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特開2024-22020転写済みフィルムおよび転写済みフィルムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022020
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】転写済みフィルムおよび転写済みフィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/382 20060101AFI20240208BHJP
   B41M 5/52 20060101ALI20240208BHJP
   B41M 5/385 20060101ALI20240208BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B41M5/382 700
B41M5/52 400
B41M5/385 300
B41M5/382 600
B32B27/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125297
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅也
(72)【発明者】
【氏名】武智 美奈
(72)【発明者】
【氏名】松元 春樹
(72)【発明者】
【氏名】穂苅 有希
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 博昭
(72)【発明者】
【氏名】平野 次郎
【テーマコード(参考)】
2H111
4F100
【Fターム(参考)】
2H111AA26
2H111AA32
2H111BA03
2H111BA12
2H111CA03
2H111CA12
4F100AK25E
4F100AK42A
4F100AK42D
4F100AK53B
4F100AK53C
4F100AT00A
4F100AT00D
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA13B
4F100CA13C
4F100CB05E
4F100EA02
4F100EC03B
4F100EC03C
4F100EC04B
4F100EC04C
4F100JL10B
4F100JL10C
4F100JL13E
4F100JN01A
4F100JN18A
(57)【要約】
【課題】互いに色の異なる少なくとも2つのインク層の積層体を含む転写層が記録された転写済みフィルムにおいて、表面側インク層に隠れたインク層の端部色が観察されることを抑制することができる転写済みフィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】透明なカバーフィルム83、第1インク層36、第1インク層36とは異なる色を有する第2インク層37および基材層80がこの順で積層された転写済みテープ55Bであって、第1インク層36および第2インク層37は、第1インク層36および第2インク層37の積層体を含むインクリボンで転写された転写層82である、転写済みテープ55Bを提供する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なフィルムと、第1インク層および前記第1インク層とは異なる色を有する第2インク層の積層体と、基材層とがこの順で積層された転写済みフィルムであって、
前記第1インク層および前記第2インク層は、前記第1インク層および前記第2インク層の積層体を含むインクリボンで転写された転写層である、転写済みフィルム。
【請求項2】
前記転写層は、熱溶融転写により形成されている、請求項1に記載の転写済みフィルム。
【請求項3】
前記第1インク層および前記第2インク層の前記積層体は、前記透明なフィルムに近い表面側インク層と、その反対側の裏面側インク層とを含み、
前記透明なフィルムは、前記表面側インク層よりも厚い、請求項1に記載の転写済みフィルム。
【請求項4】
分光エリプソメトリにより測定される前記透明なフィルムの屈折率は、1.4以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の転写済みフィルム。
【請求項5】
前記透明なフィルム、前記第2インク層および前記第1インク層がこの順で積層された印刷物と、
前記第1インク層側で前記印刷物に積層された第1粘着層、および前記第1粘着層を介して前記印刷物に貼着された前記基材層を含む貼合せ層とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の転写済みフィルム。
【請求項6】
前記貼合せ層は、前記第1粘着層の反対側で前記基材層に積層された第2粘着層と、前記第2粘着層を介して前記基材層に積層された剥離層とをさらに含む、請求項5に記載の転写済みフィルム。
【請求項7】
前記透明なフィルム、および前記透明なフィルムの表面に積層された第1粘着層を含む貼合せ層と、
前記第1粘着層を介して前記透明なフィルムに貼着された前記第1インク層、前記第1インク層上に順に積層された前記第2インク層、前記基材層および第2粘着層を含む印刷物とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の転写済みフィルム。
【請求項8】
前記印刷物は、前記第2粘着層を介して前記基材層に積層された剥離層をさらに含む、請求項7に記載の転写済みフィルム。
【請求項9】
テープ状に形成された転写済みテープである、請求項1~3のいずれか一項に記載の転写済みフィルム。
【請求項10】
第1面および第2面を有する透明なフィルムの前記第1面に、第1インク層および前記第1インク層とは異なる色を有する第2インク層の積層体を含むインクリボンを、前記第2インク層が前記第1面側となるように転写することによって転写層を有する印刷物を形成する工程と、
第1粘着層および基材層を含む貼合せ層を、前記第1粘着層を前記転写層に貼着することによって、前記印刷物に対して前記貼合せ層を貼り合わせる工程とを含む、転写済みフィルムの製造方法。
【請求項11】
第1面および第2面を有する基材層の前記第1面に、第1インク層および前記第1インク層とは異なる色を有する第2インク層の積層体を含むインクリボンを、前記第2インク層が前記第1面側となるように転写することによって転写層を有する印刷物を形成する工程と、
第1粘着層および透明なフィルムを含む貼合せ層を、前記第1粘着層を前記転写層に貼着することによって、前記印刷物に対して前記貼合せ層を貼り合わせる工程とを含む、転写済みフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、互いに色の異なる少なくとも2つのインク層を含む転写層が記録された転写済みフィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基材シート上に溶解層とシール層とが積層された第1のシートの供給部と、供給された前記第1のシートの前記シール層の表面に図形および/または文字を印刷する印刷手段と、カバーシート上に粘着層と剥離シートとが積層された第2のシートの供給部と、供給された第2のシートの前記カバーシート上から粘着層が付着した剥離シートを剥がす剥離手段と、前記剥離手段で剥がされた剥離シートの粘着層が形成されている面と、前記第1のシートの印刷が施された面とを合わせ前記粘着層を介して貼り合わせる貼り合わせ手段とを備える、転写シートの印刷装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-170663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態は、互いに色の異なる少なくとも2つのインク層の積層体を含む転写層が記録された転写済みフィルムにおいて、表面側インク層に隠れたインク層の端部色が観察されることを抑制することができる転写済みフィルムおよびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る転写済みフィルムは、透明なフィルムと、第1インク層および前記第1インク層とは異なる色を有する第2インク層の積層体と、基材層とがこの順で積層された転写済みフィルムであって、前記第1インク層および前記第2インク層は、前記第1インク層および前記第2インク層の積層体を含むインクリボンで転写された転写層である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態に係る転写済みフィルムによれば、第1インク層および第2インク層の積層体が透明なフィルムで被覆されている。これにより、透明なフィルムを介してインク層の積層体に入射する光を透明なフィルムで屈折させることができる。その結果、斜め方向や横方向から透明なフィルムを介して、インク層の積層体のうち透明なフィルムに近いインク層(表面側インク層)を観察したときに、表面側インク層に隠れたインク層の端部色が観察されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る印刷装置の構造を模式的に示す図である。
図2図2は、前記印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3図3は、前記印刷装置の加熱工程および冷却工程を説明する模式図である。
図4図4Aおよび図4Bは、前記印刷装置の冷却工程および転写工程を説明する模式図である。
図5A図5Aは、本開示の一実施形態に係る転写済みテープの層構成を示す模式的な断面図である。
図5B図5Bは、本開示の一実施形態に係る転写済みテープの層構成を示す模式的な断面図である。
図5C図5Cは、本開示の一実施形態に係る転写済みテープの層構成を示す模式的な断面図である。
図6図6Aおよび図6Bは、前記印刷装置による印刷パターンの一例を示す図である。
