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特開2024-21968物品管理システム、物品管理方法、物品検出器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021968
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】物品管理システム、物品管理方法、物品検出器具
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20240208BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125201
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】植田 良行
(72)【発明者】
【氏名】坂上 充敏
(72)【発明者】
【氏名】平田 和也
【テーマコード(参考)】
3F522
5L049
【Fターム(参考)】
3F522AA04
3F522BB06
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD29
3F522DD33
3F522EE18
3F522FF12
3F522GG03
3F522GG07
3F522LL39
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】物品に通信デバイスを取り付けることなく物品の有無を認識できるようにする。
【解決手段】本発明のある態様は、物品の有無を検出する物品管理システムであって、第1位置と第2位置との間で揺動可能な揺動部材と、揺動部材を第2位置から第1位置に向けて揺動させるトルクを生じさせるトルク発生部材と、通信デバイスと、通信デバイスと近接したときに通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、無線装置による通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、通信可否の結果に基づいて、物品が基準面上にあるか否か決定する制御装置と、を備える。通信デバイス又は電波遮蔽部材のいずれか一方が揺動部材に取り付けられている。揺動部材が第1位置にあるときに通信デバイスと電波遮蔽部材が近接せず、揺動部材が第2位置にあるときに通信デバイスと電波遮蔽部材が近接する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の有無を検出する物品管理システムであって、
前記物品が所定の基準面上にないときに位置する第1位置と、前記物品が前記基準面上にあるときに位置する第2位置との間で、所定の軸を中心に揺動可能な揺動部材と、
前記揺動部材を前記第2位置から前記第1位置に向けて揺動させるトルクを生じさせるトルク発生部材と、
通信デバイスと、
前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、
前記通信デバイスと無線通信を行う無線装置と、
前記無線装置による前記通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記物品が前記基準面上にあるか否か決定する制御装置と、を備え、
前記通信デバイス又は前記電波遮蔽部材のいずれか一方が前記揺動部材に取り付けられており、
前記揺動部材が前記第1位置にあるときに前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接せず、前記揺動部材が前記第2位置にあるときに前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接する、
物品管理システム。
【請求項2】
前記揺動部材は、前記軸が連結された長尺状の本体部と、前記本体部に取り付けられ、かつ前記揺動部材が前記第1位置にあるときに前記基準面から鉛直上方に突出する突出部と、を有し、
前記突出部は、前記基準面上に物品が配置されたときに前記基準面まで押し下げられ、それによって前記揺動部材が前記第2位置まで揺動する、
請求項1に記載された物品管理システム。
【請求項3】
前記通信デバイス又は前記電波遮蔽部材のいずれか一方は、前記揺動部材の前記本体部に取り付けられている、
請求項2に記載された物品管理システム。
【請求項4】
前記通信デバイス又は前記電波遮蔽部材のいずれか一方は、前記揺動部材の前記突出部に取り付けられている、
請求項2に記載された物品管理システム。
【請求項5】
前記突出部は、鉛直上方に凸型の湾曲面を有する、
請求項2に記載された物品管理システム。
【請求項6】
前記基準面が水平面又は鉛直面に対して傾斜するように形成された物品載置部材を備え、
前記物品載置部材は、前記基準面から起立して延びており、かつ前記物品が前記基準面にある場合に前記物品の自重による移動を規制する規制板を有し、前記規制板には、前記通信デバイス又は前記電波遮蔽部材のいずれか他方が取り付けられ、
前記揺動部材は、前記物品が前記基準面上にあるときに前記物品の前記規制板への移動に伴って前記第2位置まで揺動し、前記揺動部材の一部が前記規制板に近接する、
請求項1に記載された物品管理システム。
【請求項7】
前記トルク発生部材は、前記揺動部材に設けられた重りを含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載された物品管理システム。
【請求項8】
前記トルク発生部材は、前記軸と前記揺動部材の間に設けられた捩りばねを含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載された物品管理システム。
【請求項9】
前記物品が前記基準面上にあるか否かに関係なく、前記電波遮蔽部材に電波が遮蔽されない位置に配置された参照用の通信デバイスをさらに備え、
前記無線装置は、前記参照用の通信デバイスと通信を行い、
前記制御装置は、前記無線装置による前記参照用の通信デバイスとの通信可否の結果を取得する、
請求項1から6のいずれか一項に記載された物品管理システム。
【請求項10】
前記通信デバイスは、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えた無線タグである、
請求項1から6のいずれか一項に記載された物品管理システム。
【請求項11】
前記通信デバイスは、UHF帯の無線タグである、
請求項1から6のいずれか一項に記載された物品管理システム。
【請求項12】
前記通信デバイスは、HF帯の無線タグである、
請求項1から6のいずれか一項に記載された物品管理システム。
【請求項13】
前記通信デバイスは、マイクロ波帯の無線タグである、
請求項1から6のいずれか一項に記載された物品管理システム。
【請求項14】
第1位置と第2位置との間で所定の軸を中心に揺動可能であって、通信デバイス又は電波遮蔽部材のいずれか一方が取り付けられた揺動部材と、前記揺動部材を前記第2位置から前記第1位置に向けて揺動させるトルクを生じさせるトルク発生部材と、を備えた物品検出器具を配置し、
物品が基準面上にあるときには、前記揺動部材が前記第2位置にあり、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接し、それによって前記通信デバイスが発する電波が遮蔽され、
前記物品を所定の前記基準面から取り除いたときには、前記揺動部材が前記第2位置から第1位置に揺動し、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材が離間し、それによって前記通信デバイスが発する電波が遮蔽されなくなり、
無線装置による前記通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、
前記通信可否の結果に基づいて、前記物品が前記基準面上にあるか否か決定する、
物品管理方法。
【請求項15】
物品を検出するための物品検出器具であって、
前記物品が所定の基準面上にないときに位置する第1位置と、前記物品が前記基準面上にあるときに位置する第2位置との間で、所定の軸を中心に揺動可能な揺動部材と、
前記揺動部材を前記第2位置から前記第1位置に向けて揺動させるトルクを生じさせるトルク発生部材と、
通信デバイスと、
前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、を備え、
前記通信デバイス又は前記電波遮蔽部材のいずれか一方が前記揺動部材に取り付けられており、
前記揺動部材が前記第1位置にあるときに前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接せず、前記揺動部材が前記第2位置にあるときに前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接する、
