(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022027
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】被覆基材の製造方法
(51)【国際特許分類】
C25D 9/08 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
C25D9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125320
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 朋来
(57)【要約】
【課題】コスト的に有利で、かつ幅広い基材に対して適用可能な被覆基材の製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶剤を溶媒とした浴液2を用いた被覆基材1の製造方法である。浴液2は、水分含有量が1質量%未満であり、少なくとも1種類以上の金属元素を含有し、かつ少なくとも1種類以上のハロゲン元素を含有する。基材5を浴液中に浸漬した状態で、電圧印加することで負極7側(陰極側)の基材5上に皮膜3を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤を溶媒とした浴液を用いた被覆基材の製造方法であって、
前記浴液は、水分含有率が1質量%未満であり、少なくとも1種類以上の金属元素を含有し、かつ少なくとも1種類以上のハロゲン元素を含有し、
基材を前記浴液中に浸漬した状態で、電圧印加することで負極側の前記基材上に前記金属元素を含む皮膜を形成する、被覆基材の製造方法。
【請求項2】
前記浴液中の前記金属元素は正極の溶出により前記浴液中に供給される、請求項1に記載の被覆基材の製造方法。
【請求項3】
前記浴液中の前記金属元素は、金属アルコキシド及び/又は無機金属化合物から供給される、請求項1に記載の被覆基材の製造方法。
【請求項4】
前記ハロゲン元素は、Cl(塩素)、Br(臭素)、及びI(ヨウ素)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
【請求項5】
前記溶媒は、ケトン、及びニトリルからなる群より選ばれた少なくとも1種以上を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
【請求項6】
前記浴液における前記ハロゲン元素の濃度が、1ppm以上20000ppm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
【請求項7】
前記浴液における前記金属元素の濃度が、1ppm以上100ppm以下である、請求項3に記載の被覆基材の製造方法。
【請求項8】
更に前記皮膜を形成後に、熱処理及び/又は光照射によって前記皮膜中のカーボン量を減少させる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
【請求項9】
前記金属元素は、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、及びMo(モリブデン)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被覆基材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1-4には、無機酸化物薄膜を有する被覆基材の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-32521号公報
【特許文献2】特開2009-147192号公報
【特許文献3】特開2015-93821号公報
【特許文献4】特開平9-202606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の製造方法は、湿式成膜方法を採用しており、いずれの製造方法でもアルコキシドのような有機金属化合物を成膜原料として用いる必要があった。そのため、高価な製造方法となってしまい普及が進まなかった。
また、これらの製造方法では、塗布工程における高価な薬液のロスが起こる場合があり、この点も課題であった。
また、成膜直後の被膜は膜中に有機分が多く含まれているため、後工程に熱処理又は光照射が必要であり、基材が材質的に又は形状的に制限される場合があった。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、コスト的に有利で、かつ幅広い基材に対して適用可能な被覆基材の製造方法を提供することを目的とする。本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]
有機溶剤を溶媒とした浴液を用いた被覆基材の製造方法であって、
前記浴液は、水分含有率が1質量%未満であり、少なくとも1種類以上の金属元素を含有し、かつ少なくとも1種類以上のハロゲン元素を含有し、
基材を前記浴液中に浸漬した状態で、電圧印加することで負極側の前記基材上に前記金属元素を含む皮膜を形成する、被覆基材の製造方法。
[2]
前記浴液中の前記金属元素は正極の溶出により前記浴液中に供給される、[1]に記載の被覆基材の製造方法。
[3]
前記浴液中の前記金属元素は、金属アルコキシド及び/又は無機金属化合物から供給される、[1]に記載の被覆基材の製造方法。
[4]
前記ハロゲン元素は、Cl(塩素)、Br(臭素)、及びI(ヨウ素)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上である、[1]から[3]のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
[5]
