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特開2024-22045包装材及びその製造に用いる積層シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022045
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】包装材及びその製造に用いる積層シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/20 20060101AFI20240208BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B32B27/20 A
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125353
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】501460501
【氏名又は名称】株式会社ダイセン
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】扇間 博和
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB01
3E086BB21
3E086CA01
3E086CA11
4F100AK42A
4F100AR00A
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100CA13B
4F100CA13C
4F100CA13D
4F100EJ37A
4F100EJ86
4F100GB15
4F100HB00B
4F100HB00C
4F100HB00D
4F100HB31
4F100JD02E
4F100JL10B
4F100JL10C
4F100JL10D
4F100JL12E
4F100JN01A
(57)【要約】
【課題】外層側から、内容物の情報に関する印刷がなされる透明層及び着色層を備える包装材において、外層側からの光遮蔽性に優れる包装材及びその製造に用いる積層シートを提供する。
【解決手段】本発明の包装材は、外層側から、透明層及び着色層を、順次、備え、着色層は、透明層の側から、銀色層、白色層及び黒色層の順に構成され、これらの層には、いずれも、樹脂及び着色材が含まれる。本発明の包装材は、着色層の側にシーラント層を備えることができ、また、着色層と、シーラント層との間にガスバリア層を備えることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層側から、透明層及び着色層を、順次、備える包装材において、
上記着色層は、上記透明層の側から、銀色層、白色層及び黒色層の順に構成され、これらの層には、いずれも、樹脂及び着色材が含まれることを特徴とする包装材。
【請求項2】
更に、上記着色層の側にシーラント層を備える請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
更に、上記着色層及び上記シーラント層の間にガスバリア層を備える請求項2に記載の包装材。
【請求項4】
開口部を有する袋である請求項1に記載の包装材。
【請求項5】
請求項1に記載の包装材の製造に用いられる積層シートであって、
透明層及び着色層を備え、
上記着色層は、上記透明層の側から、銀色層、白色層及び黒色層の順に構成され、これらの層には、いずれも、樹脂及び着色材が含まれることを特徴とする積層シート。
【請求項6】
更に、上記着色層の側にシーラント層を備える請求項5に記載の積層シート。
【請求項7】
更に、上記着色層及び上記シーラント層の間にガスバリア層を備える請求項6に記載の積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外層側からの光遮蔽性に優れる包装材及びその製造に用いる積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、飲料、化粧品、洗剤、産業部材等を収容する包装材として、積層シートからなる袋が広く用いられている。このような袋の多くは、外からの光を遮蔽し、光による内容物(収容物)の分解、劣化等を抑制する作用を有する。光遮蔽効果を発揮する単純な構成は、黒色着色層を備えるものであるが、外観への影響が大きいため、金属蒸着膜、金属箔等を用いた金属層により、光遮蔽性を付与した包装材も知られている。しかしながら、上記の金属層を有する包装材に食品が封入された場合に、電子レンジで食品を加熱しようとすると、食品が十分に加熱されないことがあり、また、マイクロ波が金属層の表面で反射し、火花が発生して電子レンジの故障をまねくことがあった。そこで、金属蒸着膜、金属箔等に代えて、金属粉を含むインキ、又は、白色着色材及び黒色着色材を併含するインキが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、粒子径が5~20μmのアルミニウム微粉末をアクリル樹脂で被覆することにより得られた樹脂被覆アルミニウムペースト、およびバインダー樹脂を含む高輝度インキ組成物において樹脂被覆アルミニウムペーストが高輝度インキ組成物中、固形分換算で2~30重量%である耐レトルト用高輝度ラミネートインキ組成物が塗布されて得られた食品用耐レトルト性軟包装材が開示されている。
