(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002196
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20231228BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20231228BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11575
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101253
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 吟
(72)【発明者】
【氏名】河村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】阪口 智則
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 郁弥
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP72
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA30
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083ZA28
5F101BA45
5F101BB02
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
(57)【要約】
【課題】異なる階層に配置される構造間の接続不良を抑制すること。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置1は、階段領域SR内における積層方向に板状部LIと重なる位置に配置され、複数の導電層WLが第1の方向に沿って階段状に加工された第1の階段部SPと、階段領域SR内における板状部LIの第2の方向の両側にそれぞれ配置され、複数の導電層WLが階段状に加工された構造であって、板状部LIに対して互いを第2の方向に反転させた構造を有する第2及び第3の階段部と、を備え、複数の第1のプラグCHは、第1の方向の位置に応じて、板状部LIに対して第2の方向の異なる位置にそれぞれ配置され、複数の第2のプラグCHは、複数の第1のプラグCHのそれぞれの配置を板状部LIに対して第2の方向に反転させた位置にそれぞれ配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層と複数の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、前記複数の導電層の積層方向と交差する第1の方向に並んだメモリ領域および階段領域を有する積層体と、
前記積層体内を前記積層方向および前記第1の方向に延び、前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に前記積層体を分割する板状部と、
前記階段領域内における前記積層方向に前記板状部と重なる位置に配置され、前記複数の導電層が前記第1の方向に沿って階段状に加工された第1の階段部と、
前記階段領域内における前記板状部の前記第2の方向の両側にそれぞれ配置され、前記複数の導電層が階段状に加工された構造であって、前記板状部に対して互いを前記第2の方向に反転させた前記構造を有する第2及び第3の階段部と、
前記メモリ領域内における前記板状部の前記第2の方向の一方側で前記板状部に沿って配列され、前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第1のピラーと、
前記メモリ領域内における前記板状部の前記第2の方向の他方側で前記板状部に沿って配列され、前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第2のピラーと、
前記積層体の上方に配置され、前記複数の第1のピラーにそれぞれ接続される複数の第1のプラグと、
前記積層体の上方に配置され、前記複数の第2のピラーにそれぞれ接続される複数の第2のプラグと、を備え、
前記複数の第1のプラグは、
前記第1の方向の位置に応じて、前記板状部に対して前記第2の方向の異なる位置にそれぞれ配置され、
前記複数の第2のプラグは、
前記複数の第1のプラグのそれぞれの配置を前記板状部に対して前記第2の方向に反転させた位置にそれぞれ配置される、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記メモリ領域内における前記板状部の前記一方側の前記複数の第1のピラーよりも前記第2の方向に前記板状部に遠い位置で、前記板状部に沿って配列され、前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第3のピラーと、
前記積層体の上方に配置され、前記複数の第3のピラーにそれぞれ接続される複数の第3のプラグと、
前記複数の第1のプラグの上方に配置され、前記板状部からの前記第2の方向の距離を実質的に一定に保って前記複数の第1のプラグにそれぞれ接続される複数の第1の上層プラグと、
前記複数の第1の上層プラグと同じ階層に配置され、前記複数の第1の上層プラグよりも前記板状部に近い前記一方側で、前記板状部からの前記第2の方向の距離を実質的に一定に保って前記板状部に沿って配列される複数の第2の上層プラグと、
前記複数の第3のプラグの上方に配置され、前記板状部からの前記第2の方向の距離を実質的に一定に保って前記複数の第3のプラグにそれぞれ接続される複数の第3の上層プラグと、
前記複数の第3の上層プラグと同じ階層に配置され、前記複数の第3の上層プラグよりも前記板状部に遠い前記一方側で、前記板状部からの前記第2の方向の距離を実質的に一定に保って前記板状部に沿って配列される複数の第4の上層プラグと、を更に備え、
前記複数の第1の上層プラグの前記第2の方向の中心位置と、前記複数の第2の上層プラグの前記第2の方向の中心位置とは、第1の距離離れており、
前記複数の第3の上層プラグの前記第2の方向の中心位置と、前記複数の第4の上層プラグの前記第2の方向の中心位置とは、第2の距離離れており、
前記複数の第1の上層プラグの前記中心位置と、前記複数の第3の上層プラグの前記中心位置とは、前記第1及び第2の距離よりも長い第3の距離離れており、
前記複数の第3のプラグは、
前記第1の方向の位置に応じて、前記板状部に対して前記第2の方向の異なる位置にそれぞれ配置され、
前記複数の第3のプラグのうちの1つの第3のプラグの前記第2の方向の中心位置と、前記複数の第3のピラーのうち前記1つの第3のプラグの接続対象である第3のピラーの前記第2の方向の中心位置とのずれ量は、前記複数の第1のプラグのうち、前記1つの第3のプラグに隣接する1つの第1のプラグの前記第2の方向の中心位置と、前記複数の第1のピラーのうち前記1つの第1のプラグの接続対象である第1のピラーの前記第2の方向の中心位置とのずれ量よりも大きい、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記メモリ領域内における前記板状部の前記一方側の前記複数の第3のピラーよりも前記第2の方向に前記板状部に遠い位置で、前記板状部に沿って配列され、前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第4のピラーと、
前記積層体の上方に配置され、前記複数の第4のピラーにそれぞれ接続されるとともに、前記複数の第4の上層プラグにそれぞれ接続される複数の第4のプラグと、を更に備え、
前記複数の第4のプラグは、
前記第1の方向の位置に応じて、前記板状部に対して前記第2の方向の異なる位置にそれぞれ配置され、
前記複数の第4のプラグのうちの1つの第4のプラグの前記第2の方向の中心位置と、前記複数の第4のピラーのうち前記1つの第4のプラグの接続対象である第4のピラーの前記第2の方向の中心位置とのずれ量は、前記複数の第3のプラグのうち、前記1つの第4のプラグに隣接する前記1つの第3のプラグの前記中心位置と前記1つの第3のプラグの接続対象である前記第3のピラーの前記中心位置とのずれ量と実質的に等しい、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記メモリ領域内における前記板状部の前記一方側の前記複数の第3のピラーよりも前記第2の方向に前記板状部に遠い位置で、前記板状部に沿って配列され、前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第4のピラーと、
前記積層体の上方に配置され、前記複数の第4のピラーにそれぞれ接続されるとともに、前記複数の第4の上層プラグにそれぞれ接続される複数の第4のプラグと、を更に備え、
前記複数の第4のプラグは、
前記第1の方向の位置に応じて、前記板状部に対して前記第2の方向の異なる位置にそれぞれ配置され、
前記複数の第4のプラグのうちの1つの第4のプラグの前記第2の方向の中心位置と、前記複数の第4のピラーのうち前記1つの第4のプラグの接続対象である第4のピラーの前記第2の方向の中心位置とのずれ量は、前記複数の第3のプラグのうち、前記1つの第4のプラグに隣接する前記1つの第3のプラグの前記中心位置と前記1つの第3のプラグの接続対象である前記第3のピラーの前記中心位置とのずれ量よりも小さい、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
複数の導電層と複数の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、前記複数の導電層の積層方向と交差する第1の方向に並んだメモリ領域および階段領域を有する積層体と、
前記積層体内を前記積層方向および前記第1の方向に延び、前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に前記積層体を分割する板状部と、
前記階段領域内における前記積層方向に前記板状部と重なる位置に配置され、前記複数の導電層が前記第1の方向に沿って階段状に加工された第1の階段部と、
前記階段領域内における前記板状部の前記第2の方向の両側にそれぞれ配置され、前記複数の導電層が階段状に加工された構造であって、前記板状部に対して互いを前記第2の方向に反転させた前記構造を有する第2及び第3の階段部と、
前記メモリ領域内における前記板状部の前記第2の方向の一方側で前記板状部に沿って配列され、前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第1のピラーと、
前記メモリ領域内における前記板状部の前記第2の方向の他方側で前記板状部に沿って配列され、前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第2のピラーと、
前記積層体の上方に配置され、前記複数の第1のピラーにそれぞれ接続される複数の第1の下層プラグと、
前記積層体の上方に配置され、前記複数の第2のピラーにそれぞれ接続される複数の第2の下層プラグと、
前記複数の第1の下層プラグの上方に配置され、前記複数の第1の下層プラグにそれぞれ接続される複数の第1の上層プラグと、
前記複数の第2の下層プラグの上方に配置され、前記複数の第2の下層プラグにそれぞれ接続される複数の第2の上層プラグと、を備え、
前記複数の第1の下層プラグの前記第2の方向の中心位置は、
接続対象の前記複数の第1の上層プラグの前記第2の方向の中心位置に対して前記第2の方向の異なる位置にそれぞれ配置され、
前記複数の第2の下層プラグは、
前記複数の第1の下層プラグのそれぞれの配置を前記板状部に対して前記第2の方向に反転させた位置にそれぞれ配置される、
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置は、例えば複数の導電層が積層された構造を有する。このような積層構造中では、製造工程中の応力の発生によって、積層構造中に設けられた構成同士の位置関係に、製品動作上または品質管理上、許容できないずれが生じてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0240547号明細書
【特許文献2】特開2022-037583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、異なる階層に配置される構造間の接続不良を抑制することができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数の導電層と複数の絶縁層とが1層ずつ交互に積層され、前記複数の導電層の積層方向と交差する第1の方向に並んだメモリ領域および階段領域を有する積層体と、前記積層体内を前記積層方向および前記第1の方向に延び、前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に前記積層体を分割する板状部と、前記階段領域内における前記積層方向に前記板状部と重なる位置に配置され、前記複数の導電層が前記第1の方向に沿って階段状に加工された第1の階段部と、前記階段領域内における前記板状部の前記第2の方向の両側にそれぞれ配置され、前記複数の導電層が階段状に加工された構造であって、前記板状部に対して互いを前記第2の方向に反転させた前記構造を有する第2及び第3の階段部と、前記メモリ領域内における前記板状部の前記第2の方向の一方側で前記板状部に沿って配列され、前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第1のピラーと、前記メモリ領域内における前記板状部の前記第2の方向の他方側で前記板状部に沿って配列され、前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第2のピラーと、前記積層体の上方に配置され、前記複数の第1のピラーにそれぞれ接続される複数の第1のプラグと、前記積層体の上方に配置され、前記複数の第2のピラーにそれぞれ接続される複数の第2のプラグと、を備え、前記複数の第1のプラグは、前記第1の方向の位置に応じて、前記板状部に対して前記第2の方向の異なる位置にそれぞれ配置され、前記複数の第2のプラグは、前記複数の第1のプラグのそれぞれの配置を前記板状部に対して前記第2の方向に反転させた位置にそれぞれ配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す図。
