(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002204
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】粉粒体乾燥装置及び粉粒体乾燥方法
(51)【国際特許分類】
F26B 17/10 20060101AFI20231228BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F26B17/10 C
F26B21/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101263
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】寺田 敬
(72)【発明者】
【氏名】菅野 琢磨
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB04
3L113AC45
3L113AC48
3L113BA02
3L113DA04
(57)【要約】
【課題】低許容上限温度の原料であっても、効率良く乾燥処理が行い得る粉粒体の乾燥装置・乾燥方法を提供する。
【解決手段】乾燥装置1は気流式の連続乾燥装置であり、医薬品等の低融点物質を原料とする造粒物の乾燥処理に使用され、造粒物投入部11と、乾燥処理部12及び製品排出部13とを有する。乾燥処理部12は、複数個の直管部31と、各直管部31の間を接続する屈曲部32と、を備えた乾燥処理管25を有する。屈曲部32には、乾燥処理管25内に空気を追加供給する追加空気供給管34が取り付けられている。追加空気供給管34は、管内の造粒物36が偏って存在する偏倚部Xから離間した位置に配置され、造粒物36の存在が希薄な部位に開口する。追加空気供給管34からは、造粒物36の融点以上の追加空気が乾燥処理管25内に供給される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を含んだ粉粒体を空気によって乾燥させる気流式の乾燥装置であって、
前記粉粒体が投入される粉粒体投入口と、前記空気が供給される空気吹き込み口と、を備える粉粒体投入部と、
前記粉粒体投入部の後段に該粉粒体投入部と連通して設けられ、前記粉粒体が前記空気と共に流通する乾燥処理部と、
前記乾燥処理部の後段に該乾燥処理部と連通して設けられ、前記乾燥処理部を通過した前記粉粒体が前記空気と共に排出される製品排出部と、を有し、
前記乾燥処理部は、管状の部材によって形成された乾燥処理管と、該乾燥処理管に接続され前記乾燥処理管内に開口して該乾燥処理管に空気を追加供給する追加空気供給管と、を備え、
前記追加空気供給管は、前記乾燥処理管内を流通する前記粉粒体が偏って存在する偏倚部から離間した位置に配置され、前記粉粒体の許容上限温度以上の追加空気を前記乾燥処理管内に供給することを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項2】
請求項1記載の粉粒体乾燥装置において、
前記追加空気供給管は、前記乾燥処理管内の前記偏倚部から離間し前記粉粒体の存在が希薄な部位に開口することを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項3】
請求項1記載の粉粒体乾燥装置において、
前記粉粒体の許容上限温度が融点であり、前記粉粒体は融点が120°C以下の低融点原料を用いてなることを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項4】
請求項1記載の粉粒体乾燥装置において、
前記追加空気供給管は複数個設けられ、
前記追加空気供給管から供給される前記追加空気は、後段側ほど温度が高く風量が大きいことを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の粉粒体乾燥装置において、
前記乾燥処理管は、複数個の直管部と、前記直管部の間に配置され前後の前記直管部を接続する屈曲部と、を備え、
前記追加空気供給管は、前記屈曲部に取り付けられることを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項6】
請求項5記載の粉粒体乾燥装置において、
前記追加空気供給管は、前記屈曲部の内周側上部に取り付けられることを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項7】
請求項6記載の粉粒体乾燥装置において、
前記追加空気供給管は、前記屈曲部の真上から真横の間の位置に取り付けられることを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項8】
請求項6記載の粉粒体乾燥装置において、
前記屈曲部における前記偏倚部は、前記乾燥処理管の外周側斜め下方向の部位に形成され、
