(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002200
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231228BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101258
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】507161983
【氏名又は名称】ITEA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】阪口 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】荒川 忠夫
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC20
(57)【要約】
【課題】住宅の住み心地に関する評価を入居者の実体験に基づいて行うことを支援できる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザにより入力されたアンケートを取得するアンケート取得部と、他のユーザにより入力されたアンケートと当該他のユーザに推薦するためにオペレータにより選択されたハウスメーカまたは工務店との関係性を機械学習した学習済みモデルを用いて、前記アンケート取得部により取得されたアンケートに基づいて、前記ユーザに推薦するためのハウスメーカまたは工務店を選択するレコメンド部と、前記レコメンド部により選択されたハウスメーカまたは工務店のリストを出力するリスト出力部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の入居者に対して健康に関するアンケートをあらかじめ定められた期間をあけて複数回出力するアンケート出力部と、
前記アンケートに対して前記入居者から入力された回答データを取得する回答データ取得部と、
を備えた情報処理システム。
【請求項2】
前記アンケートは、睡眠、アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、高血圧のうちの少なくとも1つに関する質問を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記アンケート出力部は、前記住宅に対する前記入居者の入居前と入居後にそれぞれ前記アンケートを出力する、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記アンケート出力部は、前記住宅に対する前記入居者の入居後、あらかじめ定められた期間ごとに前記アンケートを出力する、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記アンケートは、喘息に関する質問を含み、
前記アンケート出力部は、毎年の春および/または秋の季節に、前記アンケートを出力する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記アンケートは、花粉症に関する質問を含み、
前記アンケート出力部は、毎年の春の季節に、前記アンケートを出力する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記アンケート出力部は、前記アンケートを出力する際に、前回のアンケートにおいて前記入居者から入力された回答データを参照可能に出力する、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記回答データ取得部は、前記入居者から入力された回答データとともに、前記住宅に前記入居者がどれくらいの割合で住んでいるかを示す情報を取得する、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記回答データ取得部は、前記入居者の現在位置の測位データを取得し、前記住宅の住所と一致する場合に、前記回答データを取得し、一致しない場合には、前記回答データを取得しない、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記回答データ取得部は、前記入居者から前記回答データを取得するとともに、前記住宅に設置された計測器から前記住宅に関する計測データをさらに取得する、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記計測器は、空気中の湿度、花粉、アレルゲン、またはハウスダストを計測する、もしくは絨毯の中のハウスダストを計測する、もしくは寝具の中のアレルゲンを計測する、
請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
アンケート出力部が、住宅の入居者に対して健康に関するアンケートをあらかじめ定められた期間をあけて複数回出力するステップと、
回答データ取得部が、前記アンケートに対して前記入居者から入力された回答データを取得するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