物品検出器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品管理システム、物品管理方法、及び、物品検出器具に関する。
【背景技術】
【0002】
物品管理システムとして、物品と無線タグを関連付けて物品の在庫管理を行うようにしたものが従来から提案されている。
例えば、特許文献1では、ICタグと読取装置と移動装置とから構成され、棚に載置される物品に付されたICタグからの信号を読取装置により読み取ることにより、読み取った信号に基づき、棚にいかなる物品が載置されているか否かを認識する在庫管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-242058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スーパーマーケット等の小売店の店頭において在庫管理と商品補充を行う場合、従来では、小売店の担当者が目視で商品の展示数を確認し、必要に応じて商品の補充を行っていた。この作業は人手が掛かる上、正確さに欠けるという欠点がある。また、小売店において従来の在庫管理システムのように各商品にICタグを取り付けて在庫管理をしようとすると、すべての商品にICタグを取り付けなければならず、コストの上昇を招来して好ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、物品に通信デバイスを取り付けることなく物品の有無を認識できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、物品の有無を検出する物品管理システムであって、
前記物品が所定の基準面上にないときに位置する第1位置と、前記物品が前記基準面上にあるときに位置する第2位置との間で、所定の軸を中心に揺動可能な揺動部材と、
前記揺動部材を前記第2位置から前記第1位置に向けて揺動させるトルクを生じさせるトルク発生部材と、
通信デバイスと、
前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、
前記通信デバイスと無線通信を行う無線装置と、
前記無線装置による前記通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記物品が前記基準面上にあるか否か決定する制御装置と、を備える。
前記通信デバイス又は前記電波遮蔽部材のいずれか一方が前記揺動部材に取り付けられている。
前記揺動部材が前記第1位置にあるときに前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接せず、前記揺動部材が前記第2位置にあるときに前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、物品に通信デバイスを取り付けることなく物品の有無を認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の商品検出器具の配置例を示す図である。
図2図1に示した商品検出器具の蓋がある状態と蓋がない状態の斜視図である。
図3図2に示した商品検出器具を断面視で示す図である。
図4】一実施形態の商品管理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図5】タグデータベースのデータ構成例を示す図である。
図6】店舗端末に表示される画面の一例を示す図である。
図7】一実施形態の商品検出器具を断面視で示す図である。
図8】一実施形態の商品検出器具を断面視で示す図である。
図9】一実施形態の商品検出器具を断面視で示す図である。
図10】一実施形態の商品検出器具の分解斜視図である。
図11図10に示した商品検出器具の平面図と断面図である。
図12】一実施形態の商品検出器具の配置例を示す図である。
図13図12に示した商品検出用具の側面図と矢視図である。
図14図12に示した商品検出器具を側面視で示す図である。
図15】一実施形態の商品検出器具を側面視で示す図である。
図16図15に示した商品検出用具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の物品管理システム、物品管理方法、及び、物品検出器具の一実施形態について説明する。
本発明のある態様の第1の態様は、物品の有無を検出する物品管理システムである。本開示において「物品」とは、例えば商品、製品、半製品(製造途中にある中間段階の製品)、モックアップ等の有体物を意味する。
この物品管理システムは、以下の(i)~(vi)を備える。
(i)前記物品が所定の基準面上にないときに位置する第1位置と、前記物品が前記基準面上にあるときに位置する第2位置との間で、所定の軸を中心に揺動可能な揺動部材
(ii)前記揺動部材を前記第2位置から前記第1位置に向けて揺動させるトルクを生じさせるトルク発生部材
(iii)通信デバイス
(iv)前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材
(v)前記通信デバイスと無線通信を行う無線装置
(vi)前記無線装置による前記通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記物品が前記基準面上にあるか否か決定する制御装置
ここで、前記通信デバイス又は前記電波遮蔽部材のいずれか一方が前記揺動部材に取り付けられており、前記揺動部材が前記第1位置にあるときに前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接せず、前記揺動部材が前記第2位置にあるときに前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材が近接する。それにより、物品に通信デバイスを取り付けることなく物品の有無を認識できる。
なお、電磁遮蔽部材とは、通信デバイスから放射される電波の周波数を、無線装置と通信ができない意図しない周波数とする部材であってもよいし、通信デバイスから放射される電波を無線装置との通信を阻害するようなノイズを重畳させる部材であってもよい。
【0010】
本発明のある態様の第2の態様では、第1の態様において、上記前記揺動部材が、前記軸が連結された長尺状の本体部と、前記本体部に取り付けられ、かつ前記揺動部材が前記第1位置にあるときに前記基準面から鉛直上方に突出する突出部と、を有する。
前記突出部は、前記基準面上に物品が配置されたときに前記基準面まで押し下げられ、それによって前記揺動部材が前記第2位置まで揺動する。
この態様では、基準面上に配置された物品の自重により突出部が押し下げられることで、通信デバイスと無線装置の間の通信が遮断される。そのため、店舗等の商品棚において汎用的に利用することができる。
【0011】
本発明のある態様の第3の態様では、第2の態様において、前記通信デバイス又は前記電波遮蔽部材のいずれか一方が、前記揺動部材の前記本体部に取り付けられている。
【0012】
本発明のある態様の第4の態様では、第2の態様において、前記通信デバイス又は前記電波遮蔽部材のいずれか一方が、前記揺動部材の前記突出部に取り付けられている。これにより、揺動部材の小型化を図ることができる。
【0013】
本発明のある態様の第5の態様では、第2から第4の態様のいずれか一つの態様において、前記突出部が、鉛直上方に凸型の湾曲面を有する。湾曲面があると、商品検出器具上でスライドさせながら物品を商品検出器具に配置する場合に、突出部が円滑に押し下げられ、突出部が故障し難くなる。
【0014】
本発明のある態様の第6の態様では、第1の態様に対して、前記基準面が水平面又は鉛直面に対して傾斜するように形成された物品載置部材を備える。
前記物品載置部材は、前記基準面から起立して延びており、かつ前記物品が前記基準面にある場合に前記物品の自重による移動を規制する規制板を有し、前記規制板には、前記通信デバイス又は前記電波遮蔽部材のいずれか他方が取り付けられている。前記揺動部材は、前記物品が前記基準面上にあるときに前記物品の前記規制板への移動に伴って前記第2位置まで揺動し、前記揺動部材の一部が前記規制板に近接する。
この態様は、例えば、物品載置部材として、店舗等において水平面に対して傾斜した商品棚を採用したときに、商品棚に商品が残っているか否かを判断でき、店舗は適時に商品棚に商品を補充できる。
【0015】
本発明のある態様の第7の態様では、第1から第6の態様のいずれか一つの態様において、前記トルク発生部材が、前記揺動部材に設けられた重りを含む。重りを採用することで簡単な構造で必要なトルクを発生させることができる。
【0016】
本発明のある態様の第8の態様では、第1から第6の態様のいずれか一つの態様において、前記トルク発生部材が、前記軸と前記揺動部材の間に設けられた捩りばねを含む。捩りばねを採用することで重量を大きく増加させずに必要なトルクを発生させることができる。