【0004】
特許文献2には、少なくとも、基材樹脂層、遮光性印刷層及びヒートシール性樹脂層を含む積層体から成るパウチであって、遮光性印刷層が、樹脂分に対する白色系顔料の重量比(顔料/樹脂)が3.5~4.2の範囲にある白色インキ層と、グレーインキ層とから成り、白色インキ層の厚みが4~11μmの範囲にあることを特徴とするレトルト殺菌可能なパウチが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、少なくとも基材、光輝性印刷層、接着剤層およびシーラントを順次有する包装材であって、光輝性印刷層は、光輝性顔料およびウレタン樹脂を含有し、かつ、イソシアネート系硬化剤で架橋されており、イソシアネート系硬化剤の重量平均分子量が800~8000である包装材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-53193号公報
【特許文献2】特開2015-224062号公報
【特許文献3】特開2022-21556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、外層側から、内容物の情報に関する印刷がなされる透明層及び着色層を備える包装材において、外層側からの光遮蔽性に優れる包装材及びその製造に用いる積層シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、外層側から、透明層及び着色層を備える包装材において、着色層を、透明層の側から、銀色層、白色層及び黒色層の順とすることにより、外層側からの光遮蔽性に優れるという知見を得、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、以下に示される。尚、本明細書における「シート」は、薄い厚さの「フィルム」も含む。
〔1〕外層側から、透明層及び着色層を、順次、備える包装材において、
上記着色層は、上記透明層の側から、銀色層、白色層及び黒色層の順に構成され、これらの層には、いずれも、樹脂及び着色材が含まれることを特徴とする包装材。
〔2〕更に、上記着色層の側にシーラント層を備える上記〔1〕に記載の包装材。
〔3〕更に、上記着色層及び上記シーラント層の間にガスバリア層を備える上記〔2〕に記載の包装材。
〔4〕開口部を有する袋である上記〔1〕に記載の包装材。
〔5〕上記〔1〕に記載の包装材の製造に用いられる積層シートであって、
透明層及び着色層を備え、
上記着色層は、上記透明層の側から、銀色層、白色層及び黒色層の順に構成され、これらの層には、いずれも、樹脂及び着色材が含まれることを特徴とする積層シート。
〔6〕更に、上記着色層の側にシーラント層を備える上記〔5〕に記載の積層シート。
〔7〕更に、上記着色層及び上記シーラント層の間にガスバリア層を備える上記〔6〕に記載の積層シート。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装材は、外層側からの光遮蔽性に優れる。従って、光により、分解、劣化等、変性しやすい物品の収容に好適である。また、3層からなる着色層が、いずれも、樹脂及び着色材を含むため、例えば、包装材に収容された食品を加熱するために、電子レンジを利用する場合に、火花を発生させることなく、その使用に耐えられる。即ち、従来、公知のアルミニウム金属層を備えるアルミパウチの代替包装材として好適である。
本発明の積層シートは、上記本発明の包装材の製造資材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の包装材の1例(三方袋)を示す概略斜視図である。
図2】本発明の包装材の他例(自立性袋)を示す概略斜視図である。
図3】本発明の積層シートの1例を示す概略断面図である。
図4】本発明の積層シートの他例を示す概略断面図である。
図5】本発明の積層シートの他例を示す概略断面図である。