【
図2】実施形態1にかかる半導体記憶装置に生じ得る応力を示す説明図。
【
図3】実施形態1にかかる半導体記憶装置のメモリ領域及び選択ゲートコンタクト領域の構成の一例を示す模式図。
【
図4】実施形態1にかかる半導体記憶装置のメモリ領域の構成の一例を示す模式図。
【
図5】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を例示するフロー図。
【
図6】実施形態1の変形例1にかかる半導体記憶装置のメモリ領域の構成の一例を示す模式図。
【
図7】実施形態1の変形例2にかかる半導体記憶装置のメモリ領域の構成の一例を示す模式図。
【
図8】実施形態1の変形例3にかかる半導体記憶装置のメモリ領域の構成の一例を示す模式図。
【
図9】実施形態1の変形例4にかかる半導体記憶装置のメモリ領域の構成の一例を示す模式図。
【
図10】実施形態1の変形例5にかかる半導体記憶装置のメモリ領域の構成の一例を示す模式図。
【
図11】実施形態2にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す図。
【
図12】実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を例示するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0009】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の概略の構成例を示す図である。
図1(a)は半導体記憶装置1のX方向に沿う断面図であり、
図1(b)は半導体記憶装置1のレイアウトを示す模式的な平面図である。ただし、
図1(a)においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。また、
図1(a)においては一部の上層配線が省略されている。
【0010】
なお、本明細書において、X方向およびY方向は共に、後述するワード線WLの面の向きに沿う方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。また、後述するワード線WLの電気的な引き出し方向を第1の方向と呼ぶことがあり、この第1の方向はX方向に沿う方向である。また、第1の方向と交差する方向を第2の方向と呼ぶことがあり、この第2の方向はY方向に沿う方向である。ただし、半導体記憶装置1は製造誤差を含みうるため、第1の方向と第2の方向とは必ずしも直交しない。
【0011】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、基板SB上に、周辺回路CUA、及び積層体LMをこの順に備える。
【0012】
基板SBは、例えばシリコン基板等の半導体基板である。基板SB上にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CUAが配置されている。周辺回路CUAは、後述するメモリセルの動作に寄与する。
【0013】
周辺回路CUAは、酸化シリコン膜等の絶縁膜40で覆われている。絶縁膜40上にはソース線SLが配置されている。ソース線SLの上方には積層体LMが配置されている。積層体LMは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが交互に積層された構造を有している。最上層のワード線WLの更に上層には、絶縁層OLを介して選択ゲート線SGDが配置され、最下層のワード線WLの更に下層には、絶縁層OLを介して選択ゲート線SGSが配置される。
【0014】
ワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSはタングステン層またはモリブデン層等であり、絶縁層OLは酸化シリコン層等である。
【0015】
積層体LMは絶縁膜50に覆われている。絶縁膜50は酸化シリコン膜等である。絶縁膜50は、積層体LMの周囲にも広がっている。
【0016】
積層体LMには、積層体LMを積層方向に貫通し、かつ、X方向に沿う方向に延びる複数の板状コンタクトLIが配置されている。これにより、積層体LMは、複数の板状コンタクトLIによってY方向に分割される。複数の板状コンタクトLIは、例えば下端部でソース線SLと接続されてソース線コンタクトとして機能する。
【0017】
複数の板状コンタクトLIの間には、複数のメモリ領域MR、選択ゲートコンタクト領域SGR、階段領域SR、及び貫通コンタクト領域TPが、互いにX方向に並んで配置されている。Y方向に隣接する板状コンタクトLI間において、メモリ領域MR、選択ゲートコンタクト領域SGR、階段領域SR、及び貫通コンタクト領域TPを含む構成は、例えばフィンガFGRと呼ばれる。
【0018】
Y方向に隣接する2つのフィンガFGRにおいては、X方向の一方側から他方側に向かって、例えばメモリ領域MRs、選択ゲートコンタクト領域SGRs、階段領域SR、貫通コンタクト領域TP、選択ゲートコンタクト領域SGRt、及びメモリ領域MRtがこの順に配置される。これらのフィンガFGRにY方向に隣接する他の2つのフィンガFGRにおいては、X方向の一方側から他方側に向かって、例えばメモリ領域MRt、選択ゲートコンタクト領域SGRt、貫通コンタクト領域TP、階段領域SR、選択ゲートコンタクト領域SGRs、及びメモリ領域MRsがこの順に配置される。
【0019】
したがって、半導体記憶装置1は、Y方向に並ぶ4つのフィンガFGRを最小単位として、この最小単位をY方向に周期的に繰り返すパターンを有する。
【0020】
なお、X方向に並ぶ複数のメモリ領域MR及び複数の選択ゲートコンタクト領域SGRを区別するため、便宜上、貫通コンタクト領域TPを介することなく階段領域SRに隣接するものをメモリ領域MRs及び選択ゲートコンタクト領域SGRsと表記する。また、貫通コンタクト領域TPを介して階段領域SRにX方向に並ぶものをメモリ領域MRt及び選択ゲートコンタクト領域SGRtと表記する。これらを区別しないときは、単にメモリ領域MR及び複数の選択ゲートコンタクト領域SGRと記載する。
【0021】
メモリ領域MRには、積層体LMを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLは、MANOS(Metal-Alumina-Nitride-Oxide-Silicon)構造と呼ばれる多層構造を有しており、ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0022】
階段領域SRは、複数のワード線WLが積層方向に擂り鉢状もしくは渓谷様とも称する形状に掘り下げられた複数の階段部分を含む。階段部分の各段は、各階層のワード線WL等により構成される。各階層のワード線WLは、階段領域SRのY方向片側の部分を介して、階段領域SRを挟んだX方向両側で電気的な導通を保っている。階段部分のうちの階段部SPの各段のテラス部分には、各階層のワード線WLに接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。これらのコンタクトCCは、積層体LMの上層配線等を介して周辺回路CUAに電気的に接続される。
【0023】
これにより、多層に積層されるワード線WLを個々に引き出すことができる。これらのコンタクトCCからは、X方向両側のメモリ領域MR内のメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。
【0024】
なお、本明細書においては、階段状に加工されたワード線WLのテラス面が向いた方向を上方向と規定する。
【0025】
選択ゲートコンタクト領域SGRでは、1つ、または複数の選択ゲート線SGDがX方向に沿って階段状に加工されている。それぞれの選択ゲート線SGDには、コンタクトCCが接続されている。なお、選択ゲート線SGDに接続されるコンタクトCCは、積層体LMのX方向両端部にも配置されてよい。
【0026】
貫通コンタクト領域TPには、積層体LMを貫通する貫通コンタクトC4が配置されている。貫通コンタクトC4は、下方の基板SB上に配置された周辺回路CUAと、階段部SPのコンタクトCCとを接続する。コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、貫通コンタクトC4等を介して周辺回路CUAにより制御される。
【0027】
以上のように構成される半導体記憶装置1には、半導体記憶装置1に含まれる各種構成間に応力が生じうる。
【0028】
図2は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1に生じ得る応力を示す説明図である。
図2(a)は、半導体記憶装置1に生じ得る応力を模式的に示した平面図である。
図2(b)~
図2(e)は、半導体記憶装置1のX方向に異なる位置におけるY方向に沿う断面図である。
【0029】
図2に示すように、半導体記憶装置1には、フィンガFGRごとに、メモリ領域MR、並びに階段領域SRまたは貫通コンタクト領域TPがX方向に並んで配置される。メモリ領域MR、並びに階段領域SRまたは貫通コンタクト領域TPの間には、選択ゲートコンタクト領域SGRが配置される。
【0030】
選択ゲートコンタクト領域SGRでは、1つ、または複数の選択ゲート線SGDがX方向に沿って階段状に加工され、それぞれの選択ゲート線SGDにコンタクトCCが接続されている。階段領域SRは、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが階段状に加工された階段部SPを有しており、それぞれのワード線WL及び選択ゲート線SGSにコンタクトCCが接続されている。
【0031】
また、階段領域SR及び選択ゲートコンタクト領域SGRには柱状部HRが配置されている。柱状部HRは、積層体LMの積層方向に積層体LM内を延びており、後述する半導体記憶装置1の製造工程において積層体LMを支持する。階段領域SRに配置される柱状部HRは、例えば酸化シリコン層等の絶縁層の単体構造を有する。選択ゲートコンタクト領域SGRに配置される柱状部HRは、例えばピラーPLと同様、MANOS構造を備える。
【0032】
また、複数の柱状部HRは、図示はしないが、貫通コンタクト領域TPにも配置されている。貫通コンタクト領域TPに配置される柱状部HRは、選択ゲートコンタクト領域SGRの柱状部HRと同様、例えばMANOS構造を備える。
【0033】
階段領域SRは、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが階段状に加工された階段部分がX方向の両側およびY方向の両側を取り囲む擂り鉢状の形状を有する。つまり、X方向の両側の階段部分は、X方向に互いに対向し、互いの側に向かって下降していく。また、Y方向の両側の階段部分は、Y方向に互いに対向し、互いの側に向かって下降していく。この擂り鉢状の領域には、少なくとも積層体LMの高さ位置まで絶縁膜50が充填されている。
【0034】
X方向の両側の階段部分のうち、メモリ領域MR及び選択ゲートコンタクト領域SGRから離れた側に配置される階段部分は階段部SPを構成している。階段領域SRには、積層体LMの積層方向に重なる位置で階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLIが配置されており、階段部SPもまた、板状コンタクトLIによりY方向に分割されている。このため、1つの階段領域SRは、板状コンタクトLIを挟んでY方向両側に配置される2つの階段部SPを含む。
【0035】
X方向の両側の階段部分のうち、メモリ領域MR及び選択ゲートコンタクト領域SGRに近い側に配置される階段部分は、コンタクトCCが配置されないダミーの階段部である。ダミー階段部は、階段状のワード線WL等により構成された階段部SPよりも狭いテラス面と、階段部SPよりも短い階段長とを有する。
【0036】
ここで、各階段部分の階段長は、それらの階段部分の最上段から最下段までの長さである。また、それらの階段部分の最下段の下方に位置する底面部分を階段長に含めてもよい。
【0037】
Y方向の両側の階段部分は、X方向に階段部SPに対向するダミー階段部と同様、コンタクトCCが配置されないダミーの階段部である。Y方向両側のダミー階段部もまた、階段状のワード線WL等により構成され、階段部SPよりも狭いテラス面と、階段部SPよりも短い階段長とを有する。また、これらのダミー階段部の階段長は、X方向の位置に応じて異なっている。
【0038】
