(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021970
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】トラスシステム用装置内蔵フレーム
(51)【国際特許分類】
F16M 11/10 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
F16M11/10 Z
F16M11/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125204
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】722009121
【氏名又は名称】有限会社Equation
(72)【発明者】
【氏名】藤原 崇
(57)【要約】
【課題】
取り付けや調整の難しい装置及び多数の装置を予め内蔵し、専門的知識が無くとも現場でトラスシステムの構造体の一部として組み立て可能な装置内蔵フレームを提供する。
【解決手段】
トラスシステム構造物の一部として、梁や柱として使用可能な強度を持ったフレーム1に、トラスシステムへの接続口2を両側に設けることで、既存のトラスシステム構造体と同様の取り扱いを可能とした。また、取り付けや調整に専門的知識が必要な装置や、取り付けに工数の嵩む装置をフレーム1内に予め組み込み、トラスシステムの組み立て技能だけで、特別な技能を持たずとも組み込んだ装置を利用可能とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を取り付け可能なフレームかつ、トラスシステム構造物の構造部材として使用できる強度を備えたフレームであり、トラスシステムの接続口に対応し、フレームに一体化された接続部を有することを特徴とするフレーム。
【請求項2】
装置の荷重を受ける軸を有するとともに、軸を中心に回転可能なフックと、取手取り付けねじを中心に回転可能な取手と、取手と一体となった爪と、爪と引っ掛かり取り付け角度を保持する突起を備え、脱着可能な構造を特徴とする取り付け治具によって、装置を固定するようにした請求項1のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラスシステム構造部材として使用でき、内部に各種装置を内蔵できるフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来ではトラスシステム構造物に装置を取り付ける際は、特許文献1の
図1及び
図2にあるように構造物の完成後に別途装置の取り付けと調整を必要としていた。
【0003】
近年では、頭上の深度センサで人や物の位置、高さなどを測定し、その結果から電子計算機で作成した映像を床に投影するインタラクティブフロア(対話型床投影装置)や、AR(拡張現実)砂場と呼ばれるシステムがあり、取り付けや調整には高度な専門的知識が要求されている。
【0004】
トラスシステムは、アルミトラスやシステムトラスとも呼ばれており、梁や柱として使用できる強度を持った構造体である。この構造体は、両端に構造体同士を相互に接続できる接続口が設けられており、これらを組み合わせることで大きな構造物を構築することができる。また、この構造体の材質は、主にアルミニウムとなっており、軽量かつ安価である。これらの特徴を生かしてイベントや仮設ステージ等の構造物で一般的に使用されており、入手性や施工性にも優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トラスシステム構造物の完成後に装置の取り付けと調整を行うことは、工数が増えることもさることながら、構造物の組み立ての技術と装置の取り付けや、システム調整の技術など複数の技術が必要となり、技術者の確保も困難である。
【0007】
従って、トラスシステム構造物の一部として取り扱いができる強度を持ったフレーム内に、調整済みの装置を予め取り付けておくことができれば、トラスシステム構造物を組み立てるだけで、別途装置の取り付けと調整が不要となり、前述の欠点を解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、装置を取り付け可能かつトラスシステム構造物の一部として十分な強度を備えたフレーム1に、トラスシステムに接続可能な接続口2を両側に設けることにより、問題点を解決している。
【0009】
請求項2に係る発明は、装置取り付け板8に設けたフック9にフレーム1に設けた軸6の溝に嵌合する回転部と、指定角度に仮止め可能な取手10と、一体化された爪11を突起4に引掛けることにより、装置の指定角度への脱着問題を解決している。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、トラスシステム構造物の組み立てのみで、装置の取り付けと調整が不要となり、工数を削減できるとともに装置の技術者が不要となる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、フレーム内において装置の指定角度での脱着が容易となり、調整手間の削減やメンテナンス時の工数の削減に寄与する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例0013】