図6】実施例1で得られた積層シートF1等の光透過率を示すスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の包装材は、透明層及び着色層を備え、着色層が、透明層の側から、銀色層、白色層及び黒色層の順に構成される積層シート(本発明の積層シート)を用いて形成された、外層側から、透明層及び着色層を、順次、備える物品である。これらの着色層には、いずれも、樹脂及び着色材が含まれる。
本発明の積層シート及び包装材は、着色層の側にシーラント層を備えることができ、この場合、更に、着色層及びシーラント層の間にガスバリア層を備えることができる。
【0013】
本発明の包装材は、軟質の又は堅牢な容器であり、その形状は、用途等により、適宜、改良、変形したものとすることができる。
【0014】
本発明の包装材としては、三方袋(図1参照)、自立性袋(図2参照)、ガゼット袋(図示せず)、二方袋(図示せず)等の、開口部を有する袋(袋容器)が好ましい。また、一端側及び他端側に開口部を有する筒状体であって、両端側で密閉可能な構造を有する包装材も好ましい。これらの態様において、開口部の封止は、好ましくは、シーラント層を備える積層シートが用いられてこのシーラント層同士が開口部において接合されたことによるもの、又は、開口部周辺に加工形成されたチャック部によるものとすることができる。言うまでもないが、本発明の包装材は、別途、準備された蓋体により密封する構造、開口部を接着剤により封止する構造等を備えることもできる。
【0015】
本発明の積層シートは、透明層2及び着色層3を備え、図3に示される積層シート1A、図4に示される積層シート1B、図5に示される積層シート1C等が挙げられる。
【0016】
図3の積層シート1Aは、本発明において基本構造である積層シートの1例であり、透明層2、銀色層4、白色層5及び黒色層6を、順次、備える。包装材は、透明層が外層側にあるため、この積層シート1Aを製造資材とした場合、内層側の黒色層どうしを、接着剤等により接合することが必要となる。
図4の積層シート1Bは、包装材の製造時にこのような接着剤を使用しなくてよいように、黒色層6側に、予め、ヒートシールが可能なシーラント層7を配設した積層シートである。図4は、シーラント層7が、直接、黒色層6に接合された構造を示しているが、これに限定されず、黒色層6とシーラント層7とが接着剤層を介して接着されていてもよい。
図5の積層シート1Cは、図4の積層シート1Bにおける黒色層6及びシーラント層7の間にガスバリア層8を配設した積層シートである。図5では、黒色層6及びガスバリア層8、並びに、ガスバリア層8及びシーラント層7が、いずれも、接着剤層9を介して接着された構造を示すが、接着剤層9は必須ではない。
【0017】
以下、本発明の包装材及びその製造資材である本発明の積層シートを構成する各層について、説明する。
【0018】
透明層は、好ましくは、樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂シートに由来する。この樹脂シートは、一層型及び多層型のいずれでもよい。いずれの場合も、ガスバリア性を有する透明層であってもよい。多層型の場合、通常、基層、及び、その表面に形成されたガスバリア層によりガスバリア性を有する透明層が構成される。
樹脂組成物は、この透明層(樹脂シート)を通して、物品を視認可能とするものであれば、特に限定されない。樹脂としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂(PET、PBT等)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS樹脂等)、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂等が挙げられる。これらのうち、ポリエステル樹脂が好ましい。
樹脂組成物は、樹脂の1種又は2種以上からなるものであってよいし、透明性を有する限りにおいて、更に、添加剤(可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等)を含有するものであってもよい。また、着色層のない側の透明層表面には、通常、内容物の情報に関する印刷がなされるため、この透明層を与える樹脂シートの被印刷面(ガスバリア性を有する透明層を与える樹脂シートの場合、被印刷面は、ガスバリア層側の表面である)は、表面改質されていてもよい。
【0019】
透明層の厚さは、包装材の形状により、適宜、選択される。包装材及び積層シートにおける透明層の厚さの下限は、好ましくは8μm、より好ましくは10μmである。尚、上限は、通常、500μmである。
【0020】