前記溶媒は、ケトン、及びニトリルからなる群より選ばれた少なくとも1種以上を含む、[1]から[3]のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
[6]
前記浴液における前記ハロゲン元素の濃度が、1ppm以上20000ppm以下である、[1]から[3]のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
[7]
前記浴液における前記金属元素の濃度が、1ppm以上100ppm以下である、[3]に記載の被覆基材の製造方法。
[8]
更に前記皮膜を形成後に、熱処理及び/又は光照射によって前記皮膜中のカーボン量を減少させる、[1]から[3]のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
[9]
前記金属元素は、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、及びMo(モリブデン)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上である、[1]から[3]のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、コスト的に有利で、かつ幅広い基材に対して適用可能な被覆基材の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施例1における被覆基材の断面のFIB-SEMによる観察像である。
【
図3】電析時間と析出重量(析出質量)との関係を示すグラフである。
【
図4】サンプルの試作数と、浴中のアルミニウム元素の濃度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を詳しく説明する。尚、本明細書において、数値範囲について「-」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10-20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10-20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
【0009】
1.被覆基材1の製造方法
本開示の製造方法は、有機溶剤を溶媒とした浴液2を用いた被覆基材1の製造方法である。浴液2は、水分含有量が1質量%未満であり、少なくとも1種類以上の金属元素を含有し、かつ少なくとも1種類以上のハロゲン元素を含有する。基材5を浴液中に浸漬した状態で、電圧印加することで負極7側(陰極側)の基材5上に皮膜3を形成する。本開示の製造方法では、負極7側に電析することで正極6側(陽極側)に電析するよりも基材5の酸化を抑制できる。
【0010】
(1)浴液2
浴液2は、有機溶剤を溶媒としている。
(1.1)水分含有率
皮膜3の均質性を担保し、基材5の酸化を抑制する観点から、浴液2の水分含有率は、1質量%未満とされている。水分含有率は、0.5質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましい。水分含有率は、0質量%であってもよい。浴液2の水分含有率はGC-MS分析によって求めることができる。
【0011】
(1.2)金属元素
浴液2は、少なくとも1種類以上の金属元素を含有している。金属元素は、特に限定されない。皮膜3を基材5の良質な保護膜として機能させる観点から、金属元素は、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、及びMo(モリブデン)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。本開示の製造方法では、浴液2中の金属元素に依存した皮膜3である酸化物膜が形成される。
浴液2に、含有される金属元素は、正極6(陽極)の溶出により浴液2中に供給されていてもよい。金属元素が正極6から浴液2中に溶出する場合には、成膜速度の管理が容易となる他、複数の基材5への連続かつ安定した成膜が可能となる。正極6の溶出により金属元素を浴液2に供給する場合には、正極6はAlの電極、Tiの電極、及びMoの電極より選ばれた少なくとも1種以上の電極が用いられることが好ましい。
浴液2中の金属元素は、金属アルコキシド及び/又は無機金属化合物から供給されてもよい。金属元素が金属アルコキシド及び/又は無機金属化合物の溶解により供給される場合には、正極6(陽極)を溶出させて供給することが困難な元素にも対応できる。また、この場合には、複数の金属元素を複合して組成比率を制御した皮膜形成が可能となる。
金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、モリブデンアルコキシド等が例示される。
アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムトリアルコキシドが挙げられる。アルミニウムトリアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムトリプロポキシド(例えば、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn-プロポキシド)、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリブトキシド(例えば、アルミニウムトリsec-ブトキシド、アルミニウムトリn-ブトキシド)等が挙げられる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、チタントリアルコキシド、チタンテトラアルコキシドなどが挙げられ、好ましくは、チタンテトラアルコキシドが挙げられる。チタンテトラアルコキシドとしては、例えば、チタンテトラプロポキシド(例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn-プロポキシドなど)、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシド(例えば、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラn-ブトキシドなど)、チタンテトラペントキシド、チタンテトラヘキソキシド、チタンテトラ(2-エチルヘキソキシド)等が挙げられる。