図7図7は、図5Aの転写済みテープにおける光の屈折を説明するための図である。
図8図8は、図5Bの転写済みテープにおける光の屈折を説明するための図である。
図9図9は、斜め見観察の評価方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。以下の詳細な説明において、序数が付された名称の構成要素が複数存在するが、当該序数と、特許請求の範囲に記載の構成要素の序数とは、必ずしも一致するものではない。
[印刷装置1の全体構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る印刷装置1の構造を模式的に示す図である。
【0009】
図1を参照して、印刷装置1は、被印字媒体の一例としてのプリンタテープ2に熱転写記録媒体の一例としてのインクリボン3のインクを文字として熱転写する熱転写式サーマルプリンタである。この実施形態では、プリンタテープ2は、例えば、インクが直接的に転写される透明な基材フィルムである。ここで、プリンタテープ2が「透明」とは、プリンタテープ2が、プリンタテープ2に転写された文字の形状および色を、転写面(印刷面)とは反対側から認識できる程度の透明度を有していることと定義されてもよい。
【0010】
プリンタテープ2に記録される文字は、例えば、典型的な文字、バーコードやQRコード(登録商標)等の記号、数字、図、文様等を含んでいてもよい。この実施形態に係る印刷装置1は、色の異なる(例えば、黒と赤の2色)文字をプリンタテープ2に記録することができる。
【0011】
印刷装置1は、筐体4と、筐体4の内部に収容されたテープカセット5、サーマルヘッド6、プラテンローラ7、ニップローラ71および制御基板8とを主に含む。
【0012】
筐体4は、例えばプラスチックケースからなる箱状部材であってもよい。筐体4の外壁には、印刷後のプリンタテープ2を取り出すための取出口9が形成されている。取出口9の近傍には、カッター(図示せず)が設けられていてもよい。カッターを用いた裁断によって、プリンタテープ2を使用単位ごとのサイズのラベルに分離して取り出すことができる。
【0013】
テープカセット5は、筐体4に対する着脱式カートリッジであってもよい。テープカセット5は、テープの搬送方向D1(図1では右側から左側に向かう方向)の上流側から下流側に向かって順に、プリンタテープロール10(他の言い方で、ラベルテープロールであってもよい)、インクリボンロール12、インクリボン剥離部材13、インクリボン巻取りロール14、貼合せローラ72および貼合せフィルムロール73を収容していてもよい。この実施形態では、プリンタテープロール10、インクリボンロール12、貼合せローラ72および貼合せフィルムロール73は、テープカセット5に収容された状態で使用されるタイプであるが、例えば、印刷装置1に直接装着して使用するタイプであってもよい。
【0014】
プリンタテープロール10は、プリンタテープ2を円筒状に巻き取って作製されており、例えば、テープカセット5に回転可能に保持されている。
【0015】
インクリボンロール12は、インクリボン3を円筒状に巻き取って作製されており、例えば、テープカセット5に回転可能に保持されている。インクリボン巻取りロール14には、筐体4に設けられたリボン駆動軸18が挿入されている。リボン駆動軸18の駆動によって発生する回転力R1がインクリボン巻取りロール14に伝達され、インクリボン巻取りロール14が回転する。
【0016】
インクリボン剥離部材13は、インクリボン3の搬送方向D2を変更するガイド部材であってもよい。インクリボン剥離部材13は、搬送中のインクリボン3に当接可能な形状、例えば、ローラ状、ブレード状の形状を有していてもよい。インクリボン3はサーマルヘッド6によってプリンタテープ2に一部が熱圧着され、プリンタテープ2と共に取出口9に向かって搬送される。インクリボン剥離部材13は、搬送途中のインクリボン3に当接し、インクリボン3の搬送方向D2をプリンタテープ2の搬送方向D1に対して急角度で変更する。これにより、プリンタテープ2とインクリボン3とが引き離され、プリンタテープ2からインクリボン3が剥離する。
【0017】
貼合せローラ72は、例えば、筐体4に設けられた貼合せローラ駆動軸75が挿入可能である。貼合せローラ駆動軸75の駆動によって発生する回転力R4が貼合せローラ72に伝達され、貼合せローラ72が回転する。貼合せローラ72は、図1に示すようにテープカセット5の内部に設けられており、プリンタテープ2の搬送経路において一部が露出している。これにより、テープカセット5を設置した状態において、貼合せローラ72とニップローラ71との間でプリンタテープ2を挟んで搬送することができる。
【0018】
貼合せフィルムロール73は、貼合せテープ76を円筒状に巻き取って作製されており、例えば、テープカセット5に回転可能に保持されている。
【0019】
サーマルヘッド6は、プリンタテープ2の搬送方向D1において、プリンタテープロール10およびインクリボンロール12と、インクリボン剥離部材13との間に配置されている。サーマルヘッド6は、基板19と、基板19上に形成された発熱素子20(例えば、発熱抵抗体等)とを含む。発熱素子20への通電によって発生するジュール熱が、インクリボン3のインクの熱転写に利用される。
【0020】
プラテンローラ7には、例えば、筐体4に設けられたプラテン駆動軸21が挿入されている。プラテン駆動軸21の駆動によって発生する回転力R2がプラテンローラ7に伝達され、プラテンローラ7が回転する。
【0021】
ニップローラ71は、例えば、筐体4に設けられたニップローラ駆動軸74が挿入されている。ニップローラ駆動軸74の駆動によって発生する回転力R3がニップローラ71に伝達され、ニップローラ71が回転する。
【0022】
制御基板8は、印刷装置1の電気的な制御を実行する電子機器であり、筐体4の内部に設置されている。
【0023】
[印刷装置1の電気的構成]
図2は、印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【0024】
図2を参照して、印刷装置1の制御基板8には、制御回路22が設けられている。制御回路22は、CPU23、ROM24、メモリ25、RAM26、および入出力I/F27(インターフェース)を含んでいてもよい。これらは、例えばデータバス(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0025】
ROM24には、印刷装置1を駆動するための各種プログラム(例えば、図3および図4A,Bに示す各工程を実行する制御プログラム等)が記憶されている。CPU23は、RAM26の一時記憶機能を利用しつつROM24に記憶されたプログラムに従って信号処理を実行し、印刷装置1を全体的に制御する。メモリ25は、例えばROM24の記憶領域の一部で構成されていてもよい。メモリ25には、インクリボン3の残量(消費量)を筐体4の表示部(図示せず)に表示するためのテーブルが予め記憶されていてもよい。
【0026】
入出力I/F27には、第1駆動回路28および第2駆動回路29が電気的に接続されている。第1駆動回路28は、サーマルヘッド6の発熱素子20の通電制御を実行する。第2駆動回路29は、インクリボン巻取りロール14、プラテンローラ7、ニップローラ71、貼合せローラ72を回転駆動させる駆動モータ30に対し、駆動パルスを出力する駆動制御を実行する。
【0027】
[印刷装置1による印刷工程の流れ]
図3は、印刷装置1の加熱工程および冷却工程を説明する模式図である。図4Aおよび図4Bは、印刷装置1の冷却工程および転写工程を説明する模式図である。図4Bは、図4Aの矢印4Bの方向から転写パターンを見たときの要部拡大図である。図1図3および図4A,Bを参照して、印刷装置1による印刷工程を具体的に説明する。
【0028】
プリンタテープ2に文字を印刷するには、プラテンローラ7の回転駆動によってプリンタテープロール10からプリンタテープ2が引き出されると共に、インクリボン巻取りロール14の回転駆動によってインクリボンロール12からインクリボン3が引き出される。これにより、図1および図3に示すように、プリンタテープ2およびインクリボン3が、互いに重なり合った状態で下流側に向かって搬送される。プリンタテープ2において、インクリボン3側の面が印刷面31(表面)であり、その反対側の面が裏面32である。インクリボン3において、プリンタテープ2側の面が接着面33(表面)であり、その反対側の面が裏面34である。
【0029】
図3を参照して、インクリボン3は、基材層35と、第1インク層36と、第2インク層37とを含む。第1インク層36および第2インク層37は、この順で基材層35の第1面の一例としての表面38に積層されている。基材層35の表面38の反対側の面は裏面39(インクリボン3の裏面34)である。第1インク層36および第2インク層37は、互いに異なる色の着色剤を含有している。例えば、第1インク層36が黒色の着色剤を含有し、第2インク層37が赤色の着色剤を含有していてもよい。
【0030】
インクリボン3は、第2インク層37とプリンタテープ2とが接触した状態でサーマルヘッド6に向かって搬送される。サーマルヘッド6では、図3に示すように加熱工程が実行される。具体的には、通電によって発熱した発熱素子20をインクリボン3に押圧することによって、この熱が基材層35を介して第1インク層36および第2インク層37に伝達される。インクリボン3およびプリンタテープ2の積層体は、サーマルヘッド6とプラテンローラ7との間に挟持されることによって、サーマルヘッド6で加熱されながら下流側に搬送される。
【0031】
発熱素子20は、全体的に同じ温度に制御されてもよいし、部分的に異なる温度で制御されてもよい。例えば図3に示すように、発熱素子20の第1部分40が相対的に低い第1発熱温度に制御され、発熱素子20の第2部分41が第1発熱温度よりも高い第2発熱温度に制御されてもよい。第1発熱温度は、相対的に低い第1エネルギー量をサーマルヘッド6に印加することによって制御され、第2発熱温度は、前記第1エネルギー量よりも相対的に高い第2エネルギー量をサーマルヘッド6に印加することによって制御されてもよい。
