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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021958
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20240208BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B65D77/20 G
B65D83/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125184
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 琢也
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 友由樹
【テーマコード(参考)】
3E014
3E067
【Fターム(参考)】
3E014LB00
3E067AA12
3E067AB77
3E067AC14
3E067BA12
3E067BB14
3E067BB25
3E067BC06
3E067CA07
3E067EA06
3E067EA29
3E067EA32
3E067EB11
3E067EB22
3E067EE02
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GA21
3E067GD01
3E067GD07
3E067GD08
(57)【要約】
【課題】包装体の収容に用いられる外装袋に代わる部材を備える包装体を提供する。
【解決手段】物品11を包装する包装体1Aであって、包装体本体11と、開閉蓋本体31と、剥離部32とを含む開閉ラベル30と、外装ラベル21とを備え、開閉ラベル30の開閉蓋本体31と剥離部32との境界には、脆弱線31hが設けられ、外装ラベル21の引き剥がしの際には、剥離部32は、脆弱線31hで開閉蓋本体31から切離されて、外装ラベル21に接着した状態で引き剥がされ、開閉蓋本体31は、包装体本体11に貼着されたままとなる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を包装する包装体であって、
前記物品を内部に収容し、前記物品を取り出す取出口を有する包装体本体と、
前記取出口を覆うように前記包装体本体に貼着される開閉蓋本体と、前記開閉蓋本体の周囲に設けられる剥離部と、を含む開閉ラベルと、
前記開閉ラベルを覆うように、前記包装体本体に貼着される外装ラベルと、
を備え、
前記開閉ラベルの前記開閉蓋本体と前記剥離部との境界には、脆弱線が設けられ、
前記外装ラベルの引き剥がしの際には、前記剥離部は、前記脆弱線で前記開閉蓋本体から切離されて、前記外装ラベルに接着した状態で引き剥がされ、前記開閉蓋本体は、前記包装体本体に貼着されたままとなる、
包装体。
【請求項2】
前記開閉ラベルの前記開閉蓋本体の表面には、前記外装ラベルの裏面の塗布された接着剤の接着力を弱める表面加工処理が施されることで、前記外装ラベルの引き剥がしの際には、前記剥離部は、前記脆弱線で前記開閉蓋本体から切離されて、前記外装ラベルに接着した状態で引き剥がされ、前記開閉蓋本体は、前記包装体本体に貼着されたままとなる、
請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記開閉蓋本体は、
前記取出口を覆い、前記取出口を開閉するため前記包装体本体に繰り返し貼着可能に設けられ、蓋摘まみ部を有する蓋部と、
前記包装体本体に常時貼着される固定部と、を有し、
前記蓋部の前記蓋摘まみ部との反対側は、前記固定部に連結されている、
請求項1に記載の包装体。
【請求項4】
前記外装ラベルには、前記包装体本体から前記外装ラベルを引き剥がすための外装ラベル摘まみ部が設けられ、
前記外装ラベル摘まみ部を持って前記包装体本体から前記外装ラベルを引き剥がす方向と、前記蓋摘まみ部を持って前記包装体本体から前記蓋部を引き剥がす方向とが異なる、