住宅の入居者に対して健康に関するアンケートをあらかじめ定められた期間をあけて複数回出力するアンケート出力部と、
前記アンケートに対して前記入居者から入力された回答データを取得する回答データ取得部と、
として機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気清浄機を使用する必要性があるかどうかを客観的な根拠に基づいて判断する方法として、使用者から入力されたアンケート調査結果に基づいて使用者宅内の空気質を予測し、空気質予測結果に応じたコメントを使用者に提供するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、室内の換気が良いかどうかなどを測定器(ハードウェア)の測定値に基づいて評価する方法が知られている。しかしながら、住宅の住み心地に関する評価を入居者の実体験に基づいて行うための技術は知られていない。
【0005】
特許文献1のシステムでは、使用者から入力されたアンケート調査結果を利用することで、使用者宅内の空気質の予測を使用者の実体験に基づいて行うことができるものの、空気質はその時々で容易に変わり得る(たとえば空気清浄機を使用することで直ちに改善する)パラメータであり、その住宅に固有の(その時々で容易に変わり得るものではない生来の)パラメータではない。特許文献1のシステムでは、住宅の住み心地(その住宅に固有のパラメータ)に関する評価はできない。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、住宅の住み心地に関する評価を入居者の実体験に基づいて行うことを支援できる情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る情報処理システムは、
住宅の入居者に対して健康に関するアンケートをあらかじめ定められた期間をあけて複数回出力するアンケート出力部と、
前記アンケートに対して前記入居者から入力された回答データを取得する回答データ取得部と、
を備える。
【0008】
このような態様によれば、住宅の入居者に対して健康に関するアンケートをあらかじめ定められた期間をあけて複数回出力し、それらに対して入居者から入力された回答データを取得するため、たとえば研究者などが、取得された回答データを時間で比較してその変化を見ることにより、対象とする住宅に住んでいて健康が改善するかどうか(住宅に健康改善効果があるかどうか)を入居者の実体験に基づいて評価することが可能となる。したがって、このような態様によれば、住宅の住み心地に関する評価を入居者の実体験に基づいて行うことを支援できる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る情報処理システムは、第1の態様に係る情報処理システムであって、
前記アンケートは、睡眠、アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、高血圧のうちの少なくとも1つに関する質問を含む。
【0010】
本発明の第3の態様に係る情報処理システムは、第1または2の態様に係る情報処理システムであって、
前記アンケート出力部は、前記住宅に対する前記入居者の入居前と入居後にそれぞれ前記アンケートを出力する。
【0011】
このような態様によれば、対象とする住宅への入居前と入居後に入居者から入力された回答データがそれぞれ取得されるため、たとえば研究者などが、取得された回答データを入居前と入居後で比較してその変化を見ることにより、当該住宅に住み始めたことが理由で健康が改善したかどうかを入居者の実体験に基づいて評価することが可能となる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る情報処理システムは、第1~3のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記アンケート出力部は、前記住宅に対する前記入居者の入居後、あらかじめ定められた期間ごとに前記アンケートを出力する。
【0013】
このような態様によれば、対象とする住宅への入居後、あらかじめ定められた期間ごとに入居者から入力された回答データがそれぞれ取得されるため、たとえば研究者などが、取得された回答データを時間で比較してその変化を見ることにより、当該住宅に住み続けていることが理由で健康が改善したかどうかを入居者の実体験に基づいて評価することが可能となる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る情報処理システムは、第1の態様に係る情報処理システムであって、
前記アンケートは、喘息に関する質問を含み、
前記アンケート出力部は、毎年の春および/または秋の季節に、前記アンケートを出力する。
【0015】
このような態様によれば、喘息の症状が出やすい春および/または秋の季節に入居者から入力された回答データが取得されるため、たとえば研究者などが、取得された回答データを時間で比較してその変化を見ることにより、当該住宅に住んでいて特に喘息の症状が改善するかどうかを入居者の実体験に基づいて効果的に評価することが可能となる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る情報処理システムは、第1の態様に係る情報処理システムであって、