前記追加空気供給管は、前記偏倚部に対し直径方向に対向した位置に取り付けられることを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項9】
請求項1~4の何れか1項に記載の粉粒体乾燥装置において、
前記乾燥処理管は直線状に延びる直管部を備え、
前記追加空気供給管は、前記直管部に取り付けられることを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項10】
請求項9記載の粉粒体乾燥装置において、
前記追加空気供給管は、前記直管部の真上または真上から周方向に沿って45°下がった位置の間に取り付けられることを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項11】
請求項9記載の粉粒体乾燥装置において、
前記直管部における前記偏倚部は、前記乾燥処理管の管底部分に形成され、
前記追加空気供給管は、前記偏倚部に対し直径方向に対向した位置に取り付けられることを特徴とする粉粒体乾燥装置。
【請求項12】
水分を含んだ粉粒体を空気によって乾燥させる気流式の乾燥方法であって、
管状の部材によって形成された乾燥処理管内に、前記粉粒体を該粉粒体の許容上限温度未満の温度の主乾燥空気と共に導入し、その後、
前記乾燥処理管内を流通する前記粉粒体が偏って存在する偏倚部から離間した位置に、前記粉粒体の許容上限温度以上の補助乾燥空気を追加供給して前記粉粒体の乾燥処理を行うことを特徴とする粉粒体乾燥方法。
【請求項13】
請求項12記載の粉粒体乾燥方法において、
前記補助乾燥空気は、前記乾燥処理管内の前記偏倚部から離間し前記粉粒体の存在が希薄な部位から供給されることを特徴とする粉粒体乾燥方法。
【請求項14】
請求項12記載の粉粒体乾燥方法において、
前記粉粒体の許容上限温度が融点であり、前記粉粒体は融点が120°C以下の低融点原料を用いてなることを特徴とする粉粒体乾燥方法。
【請求項15】
請求項12記載の粉粒体乾燥方法において、
前記補助乾燥空気は複数回供給され、後段側の空気ほど温度が高く風量が大きいことを特徴とする粉粒体乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を連続的に乾燥させる気流式の乾燥装置及び乾燥方法に関し、特に、医薬品など、処理許容上限温度の低い物質を原料とする粉粒体を効率良く乾燥可能な乾燥装置・方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医薬品等に使用される顆粒状の粉粒体を乾燥する装置としては、バッチ式(回分式)に粉粒体を乾燥処理する流動層乾燥装置や、特許文献1のように、ロータリーフィーダー等によって連続的に乾燥処理を行う装置が知られている。また、顆粒の製造には、特許文献2のようなスプレードライヤー(噴霧乾燥装置)が使用されており、さらに、汚泥などの廃棄物やトナー粒子等の乾燥には、特許文献3のようなループ型の気流式乾燥機が使用されている。
【0003】
また、近年、製品の低価格化や高品質化の要請から、医薬品等の乾燥顆粒を製造するラインにおいても生産性や品質の向上が求められており、製造システムの更なる省スペース化や処理時間の短縮が望まれている。そこで、本出願人は、乾燥能力が高く品質安定性に優れ、高品質の乾燥顆粒が高効率で得られる気流式の粉粒体乾燥装置として、特許文献4のような、乾燥処理工程中に追加給気を行う乾燥装置を創出、提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58-72868号公報
【特許文献2】特開2011-33269号公報
【特許文献3】特開2000-292975号公報
【特許文献4】特開2021-139527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、気流乾燥は、200~300°Cの高温の熱風にて被処理物を短時間で乾燥させるのが一般的であり、高温に耐えられる原料に対しては有効な処理方法であるが、融点が低く、許容上限温度が低い(概ね120°C以下)原料を用いた被処理物への適用は難しかった。このため、低許容上限温度の粉粒体は、上限温度未満の温風にて乾燥処理を行わざるを得ず、その場合、処理量を抑制しないと被処理物を十分に乾燥できず、その分、生産効率が低下するという課題があった。
【0006】
この点、特許文献4の装置では、乾燥経路にて追加給気を行うことにより工程途中で乾燥空気温度が上昇し、乾燥効率の向上が図られる。しかしながら、この場合も、乾燥空気温度が経路に沿って徐々に低下することは避けられず(
図3(a)参照)、高温の追加給気が可能な原料を用いた粉粒体に比して、低許容上限温度の粉粒体では生産効率の向上度合いが限定的なものに留まっていた。
【0007】