より詳細には、X方向両側の階段部分の上層のワード線WL等が階段状に加工された部分とY方向に並ぶ位置では、Y方向両側のダミー階段部の階段長は短く、X方向両側の階段部分の下層のワード線WL等が階段状に加工された部分とY方向に並ぶ位置では、Y方向両側のダミー階段部の階段長は長い。X方向両側の階段部分の最下層の選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分とY方向に並ぶ位置では、Y方向両側のダミー階段部の階段長は例えば最長となる。
【0039】
したがって、最下層の選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分では、Y方向両側の階段部分におけるY方向の幅が最大となる。
【0040】
また、Y方向に対向するダミー階段部は、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLIによって互いに隔てられている。これらのダミー階段部は、板状コンタクトLIに対して互いをY方向に反転させた構造を有している。つまり、板状コンタクトLIのY方向両側のダミー階段部は、板状コンタクトLIに対して実質的に線対称の構造を有する。
【0041】
なお、本明細書において、実質的に線対称、実質的に直線状、実質的に等しい、実質的に一致、実質的に一定、等の表現を用いた場合には、完全に線対称、直線状、等しい、一致、一定である場合のほか、半導体記憶装置1の製造誤差を許容する程度に、線対称、直線状、等しい、一致、一定である場合を含む。
【0042】
以上のように複数の階段部分が配置されることで、これらの階段部分で囲まれた領域は、なだらかな階段部SPを一方に有し、それ以外の方向に急峻な階段部分を有する擂り鉢状もしくは渓谷様とも称する形状を有する。
【0043】
ここで、積層体LMは、例えば複数のワード線WLに対応する犠牲層および複数の絶縁層OL等を2回に分けて積層した2Tier構造を取る。2Tier構造の積層体LMにおいては、階段部SP及びダミー階段部もまた2段階に分けて形成される。このとき、半導体記憶装置1の機能に寄与しないダミー階段部の階段長を極力短くするため、上下段のダミー階段部は、積層体LMの積層方向に互いに重なり合うように形成される。
【0044】
図2(b)は、階段部SPの最下層のワード線WLまたは選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分のY方向に沿う断面図である。階段部SPの
図2(b)に示す部分は、階段領域SRにおける擂り鉢形状の最深部に相当し、この擂り鉢形状に充填される絶縁膜50の厚さも最大となる。また、擂り鉢形状の最深部は、Y方向両側のダミー階段部のY方向の幅が最大となる部分でもあり、この部分では絶縁膜50の幅も最大となる。
【0045】
ここで、複数の異種層が多層に積層された積層体LMと、比較的大きな体積を有する絶縁膜50との間には、互いに異なる応力が生じうる。また、積層体LMは、例えば窒化シリコン層等の複数の犠牲層と、複数の絶縁層OLとを積層した後、犠牲層を導電層に置き換えてワード線WLとすることにより形成される。積層体LMと絶縁膜50との間に生じる応力は、このような置き換え処理の際に顕著となる。
【0046】
このため、階段部SPの
図2(b)に示す部分では、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLIは、積層体LMの置き換え処理時の応力により、上端部が圧縮され、下端部が膨張したテーパ形状となる傾向にある。一方、この板状コンタクトLIにY方向両側で隣接する板状コンタクトLIは積層体LM中に配置されているため、上端部が膨張し、下端部が圧縮されたテーパ形状となる傾向にある。
【0047】
また、階段部SPの
図2(b)に示す部分では、柱状部HRの上部が、積層体LMの置き換え処理時の応力により、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLIに引っ張られ、この板状コンタクトLI側へと傾いた状態となる傾向にある。一方、コンタクトCCは、例えば積層体LMの置き換え処理後に形成され、積層体LMの置き換え処理時の応力を受けないため、概ね垂直に絶縁膜50中を延びている。
【0048】
なお、
図2(b)においては、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLI近傍の柱状部HRのみを示している。しかし、柱状部HRは、階段領域SR全体に亘って分散して配置されている。
【0049】
図2(c)は、階段部SPの中層のワード線WLが階段状に加工された部分のY方向に沿う断面図である。階段部SPの
図2(c)に示す部分では、階段領域SRにおける擂り鉢形状は階段部SPの
図2(b)に示す部分よりも浅く、擂り鉢形状のY方向の幅は階段部SPの
図2(b)に示す部分よりも狭い。この部分では、絶縁膜50も階段部SPの
図2(b)に示す部分より薄く、かつ、狭くなる。
【0050】
このため、階段部SPの
図2(c)に示す部分では、
図2(b)に示す部分よりも、積層体LMの置き換え処理時に積層体LMと絶縁膜50との間に生じる応力が小さい。この部分では、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLI側への柱状部HRの傾きも、階段部SPの
図2(b)に示す部分の柱状部HRよりは緩和される。
【0051】
なお、
図2(c)においても、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLI近傍の柱状部HRのみを示している。
【0052】
積層体LMの置き換え処理時に積層体LMと絶縁膜50との間に生じる上記のような応力は、メモリ領域MR及び選択ゲートコンタクト領域SGRにも影響を及ぼし得る。
図2(a)に、メモリ領域MR及び選択ゲートコンタクト領域SGRに働く応力の大きさ及び向きを矢印で示す。
【0053】
図2(a)に示すように、貫通コンタクト領域TPを介することなく階段領域SRと隣接するメモリ領域MRs及び選択ゲートコンタクト領域SGRsにおいて、メモリ領域MRs及び選択ゲートコンタクト領域SGRsには、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLI側に向かう応力が働く。また、選択ゲートコンタクト領域SGRsは、メモリ領域MRsよりも階段領域SRに近いため、上記のような応力の影響をより顕著に受ける。また、メモリ領域MRs内においては、階段領域SRに近づくほど、上記のような応力の影響がより顕著に表れる。
【0054】
このため、メモリ領域MRs及び選択ゲートコンタクト領域SGRsにそれぞれ配置されるピラーPL及び柱状部HRもまた、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLI側へと傾く場合がある。
【0055】
図2(d)は、階段領域SR寄りのメモリ領域MRsにおけるY方向に沿う断面図である。
図2(d)に示すように、メモリ領域MR(MRs,MRt)には、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間の積層体LM上層部を複数の選択ゲート線SGDの区画に分離する分離層SHEが、概ねX方向に沿う方向に延びている。分離層SHEは、メモリ領域MR(MRs,MRt)から選択ゲートコンタクト領域SGR(SGRs,SGRt)へと延び、選択ゲートコンタクト領域SGRに隣接する階段領域SRまたは貫通コンタクト領域TPに到達する。
【0056】
また、メモリ領域MRsの
図2(d)に示す部分では、例えば階段領域SRからX方向に離れた部分よりも、積層体LMの置き換え処理時の応力が比較的強く働く。したがって、メモリ領域MRsのこの部分に配置されるピラーPLでは、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLI側への傾きが比較的大きくなる傾向にある。
【0057】
図2(e)は、選択ゲートコンタクト領域SGRsにおけるY方向に沿う断面図である。階段領域SRにX方向に隣接する選択ゲートコンタクト領域SGRsでは、積層体LMの置き換え処理時の応力がいっそう強く働く。したがって、選択ゲートコンタクト領域SGRsに配置される柱状部HRでは、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLI側への傾きがいっそう大きくなる傾向にある。
【0058】
なお、選択ゲートコンタクト領域SGRにおいては、分離層SHEによって積層体LM上層部が複数の選択ゲート線SGDの区画に分離された、それぞれの選択ゲート線SGDの区画に、これらの選択ゲート線SGDに接続されるコンタクトCCが配置される。
【0059】
図2(e)においては、1つの分離層SHEによって分離された区画のそれぞれに配置される幾つかの柱状部HRを示しているが、選択ゲートコンタクト領域SGRにおいても、複数の柱状部HRが全体的に分散して配置されている。
【0060】
また、貫通コンタクト領域TPを介して階段領域SRとX方向に並ぶメモリ領域MR及び選択ゲートコンタクト領域SGR(
図1のメモリ領域MRt及び選択ゲートコンタクト領域SGRt)においても、メモリ領域MRt及び選択ゲートコンタクト領域SGRtには、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLI側に向かう応力が働いている。
【0061】
また、貫通コンタクト領域TPを介する場合でも、選択ゲートコンタクト領域SGRtは、メモリ領域MRtよりも階段領域SRに近いため、上記のような応力の影響がより顕著に表れる。また、メモリ領域MRt内においては、階段領域SRに近づくほど、上記のような応力の影響がより顕著に表れる。
【0062】
したがって、これらのメモリ領域MRt及び選択ゲートコンタクト領域SGRtにおいても、ピラーPL及び柱状部HRは、応力の強度に応じて、つまり、階段領域SRからのX方向の距離に応じて、貫通コンタクト領域TPを介してX方向に並ぶ階段領域SRを分割する板状コンタクトLI側へと傾く傾向にある。
【0063】
ただし、このような応力の影響は、貫通コンタクト領域TPを介さずに階段領域SRとX方向に隣接するメモリ領域MRs及び選択ゲートコンタクト領域SGRsよりも小さい。
【0064】
以上のような応力の影響下にあるメモリ領域MRsの詳細構成を
図3及び
図4に示す。
【0065】
図3は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1のメモリ領域MRs及び選択ゲートコンタクト領域SGRsの構成の一例を示す模式図である。
図3(a)は、ピラーPLの詳細構成を示す断面図である。
図3(b)は、メモリ領域MRsの一部、及び選択ゲートコンタクト領域SGRsの一部を含む上面図である。
【0066】
より具体的には、
図3(b)は、貫通コンタクト領域TPを介することなく、X方向に階段領域SRに隣接するメモリ領域MRs及び選択ゲートコンタクト領域SGRsのフィンガFGRの2つ分の領域を示している。
【0067】
なお、
図3(b)においては、メモリ領域MRsのプラグVYを含む上層構造、及び選択ゲートコンタクト領域SGRのコンタクトCC等が省略されている。また、
図3(b)に示す3つの板状コンタクトLIのうち、メモリ領域MR及び選択ゲートコンタクト領域SGRに隣接する階段領域SRと積層体LMの積層方向に重なり、その階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLIを、中央の板状コンタクトLIとも呼ぶ。
【0068】
図3(a)に示すように、2Tier構造の積層体LMにおいては、ピラーPLもまた2段階に分けて形成される。このため、ピラーPLは、積層体LMの下層部分に配置される下部ピラーLMHと、積層体LMの上層部分に配置され下部ピラーPLと接続される上部ピラーUMHとを備える。
【0069】
ピラーPLの上端部には、積層体LMの上方に配置されるプラグCHが接続される。ピラーPL及びプラグCHは、積層体LMの積層方向から見て、例えば円形、楕円形、または小判形(オーバル形)の形状を有する。
【0070】
積層体LMの積層方向から見たプラグCHの断面積は、例えば積層体LMの積層方向から見たピラーPLの断面積よりも小さく、積層体LMの積層方向から見たプラグCHの形状が、実質的にピラーPLの形状の相似形となっていてもよい。
【0071】
プラグCHには、プラグCHの更に上方に配置されるプラグVYが接続される。プラグVYは、積層体LMの積層方向から見て、例えばピラーPL及びプラグCHよりもY方向に細長い楕円形の形状を有する。また、プラグVYのX方向の中心位置は、例えばピラーPL及びプラグCHのX方向の中心位置に対して若干オフセットされている。
【0072】
ピラーPLは、これらのプラグCH,VYを介して、例えば積層体LMの上層に配置される図示しないビット線BL(
図1参照)に接続される。ピラーPLに形成されるメモリセルが保持するデータは、ビット線BLを介して周辺回路CUAが備えるセンスアンプに読み出される。
【0073】
図3(b)に示すように、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間において、メモリ領域MRsには複数のピラーPLが分散して配置される。複数のピラーPLは、積層体LMの積層方向から見て、例えば千鳥状の配置を取る。
【0074】