実施例を
図4に示す。本実施例では、トラスシステム構造物中に本発明のフレームを用いてインタラクティブフロアシステムを構築している。
【0014】
インタラクティブフロアシステムは、頭上の深度センサで人や物の位置や高さなどを測定し、その結果から電子計算機で作成した映像を投影装置により床に映し出すものである。
図4の実施例では、利用者18の位置と高さを検知する深度センサ、映像を作成する電子計算機、床面に映像を投影する投影装置14をフレーム1内に収容している。また、利用者の位置情報の時間的変化から動きを計算し、動きに応じた映像も表示することができる。
【0015】
トラスシステム構造体の一例を
図3に示す。この構造体は、梁や柱として使用できる強度を持ち接続口15を他の構造体の接続口とトラスシステム連結用ボルト穴16を通してボルトとナットで締結することで大きな構造物を構築することができる。一般的に接続口の大きさが200mm×200mm、300mm×300mm 、450mm×450mmのものがあり、長さが200mmから3600mm程度のものが流通している。基本的に接続口が同じ構造体のうち、様々な長さのものを組み合わせることで構造物を構築する。本実施例で使用しているトラスシステム構造体は、接続口の大きさが200mm×200mm、長さ200mmのものが4個、1000mmのものが10個で構成されている。また、実施例中のフレームは、長さが500mmとなっており、市中に流通している接続口200mm×200mm、長さ500mmのトラスシステム構造体と入れ替えることが可能である。
【0016】
請求項1の一実施形態を、
図4に示す。このフレーム内には、投影装置や深度センサ、電子計算機等、電源の供給のみでシステムを単体で利用できる装置類が内蔵されている。特に投影装置14からは膨大な熱が発せられることから、投影装置14の側面にある吸排気口を極力妨げず、強度を得られるラーメン構造とした。また、トラスシステムの接続口2を両側に設け、
図4に示した通りトラスシステムの構造体の一つとして使用可能な構造となっている。この構造により、本発明のフレームに予め必要な機器を組み込み事前に調整を行っておくことで、設置現場では市中に出回っているトラスシステム構造体の組み立て技能のみで施工及びシステムの利用が可能となる。
【0017】
請求項2の一実施形態を、
図2に示す。投影装置は、一般的に投影レンズの中心と画面の中心が一致しておらず、投影装置の出力映像と深度センサの検知範囲を一致させるため、投影装置を傾けて設置する必要がある。
【0018】
投影装置設置の手順は以下の通りである。
図5に取り付け操作の流れを示す。(1)装置取り付け板8に投影装置14のねじ穴を介して取り付ける。(2)取手取り付けねじ13を中心に回転可能な取手10を手で持ち投影装置を吊り下げ状態にする。回転可能かつ吊り下げ状態とすることで、投影装置の重心は手の下となり操作が容易である。(3)フック9を請求項1のフレーム1に溶接された軸6に設けられた溝7に嵌め込み、回転可能な状態で仮設置する。溝7にフック9を嵌め込む構造とすることで軸方向の移動を拘束している。(4)爪11を突起4に引掛ける。投影装置の荷重は軸6にほぼ支えられており、容易に爪11を突起4に引掛けることができる。この状態で投影装置の荷重はフック9と爪11で支えられているため、手を離しても安定した状態を保つことができる。(5)ねじを装置固定通し穴12に通し、装置固定ねじ穴5と締結することにより、投影装置を指定角度に確実に固定することができる。
【0019】
これらの操作は、何れも一人で行うことができ、調整不要で短時間で確実に完了させることができる。投影装置は、常に大量の空気を吸排気しており、定期的な清掃が必要である。また、光源も定期的な交換が必要なことから、頻繁に脱着が行われる。このため、一人で容易に作業が可能であることは、工数の大幅な削減となる。
トラスシステムの構造体は、梁や柱として利用できる強度を備えており、本発明のフレームも同様に利用可能である。実施例では、本発明のフレームを梁の構造体として使用していたが、柱部に使用することで壁面への投射や、複数を梁や柱部に使用することで巨大な投影範囲を得ることも可能である。また、本発明のフレーム内の装置をスピーカや照明装置、レーザーライト等とすることで、トラスシステムを施工するだけで構造物中に複数の機能を持たせることが可能である。
実施例のフレームは、投影装置の吸排気の問題からラーメン構造としていたが、内蔵する装置の仕様によってはトラス構造など、他の構造形態をとることで強度や装置の配置、意匠を変更することが可能となり、多種多様な装置への対応や外観を得ることができる。
トラスシステムの接続口は、実施例のフランジ式の他、クランプ式やピン接合式などの接続口を持つものが存在するので、フレームの両側に設ける接続口を、使用するトラスシステムの接続口とすることで多様なトラスシステムに対応可能である。