無機金属化合物としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化チタン等が例示される。
浴液2中の金属元素が、金属アルコキシド及び/又は無機金属化合物から供給される場合には、浴液2における金属元素の濃度は、特に限定されない。この場合には、浴液2における金属元素の濃度は、良好な皮膜3を形成する観点から、1ppm以上100ppm以下であることが好ましく、3ppm以上10ppm以下がより好ましく、4ppm以上6ppm以下が更に好ましい。尚、「ppm」は、「百万分率」であり、「mg/L」である。また、浴液2に複数の金属元素を含む場合には、上記金属元素の濃度は、複数の金属元素の合計濃度を意味する。浴液2における金属元素の濃度は、ICP-MS分析により測定することができる。
【0012】
(1.3)ハロゲン元素
浴液2は、少なくとも1種類以上のハロゲン元素を含有している。浴液2にハロゲン元素を含有することで、皮膜形成が実用的な速度で行われ、しかも皮膜3が均質になりやすい。ハロゲン元素は、特に限定されない。有機電気化学反応を速やかに進行させ、皮膜3を基材5の良質な保護膜として機能させる観点から、ハロゲン元素は、Cl(塩素)、Br(臭素)、及びI(ヨウ素)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。
浴液2におけるハロゲン元素の濃度は、特に限定されない。ハロゲン元素の濃度は、反応速度を適度に抑制するとともに、皮膜3の均質性や厚みの制御に優位で、皮膜3の剥離を抑制する観点から、1ppm以上20000ppm以下であることが好ましく、5ppm以上2000ppm以下がより好ましく、10ppm以上100ppm以下が更に好ましい。尚、「ppm」は、「百万分率」であり、「mg/L」である。浴液2におけるハロゲン元素の濃度は、建浴時のハロゲン元素添加量、もしくは浴液のICP-MS分析により求めることができる。
【0013】
(1.4)有機溶剤
浴液2の溶媒を有機溶剤とすることで、皮膜形成中のガスの発生や基材5自体の酸化が抑制される。皮膜3が良好に形成されるという観点から、溶媒は、ケトン、及びニトリルからなる群より選ばれた少なくとも1種以上を含むことが好ましい。溶媒にケトン、ニトリルを含むことで、縮合反応が電極表面(陰極表面)で起こり電析が可能となると推測される。また、溶媒にケトンを含むことで、ハロゲンの存在下でケトエノール互変異性が生じ、浴液2の反応性が向上すると考えられる。
【0014】
(1.4.1)ケトン
ケトンは、エステル結合以外のカルボニル基(-C(=O)-)を有する有機溶剤であれば、特に限定されない。
ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、4-ヘプタノン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、フェニルアセトン、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、シクロヘキサノン(CHN)、メチルシクロヘキサノン等が挙げられる。これらの中でも、皮膜3が特に良好に形成されるという観点から、ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。
【0015】
(1.4.2)ニトリル
ニトリルは、構造中にニトリル基(-CN)を含む有機溶剤である。ニトリルとしては、例えば、アセトニトリル、プロピオ二トリル、バレロニトリル、ブチロ二トリル等が挙げられる。これらの中でも、皮膜3が特に良好に形成されるという観点から、ニトリルとしては、アセトニトリルが好ましい。
【0016】
(2)基材5
基材5は、特に限定されない。皮膜3の基材5への密着性を高めるために、基材5の少なくとも皮膜3によって被覆される領域は、導電性を有して負極7(陰極)となり得る材質で構成されることが好ましい。基材5の皮膜3によって被覆される部位が導電性を有して負極7(陰極)となることで、この部位に、後述の製造方法によって、皮膜3を容易に形成できる。
基材5の表面部が、導電性を有して負極7となり得る材質で構成されてもよい。基材5全体が負極7となり得る材質から構成されてもよい。負極7となり得る材質として、例えば、鉄系合金、カーボンが好適に用いられる。鉄系合金は、例えば、Fe-Ni-Cr系合金(ステンレス)、Fe-Ni系合金(パーマロイ)、Fe-Si系合金(ケイ素鉄)、Fe-Si-Al系合金(センダスト)、Fe-Ni-Mo(スーパーマロイ)、Fe-Co系合金(パーメンジュール)、及びFe-C-B系合金(アモルファス)から選択される1種又は2種以上が好適に例示される。
【0017】
(3)電圧印加
本開示では、基材5を浴液中に浸漬した状態で、電圧印加することで負極側の基材5上に皮膜3を形成する。具体的には、浴液2に正極6と負極7(基材5)とを浸漬し、両電極間に電位勾配を発生させる。
正極6としては、公知の導電性基板のいずれも使用できる。浴液2中の金属元素が、正極6の溶出によって供給される場合には、正極6は、Alの電極、Tiの電極、及びMoの電極より選ばれた少なくとも1種以上の電極が好ましい。正極6の形状、厚さ、大きさ等は、特に限定されない。正極6は、例えば、箔状、板状、発泡状、不織布状、メッシュ状、フェルト状、エキスパンデッド状であってもよい。