ただし、複数のピラーPLは、上述の積層体LMの置き換え処理時に積層体LMと絶縁膜50との間に生じる応力の影響を受けている。このため、設計上、X方向に沿う方向に直線状に並ぶはずの複数のピラーPLの配列は、階段領域SRに近づくほど、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLI側、つまり、中央の板状コンタクトLI側へと近づいていく場合がある。より詳細には、ピラーPLの少なくとも上部ピラーUMHにおいて、階段領域SR側ほど板状コンタクトLI側への傾きが大きくなっていく。
【0075】
これにより、X方向に沿う方向に並ぶ個々のピラーPLのY方向の中心位置は、階段領域SRに近づくほど、中央の板状コンタクトLI側へと段階的に近づいていく。なお、ピラーPLの傾き如何にかかわらず、ピラーPLのY方向の中心位置は、ピラーPL上面のY方向の中心位置を基準に決定されるものとする。また、
図3(b)の上面図において、ピラーPLの配置位置は、その上端部側での位置を示しており、以下の上面図におけるピラーPL及び柱状部HRの配置位置についても同様とする。
【0076】
このような複数のピラーPLの配列は、板状コンタクトLIを挟んでY方向両側に互いを反転させたような配置を取る。つまり、このような複数のピラーPLの配列は、板状コンタクトLIに対して実質的に線対称となっている。
【0077】
なお、
図3(b)においては、複数のピラーPLへの応力影響を強調して示しているため、一部のピラーPL及びプラグCHが板状コンタクトLIに接触して描かれている。しかし、実際の半導体記憶装置1においては、ピラーPL及びプラグCHと板状コンタクトLIとは電気的な導通が生じないよう所定距離を保って配置される。
【0078】
また、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間において、選択ゲートコンタクト領域SGR及び階段領域SRには、複数の柱状部HRが配置される。ここで、
図3(b)においては、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLI、及び積層体LM上層部をY方向に分割する分離層SHEの近傍の柱状部HRのみを示しているが、複数の柱状部HRは、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間において、積層体LMの積層方向から見て、例えばグリッド状または千鳥状に分散された配置を取る。
【0079】
ただし、複数の柱状部HRもまた、上述の積層体LMの置き換え処理時に積層体LMと絶縁膜50との間に生じる応力の影響を受けている。
【0080】
このため、設計上、X方向に沿う方向に直線状に並ぶはずの複数の柱状部HRの配列は、例えば選択ゲートコンタクト領域SGRにおいて、階段領域SRに近づくほど、中央の板状コンタクトLI側へと近づいていく場合がある。より詳細には、柱状部HRの少なくとも上部構造において、階段領域SR側ほど板状コンタクトLI側への傾きが大きくなっていく。
【0081】
このような複数の柱状部HRの配列もまた、板状コンタクトLIを挟んでY方向両側に互いを反転させたような配置を取る。つまり、このような複数の柱状部HRの配列は、板状コンタクトLIに対して実質的に線対称となっている。
【0082】
なお、
図3(b)においては、複数の柱状部HRへの応力影響を強調して示しているため、一部の柱状部HRが板状コンタクトLIに接触して描かれている。しかし、実際の半導体記憶装置1においては、MANOS構造を有する柱状部HRと、板状コンタクトLIとは電気的な導通が生じないよう所定距離を保って配置される。ただし、階段領域SRに配置され絶縁層の単体構造を有する柱状部HRと、板状コンタクトLIとの干渉は、ある程度許容されている。
【0083】
また、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間において、メモリ領域MRおよび選択ゲートコンタクト領域SGRには、積層体LM上層部の選択ゲート線SGDを貫通する分離層SHEが配置されている。
【0084】
分離層SHEは、例えば選択ゲート線SGDを貫通する絶縁層等で構成されており、メモリ領域MRおよび選択ゲートコンタクト領域SGRをX方向に沿う方向に延び、階段領域SRに到達する。このように、分離層SHEは、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間において、積層体LMの最上層の導電層を含む1つ、または複数の導電層を貫通して、これらの導電層を複数の選択ゲート線SGDの区画に分離している。
【0085】
なお、分離層SHEは、一部のピラーPLと、積層体LMの積層方向に重なる位置に配置される場合がある。この場合、これらのピラーPL上にはプラグCH,VY等は接続されず、実効的なメモリセルが形成されない。このため、分離層SHEと重なるピラーPLは、半導体記憶装置1の機能に寄与しないダミーピラーとなる。
【0086】
図4は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1のメモリ領域MRsの構成の一例を示す模式図である。
【0087】
より具体的には、
図4の紙面左側の上下の図面は、
図3(b)に示すメモリ領域MRsの選択ゲートコンタクト領域SGRsからX方向に離れた側の一部拡大上面図であって、中央の板状コンタクトLIを挟んで向かい合う領域を示す。
【0088】
図4の紙面右側の上下の図面は、
図3(b)に示すメモリ領域MRsの選択ゲートコンタクト領域SGRs寄りの一部拡大上面図であって、中央の板状コンタクトLIを挟んで向かい合う領域を示す。
【0089】
上記のように、積層体LMの置き換え処理時にピラーPLが受ける応力影響は、階段領域SRからX方向に離れるほど低減する。
【0090】
図4の紙面左側に示すように、例えばメモリ領域MRsの選択ゲートコンタクト領域SGRs及び階段領域SRからX方向に離れた側においては、複数のピラーPLの配列は、設計したとおり、例えばX方向に沿う方向に実質的に直線状に並ぶ。
【0091】
また、複数のピラーPLにそれぞれ接続されるプラグCHも、設計上、例えばX方向に沿う方向に実質的に直線状に並ぶこととなる。また、設計上、個々のプラグCHの中心位置は、接続対象のピラーPLの中心位置と実質的に一致する。
【0092】
さらに、プラグCHを介して複数のピラーPLにそれぞれ接続されるプラグVYも、設計上、例えばX方向に沿う方向に実質的に直線状に並ぶ。つまり、複数の配列のそれぞれにおいて、複数のプラグVYのそれぞれのY方向の中心位置は、
図4に示す破線で示した直線上に実質的に並ぶこととなる。
【0093】
ここで、複数のプラグVYのY方向の中心位置は2列ごとに、設計上のピラーPLのY方向の中心位置からオフセットされている。
【0094】
つまり、複数のプラグVYの配列のうち、中央の板状コンタクトLIに隣接する2列では、複数のプラグVYのY方向の中心位置は、設計上のピラーPLのY方向の中心位置よりも、板状コンタクトLIに近づく方向にずれている。また、これらのプラグVYのX方向の中心位置は、上述のとおり、設計上のピラーPLのX方向の中心位置に対してオフセットされている。
【0095】
また、複数のプラグVYの配列のうち、中央の板状コンタクトLIから離れた側の2列では、複数のプラグVYのY方向の中心位置は、設計上のピラーPLのY方向の中心位置よりも、板状コンタクトLIから遠ざかる方向にずれている。また、これらのプラグVYのX方向の中心位置は、上述のとおり、設計上のピラーPLのX方向の中心位置に対し、板状コンタクトLIに隣接する2列のプラグVYとは反対方向にオフセットされている。
【0096】
したがって、板状コンタクトLIに対してY方向に隣接する複数のプラグVYのY方向の中心位置と、板状コンタクトLIからY方向に2列目の複数のプラグVYのY方向の中心位置との間の距離は、板状コンタクトLIからY方向に3列目および4列目の複数のプラグVYのY方向の中心位置間の距離と実質的に等しい。
【0097】
一方で、板状コンタクトLIからY方向に2列目および3列目の複数のプラグVYのY方向の中心位置間のY方向の距離は、1列目と2列目、または3列目と4列目のように、Y方向に互いに隣接する他の配列におけるプラグVYのY方向の中心間距離よりも長い。
【0098】
ただし、複数のプラグVYの配列のうち、中央の板状コンタクトLIに近い側の2列と、中央の板状コンタクトLIから離れた側の2列とが、互いからY方向に離れるようにオフセットされていればよく、中央の板状コンタクトLIに近い側の2列間のY方向の距離と、中央の板状コンタクトLIから離れた側の2列間のY方向の距離とが異なっていてもよい。
【0099】
この場合であっても、板状コンタクトLIからY方向に2列目および3列目の複数のプラグVYのY方向の中心位置間は、1列目と2列目、または3列目と4列目の間における複数のプラグVYのY方向の中心位置間のそれぞれよりも、Y方向の距離が長くなる。
【0100】
図4の紙面右側に示すように、メモリ領域MRsの選択ゲートコンタクト領域SGRs寄りに配置されるピラーPLは、応力の影響により、例えば設計通りの直線状の配列を外れて、階段領域SRに近づくほど中央の板状コンタクトLIに近づいている。
【0101】
一方、積層体LMの置き換え処理時の応力影響を受けるピラーPLに対し、プラグCHを介して接続される積層体LM上方のプラグVYには、そのような応力の影響は及ばない。したがって、複数のプラグVYの配列は、選択ゲートコンタクト領域SGRs及び階段領域SR寄りの領域においても、設計したとおり、例えばX方向に沿う方向に実質的に直線状に並ぶ。つまり、複数の配列のそれぞれにおいて、複数のプラグVYのそれぞれのY方向の中心位置は、
図4に示す破線で示した直線上に実質的に並ぶこととなる。
【0102】
これらのプラグVYと同様、積層体LMの上方に配置されるプラグCHもまた、積層体LMの置き換え処理時の応力の影響を受けない。しかし、実施形態1の半導体記憶装置1においては、複数のプラグCHの幾つかが、接続対象のピラーPLに合わせてY方向に調整された配置を有する。
図4の紙面右側には、ピラーPLに合わせてY方向の配置位置が調整されたプラグCH1を示す。
【0103】
図4の紙面右側に示すように、例えば中央の板状コンタクトLIに近づく方向に位置ずれが生じたピラーPLにおいて、それぞれのプラグCH1のY方向の中心位置と、接続対象のピラーPLのY方向の中心位置とは実質的に一致している。これにより、X方向に沿う方向に並ぶ複数のプラグCH1の配列は、階段領域SRに近づくほど、中央の板状コンタクトLI側へと近づいていく。
【0104】
またこれにより、X方向に沿う方向に並ぶ個々のプラグCH1のY方向の中心位置は、階段領域SRに近づくほど、接続対象のプラグVYのY方向の中心位置に対して、板状コンタクトLI側へと段階的に近づく方向にずれていく。
【0105】
また、これらのプラグCH1の配列も、中央の板状コンタクトLIを挟んでY方向両側に互いを反転させたような配置を取る。つまり、複数のプラグCH1の配列は、中央の板状コンタクトLIに対して実質的に線対称となっている。
【0106】
なお、
図4においては、複数のピラーPLへの応力影響を強調して示しているため、一部のプラグVYと、このプラグVYの接続対象ではないピラーPLとが接触して描かれている。しかし、実際の半導体記憶装置1においては、プラグVYと非接続対象のピラーPLとは電気的な導通が生じないよう所定距離を保って配置される。
【0107】
以上のように、複数のプラグCH1のY方向の位置を、接続対象のピラーPLに合わせて調整する場合、例えば階段領域SRに充填される絶縁膜50と、その周囲の積層体LMとの応力シミュレーションに基づいて、複数のプラグCH1のY方向の配置位置を決定することができる。あるいは、半導体記憶装置1の試作品等におけるピラーPLの位置ずれを測定した実測値に基づいて、複数のプラグCH1のY方向の配置位置を決定してもよい。
【0108】
また、
図4においては、階段領域SRに選択ゲートコンタクト領域SGRsを介して隣接するメモリ領域MRsの構成例について説明した。しかし、階段領域SRに選択ゲートコンタクト領域SGRt及び貫通コンタクト領域TPを介して隣接するメモリ領域MRtについても、実施形態1の構成を適用することができる。このようなメモリ領域MRtにおける応力は、
図4に示すメモリ領域MRsよりも小さいため、プラグCH1の補正量も、
図4の例より小さくてよい。
【0109】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、
図5を用いて、実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
図5は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一部を例示するフロー図である。
【0110】
図5に示すように、シリコン基板等の基板SB上に、周辺回路CUA及び下層配線等を形成する(ステップS101)。周辺回路CUA及び下層配線等は絶縁膜40で覆われる。絶縁膜40上にはソース線SLが形成される。
【0111】
次に、ソース線SLの上方に、複数の窒化シリコン層等の犠牲層と複数の絶縁層OLとを交互に積層して下層のONO構造を積層し、1段目の積層体を形成する(ステップS111)。また、1段目の積層体に下層の階段部を形成し、これにより生じた凹部を絶縁膜50で埋め込む(ステップS112)。
【0112】
また、1段目の積層体に、下部ピラーLMH、及び柱状部HRの下部構造である下部柱状部LHRを形成する(ステップS113)。ただし、この段階において、下部ピラーLMH及び下部柱状部LHRはアモルファスシリコン層等の犠牲層で充填されている。
【0113】