前記アンケートは、花粉症に関する質問を含み、
前記アンケート出力部は、毎年の春の季節に、前記アンケートを出力する。
【0017】
このような態様によれば、花粉症の症状が出やすい春の季節に入居者から入力された回答データが取得されるため、たとえば研究者などが、取得された回答データを時間で比較してその変化を見ることにより、当該住宅に住んでいて特に花粉症の症状が改善するかどうかを入居者の実体験に基づいて効果的に評価することが可能となる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る情報処理システムは、第1~6のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記アンケート出力部は、前記アンケートを出力する際に、前回のアンケートにおいて前記入居者から入力された回答データを参照可能に出力する。
【0019】
このような態様によれば、入居者はアンケートに対して回答する際に、前回のアンケートからあらかじめ定められた期間(たとえば、半年、一年など)あいていて、前回のアンケートで回答したときに持っていた判断基準を覚えていない場合であっても、前回のアンケートでの回答データを参照できるため、前回と比較して健康状態がどうであるかを正しく(前回のアンケートと同様の判断基準で)入力することができる。これにより、入居者から正しく入力された回答データを取得できるため、たとえば研究者などが、対象とする住宅に住んでいて健康が改善するかどうかの評価をより正確に行うことが可能となる。
【0020】
本発明の第8の態様に係る情報処理システムは、第1~7のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記回答データ取得部は、前記入居者から入力された回答データとともに、前記住宅に前記入居者がどれくらいの割合で住んでいるかを示す情報を取得する。
【0021】
このような態様によれば、アンケートに対して入居者から入力された回答データを取得する際に、対象とする住宅に入居者がどれくらいの割合で住んでいるかを示す情報も取得できるため、たとえば研究者などが、取得された回答データを時間で比較してその変化を見る際に、対象とする住宅に入居者がどれくらいの割合で住んでいるか(毎日、平日のみ、土日のみ、など)を考慮して評価することで、対象とする住宅に住んでいて健康が改善するかどうかの評価をより正確に行うことが可能となる。
【0022】
本発明の第9の態様に係る情報処理システムは、第1~8のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記回答データ取得部は、前記入居者の現在位置の測位データを取得し、前記住宅の住所と一致する場合に、前記回答データを取得し、一致しない場合には、前記回答データを取得しない。
【0023】
このような態様によれば、入居者が対象とする住宅にいるときに入力された回答データを取得できるため、当該住宅にいないときに入力された回答データに比べて、より実体験を反映した回答データを取得できる。したがって、たとえば研究者などが、取得された回答データを時間で比較してその変化を見ることにより、対象とする住宅に住んでいて健康が改善するかどうかを、より入居者の実体験に基づいて評価することが可能となる。
【0024】
本発明の第10の態様に係る情報処理システムは、第1~9のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、
前記回答データ取得部は、前記入居者から前記回答データを取得するとともに、前記住宅に設置された計測器から前記住宅に関する計測データをさらに取得する。
【0025】
このような態様によれば、アンケートに対して入居者から入力された回答データを取得する際に、住宅に設置された計測器による計測データも取得できるため、たとえば研究者などが、取得された回答データを時間で比較してその変化を見る際に、計測器による計測データの時間的な変化も参照することで、対象とする住宅に住んでいて健康が改善するかどうかの評価をより詳細に行うことが可能となる。
【0026】
本発明の第11の態様に係る情報処理システムは、第10の態様に係る情報処理システムであって、
前記計測器は、空気中の湿度、花粉、アレルゲン、またはハウスダストを計測する、もしくは絨毯の中のハウスダストを計測する、もしくは寝具の中のアレルゲンを計測する。
【0027】
本発明の第12の態様に係る情報処理方法は、
アンケート出力部が、住宅の入居者に対して健康に関するアンケートをあらかじめ定められた期間をあけて複数回出力するステップと、
回答データ取得部が、前記アンケートに対して前記入居者から入力された回答データを取得するステップと、
を含む。
【0028】
本発明の第13の態様に係る情報処理プログラムは、
コンピュータを、
住宅の入居者に対して健康に関するアンケートをあらかじめ定められた期間をあけて複数回出力するアンケート出力部と、
