IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ SMK株式会社の特許一覧

特開2024-21986通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システム
<>
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システム 図1
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システム 図2
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システム 図3
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システム 図4
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システム 図5
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システム 図6
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021986
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20240101AFI20240208BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20240208BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20240208BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20240208BHJP
   H04W 72/02 20090101ALI20240208BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W4/38
G08C17/00 Z
H04L12/28 200B
H04W72/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125234
(22)【出願日】2022-08-05
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003236
【氏名又は名称】弁理士法人杉浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】山岸 将照
【テーマコード(参考)】
2F073
5K033
5K067
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA11
2F073AA19
2F073AA21
2F073AA25
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE08
2F073DE13
2F073DE16
2F073EE01
2F073EF09
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG08
5K033AA05
5K033CA07
5K033CB06
5K033DB16
5K033EC04
5K067AA13
5K067BB27
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE16
5K067GG01
(57)【要約】
【課題】送信タイミングを他の端末装置の送信タイミングとずらすことができる通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システムを提供する。
【解決手段】機器毎に割り当てられるMACアドレスを分割することで得られる分割値を使用した演算を行い、演算結果に基づいて送信タイミングを設定する、通信制御装置である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器毎に割り当てられるMACアドレスを分割することで得られる分割値を使用した演算を行い、演算結果に基づいて送信タイミングを設定する、
通信制御装置。
【請求項2】
前記MACアドレスを分割することで得られる第1の分割値及び第2の分割値を乗じた演算結果に基づいて、前記送信タイミングを設定する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記分割値と前記MACアドレスとは異なる固有値とを乗じた演算結果に基づいて、前記送信タイミングを設定する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記固有値は、機器毎に割り当てられるシリアル番号である、
請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記演算結果に対して、当該演算結果を一定以下にする所定のマスク値を乗じた演算結果に基づいて、前記送信タイミングを設定する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記マスク値を乗じた演算結果を、1単位当たりの時間で変換することでディレイ時間を求め、基準時に対して前記ディレイ時間の分だけ遅延させたタイミングを前記送信タイミングとして設定する、
請求項5に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記マスク値は、1送信時間、1単位当たりの時間、通信毎のインターバル、及び、前記インターバルに対する最大ディレイ時間に基づいて決定される、