着色層は、透明層の側から、銀色層、白色層及び黒色層の順に構成され、これにより、本発明の外装材において、外層側(透明層側)からの光遮蔽性に優れ、本発明の積層シートにおいて、透明層側からの光遮蔽性に優れる。本発明に係る着色層は、ガスバリア性を有するものであってもよい。
【0021】
銀色層に含まれる着色材は、アルミニウム、クロム、ニッケル、ステンレス等を鱗片状としたものを含むことが好ましい。この鱗片状着色材は、その表面が脂肪酸等で表面処理されたものであってもよい。銀色層の着色性(隠ぺい性)の観点から、銀色着色材の平均粒子径(レーザー光散乱法による。以下、同じ。)は、好ましくは3~40μmである。また、銀色層における銀色着色材の含有割合は、好ましくは12~60質量%である。
【0022】
白色層に含まれる着色材は、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性珪酸鉛、リトポン、三酸化アンチモン、カオリン、シリカ等を含むことが好ましい。白色層の着色性(隠ぺい性)の観点から、白色着色材の平均粒子径は、好ましくは2~250μmである。また、白色層における白色着色材の含有割合は、好ましくは15~60質量%である。
【0023】
黒色層に含まれる着色材は、カーボンブラック(アセチレンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック等)、アニリンブラック、鉄黒、黒鉛等を含むことが好ましい。黒色層の着色性(隠ぺい性)の観点から、黒色着色材の平均粒子径は、好ましくは0.01~0.20μmである。また、黒色層における黒色着色材の含有割合は、好ましくは15~50質量%である。
【0024】
着色層に含まれる樹脂は、銀色層、白色層及び黒色層において同一でも異なってもよい。本発明においては、銀色層、白色層及び黒色層における着色材の分散性及び相容性、更には、着色性の観点から、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、セルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂等を用いることができる。これらのうち、ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0025】
銀色層、白色層及び黒色層は、樹脂及び着色材に加えて、他の成分を含有することができる。
他の成分としては、ワックス、分散剤、可塑剤、湿潤剤、帯電防止剤、キレート剤、レベリング剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤等が挙げられる。
【0026】
銀色層、白色層及び黒色層の厚さは、包装材の形状により、適宜、選択される。銀色層、白色層及び黒色層の厚さは、互いに、同一でもよいし、異なってもよい。各着色層の厚さの下限は、好ましくは0.1μm、より好ましくは0.3μmである。尚、上限は、通常、30μmである。
【0027】
上記のように、本発明の包装材及び本発明の積層シートは、着色層の側にシーラント層を備えることができる。
シーラント層を構成する材料としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらのうち、複数の積層シートを用いてシーラント層同士を好適にヒートシールできることから、ポリプロピレン及びエチレン・プロピレン共重合体が好ましい。
【0028】
本発明の包装材がシーラント層を備える場合、シーラント層は包装材の内表面を構成するため、収容された物品と、直接、接触し、この物品を保護する。
本発明の積層シートがヒートシール可能なシーラント層を備える場合、複数の積層シートを用いて袋状又は筒状の包装材を効率よく製造することができる。
このような作用を有するシーラント層の厚さは、収容される物品の種類等により、適宜、設定されるが、好ましくは5~300μmである。
【0029】
また、本発明の包装材及び本発明の積層シートは、着色層及びシーラント層の間にガスバリア層、補強層等を備えることができる。
ガスバリア層又は補強層を構成する主な材料としては、ポリアミド6、ポリアミドMXD6等の脂肪族ポリアミド樹脂;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、このガスバリア層又は補強層は、一層型及び多層型のいずれでもよい。多層型の場合、2種又は3種以上の樹脂層からなるもの、又は、上記の樹脂を含む樹脂層と、その1面側に配された、酸化アルミニウム、酸化珪素等の無機層とからなるものでもよい。
【0030】
本発明の包装材がガスバリア層を備える場合、封入されている気体の漏れを抑制することができる。例えば、レトルト食品の製造の際には、食品を、ガスバリア層を備える包装材に収容した後に加熱する処理(レトルト処理)が行われるが、このレトルト処理の後にも良好なバリア性を得ることができる。