本発明の目的は、低許容上限温度の原料を用いた粉粒体であっても、効率良く乾燥処理が行い得る粉粒体の乾燥装置・乾燥方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の粉粒体乾燥装置は、水分を含んだ粉粒体を空気によって乾燥させる気流式の乾燥装置であって、前記粉粒体が投入される粉粒体投入口と、前記空気が供給される空気吹き込み口と、を備える粉粒体投入部と、前記粉粒体投入部の後段に該粉粒体投入部と連通して設けられ、前記粉粒体が前記空気と共に流通する乾燥処理部と、前記乾燥処理部の後段に該乾燥処理部と連通して設けられ、前記乾燥処理部を通過した前記粉粒体が前記空気と共に排出される製品排出部と、を有し、前記乾燥処理部は、管状の部材によって形成された乾燥処理管と、該乾燥処理管に接続され前記乾燥処理管内に開口して該乾燥処理管に空気を追加供給する追加空気供給管と、を備え、前記追加空気供給管は、前記乾燥処理管内を流通する前記粉粒体が偏って存在する偏倚部から離間した位置に配置され、前記粉粒体の許容上限温度以上の追加空気を前記乾燥処理管内に供給することを特徴とする。
【0009】
前記粉粒体乾燥装置において、前記追加空気供給管は、前記乾燥処理管内の前記偏倚部から離間し前記粉粒体の存在が希薄な部位に開口するようにしても良い。また、前記粉粒体の許容上限温度が融点であり、前記粉粒体は融点が120°C以下の低融点原料を用いたものであっても良い。さらに、前記追加空気供給管を複数個設け、前記追加空気供給管から供給される前記追加空気が、後段側ほど温度が高く風量が大きくなるようにしても良い。
【0010】
前記乾燥処理管に、複数個の直管部と、前記直管部の間に配置され前後の前記直管部を接続する屈曲部と、を設け、前記追加空気供給管を前記屈曲部に取り付けるようにしても良い。この場合、前記追加空気供給管を前記屈曲部の内周側上部に取り付けても良い。また、前記追加空気供給管を前記屈曲部の真上から真横の間の位置に取り付けても良い。さらに、前記屈曲部において、前記乾燥処理管の外周側斜め下方向の部位に形成される前記偏倚部に対し、前記追加空気供給管を前記偏倚部の直径方向に対向した位置に取り付けても良い。
【0011】
加えて、前記乾燥処理管に直線状に延びる直管部を設け、前記追加空気供給管を前記直管部に取り付けるようにしても良い。この場合、前記追加空気供給管を、前記直管部の真上または真上から周方向に沿って45°下がった位置の間に取り付けても良い。また、前記直管部において、前記乾燥処理管の管底部分に形成される前記偏倚部に対し、前記追加空気供給管を前記偏倚部の直径方向に対向した位置に取り付けても良い。
【0012】
一方、本発明の粉粒体乾燥方法は、水分を含んだ粉粒体を空気によって乾燥させる気流式の乾燥方法であって、管状の部材によって形成された乾燥処理管内に、前記粉粒体を該粉粒体の許容上限温度未満の温度の主乾燥空気と共に導入し、その後、前記乾燥処理管内を流通する前記粉粒体が偏って存在する偏倚部から離間した位置に、前記粉粒体の許容上限温度以上の補助乾燥空気を追加供給して前記粉粒体の乾燥処理を行うことを特徴とする。
【0013】
前記粉粒体乾燥方法において、前記補助乾燥空気を、前記乾燥処理管内の前記偏倚部から離間し前記粉粒体の存在が希薄な部位から供給するようにしても良い。また、前記粉粒体の許容上限温度が融点であり、前記粉粒体は融点が120°C以下の低融点原料を用いたものであっても良い。さらに、前記補助乾燥空気を複数回供給し、その際、後段側の空気ほど温度を高く風量を大きくしても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粉粒体乾燥装置によれば、水分を含んだ粉粒体を空気によって乾燥させる気流式の乾燥装置にて、粉粒体が空気と共に流通する乾燥処理部に、乾燥処理管と、乾燥処理管に空気を追加供給する追加空気供給管と、を設け、追加空気供給管を、乾燥処理管内を流通する粉粒体が偏って存在する偏倚部から離間した位置に配置し、そこから粉粒体の許容上限温度以上の追加空気を乾燥処理管内に供給するようにしたので、上限温度以上で供給された補助乾燥空気の温度を上限温度未満に低下させた状態で粉粒体に供給することができる。このため、乾燥経路内の温度を高い状態で維持しつつ、粉粒体を従来に比して高い温度で効率良く乾燥処理することが可能となる。その結果、例えば、低融点原料を用いた粉粒体の乾燥処理において、原料に影響を与えることなく、効率的な連続乾燥処理を行うことが可能となる。
【0015】
また、本発明の粉粒体乾燥方法によれば、水分を含んだ粉粒体を空気によって乾燥させる気流式の乾燥方法にて、乾燥処理管内に許容上限温度未満の温度の主乾燥空気と共に粉粒体を導入し、その後、乾燥処理管内を流通する粉粒体が偏って存在する偏倚部から離間した位置に、粉粒体の許容上限温度以上の補助乾燥空気を追加供給して粉粒体の乾燥処理を行うようにしたので、上限温度以上で供給された補助乾燥空気の温度を上限温度未満に低下させた状態で粉粒体に供給することができる。このため、乾燥経路内の温度を高い状態で維持しつつ、粉粒体を従来に比して高い温度で効率良く乾燥処理することが可能となる。その結果、例えば、低融点原料を用いた粉粒体の乾燥処理において、原料に影響を与えることなく、効率的な連続乾燥処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態である乾燥装置が使用される連続顆粒製造システムの全体構成を示す説明図である。