正極6と負極7は、対向して配置されることが好ましい。
正極6と負極7は、直流電源に接続され、直流電源によって正極6と負極間に電位勾配を発生させることができる。
正極6と負極7間に電位勾配を発生するためには、浴液2に正極6と負極7とを浸漬した状態で、正極6と負極7に接続されている電源によって、両電極に電圧(例えば定電圧)を印加する。
両電極間に発生させる電位勾配は、皮膜形成を実用的な速度で行う観点から、定電圧の場合には、10V以上300V以下が好ましく、20V以上100V以下がより好ましく、60V以上80V以下が更に好ましい。
電圧を印加する印加時間は、特に限定されない。印加時間は、例えば、10秒以上300秒以下が好ましく、30秒以上240秒以下がより好ましく、60秒以上180秒以下が更に好ましい。
尚、電圧は、定電圧ではなく、大きさを変化させてもよい。
【0018】
(4)皮膜形成後の処理工程
皮膜3の形成後に、熱処理及び/又は光照射によって皮膜3中のカーボン量を減少させてもよい。熱処理及び/又は光照射によって皮膜3中のカーボン量を減少させることで、無機酸化膜としての純度を制御できる。
熱処理の処理温度は、特に限定されない。カーボン量を効率的に減少させる観点から、100℃以上1000℃以下が好ましく、300℃以上800℃以下がより好ましく、500℃以上600℃以下が更に好ましい。
熱処理の処理時間は、特に限定されない。カーボン量を効率的に減少させる観点から、1分以上60分以下が好ましく、5分以上45分以下がより好ましく、10分以上30分以下が更に好ましい。
光照射における光の波長は、特に限定されない。光の波長は、カーボン量を効率的に減少させる観点から、250nm以上1100nm以下が好ましく、300nm以上800nm以下がより好ましく、400nm以上500nm以下が更に好ましい。
光の照射時間は、特に限定されない。カーボン量を効率的に減少させる観点から、3秒以上120秒以下が好ましく、5秒以上60秒以下がより好ましく、10秒以上30秒以下が更に好ましい。尚、皮膜3中のカーボン量の減少はXPS分析によって確認することができる。
【0019】
2.本実施形態の被覆基材の製造方法の作用効果
本実施形態によれば、コスト的に有利で、かつ幅広い基材5に対して適用可能な被覆基材1の製造方法が提供される。
本実施形態によれば、高価な原料を用いることなく、又は高価な原料の使用量をごく少量にして皮膜形成できるため、湿式成膜の工業化に貢献できる。
また、熱処理や光照射等の後処理を必ずしも行う必要なく、皮膜3を形成できるから、基材5の材質や基材5の形状の選択肢を広げることができる。
【実施例0020】
実施例により本開示を更に具体的に説明する。
尚、以下の説明において、XPS(X線光電子分光法)の測定条件は以下の通りである。
[測定条件]
X線ビーム径:100μmΦ
信号の取り込み角:45.0°
パスエネルギー:140eV
Arエッチング30秒(エッチングレート: SiO2換算で10nm/min)
【0021】
1.金属元素が正極6の溶出により浴液2中に供給される実施例
(1)実施例1(溶媒:MEK、正極6:アルミニウム)
図1に示す成膜装置11を用いた。正極6としてアルミニウムワイヤを用いた。負極7としてステンレス板を用いた。負極7は、表面に皮膜3を形成する基材5である。浴液2の溶媒には、メチルエチルケトン(MEK)を用いた。浴液2には、ハロゲンとしてのヨウ素を600ppm溶解させた。
浴液2に正極6と負極7を浸漬した状態で、正極6と負極7間に80Vを3分間印加した。
負極7の断面をFIB-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)にて観察したところ、
図2に示すように、基材5の表面に700nmの皮膜3が形成されていた。XPSでArエッチングを30秒間行った後に分析したところ、この皮膜3はアルミニウム酸化物であることが分かった。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は5.8atm%であり、アルミニウム元素及び酸素元素の合計の元素百分率は93.9atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、0.1atm%未満(測定下限)であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、次の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
皮膜3の相対密度は、次の方法により求めた。皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像を取得した。縦300nm、横1000nmの視野で気孔の面積を測定した。下記(1)式から相対密度(%)を求めた。10箇所の視野の相対密度の平均値が皮膜3の相対密度である。尚、皮膜3の厚さが縦300nmよりも小さい場合、皮膜3の厚さに合わせた視野で測定を行うものとする。
相対密度(%)={(S1-S2)/S1}×100 (1)
(式中S1は縦300nm×横1000nmの視野の面積(nm
2)で、S2は縦300nm×横1000nmの視野内における気孔の合計面積(nm
2)である)
【0022】
(2)実施例2(溶媒:アセトン、正極6:アルミニウム)