請求項5に記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記設定された送信タイミングで所定のセンシングデータを送信するための制御を行う、
請求項1から7までの何れかに記載の通信制御装置。
【請求項9】
前記所定のセンシングデータを、サブギガヘルツ周波数帯を使う無線通信により送信する、
請求項8に記載の通信制御装置。
【請求項10】
機器毎に割り当てられるMACアドレスを分割することで得られる分割値を使用した演算を行い、演算結果に基づいて送信タイミングを設定する、
通信制御方法。
【請求項11】
複数の端末装置と、
前記複数の端末装置のそれぞれから送信されるセンシングデータを受信する通信装置と、
を有し、
前記端末装置は、前記センシングデータを取得するセンサーと、通信制御装置とを有し、
前記通信制御装置は、機器毎に割り当てられるMACアドレスを分割することで得られる分割値を使用した演算を行い、演算結果に基づいて送信タイミングを設定し、設定した送信タイミングで前記センシングデータを前記通信装置に送信するための制御を行う、
データ収集システム。
【請求項12】
前記複数の端末装置は、各端末装置に対する遠隔操作に応じて同時に起動される、
請求項11に記載のデータ収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の端末装置から、当該端末装置が有するセンサーで測定されたセンシングデータを収集するシステムが知られている。係るシステムは、例えば、スマートグリッド、ビルの照明管理、インフラのモニタリング、防犯システム、高齢者見守りサービス、スマート農業等で用いられている。特に、サブギガヘルツ周波数帯(例えば、920MHz前後の帯域)を用いた無線通信は、Wi-Fi(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)に比べて電波が遠くまで伝搬し、障害物による影響を受けづらく、電波干渉が少ない等の利点から、上述したシステムでの利用が期待されている。
【0003】
上述したシステムでは、センシングデータを収集する際に端末装置毎の送信タイミングをずらすことで、送信データが衝突してしまうことを回避することが求められる。例えば、下記の特許文献1には、複数のセンサが、自身に付与されているMAC(Media Access Control)アドレスに基づいて、データを送信するまでの遅延時間を決定する技術が記載されている。また、特許文献1には、遅延時間は、乱数に基づくランダム値Rnを用いて決定することや、MACアドレスの全桁を用いることで、個別のランダム値Rnを算出することが記載されている。さらに、特許文献1には、MACアドレスの一部、具体的には、MACアドレスの下位8ビットからランダム値Rnを算出することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-197925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、MACアドレスは通常、連番で付与されるため、MACアドレスの下位8ビットも連番、若しくは、近い値となり得る。このため、特許文献1に記載されているように、MACアドレスの全桁や下位の一部に基づく遅延時間では、遅延時間のランダム性を十分担保できない、換言すれば、十分に送信タイミングをずらすことができず、送信データが衝突してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、異なる端末装置間の送信タイミングを必要十分にずらすことが可能な通信制御装置、通信制御方法及びデータ収集システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
機器毎に割り当てられるMACアドレスを分割することで得られる分割値を使用した演算を行い、演算結果に基づいて送信タイミングを設定する、
通信制御装置である。
【0008】
本発明は、
機器毎に割り当てられるMACアドレスを分割することで得られる分割値を使用した演算を行い、演算結果に基づいて送信タイミングを設定する、
通信制御方法である。
【0009】
本発明は、
複数の端末装置と、
複数の端末装置のそれぞれから送信されるセンシングデータを受信する通信装置と、
を有し、
端末装置は、センシングデータを取得するセンサーと、通信制御装置とを有し、
通信制御装置は、機器毎に割り当てられるMACアドレスを分割することで得られる分割値を使用した演算を行い、演算結果に基づいて送信タイミングを設定し、設定した送信タイミングでセンシングデータを通信装置に送信するための制御を行う、
データ収集システムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明で考慮すべき問題についての説明がなされる際に参照される図である。
図2】本発明で考慮すべき問題についての説明がなされる際に参照される図である。
図3】本発明で考慮すべき問題についての説明がなされる際に参照される図である。
図4】一実施形態に係る通信制御装置の構成例を示すブロック図である。
図5】一実施形態に係る通信制御装置で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
図6】変形例を説明するための図である。