【
図2】乾燥処理管内における湿式造粒物の様子と追加空気供給管の位置関係を示す説明図である。
【
図3】追加給気による乾燥空気温度の変化を示す説明図であり、(a)は従来の装置における温度変化、(b)は本発明による乾燥装置での温度変化をそれぞれ示している。
【
図4】発明者らの実験に用いた原料の処方を示す表である。
【
図5】従来の装置と本発明による装置を用いた乾燥処理について発明者らの実験結果を示す表である。
【
図6】追加空気供給管の配置に関する変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である粉粒体乾燥装置1(以下、乾燥装置1と略記する)が使用される連続顆粒製造システムの全体構成を示す説明図である。
図1に示すように、本発明による乾燥装置1が使用される連続顆粒製造システムは、湿式造粒工程と乾燥工程とから構成されており、主として、医薬品等、融点が120°C以下の低融点原料を用いた粉粒体の処理に使用される。当該システムにて製造された顆粒物は、ふるい・整粒工程を経た後、顆粒剤として製品化されたり、錠剤として製品化されたりする。錠剤の場合は、前記ふるい・整粒工程の後、滑沢剤を混合した上で打錠機にて錠剤化され、コーティング機により適宜コーティングされて製品化される。
【0018】
湿式造粒工程は、公知の各種湿式造粒機が使用でき、例えば、高速撹拌造粒機2と押出造粒機3とから構成されており、湿式造粒工程にて作られた造粒物は、湿式造粒物連続供給装置4(以下、造粒物供給装置4と略記する)によって定量的に乾燥装置1に供給される。高速撹拌造粒機2は、粉体混合装置と粉体練合装置を兼ねた仕様となっており、原材料を容器内に投入し、アジテータ、チョッパーを高速で回転させることにより、原材料を撹拌・練合する。押出造粒機3は、スクリュー軸(例えば、2軸並列構成)を備えたエクストルーダ等の湿式造粒装置であり、スクリューにて原料を圧縮・混練し、適宜水分を加えることにより、原材料を柱状の湿式造粒物とする。
【0019】
なお、前述の高速撹拌造粒機2や押出造粒機3などの構成はあくまでも一例であり、これらの装置は、撹拌、造粒、整粒の各機能を有する装置であれば、前記以外の装置であっても、その構成や動作形態を問わず広く適用可能である。さらに、造粒物の状態や製品の仕様に応じて整粒機(図示せず)を加えたり、造粒物供給装置4を省いたりすることも可能である。つまり、湿式造粒工程も含め、ふるい・整粒工程における整粒機や打錠機、コーティング機など、乾燥装置1と組み合わされる装置は、粉粒体の処理形態に応じて適宜選択・変更可能であり、本発明による連続顆粒製造システムは、前記装置の組み合わせには限定されない。
【0020】
当該連続顆粒製造システムにおける乾燥装置1は、大きく分けて、造粒物投入部(粉粒体投入部)11と、乾燥処理部12及び製品排出部13とから構成されており、本発明の乾燥方法も乾燥装置1にて実施される。乾燥装置1は、気流式の連続乾燥装置であり、造粒物投入部11にて供給される湿式造粒物(粉粒体)を、配管が屈曲配置された乾燥処理部12にて温風乾燥させ、製品排出部13から次工程へと排出・送給する。ここでは、乾燥処理部12として、直線状の配管を直角方向に2回曲げた多段直線屈曲型の構成が用いられている。
【0021】
なお、
図1では、乾燥装置1の全体構成が分かり易くなるように、配管が上下方向に延設されているように記載されているが、乾燥装置1の乾燥処理部12は、造粒物投入部11から同一平面状に屈曲配管されて製品排出部13に至っている。つまり、
図1は、乾燥処理部12の配管を上から見た形となっている。
【0022】
造粒物投入部11には、温風供給装置14から、処理気体として、被処理物の許容上限温度に合わせて、許容上限温度(ここでは、融点)未満の温度(例えば、70~120°C程度)の乾燥処理用の温風(乾燥空気)が8~12m/s程度、好ましくは10m/s程度の風速で供給される。この場合、肥料やセメント等の乾燥を行う一般的な気流式乾燥装置では、処理気体の風速は20~30m/sであり、乾燥装置1では、乾燥空気の風速が通常よりも低速に設定されている。
【0023】