請求項3に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装体に関し、より特定的には、包装体に設けられる開封用のラベルの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルコールなどの液体が含浸されたウェットシートを折り畳んで複数枚積層したシート積層体等の物品を、柔軟なフィルム袋で包装した包装体が知られている。たとえば、特開2006-160295号公報(特許文献1)、特開2006-96374号公報(特許文献2)、特開2010-58837号公報(特許文献3)、および、特開2021-80008号公報(特許文献4)に開示されるような形態の包装体を一例として挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-160295号公報
【特許文献2】特開2006-96374号公報
【特許文献3】特開2010-58837号公報
【特許文献4】特開2021-80008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような形態を有する包装体は、市場において店頭で販売される際には、外装袋に収容された状態で販売される場合がある。外装袋には、包装体に収容されたシート積層体の、商品名、セールスポイント、その他の宣伝用図柄等が印刷される。これら宣伝用図柄を目立たせることで消費者に対する訴求力を高め、包装体に収容されたシート積層体の販売促進を図っている。
【0005】
他方、包装体には、内部に収容されたシート積層体を取り出すための取出口を覆う蓋材が設けられている。販売時には包装体が上記外装袋で覆われていることから、蓋材が露出しないため、外装袋により蓋材を捲るいたずらを防止することもできる。
【0006】
しかしながら、外装袋は、販売の際にのみ用いられ、消費者が購入した後は廃棄されることから、省資源化の観点からも、外装袋に代わる部材の開発が望まれている。
【0007】
この発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、包装体の収容に用いられる外装袋に代わる部材を備える包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本開示に基づく包装体は、物品を包装する包装体であって、上記物品を内部に収容し、上記物品を取り出す取出口を有する包装体本体と、上記取出口を覆うように上記包装体本体に貼着される開閉蓋本体と、上記開閉蓋本体の周囲に設けられる剥離部と、を含む開閉ラベルと、上記開閉ラベルを覆うように、上記包装体本体に貼着される外装ラベルと、を備え、上記開閉ラベルの上記開閉蓋本体と上記剥離部との境界には、脆弱線が設けられ、上記外装ラベルの引き剥がしの際には、上記剥離部は、上記脆弱線で上記開閉蓋本体から切離されて、上記外装ラベルに接着した状態で引き剥がされ、上記開閉蓋本体は、上記包装体本体に貼着されたままとなる。
【0009】
[2]:[1]に記載の包装体においては、上記開閉ラベルの上記開閉蓋本体の表面には、上記外装ラベルの裏面の塗布された接着剤の接着力を弱める表面加工処理が施されることで、上記外装ラベルの引き剥がしの際には、上記剥離部は、上記脆弱線で上記開閉蓋本体から切離されて、上記外装ラベルに接着した状態で引き剥がされ、上記開閉蓋本体は、上記包装体本体に貼着されたままとなる。
【0010】
[3]:[1]または[2]に記載の包装体においては、上記開閉蓋本体は、上記取出口を覆い、上記取出口を開閉するため上記包装体本体に繰り返し貼着可能に設けられ、蓋摘まみ部を有する蓋部と、上記包装体本体に常時貼着される固定部と、を有し、上記蓋部の上記蓋摘まみ部との反対側は、上記固定部に連結されている。
【0011】
[4]:[3]に記載の包装体においては、上記外装ラベルには、上記包装体本体から上記外装ラベルを引き剥がすための外装ラベル摘まみ部が設けられ、上記外装ラベル摘まみ部を持って上記包装体本体から上記外装ラベルを引き剥がす方向と、上記蓋摘まみ部を持って上記包装体本体から上記蓋部を引き剥がす方向とが異なる。
【発明の効果】
【0012】
この開示によれば、包装体の収容に用いられる外装袋に代わる部材を備える包装体の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】関連技術の包装体の全体斜視図である。