【0032】
第1発熱温度は、例えば、60℃以上120℃以下であり、好ましくは70℃以上90℃以下であってもよい。例えば、第2発熱温度は、80℃以上180℃以下であり、好ましくは130℃以上150℃以下であってもよい。第1エネルギー量および第2エネルギー量は、それぞれ、サーマルヘッド6が第1発熱温度および第2発熱温度に加熱されるように、印刷装置1の仕様に合わせて設定されればよい。例えば、印加エネルギー量を電圧値で直接的に設定可能な仕様の印刷装置1では電圧値を設定してもよいし、複数段階に分けられたエネルギー量の調節によって印加エネルギー量を増減させる仕様の印刷装置1では、適切な段のエネルギー量を設定すればよい。
【0033】
これにより、インクリボン3は、第1発熱温度で加熱された第1部分42と、第2発熱温度で加熱された第2部分43とを含んでいてもよい。インクリボン3の第1部分42および第2部分43では、少なくとも第1インク層36および第2インク層37の一部または全部が溶融もしくは軟化し、プリンタテープ2に密着する。
【0034】
図3および図4A,Bを参照して、サーマルヘッド6とインクリボン剥離部材13との間の区間では冷却工程が実行される。具体的には、加熱工程でプリンタテープ2に熱圧着されたインクリボン3は、サーマルヘッド6からインクリボン剥離部材13に到達するまでの区間で自然に冷却され、印刷装置1の使用環境温度に向かって温度低下する。
【0035】
次に、図4A,Bに示すように、インクリボン剥離部材13によってインクリボン3の搬送方向D2だけが選択的に変更されることによって、基材層35および第2インク層37に対して互いに遠ざかる方向に外力F1が加えられる。これにより、プリンタテープ2とインクリボン3とが引き離され、インクリボン3がインクリボン巻取りロール14に巻き取られる。この際、インクリボン3においてサーマルヘッド6で加熱された第1部分42および第2部分43が選択的にプリンタテープ2上に残存することによって、転写工程が実行される。例えば、第1部分42では、基材層35と第1インク層36および第2インク層37を含む積層体との間で剥離が生じて当該積層体が転写されてもよい。一方、第2部分43では、第1インク層36と第2インク層37との間で剥離が生じて第2インク層37が選択的に転写されてもよい。
【0036】
その後、図1に示すように、第1インク層36および第2インク層37が転写されたプリンタテープ2に、貼合せテープ76が貼り合わされる。プリンタテープ2への貼合せテープ76の貼り合わせによって形成され、文字が記録された転写済みテープ55は、印刷装置1の取出口9から取り出される。
[転写済みテープ55の層構成]
図5Aおよび図5Bは、本開示の一実施形態に係る転写済みテープ55の層構成を示す模式的な断面図である。図6Aおよび図6Bは、印刷装置1による印刷パターン44の一例を示す図である。
【0037】
図5Aおよび図5Bを参照して、転写済みテープ55は、プリンタテープ2の種類によって大きく2つの層構成に分けられる。図5Aは、透明フィルムの一例である透明な基材フィルム(基材テープ)としてのプリンタテープ2を含む転写済みテープ55Aを示し、図5Bは、非透明な基材フィルム(基材テープ)としてのプリンタテープ2を含む転写済みテープ55Bを示す。以下、転写済みテープ55Aおよび転写済みテープ55Bのそれぞれの層構成について説明を加える。
<転写済みテープ55A>
図5Aを参照して、転写済みテープ55Aは、インクリボン3の一部が転写されたプリンタテープ2を含む印刷物56と、印刷物56に貼り合わせられた貼合せテープ76とを含む。貼合せテープ76は、貼合せフィルムと称されてもよい。図5Aは、転写済みテープ55Aのうち第1転写層57として第1インク層36および第2インク層37の積層体が転写された部分の断面を示し、転写済みテープ55Aのうち第2転写層として第2インク層37が選択的に転写された部分の断面は省略する。
【0038】
この実施形態の転写済みテープ55Aでは、貼合せテープ76が、第1転写層57を支持する台紙フィルムとして形成されている。プリンタテープ2は、第1転写層57を物理的に外部から保護する、透明なカバーフィルムとして形成されている。したがって、第1転写層57において、プリンタテープ2に近い側の第2インク層37が表面側インク層(観察面側インク層)である。人は、白抜き矢印59で示すように、プリンタテープ2を透過して第1インク層36または第2インク層37で反射した光によって、第1インク層36および第2インク層37のそれぞれの色を認識することができる。
【0039】
転写済みテープ55Aには、色の異なる(例えば、黒と赤と認識される2色)印刷パターン44が形成される。印刷パターン44は、例えば図6Aに示すように、独立した文字ごとに異なる色を有していてもよい。図6Aでは、プリンタテープ2の裏面32側から印刷パターン44を見たときに、アルファベットの「A」および「C」の最表面に第2インク層37に基づく赤色パターン45が認識され、「B」の最表面に第1インク層36に基づく黒色パターン46が認識されてもよい。一方、図6Bに示すように、印刷パターン44は、各文字の部分ごとに赤色パターン45および黒色パターン46の両方が認識されてもよい。
【0040】
次に、さらに具体的に、転写済みテープ55Aの層構成について説明を加える。
【0041】
転写済みテープ55Aは、前述のように、印刷物56と貼合せテープ76との貼り合わせによって形成されている。
【0042】
印刷物56は、プリンタテープ2と、プリンタテープ2の印刷面31に選択的に形成された第1転写層57を含む。第1転写層57は、印刷面31に順に積層された第2インク層37および第1インク層36を含む。
(1)プリンタテープ2
プリンタテープ2としては、インクが直接的に転写される透明な基材フィルムであれば特に制限されず、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、フッ素樹脂等の樹脂フィルムが挙げられる。これらのうち、ポリエステルであるポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムが、機械的強度、寸法安定性、熱処理耐性、価格等の観点から好ましい。プリンタテープ2は、上記いずれかの樹脂フィルムの単層であってもよいし、上記の複数の樹脂フィルムの積層によって形成された積層フィルムであってもよい。
【0043】
プリンタテープ2は、上記各種樹脂フィルムにより形成されていてもよいが、樹脂フィルムが有する屈折率を基準に選択してもよい。例えば、プリンタテープ2の屈折率は、1.4以上であり、好ましくは、1.5以上であり、さらに好ましくは、1.6以上である。屈折率は、例えば、分光エリプソメトリにより測定された屈折率であってもよい。
【0044】
プリンタテープ2の厚さは、例えば、熱転写プリンタの仕様、プリンタテープ2に要求される特性等に応じて任意に設定することができる。例えば、プリンタテープ2の厚さは1μm以上であり、好ましくは2μm以上であり、さらに好ましくは5μm以上である。例えば、プリンタテープ2の厚さは30μm以下であり、好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。例えば、プリンタテープ2の厚さは、1μm以上30μm以下であり、好ましくは2μm以上15μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上10μm以下である。
【0045】
プリンタテープ2の厚さがこの範囲であれば、転写済みテープ55Aに適度な柔軟性を付与しつつ、十分な機械的強度や弾力を発現することができる。転写済みテープ55Aの柔軟性を重視するのであれば、プリンタテープ2は上記の範囲よりも薄くてもよい。これにより、複雑な曲面にも転写済みテープ55Aを良好に貼り付けることができる。一方、転写済みテープ55Aの機械的強度や弾力を重視するのであれば、プリンタテープ2は上記の範囲よりも厚くてもよい。これにより、印刷装置1での搬送中や貼合せテープ76の貼合せ時に、プリンタテープ2にしわが発生することを抑制することができる。また、プリンタテープ2の厚さは、後述する第2インク層37の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0046】
プリンタテープ2は、製造過程で延伸加工が施されていない無延伸フィルムであってもよいし、一軸延伸および二軸延伸等の延伸加工が施された延伸フィルムであってもよい。また、プリンタテープ2の表面(印刷面31および裏面32)には、光沢仕上げ、マット仕上げ等の表面の仕上げ加工が施されていてもよい。さらに、プリンタテープ2への印刷性を向上させるプライマー層、摩擦力を調整するためのオーバーコート層、使用までにプリンタテープ2の表面を保護するシリコーンを用いた剥離層等が、別途形成されていてもよい。これらの層は、概念的にはプリンタテープ2の一部であってもよい。
【0047】
プリンタテープ2の透明性を表す数値として、例えば、JIS K 7361に準拠して測定された全光線透過率が用いられてもよい。プリンタテープ2の全光線透過率は、例えば、80%以上であり、好ましくは、85%以上であってもよい。プリンタテープ2の全光線透過率は、例えば、ヘイズメータを用いて測定することができる。
(2)第1インク層36
第1インク層36は、例えば、任意の熱可塑性樹脂によって形成することができる。第1インク層36は、熱可塑性樹脂としてエポキシ樹脂を用いて形成することが好ましい。第1インク層36は、硬化剤を配合していない(除く)状態のエポキシ樹脂を熱可塑性樹脂として用いて形成することができる。