造粒物投入部11は、断面が円形となった外径50mm程度・肉厚2~3mm程度の導入配管21を備えている。導入配管21には、金属製の円管部材(例えば、ステンレス鋼管)が使用され、導入配管21全体は略T字状に形成されている。導入配管21には、乾燥装置1の被処理物である湿式造粒物が投入される造粒物投入口(粉粒体投入口)22と、加温された乾燥処理用空気が供給される温風吹き込み口(空気吹き込み口)23が設けられている。造粒物投入口22には、ホッパ24が取り付けられており、前述の造粒物供給装置4から湿式造粒物が供給される。温風吹き込み口23は、造粒物投入口22の前段に配されており、温風供給装置14と接続されている。なお、導入配管21としては、金属製の円管部材のみならず、合成樹脂製やガラス製等、他の素材の部材も使用可能である。
【0024】
乾燥処理部12は、造粒物投入部11の後段に配されており、金属製の円管部材(例えば、ステンレス鋼管)にて形成された乾燥処理管25を備えている。乾燥処理管25は、直線状に延びる複数個の直管部(配管)31と、各直管部31の間を接続する屈曲部32と、を備えた構成となっている。本実施の形態のシステムでは、乾燥処理部12は2屈曲3段構成となっており、造粒物投入部11と製品排出部13との間に3個の直管部31が配置されている(第1~第3直管部31a~31c、以下、直管部31a~31cと略記する)。
【0025】
3個の直管部31は、直管部31a・31bの接続部と、直管部31b・31cの接続部でそれぞれ直角方向に屈曲する形で配管されている。各接続部は屈曲部32(第1,第2屈曲部32a,32b、以下、屈曲部32a,32bと略記する)となっており、直管部31と同様の円管部材にて形成された屈曲配管(エルボ)が取り付けられている。各屈曲部32は、その前後の直管部31と同径となっている。
【0026】
乾燥処理部12の後段には、サイクロン捕集機(粉粒体捕集装置)26を備えた製品排出部13が配されている。サイクロン捕集機26は、接続管27を介して、乾燥処理管25の末端(直管部31c)と接続されている。乾燥処理部12にて乾燥された造粒物は、サイクロン捕集機26の製品捕集管にて回収される。サイクロン捕集機26の後段には、ふるい・整粒工程を行う図示しない整粒装置が接続されている。
【0027】
このような乾燥装置1では、次のようにして造粒物の乾燥処理が行われる。当該乾燥装置1ではまず、造粒物供給装置4から造粒物投入口22に湿式造粒物が供給される。その際、造粒物投入部11の導入配管21内は、サイクロン捕集機26の吸引力によって負圧となっており、造粒物供給装置4からホッパ24内に投入された造粒物は、吹き上がることなく、造粒物投入口22内に導入される。一方、温風吹き込み口23には、温風供給装置14から高圧の温風(乾燥空気)が供給されており、導入配管21内に供給された造粒物は、この乾燥空気によって乾燥処理部12側に搬送される。そして、乾燥処理部12で乾燥処理された造粒物は、乾燥空気に乗って乾燥処理管25から排出され、接続管27を介して、サイクロン捕集機26にて捕集される。
【0028】
ここで、乾燥装置1では、屈曲部32a,32bにて乾燥空気が別途追加供給され、管内温度の低下が抑えられる。
図1に示すように、屈曲部32a,32bの角部33には、追加空気供給管34(第1,第2追加空気供給管34a,34b、以下、追加空気供給管34a,34bと略記する)がそれぞれ取り付けられている。追加空気供給管34には、温風供給装置14からの主乾燥空気とは別に、追加空気供給装置35から補助乾燥空気が供給される。これにより、乾燥処理部12では、乾燥経路の途中で補助乾燥空気が加えられ、乾燥処理部12における乾燥能力の低下が抑制される。
【0029】
図2は、屈曲部32での湿式造粒物36の様子と追加空気供給管34の位置関係を示す説明図であり、(a)は屈曲部32a、(b)は屈曲部32bの構成を示している。
図2に示すように、追加空気供給管34は、屈曲部32の上部に取り付けられており、真上から斜め下に下がった位置に配設されている。この場合、屈曲部32aでは、真上を時計の12時方向とすると10時~11時方向、屈曲部32bでは同じく1時~2時方向にそれぞれ追加空気供給管34が配置されている(以下、○○時は時計の文字盤を基準として述べる)。
【0030】
図2から分かるように、屈曲部32では、造粒物36(粉粒体)は重力と遠心力によって管外周側(曲がりの外側)の斜め下方向の部位(真下よりやや上)に偏って流れる。前述のように、乾燥処理1では、乾燥空気の風速が通常よりも低速であり気流が遅いため、造粒物36は重力の影響を受けて下に溜まりやすい。そして、重力と屈曲部32における遠心力の影響により、屈曲部32aでは右下、屈曲部32bでは左下に偏って、造粒物36が偏って存在する偏倚部Xが形成される。すなわち、屈曲部32aでは4時~5時方向、屈曲部32bでは7時~8時方向にそれぞれ偏倚部Xが存在する。なお、湿式造粒物は微粉がほとんどないため、重力と遠心力により造粒物36は概ね偏倚部Xに偏在する。
【0031】
そこで、乾燥処理1においては、追加空気供給管34を偏倚部Xから離れた部位、つまり、偏倚部Xに対して対向した位置(例えば、周方向に沿って180°反対側の位置)となる屈曲部32の内周側(曲がりの内側)上部に配置している。したがって、追加空気供給管34の開口37は、乾燥処理管25の屈曲部32内部において、偏倚部Xから直径方向に最も離間し造粒物36の存在が希薄な部位に形成され、そこから、乾燥処理管25内に補助乾燥空気が追加給気される。