図2】関連技術の包装体の平面図である。
図3】関連技術の包装体の外装ラベルを取外した状態の平面図である。
図4】関連技術の包装体の使用状態を示す第1斜視図である。
図5】関連技術の包装体の使用状態を示す第2斜視図である。
図6】関連技術の包装体の使用状態を示す第3斜視図である。
図7】関連技術の包装体の使用状態を示す第4斜視図である。
図8】実施の形態1の包装体の全体斜視図である。
図9】実施の形態1の包装体の平面図である。
図10】実施の形態1の包装体の外装ラベルを取外した状態の平面図である。
図11】実施の形態1の包装体の使用状態を示す第1斜視図である。
図12】実施の形態1の包装体の使用状態を示す第2斜視図である。
図13】他の実施の形態の包装体の全体斜視図である。
図14】他の実施の形態の包装体の全体斜視図である。
図15】他の実施の形態の包装体の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に基づいた各実施の形態の包装体について、以下、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。また、図示するフィルムの厚さについては、構成を明確に示すために実際の厚さの比率とは異ならせて記載している。
【0015】
なお、以下の実施の形態では、包装体の収容される物品の一例として、たとえば、液体が含浸された複数枚のウェットシート等を採用しているが、この物品に限定されるものではない。たとえば、物品として、乾燥したシート、食品、お菓子、個包された物品、その他の種々の物品を採用することが可能である。
【0016】
(関連技術)
初めに、関連技術の包装体1の構成について、図1から図3を参照して説明する。図1は、包装体1の全体斜視図、図2は、包装体1の平面図、図3は、包装体1の外装ラベル21を取外した状態の平面図である。
【0017】
図1および図2を参照して、包装体1は、物品100を包装する。物品100(図4参照)としては、たとえば、液体が含浸された複数枚のウェットシート等が挙げられる。包装体1は、物品100を内部に収容し、物品を取り出す取出口12を有する包装体本体11と、取出口12を覆うように包装体本体11に貼着され、他方端側が包装体本体11に固定され、一方端側から他方端側に向かって引き剥がし可能であるとともに、包装体本体11に繰り返し貼着可能に設けられた開閉蓋本体31と、開閉蓋本体31を覆うように包装体本体11に貼着され、開閉蓋本体31を引き剥がすことなく、他方端側から一方端側に向けて、包装体本体11から引き剥がし可能に設けられた外装ラベル21とを備える。
【0018】
物品100の一例である複数枚のウェットシートに含浸させる液体は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。たとえば、水、アルコール、界面活性剤、除菌剤、抗菌剤、防腐剤、香料などの液体が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0019】
包装体1は、開閉蓋本体31と外装ラベル21によってウェットシートが密封されているので、極めて揮発し易い液体(たとえば、アルコール濃度30%以上、好ましくはアルコール濃度50%以上のアルコール水溶液など)を用いても、ウェットシートの早期乾燥を防止できる。
【0020】
ウェットシートは、吸液性(吸水性および/または吸油性)を有していれば特に限定されず、たとえば、吸液性を有する材料を含む不織布、織布、紙、多孔質フィルムなどを用いることができる。吸液性を有する材料としては、綿などの天然繊維、パルプ、アクリル系、オレフィン系、セルロース系、PVA系などの合成繊維または合成樹脂フィルムなどを例示できる。ウェットシートは、適宜の形状に折り畳まれ、その複数枚が重ね合わされた態様で(シート積層体で)、包装体1内に収納されている。
【0021】