図7】変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態等について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態等は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容がこれらの実施形態等に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
<本発明で考慮すべき問題>
<一実施形態>
<変形例>
【0012】
<本発明で考慮すべき問題>
始めに、本発明の理解を容易とするために、本発明で考慮すべき問題について説明する。図1は、データ収集システム(データ収集システム1)の構成例を示す図である。データ収集システム1は、例えば、複数の端末装置2と、複数の端末装置2と無線接続される集約機3(通信装置の一例)と、集約機3と接続されるサーバー等のクラウドコンピュータCPと、を有している。図1では、複数の端末装置2として、7個の端末装置(端末装置2A、2B、2C・・・2G)が示されている。なお、個々の端末装置を区別する必要がない場合は、端末装置2と総称する。もちろん、端末装置2は、7個以外の個数であってもよい。データ収集システム1では、端末装置2が有するセンサー(後述するセンサー5)で測定されたセンシングデータが、端末装置2から集約機3に送信される。集約機3は、各端末装置2から送信されたセンシングデータを受信することでセンシングデータを集約した後、集約したセンシングデータをクラウドコンピュータCPに送信する。
【0013】
端末装置2はセンサー5を有している。例えば、端末装置2Aはセンサー5Aを有し、端末装置2Bはセンサー5Bを有する。センサー5としては、例えば、温度センサー、湿度センサー、加速度センサー、風や温度、湿度を計測する環境センサー、体温や脈拍等の生体情報を計測する生体センサー等が挙げられる。
【0014】
各端末装置2は、センサー5により得られたセンシングデータを集約機3に送信する通信機能を有する。端末装置2は、例えば、センシングデータをサブギガヘルツ周波数帯を用いた無線通信により、集約機3に送信する。サブギガヘルツ周波数帯とは、1GHz未満の周波数帯を意味する。端末装置2は、例えば起動後、初回送信の後、所定の時間間隔で、センシングデータを集約機3に定期的に送信する。
【0015】
集約機3は、例えばゲートウェイやアクセスポイントであり、端末装置2から送信されたセンシングデータを、クラウドコンピュータCPに送信する通信装置である。集約機3は、例えば、LTE(Long Term Evolution)や4G(Generation)(第4世代移動通信システム)、5G(第5世代移動通信システム)等の通信規格に基づいて、センシングデータをクラウドコンピュータCPに送信する。
【0016】
クラウドコンピュータCPは、集約機3から送信されたセンシングデータを利用した処理を行う。処理の内容は、データ収集システム1の用途に応じて異なる。
【0017】
データ収集システム1の具体例について説明する。データ収集システム1は、例えば、街路灯の状態判別システムに適用され得る。本例の場合、端末装置2は街路灯であり、センサー5は加速度センサーである。街路灯から送信された加速度センサーのセンシングデータが、集約機3を介してクラウドコンピュータCPに送信される。クラウドコンピュータCP側では、加速度センサーによるセンシングデータを監視することで、例えば街路灯が通常の設置状態とは異なる傾きをしていることを検出できる。係る検出結果に応じて、当該街路灯に保守員を派遣することで、街路灯を適切に保守点検できる。もちろん、本例は、データ収集システム1の具体例の一つであり、本発明の内容が係る具体例に限定されることはない。
【0018】
端末装置2と集約機3との間では、LPWA(Low Power Wide Area)(省電力広域)に基づく通信方式に従った無線通信が行われる。LPWAは伝送速度が3G回線、4G回線などのセルラー回線や無線LAN(Local Area Network)と比較すると遅いものの、広範囲に伝送でき、周波数帯幅も狭帯域であり、且つ、消費電力が極めて少ないという特性を有している。このため、データ収集システム1のように、小さいセンシングデータを複数の場所から多数送信するセンサーネットワークに好適である。
【0019】
LPWAに基づく通信規格としては、例えば、SIGFOX(サブGHz帯(866MHz帯、915MHz帯・920MHz帯)(登録商標)、最大伝送速度は100bps程度。伝送距離は数十km程度)、LoRa(サブGHz帯、最大伝送速度は250kbps程度。伝送距離は最大10km程度)(登録商標)、Wi-Fi HaLow(サブGHz帯、最大伝送速度は150kbps程度。伝送距離は1km程度)、Wi-SUN(サブGHz帯、最大伝送速度は800kbps。伝送距離は1km程度)(登録商標)、Flexnet(280MHz帯、最大伝送速度は10kbps、最大伝送距離は20km程度)(登録商標)等が挙げられるが、これに限定されることはない。
【0020】
また、データ収集システム1では端末装置2が複数、配置されることから、端末装置2は、低消費電力だけでなく、小型であり、且つ、低コストであることが望まれる。
【0021】
