縁部21cに対して、幅方向Yの外方へ突出するようにそれぞれ一体に形成される。第二突出片33は、全長に亘ってほぼ均一の幅(=S2)となっている。
【0102】
第二突出片33は、第一突出片32の2倍~3.5倍程度の幅とされている。第二突出片33の全部を曲げた場合には、第二突出片33のみで横張出部34を有さないものとなり、一部を曲げた場合には、横張出部34と腕部24とを有するものとなる。第二突出片33の腕部24は、第一突出片32の足部23とは、面の向きが異なるように曲げられる。腕部24は、治具本体21および足部23と面直な面となるように、前後方向Xに沿って曲げられる。
【0103】
横張出部34は、設けなくても良いが、実施例1、実施例2のように横張出部34を設ければ、足部23で屈曲されて腕部24へ向かうマスキングテープ2の両端部周辺2bの屈曲角度を横張出部34の長さで設定できる。
【0104】
横張出部34がないと、屈曲角度はほぼ90度になるが、横張出部34を設けると、屈曲角度を90度よりも大きくできる。これにより、腕部24は、マスキングテープ2を付着させ易く、剥がし易い配置となる。横張出部34の張出方向(幅方向Y)の長さG3は、例えば、腕部24の腕幅S2の1/3~2/3程度としても良い。
【0105】
前側部分21aは、対象物1と垂直な方向(内外方向)に向けられる平坦な面とされるが、後側部分21dについては、少なくとも一部が把持部として使えれば良いため、必ずしも対象物1と垂直な面でなくても良い。例えば、前側部分21aに対して、後側部分21dを幅方向Yに延びる境界線または境界線よりも後側の位置で、前側部分21aの面外へ屈曲させるなどして持ち易い形状に加工しても良い。この実施例では、後側部分21dは、対象物1と垂直な面(前側部分21aと面一な面)のままとしている。
【0106】
また、後側部分21dは、把持部として持ち易く、扱い易ければ良いため、例えば、指通し孔などを適宜形成しても良い。また、シート状やテープ状などの滑り止め部材またはクッション材などを適宜貼付けても良い。
【0107】
なお、マスキングテープ貼付治具3は、一枚の金属板で形成したものに限るものではなく、一枚の金属板で形成した以外の構成とすることができる。例えば、平板状の治具本体21に対して、別部品で形成した足部23および腕部24をそれぞれ取付けて一体化しても良い。また、例えば、足部23および腕部24は、平らな板状に限るものではなく、例えば、棒状(角棒や丸棒)や、曲面状(円筒面状)などとしても良い。
【0108】
なお、上記した各構成は、適宜組み合わせて使用することが可能である。
【0109】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0110】
まず、マスキングテープ2を、貼りたい部分の長さに応じた所要の長さに切断する。
【0111】
所要長さに切断されたマスキングテープ2のテープ片は、まず、一方の端部周辺2bの粘着面7を、装着部22における、腕部24の一方の内面(対向面)に貼り付ける。
【0112】
次に、マスキングテープ2は、中間部2aを一対の足部23の間に順番に取り回して、一対の足部23でマスキングテープ2の裏面を支持させる。更に、マスキングテープ2の他方の端部周辺2bを他方の腕部24まで導いて、他方の腕部24の内面に他方の端部周辺2bの粘着面7を貼り付ける。これにより、マスキングテープ2は、装着部22にセットされ、一対の足部23間の中間部2aの粘着面7が前側へ向けられる。なお、マスキングテープ2は、切断されていない状態で装着部22にセットし、他方の腕部24に貼付けた後で、貼付けた以降の部分を切断しても良い。
【0113】
マスキングテープ2は、中間部2aが、前側に位置する一対の足部23によって裏面側から支えられて、前に出た状態となる。そして、マスキングテープ2は、両端部の周辺が、一対の足部23により後側へ曲げられて、一対の足部23の後側に位置する一対の腕部24へと向かい、腕部24のそれぞれの内面に貼り付けられてセットされる。これにより、マスキングテープ2は、テープ貼付補助治具の治具本体21に対し正面視ほぼC字状に装着されて安定される。
【0114】
このようにしてマスキングテープ2が治具本体21に装着されたら、治具本体21は、足部23を対象物1、例えば、外壁パネルの側へ向けて、外壁パネルと面直に保持する。更に、治具本体21は、外壁パネルの目地部(凹部12)に沿って延びるように保持する。この状態で、治具本体21は、前側となった一対の足部23を、目地部の内部へほぼ面直に差し込む(
図1)。
【0115】
これにより、一対の足部23で裏面側から支えられているマスキングテープ2の中間部2aは、目地部内に奥まで挿入され、足部23によって目地部に押さえ付けられることで、目地部の底部12aに貼付けられる。
【0116】