包装体本体11は、柔軟性および耐液性を有するフィルムから構成されている。本開示において、フィルムとは、一般にシートと呼ばれている枚葉体が含まれる。包装体本体11を構成するフィルムの材質は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。代表的には、金属薄膜などのガスバリア層が積層されたベースフィルムとシーラント層とを有する積層フィルムなどが挙げられる。
【0022】
ベースフィルムとしては、たとえば、アルミニウムを蒸着した合成樹脂フィルム(たとえばアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)などが挙げられる。シーラント層としては、ポリエチレン層などが挙げられる。積層フィルムのフィルム厚は、約30μm~100μm程度である。
【0023】
積層フィルムにて物品100を包み、積層フィルムの端部を接着(熱シールなど)することにより、包装体本体11が形成されている。包装体本体11の形態は、ピロー包装であるが、他の包装形態でも構わない。包装体本体11の一面(図示における上面)には、物品100を構成するシート積層体の各ウェットシートを取り出すための取出口12が開口されている(図6図7参照)。
【0024】
(外装ラベル21)
図2を参照して、外装ラベル21は、所定の平面形状のシートから形成されている。外装ラベル21は、後述する開閉蓋本体31の表面に剥離可能に貼着される本体部21aと、本体部21aの他端側に設けられる引き剥がし部21bとを含む。
【0025】
引き剥がし部21bは、本体部21aを引き剥がし易くするために三角形形状を有しているが、この形状に限定されるものではない。引き剥がし部21bの他端側の先端部分には、摘まみ部21cが設けられ、この摘まみ部21cを起点として、引き剥がし部21bを把持し、本体部21aを引き剥がし易くしている。なお、本体部21aおよび引き剥がし部21bの裏面側に設けられる粘着剤は、包装体本体11に対して、包装体本体11側の全面に貼付されているとよい。さらに、糊抑え(糊の上に塗って、粘着性を抑えるマスキングの役割をする印刷層)や部分糊で一部の領域にだけ貼付され、包装体本体11に対する粘着の程度が抑えられているとよい。
【0026】
外装ラベル21の領域R1は、本実施の形態では、後述の開閉蓋本体31に設けられた延伸部31f(図3参照)とともに、包装体本体11に剥離可能に貼着された領域である。外装ラベル21の領域R2は、包装体本体11に繰り返し貼着可能な領域であってもよい。領域R2の接着力は、人力で剥離できる程度の接着力であり、包装体本体11に対して接着可能な領域である。
【0027】
領域R2の接着力は、開閉蓋本体31が包装体本体11から引き剥がされない接着力に調整されている。具体的には、領域R2においては、包装体本体11に貼付している開閉蓋本体31の粘着剤Aとの層間強度が、開閉蓋本体31と外装ラベル21の粘着剤Bとの層間強度よりも強く設けられている。これにより、包装体本体11から外装ラベル21が引き剥がされても、開閉蓋本体31が包装体本体11から引き剥がされることはない。
【0028】
外装ラベル21を形成するシートの厚みは、その材質によって異なるものの、約20μm~200μm程度である。外装ラベル21には、従来の外装袋に印刷されているような、消費者に対する訴求力を高める宣伝用図柄・商品名等が印刷されているとよい。本開示では、この外装ラベル21を設けることにより、従来の外装袋の使用を不要とする。
【0029】
(開閉蓋本体31)
図3を参照して、開閉蓋本体31について説明する。図3は、包装体1の外装ラベル21を便宜上取外した状態の平面図である。
【0030】
開閉蓋本体31は、包装体本体11に設けられた取出口12を覆い、一方端側から他方端側に向かって包装体本体11から引き剥がし可能であるとともに、取出口12を開閉するため包装体本体11に繰り返し貼着可能に設けられた蓋部31aと、蓋部31aの他方端側が固定され包装体本体11に常時貼着される固定部31bとを含む。蓋部31aの一方端側には、三角形状の摘まみ部31eが設けられている。
【0031】
開閉蓋本体31は、固定部31bにおいて包装体本体11に強く接着されることによって包装体本体11から完全に分離しない。しかし、蓋部31aの周囲に、包装体本体11の表面に対して蓋部31aを連結するための固定部31bを設け、この固定部31bに蓋部31aの他端側が連結されている。開閉蓋本体31を形成するシートの厚みは、その材質によって異なるものの、約20μm~200μm程度である。