【0048】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、プロピレングリコールグリコキシエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の脂肪族系エポキシ樹脂、脂肪族もしくは芳香族アミンとエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂、脂肪族もしくは芳香族カルボン酸とエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂、複素環エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、ブロム化エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂の具体例としては、特に制限されないが、例えば、以下の各種エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0049】
三菱ケミカル(株)製のJER(登録商標)シリーズのエポキシ樹脂のうち、基本固形タイプである1001〔軟化点(環球法):64℃、数平均分子量Mn:約900〕、1002〔軟化点(環球法):78℃、数平均分子量Mn:約1200〕、1003〔軟化点(環球法):89℃、数平均分子量Mn:約1300〕、1055〔軟化点(環球法):93℃、数平均分子量Mn:約1600〕、1004〔軟化点(環球法):97℃、数平均分子量Mn:約1650〕、1004AF〔軟化点(環球法):97℃、数平均分子量Mn:約1650〕、1007〔軟化点(環球法):128℃、数平均分子量Mn:約2900〕、1009〔軟化点(環球法):144℃、数平均分子量Mn:約3800〕、1010〔数平均分子量Mn:約5500〕、1003F〔軟化点(環球法):96℃〕、1004F〔軟化点(環球法):103℃〕、1005F、1009F〔軟化点(環球法):144℃〕、1004FS〔軟化点(環球法):100℃〕、1006FS〔軟化点(環球法):112℃〕、1007FS〔軟化点(環球法):124℃〕。
【0050】
第1インク層36に使用されるエポキシ樹脂の軟化点は、例えば95℃以上であり、好ましくは110℃以上であり、さらに好ましくは125℃以上である。軟化点がこの範囲であれば、低温転写時の比較的低温において、第1インク層36と基材層35(図3および図4A,B参照)との間に高い粘着力が生じることを抑制することができる。第1インク層36の低温転写範囲を十分に高温側に拡げることができるので、連続して熱転写記録をしても、色味が混濁することを抑制することができる。
【0051】
第1インク層36は、エポキシ樹脂に加えて粘着剤を含有していてもよい。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤等が挙げられる。
【0052】
エポキシ樹脂との親和性や相溶性を向上することを考慮すると、粘着剤としてはアクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤の具体例としては、特に制限されないが、例えば、以下の各種アクリル系粘着剤が挙げられる。これらのアクリル系粘着剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0053】
トーヨーケム(株)製のオリバイン(登録商標)BPS(溶剤系)シリーズのうちBPS1109(不揮発分:39.5質量%)、BPS3156D(不揮発分:34質量%)、BPS4429-4(不揮発分45質量%)、BPS4849-40(不揮発分:40質量%)、BPS5160(不揮発分:33質量%)、BPS5213K(不揮発分:35質量%)、BPS5215K(不揮発分:39質量%)、BPS5227-1(不揮発分:41.5質量%)、BPS5296(不揮発分37質量%)、BPS5330(不揮発分:40質量%)、BPS5375(不揮発分:45質量%)、BPS5448(不揮発分:40質量%)、BPS5513(不揮発分:44.5質量%)、BPS5565K(不揮発分:45質量%)、BPS5669K(不揮発分:46質量%)、BPS5762K(不揮発分:45.5質量%)、BPS5896(不揮発分:37質量%)、BPS5978(不揮発分:35質量%)、BPS6074HTF(不揮発分:52質量%)、BPS6080TFK(不揮発分:45質量%)、BPS6130TF(不揮発分:45.5質量%)、BPS6153K(不揮発分:25質量%)、BPS6163(不揮発分:37質量%)、BPS6231(不揮発分:56質量%)、BPS6421(不揮発分:47質量%)、BPS6430(不揮発分:33質量%)、BPS6574(不揮発分:57質量%)、BPS8170(不揮発分:36.5質量%)、BPS HS-1(不揮発分:40質量%)。
【0054】
ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の溶剤型粘着剤(再剥離型)のうちAS-325(固形分濃度:45質量%)、AS-375(固形分濃度:45質量%)、AS-409(固形分濃度:45質量%)、AS-417(固形分濃度:45質量%)、AS-425(固形分濃度:45質量%)、AS-455(固形分濃度:45質量%)、AS-665(固形分濃度:40質量%)、AS-1107(固形分濃度:43質量%)、AS-4005(固形分濃度:45質量%)。
【0055】
第1インク層36に使用されるアクリル系粘着剤は、粘着付与剤と併用されてもよい。例えば、第1インク層36のキレを高め、余剥離を抑制し、記録する文字の鮮明性を向上できるためである。粘着付与剤としては、例えば、エステルガム、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル等が挙げられる。粘着付与剤の具体例としては、特に制限されないが、例えば、以下の各種粘着付与剤が挙げられる。これらの粘着付与剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0056】
ヤスハラケミカル(株)製のYSポリスターシリーズのテルペンフェノール樹脂のうち、U130(軟化点:130±5℃)、U115(軟化点:115±5℃)、T160(軟化点:160±5℃)、T145(軟化点:145±5℃)、T130(軟化点:130±5℃)、T115(軟化点:115±5℃)、T100(軟化点:100±5℃)、T80(軟化点:80±5℃)、S145(軟化点:145±5℃)、G150(軟化点:150±5℃)、G125(軟化点:125±5℃)、N125(軟化点:125±5℃)、K125(軟化点:125±5℃)、TH130(軟化点:130±5℃)。
【0057】
荒川化学工業(株)製のエステルガムのうち、AA-G〔軟化点(環球法):82~88℃〕、AA-L〔軟化点(環球法):82~88℃〕、AA-V〔軟化点(環球法):82~95℃〕、105〔軟化点(環球法):100~110℃〕、AT〔粘度:20000~40000mPa・s〕、H〔軟化点(環球法):68~75℃〕、HP〔軟化点(環球法):80℃以上〕。
【0058】
荒川化学工業(株)製のペンセル(登録商標)シリーズのロジンエステルのうち、GA-100〔軟化点(環球法):100~110℃〕、AZ〔軟化点(環球法):950~105℃〕、C〔軟化点(環球法):117~127℃〕、D-125〔軟化点(環球法):120~130℃〕、D-135〔軟化点(環球法):130~140℃〕、D-160〔軟化点(環球法):150~165℃〕、KK〔軟化点(環球法):165℃以上〕。
【0059】
第1インク層36に使用される粘着付与剤の軟化点は、例えば60℃以上であり、好ましくは120℃以下である。軟化点がこの範囲であれば、高温転写時において、第1インク層36を、基材層48側に良好に逆転写させることができる。第1インク層36の高温転写範囲を十分に低温側に拡げることができるので、色味が混濁することを抑制することができる。
【0060】
第1インク層36は、任意の着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、第1インク層36の色味に応じた1種または2種以上の、種々の着色剤を用いることができる。着色剤としては、例えば、顔料および染料であってもよい。下地の隠蔽性等を考慮すると、第1インク層36に使用される着色剤としては顔料が好ましい。転写済みテープ55Aでは、透明なプリンタテープ2および第2インク層37を透過して第1インク層36で反射した光によって第1インク層36の黒色を認識する。つまり、光が第1インク層36を透過することを抑制することによって、プリンタテープ2および第2インク層37を通して第1インク層36の黒色を良好に認識することができる。例えば、第1インク層36を黒色に着色するための顔料としてはカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、特に制限されないが、例えば、以下の各種カーボンブラックが挙げられる。これらのカーボンブラックは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0061】
三菱ケミカル(株)製のMA77粉状〔LFF、DBP吸収量:68cm/100g〕、MA7粉状〔LFF、DBP吸収量:66cm/100g〕、MA7粒状〔LFF、DBP吸収量:65cm/100g〕、MA8粉状〔LFF、DBP吸収量:57cm/100g〕、MA8粒状〔LFF、DBP吸収量:51cm/100g〕、MA11粉状〔LFF、DBP吸収量:64cm/100g〕、MA100粉状〔LFF、DBP吸収量:100cm/100g〕、MA100粒状〔LFF、DBP吸収量:95cm/100g〕、MA100R粉状〔LFF、DBP吸収量:100cm/100g〕、MA100R粒状〔LFF、DBP吸収量:95cm/100g〕、MA100S粉状〔LFF、DBP吸収量:100cm/100g〕、MA230粉状〔LFF、DBP吸収量:113cm/100g〕、MA220粉状〔LFF、DBP吸収量:93cm/100g〕、MA14粉状〔LFF、DBP吸収量:73cm/100g〕。