次に、1段目の積層体上に、複数の窒化シリコン層等の犠牲層と複数の絶縁層OLとを交互に積層して、上層のONO構造を積層し、2段目の積層体を形成する(ステップS121)。また、2段目の積層体に上層の階段部を形成し、これにより生じた凹部を絶縁膜50で埋め込む(ステップS122)。
【0114】
また、2段目の積層体に、上部ピラーUMH、及び柱状部HRの上部構造である上部柱状部UHRとなるメモリホール及びホールをそれぞれ形成する(ステップS123)。また、これらのメモリホール及びホールを介して、下部ピラーLMH及び下部柱状部LHRに充填される犠牲層を除去する。
【0115】
次に、下部ピラーLMH及び上部ピラーUMH、並びに選択ゲートコンタクト領域SGRの下部柱状部LHR及び上部柱状部UHRにMANOS構造を形成し、ピラーPL及び柱状部HRを形成する(ステップS131)。一方、階段領域SRには、下部柱状部LHR及び上部柱状部UHRに絶縁層が充填された柱状部HRを形成する。
【0116】
次に、2Tier構造の積層体を貫通するスリットST、及び後に貫通コンタクトC4となる貫通孔を形成する(ステップS132)。また、Y方向に隣接するスリットST間で、貫通コンタクトC4が形成されることとなる領域をY方向両側から挟み込むバリア層を形成して、貫通コンタクト領域TPとなる領域を確保する(ステップS133)。
【0117】
次に、スリットSTを介して熱リン酸等の除去液を流入させて、積層体の犠牲層を除去する(ステップS134)。また、スリットSTを介してタングステン等の原料ガスを流入させて、犠牲層が除去された部分に複数のワード線WL等を形成する(ステップS135)。
【0118】
このような置き換え処理により、複数のワード線WLと複数の絶縁層OL等とが交互に積層された2Tier構造の積層体LMが形成される。また、上記のバリア層で挟まれた領域では、犠牲層の除去液およびタングステン等の原料ガスの流入が阻まれる。このため、複数の犠牲層と複数の絶縁層OLとが積層された積層体が維持されて、貫通コンタクト領域TPとなる。
【0119】
また、上記置き換え処理の際、階段領域SRをY方向に分割するスリットSTの上端部が圧縮され、スリットSTのY方向両側のフィンガFGRに属するピラーPL及び柱状部HR等の構成が応力の影響を受けてスリットST側へと傾くことがある。
【0120】
次に、スリットST及び貫通孔内に絶縁層等のライナ層を形成し、更に導電層を充填して、板状コンタクトLI及び貫通コンタクトC4をそれぞれ形成する(ステップS136)。また、メモリ領域MRをX方向に沿う方向に延び、階段領域SRに到達する分離層SHEを形成する(ステップS137)。これにより、積層体LMの上層部分に1つ、または複数の選択ゲート線SGDが形成される。
【0121】
次に、積層体LMの上方の階層に、後にプラグCHとなるホールを形成する(ステップS141)。このとき、位置ずれしたピラーPLの位置に合わせてホールを形成することができる。また、階段領域SR及び選択ゲートコンタクト領域SGRに、後にコンタクトCCとなる複数のコンタクトホールを形成する(ステップS142)。
【0122】
次に、これらのホール及びコンタクトホール内に絶縁層等のライナ層を形成し、更にタングステン等の導電層を充填する。これにより、複数のピラーPLにそれぞれ接続されるプラグCH、及び複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSにそれぞれ接続されるコンタクトCCが形成される(ステップS143)。これらのプラグCHには、位置ずれしたピラーPLに合わせて配置されるプラグCH1が含まれる。
【0123】
次に、プラグCHの更に上方の階層に、プラグCH及びコンタクトCCにそれぞれ接続されるプラグVY,V0を形成する(ステップS144)。また、プラグVYの更に上方の階層に、プラグVYに接続されるビット線BLを形成する(ステップS145)。また、プラグV0の更に上方の階層に、プラグV0に接続される上層配線を形成する(ステップS146)。
【0124】
以上により、実施形態1の半導体記憶装置1が製造される。
【0125】
なお、
図5に示す処理順はあくまで一例であって、適宜変更可能である。例えばステップS112の処理とステップS113の処理とは入れ替え可能であり、ステップS122の処理とステップS123,S131の処理とは入れ替え可能である。ステップS141の処理とステップS142の処理とを入れ替えてもよい。
【0126】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置の製造工程において、積層体中の犠牲層を導電層に置き換えて、導電層と絶縁層とが積層された積層体を形成することがある。この場合、積層体の置き換え処理中に、階段領域に充填された絶縁層とその周辺の積層体との間に応力が生じることがある。
【0127】
これにより、積層体中に形成されたピラー等の構成が応力の影響でY方向に沿う方向にシフトし、積層体の上層に形成されたプラグ等の構成との位置ずれが生じてしまう場合がある。しかしながら、応力による位置ずれを見越してピラーの形成位置を補正すると、ピラーと同じ階層に属し、階段領域のY方向両側に配置される板状コンタクト等とピラーとが干渉してしまう懸念がある。
【0128】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、複数のプラグCH1は、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLIのY方向の一方側に板状コンタクトLIに沿って配列され、X方向の位置に応じて、板状コンタクトLIに対してY方向の異なる位置にそれぞれ配置される。また、板状コンタクトLIのY方向の他方側の複数のプラグCH1は、板状コンタクトLIに沿って配列され、板状コンタクトLIの一方側の複数のプラグCH1のそれぞれの配置を板状コンタクトLIに対してY方向に反転させた位置にそれぞれ配置される。
【0129】
このとき、複数のプラグVYは、板状コンタクトLIからのY方向の距離を実質的に一定に保って板状コンタクトLIに沿って配列される。このため、複数のプラグCH1のY方向の中心位置は、接続対象のプラグVYのY方向の中心位置に対してY方向の異なる位置にそれぞれ配置されることとなる。
【0130】
このように、階段領域SRに埋め込まれた絶縁膜50と、その周囲の積層体LMとの間に生じる応力の影響を受けないプラグCHを、応力影響を受けるピラーPLの配列に合わせて配列することで、プラグCH1とピラーPLとをより確実に接続させることができる。また、このようなプラグCH1により、ピラーPLとプラグVYとをより確実に中継することができる。
【0131】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、複数のプラグCH1のY方向の中心位置は、接続対象のピラーPLのY方向の中心位置と実質的に一致している。このように、複数のプラグCH1の配置位置を、ピラーPLに対して例えば100%に補正することで、プラグCH1とピラーPLとの接続がよりいっそう確実なものとなる。
【0132】
(変形例1)
次に、
図6を用いて、実施形態1の変形例1の半導体記憶装置について説明する。変形例1の半導体記憶装置においては、一部のプラグVYも、接続対象となるプラグCH1に合わせて位置補正されている点が上述の実施形態1とは異なる。
【0133】
図6は、実施形態1の変形例1にかかる半導体記憶装置のメモリ領域MR1sの構成の一例を示す模式図である。
【0134】
より詳細には、
図6(a)は、メモリ領域MR1sの一部、及び選択ゲートコンタクト領域SGRsの一部を含む上面図である。また、上述の
図3(b)においては、半導体記憶装置の上面図を簡略化して示していたが、
図6(a)にはより詳細の上面図を示す。
図6(b)は、
図6(a)に示すメモリ領域MR1sの選択ゲートコンタクト領域SGRs寄りの一部拡大上面図である。
図6(c)は、ピラーPLの詳細構成を示す断面図である。
【0135】
図6(a)(b)もまた、貫通コンタクト領域TPを介することなく、X方向に階段領域SRに隣接するメモリ領域MR1s及び選択ゲートコンタクト領域SGRsを示しており、
図6(a)は、フィンガFGRの1つ分の領域を示している。すなわち、
図6(a)(b)の紙面右側に階段領域SRが配置される。
【0136】
なお、
図6(a)においては、メモリ領域MR1sのプラグVYを含む上層構造、及び選択ゲートコンタクト領域SGRsのコンタクトCCが省略されている。また、
図6(a)の例に示される2つの板状コンタクトLIのうち、紙面下側が、階段領域SRをY方向に分割する中央の板状コンタクトLIである。
図6(b)は、上述の
図4の紙面右上に示した図面と対応する図である。
図6(b)においては、メモリ領域MR1sのピラーPL及びプラグCH1,VY1のみを示している。
【0137】
図6(c)に示すように、変形例1の半導体記憶装置においても、上述の実施形態1と同様、ピラーPLにはプラグCHが接続され、プラグCHには、中心位置がX方向に若干オフセットしたプラグVYが接続されている。
【0138】
図6(a)に示すように、より詳細な構成例として、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間の領域には、X方向に沿う方向に配列するピラーPLが24列含まれている。また、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間の領域では、積層体LMの最上層の導電層を含む1つ、または複数の導電層が、4つの分離層SHEによって、5つの選択ゲート線SGDの区画に分離される。
【0139】
また、24列のピラーPLの配列のうち、5列ごとに分離層SHEが重なるように配置されてダミーピラーとなっている。このため、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間には、論理構成としては20列のピラーPLの配列が含まれることとなる。
【0140】
なお、以上のようなメモリ領域MR1sにおけるピラーPLの配列、及びメモリ領域MR1s及び選択ゲートコンタクト領域SGRsにおける分離層SHEの配置等は、貫通コンタクト領域TPに隣接するメモリ領域MR及び選択ゲートコンタクト領域SGRにおいても同様に構成される。
【0141】
変形例1の半導体記憶装置においても、上述の実施形態1と同様、階段領域SRに近づくほど、X方向に沿う方向に並ぶピラーPLのY方向の中心位置は、中央の板状コンタクトLIに近づいていく。また、プラグCH1は、Y方向の中心位置がピラーPLのY方向の中心位置と実質的に一致するよう、例えばピラーPLに対して100%に補正されている。
【0142】
一方、変形例1の半導体記憶装置においては、上述の実施形態1と異なり、複数のプラグVYの幾つかは、接続対象のプラグCHに合わせてY方向に調整された配置を有している。
図6(b)には、ピラーPLに対して位置補正されたプラグCH1に合わせて、Y方向の配置位置が調整されたプラグVY1を示す。
【0143】
図6(b)に示すように、例えば板状コンタクトLIに近づく方向に位置補正されたプラグCH1上において、それぞれのプラグVY1のY方向の中心位置は、接続対象のプラグCH1のY方向の中心位置に対応して変化する。これにより、これらのプラグCH1,VY1のY方向の中心位置は、実質的に設計上の位置関係を保っている。また、X方向に沿う方向に並ぶ複数のプラグVY1の配列は、階段領域SRに近づくほど、中央の板状コンタクトLI側へと近づいていく。
【0144】
また、このような複数のプラグVY1の配列も、中央の板状コンタクトLIを挟んでY方向両側に互いを反転させたような配置を取る。つまり、このような複数のプラグVY1の配列は、中央の板状コンタクトLIに対して実質的に線対称となっている。
【0145】
なお、このように位置補正されたプラグVY1においても、X方向に沿う方向に並ぶ複数のプラグVY1の配列間の位置関係は保たれている。
【0146】
すなわち、板状コンタクトLIからY方向に1列目および2列目の複数のプラグVY1のY方向の中心位置間のY方向の距離は、板状コンタクトLIからY方向に3列目および4列目の複数のプラグVY1のY方向の中心位置間のY方向の距離と実質的に等しい。
【0147】
一方で、板状コンタクトLIからY方向に2列目および3列目の複数のプラグVY1のY方向の中心位置間のY方向の距離は、1列目と2列目、または3列目と4列目のように、Y方向に隣接する他の配列におけるこれらのプラグVY1のY方向の中心位置間のY方向の距離よりも長い。
【0148】
なお、
図6においては、階段領域SRに選択ゲートコンタクト領域SGRsを介して隣接するメモリ領域MR1sの構成例について説明した。しかし、階段領域SRに選択ゲートコンタクト領域SGRt及び貫通コンタクト領域TPを介して隣接するメモリ領域MRについても、変形例1の構成を適用することができる。このようなメモリ領域MRにおける応力は、
図6に示すメモリ領域MR1sよりも小さいため、プラグCH1,VY1の補正量も、
図6の例より小さくてよい。
【0149】
変形例1の半導体記憶装置によれば、複数のプラグVY1のY方向の中心位置は、接続対象のプラグCH1の中心位置に対応して変化する。このように、階段領域SRに埋め込まれた絶縁膜50と、その周囲の積層体LMとの間に生じる応力の影響を受けないプラグVYを、ピラーPLに対して位置補正されたプラグCH1に合わせて配列することで、プラグCH1,VY1間の接続もより確実なものとすることができる。
【0150】