【0032】
蓋部31aと固定部31bとは、たとえば、裏面全体に粘着剤が塗工された1枚のシートの面内に、平面視略コの字状の切込み線31cを形成することによって得ることができる。切込み線31cが形成されたシートは、略コの字状の切込み線31cで囲われた部分が、本開示の蓋部31aとなり、切込み線31cの外周部分が固定部31bとなる。
【0033】
蓋部31aと固定部31bとの連結領域において、切込み線31cの終端には、円形の切込み線端部31dが設けられている。この切込み線端部31dを設けておくことで、蓋部31aを開放した際に、蓋部31aと固定部31bとの連結部に生じる応力集中の発生を抑制し、連結部31mでの破れを回避している。応力集中の発生を抑制できる形状であれば、切込み線端部31dの形状には公知の形状を用いることができる。
【0034】
さらに、切込み線端部31dの形状として、外装ラベル21を剥離する際に、切込み線端部31dの一部がめくりあがらないような形状や形態が好ましく、切込み線端部31dの上面に位置する外装ラベル21、または、切込み線端部31dが設けられる開閉蓋本体31の少なくともいずれか一方に、外装ラベル21と開閉蓋本体31とが弱接着または非接着になっている(粘着力を減らす、易剥離層を設ける)ことが好ましい。たとえば、外装ラベル21の接着剤側に、粘着を弱接着にする加工(シリコーンコート等)を施すとよい。
【0035】
本実施の形態では、包装体本体11に貼着され、他方端側の端部に開閉蓋本体31に対して脆弱線31hにより切離し可能に設けた延伸部31fをさらに有している。この延伸部31fは、外装ラベル21を一方端側に向けて包装体本体11から引き剥がす際に、開閉蓋本体31から脆弱線31hに沿って切離されて、外装ラベル21の引き剥がし部21bとともに包装体本体11から引き剥がされる。
【0036】
本実施の形態では、延伸部31fの他方端部には、摘まみ部31gが設けられている。外装ラベル21に設けられた引き剥がし部21bと延伸部31f、および、摘まみ部21cと摘まみ部31gとは同一の形態を有している。外装ラベル21を一方端側に向けて包装体本体11から引き剥がした後は、引き剥がし部21bおよび摘まみ部21cの裏面に、延伸部31fおよび摘まみ部31gが貼着した状態のままとなる。
【0037】
このように、開閉蓋本体31に外装ラベル21に設けられる引き剥がし部21bおよび摘まみ部21cと同一形態の延伸部31fおよび摘まみ部31gを予め設けておくことで、延伸部31fおよび摘まみ部31gを含む開閉蓋本体31を構成する同一のフィルム層の上に引き剥がし部21bおよび摘まみ部21cを含む開閉蓋本体31を構成する同一のフィルム層を形成するのみで、本開示の構造が得られるため、製造工程を単純化させることが可能となる。また、領域R1および領域R2にわたって、フィルム層の厚さが均一になることから外観を綺麗に仕上げることができる。
【0038】
なお、開閉蓋本体31のみの構成とし、延伸部31fおよび摘まみ部31gを設けない構成を採用することも可能である。
【0039】
(使用状態)
図4から図7を参照して、上記構成を有する包装体1の使用状態について説明する。図4から図7は、包装体1の使用状態を示す第1斜視図から第4斜視図である。
【0040】
図4を参照して、使用者は、外装ラベル21に設けられた摘まみ部21cを把持し、この摘まみ部21cを起点として、引き剥がし部21bから外装ラベル21を、他方端側から一方端側に向けて、包装体本体11からの引き剥がしを開始する(図4中矢印A1方向)。図5を参照して、外装ラベル21は、柔軟なシートであり、湾曲しながら包装体本体11から完全に引き剥がされる(図4中矢印A2方向)。
【0041】
この際、上記したように、摘まみ部21cおよび引き剥がし部21bの裏面には、開閉蓋本体31から脆弱線31hに沿って切離された延伸部31fおよび摘まみ部31gが貼着されている。
【0042】