前記アンケートに対して前記入居者から入力された回答データを取得する回答データ取得部と、
として機能させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、住宅の住み心地に関する評価を入居者の実体験に基づいて行うことを支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】
図2は、住宅情報データベースに記憶されている情報の一例を示すテーブルである。
【
図3】
図3は、情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、情報処理システムにより表示される画面の一変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0032】
(情報処理システムの構成)
図1は、一実施の形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
【0033】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置2と、サーバ3と、計測器5とを備えている。端末装置2とサーバ3と計測器5とは、インターネット等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク4は、有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、端末装置2およびサーバ3の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0034】
端末装置2は、対象とする住宅の入居者が使用するものであり、たとえば、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末、ノートブックコンピュータ、またはデスクトップコンピュータなどの電子機器である。
【0035】
図1に示すように、端末装置2は、端末通信部21と、端末制御部22と、端末記憶部23と、端末入力部24と、端末出力部25、端末測位部26とを有している。各部21~26は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0036】
端末通信部21は、端末装置2とネットワーク4との間の通信インターフェースである。端末通信部21は、ネットワーク4を介して端末装置2とサーバ3との間で情報を送受信する。
【0037】
端末制御部22は、端末装置2の各種処理を行う制御手段である。端末制御部22は、端末装置2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0038】
端末記憶部23は、たとえばフラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性データストレージである。端末記憶部23には、端末制御部22が取り扱う各種データが記憶される。なお、端末記憶部23は、必ずしも端末装置2内に設けられていなくてもよく、端末記憶部23の一部または全部は、ネットワーク4を介して端末装置2と通信可能に接続された別の装置内に設けられていてもよい。
【0039】
端末入力部24は、住宅の入居者が端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、たとえばモバイル端末におけるタッチパネルやマイクロフォン、ノートブックコンピュータにおけるタッチパッド、キーボードまたはマウスなどである。
【0040】
端末出力部25は、端末装置2から住宅の入居者に対して各種情報を出力するインターフェースであり、たとえば液晶ディスプレイ等の映像表示手段やスピーカ等の音声出力手段である。具体的には、たとえば、端末出力部25は、入居者からの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示してもよい。
【0041】
端末測位部26は、端末装置2の現在位置を測定する測位手段である。端末測位部26は、たとえば、GPSや準天頂衛星システム(QZSS)などの電波航法手段による測位情報に基づいて現在位置を測定する。端末測位部26は、加速度センサや地磁気センサなどの自律航法手段による測位情報を測位に用いてもよい。端末装置2は、住宅の入居者が使用するものであるから、端末測位部26により測定された位置情報は、入居者の現在位置を示すものである。
【0042】
計測器5は、対象とする住宅に設置されて当該住宅に関するデータを計測する装置である。一例として、計測器5は、空気中の湿度、花粉、アレルゲン、またはハウスダストを計測するエアサンプラ、もしくはエアサンプラ付きの空気清浄機、エアコンディショナ、または24時間換気システムであってもよい。別例として、計測器5は、絨毯の中のハウスダストを計測する計測機能付き掃除機であってもよい。さらに別例として、計測器5は、寝具の中のアレルゲンを計測する計測機能付き寝具乾燥機であってもよい。
【0043】
次に、サーバ3について説明する。
