(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022029
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】吊枠装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0047 20190101AFI20240208BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20240208BHJP
F24F 13/32 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
F24F1/0047
E04B9/00 F
F24F13/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125324
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】520396290
【氏名又は名称】EMFORT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】中 悟史
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空調機器などをQLデッキなどがある天井などに吊り下げる場合、容易に位置調整が可能な吊枠装置を提供する。
【解決手段】対象となる機器7を吊下げて所定の場所に設置するために利用する吊枠装置であって、4辺のフレーム部材2、3、4、5で構成された四角形の吊枠本体を有し、それぞれの4辺のフレーム部材2、3、4、5にはそのフレーム部材2、3、4、5の方向にそれぞれスリット部2S、3S、4S、5Sが形成されており、一の対向する2辺のフレーム部材2、3のスリット部2S、3Sには、所定の場所に設置するための第1棒状部材9がスライド可能に挿入して係止され、他の対向する2辺のフレーム部材4、5のスリット部4S、5Sには、対象となる機器7を吊下げるための第2棒状部材8がスライド可能に挿入して係止されている吊枠装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象となる機器を吊下げて所定の場所に設置するために利用する吊枠装置であって、
4辺のフレーム部材で構成された四角形の吊枠本体を有し、
それぞれの4辺のフレーム部材にはそのフレーム部材の方向にそれぞれスリット部が形成されており、
一の対向する2辺のフレーム部材の前記スリット部には、前記所定の場所に設置するための第1棒状部材がスライド可能に挿入して係止され、
他の対向する2辺のフレーム部材の前記スリット部には、前記対象となる機器を吊下げるための第2棒状部材がスライド可能に挿入して係止されていることを特徴とする吊枠装置。
【請求項2】
前記フレーム部材は、所定の間隔を置いて対向配置された2枚のL字状板の組合せ部材で構成され、
前記スリット部は前記所定の間隔に形成され、
隣接する2つの辺のフレーム部材同士は、前記L字状板の水平片面同士が同一平面をなすように連結されており、
その連結は三角ガゼットでそれぞれの水平片面の端部同士を連結固定することで実現されている、請求項1記載の吊枠装置。
【請求項3】
前記2枚のL字状板の組合せ部材は、上側に前記水平片面が位置し、残る垂直片面は下側に配置される、請求項2記載の吊枠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、建物の天井から空調機器などを吊下げ設置するために利用する吊枠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機器を吊り支持する施工を行う場合、空調機器の4隅に吊ボルトを連結し、その吊りボルトの上端を天井に固定することが行われている。
【0003】
しかしながら、天井にはその仕様状況、例えばQLデッキが存在するなどの状況により、空調機器の4隅の吊りボルトの吊りピッチで天井にその吊りボルトを固定することが困難な場合が多い。
【0004】
そこで、型鋼材などの吊下げ架台を介在させ、又吊にして吊支持を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、型鋼材では一品一様でその都度、機器の配置に合わし、型鋼の吊孔を調整する必要があり手間が掛かるという課題があった。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、空調機器などをQLデッキなどがある天井などに吊り下げる場合、容易に位置調整が可能な吊枠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、