上記したように、外装ラベル21接着力(図2、領域R2参照)は、開閉蓋本体31が包装体本体11から引き剥がされない接着力に調整されている。これにより、包装体本体11から外装ラベル21が引き剥がされても、開閉蓋本体31が包装体本体11から引き剥がされることはない。
【0043】
さらに、開閉蓋本体31の開蓋方向は、外装ラベル21の開蓋方向とは反対の一方端側から他方端側に向けての方向であるため、包装体本体11から外装ラベル21が引き剥がされても、開閉蓋本体31が包装体本体11から引き剥がされることはない。
【0044】
図6を参照して、開閉蓋本体31の摘まみ部31eから蓋部31aを切込み線31cに沿って持ち上げ、一方端側から他方端側に向けて開閉蓋本体31の引き剥がしを開始する(図6中矢印B1方向)。
【0045】
図7を参照して、蓋部31aは、柔軟なシートであり、湾曲しながら包装体本体11から完全に引き剥がされる(図7中矢印B1方向)。固定部31bは、包装体本体11に常時貼着されている。蓋部31aは、連結部31mで固定部31bに連結されており、蓋部31aが固定部31bから完全には分離しない。このため、蓋部31aの包装体本体11への再貼着を容易に行なうことができる。
【0046】
蓋部31aの取出口12に対向する領域32aには粘着剤は設けられていない。固定部31bに取り囲まれた包装体本体11が露出領域に対向する蓋部31aの領域32bには、粘着剤が設けられている。これにより、蓋部31aによる、取出口12を開閉するため、包装体本体11への繰り返し貼着が可能となる。領域32aは、通常は、包装体本体11の切込み線が設けられた取出口のフィルムが、蓋部31aの全面に設けられた粘着剤により引き剥がされ、取出口の形状のフィルムが貼着された状態のままの領域である。
【0047】
以上、本参考技術における包装体1によれば、取出口12を覆う開閉蓋本体31をさらに覆う外装ラベル21を設けている。開閉蓋本体31の開蓋方向は、外装ラベル21の開蓋方向とは反対の一方端側から他方端側に向けての方向であるため、包装体本体11から外装ラベル21が引き剥がされても、開閉蓋本体31が包装体本体11から引き剥がされることはない。これにより、従来の外装袋の使用を不要とし、外装ラベル21に消費者に対する訴求力を高める宣伝用図柄等の印刷を可能とする。
【0048】
(関連技術の課題)
ここで、上記構成を有する関連技術の包装体1において、この包装体1に収容された物品100の、商品名、セールスポイント、その他の宣伝用図柄等をより目立たせるために、外装ラベル21のサイズをより大きくすることが望まれる。その場合に、包装体本体11のサイズに合わせて可能な範囲で外装ラベル21のサイズを大きくすることが望まれる。
【0049】
しかし、外装ラベル21および開閉蓋本体31をサイズを大きくした場合、外装ラベル21および開閉蓋本体31の側面(図1中のXで囲まれた領域)が、外部部材と擦れやすくなる。その結果、外装ラベル21および開閉蓋本体31が剥がれ易くなることが懸念される。
【0050】
そこで、以下に示す包装体1Aにおいては、このような課題を解決することを目的としている。
【0051】
(実施の形態1:包装体1A)
図8から図10を参照して、本実施の形態の包装体1Aの構成について説明する。図8は、包装体1Aの全体斜視図、図9は、包装体1Aの平面図、図10は、包装体1Aの外装ラベル21を取外した状態の平面図である。包装体1Aにおいて、基本的構成は、上述した包装体1と同一であるため、同一の構成には、同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0052】
包装体1Aと包装体1との相違点としては、図8および図9に示すように、開閉蓋本体31の周囲に開閉蓋本体31と同一のシートから構成される剥離部32が設けられている点である。以下の説明では、開閉蓋本体31と剥離部32とを含むシートを、開閉ラベル30と称する。
【0053】
この包装体1Aは、外装ラベル21と、外装ラベル21と同一形態の開閉ラベル30とを有している。外装ラベル21と開閉ラベル30と外形寸法は、包装体本体11の外形寸法と略同一となるように設けられている。
【0054】
(外装ラベル21)