変形例1の半導体記憶装置によれば、その他、実施形態1の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0151】
(変形例2)
上述の変形例1においては、位置ずれが生じたピラーPLに対し、プラグCH1,VY1の配置位置を共に100%に補正することで、ピラーPL及びプラグCH1,VY1間の接続をより確実なものとした。
【0152】
しかし、ピラーPLに対するプラグCHの位置補正を100%未満とすることによっても、ピラーPLとプラグVYとをより確実に中継することが可能なプラグCHの構成を得ることができる。
【0153】
次に、
図7を用いて、実施形態1の変形例2の半導体記憶装置について説明する。変形例2の半導体記憶装置は、一部のプラグCHの配置位置が、接続対象となるピラーPLに対して50%に補正されている点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0154】
図7は、実施形態1の変形例2にかかる半導体記憶装置のメモリ領域MR2sの構成の一例を示す模式図である。
【0155】
より詳細には、
図7(a)は、メモリ領域MR2sの一部、及び選択ゲートコンタクト領域SGRsの一部を含む上面図である。
図7(b)は、
図7(a)に示すメモリ領域MR2sの選択ゲートコンタクト領域SGRs寄りの一部拡大上面図である。
図7(c)は、ピラーPLの詳細構成を示す断面図である。
【0156】
図7(a)(b)もまた、貫通コンタクト領域TPを介することなく、X方向に階段領域SRに隣接するメモリ領域MR2s及び選択ゲートコンタクト領域SGRsのフィンガFGRの1つ分の領域を示している。また、
図7(a)に示す2つの板状コンタクトLIのうち、紙面下側の板状コンタクトLIが階段領域SRと重なる中央の板状コンタクトLIである。
【0157】
なお、
図7(a)においては、メモリ領域MR2sのプラグVYを含む上層構造、及び選択ゲートコンタクト領域SGRsのコンタクトCCが省略されている。
図7(b)においては、メモリ領域MR2sのピラーPL及びプラグCH5,VYのみを示している。
図7(b)は、上述の
図4の紙面右上に示した図面と対応する図である。
【0158】
図7(c)に示すように、変形例2の半導体記憶装置においても、上述の実施形態1と同様、ピラーPLにはプラグCHが接続され、プラグCHには、中心位置がX方向に若干オフセットしたプラグVYが接続されている。
【0159】
図7(a)に示すように、変形例2の半導体記憶装置においても、上述の実施形態1と同様、階段領域SRに近づくほど、X方向に沿う方向に並ぶピラーPLのY方向の中心位置は、中央の板状コンタクトLIに近づいていく。
【0160】
一方、変形例2の半導体記憶装置においては、上述の実施形態1と異なり、複数のプラグCHは、接続対象のピラーPLに対するY方向の位置が50%に補正されたプラグCH5を含む。
図7(b)には、ピラーPLに合わせてY方向の配置位置が50%に補正されたプラグCH5を示す。
【0161】
図7(b)に示すように、例えば板状コンタクトLIに近づく方向に位置ずれが生じたピラーPLにおいて、それぞれのプラグCH5のY方向の中心位置は、接続対象のピラーPLのY方向の中心位置に対して完全には一致しておらず、例えば50%に補正されている。これにより、複数のプラグCH5のY方向の中心位置は、階段領域SRに近づくほど、接続対象のピラーPLのY方向の中心位置に対して板状コンタクトLIからY方向に遠ざかる方向にずれていく。
【0162】
ただし、この場合においても、X方向に沿う方向に並ぶ複数のプラグCH5の配列は、階段領域SRに近づくほど、中央の板状コンタクトLI側へと近づいている。また、このような複数のプラグCH5の配列も、中央の板状コンタクトLIを挟んでY方向両側に互いを反転させたような配置を取る。
【0163】
変形例2の半導体記憶装置において、複数のプラグVYのX方向およびY方向の配置位置は、上述の実施形態1と同様である。
【0164】
なお、
図7においては、階段領域SRに選択ゲートコンタクト領域SGRsを介して隣接するメモリ領域MR2sの構成例について説明した。しかし、階段領域SRに選択ゲートコンタクト領域SGRt及び貫通コンタクト領域TPを介して隣接するメモリ領域MRについても、変形例2の構成を適用することができる。このようなメモリ領域MRにおける応力は、
図7に示すメモリ領域MR2sよりも小さいため、プラグCH5の補正量も、
図7の例より小さくてよい。
【0165】
変形例2の半導体記憶装置によれば、複数のプラグCH5のY方向の中心位置は、階段領域SRに近いほど、接続対象のピラーPLのY方向の中心位置に対して板状コンタクトLIからY方向に遠ざかる方向にずれていく。
【0166】
このように、複数のプラグCH5の配置位置をピラーPLに対して完全に合わせ込まないことにより、ピラーPLとプラグVYとの両方に対して、より確実にプラグCH5を接続することができる。
【0167】
変形例2の半導体記憶装置によれば、その他、実施形態1の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0168】
(変形例3)
次に、
図8を用いて、実施形態1の変形例3の半導体記憶装置について説明する。変形例3の半導体記憶装置においては、X方向に沿う方向に並ぶ複数のプラグCHの配列の列位置に応じて、ピラーPLに対する位置補正の量を異ならせている点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0169】
図8は、実施形態1の変形例3にかかる半導体記憶装置のメモリ領域MR3sの構成の一例を示す模式図である。
【0170】
より詳細には、
図8(a)は、メモリ領域MR3sの一部、及び選択ゲートコンタクト領域SGRsの一部を含む上面図である。
図8(b)は、
図8(a)に示すメモリ領域MR3sの選択ゲートコンタクト領域SGRs寄りの一部拡大上面図である。
図8(c)は、ピラーPLの詳細構成を示す断面図である。
【0171】
図8(a)(b)もまた、貫通コンタクト領域TPを介することなく、X方向に階段領域SRに隣接するメモリ領域MR3s及び選択ゲートコンタクト領域SGRsのフィンガFGRの1つ分の領域を示している。また、
図8(a)に示す2つの板状コンタクトLIのうち、紙面下側の板状コンタクトLIが階段領域SRと重なる中央の板状コンタクトLIである。
【0172】
なお、
図8(a)においては、メモリ領域MR3sのプラグVYを含む上層構造、及び選択ゲートコンタクト領域SGRsのコンタクトCCが省略されている。
図8(b)においては、メモリ領域MR3sのピラーPL及びプラグCH1,CH5,VYのみを示している。
図8(b)は、上述の
図4の紙面右上に示した図面と対応する図である。
【0173】
図8(c)に示すように、変形例3の半導体記憶装置においても、上述の実施形態1と同様、ピラーPLにはプラグCHが接続され、プラグCHには、中心位置がX方向に若干オフセットしたプラグVYが接続されている。
【0174】
図8(a)に示すように、変形例3の半導体記憶装置においても、上述の実施形態1と同様、階段領域SRに近づくほど、X方向に沿う方向に並ぶピラーPLのY方向の中心位置は、階段領域SRをY方向に分割する中央の板状コンタクトLIに近づいていく。
【0175】
一方、変形例3の半導体記憶装置においては、X方向に沿う方向に並ぶ複数のプラグCHの配列のうち、幾つかの列においては、接続対象のピラーPLに対してプラグCHの配置位置が50%に補正され、他の幾つかの列においては、100%に補正される。
【0176】
より具体的には、中央の板状コンタクトLIから1列目および2列目のプラグCH1の配置位置は、ピラーPLに対して100%に補正されている。また、中央の板状コンタクトLIから3列目および4列目のプラグCH5の配置位置は、ピラーPLに対して50%に補正されている。これ以降、このようなプラグCH1,CH5の配置位置が周期的に繰り返される。
【0177】
つまり、板状コンタクトLIから5列目のダミーピラーを飛ばして、6列目および7列目のプラグCHの配置位置は、ピラーPLに対して100%に補正され、8列目および9列目のプラグCHの配置位置は、ピラーPLに対して50%に補正される。
【0178】
また、板状コンタクトLIから10列目のダミーピラーを飛ばして、11列目および12列目のプラグCHの配置位置は、ピラーPLに対して100%に補正され、13列目および14列目のプラグCHの配置位置は、ピラーPLに対して50%に補正される。
【0179】
このようなプラグCH1,CH5の周期的な配置は、中央の板状コンタクトLIを挟んでY方向の反対側でも同様に繰り返される。つまり、中央の板状コンタクトLIを挟んだY方向反対側では、上記のプラグCH1,CH5の周期的な配置が反転されて繰り返される。
【0180】
図8(b)に示すように、プラグCH1,CH5の上記配置により、ピラーPLに対するプラグCH1,CH5の補正値が切り替わる2列目と3列目、7列目と8列目、12列目と13列目等においては、プラグCH1,CH5と、それぞれの接続対象のピラーPLとのずれ量も異なる。また、変形例3の半導体記憶装置において、複数のプラグVYのX方向およびY方向の配置位置は、上述の実施形態1と同様である。したがって、2列目と3列目、7列目と8列目、12列目と13列目等においては、プラグVYのY方向の中心位置におけるオフセットの方向も切り替わる。
【0181】
すなわち、ピラーPLに対する補正値がいずれも50%である3列目、4列目、8列目、9列目、13列目、及び14列目等におけるプラグCH5とピラーPLとのY方向の中心位置のずれ量は、これらのプラグCH5よりもピラーPLに対する補正値が大きい1列目、2列目、6列目、7列目、11列目、及び12列目等におけるプラグCH1とピラーPLとのY方向の中心位置のずれ量よりも、ピラーPLに対して板状コンタクトLIから遠ざかる方向に大きくなる。
【0182】
また、ピラーPLに対する補正値がいずれも100%である1列目、2列目、6列目、7列目、11列目、及び12列目等において、プラグCH1のY方向の中心位置は、それぞれの接続対象のプラグVYのY方向の中心位置に対し、X方向に沿って実質的に等しいずれ量で板状コンタクトLIに近づく方向に段階的にずれていく。
【0183】
また、ピラーPLに対する補正値がいずれも50%である3列目、4列目、8列目、9列目、13列目、及び14列目等においても、プラグCH5のY方向の中心位置は、それぞれの接続対象のプラグVYのY方向の中心位置に対し、X方向に沿って実質的に等しいずれ量で板状コンタクトLIに近づく方向に段階的にずれていく。
【0184】
ただし、プラグCH5の中心位置がプラグVYの中心位置に対し段階的にずれていくときの各ずれ量は、プラグCH1の中心位置がプラグVYの中心位置に対し段階的にずれていくときの各ずれ量よりも小さい。
【0185】
一方で、3列目、4列目、8列目、9列目、13列目、及び14列目等におけるプラグVYのY方向の中心位置と、1列目、2列目、6列目、7列目、11列目、及び12列目等におけるプラグVYのY方向の中心位置とは、ピラーPL及びプラグCHの設計上のY方向の中心位置に対して互いにY方向反対側にずれている。
【0186】
このため、3列目、4列目、8列目、9列目、13列目、及び14列目等におけるプラグCH5とプラグVYとのY方向の中心位置のずれ量と、1列目、2列目、6列目、7列目、11列目、及び12列目等におけるプラグCH1とプラグVYとのY方向の中心位置のずれ量との大小関係については一概には言えない。
【0187】
なお、
図8においては、階段領域SRに選択ゲートコンタクト領域SGRsを介して隣接するメモリ領域MR3sの構成例について説明した。しかし、階段領域SRに選択ゲートコンタクト領域SGRt及び貫通コンタクト領域TPを介して隣接するメモリ領域MRについても、変形例3の構成を適用することができる。このようなメモリ領域MRにおける応力は、
図8に示すメモリ領域MR3sよりも小さいため、プラグCH1,CH5の補正量も、
図8の例より小さくてよい。
【0188】
変形例3の半導体記憶装置によれば、1列目、2列目、6列目、7列目、11列目、及び12列目等において、ピラーPLに対するプラグCH1の配置位置は100%に補正され、3列目、4列目、8列目、9列目、13列目、及び14列目等において、ピラーPLに対するプラグCH5の配置位置は50%に補正される。
【0189】
上述のように、1列目、2列目、6列目、7列目、11列目、及び12列目等と、3列目、4列目、8列目、9列目、13列目、及び14列目等とでは、ピラーPL及びプラグCHの設計上のY方向の中心位置に対し、プラグVYのY方向の中心位置が互いにY方向反対側にずれている。
【0190】
プラグVYのY方向の中心位置が、ピラーPL及びプラグCHの設計上のY方向の中心位置より板状コンタクトLIに近づく方向にずれる1列目、2列目、6列目、7列目、11列目、及び12列目等においては、ピラーPLのY方向における位置ずれと、プラグVYのY方向におけるオフセットの方向が一致している。このため、板状コンタクトLIに近づく方向に位置ずれしたピラーPLにおいて、プラグVYとの位置ずれ量は比較的小さい。
【0191】
このように、プラグVYとの位置ずれ量が小さい傾向にある1列目、2列目、6列目、7列目、11列目、及び12列目等において、ピラーPLに対するプラグCH1の配置位置を100%補正とすることで、プラグVYとの接続を維持しつつ、より確実にプラグCH1をピラーPLに接続することができる。
【0192】