【0032】
ただし、偏倚部Xは粉粒体の流れによって形成されるものであり、その位置には±45°(レンジ90°)程度の広がりがある。このため、追加空気供給管34の位置(開口37の位置)も、ピンポイントに10時半や2時半の短針位置(真上から45°下がった位置)ではなく、上下に±45°程度の許容範囲を有している。すなわち、追加空気供給管34は、造粒物や処理条件等に応じて、真上から真横の間(鉛直方向から管外周に沿って下方に90°の間)、具体的には、屈曲部32aでは9時~12時、屈曲部32bでは12時~3時の間に配置される(設置範囲Y)。
【0033】
追加空気供給管34からは、加温された低湿度の補助乾燥空気が供給される。乾燥装置1では、この補助乾燥空気として、主乾燥空気よりも高温(80~120°C程度)の温風が供給される。その際、補助乾燥空気としては、造粒物36の融点(許容上限温度)以上の温風を供給する。この場合、従来の乾燥処理では、被処理物が溶解、昇華するような高い温度の給気は行われない。すなわち、主乾燥空気はもとより、特許文献4のような装置でも、融点以上の温度の空気は追加供給しないのが一般的である。
【0034】
これに対し、本発明による乾燥装置1では、補助乾燥空気として敢えて融点以上の空気を供給する。このため、補助乾燥空気の追加により、被処理物がその影響を受けることが懸念されるが、前述のように、追加空気供給管34は、偏倚部Xから最も離間し造粒物36が希薄な部位に配置され開口しており、補助乾燥空気の熱は造粒物36に達するまでに拡散され、温度が低下する(
図2参照)。そこで、乾燥装置1では、補助乾燥空気の温度が造粒物36の位置で融点未満となるようなギリギリのところまでその値を上げて供給する。これにより、補助乾燥空気の追加位置にて、その被処理物の上限近くまで乾燥空気の温度を上げることができ、より高い温度での乾燥処理が継続的に可能となる。なお、主乾燥空気は、管内への原料付着防止のため融点未満とする。
【0035】
図3は、追加給気による乾燥空気温度の変化を示す説明図であり、(a)は従来の装置(特許文献4)における温度変化、(b)は本発明による乾燥装置1での温度変化をそれぞれ示している。
図3(a)に示すように、従来の装置では、被処理物の許容上限温度(ここでは、78°C)の追加給気を2回行う。これに対し、乾燥装置1では、
図3(b)に示すように、90°Cと120°Cの追加給気を行う。この場合、2回目よりも3回目の給気の方が温度・風量共に高いのは、2回目の給気により配管内の風量が多くなっているため、後段側にて前段側と同様の温度上昇効果を得るには、増加した風量の分だけ多くの熱量を供給する必要があるためである。
【0036】
図3(a)のように、従来の装置では、追加給気の都度、配管内の乾燥空気温度が上昇するが、許容上限温度近くまでは上昇せず、全体的には下降傾向となる。すなわち、追加給気温度を許容上限温度とすると、乾燥経路内の温度は下がる一方となる。これに対し、本発明による乾燥装置1では、同図(b)から分かるように、追加給気により、乾燥空気温度は許容上限温度を超えることなくその近傍まで上昇する。すなわち、許容上限温度を超える給気を行っても、乾燥経路内の温度は許容上限温度を超えず、また、全体的にもある程度以上の温度が維持される。
【0037】
したがって、乾燥装置1によれば、従来に比して高い温度(融点未満)にて乾燥処理を行うことが可能となる。乾燥処理においては、同じ熱量(温度×風量)でも温度が高い方が乾燥には有利であり、乾燥装置1を用いることにより、融点が120°C以下の低融点原料を用いた粉粒体、特に融点が80°C以下で、従来それ未満の温風でしか乾燥処理できなかったものであっても高効率にて乾燥処理を行うことができる。その結果、従来と同じ処理速度であればより高い乾燥度を実現でき、また、従来と同じ乾燥度で良ければより早い処理速度にて連続的な乾燥処理が可能となる。
【0038】
図4,5は、本発明の装置・方法に関する発明者らの比較実験結果を示す表であり、
図4は実験に用いた原料の処方を、
図5は従来の装置と本発明による装置の乾燥処理の結果をそれぞれ示している。
図4に示すように、ここでは、有効成分としてイブプロフェン20重量%、添加剤としてマンニトール62重量%、結晶セルロース15重量%、ヒドロキシプロピルセルロース3重量%をタンブラーミキサーにて均一に混合したものを原料として使用した。混合粉末の水分は約1%(赤外線水分計80°C,10min)であり、この水分以下を乾燥目標とした。以下に実験例1~3の内容を説明する(
図5参照)。
【0039】
(実験例1:追加給気のない従来方法,処理速度5kg/h)