外装ラベル21は、開閉ラベル30を覆うように、包装体本体11に貼着される本体部21aと、本体部21aの他端側に設けられる引き剥がし部21bとを含む。ここで、外装ラベル21が包装体本体11に貼着されるとは、外装ラベル21が包装体本体11に直接貼着される場合、および、外装ラベル21が開閉ラベル30を介して包装体本体11に貼着される場合の両方の意味を含む。
【0055】
外装ラベル21の引き剥がし部21bが位置する領域R1は、開閉ラベル30に設けられた延伸部32f(図10参照)とともに、包装体本体11に剥離可能に貼着された領域である。外装ラベル21の領域R1は、延伸部32fの接着力を抑制するマスキング処理が施されている。
【0056】
(開閉ラベル30)
図10を参照して、開閉ラベル30は、取出口を覆うように包装体本体11に貼着される開閉蓋本体31と、この開閉蓋本体31の周囲に設けられる剥離部32と、を含む。本実施の形態では、図示において、開閉蓋本体31の上側、左側および右側に剥離部32が設けられ、開閉蓋本体31の右側は、開閉ラベル30の右端と同一となっているが、開閉蓋本体31の右側に剥離部32を設けるようにしてもよい。さらに、剥離部32の左側は、延伸部32fを構成し、境界線31nを境界にして、延伸部32fの裏面側には、上記したようにマスキング処理が施され、接着剤の粘着力が抑制されている。
【0057】
なお、開閉蓋本体31の周囲に設けられる剥離部32の形態としては、本実施の形態のように、開閉蓋本体31の上側、左側および右側に剥離部32が設けられる構成以外に、開閉蓋本体31の全周囲に設けられる構成、開閉蓋本体31の左側および右側に剥離部32が設けられる構成、開閉蓋本体31の上側および下側に設けられる構成、開閉蓋本体31のいずれかの側に設けられる構成等、適宜、開閉蓋本体31の周囲に設けられる剥離部32の形態は選択されるものである。
【0058】
開閉蓋本体31は、包装体本体11に設けられた取出口12を覆い、一方端側から他方端側に向かって包装体本体11から引き剥がし可能であるとともに、取出口12を開閉するため包装体本体11に繰り返し貼着可能に設けられた蓋部31aと、蓋部31aの他方端側が固定され包装体本体11に常時貼着される固定部31bとを含む。蓋部31aの一方端側には、三角形状の摘まみ部31eが設けられている。開閉蓋本体31の構成は、上記参考技術で示した開閉蓋本体31の構成と同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0059】
開閉蓋本体31と剥離部32とは、同一のシートで構成され、開閉蓋本体31と剥離部32との境界には、脆弱線31hが設けられ、開閉蓋本体31に対して剥離部32が切離し可能に設けられている。
【0060】
開閉ラベル30の剥離部32を除く開閉蓋本体31の表面には、外装ラベル21の裏面の塗布された接着剤の接着力を弱める表面加工処理が施されている。接着力を弱める表面加工処理としては、たとえば、シリコーンコートを開閉蓋本体31の表面に予め施しておく方法が挙げられる。または、外装ラベル21の接着剤側に、粘着を弱接着にする加工処理、たとえば、シリコーンコートを施してもよい。これにより、開閉ラベル30の上に貼着された外装ラベル21を包装体本体11から引き剥がす際に、剥離部32は外装ラベル21に接着した状態、開閉蓋本体31は包装体本体11に接着した状態を実現させることが可能となる。
【0061】
したがって、開閉ラベル30と包装体本体11との間の接着力よりも、開閉ラベル30と外装ラベル21との間の接着力の方が強く、シリコーンコートが表面に施されることで、開閉蓋本体31と包装体本体11との間の接着力より、開閉蓋本体31と外装ラベル21との間の接着力の方が弱くなるように、各層間の接着力を調整するとよい。
【0062】
(使用状態)
図11および図12を参照して、上記構成を有する包装体1Aの使用状態について説明する。図11および図12は、包装体1Aの使用状態を示す第1斜視図および第2斜視図である。
【0063】
図11を参照して、使用者は、外装ラベル21に設けられた引き剥がし部21bを把持し、引き剥がし部21bから外装ラベル21を、他方端側から一方端側に向けて、包装体本体11からの引き剥がしを開始する(図11中矢印A1方向)。図12を参照して、外装ラベル21は、柔軟なシートであり、湾曲しながら包装体本体11から完全に引き剥がされる(図11中矢印A2方向)。