ところで、集約機3は、複数の端末装置2から送信されるセンシングデータを受信するが、複数のセンシングデータを同一タイミングで受信することができない。例えば、図2に示すように、端末装置2Aから送信されたセンシングデータを集約機3が受信している場合は、他の端末装置2B~2Gから送信されたセンシングデータを集約機3は受信できない。端末装置2B等から送信されたセンシングデータを集約機3が受信できないことを回避するために、各端末装置2のセンシングデータの送信タイミングを意図的にずらし、送信されたセンシングデータが衝突してしまうことを回避することが必要となる。通信時間は非常に短いが同時に電源を投入した場合など、特に端末装置2の起動時に送信データの衝突が起きる可能性が高くなる。例えば、上述した端末装置2が街路灯のような設備では、街路灯の設置後に遠隔から同時に電源が投入されるケースが想定される。そこで、特に、起動後の初回の送信タイミングをずらす必要性が高い。
【0022】
端末装置2毎にセンシングデータの送信タイミングを確実にずらすには、乱数を発生させ、送信タイミングを基準時から乱数に対応する分、遅延させることで可能となる。例えば、初回の送信タイミングを端末装置2毎でずらすことができれば、その後、一定間隔でセンシングデータが送信される場合であっても、送信タイミングが重なることを回避できる。この方法の場合、各端末装置2がRND(Random Number Generator)機能を有することが必要とされる。
【0023】
図3は、乱数を用いて送信タイミングをずらす処理の流れを示すフローチャートである。ステップST1では、各端末装置2を起動させる処理が行われる。例えば、管理センター等から各端末装置2に対して、一斉にコマンドが送信され、当該コマンドに基づいて各端末装置2が同時に起動する。各端末装置2が内部にRTC(Real Time Clock)を有し、RTCが所定時刻になったときに、各端末装置2が同時に起動するようにしてもよい。なお、本例では各端末装置2が同時に起動させるようにしているが、異なるタイミングで起動するようにしてもよい。そして、処理がステップST2に進む。
【0024】
ステップST2では、端末装置2が有するRND機能によって乱数(ユニーク値)を生成する処理が行われる。そして、処理がステップST3に進む。
【0025】
ステップST3では、端末装置2が、乱数に基づいてディレイ時間を決定する。そして、端末装置2は、基準時(例えば、起動タイミング)に対してディレイ時間の分、遅延させたタイミングを、センシングデータの初回の送信タイミングとして設定する。そして、処理がステップST4に進む。
【0026】
ステップST4では、ステップST3で設定された送信タイミングで、センシングデータを送信する初回の送信処理が行われる。そして、処理がステップST5に進む。
【0027】
ステップST5では、ステップST3で設定された送信タイミングから一定時間毎に、定期的にセンシングデータを送信する処理が行われる。一定時間は、例えば各端末装置2に共通しており、具体的な時間は通信方式に応じて異なる。ステップST3で設定された初回の送信タイミングは端末装置2毎に異なるようになっているため、定期的にセンシングデータを送信する処理において送信タイミングが重なってしまう可能性は低くなる。
【0028】
以上説明した方法によれば、送信タイミングが重なってしまうことを回避できる。しかしながら、上述したように、データ収集システム1で使用される端末装置2は、できるだけ低コストであることが望まれる。すなわち、端末装置2にRND機能を持たせると端末装置2のコストが増加する虞がある。また、例えば各端末装置2が同時に起動し、その後は定期的にセンシングデータを送信するシステムでは、起動時の送信タイミングを端末装置2毎にずらせればよく、乱数を使用して送信タイミングを厳密にずらす必要性が乏しい。また、乱数を生成する処理を行うために端末装置2における消費電力が大きくなる虞もある。以上の点を踏まえつつ、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0029】
<一実施形態>
[通信制御装置の構成例]
図4は、本実施形態に係る通信制御装置(通信制御装置10)の構成例を示すブロック図である。通信制御装置10は、例えば、発振器11と、通信回路12と、制御回路13とを有している。通信制御装置10は、例えば、これらの構成部品を密集配置させた超小型モジュール(例えば、幅および長さが十数mmで厚さが数mm程度の直方体)であり、各端末装置2に内蔵されている。発振器11、通信回路12及び制御回路13は、例えば、プリント基板に実装されている。プリント基板は、片面実装、両面実装のどちらでも構わず、また、層数なども問わない。
【0030】
発振器11は、例えば、温度センサーと温度補償回路を内蔵し、周囲温度の変化による周波数の変化が小さくなるようにしたTCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillators)である。発振器11が出力する発振周波数は、通信回路12に入力される。発振器11は、例えば、水晶振動子(不図示)と発振回路(不図示)とを一体化したパッケージ水晶発振器(SPXO:Simple Packaged Crystal Oscillator)であってもよい。
【0031】
通信回路12は、サブギガヘルツ周波数帯を利用する通信方式に対応した無線通信を行う回路である。通信回路12は、例えば、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)などの通信用IC(Integrated Circuit)で構成されている。通信回路12は、アンテナATを介して集約機3等と通信する。アンテナATは、通信制御装置10の筐体内に収納される内蔵アンテナでもよい。
【0032】