【0017】
本発明のある態様の第9の態様では、第1から第8の態様のいずれか一つの態様に対して、前記物品が前記基準面上にあるか否かに関係なく、前記電波遮蔽部材に電波が遮蔽されない位置に配置された参照用の通信デバイスをさらに備える。前記無線装置は、前記参照用の通信デバイスと通信を行う。前記制御装置は、前記無線装置による前記参照用の通信デバイスとの通信可否の結果を取得する。物品が商品検出器具上にあるか否かに関わらず無線装置と通信可能な参照用の通信デバイスを設けることで、システムが正常に動作しているか否か判断できる。
【0018】
本発明のある態様の第10の態様では、第1から第9の態様のいずれか一つの態様において、前記通信デバイスが、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えた無線タグである。このような無線タグは、長期間メンテナンス不要で利用可能な点で好ましい。
【0019】
本発明のある態様の第11の態様では、第1から第9の態様のいずれか一つの態様において、前記通信デバイスが、UHF帯の無線タグである。このような無線タグは汎用的に入手可能な点で好ましい。
【0020】
本発明のある態様の第12の態様では、第1から第9の態様のいずれか一つの態様において、前記通信デバイスが、HF帯の無線タグである。このような無線タグは汎用的に入手可能な点で好ましい。
【0021】
本発明のある態様の第13の態様では、第1から第9の態様のいずれか一つの態様において、前記通信デバイスが、マイクロ波帯の無線タグである。このような無線タグは汎用的に入手可能な点で好ましい。
【0022】
本発明のある態様の第14の態様では、第1から第13の態様のいずれか一つの態様において、前記揺動部材、前記トルク発生部材、前記通信デバイス、及び、前記電波遮蔽部材を含む商品検出器具が複数、マトリクス状に配置されている。それによって、マトリクス状に配置された複数の商品検出器具の各々に対する物品の有無を同時に検出できる。
【0023】
本発明のある態様の第15の態様では、第14の態様に対して、前記制御装置は、複数の物品検出器具の各々について、前記無線装置による前記通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、各物品検出器具に物品が基準面上にあるか否か決定し、前記複数の物品検出器具の各々が配置された位置情報を参照して、前記複数の物品検出器具の各々に物品が基準面上にあるか否かの情報を、前記複数の物品検出器具の位置情報に対応させてマトリクス状に表示装置に表示させる。それによって、マトリクス状に配置された複数の商品検出器具の各々に物品があるか否かについて視覚的に認識できる。
【0024】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
以下の説明では、物品の一例として、店舗において販売の対象となっている商品を挙げる。商品は限定しないが、例えば、粉末状洗剤等の箱型商品、洗濯用の柔軟剤、液体洗剤、シャンプー、リンス等のボトル型商品等、広く適用することができる。容器に入った飲料にも適用可能である。
【0025】
(1)第1の実施形態
一実施形態の商品管理システムは、店頭に商品が配置されている場合に、売れ残っている商品がいくつ、どの位置にあるのか、その場にいなくても店舗担当者が認識できるように構成されている。
商品があるか(残っているか)否かを検出するために、商品検出器具(物品検出器具の一例)が使用される。一実施形態では、商品の単品に1つの商品検出器具が使用される。この商品検出器具に商品を載置させた状態で商品を販売し、来店者が当該商品を取得(購入)した場合、商品検出器具から商品が外される。各商品検出器具により商品が載置されているか否かを検出することで店頭での商品の売れ残り状態がわかるため、店舗の担当者に商品を補充すべきか否か適時に通知するようにシステムを構成することができる。
【0026】
一実施形態の商品検出器具は、通信デバイスを備える。通信デバイスが通信可能な範囲内には、通信デバイスと通信を行うための無線装置が配置される。
商品検出器具は、商品が載置されたときに通信デバイスの位置が商品の重量が掛かることに応じて変位し、それによって通信デバイスから電波を発信できなくなる、あるいは通信が可能となるように構成される。そのため、無線装置が商品検出器具に備わっている通信デバイスからの信号を受信できたか否かに基づいて、商品が商品検出器具上にあるか否か判断することができる。
【0027】
一実施形態の商品管理システムでは、無線装置は、通信デバイスとの通信が可能である場合、通信デバイスを識別する識別情報(例えば、後述するタグID)を受信し、ネットワークを介して受信した識別情報をサーバに通知する。したがって、サーバは、識別情報に対応する通信デバイスが設けられた商品検出器具に商品が載置されていないと判断できる。サーバは、同じ商品コードの複数の商品がマトリクス状に配置されている場合であっても、各商品があるか否かを個別に認識することができるため、店舗の担当者に対して、売れた商品と売れ残り商品の位置を視覚的に認識可能な情報を通知できる。
【0028】
図1に、店舗においてマトリクス状に配列されている商品Pと複数の商品検出器具3の一例を示す。
図1に示す例では、正面側の通路と背面側の通路の間にある商品棚に、複数の商品Pが配置された例が示される。この例では、2列5行の10個の商品Pが配置可能に構成される。列を1~2、行をA~Eで表した場合、A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1,D2,E1,E2の10個の位置に商品Pを配置させることが可能である。図1に示す例では、商品Pの配置に対応して、2×5の10個の商品検出器具3が設けられる。
図1に示す例では、E1及びE2の位置にあった商品Pが売れて無くなり、残りの8個の商品Pが売れ残っている状態を示している。
【0029】
次に、図2及び図3を参照して、商品検出器具3の構造について説明する。商品検出器具3は、対応する位置に配置された商品Pがあるか否か検出するための器具である。図2は、商品検出器具3の蓋がある状態と蓋がない状態(蓋を取り除いた状態)の斜視図である。図3は、商品検出器具3を断面視で示す図である。なお、図3では、商品検出器具3上に商品Pがない状態を実線で示し、商品Pがある状態を仮想線で示してある。
【0030】
図2に示すように、一実施形態の商品検出器具3は、基部31、蓋32、揺動部材33、支持部34、及び、重り37を備える。限定するものではないが、基部31、蓋32、揺動部材33、及び、支持部34は、例えばプラスチック等の樹脂、木材、又は紙で成形される。
【0031】
図2に示すように、商品検出器具3は、基部31と蓋32により六面が形成された直方体形状を有する。蓋32の上面32Pは、商品を配置するときの基準面の一例である。以下では、商品検出器具3上に商品Pがあることは、蓋32の上面32Pに商品Pがあることを意味する。
図3に示すように、商品検出器具3上に商品がない状態では、突出部333が上面32Pから上方に突出している。
【0032】
図2に示すように、揺動部材33は、軸部332が連結された長尺状の本体部331と、本体部331に取り付けられ、かつ揺動部材33が第1位置にあるときに上面32Pから鉛直上方に突出する突出部333と、を有する。突出部333は、本体部331の長手方向の一端に取り付けられている。
好ましくは、突出部333は鉛直上方に凸型の湾曲面を有する。凸型の湾曲面があると、店舗において上面32P上をスライドさせながら商品Pを商品検出器具3に配置する場合に、突出部333が円滑に押し下げられ、突出部333が故障し難くなる。
【0033】
矩形状の基部31の対向する一対の辺には、軸部332の両端を支持するための一対の支持部34が設けられる。一対の支持部34は、軸部332が軸回りを回転可能に支持し、それによって揺動部材33が軸部332を中心として揺動可能となっている。
揺動部材33は、商品Pが上面32P上にないときに位置する第1位置と、商品Pが上面32P上にあるときに位置する第2位置との間で、軸部332を中心に揺動可能である。図3では、実線で表されている揺動部材33の位置が第1位置に相当し、仮想線で表されている揺動部材33の位置が第2位置に相当する。
【0034】
重り37は、軸部332を挟んで突出部333が取り付けられている側とは反対側において、本体部331に接着されている。重り37は、揺動部材33を第2位置から第1位置に向けて(つまり、図3において揺動部材33を反時計回りに)揺動させるトルクを生じさせるトルク発生部材の一例である。図3において突出部333の自重による時計回りのモーメントを打ち消して反時計回りのトルクを生じさせることができればよく、重り37の大きさ、材料は限定しない。重り37は、例えば比重が比較的大きい金属材料であることが好ましいが、その限りではなく樹脂材料等であってもよい。