このような作用を有するガスバリア層の厚さは、収容される物品の種類等により、適宜、設定されるが、好ましくは1~80μmである。
【0031】
ガスバリア層(又は補強層)8を備える図5の積層シート1Cは、食品を収容する包装材の製造資材として特に好適な構成であり、黒色層5とガスバリア層(又は補強層)8との間、及び、ガスバリア層(又は補強層)8とシーラント層7との間に、それぞれ、接着剤層9を備える。
【0032】
接着剤層を構成する材料としては、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、シアノアクリレート、エチレン共重合体、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。
【0033】
次に、本発明の包装材として好ましい態様である、図1に示される三方袋10及び図2に示される自立性袋20の構造並びに製造方法について、説明する。
【0034】
図1に示される三方袋10は、好ましくは、一対の積層シートにより形成された、透明層を外層側に有する胴部11と、その両側の縁部(側辺部)及び底部(下辺部)が封止されてなるシール部13とを備える。包装材に収容する物品の種類に応じて、胴部11の内表面には、平面形状が円形、多角形、直線又は曲線の凸部を備えることができる。
【0035】
図1に示される三方袋10の内表面がシーラント層である場合、例えば、図4に示される一対の積層シート1B,1B、又は、図5に示される一対の積層シート1C,1Cを用いて製造することができる。即ち、各積層シートのシーラント層7同士が面するように重ね合わせ、両側の縁部及び底部を連続するシール代としてこれらの部分をヒートシール(熱圧着)することにより三方袋10を製造することができる。ヒートシールする際の温度は、好ましくは100℃~250℃である。
【0036】
図2に示される自立性袋20は、好ましくは、一対の積層シートにより形成された、透明層を外層側に有する胴部21と、その両側の縁部(側辺部)が封止されてなるシール部23と、同じ積層シートが上方に向かって2つ折りに曲げ形成された、透明層を底面外層側に有する底部25と、胴部21の下側端縁部及び底部25の両側端縁部が面して形成されたシール部27とを備える。図1と同様に、包装材に収容する物品の種類に応じて、胴部21の内表面には、平面形状が円形、多角形、直線又は曲線の凸部を備えることができる。
【0037】
図2に示される自立性袋20の内表面がシーラント層である場合、例えば、図4に示される一対の積層シート1B,1B,1B、又は、図5に示される一対の積層シート1C,1C,1Cを用いて製造することができる。即ち、2枚の積層シートのシーラント層7同士が面するように重ね合わせて、両側の縁部をシール代とし、一方、残りの1枚の積層シートを、シーラント層7が袋の底面側となるように2つ折りに曲げた状態で下部に左右端に向かって斜め上方向に拡幅するシール代とし、これらの部分をヒートシール(熱圧着)することにより自立性袋20を製造することができる。
【0038】
本発明の積層シートは、以下の方法により製造することができる。
(1)図3の積層シート1Aは、透明層を形成することとなる樹脂シート(必要により、着色層を形成させる面に、予め、コロナ処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、電子線照射、紫外線照射等を行って、表面改質させておいてもよい)に、銀色層形成用インキをグラビア印刷又はフレキソ印刷し、次いで、同様にして、白色層形成用インキ及び黒色層形成用インキを、順次、印刷することにより、製造することができる。
(2)透明層、銀色層、白色層、黒色層、接着剤層及びシーラント層を備える積層シート(以下、「積層シート1B´」という)は、図3の積層シート1Aの黒色層に接着剤を塗布し、その後、塗膜表面に、シーラント層を形成することとなる樹脂シート(必要により、黒色層と接触させる面に、予め、コロナ処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、電子線照射、紫外線照射等を行って、表面改質させておいてもよい)を貼り合わせることにより製造することができる。
(3)積層シート1B´は、図3の積層シート1Aと、(両面)接着剤シートと、シーラント層を形成することとなる樹脂シートとを、この順に重ねて、加圧することにより製造することができる。