図1に示すように、サーバ3は、サーバ通信部31と、サーバ制御部32と、サーバ記憶部33とを有している。各部31~33は、バスやネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0044】
このうちサーバ通信部31は、サーバ3とネットワーク4との間の通信インターフェースである。サーバ通信部31は、ネットワーク4を介してサーバ3と端末装置2および計測器5との間で情報を送受信する。
【0045】
サーバ記憶部33は、たとえばフラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性データストレージである。サーバ記憶部33には、サーバ制御部32が取り扱う各種データが記憶される。たとえば、サーバ記憶部33は、住宅情報データベース33aを含んでいる。
【0046】
住宅情報データベース33aには、アンケート調査の対象となる複数の住宅の情報が記憶されている。
図2は、住宅情報データベース33aに記憶されている情報の一例を示すテーブルである。
図2に示すように、住宅情報データベース33aには、アンケート調査の対象となる住宅ごとに、識別情報(ID)と、住所と、入居日とが記憶されていてもよい。また、後述する回答データ取得部32bにより、対象となる住宅の入居者からアンケート調査に対する回答データが取得されている場合には、住宅情報データベース33aには、対象となる住宅ごとに、回答データの取得日とその内容とがさらに記憶されていてもよい。
【0047】
なお、サーバ記憶部33は、必ずしもサーバ3内に設けられていなくてもよく、サーバ記憶部33の一部または全部は、ネットワーク4を介してサーバ3と通信可能に接続された別の装置内に設けられていてもよい。
【0048】
図1に示すように、サーバ制御部32は、アンケート出力部32aと、回答データ取得部32bとを有している。これらの各部32a、32bは、サーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0049】
アンケート出力部32aは、健康に関するアンケートを出力するための制御信号を、対象とする住宅の入居者の端末装置2に送信し、当該入居者に対して端末出力部25を介してアンケートを出力させる。ここで、「健康に関するアンケート」は、睡眠、アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、高血圧のうちの少なくとも1つに関する質問を含んでいてもよい。
【0050】
図4は、入居者に対して端末出力部25を介して出力されるアンケートの一例を示す図である。
図4に示す例では、アンケートは、睡眠に関する複数の質問を含んでおり、質問ごとに、当該質問に対する回答を、あらかじめ定められた複数の候補の中からチェックボックス61で選択できるようになっている。一変形例として、
図5に示すように、質問ごとに、当該質問に対する回答を、あらかじめ定められた複数の候補に対応する目盛りを参照してスライダー62で指定できるようになっていてもよい。
【0051】
本実施の形態では、アンケート出力部32aは、対象とする住宅の入居者に対して、健康に関するアンケートをあらかじめ定められた期間をあけて複数回出力する。ここで「あらかじめ定められた期間」は、住宅に住んでいるといえる長さであれば、特に限定されるものではなく、たとえば1週間、2週間、1か月、2か月、3か月、6か月、1年、2年、3年、または5年であってもよい。
【0052】
回答データ取得部32bは、出力されたアンケートに対して入居者から入力された回答データを取得する。より詳しくは、端末出力部25を介して出力されたアンケートに対して、入居者が端末入力部24を操作して回答データの入力を行うと、入力された回答データは端末装置2からサーバ3へと送信され、回答データ取得部32bにより取得される。取得された回答データは、住宅情報データベース33aに記憶され(
図2参照)、その後、匿名化された状態で、住宅の健康評価法などを研究している研究者などに提供され得る。たとえば、研究者などは、取得された回答データを住宅ごとに時間で比較してその変化を見ることにより、対象とする住宅に住んでいて健康が改善するかどうか(住宅に健康改善効果があるかどうか)を入居者の実体験に基づいて評価することが可能となる。
【0053】
一例として、アンケート出力部32aは、住宅情報データベース33aを参照して、対象とする住宅の入居日を特定し、入居日の前(たとえば入居予定日の1か月前)と入居日の後(たとえば入居日の1か月後)にそれぞれアンケートを入居者に対して出力してもよい。この場合、対象とする住宅への入居前と入居後に入居者から入力された回答データがそれぞれ回答データ取得部32bにより取得されるため、たとえば研究者などは、取得された回答データを入居前と入居後で比較してその変化を見ることにより、当該住宅に住み始めたことが理由で健康が改善したかどうかを入居者の実体験に基づいて評価することが可能となる。
【0054】
別例として、アンケート出力部32aは、住宅情報データベース33aを参照して、対象とする住宅の入居日を特定し、入居日の後、あらかじめ定められた期間ごと(たとえば半年ごと、1年ごとなど)にアンケートを入居者に対して出力してもよい。この場合、対象とする住宅への入居後、あらかじめ定められた期間ごとに入居者から入力された回答データがそれぞれ回答データ取得部32bにより取得されるため、たとえば研究者などは、取得された回答データを時間で比較してその変化を見ることにより、当該住宅に住み続けていることが理由で健康が改善したかどうかを入居者の実体験に基づいて評価することが可能となる。