具体的には、通信回路12は、第1通信回路12A及び第2通信回路12Bを有している。第1通信回路12Aは、発振器11から出力される発振周波数を用いた処理として、当該発振周波数を用いてデータ(例えば、センシングデータ)を送信する送信処理を行う。第1通信回路12Aは、例えば、フィルタや変調回路などで構成され、送信データに応じて発振器11からの発振周波数を変調し、変調した信号(RF信号)をアンテナATに出力し、データ送信を行う。
【0033】
第2通信回路12Bは、受信処理を行う。第2通信回路12Bは、例えば、フィルタや復調回路などで構成され、アンテナATを介して基地局などから送信されたRF信号を受信し、受信したRF信号を復調して受信データを取得する。受信データは、例えば、制御回路13に出力されて利用される。
【0034】
制御回路13は、例えば、マイクロコンピュータ(MCU:Micro Controller Unit)(マイコンと略称する場合もある)で構成されており、発振器11、通信回路12などの通信制御装置10を構成する構成部品を統括的に制御する。制御回路13は、外部インタフェースを介して外部モジュール(例えば、上位制御マイコン)との間でデータの送受信を行う。この外部インタフェースとしては、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)が挙げられる。なお、外部インタフェースは、他のインタフェースであっても構わない。上位制御マイコンは、端末装置2が有するセンサー5に接続されている。上位制御マイコンは、センサー5で計測されたセンシングデータを適宜デジタル形式のデータに変換して、制御回路13に供給する。制御回路13は、上位制御マイコンから供給されたセンシングデータを通信回路12を介して集約機3に送信する。
【0035】
また、制御回路13は、基準時に対してディレイ時間の分、遅延させた送信タイミングを生成し、適宜なメモリに設定する。本実施形態では基準時は起動時(具体的には、電源投入時)であるものとして説明するが、起動時以外(例えば、スリープ状態からアクティブ状態への遷移時)であってもよい。そして、制御回路13は、現在時刻が設定された送信タイミングになると、通信回路12を制御して、センシングデータを集約機3に送信する。なお、送信タイミングの具体的な生成例については後述する。
【0036】
[通信制御装置の動作例]
次に、図5のフローチャートを参照しつつ、通信制御装置10の動作例について説明する。ステップST11では、制御回路13が、端末装置2の起動に応じて、通信制御装置10の各部を起動させる処理を行う。本例では、データ収集システム1を構成する端末装置2が、各端末装置2に対する遠隔操作に応じて同時に起動する。もちろん、各端末装置2が自律的な制御を行うことで、同時に起動してもよい。そして、処理がステップST12に進む。
【0037】
ステップST12では、制御回路13がランダム値を生成する処理を行う。そして、処理がステップST13に進む。
【0038】
ステップST13では、制御回路13が、ステップST12で生成したランダム値に基づいてディレイ時間を求める。そして、制御回路13は、基準時(例えば、起動タイミング)に対してディレイ時間の分、遅延させたタイミングを、センシングデータの初回の送信タイミングとして設定する。そして、処理がステップST14に進む。
【0039】
ステップST14では、制御回路13が通信回路12を制御し、ステップST13で設定された送信タイミングでセンシングデータを集約機3に送信する。ここでの送信処理は初回の送信処理である。そして、処理がステップST15に進む。
【0040】
ステップST15では、ステップST13で設定された送信タイミングから一定時間毎に、定期的にセンシングデータを送信する処理が行われる。一定時間は、各端末装置2で共通しており、具体的な時間は通信方式に応じて異なる。ステップST13で設定された送信タイミングは端末装置2毎に異なるようになっているため、定期的にセンシングデータを送信する処理において送信タイミングが重なってしまう可能性は低くなる。
【0041】
[送信タイミングの設定処理]
次に、上述したステップST13で行われる送信タイミングを設定する処理の具体例について説明する。制御回路13は、例えば、機器毎に割り当てられるMACアドレスを分割することで得られる分割値を使用した演算を行い、演算結果に基づいて送信タイミングを設定する。
【0042】
本例では、MACアドレスとしてIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)アドレス(拡張64ビット)を例にして説明するが、これに限定されることはない。64ビットのMACアドレスのうち、上位24ビットはOUI(Organizationally Unique Identifier)と呼ばれるベンダー識別子であり、下位40ビットはベンダーで付与される番号である。MACアドレスは、端末装置2の適宜なメモリに記憶されている。
【0043】
(第1の例)
制御回路13は、メモリから64ビットのMACアドレスを読み出し、上位32ビット(第1の分割値の一例)と下位32ビット(第2の分割値の一例)とに分割する。そして、制御回路13は、上位32ビットと下位32ビットとを乗した演算を行い、演算結果に基づいて、送信タイミングを設定する。
【0044】
具体例を挙げて説明する。
例えば、端末装置2AのMACアドレスを
00019003000170F1
とする。
制御回路13は、MACアドレスを上位32ビットと下位32ビットとに分割し、両者を乗じる下記式(1)の演算を行うことで擬似ランダム値を得る。
(0x00019003 × 0x000170F1) ・・式(1)