また、プラグVYのY方向の中心位置が、ピラーPL及びプラグCHの設計上のY方向の中心位置より板状コンタクトLIから離れる方向にずれる3列目、4列目、8列目、9列目、13列目、及び14列目等においては、ピラーPLのY方向における位置ずれと、プラグVYのY方向におけるオフセットの方向が反対向きとなっている。このため、板状コンタクトLIに近づく方向に位置ずれしたピラーPLにおいて、プラグVYとの位置ずれ量は比較的大きい。
【0193】
このように、プラグVYとの位置ずれ量が大きい傾向にある3列目、4列目、8列目、9列目、13列目、及び14列目等において、ピラーPLに対するプラグCH5の配置位置を50%補正に留めることで、プラグVYとの接続を維持しつつ、より確実にプラグCH5をピラーPLに接続することができる。
【0194】
変形例3の半導体記憶装置によれば、その他、実施形態1の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0195】
(変形例4)
次に、
図9を用いて、実施形態1の変形例4の半導体記憶装置について説明する。変形例4の半導体記憶装置においては、X方向に沿う方向に並ぶ複数のプラグCHの配列の列位置ごとに、ピラーPLに対する位置補正の量を更に細かく異ならせている点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0196】
図9は、実施形態1の変形例4にかかる半導体記憶装置のメモリ領域MR4sの構成の一例を示す模式図である。
【0197】
より詳細には、
図9(a)は、メモリ領域MR4sの一部、及び選択ゲートコンタクト領域SGRsの一部を含む上面図である。
図9(b)は、
図9(a)に示すメモリ領域MR4sの選択ゲートコンタクト領域SGRs寄りの一部拡大上面図である。
図9(c)は、ピラーPLの詳細構成を示す断面図である。
【0198】
図9(a)(b)もまた、貫通コンタクト領域TPを介することなく、X方向に階段領域SRに隣接するメモリ領域MR4s及び選択ゲートコンタクト領域SGRsのフィンガFGRの1つ分の領域を示している。また、
図9(a)に示す2つの板状コンタクトLIのうち、紙面下側の板状コンタクトLIが階段領域SRと重なる中央の板状コンタクトLIである。
【0199】
なお、
図9(a)においては、メモリ領域MR4sのプラグVYを含む上層構造、及び選択ゲートコンタクト領域SGRsのコンタクトCCが省略されている。
図9(b)においては、メモリ領域MR4sのピラーPL及びプラグCH1,CH7,CH5,CH2,VYのみを示している。
図9(b)は、上述の
図4の紙面右上に示した図面と対応する図である。
【0200】
図9(c)に示すように、変形例4の半導体記憶装置においても、上述の実施形態1と同様、ピラーPLにはプラグCHが接続され、プラグCHには、中心位置がX方向に若干オフセットしたプラグVYが接続されている。
【0201】
図9(a)に示すように、変形例4の半導体記憶装置においても、上述の実施形態1と同様、階段領域SRに近づくほど、X方向に沿う方向に並ぶピラーPLのY方向の中心位置は、中央の板状コンタクトLIに近づいていく。
【0202】
一方、変形例4の半導体記憶装置においては、X方向に沿う方向に並ぶ複数のプラグCHの配列ごとに、接続対象のピラーPLに対するプラグCHの配置位置が、100%、75%、50%、25%に補正される。
【0203】
より具体的には、中央の板状コンタクトLIから1列目のプラグCH1の配置位置は、ピラーPLに対して100%に補正されている。また、中央の板状コンタクトLIから2列目のプラグCH7の配置位置は、ピラーPLに対して75%に補正されている。また、中央の板状コンタクトLIから3列目のプラグCH5の配置位置は、ピラーPLに対して50%に補正されている。また、中央の板状コンタクトLIから4列目のプラグCH2の配置位置は、ピラーPLに対して25%に補正されている。これ以降、このようなプラグCH1,CH7,CH5,CH2の配置位置が周期的に繰り返される。
【0204】
つまり、板状コンタクトLIから5列目のダミーピラーを飛ばして、6~9列目のプラグCH(CH1,CH7,CH5,CH2)の配置位置は、ピラーPLに対してそれぞれ100%、75%、50%、及び25%に補正される。
【0205】
また、板状コンタクトLIから10列目のダミーピラーを飛ばして、11~14列目のプラグCH(CH1,CH7,CH5,CH2)の配置位置は、ピラーPLに対してそれぞれ100%、75%、50%、及び25%に補正される。
【0206】
このようなプラグCH1,CH7,CH5,CH2の周期的な配置は、中央の板状コンタクトLIを挟んでY方向反対側でも同様に繰り返される。つまり、板状コンタクトLIを挟んだY方向反対側では、上記のプラグCH1,CH7,CH5,CH2の周期的な配置が反転されて繰り返される。
【0207】
図9(b)に示すように、プラグCH1,CH7,CH5,CH2の上記配置により、プラグCH1,CH7,CH5,CH2と、それぞれの接続対象のピラーPLとのずれ量が異なる。また、変形例4の半導体記憶装置において、複数のプラグVYのX方向およびY方向の配置位置は、上述の実施形態1と同様であり、プラグCH1,CH7,CH5,CH2と、それぞれの接続対象のプラグVYとのずれ量も異なる。
【0208】
すなわち、ピラーPLに対する補正値がいずれも75%である2列目、7列目、及び12列目等におけるプラグCH7とピラーPLとのY方向の中心位置のずれ量は、これらのプラグCH7よりもピラーPLに対する補正値が大きい1列目、6列目、及び11列目等におけるプラグCH1とピラーPLとのY方向の中心位置のずれ量よりも、ピラーPLに対して板状コンタクトLIから遠ざかる方向に大きくなる。
【0209】
また、ピラーPLに対する補正値がいずれも50%である3列目、8列目、及び13列目等におけるプラグCH5とピラーPLとのY方向の中心位置のずれ量は、これらのプラグCH5よりもピラーPLに対する補正値が大きい2列目、7列目、及び12列目等におけるプラグCH7とピラーPLとのY方向の中心位置のずれ量よりも、ピラーPLに対して板状コンタクトLIから遠ざかる方向に大きくなる。
【0210】
さらに、ピラーPLに対する補正値がいずれも25%である4列目、9列目、及び14列目等におけるプラグCH2とピラーPLとのY方向の中心位置のずれ量は、これらのプラグCH2よりもピラーPLに対する補正値が大きい3列目、8列目、及び13列目等におけるプラグCH5とピラーPLとのY方向の中心位置のずれ量よりも、ピラーPLに対して板状コンタクトLIから遠ざかる方向に大きくなる。
【0211】
また、ピラーPLに対する補正値がいずれも100%である1列目、6列目、及び11列目等において、プラグCH1のY方向の中心位置は、それぞれの接続対象のプラグVYのY方向の中心位置に対し、X方向に沿って実質的に等しいずれ量で板状コンタクトLIに近づく方向に段階的にずれていく。
【0212】
同様に、ピラーPLに対する補正値がいずれも75%である2列目、7列目、及び12列目等において、プラグCH7のY方向の中心位置は、それぞれの接続対象のプラグVYのY方向の中心位置に対し、X方向に沿って実質的に等しいずれ量で板状コンタクトLIに近づく方向に段階的にずれていく。
【0213】
同様に、ピラーPLに対する補正値がいずれも50%である3列目、8列目、及び13列目等において、プラグCH5のY方向の中心位置は、それぞれの接続対象のプラグVYのY方向の中心位置に対し、X方向に沿って実質的に等しいずれ量で板状コンタクトLIに近づく方向に段階的にずれていく。
【0214】
同様に、ピラーPLに対する補正値がいずれも25%である4列目、9列目、及び14列目等において、プラグCH2のY方向の中心位置は、それぞれの接続対象のプラグVYのY方向の中心位置に対し、X方向に沿って実質的に等しいずれ量で板状コンタクトLIに近づく方向に段階的にずれていく。
【0215】
一方で、2列目、7列目、及び12列目等におけるプラグCH7とプラグVYとのY方向の中心位置のずれ量は、これらのプラグCH7よりもピラーPLに対する補正値が大きい1列目、6列目、及び11列目等におけるプラグCH1とプラグVYとのY方向の中心位置のずれ量よりも小さくなる。
【0216】
また、4列目、9列目、及び14列目等におけるプラグCH2とプラグVYとのY方向の中心位置のずれ量は、これらのプラグCH2よりもピラーPLに対する補正値が大きい3列目、8列目、及び13列目等におけるプラグCH5とプラグVYとのY方向の中心位置のずれ量よりも小さくなる。
【0217】
一方で、3列目、8列目、及び13列目等におけるプラグVYのY方向の中心位置と、2列目、7列目、及び12列目等におけるプラグVYのY方向の中心位置とは、ピラーPL及びプラグCHの設計上のY方向の中心位置に対して互いにY方向反対側にずれている。
【0218】
このため、3列目、8列目、及び13列目等におけるプラグCH5とプラグVYとのY方向の中心位置のずれ量と、2列目、7列目、及び12列目等におけるプラグCH7とプラグVYとのY方向の中心位置のずれ量との大小関係については一概には言えない。
【0219】
なお、
図9においては、階段領域SRに選択ゲートコンタクト領域SGRsを介して隣接するメモリ領域MR4sの構成例について説明した。しかし、階段領域SRに選択ゲートコンタクト領域SGRt及び貫通コンタクト領域TPを介して隣接するメモリ領域MRについても、変形例4の構成を適用することができる。このようなメモリ領域MRにおける応力は、
図9に示すメモリ領域MR4sよりも小さいため、プラグCH1,CH2,CH5,CH7の補正量も、
図9の例より小さくてよい。
【0220】
変形例4の半導体記憶装置によれば、X方向に沿う方向に並ぶプラグCH1,CH7,CH5,CH2の配列ごとに、ピラーPLに対する補正量を異ならせる。
【0221】
プラグVYのY方向の中心位置が、ピラーPL及びプラグCHの設計上のY方向の中心位置より板状コンタクトLIに近づく方向にずれる1列目、2列目、6列目、7列目、11列目、及び12列目等において、ピラーPLに対するプラグCH1,CH7の配置位置を100%補正または75%補正と、比較的大きな補正値で補正することで、ピラーPLとプラグVYとの両方に対して、より確実にプラグCH1,CH7を接続することができる。
【0222】
プラグVYのY方向の中心位置が、ピラーPL及びプラグCHの設計上のY方向の中心位置より板状コンタクトLIから離れる方向にずれる3列目、4列目、8列目、9列目、13列目、及び14列目等において、ピラーPLに対するプラグCH5,CH2の配置位置を50%補正または25%補正と、比較的小さな補正値で補正することで、ピラーPLとプラグVYとの両方に対して、より確実にプラグCH5,CH2を接続することができる。
【0223】
また、プラグCH1,CH7,CH5,CH2の配列ごとに補正量を細かく異ならせることで、プラグCH1,CH7,CH5,CH2の配列の規則性が担保されやすくなる。したがって、これらのプラグCH1,CH7,CH5,CH2となるホールを形成する際の寸法精度等を高めることができる。
【0224】
変形例4の半導体記憶装置によれば、その他、実施形態1の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0225】
(変形例5)
次に、
図10を用いて、実施形態1の変形例5の半導体記憶装置2について説明する。変形例5の半導体記憶装置2においては、階段領域SRに近づくほど、板状コンタクトLI寄りに位置ずれしていくピラーPLに合わせて、分離層SHEcの位置が補正されている点が上述の実施形態1とは異なる。
【0226】
図10は、実施形態1の変形例5にかかる半導体記憶装置2のメモリ領域MRの構成の一例を示す模式図である。
【0227】
より詳細には、
図10は、メモリ領域MRの一部、選択ゲートコンタクト領域SGR、並びに階段領域SR及び貫通コンタクト領域TPの一部を含む上面図である。つまり、
図10は、階段領域SRを有する2つのフィンガFGRと、貫通コンタクト領域TPを有する2つのフィンガFGRとの4つのフィンガFGR部分の一部領域を示している。
【0228】
なお、
図10においては、ピラーPL、板状コンタクトLI、及びコンタクトCC等に接続されるプラグを含む上層構造が省略されている。ただし、変形例5の半導体記憶装置2は、上述の実施形態1及び変形例1~4のいずれかのプラグCH,CH1,CH2,CH5,CH7及びプラグVY,VY1を備える。
【0229】
すなわち、変形例5の半導体記憶装置2においても、位置ずれしたピラーPLに合わせて一部のプラグCHの位置が補正されている。また、変形例5の半導体記憶装置2において、一部のプラグVYがピラーPL及びプラグCHに合わせて位置補正されていてもよい。
【0230】
図10に示すように、変形例5の半導体記憶装置2においても、上述の実施形態1と同様、階段領域SRに近づくほど、X方向に沿う方向に並ぶピラーPLのY方向の配置位置は、中央の板状コンタクトLIに近づいていく。
【0231】
また、半導体記憶装置2の選択ゲートコンタクト領域SGR及び階段領域SRにおいても、上述の実施形態1と同様、X方向に沿う方向に並ぶ柱状部HRのY方向の配置位置は、これらの柱状部HRのX方向における位置に応じて変化する。
【0232】
一方、変形例5の半導体記憶装置2のメモリ領域MRにおいては、積層体LMの置き換え処理時の応力を受けたピラーPLに合わせ、分離層SHEcは、中央コンタクトLIcからのY方向の距離が、分離層SHEcのX方向の位置に応じて連続的に変化する所定位置を中央の板状コンタクトLIに沿って延びる部分を有する。つまり、分離層SHEcの階段領域SR寄りの部分は、階段領域SRに近づくほど、中央の板状コンタクトLIに近づいていく。