浴液2の溶媒として、アセトンを用いた。浴液2には、ハロゲンとしてのヨウ素を14ppm溶解させた。それ以外の点は、実施例1と同様にして実験した。負極7の断面をFIB-SEMにて観察したところ、基材5の表面に130nmの皮膜3が形成されていた。XPSで分析したところ、この皮膜3はアルミニウム酸化物であることが分かった。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は6.5atm%であり、アルミニウム元素及び酸素元素の合計の元素百分率は93.3atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、0.1atm%であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、上述の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
【0023】
(3)実施例3(溶媒:MEK、正極6:チタン)
正極6としてチタンワイヤを用いた。それ以外の点は、実施例1と同様にして実験した。負極7の断面をFIB-SEMにて観察したところ、基材5の表面に90nmの皮膜3が形成されていた。XPSで分析したところ、この皮膜3はチタン酸化物であることが分かった。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は24.6atm%であり、チタン元素及び酸素元素の合計の元素百分率は78.7atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、0.3atm%であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、上述の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
【0024】
(4)実施例4(溶媒:アセトン、正極6:チタン)
浴液2の溶媒として、アセトンを用いた。浴液2には、ハロゲンとしてのヨウ素を2400ppm溶解させた。それ以外の点は、実施例3と同様にして実験した。負極7の断面をFIB-SEMにて観察したところ、基材5の表面に500nmの皮膜3が形成されていた。XPSで分析したところ、この皮膜3はチタン酸化物であることが分かった。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は9.2atm%であり、チタン元素及び酸素元素の合計の元素百分率は83.7atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、0.4atm%であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、上述の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
【0025】
(5)実施例5(溶媒:MEK、正極6:モリブデン)
正極6としてモリブデンワイヤを用いた。それ以外の点は、実施例1と同様にして実験した。負極7の断面をFIB-SEMにて観察したところ、基材5の表面に160nmの皮膜3が形成されていた。XPSで分析したところ、この皮膜3はモリブデン酸化物であることが分かった。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は14.8atm%であり、モリブデン元素及び酸素元素の合計の元素百分率は78.7atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、0.1atm%未満(検出限界以下)であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、上述の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
【0026】
(6)実施例6(溶媒:アセトン、正極6:モリブデン)
浴液2の溶媒として、アセトンを用いた。浴液2には、ハロゲンとしてのヨウ素を2400ppm溶解させた。それ以外の点は、実施例5と同様にして実験した。負極7の断面をFIB-SEMにて観察したところ、基材5の表面に480nmの皮膜3が形成されていた。XPSで分析したところ、この皮膜3はモリブデン酸化物であることが分かった。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は12.7atm%であり、モリブデン元素及び酸素元素の合計の元素百分率は78.0atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、0.1atm%未満(検出限界以下)であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、上述の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
【0027】
(7)実施例7(溶媒:アセトニトリル、正極6:アルミニウム)
浴液2の溶媒として、アセトニトリルを用いた。浴液2には、ハロゲンとしてのヨウ素を2400ppm溶解させた。それ以外の点は、実施例1と同様にして実験した。負極7の断面をFIB-SEMにて観察したところ、基材5の表面に140nmの皮膜3が形成されていた。XPSで分析したところ、この皮膜3はアルミニウム酸化物であることが分かった。皮膜3には、浴液2には存在しない酸素が存在していた。これは、浴液2に含有されていた水、又は大気中から吸湿した水に由来する酸素であると推定される。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は9.8atm%であり、アルミニウム元素及び酸素元素の合計の元素百分率は90.1atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、0.1atm%であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、上述の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
【0028】