【0035】
図2に示すように、本体部331の上面の長手方向の他端(突出部333が取り付けられている端とは反対側の端)には、IoT(Internet of Things)タグT(通信デバイスの一例)が取り付けられている。IoTタグは、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えた無線タグである。このような無線タグは、長期間メンテナンス不要で利用可能な点で好ましい。
以下では、IoTタグTを単に「タグT」という。
【0036】
タグTの最大通信距離は、限定しないが、例えば3~10メートルの範囲である。タグTは、低電力消費の無線通信を行うように構成されており、通信プロトコルの例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energy (以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。
タグTは、BLEの規格に準拠する場合、所定間隔毎(例えば、1~10秒程度の短時間毎)にパケットをブロードキャスト送信する。タグTが送信するパケットには、タグの識別情報であるタグIDが含まれる。
【0037】
図示していないが、タグTは、紙やフィルム等の基材の表面に導電性材料でアンテナを形成し、ICチップをマウントしたものである。用途に応じてICチップに加えて別のデバイスをマウントしても良い。
タグTの基本的な構造は、所謂、RFIDインレイと同様の積層構造である。その積層構造の片面または両面にフィルム(保護フィルム)をラミネートして外力からタグTを保護する構造にしても良い。保護フィルムとして遮光性を有するものも用いて耐光性を付与しても良い。
また、タグTの積層構造の中に特定のフィルムを含めることにより、タグTの通信距離や周波数特性、あるいは環境発電能力を変化させても良い。例えば、そのような特定のフィルムを基材の片側だけに設けた場合、タグTの表裏の通信能力に差を生じさせ、意図的に指向性を変えることも可能である。タグTの片面に粘着剤層を設けたり、両面テープを設けてラベル状に形成したりしても良い。
【0038】
図1に示したように、商品棚9の近くには、タグTとBLE通信を行うための無線装置2が配置される。後述するが、無線装置2は、ネットワークを介してタグ管理サーバ(後述する)と通信可能なゲートウェイ装置である。無線装置2は、商品Pが商品検出器具3上にない場合に、商品検出器具3に設けられたタグTから発信されるパケットを受信可能な位置に配置される。すなわち、無線装置2は、タグTの電波出力を考慮して配置される。
無線装置2の設置場所は、商品検出器具3の周囲において任意に設定することができる。
【0039】
図3に示すように、蓋32の上面32Pとは反対側の面(裏面)には、電波遮蔽部材SMが接着されている。電波遮蔽部材SMは、タグTと近接したときにタグTが発する電波を遮蔽するシート状の部材である。電波遮蔽部材SMが接着されている位置は、揺動部材33が第2位置にあるときに、揺動部材33に取り付けられているタグTと接触又は近接する位置である。
電波遮蔽部材SMとして、例えばネーマ紙を採用できる。ネーマ紙は、透明PETフィルム、アルミニウムの蒸着層(膜)、粘着剤をこの順に積層したものであり、粘着剤により蓋32の裏面に貼り付けられている。なお、ネーマ紙に代えて、ホイル紙(フォイル紙)を使用してもよい。この他、金属プレート、電波吸収シート、金属粉や磁性紛を練り込んだ塗膜を有するシートも使用可能である。
【0040】
次に、図3を参照して商品検出器具3の動作について説明する。
図3に示すように、商品検出器具3に商品Pがない状態では、重り37による反時計回りのトルクにより、揺動部材33は、突出部333が上面32Pから上方に突出した第1位置(図3の実線で表されている位置)にある。第1位置にあるときには、タグTと電波遮蔽部材SMが近接せず、両者の間に隙間が確保されている。この状態では、タグTからの電波の放射性能が低下しないため、無線装置2がタグTから発信されるパケットを問題なく受信できる。
【0041】
他方、商品検出器具3に商品Pが載置されている状態では、商品Pの重力により突出部333の頂部が上面32Pに位置するまで揺動部材33が押し下げられる。それによって、揺動部材33が第2位置(図3の仮想線で表されている位置)に移動し、揺動部材33の本体部331の上面に取り付けられているタグTが、電波遮蔽部材SMと接触又は近接する。すると、電波遮蔽部材SMがタグTから発信される電波を遮蔽し、タグTからの電波の放射性能が大幅に低下する。その結果、無線装置2がタグTから発信されるパケットを受信できなくなるか、受信頻度が大幅に低下する。
【0042】
後述するタグ管理サーバは、無線装置2と通信可能であり、無線装置2からタグTとの通信可否の結果を取得し、通信可否の結果に基づいて、商品Pが上面32P上にあるか否か(つまり、商品Pが商品検出器具3上にあるか否か)決定する。
このようにして、商品検出器具3は、対応する商品Pが載置されているか否か検出することができる。
【0043】
なお、図2では、平面視で矩形の形態を有する商品検出器具3を例示したが、商品検出器具の形態はその限りではなく、円形、楕円形、又は多角形等、任意の形態を採ることができる。任意の形態の商品検出器具に商品を載置したときに突出部が鉛直方向下方に押し込まれたことに応じて、タグTと電波遮蔽部材SMを近接させられればよく、商品検出器具の形態は重要ではない。
【0044】
図1に示すように、好ましくは、商品棚9に参照タグTrefが配置される。参照タグTrefは、参照用のタグであり、タグTと同じ構成のデバイスである。
参照タグTrefは、商品Pが対応する商品検出器具3に載置されているか否かに関わらず無線装置2と通信可能である限り、如何なる場所に配置されてもよい。参照タグTrefは、無線装置2が正常に動作しているか否か判断するために設けられる。特に、すべての商品検出器具3に商品Pが載置されている状態では、無線装置2がすべての商品検出器具3のタグTから発信される電波を受信できないため、仮に参照タグTrefがないとしたならば、システムが正常に動作しているかの判断が難しい。そこで、商品Pが対応する商品検出器具3に載置されているか否かに関わらず無線装置2と通信可能な参照タグTrefを設けることで、システムが正常に動作しているか否か判断できる。
【0045】
次に、図4を参照して、一実施形態の商品管理システム1の各装置の構成を説明する。
図4は、本実施形態の商品管理システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。
【0046】
図4に示すように、商品管理システム1は、無線装置2、及び、無線装置2とネットワークNWを介して通信可能なタグ管理サーバ5(制御装置の一例)を含む。ネットワークNWは限定しないが、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、移動体通信ネットワーク、インターネット等である。
無線装置2は、タグT及び参照タグTrefからBLE通信によりパケットを受信するBLE無線端末として機能する。また、無線装置2は、各タグからパケットを受信すると、受信したパケットに含まれるタグIDをタグ管理サーバ5に送信する。
タグT及び参照タグTrefは、正常にパケットを発信できる状況では、上述したように所定間隔毎にパケットを発信し、それに応じて無線装置2もタグIDを所定間隔毎にタグ管理サーバ5に送信する。
【0047】
図4を参照すると、タグTは、制御部11、通信用アンテナ12、ハーベスティングアンテナ13、ハーベスティング部14、電圧制御部15、及び、RF通信部16を含む。ICチップ内に、制御部11、ハーベスティング部14、及び、電圧制御部15、RF通信部16が実装される。なお、以下では、タグTの構成について説明するが、図4に図示しない参照タグTrefの構成もタグTと同じである。
【0048】
制御部11は、マイクロプロセッサとメモリ111を有し、タグTの全体を制御する。メモリ111は、RAM(Random Access Memory)及び/又はROM(Read Only Memory)であり、マイクロプロセッサによって実行されるプログラムのほか、タグTに固有の識別情報であるタグIDを記憶する。
【0049】
ハーベスティング部14は、ハーベスティングアンテナ13が受信する周囲環境の電波(例えば周囲の無線通信による電波)に基づいて環境発電を行い、発電により得られた電力を内部のキャパシタ142に貯蔵する。本実施形態では、ハーベスティング部14は、例えばハーベスティングアンテナ13が受信した無線信号を電圧増倍器141により直流電圧に変換し、キャパシタ442に貯蔵する。電圧増倍器141は、限定しないが、例えばディクソン電圧増倍回路(チャージポンプ)である。キャパシタ142は、半導体チップ上に構成されたもの(つまりオンダイ(on-die)型のキャパシタ)でもよいし、半導体チップとは別体として形成されたものでもよい。
