(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000220
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】複合容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/06 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
B65D77/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098880
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聡真
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB99
3E067BA06C
3E067BA12B
3E067BB01C
3E067BB14B
3E067EB17
3E067EB27
3E067ED14
3E067EE12
3E067EE13
3E067EE19
3E067EE38
3E067EE40
3E067EE59
3E067FA04
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】内容物を移し替える際、容器の保持が容易であり、詰替えが1回で完了しない場合であっても、容器を立てた状態で保管することができる複合容器を提案する。
【解決手段】液体を収納する包装袋10と、外筒20とからなる複合容器1であって、包装袋は、自立性包装袋であり、注出口11の反対側の縦シール部13は、幅広く延設され、縦長の把手孔14が打ち抜かれて把手15を形成しており、外筒は、厚紙からなる水平方向に変形可能な多角形断面を有する筒状の外筒本体21と把手部22を有し、把手部は、外筒本体から延設された2枚の把手板27、28からなり、把手板27は、包装袋の把手孔の位置に一致する打ち抜き孔23を有し、把手板28は、打ち抜き孔の縦辺を補強し、打ち抜き孔の断面が露出しないように保護する折り返し片24を折り返し辺24aを介して備え、2枚の把手板は、包装袋の把手をその表裏面から挟んで補強したことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収納するための包装袋と、該包装袋を覆う外筒とからなる複合容器であって、
前記包装袋は、基材フィルムとシーラント層を有する2枚の積層体のシーラント層同士を対向させ、基材フィルムとシーラント層を有する積層体のシーラント層が外側になるように山折りにした底テープを前記2枚の積層体の間に挿入し、周縁をシールしてなる自立性包装袋であって、
前記包装袋の注出口の存在する側の反対側の縦シール部は、幅広く延設され、該縦シール部には、縦長の把手孔が打ち抜かれて把手を形成しており、
前記外筒は、厚紙からなる筒状の外筒本体と把手部を有し、外筒本体は、水平方向に変形可能な多角形断面を有し、前記包装袋を収納可能であり、
前記把手部は、前記外筒本体から延設された2枚の把手板からなり、
一方の把手板は、前記包装袋の把手孔の位置に一致する打ち抜き孔を有し、他方の把手板は、前記打ち抜き孔の縦辺を補強すると共に、前記打ち抜き孔の断面が露出しないように保護する折り返し片を折り返し辺を介して備え、
前記2枚の把手板は、前記包装袋の把手をその表裏面から挟んで補強したことを特徴とする複合容器。
【請求項2】
前記包装袋は、再封止が可能な口栓を有することを特徴とする請求項1に記載の複合容器。
【請求項3】
前記外筒は、前記包装袋の落下を防止する底面板を有することを特徴とする請求項1に記載の複合容器。
【請求項4】
前記外筒本体は、6角形断面を有することを特徴とする請求項1に記載の複合容器。
【請求項5】
前記包装袋と前記外筒は、接着されていないことを特徴とする請求項1に記載の複合容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟包装袋と紙製の外筒とからなる複合容器に関し、特に詰替え容器として優れた機能を発揮する複合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプーやリンス、各種洗剤等の液体を収納するための詰替え容器が広く用いられている。詰替え容器は、ポンプや注ぎ口等を備えた本容器に、内容物のみを補充して本容器を継続して使用するためのものである。詰替え容器は、多くは軟包装材料からなる包装袋であり、売場での自立性を持たせるために底面を備えたスタンディングパウチと称される形式の包装袋が多い。
【0003】
詰替え容器から本容器に内容物を移し替える際、内容物の粘度が高くて注出に時間が掛かる場合や、詰替え容器が大容量の場合、軟包装材料からなる詰替え容器は、持ち難いこともあって、詰替え操作は容易ではなかった。
【0004】
特許文献1に記載された軟包装体保管用容器は、液体若しくは粉状物、粒状物等が充填された軟包装体を自立させ、内容物の流出を防止した状態で保管するための容器である。