【0062】
三菱ケミカル(株)製の#3030B(ファーネス法、DBP吸収量:130cm/100g)、#3040B(ファーネス法、DBP吸収量:114cm/100g)、#3050B(ファーネス法、DBP吸収量:175cm/100g)、#3230B(ファーネス法、DBP吸収量:140cm/100g)、#3350B(ファーネス法、DBP吸収量:164cm/100g)、#3400B(ファーネス法、DBP吸収量:175cm/100g)。
【0063】
東海カーボン(株)製のトーカブラック(登録商標)シリーズのうち、#5500(ファーネス法、DBP吸収量:155cm/100g)、#4500(ファーネス法、DBP吸収量:168cm/100g)、#4400(ファーネス法、DBP吸収量:135cm/100g)、#4300(ファーネス法、DBP吸収量:142cm/100g)。
【0064】
オリオン エンジニアード カーボンズ(ORION ENGINEERED CARBONS)社製のPRINTEX(プリンテックス、登録商標)シリーズのうちL(ファーネス法、DBP吸収量:120cm/100g)、L6(ファーネス法、DBP吸収量:126cm/100g)。
【0065】
ビルラ・カーボン(Birla Carbon)社製のCONDUCTEX(コンダクテックス、登録商標)シリーズのうち、975(ファーネス法、170cm/100g)、SC(ファーネス法、115cm/100g)。
【0066】
キャボット(CABOT)社製のVULCAN(バルカン、登録商標)シリーズのうち、XC72(ファーネス法、DBP吸収量:174cm/100g)、9A32(ファーネス法、DBP吸収量:114cm/100g)、同社製のBLACK PEARLS(ブラックパール)シリーズのうち3700(ファーネス法、DBP吸収量:111cm/100g)。
【0067】
デンカ(株)製のデンカブラック(登録商標)シリーズのうち、デンカブラック粒状品(アセチレン法、DBP吸収量:160cm/100g)、FX-35(アセチレン法、DBP吸収量:220cm/100g)、HS-100(アセチレン法、DBP吸収量:140cm/100g)。
【0068】
ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のKETJENBLACK(ケッチェンブラック、登録商標)シリーズのうち、EC300J(ガス化法、DBP吸収量:360cm/100g)、EC600DJ(ガス化法、DBP吸収量:495cm/100g)。
【0069】
第1インク層36における各成分の割合は、特に制限されない。エポキシ樹脂100質量部に対するアクリル系粘着剤の割合は、例えば30質量部以上であり、好ましくは40質量部以上である。エポキシ樹脂100質量部に対するアクリル系粘着剤の割合は、例えば150質量部以下であり、好ましくは100質量部以下である。エポキシ樹脂100質量部に対するアクリル系粘着剤の割合は、例えば30質量部以上150質量部以下であり、好ましくは40質量部以上100質量部以下である。
【0070】
エポキシ樹脂100質量部に対する粘着付与剤の割合は、例えば3質量部以上であり、好ましくは5質量部以上である。エポキシ樹脂100質量部に対する粘着付与剤の割合は、例えば150質量部以下であり、好ましくは100質量部以下である。エポキシ樹脂100質量部に対する粘着付与剤の割合は、例えば3質量部以上150質量部以下であり、好ましくは5質量部以上100質量部以下である。
【0071】
エポキシ樹脂100質量部に対するカーボンブラック等の着色剤の割合は、例えば100質量部以上であり、好ましくは130質量部以上である。エポキシ樹脂100質量部に対する着色剤の割合は、例えば230質量部以下であり、好ましくは200質量部以下である。エポキシ樹脂100質量部に対する着色剤の割合は、例えば100質量部以上230質量部以下であり、好ましくは130質量部以上200質量部以下である。
【0072】
なお、第1インク層36が含有する各成分のうち、任意の溶剤に溶解または分散した液状で供給される成分については、そのうち有効成分の割合が上記の範囲となるように、配合量を調整すればよい(以下、同様)。
【0073】
第1インク層36は、例えば、上記の各成分を任意の溶剤に溶解または分散した塗材を、基材層35の表面38上に直接に、または任意の離型層を介して塗布した後、乾燥させることによって形成することができる。本開示では、図6Aおよび図6Bに示したように、プリンタテープ2に記録する文字の色分けをする。この色分けのために、第1インク層36と基材層35や他の各層との間の密着力の調整を考慮すると、第1インク層36は、離型層を省略して基材層35の表面38に直接に形成することが好ましい。
【0074】
第1インク層36の厚さは、例えば、熱転写プリンタの仕様等に応じて任意に設定することができる。第1インク層36の厚さは、第1インク層36の塗布量で調節することができる。
【0075】
例えば、第1インク層36の塗布量は、単位面積あたりの固形分量で表して0.1g/m以上であり、好ましくは0.5g/m以上である。例えば、第1インク層36の塗布量は、単位面積あたりの固形分量で表して3.0g/m以下であり、好ましくは2.5g/m以下である。例えば、第1インク層36の塗布量は、単位面積あたりの固形分量で表して0.1g/m以上3.0g/m以下であり、好ましくは0.5g/m以上2.5g/m以下である。
【0076】
第1インク層36の具体的な厚さ(印刷前)としては、例えば0.05μm以上であり、好ましくは0.5μm以上である。第1インク層36の厚さは、例えば3.0μm以下であり、好ましくは2.5μm以下である。第1インク層36の厚さは、例えば0.05μm以上3.0μm以下であり、好ましくは0.5μm以上2.5μm以下であってもよい。第1インク層36の厚さは、例えば、インクリボン3のSEM(Scanning Electron Microscope)画像、TEM(Transmission Electron Microscope)画像等に基づいて確認することができる。
(3)第2インク層37
第2インク層37は、例えば、任意の熱可塑性樹脂によって形成することができる。第2インク層37に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、プリンタテープ2の形成材料等に応じて適宜選択することができる。第1インク層36をエポキシ樹脂によって形成する場合には、第2インク層37も同様にエポキシ樹脂によって形成することが好ましい。
【0077】
第2インク層37をエポキシ樹脂によって形成することによって、基材層35に対する第1インク層36の密着力と、プリンタテープ2に対する第2インク層37の密着力とを拮抗させることができる。これにより、高温転写時に、第1インク層36を基材層35側、第2インク層37をプリンタテープ2側に良好に分離することができる。高温転写範囲を低温側に拡げることができるので、色味が混濁することを抑制する効果をさらに向上することができる。エポキシ樹脂としては、例えば、第1インク層36のエポキシ樹脂として例示した各種エポキシ樹脂が挙げられる。それらのエポキシ樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0078】
第2インク層37は、熱可塑性樹脂に加えてワックスを含有していてもよい。ワックスの含有によって、高温転写時に、第1インク層36を基材層35側、第2インク層37をプリンタテープ2側に良好に分離することができる。そのため、高温転写範囲を低温側に拡げることができるので、色味が混濁することを抑制する効果をさらに向上することができる。
【0079】
ワックスとしては、エポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂との親和性や相溶性を有する任意のワックスを用いることができる。例えば、カルナバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の天然ワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックスを使用することができる。ワックスの具体例としては、特に制限されないが、例えば、トーヨーケム(株)製のカルナバワックス1号フレーク、2号フレーク、3号フレーク、1号パウダー、2号パウダー(以上、いずれも融点:80~86℃)、日本精蝋(株)製のパラフィンワックスであるEMUSTAR-1155(融点:69℃)、EMUSTAR-0135(融点:60℃)、EMUSTAR-0136(融点:60℃)等、日本精蝋(株)製のマイクロクリスタリンワックスであるEMUSTAR-0001(融点:84℃)、EMUSTAR-042X(融点:84℃)等、日本精蝋(株)製のフィッシャートロプシュワックスであるFNP-0090(凝結点:90℃)、SX80(凝結点:83℃)、FT-0165(融点:73℃)、FT-0070(融点:72℃)等が挙げられる。これらのワックスは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0080】
第2インク層37は、任意の着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、第2インク層37の色味に応じた1種または2種以上の、種々の着色剤を用いることができる。着色剤としては、例えば、顔料および染料であってもよい。転写済みテープ55Aでは、透明なプリンタテープ2および第2インク層37を透過して第1インク層36で反射した光によって第1インク層36の黒色を認識する。したがって、第1インク層36に対する透明性を確保する観点から、第2インク層37は、少なくとも染料を含む着色剤を含有することが好ましい。第2インク層37は、着色剤として染料だけを含有することが好ましく、染料と、染料よりも少ない割合の顔料とを含有していてもよい。