2.金属元素が金属アルコキシドから浴液中に供給される実施例
(1)実施例8(溶媒:アセトン、金属アルコキシド:アルミニウムトリイソプロポキシド)
図1に示す成膜装置11を用いた。正極6として炭素電極を用いた。負極7としてステンレス板を用いた。負極7は、表面に皮膜3を形成する基材5である。浴液2の溶媒には、アセトンを用いた。浴液2には、アルミニウムトリイソプロポキシドを16mg/L(16ppm)溶解させ、ハロゲンとしてのヨウ素を2400mg/L(2400ppm)溶解させた。
浴液2に正極6と負極7を浸漬した状態で、正極6と負極7間に80Vを3分間印加した。
負極7の断面をFIB-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)にて観察したところ、基材5の表面に140nmの皮膜3が形成されていた。XPS(X線光電子分光法)で分析したところ、この皮膜3はアルミニウム酸化物であることが分かった。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は8.4atm%であり、アルミニウム元素及び酸素元素の合計の元素百分率は84.3atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、0.1atm%未満(検出限界以下)であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、上述の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
【0029】
(2)実施例9(溶媒:MEK、金属アルコキシド:アルミニウムトリイソプロポキシド)
浴液2の溶媒として、メチルエチルケトン(MEK)を用いた。それ以外の点は、実施例8と同様にして実験した。負極7の断面をFIB-SEMにて観察したところ、基材5の表面300nmの皮膜3が形成されていた。XPSで分析したところ、この皮膜3はアルミニウム酸化物であることが分かった。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は8.6atm%であり、アルミニウム元素及び酸素元素の合計の元素百分率は83.6atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、0.1atm%未満(検出限界以下)であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、上述の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
【0030】
(3)実施例10(溶媒:アセトン、金属アルコキシド:チタンテトライソプロポキシド)
アルミニウムトリイソプロポキシドに代えて、チタンテトライソプロポキシドを用いた。それ以外の点は、実施例8と同様にして実験した。負極7の断面をFIB-SEMにて観察したところ、基材5の表面に630nmの皮膜3が形成されていた。XPSで分析したところ、この皮膜3はチタン酸化物であることが分かった。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は8.8atm%であり、チタン元素及び酸素元素の合計の元素百分率は86.1atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、1.3atm%であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、上述の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
【0031】
(4)実施例11(溶媒:アセトン、金属アルコキシド:チタンテトラn-プロポキシド)
アルミニウムトリイソプロポキシドに代えて、チタンテトラn-プロポキシドを用いた。それ以外の点は、実施例8と同様にして実験した。負極7の断面をFIB-SEMにて観察したところ、基材5の表面に510nmの皮膜3が形成されていた。XPSで分析したところ、この皮膜3はチタン酸化物であることが分かった。
また、皮膜3における炭素元素の元素百分率は9.5atm%であり、チタン元素及び酸素元素の合計の元素百分率は85.9atm%であった。
また、この皮膜3におけるヨウ素元素の元素百分率は、0.9atm%であった。
また、皮膜3の膜厚方向に切断した断面TEM像では、結晶粒が観察されないことから、皮膜3は非晶質であることが確認された。
また、上述の方法によって、皮膜3の相対密度を求めたところ、相対密度は100%であった。
【0032】
3.皮膜3のFT-IRによる分析
実施例1,2,3,7で形成された皮膜3についてFT-IRで分析した。測定条件は以下の通りである。
測定方法 :1回反射ATR法
積算回数 :64回
分解能 :4cm-1
アパーチャ:150μm
【0033】
いずれの皮膜3においても3000cm-1-2800cm-1にC-H伸縮振動と推定されるピークが検出された。
【0034】
4.皮膜3のXPSによる分析
実施例1,2,3で形成された皮膜3についてXPSで分析した。いずれの皮膜3においてもC=O結合、C-O結合が検出された。
【0035】
5.溶媒の種類による皮膜形成速度の相違
電析時間と析出重量との関係を各種溶媒について調べた。
図1に示す成膜装置11を用いた。正極6としてアルミニウムワイヤを用いた。負極7としてステンレス板を用いた。負極7は、表面に皮膜3を形成する基材5である。浴液2の溶媒には、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンの各種溶媒を用いた。浴液2には、それぞれハロゲンとしてのヨウ素を2400mg/L(2400ppm)溶解させた。