対象となる機器を吊下げて所定の場所に設置するために利用する吊枠装置であって、
4辺のフレーム部材で構成された四角形の吊枠本体を有し、
それぞれの4辺のフレーム部材にはそのフレーム部材の方向にそれぞれスリット部が形成されており、
一の対向する2辺のフレーム部材の前記スリット部には、前記所定の場所に設置するための第1棒状部材がスライド可能に挿入して係止され、
他の対向する2辺のフレーム部材の前記スリット部には、前記対象となる機器を吊下げるための第2棒状部材がスライド可能に挿入して係止されていることを特徴とする吊枠装置である。
【0008】
第2の本発明は、
前記フレーム部材は、所定の間隔を置いて対向配置された2枚のL字状板の組合せ部材で構成され、
前記スリット部は前記所定の間隔に形成され、
隣接する2つの辺のフレーム部材同士は、前記L字状板の水平片面同士が同一平面をなすように連結されており、
その連結は三角ガゼットでそれぞれの水平片面の端部同士を連結固定することで実現されている、第1の本発明の吊枠装置である。
【0009】
第3の本発明は、
前記2枚のL字状板の組合せ部材は、上側に前記水平片面が位置し、残る垂直片面は下側に配置される、第2の本発明の吊枠装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、空調機器などをQLデッキなどがある天井などに吊り下げる場合、容易に位置調整が可能な吊枠装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる吊枠装置の斜視図
【
図4】同吊枠装置を用いて天井に空調機器を吊下げた状態を示す図
【
図6】同吊枠装置を用いて天井に空調機器を吊下げた状態を下方から見上げた状態を示す図
【
図7】同吊枠装置を用いて天井に空調機器を吊下げた状態を示す別例の図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施の形態にかかる吊枠装置の例を示す上方から見た平面斜視図である。本実施例では対象としての機器として空調機器を例にとって説明する。
【0014】
図1において、1は吊枠本体であって、4角形状に組み合わされた4辺のフレーム部材2、3、4、5を備えている。7は吊下げ対象の機器の一例の空調装置である。
図4はフレーム部材5側からみた正面図、
図5はフレーム部材2側からみた側面図、
図6は下方から見上げた底面斜視図である。
【0015】
それぞれの4辺のフレーム部材2、3、4、5にはそのフレーム部材の方向にそれぞれスリット部2S、3S、4S、5Sが形成されている。
【0016】
これらスリット部42S、3S、4S、5Sは以下のようにして形成されている。すなわち、フレーム部材2、3、4、5はそれぞれ一対の断面L字状板2a、2b、一対の断面L字状板3a、3b、一対の断面L字状板4a、4b、一対の断面L字状板5a、5bが互いに対向して所定の間隔をおいてボルト6によって連結されて組合せ部材を形成している。この所定の間隔によって上記スリット部2S、3S,4S,5Sが形成されている。
【0017】
さらに、L字状板2aは、上側に水平片面2a1が位置し、残る垂直片面2a2は下側に配置される。また、残る対のL字状板2bも上側に水平片面2b1が位置し、残る垂直片面2b2は下側に配置される。
【0018】
同様に、他のL字状板3aは、上側に水平片面3a1が位置し、残る垂直片面3a2は下側に配置される。また、残る対のL字状板3bも上側に水平片面3b1が位置し、残る垂直片面3b2は下側に配置される。
【0019】
同様に、L字状板4aは、上側に水平片面4a1が位置し、残る垂直片面4a2は下側に配置される。また、残る対のL字状板4bも上側に水平片面4b1が位置し、残る垂直片面4b2は下側に配置される。
【0020】
同様に、L字状板5aは、上側に水平片面5a1が位置し、残る垂直片面5a2は下側に配置される。また、残る対のL字状板5bも上側に水平片面5b1が位置し、残る垂直片面5b2は下側に配置される。
【0021】
さらに、4辺のフレーム部材2、3、4、5同士は、隣接するフレーム部材同士がそれぞれのL字状板の水平片面同士が同一平面をなすように突き合わされて連結されている。
【0022】
その連結は隣接する2つの辺のフレーム部材同士を三角ガゼットGでそれぞれの水平片面の端部同士が連結されることで実現されている。図示実施例では内側の水平片面2b1の上面と水平片面4b1の上面とがガゼットG1で、内側の水平片面2b1の上面と水平片面5b1の上面とがガゼットG2で、内側の水平片面5b1の上面と水平片面3b1の上面とがガゼットG3で、内側の水平片面3b1の上面と水平片面4b1の上面とがガゼットG4で連結されている。さらに、それぞれのガゼットG1、G2、G3、G4に対向する裏側位置にも4枚のガゼットがそれぞれの水平片面の下面に同様に連結されている。