【0050】
ハーベスティングアンテナ13が発電のために受信する電波は、広範囲の周波数帯域において複数の異なる周波数帯の電波である。例えば、いわゆる3G~5G等の移動体通信システムで採用されている周波数帯の無線通信による電波、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格で採用されている周波数帯の無線通信による電波、ZigBee(登録商標)やThread等の通信プロトコルに代表される2.4GHz帯の無線通信による電波、RFIDで採用されている周波数帯(例えば、UHF帯、13.56MHz帯)の無線通信による電波等が挙げられる。複数の周波数帯(例えばUHF帯と2.4GHz帯)を併用しても良い。
【0051】
電圧制御部15は、制御部11及びRF通信部16に動作電圧を供給する。好ましくは、電圧制御部15は、キャパシタ142の電圧をモニタしており、モニタ結果に応じて電力モードを切り替える。
例えば、キャパシタ142の電圧が所定値以下である場合には、電力モードを最小限の回路のみを動作させる第1モードとし、このとき制御部11及びRF通信部16では、パケットの生成や無線信号の送信等が行われない。キャパシタ142の電圧が所定値以上まで充電された場合には、電力モードを通常の処理ルーチンを実行する第2モードとし、このとき制御部11及びRF通信部16ではパケットの生成、無線信号の送信を含む各種の処理が行われる。
【0052】
RF通信部16は、送信するパケット(ベースバンド信号)に対して所定のデジタル変調(例えばGFSK(Gaussian Frequency Shift Keying))を行った後に直交変調を行い、高周波信号(BLEの場合、2.4GHzの周波数帯の信号)を通信用アンテナ12に送出する。
通信用アンテナ12は、RF通信部16によって送出される高周波の無線信号(パケット)を送信する。
【0053】
図4に示すように、無線装置2は、制御部21、アンテナ22、RF通信部23、および、通信部24を備える。
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、無線装置2の全体を制御する。例えば、制御部21は、タグTから受信したパケットからタグIDを取得すると、取得したタグIDをタグ管理サーバ5に送信するように、通信部24を制御する。パケットにタグTによるセンサの検出データが含まれている場合には、タグIDと検出データが互いに関連付けられてタグ管理サーバ5に送信される。
【0054】
RF通信部23は、アンテナ22でタグTから受信した無線信号を検波し、ベースバンド信号に変換し、所定のデジタル復調を行ってパケットを受信する。また、RF通信部23は、ビーコン信号をアンテナ22から送信するために、例えば所定のパターンのベースバンド信号を直交変調してアンテナ22に送出する。
通信部24は、タグ管理サーバ5との通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0055】
図4に示すように、タグ管理サーバ5は、例えば、制御部51、ストレージ52、及び、通信部53を備える。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、タグ管理サーバ5の全体を制御する。
ストレージ52は、HDD(Hard Disk Drive)等の大規模記憶装置を備え、タグデータベース(タグDB)を記憶する。図5に示すように、タグデータベースには、タグTのタグIDと、当該タグTを含む商品検出器具3に載置される商品の商品コードと、当該商品が配置される位置の情報(位置情報)が関連付けられている。ストレージ52はまた、参照タグTrefのタグIDを記憶している。
図1に示す例では、タグデータベースに記述されている商品の位置情報は、A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1,D2,E1,E2のいずれかである。
通信部53は、無線装置2及び店舗端末8と通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0056】
制御部51はサーバプログラムを実行することで、各タグT及び参照タグTrefが発信するタグIDを含むパケットを無線装置2が受信した場合、当該パケットに含まれるタグIDを無線装置2から取得する。
【0057】
一実施形態では、制御部51は、参照タグTrefのタグIDを無線装置2から取得する度に、取得したタグIDと、タグIDを取得した時刻とを、タグ検出ログとしてストレージ52に記録する。図1に示したように、参照タグTrefは遮蔽されることがないため、無線装置2が故障していない限り、参照タグTrefがパケットを発信する所定間隔ごとに参照タグTrefのタグIDを取得できる。参照タグTrefのタグIDを所定間隔ごとに取得できない場合には、制御部51は、無線装置2が故障していると判断し、店舗端末8に通知する。
【0058】
制御部51は、各タグTのタグIDを無線装置2から取得する度に、タグデータベースを参照して、取得したタグIDに対応する商品コードと位置情報を特定し、その特定結果を示す画像を生成して店舗端末8に送信する。タグIDを取得できたということは、当該タグIDに対応する商品検出器具3に、対応する商品コードの商品が載置されていないことを意味している。したがって、制御部51によって特定される商品コードと位置情報は、例えば、図1に示すように、複数の商品検出器具3がマトリクス状に配置されている場合に、マトリクスの各位置に商品があるか否かについての情報に相当する。
【0059】
制御部51は、タグTが信号(パケット)を発信する頻度に基づいて、商品が商品検出器具3に載置されているか否か決定してもよい。商品検出器具3に商品が載置されたときにタグTが電波遮蔽部材SMに近接するものの十分に接触しない場合には、タグTから発信される電波が完全には遮蔽されず、無線装置2がタグTから信号を受信することもある。その場合、タグTが信号を発信する頻度が低く、したがって無線装置2がタグTから信号を受信する頻度も低くなる。そこで、制御部51は、タグTが信号を発信する頻度が低く、それによって無線装置2からタグIDを取得する頻度が所定の閾値より低い場合には、対応する商品検出器具3上に商品があると判断する。
【0060】
店舗端末8は、店舗の担当者が所持し、かつタグ管理サーバ5と通信可能な情報処理端末であり、例えばPC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末やスマートフォン等である。
店舗端末8は、タグ管理サーバ5から通知される情報(例えば、無線装置2が故障していることを示す情報)や、タグ管理サーバ5から送信される画像を表示する。タグ管理サーバ5から送信される画像は後で例示により説明するが、例えばマトリクス状に配置された複数の商品の各々の有無を示す画像である。
通信プロトコルを限定するものではないが、店舗端末8とタグ管理サーバ5は例えばHTTPSにより通信を行い、店舗端末8のウェブブラウザはタグ管理サーバ5から送信される画像を含むウェブページを表示する。
【0061】
図6に、店舗端末8において表示される画像の一例を示す。この画像は、図1に示したように複数の商品が2×5のマトリクス状に配置される場合に対応している。
図6に示す画像は、上部101、中間部102、及び、下部103からなる。上部101には、商品名(例えば、ABC)や、補充用の商品の在庫の場所(補充在庫セクション)の位置情報(例えば、WS3)が表示される。中間部102には、店頭に配置可能な商品のうち売れ残っている商品の割合を示す情報(例えば、90%)が表示される。中間部102には、当該割合に応じたメッセージ(例えば、「店頭の残りが90%です。」というテキスト)が表示されてもよい。
【0062】
下部103には、2×5のマトリクス状に配置される商品検出器具3の各々の位置に商品が配置されているか否かについての情報が視覚的に認識可能に表示される。図示に示す例では、店頭の商品の配置レイアウトを模したマトリクス状の複数の矩形(1~2列、A~E行の矩形)が表示され、各矩形の中にタグIDを表示させるとともに、対応する位置の商品があるか否かに応じた表示態様で各矩形を表示させる。それによって、店舗端末8を見た店舗の担当者は即座に、商品名:ABCの商品のどの位置の商品があるか否か認識できる。
図6に示す例では、E2の商品が売れて無くなり、その他の商品が売れ残っている状態を示している。そのため、店頭の残りが90%(=9/10)として中間部102に表示される。それにより、店舗の担当者が店頭の在庫状況を認識しやすくなる。
【0063】