まず、実験例1として、追加給気のない従来の装置にて乾燥処理を行った。ここでは、83g/min(=5kg/h)の速度でフィーダより混合粉末を供給し、粉末に対して25重量%量の加水をして二軸混練造粒法により湿式造粒物を得る。次に、11.5m3/min 76°Cの乾燥空気が供給される気流乾燥機(従来装置)に上記湿式造粒物を順次供給し、乾燥顆粒を得る。得られた乾燥顆粒はD50 250μm、水分0.9重量%であり、許容できる物性ではあったものの、水分の許容幅に対するゆとりが少ない。したがって、処理速度を上げると乾燥不足となる可能性が高く、生産効率向上のため処理速度をこれ以上上げることは難しい。
【0040】
(実験例2:本発明方法,処理速度5kg/h)
次に、実験例2として、本発明による装置にて乾燥処理を行った。実験例2では、実験例1と同様に、83g/min(=5kg/h)の速度でフィーダより混合粉末を供給し、粉末に対して25重量%量の加水をして二軸混練造粒法により湿式造粒物を得る。次に、実験例2では、6.5m3/min 76°Cの乾燥空気が供給される気流乾燥機(本発明装置)に上記湿式造粒物を順次供給し、さらに、乾燥経路中に2m3/min 90°Cの追加給気(2ndエア)、3m3/min 120°Cの追加給気(3rdエア)を順次供給して乾燥顆粒を得る(乾燥空気の総量は11.5m3となり、実験例1と同じ)。得られた乾燥顆粒はD50 250μm、水分0.6重量%であり、処理速度が同じ実験例1に比べさらに乾燥が進んでいることが確認できた。この結果から、本発明の方法・装置によれば、乾燥能力にゆとりがあることが分かり、さらに高い処理速度でも対応できる可能性が確認された。
【0041】
(実験例3:本発明方法,処理速度20kg/h)
実験例2にて、より高い速度での処理の可能性が見られたため、本発明による装置を用いて、処理速度を333g/min(=20kg/h)に増加させて実験を行った。すなわち、333g/minの速度でフィーダより混合粉末を供給し、粉末に対して25重量%量の加水をして二軸混練造粒法により湿式造粒物を得る。次に、6.5m3/min 76°Cの乾燥空気が供給される気流乾燥機(本発明装置)に上記湿式造粒物を順次供給し、さらに、乾燥経路中に2m3/min 90°Cの追加給気(2ndエア)、3m3/min 120°Cの追加給気(3rdエア)を順次供給して乾燥顆粒を得る。得られた乾燥顆粒はD50 250μm、水分0.8重量%であり、実験例3では、実験例1と比べて4倍の処理速度であってもそれと同等の乾燥処理ができることが分かった。この結果から、本発明の方法・装置によれば、高い処理速度にて従来と同等の乾燥処理が可能であることが確認された。なお、気流乾燥では、被処理物同士が触れ合う機会はほぼなく、処理速度の変更は柔軟に対応可能であり、同一装置にて処理速度を上げることができれば、処理効率を効果的に向上させることができる。
【0042】
このように、本発明による乾燥方法・装置にあっては、乾燥処理部12に搬送された造粒物は、乾燥処理管25内を温風に乗って流通し乾燥されるが、乾燥装置1では、屈曲部32a,32bにて、追加空気供給管34a,34bから乾燥空気が追加供給される。その際、追加空気供給管34a,34bからは、補助乾燥空気として原料の融点以上の空気が供給される。このとき、補助乾燥空気は、管内の造粒物36から最も離間した部位から供給され、しかも、その温度が造粒物36の位置で融点未満となるように設定されているため、融点以上の空気を追加供給しても造粒物36の物性に影響を与えることはない。これにより、乾燥処理部12では、下流側に至っても処理管内の気体温度が低下せず、乾燥空気温度が一定水準以上に維持された状態で乾燥処理が実施される。
【0043】
また、乾燥装置1では、乾燥工程の途中で新たな乾燥空気が供給されるため、管内の湿度が飽和して乾燥効率が低下することもない。したがって、本発明による乾燥装置1では、管内湿度の飽和を抑えつつ、乾燥処理部12における乾燥能力の低下を抑えることが可能となる。このため、低融点原料を用いた許容上限温度の低い造粒物に対しても、従来よりも高い温度(ただし、被処理物の位置では上限温度未満)の処理気体で乾燥処理を行うことができ、許容上限温度が低い造粒物を連続的かつ高効率に乾燥処理を実施することが可能となる。また、乾燥効率の向上により、従来機に比して乾燥処理管の長さを短くすることもでき、その分、乾燥時間の短縮や時間当たりの処理量向上も図られる。
【0044】
加えて、本発明によれば、風量の上限が決まっている既設の装置に対し、追加工事を施すだけで乾燥能力の上限を押し上げることが可能である。この場合、既存の乾燥装置にて乾燥能力をアップするには、通常、給排気ブロワの容量変更や、空調機の容量変更、ヒータの容量変更、乾燥経路一式の新規製作など、装置全体の改造が必要となる。これに対し、本発明の構成では、既存の装置と合計風量は変わらないため、空調機・乾燥経路・排気ブロワはそのまま流用でき、給気ブロワの追加とヒータの追加程度にて改造が可能であり、装置全体の変更よりも低コストにて仕様変更が可能である。