【0055】
アンケートが、喘息や花粉症など特定の季節にあらわれやすい症状に関する質問を含んでいる場合には、アンケート出力部32aは、毎年その症状がでやすい季節に当該アンケートを入居者に対して出力してもよい。一例として、アンケートが、喘息に関する質問を含んでいる場合には、アンケート出力部32aは、喘息の症状が出やすい毎年の春および/または秋の季節に、当該アンケートを入居者に対して出力してもよい。この場合、喘息の症状が出やすい春および/または秋の季節に入居者から入力された回答データが回答データ取得部32bにより取得されるため、たとえば研究者などは、取得された回答データを時間で比較してその変化を見ることにより、当該住宅に住んでいて特に喘息の症状が改善するかどうかを入居者の実体験に基づいて効果的に評価することが可能となる。別例として、アンケートが、花粉症に関する質問を含んでいる場合には、アンケート出力部32aは、花粉症の症状が出やすい毎年の春の季節に、当該アンケートを入居者に対して出力してもよい。この場合、花粉症の症状が出やすい春の季節に入居者から入力された回答データが回答データ取得部32bにより取得されるため、たとえば研究者などは、取得された回答データを時間で比較してその変化を見ることにより、当該住宅に住んでいて特に花粉症の症状が改善するかどうかを入居者の実体験に基づいて効果的に評価することが可能となる。
【0056】
図4および
図5に示すように、アンケート出力部32aは、アンケートを入居者に対して出力する際に、前回のアンケートにおいて当該入居者から入力された回答データを参照可能に出力してもよい。これにより、入居者がアンケートに対して回答する際に、前回のアンケートからあらかじめ定められた期間(たとえば、半年、一年など)あいていて、前回のアンケートで回答したときに持っていた判断基準を覚えていない場合であっても、前回のアンケートでの回答データを参照できるため、前回と比較して健康状態がどうであるかを正しく(前回のアンケートと同様の判断基準で)入力することができるようになる。
【0057】
回答データ取得部32bは、入居者から入力された回答データを取得する際に、対象とする住宅に入居者がどれくらいの割合で住んでいるかを示す情報(たとえば、100%(毎日)、約70%(平日のみ)、約30%(土日のみ)など)を取得してもよい。住宅にどれくらいの割合で住んでいるかを示す情報は、入居者が端末入力部24を操作して入力した情報であってもよいし、端末測位部26により測定された位置情報と対象とする住宅の住所とが一致する頻度を計算することにより(入居者からの入力なしで)自動的に得られる情報であってもよい。アンケートに対して入居者から入力された回答データを取得する際に、対象とする住宅に入居者がどれくらいの割合で住んでいるかを示す情報も取得することで、たとえば研究者などは、取得された回答データを時間で比較してその変化を見る際に、対象とする住宅に入居者がどれくらいの割合で住んでいるか(毎日、平日のみ、土日のみ、など)を考慮して評価することができるようになる。
【0058】
回答データ取得部32bは、端末測位部26により測定された位置情報(すなわち入居者の現在位置の測位データ)を取得し、住宅情報データベース33aを参照し、対象とする住宅の住所と比較してもよい。そして、回答データ取得部32bは、入居者の現在位置が住宅の住所と一致する場合に、端末装置2から回答データを取得し、入居者の現在位置が住宅の住所と一致しない場合には、端末装置2から回答データを取得しないようになっていてもよい。この場合、入居者が対象とする住宅にいるときに入力された回答データを取得できるため、当該住宅にいないときに入力された回答データに比べて、より実体験を反映した回答データを取得できる。
【0059】
回答データ取得部32bは、対象とする住宅の入居者から回答データを取得するとともに、当該住宅に設置された計測器5から住宅に関する計測データをさらに取得してもよい。取得された計測データは、住宅情報データベース33aに記憶されてもよい。この場合、たとえば研究者などが、取得された回答データを時間で比較してその変化を見る際に、計測器5による計測データの時間的な変化も参照することで、対象とする住宅に住んでいて健康が改善するかどうかの評価をより詳細に行うことが可能となる。
【0060】
(動作の一例)
次に、
図3を参照して、情報処理システム1の動作の一例について説明する。
図3は、情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0061】
図3に示すように、まず、サーバ3のアンケート出力部32aが、健康に関するアンケートを出力するための制御信号を、対象とする住宅の入居者の端末装置2に送信し、当該入居者に対して端末出力部25を介してアンケート(1回目のアンケート)を出力する(ステップS10)。
【0062】