図1では商品検出器具3が2×5のマトリクス状に配置されている例を説明したが、これらの商品検出器具3の上側に柔軟性のある樹脂シート、フィルムや布を被せて使用しても良い。樹脂シート等を被せることにより、凹凸が緩和され、商品Pの取り出しや補充がスムースに行われるようになる。
【0064】
以上説明したように、上述した商品管理システム1では、商品検出器具3は、商品が載置されたときに揺動部材33が揺動してタグTが電波遮蔽部材SMと近接することにより、タグTが電波を放射できなくなるように構成される。タグ管理サーバ5は、無線装置2から、無線装置2がタグTから信号を受信できたか否かの結果を取得し、その結果に基づいて商品が商品検出器具3上にあるか否か判断する。複数の商品が配置される場合には商品ごとに複数の商品検出器具3の各々に配置されるように構成し、各商品の有無を表示させることで、店舗の担当者は、商品の在庫数だけでなく、どの位置の商品が売れ残っているか認識することができる。
【0065】
したがって、商品管理システム1によれば、店舗の担当者が目視確認しなくても、商品の在庫数や補充すべき商品の位置を把握することができ、商品補充や商品の発注を適切に行うことができる。特に、補充すべき商品の位置(商品検出器具3に商品が載置されていない位置)を正確に認識できるため、商品の補充作業が容易になる。また、売れ残っている商品の位置を把握できるため、複数の商品がマトリクス状に配置されている場合、売れ残っている商品を来店者の目に留まりやすい位置に移動させる等、適切な商品配置作業を適時に行うことができる。
【0066】
次に、図2及び図3に示した商品検出器具3とは別の実施形態の商品検出器具について説明する。
図7に、一実施形態の商品検出器具3Aを示す。図7は、図3に示した商品検出器具3と同様に、商品検出器具3Aを断面視で見たときの図である。
商品検出器具3Aが商品検出器具3と異なるのは、商品検出器具3とは逆に、商品検出器具3A上に商品PがないときにタグTと無線装置2の通信が遮断され、商品検出器具3A上に商品PがあるときにタグTと無線装置2の通信が可能となる点である。図7に示す商品検出器具3Aでは、実線で表されている揺動部材33Aの位置が第1位置に相当し、仮想線で表されている揺動部材33Aの位置が第2位置に相当する。
図7に示すように、商品検出器具3Aの基部31Aの上面には傾斜部311が形成され、傾斜部311上に電波遮蔽部材SMが配置される。傾斜部311を設けることで、揺動部材33Aが第1位置にあるときにタグTと電波遮蔽部材SMが面接触し、タグTからの電波を効果的に遮蔽できる。
【0067】
商品検出器具3Aに商品Pがない状態では、重り37による反時計回りのトルクにより、揺動部材33は、突出部333が上面32Pから上方に突出した第1位置(図7の実線で表されている位置)にある。第1位置にあるときには、タグTと電波遮蔽部材SMが近接又は接触する。すると、電波遮蔽部材SMがタグTから発信される電波を遮蔽し、タグTからの電波の放射性能が大幅に低下する。その結果、無線装置2がタグTから発信されるパケットを受信できなくなるか、受信頻度が大幅に低下する。
他方、商品検出器具3に商品Pが載置されている状態では、商品Pの重力により突出部333の頂部が上面32Pに位置するまで揺動部材33が押し下げられる。それによって、揺動部材33が第2位置(図7の仮想線で表されている位置)に移動し、タグTが電波遮蔽部材SMから離間する。この状態では、タグTからの電波の放射性能が低下しないため、無線装置2がタグTから発信されるパケットを問題なく受信できる。
【0068】
図8に、一実施形態の商品検出器具3Bを示す。図8は、図3に示した商品検出器具3と同様に、商品検出器具3Bを断面視で見たときの図である。
商品検出器具3Bが商品検出器具3と異なるのは、タグTが突出部333の底面に取り付けられており、タグTと電波遮蔽部材SMの近接及び離間が、軸部332を基準にして突出部333と同じ側で行われる点にある。図8に示す商品検出器具3Bでは、実線で表されている揺動部材33Bの位置が第1位置に相当し、仮想線で表されている揺動部材33Bの位置が第2位置に相当する。
図7に示すように、突出部333の底面にはタグTが取り付けられ、基部31Bの上面には電波遮蔽部材SMが取り付けられている。
重り37Bは、軸部332を挟んで突出部333が取り付けられている側とは反対側に設けられている。重り37Bは、揺動部材33Bを第2位置から第1位置に向けて(つまり、図8において揺動部材33Bを反時計回りに)揺動させるトルクを生じさせるトルク発生部材の一例である。重り37Bは、図8において突出部333の自重による時計回りのモーメントを打ち消して反時計回りのトルクを生じさせる。
図8に示す実施形態では、揺動部材33Bにおいて、軸部332を基準にして、突出部333と、タグT及び電波遮蔽部材SMとが同じ側にあるため、揺動部材33B及び商品検出器具3Bの小型化を図ることができる。
【0069】
図8に示すように、商品検出器具3B上に商品Pがない状態では、重り37Bによる反時計回りのトルクにより、揺動部材33Bは、突出部333が上面32Pから上方に突出した第1位置(図8の実線で表されている位置)にある。第1位置にあるときには、タグTと電波遮蔽部材SMが近接せず、両者の間に隙間が確保されている。この状態では、タグTからの電波の放射性能が低下しないため、無線装置2がタグTから発信されるパケットを問題なく受信できる。
他方、商品検出器具3Bに商品Pが載置されている状態では、商品Pの重力により突出部333の頂部が上面32Pに位置するまで揺動部材33が押し下げられる。それによって、揺動部材33Bが第2位置(図8の仮想線で表されている位置)に移動し、突出部333の底面に取り付けられているタグTが、電波遮蔽部材SMと接触又は近接する。すると、電波遮蔽部材SMがタグTから発信される電波を遮蔽し、タグTからの電波の放射性能が大幅に低下する。その結果、無線装置2がタグTから発信されるパケットを受信できなくなるか、受信頻度が大幅に低下する。
【0070】
なお、図8では、突出部333にタグTが取り付けられ、基部31Bに電波遮蔽部材SMが取り付けられる場合を示したが、その限りではない。一実施形態では、突出部333に電波遮蔽部材SMが取り付けられ、基部31BにタグTが取り付けられてもよい。
【0071】
図9に、一実施形態の商品検出器具3Cを示す。図9は、図8に示した商品検出器具3Bと同様に、商品検出器具3Cを断面視で見たときの図である。
商品検出器具3Cが商品検出器具3B(図8)と異なるのは、軸部332を挟んで突出部333が取り付けられている側とは反対側に重りを設けず、その代わりに、捩りばね38が軸部332に取り付けられている点にある。捩りばね38は軸部332に巻き付けられており、捩りばね38の一端が支持部34に形成された突出部341(図9の手前側に突出した部分)に当接し、かつ他端が揺動部材33Cの下側の面に当接している。それによって、突出部333が押し下げられて揺動部材33Cが図9の時計回りに揺動した場合に、捩りばね38が揺動部材33Cに対して反時計回りのトルクを生じさせる。捩りばね38は、図9において揺動部材33Cに反時計回りのトルクを生じさせるトルク発生部材の一例である。
商品検出器具3Cの動作は、商品検出器具3Bと同じである。
商品検出器具3Cは、商品検出器具3Bと比較して重りがない分、揺動部材33Cを短くできるため、さらに小型化を図ることができる。
【0072】
次に、一実施形態の商品検出器具3Dについて図10及び図11を参照して説明する。
図10に、一実施形態の商品検出器具3Dの分解斜視図を示す。図11は、図10に示す商品検出器具3DのA-A断面図である。
図10に示すように、商品検出器具3Dは、基部31D、蓋32D、及び、揺動部材33Dを有する。基部31D、蓋32D、及び、揺動部材33Dはそれぞれ、例えば樹脂で成形される。
揺動部材33Dは、本体部331D及び突出部333Dを備える。本体部331Dの側部には、一対の軸部332pが側方に突出している。軸部332pは、揺動部材33Dの揺動軸である。本体部331Dの上面には、軸部332pを挟んで一方の側にタグTが取り付けられ、他方の側に支持棒334が設けられている。
【0073】
蓋32Dの内面においてタグTと対向する位置に電波遮蔽部材SMが取り付けられている。揺動部材33Dが軸部332pを中心に揺動すると、タグTが電波遮蔽部材SMに近接し、あるいは離間するように構成されている。
【0074】
突出部333Dは、商品検出器具3D上に商品がない状態で、蓋32Dに形成された孔321から上方に突出する部材である。図10に示す例では、長孔形状の孔321に合せて突出部333Dは細長い形状となっているが、その限りではない。蓋に形成された孔から突出可能に構成すれば、突出部は如何なる形態であってもよい。好ましくは、突出部333Dは鉛直上方に凸型の湾曲面を有する。突出部333Dには凹み333dが形成されており、この凹み333dが本体部331Dの支持棒334に嵌合することにより、本体部331Dと突出部333Dが一体化される。