【0023】
一の辺のフレーム部材4のスリット部4Sには上方へ突き出る状態の第1棒状部材9が2本挿入され、ナットなどによって抜けを防止されている。また、このフレーム部材4に対向する一の辺のフレーム部材5のスリット部4Sにも上方へ突き出る状態の第1棒状部材9が2本挿入され、ナットなどで抜けが防止されている。
【0024】
これらの4本の第1棒状部材9の上端は天井10に固定される部材である。10aはQLデッキの凹凸である。
【0025】
他方、残る一の辺のフレーム部材2のスリット部2Sには下方へ突き出る状態の第2棒状部材8が2本挿入され、ナットなどによって抜けを防止されている。また、このフレーム部材2に対向する一の辺のフレーム部材3のスリット部3Sにも下方へ突き出る状態の第2棒状部材8が2本挿入され、ナットなどで抜けが防止されている。
【0026】
これら4本の第2棒状部材8の下端には空調機器7の4隅に連結係止されている。
【0027】
なお、
図3に示すように、一対のL字状板2a、2bの組合せを、水平片面2a1を下側に、垂直片面2a2を上側に配置してもよい。
【0028】
また、
図7に示すように、第2棒状部材8の長さが長い場合は不安定になることもあるので、安定させるためのクロスフレーム11を第2棒状部材8の間に装設してもよい。
【0029】
このような構造であるので、QLデッキの凹凸10aが存在する天井10に、所定のサイズの空調機器7を吊下げようとした場合、先ず、空調機器7の4隅の吊下げ箇所同士の長さに第2棒状部材8を合わせる。
【0030】
すなわち、フレーム部材2のスリット部2Sに係止された2つの第2棒状部材8、8をスライドさせて、空調機器7の2隅の吊下げ箇所の距離に合わせる。次に、フレーム部材2に対向位置するフレーム部材3についてもフレーム部材3のスリット部3Sに係止された2つの第2棒状部材8、8をスライドさせて、空調機器7の残る2隅の吊下げ箇所の距離に合わせる。
【0031】
これによって、空調機器7のサイズが違っていても、それに柔軟に対応して4隅を吊下げることが出来る。
【0032】
他方、フレーム部材4のスリット部4Sに係止されている2つの第1棒状部材9、9については、天井10のQLデッキの凹凸10aに合わせるようにスリット部4Sをスライドさせて、天井10に吊下げるように調整する。
【0033】
同様に、フレーム部材5のスリット部5Sに係止されている2つの第1棒状部材9、9についても、天井10のQLデッキの凹凸10aに合わせるようにスリット部5Sをスライドさせて、天井10に吊下げるように調整する。
【0034】
その場合、天井10のQLデッキの凹凸10aはフレーム部材4,5に対して直交する方向に形成された凹凸条である。従って、取付け位置は適切に選択することが出来る。もし平行な凹凸10aの場合は、空調機器7とフレーム部材2、3、4、5全体を90度回転させて吊下げればよい。
【0035】
上述したフレーム部材2、3、4、5の材料は軽量なアルミ素材が好ましいが、その他の鋼材でも構わない。
なお、
図8はフレーム部材2、3、4、5と、第1棒状部材9、9と、第2棒状部材8、8を示す正面図である。
図9はそれらの右側面図、
図10はそれらの背面図、
図11はそれらの平面図、
図12はそれらの底面図、
図13はそれらの上から見た斜視図、
図14はそれらの下から見た斜視図である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明における吊枠装置は、空調機器などをQLデッキの凹凸などがある天井に吊り下げる場合、容易に位置調整が可能なので、天井に空調機器などを吊り下げる場合に有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 吊枠本体
2 フレーム部材
2a L字状板
2a1 水平片面
2a2 垂直片面
2b L字状板
2b1 水平片面
2b2 垂直片面
3 フレーム部材
3a L字状板
3a1 水平片面
3a2 垂直片面
3b L字状板
3b1 水平片面
3b2 垂直片面
4 フレーム部材
4a L字状板
4a1 水平片面
4a2 垂直片面
4b L字状板
4b1 水平片面
4b2 垂直片面
5 フレーム部材
5a L字状板
5a1 水平片面
5a2 垂直片面
5b L字状板
5b1 水平片面
5b2 垂直片面
6 ボルト
7 空調機器
8 第2棒状部材
9 第1棒状部材
10 天井
10a QLデッキの凹凸
G1、G2、G3、G4 ガゼット
1S、2S、3S、4S スリット部