さらに、制御回路13は、式(1)の演算結果(擬似ランダム値)を一定以下にする(基準時に対するディレイが大きくなり過ぎないようにする)ために、下記式(2)のように、マスク値の一例である「0x1FFF」で&を取る演算を行いランダム値を得る。
(0x00019003 × 0x000170F1) & 0x1FFFF ・・式(2)
式(2)の演算結果として、ランダム値
0x192D3(103,123)
が得られる。(()内は10進法の表記である。)
ここで、100μsを1単位当たりの時間としてランダム値を変換すると、ディレイ時間10.3sが得られる。
制御回路13は、端末装置2Aの起動時から、得られた時間(10.3s)遅延させたタイミングを、センシングデータの初回の送信タイミングとして設定する。
【0045】
別の端末装置(例えば、端末装置2B)のMACアドレスを
00019003000170F2
とする。
制御回路13は、MACアドレスを上位32ビットと下位32ビットとに分割し、両者を乗じる下記式(3)の演算を行うことで擬似ランダム値を得る。
(0x00019003 × 0x000170F2) ・・式(3)
さらに、制御回路13は、式(3)の演算結果を一定以下とするために、下記式(4)のように、マスク値の一例である「0x1FFF」で&を取る演算を行いランダム値を得る。
(0x00019003 × 0x000170F2) & 0x1FFFF ・・式(4)
式(4)の演算結果として、ランダム値
0x122D6 (74,454)
が得られる。(()内は10進法の表記である。)
ここで、端末装置2Aの場合と同様に、100μsを1単位当たりの時間としてランダム値を変換すると、ディレイ時間7.4sが得られる。
制御回路13は、端末装置2Bの起動時から、得られた時間(7.4s)遅延させたタイミングを、センシングデータの初回の送信タイミングとして設定する。
【0046】
上述した第1の例に示したように、データ収集システム1を構成する各端末装置2に割り当てられるMACアドレスは、通し番号で連続している可能性が高い。このため、MACアドレス全体や下位のビット等の一部をそのまま使用すると、ディレイ時間が略同じ値となってしまい、送信タイミングを十分にずらすことができない。しかしながら、本例では、MACアドレスの上位32ビットと下位32ビットとを乗じる演算を行うことで、MACアドレスが通し番号であっても、送信タイミングを十分にずらすことができる。
また、端末装置2がRND機能を有する必要がないので、ロースペックのICであっても通信制御装置10として適用できる。
【0047】
なお、上述した例では、64ビットを半分にしたがこれに限定されることはない。例えば、上位24ビット(例えば、OUI)、下位40ビット(メーカー付与のMACアドレス)のように分割し、両者を乗じる演算を行うようにしてもよい。また、64ビットの全てを用いなくてもよい。例えば、上位8ビット、下位20ビットのように分割し、両者を乗じる演算を行うようにしてもよい。また、MACアドレスを2分割ではなく3分割以上し、分割した全て若しくはそのうちの一部同士を乗じる演算を行うようにしてもよい。また、1台の端末装置2に複数のMACアドレスが付与されている場合、一方のMACアドレスを分割することで得られる分割値と、他方のMACアドレスを分割することで得られる分割値とを乗じる演算を行うようにしてもよい。1台の端末装置2に付与される複数(例えば2個)のMACアドレスとしては、ICベンダーが出荷時に通信制御装置(若しくは制御回路)に付与するMACアドレスと、通信制御装置を使った製品(若しくは制御回路を用いた通信制御装置)をメーカーの製品として出荷する際に当該メーカーによって採番及び付与されるMACアドレスとが挙げられる。
【0048】
(第2の例)
第2の例は、機器毎に割り当てられるMACアドレスを分割することで得られる分割値とMACアドレスとは異なる固有値とを乗じた演算結果に基づいて、送信タイミングを設定する例である。MACアドレスとは異なる固有値とは、例えば、通信制御装置10に割り当てられるシリアル番号である。また、本例では、MACアドレスを分割して得られる下位32ビットを分割値として用いる。もちろん、分割値は、MACアドレスの下位32ビット以外であってもよい。
【0049】
具体例を挙げて説明する。
例えば、端末装置2Aのシリアル番号を
G723538
とし、MACアドレスを
00019003000170F1
とする。
制御回路13は、シリアル番号と下位32ビットとを乗じる下記式(5)の演算を行うことで擬似ランダム値を得る。
(723538 × 0x000170F1) ・・式(5)
さらに、制御回路13は、式(5)の演算結果を一定以下とするために、下記式(6)のように、マスク値の一例である「0x1FFF」で&を取る演算を行いランダム値を得る。
(723538 × 0x000170F1) & 0x1FFFF ・・式(6)
式(6)の演算結果として、ランダム値
0x9732 (38,706)
が得られる。(()内は10進法の表記である。)
ここで、100μsを1単位当たりの時間としてランダム値を変換すると、ディレイ時間3.8sが得られる。
制御回路13は、端末装置2Aの起動時から、得られた時間(3.8s)遅延させたタイミングを、センシングデータの初回の送信タイミングとして設定する。
【0050】
別の端末装置(例えば、端末装置2B)のシリアル番号を
G926040
とし、MACアドレスを
00019003000170F2
とする。
制御回路13は、シリアル番号と下位32ビットとを乗じる下記式(7)の演算を行うことで擬似ランダム値を得る。
(92640 × 0x000170F2) ・・式(7)