基部31Dには、本体部331Dの一対の軸部332pをそれぞれ受け入れる一対の溝312が形成されている。
【0075】
図11を参照すると、図10に示した各部が組付けられた状態で、商品検出器具3D上に商品がない場合にタグTと電波遮蔽部材SMが離間するように、軸部332pの位置が設定されている。
一実施形態では、軸部332pは、本体部331Dの長手方向において中央よりも支持棒334がある側に配置されるが、その限りではない。一実施形態では、図10に示すように、本体部331Dの長手方向において軸部332pと支持棒334の間に孔335が形成される。その場合、軸部332pを挟んで支持棒334がある側の部分について本体部331Dの軽量化を図ることができるため、軸部332pを長手方向中央よりもタグTがある側に配置しても、商品検出器具3D上に商品がない場合にタグTと電波遮蔽部材SMが離間するように構成することができる。
【0076】
商品検出器具3Dの動作は、図2及び図3に示した商品検出器具3と同じである。すなわち、商品検出器具3D上に商品がない場合には、突出部333Dが孔321を通して上面32P
から上方に突出し、タグTと電波遮蔽部材SMが離間するため、タグTと無線装置2が通信可能である。商品検出器具3D上に商品がある場合には、商品の重量によって突出部333Dが押し下げられ、それによって揺動部材33Dが軸部332pを中心に揺動し、タグTと電波遮蔽部材SMが近接するため、タグTと無線装置2の通信ができなくなる。
【0077】
(2)第2の実施形態
次に第2の実施形態について説明する。
この実施形態の商品管理システムは、店舗の傾斜型の商品棚(傾斜棚)に商品が残っているか否かについて店舗担当者が認識できるように構成されている。商品が残っているか否かを検出するために、商品検出器具(物品検出器具の一例)が使用される。
以下、第2の実施形態の商品検出器具について、図12図14を参照して説明する。図12には、一実施形態の商品検出器具の配置例が示される。この実施形態では、商品検出用具6及び商品載置部材7が一実施形態の商品検出器具を構成する。限定するものではないが、商品検出用具6及び商品載置部材7は、例えばプラスチック等の樹脂、木材、又は紙で成形される。
【0078】
図12において商品載置部材7は、複数の商品Pが一列に載置可能な収納部7Hを備えている。収納部7Hは、商品載置面72と一対の側壁73によって形成される。商品載置部材7は、商品載置面72から起立して延びる規制板71を備える。
商品載置部材7は長手方向に商品を配列可能であり、一方の側が、店舗が商品を補充する商品補充側となり、他方の側が、消費者が商品を取り出す商品取出し側となるように、店舗に配設される。商品載置部材7の商品載置面72は水平面HL(図14参照)に対して傾斜している。そのため、商品載置面72上に載置された商品Pは、自重により商品取出し側に移動し、商品載置部材7の商品取出し側にある規制板71に当接するように構成されている。つまり、規制板71は、商品Pが商品載置面72にある場合に商品Pの自重による移動を規制する。規制板71の商品Pに対向する面には、電波遮蔽部材SMが接着されている。商品載置面72上の商品Pの移動をより円滑にするために、商品載置面72にローラを設けてもよい。
商品補充側から商品載置部材7に補充された1又は複数の商品Pは、商品取出し側から消費者によって1つの商品Pが取り出される度に商品取出し側に向かって進む。それにより、商品載置面72上の1又は複数の商品Pのうち先頭の商品P(最も商品取出し側にある商品P)が常に規制板71に当接することになる。
【0079】
図13に示すように、商品検出用具6は、断面が略V字形状の部材であり、第1板状部61、第2板状部62、及び、係合部63を備える。第1板状部61及び第2板状部62はそれぞれ、係合部63から延びている。係合部63は、商品載置部材7と係合する部分である。
【0080】
第1板状部61の端部には折り返し部64が形成されている。折り返し部64には、図12に示すように、商品Pの情報を印字されたラベルPLが配置される。
第1板状部61は、第2板状部62より重い。一実施形態では、第1板状部61は第2板状部62よりも肉厚で形成され、それにより、第1板状部61が第2板状部62よりも重くなっている。第1板状部61が第2板状部62より重いことは、商品検出用具6が実質的に重りを含むトルク発生部材として機能することを意味する。
図13に示す例では、第1板状部61が第2板状部62よりも長く形成されているが、その限りではない。第1板状部61が第2板状部62より重い限り、第1板状部61は第2板状部62より短くてもよい。第1板状部61を相対的に重くするために、商品検出用具6全体を樹脂で作製する場合に、第1板状部61に金属部材をインサート成形してもよい。
【0081】
第2板状部62の第1板状部61と対向する側の面には、タグTが貼り付けられている。
図12に示すように、商品検出用具6の係合部63は、商品載置部材7の規制板71の規制板端部71eに上方から配置され、それによって商品検出用具6が商品載置部材7と係合する。
【0082】
図14を参照して、本実施形態の商品検出器具(商品検出用具6及び商品載置部材7)についてさらに説明する。
図14は、図12に示した商品検出器具を側面視で見た図である。図14では、商品載置部材7の収納部7H内の状態がわかるように側壁73を記載していない。図14では、商品載置部材7の商品載置面72に商品Pが1つも載置されていないときの商品検出用具6の位置(第1位置の一例)を実線で表し、商品載置面72に商品Pが1つでも載置されているときの商品検出用具6の位置(第2位置の一例)を仮想線で表している。
図14に示すように、商品検出用具6が第1位置にあるときにタグTと電波遮蔽部材SMが近接せず、商品検出用具6が第2位置にあるときにタグTと電波遮蔽部材SMが近接する。
【0083】
商品検出用具6と商品載置部材7が係合した状態では、商品検出用具6は、商品載置部材7の規制板端部71eを仮想軸として揺動可能である。すなわち、商品検出用具6は、商品Pが商品載置面72(基準面の一例)上にないときに位置する第1位置と、商品Pが商品載置面72上にあるときに位置する第2位置との間で、仮想軸としての規制板端部71eを中心に揺動可能な揺動部材として機能する。
前述したように、商品検出用具6では、第1板状部61が第2板状部62よりも重くなっている。そのため、商品検出用具6と商品載置部材7が係合した状態では、第1板状部61が、商品検出用具6を第2位置から第1位置に向けて揺動させるトルクを生じさせるトルク発生部材として機能する。
【0084】
次に、図14を参照して本実施形態の商品検出器具の動作について説明する。
商品載置部材7の商品載置面72に商品Pが1つでも載置されている状態では、商品載置面72上にある先頭の商品Pの自重により、商品検出用具6の第2位置から第1位置に向けて揺動させるトルクに打ち勝って、規制板端部71eを仮想軸として図14の時計方向に商品検出用具6を揺動させる。それによって、商品検出用具6の第2板状部62が商品載置部材7の規制板71に当接する。この状態が商品検出用具6の第2位置(仮想線で示す)に相当する。この状態では、第2板状部62に配置されているタグTが、電波遮蔽部材SMと接触又は近接する。すると、電波遮蔽部材SMがタグTから発信される電波を遮蔽し、タグTからの電波の放射性能が大幅に低下する。その結果、無線装置2がタグTから発信されるパケットを受信できなくなるか、受信頻度が大幅に低下する。
【0085】
商品載置部材7から商品Pがすべて取り出されて商品載置面72上に商品Pが1つも載置されなくなると、商品検出用具6を第2位置から第1位置に向けて揺動させるトルクにより、第1板状部61がほぼ鉛直下方を向く状態で商品検出用具6が平衡状態となる。この状態が商品検出用具6の第1位置(実線で示す)に相当する。商品検出用具6が第1位置にあるときには、第2板状部62に取り付けられているタグTが電波遮蔽部材SMと近接せず、両者の間に隙間が確保されている。この状態では、タグTからの電波の放射性能が低下しないため、無線装置2がタグTから発信されるパケットを問題なく受信できる。
【0086】
なお、商品載置部材7にある複数の商品Pのうち先頭の商品Pが取り出されてから、次の商品Pが規制板71に当接するまでの僅かな間に、商品検出用具6が第1位置に向かって図14の反時計回りに揺動し、タグTが電波遮蔽部材SMから離れる。そのため、この僅かな間に、タグTと無線装置2の通信が可能となる場合がある。しかしその場合、商品載置部材7に商品Pが1つもない場合と比較して、タグTと無線装置2の通信可能となる頻度がずっと低くなることから、タグ管理サーバ5は、通信可能となる頻度を所定の閾値と比べることにより、商品載置部材7に商品Pが1つもない状態を確実に判定することができる。