この際、マスキングテープ2における、一対の足部23間の中間部2aは、必要に応じて、ヘラ41(
図8)などの棒を使ってより強固に貼付けても良い。
【0117】
その後、一対の腕部24の内面からマスキングテープ2の端部をそれぞれ剥がして、マスキングテープ2を治具本体21から分離する。この際、一対の足部23は、治具本体21の前側に位置し、一対の腕部24は、一対の足部23よりも後側に位置している。そのため、一対の腕部24は、目地部の外に一部または全部が出る。
【0118】
よって、足部23を目地部の内部へ差し込んだ状態であっても、腕部24の少なくとも一部は目地部の外に出ているので、目地部の外側で腕部24の内面からマスキングテープ2を剥がすことが容易にできる。
【0119】
そして、マスキングテープ2が剥がれたら、治具本体21を前後方向Xの後側へ動かして、目地部から引き出すことで、治具本体21の全体を目地部の外へ取出す。
【0120】
これにより、治具本体21がマスキングテープ2から離れて、目地部の外へ取出されると共に、マスキングテープ2が目地部に貼付けられた状態で目地部内に残される(
図2)。
【0121】
マスキングテープ2の両端部周辺2bについては、そのまま、目地部から浮いた状態にしておいても良いし、ヘラ41などで、全部または一部を目地部に貼付けても良い。
【0122】
なお、マスキングテープ2は、少なくとも一方の端部周辺2bに、二つ折りにして粘着面7どうしを貼り合わせることで操作端を形成しても良い。以上により、マスキングテープ2を目地部に容易かつ正確に貼付けることができる。
【0123】
その後は、目地部や目地部の周辺に対する補修を行い、補修後に、マスキングテープ2を目地部から剥がす。これにより、対象物1を汚さずに補修を行うことができる。
【0124】
なお、マスキングテープ2を外壁パネルの表面に貼る場合もほぼ同様である。
【0125】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果が得られる。
【0126】
(効果 1)マスキングテープ貼付治具3は、少なくとも平らな前側部分21aを有する治具本体21と、治具本体21の前側部分21aの片面側に設置されたマスキングテープ2の装着部22と、を備える。装着部22は、前側部分21aの前縁部21bに、幅方向Yに離間して設置された一対の足部23と、前側部分21aの両側縁部21cに設置されて、一対の足部23を間に挟んだ両側に位置する一対の腕部24とを備える。一対の足部23は、一対の腕部24よりも前側に位置しても良い。
【0127】
そのため、マスキングテープ貼付治具3は、治具本体21の片面側へ延びる、一対の足部23によってマスキングテープ2の中間部2aの背面を幅方向Yに支持する。この状態で、治具本体21の一対の腕部24に対してマスキングテープ2の両端部周辺2bを付着させる。これにより、装着部22は、マスキングテープ2を装着することができる。
【0128】
このとき、マスキングテープ2は、前側の一対の足部23により屈曲されて、両端部周辺2bが前側から後側の一対の腕部24へ向かう。
【0129】
これにより、マスキングテープ2を、治具本体21に簡単に装着して、治具本体21に安定して保持させることができる。このとき、一対の足部23と一対の腕部24とが、治具本体21の同じ側に、互いに平行となるように延びていれば、マスキングテープ2を、捻れないように装着部22に装着できるので、治具本体21への装着がより容易になる。
【0130】
そして、マスキングテープ貼付治具3は、治具本体21の前側に位置する一対の足部23を対象物1に押付ける。これにより、一対の足部23で支持されたマスキングテープ2の中間部2aを対象物1に貼付けることができる。
【0131】
このとき、治具本体21が平らな前側部分21aを有することで、平らな前側部分21aを基準にして対象物1に狙いを定めて、マスキングテープ2を対象物1に正確に貼付けることができる。
【0132】
その後、マスキングテープ貼付治具3は、後側の一対の腕部24からマスキングテープ2の両端部周辺2bを剥がして、治具本体21を対象物1から遠ざける。これにより、マスキングテープ2を対象物1に残したまま、治具本体21をマスキングテープ2および対象物1から離脱させることができる。
【0133】
腕部24は、前側の一対の足部23よりも治具本体21の後側に位置しているので、対象物1から離れた位置にてマスキングテープ2の両端部周辺2bを腕部24から容易に剥がすことができる。
【0134】
以上により、マスキングテープ貼付治具3は、マスキングテープ2を対象物1の狭い部位(例えば、対象物1に設けられた凹部12)に対しても容易に、そして、正確に貼付けることができる。
【0135】
なお、マスキングテープ貼付治具3は、必要な場合には、対象物1の表面に正確に貼付けるのにも使用できるので便利である。