【0081】
第1インク層36に対する透明性の指標として、JIS K 7361に準拠して測定された全光線透過率が用いられてもよい。第2インク層37の全光線透過率は、例えば、16%以上であり、好ましくは、16.5%以上であってもよい。
【0082】
例えば、第2インク層37を赤色に着色するための染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料等や、それらの各種造塩タイプの染料等、以下の各種赤色染料が挙げられる。これらの赤色染料は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0083】
C.I.ベーシックレッド1、12、13;C.I.アシッドレッド13、14、18、27、50、52;C.I.ソルベントレッド25、27、30、35、49、83、89、100、122、138、149、150、160、179、218、230;C.I.ダイレクトレッド20、37、39、44;C.I.ディスパースレッド5、7、13、17。
【0084】
例えば、第2インク層37を赤色に着色するための顔料としては、以下の各種赤色顔料が挙げられる。これらの赤色顔料は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0085】
C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、53:1、57(Ca)、57:1、97、112、122、123、149、168、177、178、179、184、202、206、207、209、242、254、255。
【0086】
また、例示された組成を有する第2インク層37からの反射光の色差のL値は、20以下であり、好ましくは15以下であり、さらに好ましくは10以下であり、とりわけ好ましくは5以下である。L値は、例えば、反射色差計を用いて、インクリボン3の第2インク層37の側から光束を入射し、そのときに測定された反射濃度(L値)であってもよい。第2インク層37からの反射光のL値が上記の範囲であれば、第1インク層36に対する透明性を十分に確保することができる。
【0087】
第2インク層37における各成分の割合は、特に制限されない。エポキシ樹脂100質量部に対するワックスの割合は、例えば3質量部以上であり、好ましくは5質量部以上である。エポキシ樹脂100質量部に対するワックスの割合は、例えば11質量部以下であり、好ましくは9質量部以下である。エポキシ樹脂100質量部に対するワックスの割合は、例えば3質量部以上11質量部以下であり、好ましくは5質量部以上9質量部以下である。
【0088】
エポキシ樹脂100質量部に対する赤色染料等の着色剤の割合(着色剤の総量)は、例えば70質量部以上であり、好ましくは80質量部以上である。エポキシ樹脂100質量部に対する赤色染料等の着色剤の割合は、例えば140質量部以下、好ましくは120質量部以下である。エポキシ樹脂100質量部に対する赤色染料等の着色剤の割合は、例えば70質量部以上140質量部以下であり、好ましくは80質量部以上120質量部以下である。
【0089】
第2インク層37は、例えば、上記の各成分を任意の溶剤に溶解または分散した塗材を、第1インク層36上に塗布した後、乾燥させて形成することができる。
【0090】
第2インク層37の厚さは、例えば、熱転写プリンタの仕様等に応じて任意に設定することができる。第2インク層37の厚さは、第2インク層37の塗布量で調節することができる。例えば、第2インク層37の塗布量は、単位面積あたりの固形分量で表して0.2g/m以上であり、好ましくは1.0g/m以上である。例えば、第2インク層37の塗布量は、単位面積あたりの固形分量で表して7.0g/m以下であり、好ましくは5.0g/m以下である。例えば、第2インク層37の塗布量は、単位面積あたりの固形分量で表して0.2g/m以上7.0g/m以下であり、好ましくは1.0g/m以上5.0g/m以下である。
【0091】
第2インク層37の具体的な厚さ(印刷前)としては、例えば0.05μm以上であり、好ましくは1.0μm以上である。第2インク層37の厚さは、例えば7.0μm以下であり、好ましくは5.0μm以下である。第2インク層37の厚さは、例えば0.05μm以上7.0μm以下であり、好ましくは1.0μm以上5.0μm以下であってもよい。第2インク層37の厚さは、例えば、インクリボン3のSEM(Scanning Electron Microscope)画像、TEM(Transmission Electron Microscope)画像等に基づいて確認することができる。
【0092】
なお、説明は省略するが、第1インク層36と第2インク層37との間には、第1インク層36と第2インク層37との分離を補助する分離層、中間層等の層が形成されていてもよい。当該分離層および中間層は、例えば、熱可塑性エラストマー等で形成されていてもよい。
【0093】
貼合せテープ76は、基材層61と、第1粘着層62と、第2粘着層63と、剥離層64とを含む。基材層61の接着面65に第1粘着層62が形成され、接着面65の反対側の剥離面66に、第2粘着層63が形成されている。貼合せテープ76は、第1粘着層62を介して印刷物56に貼着されている。
(4)基材層61
基材層61としては、例えば、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、トリアセテート等の樹脂のフィルム、コンデンサー紙、グラシン紙等の薄葉紙、およびセロファン等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルムが、機械的強度、寸法安定性、熱処理耐性、価格等の観点から好ましい。基材層61の厚さは、例えば、熱転写プリンタの仕様等に応じて任意に設定することができる。例えば、基材層61の厚さは1μm以上であり、好ましくは10μm以上である。例えば、基材層61の厚さは100μm以下であり、好ましくは50μm以下である。例えば、基材層61の厚さは、1μm以上100μm以下であり、好ましくは10μm以上50μm以下である。
(5)第1粘着層62
第1粘着層62としては、フィルム同士の接着に使用される接着層であれば特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。第1粘着層62の厚さは、例えば、1μm以上であり、好ましくは10μm以上である。例えば、第1粘着層62の厚さは100μm以下であり、好ましくは50μm以下である。例えば、第1粘着層62の厚さは、1μm以上100μm以下であり、好ましくは10μm以上50μm以下である。
(6)第2粘着層63
第2粘着層63としては、フィルム同士の接着に使用される接着層であれば特に制限されず、例えば、第1粘着層62で使用する接着材料を使用することができる。第2粘着層63の厚さは、例えば、1μm以上であり、好ましくは10μm以上である。例えば、第2粘着層63の厚さは100μm以下であり、好ましくは50μm以下である。例えば、第2粘着層63の厚さは、1μm以上100μm以下であり、好ましくは10μm以上50μm以下である。
(7)剥離層64
剥離層64は、転写済みテープ55Aを対象物に貼り付ける際に貼合せテープ76から剥され、第2粘着層63を露出させる。露出した第2粘着層63を介して、転写済みテープ55Aを対象物に貼り付けることができる。剥離層64としては、例えば、シリコーン等の剥離剤でコーティングされた剥離紙等が挙げられる。
【0094】
なお、図5Cに示すように、貼合せテープ76は、基材層61を備えていなくてもよい。
【0095】
以上の層構成を備える転写済みテープ55Aによれば、図7に示すように、第2インク層37が透明なプリンタテープ2(カバーフィルム)で被覆されている。これにより、プリンタテープ2を介して第2インク層37に入射する光77をプリンタテープ2で屈折させることができる。その結果、斜め方向や横方向からプリンタテープ2を介して第2インク層37(表面側インク層)を観察したときに、第2インク層37に隠れた第1インク層36の端部色が観察されることを抑制することができる。
<転写済みテープ55B>
図5Bを参照して、転写済みテープ55Bは、インクリボン3の一部が転写されたプリンタテープ2と、プリンタテープ2に貼り合わせられた貼合せテープ76とを含む。貼合せテープ76は、貼合せフィルムと称されてもよい。図5Bは、転写済みテープ55Bのうち第1転写層82として第1インク層36および第2インク層37の積層体が転写された部分の断面を示し、転写済みテープ55Bのうち第2転写層として第2インク層37が選択的に転写された部分の断面は省略する。
【0096】
この実施形態の転写済みテープ55Bでは、貼合せテープ76は、第1粘着層84を介してプリンタテープ2に貼着され、第1転写層82を物理的に外部から保護する、透明なフィルムの一例としての透明なカバーフィルム83を有している。したがって、第1転写層82において、カバーフィルム83に近い側の第1インク層36が表面側インク層(観察面側インク層)である。人は、白抜き矢印60で示すように、カバーフィルム83を透過して第1インク層36または第2インク層37で反射した光によって、第1インク層36および第2インク層37のそれぞれの色を認識することができる。
【0097】
次に、さらに具体的に、転写済みテープ55Bの層構成について説明を加える。
【0098】
転写済みテープ55Bは、前述のように、プリンタテープ2と貼合せテープ76との貼り合わせによって形成されている。
【0099】
プリンタテープ2は、基材層80と、第1転写層82と、第2粘着層85と、剥離層86とを印刷物81により形成されている。
(1)基材層80