浴液2に正極6と負極7を浸漬した状態で、正極6と負極7間に80Vを1分間-3分間印加した。
各溶媒を用いた場合について、印加時間(電析時間)と析出重量(析出質量)との関係を
図3のグラフに示す。析出重量は、形成された皮膜の重量である。
図3のグラフから、電析時間が大きくなるに伴って析出重量が大きくなる傾向にあることが確認された。また、
図3のグラフから、溶媒の炭化水素基の炭素数が少ない程、析出速度が速いことが確認された。
【0036】
6.浴液2中の金属元素濃度と皮膜3の密着性の関係
実施例1と同様にして、最初(第1番目)のサンプル(被覆基材1)を作製した。第1番目のサンプルを浴液2から引き上げて、新たなステンレス板を浴液2に入れて実施例1と同様に印加して第2番目のサンプルを作製した。同様にして、第3,4番目のサンプルを作製した。各サンプルを浴液2から引き上げる際に、浴液2の一部を取り出して、ICP―MSにてアルミニウム元素の濃度を測定した。
サンプルの試作数と、浴液2のアルミニウム元素の濃度の関係を
図4のグラフに示す。
図4のグラフから、試作数が増えるとアルミニウム元素の濃度が上昇する傾向にあることが分かった。また、第4番目のサンプルでは、皮膜3が基材5から剥離気味であった。よって、連続的にサンプルを作製するためには、アルミニウム元素の濃度は、1ppm以上6ppm以下であることが好ましいことが分かった。
【0037】
7.浴液2中のハロゲン元素の濃度と皮膜の密着性の関係
図1に示す成膜装置11を用いた。正極6としてアルミニウムワイヤを用いた。負極7としてステンレス板を用いた。負極7は、表面に皮膜3を形成する基材5である。浴液2の溶媒には、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)の各種溶媒を用いた。各浴液2には、それぞれハロゲンとしてのヨウ素を表1に示す量溶解させた。
各浴液2に正極6と負極7を浸漬した状態で、正極6と負極7間に80Vを3分間印加して、最初(第1番目)のサンプル(被覆基材1)を作製した。第1番目のサンプルを浴液2から引き上げて、新たなステンレス板を浴液2に入れて第1番目のサンプルと同様に印加して第2番目のサンプルを作製した。同様にして、第3番目以降のサンプルを連続して作製した。
結果を表1に示す。表1における評価は以下の通りである。
A:皮膜3が形成された。皮膜3と基材5の密着性は良好であった。
B:皮膜3が形成された。皮膜3と基材5の密着性がやや劣り、皮膜3は剥離気味であった。
【0038】
表1の結果から、ヨウ素の濃度がいずれの場合であっても皮膜3の形成は可能であった。ヨウ素の濃度は、皮膜3の剥離を抑制する観点から、0.001g/L以上0.10g/L以下(1mg/L以上100mg/L以下=1ppm以上100ppm以下)であることが好ましいことが確認された。
【0039】
【0040】
8.基材5の種類の検討
種々の基材5を用いた場合について皮膜3の形成を試みた。実施例1における負極7であるステンレス板の代わりに、パーマロイ板、チタン板、銅板、炭素板をそれぞれ用いた。それ以外の点は、実施例1と同様にして実験した。
いずれの基材5においても安定した皮膜3が形成された。よって、基材5の種類によらずに、安定した皮膜3の形成ができることが確認された。
【0041】
9.実施例の効果
本実施例によれば、コスト的に有利で、かつ幅広い基材5に対して適用可能な被覆基材1の製造方法が提供される。
【0042】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。
【0043】
(付記)
本明細書には以下の発明が含まれる。
[1]
有機溶剤を溶媒とした浴液を用いた被覆基材の製造方法であって、
前記浴液は、水分含有率が1質量%未満であり、少なくとも1種類以上の金属元素を含有し、かつ少なくとも1種類以上のハロゲン元素を含有し、
基材を前記浴液中に浸漬した状態で、電圧印加することで負極側の前記基材上に前記金属元素を含む皮膜を形成する、被覆基材の製造方法。
[2]
前記浴液中の前記金属元素は正極の溶出により前記浴液中に供給される、[1]に記載の被覆基材の製造方法。
[3]
前記浴液中の前記金属元素は、金属アルコキシド及び/又は無機金属化合物から供給される、[1]に記載の被覆基材の製造方法。
[4]
前記ハロゲン元素は、Cl(塩素)、Br(臭素)、及びI(ヨウ素)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上である、[1]から[3]のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
[5]
前記溶媒は、ケトン、及びニトリルからなる群より選ばれた少なくとも1種以上を含む、[1]から[4]のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
[6]
前記浴液における前記ハロゲン元素の濃度が、1ppm以上20000ppm以下である、[1]から[5]のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
[7]
前記浴液における前記金属元素の濃度が、1ppm以上100ppm以下である、[3]に記載の被覆基材の製造方法。
[8]
更に前記皮膜を形成後に、熱処理及び/又は光照射によって前記皮膜中のカーボン量を減少させる、[1]から[7]のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。
[9]
前記金属元素は、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、及びMo(モリブデン)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上である、[1]から[8]のいずれか1項に記載の被覆基材の製造方法。