【0064】
この外装ラベル21の引き剥がしの際には、剥離部32は、脆弱線31hで開閉蓋本体31から切離されて、外装ラベル21に接着した状態で引き剥がされ、開閉蓋本体31は、包装体本体11に貼着されたままとなる。
【0065】
次に、蓋部31aの開閉については、上記関連技術の図6および図8と同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0066】
このように、本実施の形態における包装体1Aにおいては、外装ラベル21を、包装体本体11の外形寸法と略同一となるように設けられている。これにより、包装体1に収容された物品100の、商品名、セールスポイント、その他の宣伝用図柄等をより目立たせることを可能とする。
【0067】
また、関連技術の包装体1と同様に、外装ラベル21および開閉ラベル30の側面(図8中のXで囲まれた領域)が、外部部材と擦れやすくなる。しかし、包装体1Aの場合には、外装ラベル21および周囲に設けられた剥離部32が剥がれても、取出口12を覆う開閉蓋本体31は、脆弱線31hによって剥離部32から切離されることから、開閉蓋本体31が剥がれることを抑制することが可能となる。
【0068】
(他の実施の形態)
次に、図13から図15を参照して、他の実施の形態の包装体1Bおよび包装体1Cについて説明する。図13から図15は、他の実施の形態の包装体の全体斜視図である。
【0069】
上記実施の形態1における包装体1Aは、外装ラベル21を引き剥がす方向A2(他方端側から一方端側)と、蓋部31aの引き剥がす方向(一方端側から他方端側)とは、180度異なる反対方向であった。
【0070】
図13を参照して、包装体1Bは、外装ラベル21を引き剥がす方向A2(他方端側から一方端側)と、蓋部31aの引き剥がす方向(他方端側から一方端側)とは、同一方向である。この構成であっても、上記実施の形態の包装体1Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0071】
図14を参照して、包装体1Cは、外装ラベル21を引き剥がす方向A3(図示において手前側から奥側)と、蓋部31aを引き剥がす方向(他方端側から一方端側)とは、90度異なる方向である。この構成であっても、上記実施の形態の包装体1Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
図15を参照して、包装体1Dは、外装ラベル21の開蓋方向A2は、包装体本体11の長手方向に沿う開蓋方向である。一方、開閉蓋本体31の開蓋方向B3は、包装体本体11の短手方向に沿う開蓋方向である。この構成のように、外装ラベル21を引き剥がす方向A3と、蓋部31aを引き剥がす方向とが、90度異なる方向であっても、上記実施の形態の包装体1Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
このように、外装ラベル21を引き剥がす方向と蓋部31aを引き剥がす方向とが同一でまたは異なる場合であっても、上記実施の形態の包装体1Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
なお、上記各実施の形態で、外装ラベル21と開閉ラベル30と予め貼り合わせた2層構造のシールを包装体本体11に貼着する方法、または、包装体本体11に開閉ラベル30を貼付け、その後、外装ラベル21を貼着する方法のいずれであってもよい。
【0075】
以上、各実施の形態において本発明の包装体について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1A,1B,1C 包装体、11 包装体本体、12 取出口、21 外装ラベル、21a 本体部、21b 引き剥がし部、21c,31e,31g 摘まみ部、30 開閉ラベル、31 開閉蓋本体、31a 蓋部、31b 固定部、31c 切込み線、31d 切込み線端部、31f,32f 延伸部、31h 脆弱線、31m 連結部、31n 境界線、100 物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15