【0045】
また、乾燥装置1では、当初の主乾燥空気と追加の補助乾燥空気について、両者の温度や風量・風速を自在に組み合わせることができる。したがって、被処理物の種類や量、粒子径、水分量などに応じて、適宜乾燥条件を変更でき、種々の被処理物に柔軟に対応することが可能である。さらに、乾燥装置1は処理時間が短いため、製剤の純度、製剤含量、薬物放出性及び安定性に影響を及ぼす粒子径や水分、かさ密度等の重要品質特性(CQA:Critical Quality Attribute)値をフィードバック制御することも可能である。
【0046】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施の形態では、追加空気供給管34a,34bを各屈曲部32a,32bに配した構成を示したが、
図6(a)のように、直管部31a,31bに配置して補助乾燥空気を追加供給も良い。その場合、直管部31a,31bでは、
図6(b)に示すように、重力によって造粒物36が管の下部を流れ、偏倚部Xが管底部分に存在するため、追加空気供給管34a,34bは、菅の真上(12時方向)、または、真上から周方向に沿って45°下がった位置(10時半または2時半)の間(設置範囲Y)に設置する。
【0047】
また、乾燥装置1では、乾燥処理管25を第1~第3直管部31a~31cからなる3段構造としたが、乾燥処理段数は3には限定されない。例えば、2段や4段以上の構造も可能であり、原理上、追加空気供給管も、より細かい間隔で多数取り付けた方が乾燥能力の低下は軽減できる。ただし、追加空気供給管や追加空気供給装置の設置など、追加エアは導入コストがかさみ、洗浄性なども考慮すると、コストと処理速度向上のメリットとのバランスから3段(追加給気2回)程度が好適である。実際、給気1回では能力不足であり、5回では装置構成が大がかりになり過ぎる。発明者らの実験によれば、配管長約20m、2か所追加給気で予熱時からの温度低下が5°C未満であり、2回の追加給気でほぼ均一な温度を維持できておりバランス的には良好である。
【0048】
また、屈曲部を設けずに乾燥処理管25を直線状に配置し、そこに
図6のような形で追加空気供給管を配する構成も可能である。なお、追加空気供給管34を、屈曲部32や直管部31の延在方向(乾燥空気流通方向)に対して傾斜させて設置し(10~45°程度)、風向に沿って斜めに追加空気を供給しても良い。
【0049】
さらに、前述の実施形態では、追加空気供給管34a,34bに対し、温風供給装置14とは別の追加空気供給装置35から乾燥空気を追加供給する例を示したが、温度管理が必要となるが、温風供給装置14から乾燥空気を供給しても良く、また、各追加空気供給管ごとに個別に追加空気供給装置を設けても良い。加えて、追加給気は、原則として処理中は常時一定風流・風速にて供給されるが、例えば、水分が多く流動しにくいものの乾燥などの場合は、滞留防止のために、間欠的に空気を供給したり、パルス状に風量を変化させたりしても良い。
【0050】
さらに、乾燥処理管25の外径や段数(屈曲数)、追加空気供給管34の設置位置や個数など、前述の実施形態にて示した各種寸法・仕様は適宜変更可能であり、本発明は前記寸法・仕様には限定されない。また、本発明による乾燥装置にて200°Cを超えるような高温の乾燥空気を使用することや、現在は高温対応であるが、将来、低融点原料を使用する可能性に備えて新設、既設の装置に本発明を採用することは勿論可能である。
【0051】
なお、前述の実施形態では、粉粒体の許容上限温度として融点を適用した例を示したが、上限温度は融点には限定されず、粉粒体の原料に合わせて、当該粉粒体が変質する可能性のある温度を許容上限温度として適宜選択可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、医薬品に使用される湿式造粒物の乾燥処理以外にも、許容上限温度の低い原料を用いた食品や肥料などの粉粒体の乾燥処理にも適用可能である。また、低許容上限温度の原料のみならず高温に耐える原料にも使用可能である。ただし、高温に耐えられる原料であれば、空気の追加供給よりも主乾燥空気の温度を上げる方が効率が良い場合が多い。
【符号の説明】
【0053】
1 粉粒体乾燥装置
2 高速撹拌造粒機
3 押出造粒機
4 湿式造粒物連続供給装置
11 造粒物投入部(粉粒体投入部)
12 乾燥処理部
13 製品排出部
14 温風供給装置
21 導入配管
22 造粒物投入口(粉粒体投入口)
23 温風吹き込み口
24 ホッパ
25 乾燥処理管
26 サイクロン捕集機
27 接続管
31 直管部
31a 第1直管部
31b 第2直管部
31c 第3直管部
32 屈曲部
32a 第1屈曲部
32b 第2屈曲部,
33 角部
34 追加空気供給管
34a 第1追加空気供給管
34b 第2追加空気供給管
35 追加空気供給装置
36 造粒物(被処理物)
37 開口部
X 偏倚部
Y 追加空気供給管設置範囲