【0136】
(効果 2)マスキングテープ貼付治具3では、一対の足部23は、一対の腕部24よりも治具本体21の面直方向Zに短くしても良い。
【0137】
このように、一対の足部23を腕部24よりも面直方向Zに相対的に短くすることで、マスキングテープ2の背面を、短い一対の足部23によって、マスキングテープ2の幅Tよりも狭い範囲で支持することが可能となる。これにより、一対の足部23を、マスキングテープ2と同じかそれよりも幅W1が若干狭くまたは広くなっている対象物1の部位(例えば、凹部12など)に、支障なく差し込んでマスキングテープ2を貼付けることが可能となる。
【0138】
この際、マスキングテープ2は、一対の足部23によって支持されていない部分が容易に変形されるので、幅W1の狭い部位へ容易に入れることができる。そのため、一対の足部23は、マスキングテープ2の中間部2aの背面を足部23で支持した状態を保ちつつ、対象物1の幅W1の狭い部位に対してマスキングテープ2を貼ることが可能になる。
【0139】
また、一対の腕部24を足部23よりも面直方向Zに相対的に長くすることで、マスキングテープ2は、一対の腕部24に付着される粘着面7の幅が広くなる。そのため、装着部22は、マスキングテープ2の両端部周辺2bを、一対の腕部24によってより幅広く安定して保持することができる。例えば、一対の腕部24は、マスキングテープ2の幅Tのほぼ全体を付着し得る程度の長さにしても良い。
【0140】
(効果 3)マスキングテープ貼付治具3では、一対の足部23は、一対の腕部24よりも幅を狭くしても良い。
【0141】
このように、一対の足部23を一対の腕部24よりも相対的に狭幅にすることで、足部23が細くなって、足部23の位置がより明確になる。そのため、装着部22は、一対の足部23でマスキングテープ2の背面を支持した状態を保ちつつ、対象物1に対してマスキングテープ2をより(幅方向Yに)正確に貼ることが容易となる。
【0142】
また、一対の腕部24を一対の足部23よりも相対的に広幅にすることで、マスキングテープ2は、粘着面7を比較的長い範囲に亘って一対の腕部24に付着させられる。そのため、装着部22は、マスキングテープ2の両端部周辺2bを、一対の腕部24でより強く安定して保持することができる。
【0143】
(効果 4)マスキングテープ貼付治具3では、足部23と腕部24との間は、マスキングテープ2を貼付ける対象物1の厚み、または、対象物1に設けられた凹部12の深さG1よりも大きく離れていても良い。
【0144】
これにより、足部23が、対象物1の裏側、または、対象物1の凹部12の奥(底部12a)まで余裕で届くようになると共に、その状態でも、腕部24が、対象物1の表面に完全に出るようになる。そのため、マスキングテープ2の中間部2aを凹部12の奥部に確実に貼ることができる。また、足部23を凹部12内の奥まで挿入していても、そのまま、対象物1の表面の位置で腕部24からマスキングテープ2の両端部周辺2bを容易に剥がすことができる。また、必要な場合には、対象物1の表面に出る腕部24の長さ(腕長さL2)を凹部12の幅W1やテープの幅Tより長くすることなども可能となる。
【0145】
(効果 5)足部23は、治具本体21の前側部分21aから、対象物1の厚み、または、凹部12の深さG1よりも前側へ長く延びる延長部31に形成されても良い。
【0146】
これにより、足部23を凹部12の内部へ、凹部12の底部12aに達するように奥まで挿入した状態でも、治具本体21は、延長部31によって、足部23から離されて対象物1の表面に前側部分21aの全体が出るようになる。そのため、治具本体21は、前側部分21aが対象物1と干渉しないようになる。よって、治具本体21を、例えば、凹部12と交差する方向などへ動かすことが可能になる。
【0147】
このことは、例えば、対象物1に凹部12と交差する第二凹部13が設けられている場合に有効となる。
【0148】
即ち、例えば、
図9~
図11に順に示すように、マスキングテープ2を、延長部31の足部23の突出側とは反対側の面に、延長部31の間に跨るように貼り付けて、治具本体21に装着する(
図9)。このときマスキングテープ2は、幅Tが前後方向X(外壁11の内外方向)に向けられる。次に、延長部31を対象物1の凹部12内へ挿入する(
図10)。そして、治具本体21を第二凹部13に沿って横移動させる(
図11)。これにより、マスキングテープ2を凹部12の側面に貼付けると共に、凹部12の側面によって延長部31から剥がさせることが可能になる。この場合には、延長部31の幅および足部23の足幅S1は、第二凹部13の幅W2とほぼ同じかそれよりも小さくする。なお、治具本体21の横移動量は、延長部31からマスキングテープ2が剥がれる程度の僅かな量で良い。