【0005】
特許文献1に記載された保管用容器は、自立性のない軟包装袋を自立させた状態で保管するための容器であり、詰替え容器における詰替え操作の利便性を図ったものではなかった。
【0006】
特許文献2に記載されたパウチ用ホルダは、液状物注ぎ出し口を有するパウチへの装着固定が簡単で、液状物の注ぎ出し操作が容易であり、パウチの内容物量が減少した場合でも注ぎ出し口を常に上方に向けて直立した状態で載置することができる、安価で、廃棄処理問題のないパウチ用ホルダであるとしている。
【0007】
特許文献2に記載されたパウチ用ホルダは、直立した状態で載置することができるとは記載されているものの、実際には底面が存在せず、自立性がないため、内容物が注出しきれずに残った場合、その処置に困るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-310172号公報
【特許文献2】特開2003-267397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、詰替え容器から本容器に内容物を移し替える際、内容物の粘度が高くて注出に時間が掛かる場合や、詰替え容器が大容量の場合であっても、詰替え容器の保持が容易であり、また詰替えが1回で完了しない場合であっても、容器を立てた状態で保管することができる複合容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、液体を収納するための包装袋と、該包装袋を覆う外筒とからなる複合容器であって、
前記包装袋は、基材フィルムとシーラント層を有する2枚の積層体のシーラント層同士
を対向させ、基材フィルムとシーラント層を有する積層体のシーラント層が外側になるように山折りにした底テープを前記2枚の積層体の間に挿入し、周縁をシールしてなる自立性包装袋であって、
前記包装袋の注出口の存在する側の反対側の縦シール部は、幅広く延設され、該縦シール部には、縦長の把手孔が打ち抜かれて把手を形成しており、
前記外筒は、厚紙からなる筒状の外筒本体と把手部を有し、外筒本体は、水平方向に変形可能な多角形断面を有し、前記包装袋を収納可能であり、
前記把手部は、前記外筒本体から延設された2枚の把手板からなり、
一方の把手板は、前記包装袋の把手孔の位置に一致する打ち抜き孔を有し、他方の把手板は、前記打ち抜き孔の縦辺を補強すると共に、前記打ち抜き孔の断面が露出しないように保護する折り返し片を折り返し辺を介して備え、
前記2枚の把手板は、前記包装袋の把手をその表裏面から挟んで補強したことを特徴とする複合容器である。
【0011】
本発明に係る複合容器は、把手を有する自立性包装袋と、その把手を補強する把手部を有する外筒とから構成されているため、付け替え時の注出操作を安定して行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る複合容器は、前記包装袋が、再封止が可能な口栓を有していても良い。
【0013】
また、本発明に係る複合容器は、前記外筒が、前記包装袋の落下を防止する底面板を有することができる。
【0014】
また、本発明に係る複合容器は、前記外筒本体が、6角形断面を有していても良い。
【0015】
また、本発明に係る複合容器は、前記包装袋と前記外筒が、接着されていないことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る複合容器は、液体を収納するための包装袋と、該包装袋を覆う外筒とからなる複合容器であって、前記包装袋は、基材フィルムとシーラント層を有する2枚の積層体のシーラント層同士を対向させ、基材フィルムとシーラント層を有する積層体のシーラント層が外側になるように山折りにした底テープを前記2枚の積層体の間に挿入し、周縁をシールしてなる自立性包装袋であるから、一般的な自立性包装袋としての長所を備えている。すなわち、安定して製造できる点や、従来の製造設備や充填設備がそのまま使用できる点である。
【0017】
前記包装袋の注出口の存在する側の反対側の縦シール部が、幅広く延設され、縦長の把手孔が打ち抜かれて把手を形成しており、一方厚紙からなる外筒は、外筒本体から延設された2枚の把手板を有し、一方の把手板は、包装袋の把手孔の位置に一致する打ち抜き孔を有し、他方の把手板は、打ち抜き孔の縦辺を補強すると共に、打ち抜き孔の断面が露出しないように保護する折り返し片を折り返し辺を介して備え、2枚の把手板が、包装袋の把手をその表裏面から挟んで補強しているため、把手は持ち易くなり、詰め替え時の注出操作は、さらに安定して容易なものとなる。
【0018】
特に把手板において折り返し辺を介して設けられた折り返し片が他方の把手板の断面を保護する働きをするため、厚紙の断面で手を切る心配がなく、安全に取り扱うことができる。
【0019】
また外筒本体は、水平方向に変形可能な多角形断面を有するため、包装袋を押し潰して内容物を絞り出す操作が可能である。
【0020】