(4)図5の積層シート1Cは、図3の積層シート1Aの黒色層に接着剤を塗布し、その後、塗膜表面に、ガスバリア層又は補強層を形成することとなる樹脂シート(必要により、黒色層と接触させる面に、予め、コロナ処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、電子線照射、紫外線照射等を行って、表面改質させておいてもよい)を貼り合わせ、次いで、形成されたガスバリア層又は補強層に接着剤を塗布し、その後、塗膜表面に、シーラント層を形成することとなる樹脂シートを貼り合わせることにより製造することができる。
【実施例0039】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
【0040】
1.積層シートの製造及び評価
実施例1
透明である、厚さ12μmの東洋紡社製ポリエチレンテレフタレート延伸フィルム「VE708」(商品名)の表面に、下記のインキK1をグラビア印刷して、インキ層を乾燥し、厚さ1μmの銀色層を形成させた。次いで、同様にして、この銀色層の表面に、下記のインキK2及びK3を、順次、グラビア印刷し、その後、インキ層の乾燥を行って、厚さが、銀色層の表面に、厚さがいずれも1μmの白色層及び黒色層を形成させ、図3の構造を有する積層シート(以下、「積層シートF1」という)を得た。尚、グラビア印刷における印刷スピードは、いずれも毎分140mである。この積層シートF1の透明層側は銀色と視認された。
(1)インキK1
東洋インキ社製「リオアルファS一般銀」(商品名)
(2)インキK2
東洋インキ社製の「リオアルファR631白」(商品名)及び「リオアルファR691コンク白」(商品名)の混合物
(3)インキK3
東洋インキ社製「LPバイオ92スミ」(商品名)
【0041】
次に、日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計「V-570DS」(型式名)を用いて、得られた積層シートF1の光透過性を調べた。具体的には、この装置において、積層シートF1を、その透明層の表面に光(波長範囲:220~1100nm)が入射するようにセットし、毎分1000nmの走査速度にて、各波長における透過率を測定し、図6に示すスペクトルを得た。
【0042】
図6には、比較のために、以下の積層シートF2及びF3(いずれも、各層の厚さは同じ)のスペクトルも示した。
(1)積層シートF2
積層シートF1の銀色層及び白色層を逆に形成させてなる積層シートである。この積層シートF2の透明層側は灰色と視認された。
(2)積層シートF3
積層シートF1の銀色層を排除した、透明層、白色層及び黒色層を、順次、備える積層シートである。この積層シートF3の透明層側は黒色と視認された。
【0043】
この図6から、各着色層の厚さが同じであっても、銀色層及び白色層の位置が異なると、370nm以上の波長の光の透過率に差が出ることが分かる。即ち、積層シートF1は、積層シートF2に比べて、上記光の透過率が低く、遮光性に優れることが分かる。
【0044】
2.包装材の製造
実施例2
積層シートF1の黒色層の表面に、東洋モートン社製ドライラミネート接着剤「TM-569/CAT-RT37」(商品名)を塗布(塗布量:約5.0g/m)し、塗膜を乾燥し、接着剤層を形成させた。次いで、この接着剤層の表面に、厚さ50μmの東レ社製無延伸ポリプロピレンフィルム「3951」(商品名)を当接し、ドライラミネートして、透明層、着色層、接着剤層及びシーラント層を、順次、備える積層シート(以下、「積層シートH1」という)を得た。
【0045】
次に、積層シートH1を裁断して、130mm×180mmのサイズに調整し、三方袋の製造資材とした。そして、2枚のシートを、各シーラント層が面するように重ね合わせて、両側縁部(いずれも、端から10mmの長さの縁部全体)において180℃で熱圧着(ヒートシール)させ、その後、残り2つの縁部(未封止部)のうち1つに対して、同様にしてヒートシールさせることにより、図1に示される三方袋10を得た。
【0046】
尚、本発明においては、上記の具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の包装材は、外層側からの光遮蔽性に優れる。従って、光により、分解、劣化等、変性しやすい物品、特に食品の収容に好適である。また、包装材に収容された食品を加熱するために、電子レンジを利用する場合に、火花を発生させることなく、安全に使用することができる。
本発明の積層シートは、このような包装材の製造資材として好適である。
【符号の説明】
【0048】
1A,1B,1C:積層シート
2:透明層
3:着色層
4:銀色層
5:白色層
6:黒色層
7:シーラント層
8:ガスバリア層又は補強層
9:接着剤層
10:三方袋
11:胴部
13:シール部
20:自立性袋
21:胴部
23:シール部
25:底部
27:シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6