さらに、制御回路13は、式(7)の演算結果を一定以下とするために、下記式(8)のように、マスク値の一例である「0x1FFF」で&を取る演算を行いランダム値を得る。
(92640 × 0x000170F2) & 0x1FFFF ・・式(8)
式(8)の演算結果として、ランダム値
0x530 (1,328)
が得られる。(()内は10進法の表記である。)
ここで、100μsを1単位当たりの時間としてランダム値を変換すると、ディレイ時間0.1sが得られる。
制御回路13は、端末装置2Bの起動時から、得られた時間(0.1s)遅延させたタイミングを、センシングデータの初回の送信タイミングとして設定する。
以上示した第2の例であっても、上述した第1の例と同様の効果が得られる。
【0051】
[マスク値について]
次に、上述した演算で用いられるマスク値について説明する。920MHz帯の通信は用途や使用するプロトコルによって、
・1送信あたりの通信時間
・通信毎のインターバル(当該インターバルに基づくディレイの最大値(最大ディレイ時間))
が大きく異なる。そこで、本実施形態では、通信プロトコルにおける、1送信時間、1単位当たりの時間、通信毎のインターバル、及び、インターバルに対する最大ディレイ時間に基づいて、マスク値が決定される。
【0052】
(第1の例)
第1の例では、通信プロトコルがSIGFOX(登録商標)である場合を例にして説明する。SIGFOX(登録商標)は、センサーネットワークなどに特化したロースペックでシンプルな通信規格である。SIGFOX(登録商標)の主な通信仕様は、
・1送信あたりの通信時間:6秒程度(周波数をホッピングさせながら3回(×2秒程度)送信)
・通信毎のインターバル:最短で10分程度に1回(SIGFOX(登録商標)は契約上1日140回送信が最大となっている)
【0053】
ここで、通信毎のインターバルの30%時間内に必ず1送信することを想定すると、
最大ディレイ時間は
3分(10分×0.3)
となる。
1送信内の1回の通信時間を1単位当たりの時間とすると、
1単位当たりの時間:2秒(6秒÷3回)
となる。
この場合、ランダム値(1単位当たりの時間で変換する前の値)の設定範囲は、
180秒(最大ディレイ時間)÷2秒(1単位当たりの時間)=90
すなわち、0~90の範囲でランダム値が設定される。すなわち、ランダム値をその範囲内にするために7ビットのマスク値が用いられる。
SIGFOX(登録商標)の場合は、1回の送信が長いので1単位時間は長く、ランダム値の上限を低く設定する。SIGFOX(登録商標)では、周波数ホッピングした3回の通信なので、ランダム値が重なっても送信データの衝突を回避できる可能性が高い。従って、ランダム値を低く設定しても送信データの衝突を回避できる。
【0054】
(第2の例)
本例は、規格化等されていない独自の通信プロトコルを用いる場合の例である。
通信プロトコルは、
通信速度:100bps
キャリアセンス:無し/デューティ1%以内
(キャリアセンスとは、送信を開始する前に搬送波(キャリア)を検知(センス)し、他の端末装置が自チャンネルを使用中であれば、同一周波数での送信を行わないことで干渉を回避する仕組みである。また、ディーティーとは、電波を出していい時間の総和を意味する。通常は1時間当たり最大どのくらいの時間、電波を出すかという意味で規定される。すなわち、ディーティー1%とは送信時間の総和が36秒/時間(1時間当たり36秒(3600秒×0.01)以下)であることを意味する。)
1送信あたりの通信時間:20ms程度
インターバル:5分に1回程度
最大ディレイ時間:30秒(インターバルの10%以内に1送信することを想定)
1単位当たりの時間:20ms(本例では、1送信あたりの通信時間と等しい)
この場合、ランダム値の設定範囲は、
30000ms(最大ディレイ時間)÷20ms(1単位当たりの時間)=1500
すなわち、0~1500の範囲でランダム値が設定される。ランダム値をその範囲内にするために11ビットのマスク値が用いられる。
1送信あたりの通信時間は短いので、送信データの衝突を確実に回避するためにランダム値の設定範囲がある程度、広がる。
【0055】
(第3の例)
本例は、規格化等されていない独自の通信プロトコルを用いる場合の例である。第2の例と異なる点は、キャリアセンスがある点である。
1単位当たりの時間:1ms(本例では、キャリアセンスによって送信タイミングの同時衝突が避けられることを前提としつつ、送信タイミングが全く同時になることを避けるように最低限のずらす範囲を設定している。すなわち、1単位当たりの時間を1送信あたりの通信時間(20ms程度)よりも小さい値としている。)
この場合、ランダム値(1単位当たりの時間で変換する前の値)の設定範囲は、
30000ms(最大ディレイ時間)÷1ms(1単位当たりの時間)=30000
すなわち、0~30000の範囲でランダム値が設定される。ランダム値をその範囲内にするために15ビットのマスク値が用いられる。
上述した第2の例よりもさらに短い1単位当たりの時間を設定することで、ランダム値の範囲を広げることができる。例えば、データ収集システム1において多くの端末装置2(センサー5)が設置される場合には、1単位当たりの時間を設定することで、ランダム値の範囲を広げることができ、送信タイミングが重なってしまうことを効果的に抑制できる。
【0056】
以上説明した第1から第3の例をまとめると下記のようになる。
・1送信時間=a
・1単位当たりの時間=b
・通信ごとのインターバル=c
・最大ディレイ時間=d(d=c*x%)cのx%以内に必ず送信する。
以上をパラメータとする。
【0057】
<条件1;a≦bの場合>
nを、「b×n≦d」を満たす2以上の自然数の上限値とする。