基材層80としては、例えば、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、トリアセテート等の樹脂のフィルム、コンデンサー紙、グラシン紙等の薄葉紙、およびセロファン等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルムが、機械的強度、寸法安定性、熱処理耐性、価格等の観点から好ましい。基材層80の厚さは、例えば、熱転写プリンタの仕様等に応じて任意に設定することができる。例えば、基材層80の厚さは1μm以上であり、好ましくは10μm以上である。例えば、基材層80の厚さは100μm以下であり、好ましくは50μm以下である。例えば、基材層80の厚さは、1μm以上100μm以下であり、好ましくは10μm以上50μm以下である。
(2)第1転写層82
第1転写層82は、透明なカバーフィルム83側から順に積層された第1インク層36および第2インク層37を含む。第1インク層36および第2インク層37の材料については、転写済みテープ55Aの第1インク層36および第2インク層37の材料と同じである。
【0100】
なお、転写済みテープ55Bでは、第1インク層36が第2インク層37よりも透明なカバーフィルム83側に配置されている。そのため、第2インク層37に光を透過させて第1インク層36の黒色を認識する転写済みテープ55Aとは異なり、第2インク層37に光を透過させずに第1インク層36の黒色を認識することができる。したがって、前述のように、透明性を確保する観点から第2インク層37の着色剤として染料を用いなくてもよい。つまり、転写済みテープ55Bでは、顔料のみによって第2インク層37が着色されていてもよい。
【0101】
なお、説明は省略するが、第1インク層36と第2インク層37との間には、第1インク層36と第2インク層37との分離を補助する分離層、中間層等の層が形成されていてもよい。当該分離層および中間層は、例えば、熱可塑性エラストマー等で形成されていてもよい。
【0102】
一方、転写済みテープ55Bでは、第1インク層36が表面側インク層(観察面側インク層)である点が、転写済みテープ55Aと異なっている。転写済みテープ55Aの表面側インク層は、第2インク層37である。したがって、転写済みテープ55Bにおいて、第1インク層36の厚さは、転写済みテープ55Aの第2インク層37の厚さと同じであることが好ましい。つまり、転写済みテープ55Bの第1インク層36の厚さは、例えば0.05μm以上であり、好ましくは1.0μm以上である。第2インク層37の厚さは、例えば7.0μm以下であり、好ましくは5.0μm以下である。第2インク層37の厚さは、例えば0.05μm以上7.0μm以下であり、好ましくは1.0μm以上5.0μm以下であってもよい。
(3)第2粘着層85
第2粘着層85としては、フィルム同士の接着に使用される接着層であれば特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。第2粘着層85の厚さは、例えば、1μm以上であり、好ましくは10μm以上である。例えば、第2粘着層85の厚さは100μm以下であり、好ましくは50μm以下である。例えば、第2粘着層85の厚さは、1μm以上100μm以下であり、好ましくは10μm以上50μm以下である。
(4)剥離層86
剥離層86は、転写済みテープ55Bを対象物に貼り付ける際に印刷物81から剥され、第2粘着層85を露出させる。露出した第2粘着層85を介して、転写済みテープ55Bを対象物に貼り付けることができる。剥離層86としては、例えば、シリコーン等の剥離剤でコーティングされた剥離紙等が挙げられる。
【0103】
貼合せテープ76は、カバーフィルム83と、第1粘着層84とを含む。
(5)カバーフィルム83
カバーフィルム83としては、転写済みテープ55Aのプリンタテープ2と同じ材料を使用することができる。したがって、カバーフィルム83は、転写済みテープ55Aのプリンタテープ2と同じ屈折率を有する材料により形成されていてもよいし、また、厚さも同じであってもよい。さらに、カバーフィルム83は、製造過程で延伸加工が施されていない無延伸フィルムであってもよいし、一軸延伸および二軸延伸等の延伸加工が施された延伸フィルムであってもよい。また、カバーフィルム83の表面には、光沢仕上げ、マット仕上げ等の表面の仕上げ加工が施されていてもよい。さらに、使用までにカバーフィルム83の表面を保護するシリコーンを用いた剥離層等が、別途形成されていてもよい。これらの層は、概念的にはカバーフィルム83の一部であってもよい。
(6)第1粘着層84
第1粘着層84としては、フィルム同士の接着に使用される接着層であれば特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。第1粘着層84の厚さは、例えば、1μm以上であり、好ましくは10μm以上である。例えば、第1粘着層84の厚さは100μm以下であり、好ましくは50μm以下である。例えば、第1粘着層84の厚さは、1μm以上100μm以下であり、好ましくは10μm以上50μm以下である。
【0104】
また、第1粘着層84およびカバーフィルム83の総厚さが、第1インク層36の厚さよりも大きいことが好ましい。言い換えれば、第1粘着層84およびカバーフィルム83は、それぞれ単独では第1インク層36よりも薄くてよく、合計で第1インク層36よりも厚ければよい。さらに、第1粘着層84およびカバーフィルム83の総厚さは、表面側インク層(第1インク層36)の厚さの2倍以上であることが好ましい。
【0105】
また、第1粘着層84は、転写済みテープ55Bと第1転写層82との間に介在され、印刷パターン44を観察するときに光が通過する層である。したがって、第1粘着層84は、透明であることが好ましい。また、第1粘着層84の屈折率は、例えば、1.4以上であり、好ましくは、1.5以上であり、さらに好ましくは、1.6以上である。屈折率は、例えば、分光エリプソメトリにより測定された屈折率であってもよい。
【0106】
以上の層構成を備える転写済みテープ55Bによれば、図8に示すように、第1インク層36が透明なカバーフィルム83および第1粘着層84で被覆されている。これにより、カバーフィルム83を介して第1インク層36に入射する光87をカバーフィルム83および第1粘着層84で屈折させることができる。その結果、斜め方向や横方向からカバーフィルム83を介して第1インク層36(表面側インク層)を観察したときに、第1インク層36に隠れた第2インク層37の端部色が観察されることを抑制することができる。
【0107】
以上、本開示の実施形態は、すべての点において例示であり限定的に解釈されるべきではなく、すべての点において変更が含まれることが意図される。
【0108】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
【0109】
[付記1-1]
透明なフィルムと、第1インク層および前記第1インク層とは異なる色を有する第2インク層の積層体と、基材層とがこの順で積層された転写済みフィルムであって、
前記第1インク層および前記第2インク層は、前記第1インク層および前記第2インク層の積層体を含むインクリボンで転写された転写層である、転写済みフィルム。
【0110】
[付記1-2]
前記転写層は、熱溶融転写により形成されている、付記1-1に記載の転写済みフィルム。
【0111】
[付記1-3]
前記第1インク層および前記第2インク層の前記積層体は、前記透明なフィルムに近い表面側インク層と、その反対側の裏面側インク層とを含み、
前記透明なフィルムは、前記表面側インク層よりも厚い、付記1-1または付記1-2に記載の転写済みフィルム。
【0112】
[付記1-4]
分光エリプソメトリにより測定される前記透明なフィルムの屈折率は、1.4以上である、付記1-1~付記1-3のいずれか一項に記載の転写済みフィルム。
【0113】
[付記1-5]
前記透明なフィルム、前記第2インク層および前記第1インク層がこの順で積層された印刷物と、
前記第1インク層側で前記印刷物に積層された第1粘着層、および前記第1粘着層を介して前記印刷物に貼着された前記基材層を含む貼合せ層とを含む、付記1-1~付記1-4のいずれか一項に記載の転写済みフィルム。
【0114】
[付記1-6]
前記貼合せ層は、前記第1粘着層の反対側で前記基材層に積層された第2粘着層と、前記第2粘着層を介して前記基材層に積層された剥離層とをさらに含む、付記1-5に記載の転写済みフィルム。
【0115】
[付記1-7]
前記透明なフィルム、および前記透明なフィルムの表面に積層された第1粘着層を含む貼合せ層と、
前記第1粘着層を介して前記透明なフィルムに貼着された前記第1インク層、前記第1インク層上に順に積層された前記第2インク層、前記基材層および第2粘着層を含む印刷物とを含む、付記1-1~付記1-4のいずれか一項に記載の転写済みフィルム。
【0116】
[付記1-8]
前記印刷物は、前記第2粘着層を介して前記基材層に積層された剥離層をさらに含む、付記1-7に記載の転写済みフィルム。
【0117】
[付記1-9]
テープ状に形成された転写済みテープである、付記1-1~付記1-8のいずれか一項に記載の転写済みフィルム。
【0118】
[付記1-10]
第1面および第2面を有する透明なフィルムの前記第1面に、第1インク層および前記第1インク層とは異なる色を有する第2インク層の積層体を含むインクリボンを、前記第2インク層が前記第1面側となるように転写することによって転写層を有する印刷物を形成する工程と、
第1粘着層および基材層を含む貼合せ層を、前記第1粘着層を前記転写層に貼着することによって、前記印刷物に対して前記貼合せ層を貼り合わせる工程とを含む、転写済みフィルムの製造方法。
【0119】
[付記1-11]
第1面および第2面を有する基材層の前記第1面に、第1インク層および前記第1インク層とは異なる色を有する第2インク層の積層体を含むインクリボンを、前記第2インク層が前記第1面側となるように転写することによって転写層を有する印刷物を形成する工程と、