【0233】
より詳細には、貫通コンタクト領域TPを介することなく階段領域SRに隣接するメモリ領域MRs(
図1参照)では、応力の影響をより大きく受けて、ピラーPLもより大きく位置ずれする。よって、ピラーPLに合わせた分離層SHEcの変位量も大きくなるよう分離層SHEcの配置位置が決定される。
【0234】
また、貫通コンタクト領域TPを介して階段領域SRに隣接するメモリ領域MRt(
図1参照)では、応力の影響も比較的小さく、ピラーPLの位置ずれ量も小さめである。よって、ピラーPLに合わせた分離層SHEcの変位量も小さくなるよう分離層SHEcの配置位置が決定される。
【0235】
積層構造を有する半導体記憶装置等において、応力の影響によりピラーに位置ずれが生じた場合、設計上はピラーと重なり合うはずであった分離層が、ピラーから外れた位置に形成されてしまう場合がある。
【0236】
この場合、少なくともピラーから外れた位置では、積層体中の分離の対象となる導電層より下層の導電層をも貫通して分離層が形成されてしまうおそれがある。これにより、ワード線となるべき導電層までもが分離されてしまい、半導体記憶装置の特性に悪影響を及ぼしてしまうことがある。
【0237】
変形例5の半導体記憶装置2によれば、分離層SHEcは、階段領域SRをY方向に分割する中央の板状コンタクトLIのY方向の一方側を板状コンタクトLIに沿って延び、中央の板状コンタクトLIからのY方向の距離がX方向の位置に応じて連続的に変化する所定位置を板状コンタクトLIに沿って延びる部分を有する。また、階段領域SRをY方向に分割する板状コンタクトLIのY方向の他方側では、分離層SHEcが板状コンタクトLIに沿って延び、板状コンタクトLIの一方側の分離層SHEcの所定位置を板状コンタクトLIに対してY方向に反転させた位置を板状コンタクトLIに沿って延びる部分を有する。
【0238】
このように、例えば積層体LMの置き換え処理後に形成され、置き換え処理時の応力の影響を受けない分離層SHEcを、応力影響を受けるピラーPLに合わせて配置することで、設計上、重なり合うこととなっているピラーPL上に分離層SHEcを配置することができる。これにより、積層体LMにおける分離層SHEcの到達深さを略一定に揃えることができ、所望の特性を備える半導体記憶装置2を得ることができる。
【0239】
なお、分離層SHEが、メモリ領域MRのピラーPLに加え、選択ゲートコンタクトSGR領域の柱状部HRに合わせて位置補正されていてもよい。
【0240】
また、上述のように、ピラーPLに合わせて分離層SHEcの位置補正を行う変形例5の構成は、上述の実施形態1及び変形例1~4のいずれかと適宜組み合わせて半導体記憶装置に適用されることができる。
【0241】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2の半導体記憶装置においては、周辺回路が積層体の上方に配置されている点が、上述の実施形態1とは異なる。以下の図面においては、実施形態1と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0242】
(半導体記憶装置の構成例)
図11は、実施形態2にかかる半導体記憶装置3の概略の構成例を示す図である。
図11(a)は半導体記憶装置3のX方向に沿う断面図であり、
図11(b)は半導体記憶装置3のレイアウトを示す模式的な平面図である。ただし、
図11(a)においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。また、
図11(a)においては一部の上層配線が省略されている。
【0243】
図11(a)に示すように、半導体記憶装置3は、積層体LM上に周辺回路CBAを備える。より詳細には、ソース線SLの上方には積層体LMが配置される。積層体LMは絶縁膜50で覆われている。絶縁膜50上には、絶縁膜40で覆われた周辺回路CBAが配置されている。周辺回路CBAが設けられる基板SBは、周辺回路CBAの更に上方に配置されている。
【0244】
図11(b)に示すように、1つのフィンガFGRには、X方向の一端側から他端側へ向かって、メモリ領域MR、階段領域SR、階段領域SR、及びメモリ領域MRがこの順に配置される。また、階段領域SRは、上述の実施形態1と同様、1つの板状コンタクトLIと重なる位置に配置され、Y方向に分割されている。したがって、半導体記憶装置3は、2つのフィンガFGRを最小単位として、この最小単位をY方向に周期的に繰り返すパターンを有する。
【0245】
実施形態2の半導体記憶装置3においても、上述の実施形態1と同様に階段領域SRを構成することができる。すなわち、半導体記憶装置3の階段領域SRにおける擂り鉢状もしくは渓谷様の形状は、X方向の一端側から他端側の間の所定位置に最大深さを有し、かつ、Y方向に最大幅となる部位を有して構成される。また、階段領域SRに配置される複数の階段部分は、階段領域SRをY方向に分割する中央の板状コンタクトLIを挟んで、実質的に線対称となる構造を有する。
【0246】
このため、実施形態2の半導体記憶装置3においても、上述の実施形態1の半導体記憶装置1と同様、メモリ領域MRに配置されるピラーPL等は、階段領域SRに近づくほど中央の板状コンタクトLI側へと傾く応力を受ける。このため、実施形態2の半導体記憶装置3にも、上述の実施形態1及び変形例1~5のいずれかの構成を適用することができる。
【0247】
図11に示す半導体記憶装置3は、積層体LM部分と周辺回路CBA部分とを別作りすることで得られる。
【0248】
つまり、シリコン基板等の支持基板上にソース線SLを形成し、ソース線SLの上方に積層体LMを形成する。また、積層体LMに、ワード線WL等が階段状に加工された階段部分、ピラーPL、柱状部HR,板状コンタクトLI、及びコンタクトCC等を形成する。
【0249】
一方、別途、基板SB上にトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CBAを形成し、これらを絶縁膜40で覆う。また、基板SBの周辺回路CBAが形成された面と、上述の支持基板の積層体LMが形成された面とを貼り合わせ、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等により支持基板を除去する。
【0250】
これにより、積層体LMと周辺回路CBAとが、それぞれ絶縁膜50,40部分で貼り合わされた半導体記憶装置3が得られる。半導体記憶装置3では、周辺回路CBAは積層体LMの上方に配置され、積層体LMのピラーPL及びコンタクトCC等の構成は、上層配線等を介して周辺回路CBAに電気的に接続される。このため、半導体記憶装置3では、積層体LMに貫通コンタクト領域TP及び貫通コンタクトC4を設けなくともよい。
【0251】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、
図12を用いて、実施形態2の半導体記憶装置3の製造方法について説明する。
図12は、実施形態2にかかる半導体記憶装置3の製造方法の手順の一部を例示するフロー図である。
図12に示すように、ソース線SLが形成された支持基板の上方に、複数の窒化シリコン層等の犠牲層と複数の絶縁層OLとを交互に積層して下層のONO構造を積層し、1段目の積層体を形成する(ステップS211)。
【0252】
また、1段目の積層体に下層の階段部を形成し、階段部により生じた凹部を絶縁膜50で埋め込む(ステップS212)。また、1段目の積層体に、アモルファスシリコン層等の犠牲層で充填された下部ピラーLMH及び下部柱状部LHRを形成する(ステップS213)。
【0253】
次に、1段目の積層体上に、複数の窒化シリコン層等の犠牲層と複数の絶縁層OLとを交互に積層して、上層のONO構造を積層し、2段目の積層体を形成する(ステップS221)。また、2段目の積層体に上層の階段部を形成し、階段部により生じた凹部を絶縁膜50で埋め込む(ステップS222)。
【0254】
また、2段目の積層体に、上部ピラーUMH及び上部柱状部UHRとなるメモリホール及びホールをそれぞれ形成する(ステップS223)。また、これらのメモリホール及びホールを介して、下部ピラーLMH及び下部柱状部LHRに充填される犠牲層を除去する。
【0255】
次に、下部ピラーLMH及び上部ピラーUMH、並びに選択ゲートコンタクト領域SGRの下部柱状部LHR及び上部柱状部UHRにMANOS構造を形成し、ピラーPL及び柱状部HRを形成する(ステップS231)。一方、階段領域SRには、下部柱状部LHR及び上部柱状部UHRに絶縁層が充填された柱状部HRを形成する。
【0256】
次に、2Tier構造の積層体を貫通するスリットSTを形成する(ステップS232)。
【0257】
次に、スリットSTを介して熱リン酸等の除去液を流入させて、積層体の犠牲層を除去する(ステップS234)。また、スリットSTを介してタングステン等の原料ガスを流入させて、犠牲層が除去された部分に複数のワード線WLを形成する(ステップS235)。
【0258】
このような置き換え処理により、複数のワード線WLと複数の絶縁層OL等とが交互に積層された2Tier構造の積層体LMが形成される。また、置き換え処理の際、階段領域SRをY方向に分割するスリットSTの上端部が圧縮され、スリットSTのY方向両側のフィンガFGRに属するピラーPL及び柱状部HR等の構成がスリットST側へと傾くことがある。
【0259】
次に、スリットST内に絶縁層等のライナ層を形成し、更に導電層を充填して、板状コンタクトLIを形成する(ステップS236)。また、メモリ領域MRをX方向に沿う方向に延び、階段領域SRに到達する分離層SHEを形成する(ステップS237)。このとき、位置ずれしたピラーPLに合わせて調整された配置を有する分離層SHEcを形成してもよい。これにより、積層体LMの上層部分に1つ、または複数の選択ゲート線SGDが形成される。
【0260】
次に、積層体LMの上方の階層に、後にプラグCHとなるホールを形成する(ステップS241)。このとき、位置ずれしたピラーPLの位置に合わせてホールを形成することができる。また、階段領域SR及び選択ゲートコンタクト領域SGRに、後にコンタクトCCとなる複数のコンタクトホールを形成する(ステップS242)。
【0261】
次に、これらのホール及びコンタクトホール内に絶縁層等のライナ層を形成し、更に導電層を充填する。これにより、複数のピラーPLにそれぞれ接続されるプラグCH、及び複数のワード線WL及び選択ゲート線SGDにそれぞれ接続されるコンタクトCCが形成される(ステップS243)。これらのプラグCHには、上述の実施形態1及び変形例1~4のいずれかの構成が適用されたプラグCH1,CH7,CH5,CH2等が含まれていてよい。
【0262】
次に、プラグCHの更に上方の階層に、プラグCH及びコンタクトCCにそれぞれ接続されるプラグVY,V0を形成する(ステップS244)。このとき、ピラーPLに対して位置補正されたプラグCH1,CH7,CH5,CH2等に合わせてプラグVYを形成することができる。この場合、形成されたプラグVYには、例えば上述の変形例1のプラグVY1等が含まれていてよい。
【0263】
また、プラグVYの更に上方の階層に、プラグVYに接続されるビット線BLを形成する(ステップS245)。また、プラグV0の更に上方の階層に、プラグV0に接続される上層配線を形成する(ステップS246)。
【0264】
次に、周辺回路CBAが形成された基板SBと、積層体LMが形成された支持基板とを貼り合わせる(ステップS251)。その後、支持基板を除去する。
【0265】
以上により、実施形態2の半導体記憶装置3が製造される。
【0266】
なお、
図12に示す処理順はあくまで一例であって、適宜変更可能である。例えばステップS212の処理とステップS213の処理とは入れ替え可能であり、ステップS222の処理とステップS223,S231の処理とは入れ替え可能である。ステップS241の処理とステップS242の処理とを入れ替えてもよい。
【0267】
実施形態2の半導体記憶装置3によれば、実施形態1の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0268】
[その他の実施形態]
上述の実施形態1,2及び変形例1~5では、積層体LMの置き換え処理後のスリットSTに導電層を充填してソース線コンタクトとしての機能を備える板状コンタクトLIを形成することとした。しかし、積層体LMの置き換え処理後のスリットSTを絶縁層の単体等で充填し、ソース線コンタクトとしての機能を有さない板状部を形成してもよい。
【0269】
また、上述の実施形態1,2及び変形例1~5では、半導体記憶装置が2Tier構造の積層体LMを備えることした。しかし、半導体記憶装置の積層体は、1Tier構造であってもよく、3Tier以上の構造を備えていてもよい。Tier数を増やすことにより、ワード線WLの積層数を更に増加させることができる。
【0270】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0271】
1,2,3…半導体記憶装置、40,50…絶縁膜、C4…貫通コンタクト、CBA,CUA…周辺回路、CC…コンタクト、CH,CH1,CH2,CH5,CH7,V0,VY,VY1…プラグ、HR…柱状部、LI…板状コンタクト、LM…積層体、MR,MR2,MR3,MR4…メモリ領域、OL…絶縁層、PL…ピラー、SHE,SHEc…分離層、SP…階段部、SR…階段領域、ST…スリット、WL…ワード線。