【0087】
第1の実施形態と同様に、タグ管理サーバ5は、無線装置2と通信可能であり、無線装置2からタグTとの通信可否の結果を取得し、通信可否の結果に基づいて、少なくとも1つの商品Pが商品載置部材7の商品載置面72上にあるか否かについて決定する。
【0088】
次に、図12図14に示した商品検出器具とは別の実施形態について、図15及び図16を参照して説明する。図15は、図14と同様に、一実施形態の商品検出器具を側面視で見た図である。図16は、図15に示す実施形態の商品検出器具に含まれる商品検出用具6Aの斜視図である。
図15においても、商品載置部材7の商品載置面72に商品Pが1つも載置されていないときの商品検出用具6Aの位置(第1位置の一例)を実線で表し、商品載置面72に商品Pが1つでも載置されているときの商品検出用具6Aの位置(第2位置の一例)を仮想線で表している。
【0089】
図16に示すように、商品検出用具6Aは、本体部601、揺動部材602、軸部603、及び、捩りばね604を有する。限定しないが、本体部601、揺動部材602、及び、軸部603は、例えば、樹脂により成形される。
本体部601には、長手方向に溝部601dが形成されている。図15に示すように、溝部601dには商品検出用具6Aを商品載置部材7の規制板端部71eが挿入され、それによって商品検出用具6Aが商品載置部材7の規制板71に取り付けられる。
揺動部材602には軸部603が連結されている。揺動部材602と軸部603は一体成形してもよい。軸部603の両端は、本体部601の支持部611に回転可能に軸支されている。
一実施形態では、捩りばね604は軸部603の軸方向中央部に配置され、軸部603に巻き付けられている。捩りばね604の一端が本体部601に当接し、捩りばね604の他端が揺動部材602の一面(タグTが取り付けられている面;図15参照)に当接している。それによって、捩りばね604は、図15において揺動部材602が規制板71側に当接している場合に揺動部材602に反時計回りのトルクを生じさせるトルク発生部材として機能する。
【0090】
次に、図15に示す実施形態の商品検出器具の動作について説明する。
商品載置部材7の商品載置面72に商品Pが1つでも載置されている状態では、商品載置面72上にある先頭の商品Pの自重により、捩りばね604が発生するトルクに打ち勝って、軸部603を中心として図15の時計方向に商品検出用具6Aを揺動させる。それによって、商品検出用具6Aの揺動部材602が商品載置部材7の規制板71に当接する。この状態が商品検出用具6Aの第2位置(仮想線で示す)に相当する。この状態では、揺動部材602に配置されているタグTが、電波遮蔽部材SMと接触又は近接する。すると、電波遮蔽部材SMがタグTから発信される電波を遮蔽し、タグTからの電波の放射性能が大幅に低下する。その結果、無線装置2がタグTから発信されるパケットを受信できなくなるか、受信頻度が大幅に低下する。
【0091】
商品載置部材7から商品Pがすべて取り出されて商品載置面72上に商品Pが1つも載置されなくなると、商品検出用具6Aを第2位置から第1位置に向けて揺動させる捩りばね604のトルクにより、揺動部材602が商品載置部材7の規制板71から離間する。この状態が商品検出用具6Aの第1位置(実線で示す)に相当する。商品検出用具6Aが第1位置にあるときには、揺動部材602に取り付けられているタグTが電波遮蔽部材SMと近接せず、両者の間に隙間が確保されている。この状態では、タグTからの電波の放射性能が低下しないため、無線装置2がタグTから発信されるパケットを問題なく受信できる。
【0092】
以上説明したように、第2の実施形態の商品検出器具は、商品載置部材7に商品Pが1つでも載置されている状態では、無線装置2がタグTと通信できないか通信頻度が大幅に低下する。商品載置部材7に補充された商品Pがすべて取り出されると、タグTと無線装置2の通信が可能となる。
そこで、無線装置2がタグTとの通信が可能となった場合、あるいは、タグTとの通信頻度が所定値より高くなった場合に、タグ管理サーバ5が店舗端末8に通知する。それによって、店舗の担当者は、商品載置部材7が空になったことを認識でき、商品載置部材7に商品Pを適時に補充することが可能となる。
【0093】
一実施形態の商品管理方法(物品管理方法の一例)は、以下の(1)~(5)の各ステップを含む。
(1)第1位置と第2位置との間で所定の軸を中心に揺動可能であって、タグT又は電波遮蔽部材SMのいずれか一方が取り付けられた揺動部材と、揺動部材を第2位置から第1位置に向けて揺動させるトルクを生じさせるトルク発生部材と、を備えた物品検出器具を配置するステップ
(2)商品Pが基準面上にあるときには、揺動部材が第2位置にあり、タグTと電波遮蔽部材SMが近接し、それによってタグTが発する電波が遮蔽されるステップ
(3)商品Pを所定の基準面から取り除いたときには、揺動部材が前記第2位置から第1位置に揺動し、タグTと電波遮蔽部材SMが離間し、それによってタグTが発する電波が遮蔽されなくなるステップ
(4)無線装置2によるタグTとの通信可否の結果を取得するステップ
(5)上記通信可否の結果に基づいて、商品Pが基準面上にあるか否か決定するステップ
【0094】
以上、本発明の物品管理システム、物品管理方法、物品検出器具、及び、物品検出装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0095】
通信デバイスが、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えたIoTタグである場合について説明したが、その限りではなく、UHF帯、HF帯、又は、マイクロ波帯で動作するRFIDタグであっても構わない。また、いずれの場合も、RFIDタグは、パッシブ型(電池が内蔵されていないもの)でもよいし、アクティブ型(電池が内蔵されているもの)であってもよい。
【0096】
例えば、図3及び図7では、揺動部材にタグTが取り付けられ、蓋や基部等の固定部材に電波遮蔽部材SMが取り付けられる場合を示したが、その限りではない。揺動部材に電波遮蔽部材SMが取り付けられ、蓋や基部等の固定部材にタグTが取り付けられもよい。例えば、一実施形態では、電波遮蔽部材SMが揺動部材33の本体部331に取り付けられ、蓋32又は基部31にタグTが取り付けられてもよい。
【0097】
図14及び図15に示す実施形態では、商品載置部材7に電波遮蔽部材SMを取り付けられ、商品検出用具にタグTを取り付ける場合について説明したが、その限りではない。商品載置部材7にタグTを取り付けられ、商品検出用具に電波遮蔽部材SMを取り付けてもよい。
【0098】
上記電波遮蔽部材SMとして、タグTからから出射する電波を吸収する電波吸収体を適用することもできる。
電波吸収体は限定しないが、例えば、カーボンと発泡スチロールを組み合わせたもの(発泡スチロールを基材とし、カーボンのオーム損失を利用した電波吸収材)、フェライトと無機材料を組み合わせたもの(フェライトの磁気損失を利用した電波吸収材)、カーボンと発泡ポリエチレンを組み合わせたもの、磁性体と合成ゴムを組み合わせたもの(例えば、合成ゴムにフェライト粉末を混合したものや、合成ゴムにカーボニル鉄紛を混合したもの)、フェライト焼結体、ガラスクロス補強アルミ箔と導電粘着層を組み合わせたもの、誘電材料の層を利用したもの等が挙げられる。
【符号の説明】
【0099】
1…商品管理システム
T…タグ
Tref…参照タグ
11…制御部
111…メモリ
12…通信用アンテナ
13…ハーベスティングアンテナ
14…ハーベスティング部
141…電圧増倍器
142…キャパシタ
15…電圧制御部
16…RF通信部
2…無線装置
21…制御部
22…アンテナ
23…RF通信部
24…通信部
3,3A,3B,3C,3D…商品検出器具
31,31A,31B,31D…基部
311…傾斜部
312…溝
32,32D…蓋
321…孔
33,33A,33B,33C,33D…揺動部材
331,331D…本体部
332,332p…軸部
333,333D…突出部
333d…凹み
334…支持棒
325…孔
34…支持部
37,37B…重り
38…捩りばね
5…タグ管理サーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
6,6A…商品検出用具
61…第1板状部
62…第2板状部
63…係合部
64…折り返し部
65…捩りばね
601…本体部
601d…溝部
602…揺動部材
603…軸部
604…捩りばね
611…支持部
7…商品載置部材
7H…収納部
71…規制板
71e…規制板端部
72…商品載置面
73…側壁
8…店舗端末
9…商品棚
HL…水平面
SM…電波遮蔽部材
P…商品
PL…ラベル
NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16