(n;インターバル内で通信される1送信の回数の上限値)
【0058】
<条件2;b<aでキャリアセンスを有しないシステムの場合>
mは、「a≦b×m」を満たす2以上の自然数であって、
(m;1送信時間以上の時間を繰り返し単位時間とするために乗じる値)
nを、「(b×m)×n≦d」を満たす2以上の自然数の上限値とする。
【0059】
<条件3;b<aでキャリアセンスを有するシステムの場合>
nを、「b×n≦d」を満たす2以上の自然数の上限値とする。
(n;インターバル内で通信される1送信の回数の上限値)
1送信時間内の範囲でしかディレイ時間がずれなかったとしても、キャリアセンスが行われることによって送信データの直接的な衝突を回避できる。
【0060】
上記、条件1、条件2及び条件3において、
「疑似ランダム値」を2進数で表した値のうち、最下位ビットから順に、nを2進数で表した値の桁数と同じ桁数の値をランダム値として用いるように「疑似ランダム値」をマスクし、ランダム値を得る。
【0061】
[本実施形態により得られる効果]
以上説明した本実施形態によれば、下記の効果が得られる。
異なる端末装置間の送信タイミングを確実にずらすことが可能となり、送信データが衝突してしまうことを回避することができる。また、各端末装置が同時に起動するシステムにおいて、起動後、初回の送信時のタイミングを確実にずらすことができる。このため、初回の送信後に一定間隔でセンシングデータを送信する場合に、初回の送信だけでなくその後の送信タイミングも確実にずらすことが可能となる。
RND機能が不要となるため、安価なICによっても通信制御装置を構成でき、通信制御装置にかかるコストを低減できる。また、通信制御装置における消費電力を低減できる。
また、1送信時間、1単位当たりの時間、通信ごとのインターバル、及び、最大ディレイ時間の関係に応じて、通信プロトコルやシステム構成に応じた最適なマスク値を設定でき、結果として、最適な送信タイミングを設定することが可能となる。
【0062】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0063】
[変形例1]
図6に示すように、制御回路13と接続される上位制御マイコン(上位制御マイコン40)、及び、上位制御マイコン40と接続されるセンサー41を含む構成が通信制御装置10であってもよい。センサー41は、1個のセンサーでもよいし、複数のセンサーを含むものであってもよい。上位制御マイコン40は、センサー41により検出されたセンシングデータを、制御回路13に供給する。制御回路13は、通信回路12を制御することで、上位制御マイコン40から受け取ったセンシングデータを集約機3に送信する。また、図6に示す構成の場合、上位制御マイコン40が、一実施形態で説明した演算を行うことで送信タイミングを求め、送信タイミングを制御回路13に設定してもよい。そして制御回路13が設定された送信タイミングで、上位制御マイコン40から受け取ったセンシングデータを集約機3に送信するようにしてもよい。本変形例によれば、上位制御マイコン40が演算を行うため、処理を高速化することができる。
【0064】
また、図6に示す構成において、一連の演算のうち、一部の演算を上位制御マイコン40が行い、残りの演算を制御回路13が行うようにしてもよい。例えば、上位制御マイコン40が、マスク値を乗じる演算までを行い、制御回路13が演算結果を1単位当たりの時間で変換することでディレイ時間を求めるようにしてもよい。また、上位制御マイコン40がマスク値を求める演算を行い、制御回路13が、マスク値を用いた演算を行い、演算結果に基づいてディレイ時間を求めるようにしてもよい。
【0065】
[変形例2]
図7に示すように、上位制御マイコンがなく、制御回路13がセンサー(センサー42)と接続されてもよい。センサー42は、1個のセンサーでもよいし、複数のセンサーを含むものであってもよい。図7に示す構成の場合は、制御回路13がセンサー42を直接、制御する。すなわち、制御回路13は、センサー42から受け取ったセンシングデータを、自身で設定した送信タイミングで集約機3に送信する。本変形例によれば、上位制御マイコンがないため通信制御装置10を小型化でき、また、コストを低減できる。
【0066】
[その他の変形例]
上述した一実施形態では、それぞれの端末装置が演算を行うようにしていたが、全ての端末装置ではなく、特定の1又は複数の端末装置2が、分割値やシリアル番号を取得した上で演算を行うようにしてもよい。そして、演算結果に基づく送信タイミングが、対応する端末装置に対して設定されるようにしてもよい。
【0067】
上述した一実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることや入れ替えることが可能である。また、1つのものを2つ以上に分けることも可能であり、2つ以上のものを1つに纏めることも可能である。さらに、一部を省略することも可能である。
【0068】
また、一実施形態や変形例に係る通信制御装置は、例えば、コンピュータ、撮像装置、時計、ディスプレイ装置、医療機器などの電子機器や、車両、航空機、船舶などの移動体、基地局などの構成部品として用いられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1・・・データ収集システム
2・・・端末装置
5、41、42・・・センサー
10・・・通信制御装置
12・・・通信回路
13・・・制御回路
40・・・上位制御マイコン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7