第1粘着層および透明なフィルムを含む貼合せ層を、前記第1粘着層を前記転写層に貼着することによって、前記印刷物に対して前記貼合せ層を貼り合わせる工程とを含む、転写済みフィルムの製造方法。
【実施例0120】
以下に本開示を、実験例に基づいてさらに説明するが、本開示の構成は、これらの例に限定されるものではない。
【0121】
[黒着色層用塗材(1)]
以下の表1に示す各成分を、トルエンとメチルエチルケトン(MEK)の質量比1/4の混合溶剤に溶解して、固形分濃度22.5質量%の黒着色層用塗材(1)を調製した。アクリル系粘着剤中の有効成分の割合は、エポキシ樹脂100質量部あたり80質量部であった。
【0122】
【表1】
【0123】
表中の各成分は次のとおりである。
【0124】
エポキシ樹脂:三菱ケミカル(株)製のJER1007〔基本固形タイプ、軟化点(環球法):128℃、数平均分子量Mn:約2900〕
アクリル系粘着剤:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のAS-665〔固形分濃度:40質量%〕
粘着付与剤:テルペンフェノール樹脂、ヤスハラケミカル(株)製のYSポリスターT80(軟化点:80±5℃)
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製のMA100粉状〔LFF、DBP吸収量:100cm/100g〕
[赤着色層用塗材(1)]
以下の表2に示す各成分を、トルエンとメチルエチルケトン(MEK)の質量比1/4の混合溶剤に溶解して、固形分濃度28質量%の赤着色層用塗材(1)を調製した。
【0125】
【表2】
【0126】
表中の各成分は次のとおりである。
【0127】
エポキシ樹脂:三菱ケミカル(株)製のJER1004〔基本固形タイプ、軟化点(環球法):97℃、数平均分子量Mn:約1650〕
低融点ワックス:トーヨーケム(株)製のカルナバワックス2号パウダー(融点:80~86℃)
赤色着色剤:オリエント化学工業(株)製の赤色染料VALIFAST RED1320(C.I. BASIC RED 1とアゾ染料のオニウム塩)
[実験例1~9]
(1)インクリボン(熱転写記録媒体)の製造
まず、基材層として、厚さ4.5μmのPETフィルムを準備した。次に、当該基材層の、転写層を形成する表面とは反対面(裏面)に、シリコーン系樹脂からなる、単位面積あたりの固形分量が0.1g/mの裏面層を形成した。次に、先に調製した黒着色層用塗材(1)を、基材層の表面に塗布したのち乾燥させて、単位面積あたりの固形分量が2.5g/mである黒着色層を形成した。黒着色層の厚さは2.5μmであった。次に先に調製した赤着色層用塗材(1)を、黒着色層の上に塗布したのち乾燥させて、単位面積あたりの固形分量が2.5g/mである赤着色層を形成して、インクリボンを製造した。赤着色層の厚さは2.5μmであった。実験例1~9で得られたインクリボンの各層の組成は、以下の表4~6に示すとおりである。なお、実験例2では、単位面積あたりの固形分量が7g/mである赤着色層を形成して、7μmの厚さを有する赤着色層を形成した。
(2)転写済みフィルムの製造
<実験例1>
上で得られたインクリボンをロール状に巻き取って、熱転写プリンタ〔ブラザー工業(株)製の試作プリンタ〕にセットした。当該熱転写プリンタの主な仕様は次のとおりである。
<解像度> 300dpiラインサーマルヘッド
<発熱体の抵抗値>1830Ω
<転写荷重> 30N/2inch
<搬送速度> 20mm/sec
<剥離距離> 110mm
次に、外気温25℃の環境下、熱転写プリンタにあらかじめ設定された、サーマルヘッドに印加するエネルギー値を100(低温、黒)にセットした。そして、透明な基材フィルムとしてのPETフィルム〔東レ(株)製のルミラー(登録商標)#6-S10、厚さ6μm、屈折率1.66〕の表面に、印字速度5inch/secの条件で、バーコードを記録した。記録後、バーコードを被覆するように、粘着層を備える貼合せフィルム〔ポリエステルフィルム(白色・ツヤ)、リンテック(株)製のFR1415-50PET〕を基材フィルムにラミネートした。これにより、赤着色層が基材フィルム側となるように、赤着色層および黒着色層の積層体が転写層として形成された、転写済みフィルムが得られた。転写済みフィルムにおいて、基材フィルムは転写層の表面側を覆うカバーフィルムとして機能する。なお、PETフィルムの屈折率は、J.A.Woollam Japan社製の回転補償子型高速分光エリプソメーターM-2000(登録商標)を用いて測定した。測定時の入射角度は、50°~70°に設定した。
【0128】
<実験例2>
赤着色層の厚さが7μmのインクリボンを使用したこと以外は、実験例1と同様にして、転写済みフィルムを作製した。
【0129】
<実験例3>
透明な基材フィルム(カバーフィルム)として、厚さ25μmのPEフィルム〔東洋紡(株)製のリックス(登録商標)フィルムL4102、屈折率1.53〕を使用したこと以外は、実験例1と同様にして、転写済みフィルムを作製した。
【0130】
<実験例4>
透明な基材フィルム(カバーフィルム)として、厚さ25μmのPCフィルム〔帝人(株)製のピュアエース(登録商標)グレードD、屈折率1.58〕を使用したこと以外は、実験例1と同様にして、転写済みフィルムを作製した。
【0131】
<実験例5>
透明な基材フィルム(カバーフィルム)として、厚さ14μmの二軸延伸ポリスチレンフィルム〔旭化成(株)製のOPS(登録商標)フィルム、屈折率1.47〕を使用したこと以外は、実験例1と同様にして、転写済みフィルムを作製した。
【0132】
<実験例6>
透明な基材フィルム(カバーフィルム)として、厚さ20μmのPTFEフィルム〔日東電工(株)製のニトフロン(登録商標)No.920UL、屈折率1.35〕を使用したこと以外は、実験例1と同様にして、転写済みフィルムを作製した。
【0133】
<実験例7>
上で得られたインクリボンをロール状に巻き取って、上記と同じ仕様の熱転写プリンタにセットした。次に、外気温25℃の環境下、熱転写プリンタにあらかじめ設定された、サーマルヘッドに印加するエネルギー値を100(低温、黒)にセットした。そして、可変情報印字用ラベル素材〔ポリエステルフィルム(白色・ツヤ)、リンテック(株)製のFR1415-50〕の表面に、印字速度5inch/secの条件で、バーコードを記録した。記録後、バーコードを被覆するように、厚さ2μmの粘着層〔DIC(株)製のクイックマスター(登録商標)SPS-1090NT、屈折率1.50〕を備える透明なPETフィルム〔東レ(株)製のルミラー(登録商標)#2-F51、厚さ2μm、屈折率1.57〕からなる貼合せフィルムをラベル素材にラミネートした。これにより、黒着色層が基材フィルム側となるように、赤着色層および黒着色層の積層体が転写層として形成された、転写済みフィルムが得られた。転写済みフィルムにおいて、貼合せフィルムは転写層の表面側を覆うカバーフィルムとして機能する。なお、PETフィルムの屈折率は、J.A.Woollam Japan社製の回転補償子型高速分光エリプソメーターM-2000(登録商標)を用いて測定した。測定時の入射角度は、50°~70°に設定した。
【0134】
<実験例8>
貼合せフィルム(カバーフィルム)の粘着層として、厚さ4.5μmの粘着層〔DIC(株)製のクイックマスター(登録商標)SPS-1090NT、屈折率1.50〕を使用したこと以外は、実験例7と同様にして、転写済みフィルムを作製した。
【0135】
<実験例9>
貼合せフィルムをラベル素材にラミネートしなかったこと以外は、実験例7と同様にして、転写済みフィルムを作製した。
(2)評価
(2-1)斜め見観察
図9に示すように、実験例1~9で得られた転写済みフィルムの表面に対する角度θを10°から90°まで観測点を変化させることによって、目視によって確認できる印刷物の色の変化を確認した。斜め見観察の評価基準は、次の通りである。結果を以下の表3および4に示す。
○:角度θが10°でも表面側インク層の色の印刷に見える。
△:角度θが45°未満で、表面側インク層で覆われたインク層の端部色が見える。
×:角度θが70°未満で、表面側インク層で覆われたインク層の端部色が見える。
【0136】
【表3】
【0137】
【表4】
【0138】
実験例1~8と実験例9との比較から、表面側インク層を被覆する透明なカバーフィルムが設けられていると、少なくとも角度θが45°以上では、表面側インク層で覆われたインク層の端部色の確認はされなかった。また、実験例1と実験例2との比較から、カバーフィルムが設けられている場合でも、カバーフィルムの厚さが表面側インク層の厚さよりも大きい方が、より高い評価を得られることが分かった。一方、実験例8の結果から、カバーフィルムの厚さが表面側インク層の厚さ未満でも、カバーフィルムと粘着層との厚さの合計が表面側インク層の厚さの2倍以上であれば、端部色の抑制効果を高めることができることが分かった。
【0139】
また、実験例1および8と、実験例3~6との結果から、カバーフィルムがPETフィルムであれば、端部色の抑制効果を十分に実現しながら、カバーフィルムおよび粘着層の総厚さを10μm未満にできることが分かった。したがって、実験例1および8では、複雑な曲面にも転写済みフィルムを良好に貼り付けることができる。
【符号の説明】
【0140】
2 :プリンタテープ
3 :インクリボン
35 :基材層
36 :第1インク層
37 :第2インク層
42 :第1部分
43 :第2部分
44 :印刷パターン
45 :赤色パターン
46 :黒色パターン
48 :基材層
55 :転写済みテープ
55A :転写済みテープ
55B :転写済みテープ
56 :印刷物
57 :第1転写層
61 :基材層
62 :第1粘着層
63 :第2粘着層
64 :剥離層
76 :貼合せテープ
80 :基材層
81 :印刷物
82 :第1転写層
83 :カバーフィルム
84 :第1粘着層
85 :第2粘着層
86 :剥離層
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9