次に、端末出力部25を介して出力されたアンケート(1回目のアンケート)に対して、入居者が端末入力部24を操作して回答データの入力を行うと、入力された回答データは端末装置2からサーバ3へと送信され、回答データ取得部32bが当該回答データを取得する(ステップS11)。取得された回答データは、住宅情報データベース33aに記憶される(
図2参照)。
【0063】
ステップS11において、回答データ取得部32bは、端末測位部26により測定された位置情報(すなわち入居者の現在位置)を取得し、住宅情報データベース33aを参照し、住宅の住所と一致する場合に、端末装置2から回答データを取得し、住宅の住所と一致しない場合には、一致するようになるまで、端末装置2から回答データを取得することを一時停止してもよい。
【0064】
また、ステップS11において、回答データ取得部32bは、入居者から入力された回答データを取得する際に、対象とする住宅に入居者がどれくらいの割合で住んでいるかを示す情報を取得してもよいし、当該住宅に設置された計測器5から住宅に関する計測データをさらに取得してもよい。
【0065】
次に、1回目のアンケートからあらかじめ定められた期間(たとえば、半年、一年など)が経過したら、アンケート出力部32aが、健康に関するアンケートを出力するための制御信号を、対象とする住宅の入居者の端末装置2に送信し、当該入居者に対して端末出力部25を介してアンケート(2回目のアンケート)を出力する(ステップS12)。
【0066】
ステップS12において、アンケート出力部32aは、前回のアンケート(1回目のアンケート)において当該入居者から入力された回答データを住宅情報データベース33aから抽出し、今回のアンケート(2回目のアンケート)が出力されている端末出力部25上に前回の回答データを参照可能に出力してもよい。
【0067】
次に、端末出力部25を介して出力されたアンケート(2回目のアンケート)に対して、入居者が端末入力部24を操作して回答データの入力を行うと、入力された回答データは端末装置2からサーバ3へと送信され、回答データ取得部32bが当該回答データを取得する(ステップS13)。取得された回答データは、住宅情報データベース33aに記憶される(
図2参照)。
【0068】
ステップS13において、回答データ取得部32bは、端末測位部26により測定された位置情報(すなわち入居者の現在位置)を取得し、住宅情報データベース33aを参照し、住宅の住所と一致する場合に、端末装置2から回答データを取得し、住宅の住所と一致しない場合には、一致するようになるまで、端末装置2から回答データを取得することを一時停止してもよい。
【0069】
また、ステップS13において、回答データ取得部32bは、入居者から入力された回答データを取得する際に、対象とする住宅に入居者がどれくらいの割合で住んでいるかを示す情報を取得してもよいし、当該住宅に設置された計測器5から住宅に関する計測データをさらに取得してもよい。
【0070】
その後、住宅情報データベース33aに記憶された回答データは、匿名化された状態で、住宅の健康評価法などを研究している研究者などに提供され得る。
【0071】
以上のような実施の形態によれば、住宅の入居者に対して健康に関するアンケートをあらかじめ定められた期間をあけて複数回出力し、それらに対して入居者から入力された回答データを取得するため、たとえば研究者などが、取得された回答データを時間で比較してその変化を見ることにより、対象とする住宅に住んでいて健康が改善するかどうか(住宅に健康改善効果があるかどうか)を入居者の実体験に基づいて評価することが可能となる。したがって、このような態様によれば、住宅の住み心地に関する評価を入居者の実体験に基づいて行うことを支援できる。
【0072】
なお、上述した実施の形態および個々の変形例の記載ならびに図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態および個々の変形例の記載または図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。上述した実施の形態および個々の変形例の構成要素は、発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせることが可能である。
【0073】
また、上述した実施の形態に係る情報処理システム1は1つまたは複数のコンピュータによって構成され得るが、1つまたは複数のコンピュータに情報処理システム1を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを非一時的(non-transitory)に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体も、本件の保護対象である。
【符号の説明】
【0074】
1 情報処理システム
2 端末装置
21 端末通信部
22 端末制御部
23 端末記憶部
24 端末入力部
25 端末表示部
26 端末測位部
3 サーバ
31 サーバ通信部
32 サーバ制御部
32a アンケート出力部
32b 回答データ取得部
33 サーバ記憶部
33a 住宅情報データベース
4 ネットワーク
5 測定器