包装袋が再封止が可能な口栓を備えた場合には、一度に使い切らない用途にも用いることができる。例えば大容量の詰替え容器として用いた場合などにおいて、本容器に何度も補充して継続的に使用することが可能であり、その場合であっても、外筒の存在により、立てた状態で安定して保存することができる。
【0021】
外筒が包装袋の落下を防止する底面板を有する場合には、特に大容量の包装袋の場合にその効果を発揮する。すなわち、包装袋の底部が外筒からはみ出して自立性を損なうようなことがない。
【0022】
外筒の断面形状は、水平方向に変形可能な形状であれば、任意であるが、6角形である場合には、4角形や5角形の場合と異なり、左右に平面部が対称的に向き合うため、包装袋の押し潰し操作が非常に円滑に行えるという利点がある。
【0023】
包装袋と外筒とが接着されていない場合には、廃棄時の分別が容易でありリサイクル性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明に係る複合容器の一実施態様を示した側面説明図である。
【
図3】
図3は、
図1のA-A´断面を示した断面説明図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した複合容器の包装袋の側面説明図である。
【
図6】
図6は、包装袋に外筒を取り付ける方法を示した斜視説明図である。
【
図7】
図7は、外筒を圧縮して変形させ、包装袋の内容物を絞り出す状態を示した断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面を参照しながら、本発明に係る複合容器について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る複合容器1の一実施態様を示した側面説明図である。
図2は、
図1に示した複合容器の斜視図である。
図3は、
図1のA-A´断面を示した断面説明図である。
図4は、
図1に示した複合容器1の包装袋10の側面説明図である
【0026】
本発明に係る複合容器1は、液体を収納するための包装袋10と、包装袋10を覆う外筒20とからなる複合容器である。
【0027】
包装袋10は、基材フィルムとシーラント層を有する2枚の積層体のシーラント層同士を対向させ、基材フィルムとシーラント層を有する積層体のシーラント層が外側になるように山折りにした底テープを前記2枚の積層体の間に挿入し、周縁をシールしてなる自立性包装袋である。
【0028】
包装袋10の注出口11の存在する側の反対側の縦シール部13は、幅広く延設されており、縦シール部13には、縦長の把手孔14が打ち抜かれて把手15を形成している。
【0029】
外筒20は、厚紙からなる筒状の外筒本体21と把手部22を有し、外筒本体21は、水平方向に変形可能な多角形断面を有し、包装袋10を収納可能である。この例では6角形断面を有している。水平方向に変形可能な多角形としては、3角形以外であれば、正方形、菱形、長方形、5角形、6角形、8角形等があるが、包装袋の注出口を角部に配置した時に左右から平面で圧縮可能な形状として6角形は、最も適している。
【0030】
把手部22は、外筒本体21から延設された2枚の把手板27、28からなり、一方の把手板27は、包装袋10の把手孔14の位置に一致する打ち抜き孔23を有し、他方の把手板28は、打ち抜き孔23の縦辺を補強すると共に、打ち抜き孔23の断面が露出しないように保護する折り返し片24を折り返し辺24aを介して備える。2枚の把手板27、28は、包装袋10の把手15をその表裏面から挟んで補強する働きをしている。
【0031】
図1、2に示した複合容器1においては、包装袋10の注出口11として、再封止可能な口栓12が用いられている。内容物を一度に使い切る場合には、口栓である必要はなくて、注出筒を切断して注出口としたようなものでも良いが、再封止可能な口栓とすることで、大容量の内容物を数回に分けて使用するような用途にも使用することができ、本発明の複合容器の特徴を最大限に発揮することができる。
【0032】
また、
図1、2に示した複合容器1においては、外筒20に、包装袋10の落下を防止する底面板25が設けられている。底面板25は、糊代26によって外筒の対面する辺に接着されている。底面板25を設けることにより、包装袋10の底面が外筒20からはみ出して自立性を損なうことを未然に防止することができる。
【0033】
底面板25は、包装袋10の容量が特に大きくない場合にはなくても良いが、包装袋10が大容量で、自立性が十分でないような場合には、その効果を発揮する。
【0034】
包装袋10と外筒20とは、多くの場合、互いに接着して固定する必要はない。それは、包装袋10の把手15と外筒20の把手部22とが折り返し辺24によって固定されているためである。このため、廃棄時に、両者を分別して廃棄することが容易に行い得る。
【符号の説明】
【0035】
1・・・複合容器
10・・・包装袋
11・・・注出口
12・・・口栓
13・・・縦シール部
14・・・把手孔
15・・・把手
20・・・外筒
21・・・外筒本体
22・・・把手部
23・・・打ち抜き孔
24・・・折り返し片
24a・・・折り返し辺
25・・・底面板
26・・・糊代
27・・・把手板