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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022052
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】石膏パック
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/02 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A61F7/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125369
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】517408689
【氏名又は名称】株式会社HAMY
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】三輪 雅也
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA05
4C099EA08
4C099GA02
4C099HA02
4C099JA03
4C099LA07
4C099LA08
4C099LA14
4C099NA10
(57)【要約】
【課題】装着性に優れる石膏パックの提供。
【解決手段】本発明の石膏パック1は、底シート部10と、底シート部10の上面に形成される縁枠部21と、底シート部10の上面に形成される仕切り枠部22と、縁枠部21と仕切り枠部22とで形成される複数の小枠部23とを有する中間枠部20と、小枠部23の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物30と、石膏組成物30を覆うように中間枠部20に積層され、弾性繊維からなる伸縮性の蓋シート部40とを備える。蓋シート部40は、石膏組成物30を覆うように中間枠部20に積層される本体蓋部41と、一対の装着部3とを有する。石膏組成物30を含みつつ、底シート部10、中間枠部20、及び本体蓋部41からなる本体部2の底シート部10側が、利用者の顔面に宛がわれた状態において、一対の装着部3が、利用者の頭を巻きつつ互いに接合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布製のシート状の底シート部と、
平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ前記底シート部の輪郭に沿うように前記底シート部の上面に形成される縁枠部と、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ前記上面のうち前記縁枠部で囲まれた部分を複数の部分に区画するように前記底シート部の前記上面に形成される仕切り枠部と、前記縁枠部と前記仕切り枠部とで形成される複数の小枠部とを有する中間枠部と、
前記小枠部の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物と、
前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層され、弾性繊維からなる伸縮性のシート状の蓋シート部とを備え、
前記蓋シート部は、前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層される本体蓋部と、前記本体蓋部から左右に延びた形の一対の装着部とを有し、
前記石膏組成物を含みつつ、前記底シート部、前記中間枠部、及び前記本体蓋部からなる本体部の前記底シート部側が、利用者の顔面に宛がわれた状態において、前記一対の装着部が、前記利用者の頭を巻きつつ互いに接合される石膏パック。
【請求項2】
前記底シート部は、利用者の顔面の左半分に宛がわれる左底シート部と、前記顔面の右半分に宛がわれる右底シート部とを有し、
前記中間枠部は、複数の前記小枠部のうち前記左底シート部の上面に形成される左小枠部を含む左中間枠部と、複数の前記小枠部のうち前記右底シート部の上面に形成される右小枠部を含む右中間枠部とを有し、
前記石膏組成物は、前記左小枠部の内側を埋めるように充填されると共に、前記右小枠部の内側を埋めるように充填され、
前記蓋シート部は、前記左小枠部の内側の前記石膏組成物を覆うように前記左中間枠部に積層される左本体蓋部と、前記右小枠部の内側の前記石膏組成物を覆うように前記右中間枠部に積層される右本体蓋部とを有し、
前記左底シート部、前記左中間枠部、前記石膏組成物、及び前記左本体蓋部とを有し、前記顔面の左半分を覆うための左石膏ユニットと、前記右底シート部、前記右中間枠部、前記石膏組成物、及び前記右本体蓋部とを有し、前記顔面の右半分を覆うための右石膏ユニットとを備える請求項1に記載の石膏パック。
【請求項3】
前記左石膏ユニット及び右石膏ユニットの各周縁部のうち、利用者の額から鼻にかけた箇所にそれぞれ対応する第1周縁部同士と、利用者の鼻から口にかけた箇所にそれぞれ対応する第2周縁部同士が、互いに繋ぎ合わせられる請求項2に記載の石膏パック。
【請求項4】
前記左石膏ユニット及び右石膏ユニットの各周縁部のうち、利用者の口から顎にかけた箇所にそれぞれ対応する第3周縁部同士が、互いに着脱可能に接合される請求項3に記載の石膏パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏パックに関する。
【背景技術】
【0002】
石膏による温熱効果を利用した新しいタイプの石膏パックが知られている。この種の石膏パックは、不織布製の底シート部と、その底シート部の上面に形成される不織布製の中間枠部と、中間枠部に積層される不織布製の蓋シート部とを備えており、それらの中に形成される空間に、石膏が充填されている。
【0003】
この石膏パックは、石膏として、半水石膏(焼石膏:CaSO・1/2HO)を備えており、その半水石膏が水と反応すると、外部に熱を放出しながら硬化して、二水石膏(CaSO・2H0)となる。石膏パックは、このような半水石膏の水和反応(発熱反応)を利用することで、所謂、顔面に装着する温熱パックとして用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-64014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
石膏パックを効果的に使用するためには、石膏を発熱させるための液体(水など)を浸み込ませた状態で、石膏パックを確実に利用者の顔に対して密着させる必要がある。そのため、装着性に優れる石膏パックの提供が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、装着性に優れる石膏パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<1> 不織布製のシート状の底シート部と、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ前記底シート部の輪郭に沿うように前記底シート部の上面に形成される縁枠部と、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ前記上面のうち前記縁枠部で囲まれた部分を複数の部分に区画するように前記底シート部の前記上面に形成される仕切り枠部と、前記縁枠部と前記仕切り枠部とで形成される複数の小枠部とを有する中間枠部と、前記小枠部の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物と、前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層され、弾性繊維からなる伸縮性のシート状の蓋シート部とを備え、前記蓋シート部は、前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層される本体蓋部と、前記本体蓋部から左右に延びた形の一対の装着部とを有し、前記石膏組成物を含みつつ、前記底シート部、前記中間枠部、及び前記本体蓋部のからなる本体部の前記底シート部側が、利用者の顔面に宛がわれた状態において、前記一対の装着部が、前記利用者の頭を巻きつつ互いに接合される石膏パック。
【0008】
<2> 前記底シート部は、利用者の顔面の左半分に宛がわれる左底シート部と、前記顔面の右半分に宛がわれる右底シート部とを有し、前記中間枠部は、複数の前記小枠部のうち前記左底シート部の上面に形成される左小枠部を含む左中間枠部と、複数の前記小枠部のうち前記右底シート部の上面に形成される右小枠部を含む右中間枠部とを有し、前記石膏組成物は、前記左小枠部の内側を埋めるように充填されると共に、前記右小枠部の内側を埋めるように充填され、前記蓋シート部は、前記左小枠部の内側の前記石膏組成物を覆うように前記左中間枠部に積層される左本体蓋部と、前記右小枠部の内側の前記石膏組成物を覆うように前記右中間枠部に積層される右本体蓋部とを有し、前記左底シート部、前記左中間枠部、前記石膏組成物、及び前記左本体蓋部とを有し、前記顔面の左半分を覆うための左石膏ユニットと、前記右底シート部、前記右中間枠部、前記石膏組成物、及び前記右本体蓋部とを有し、前記顔面の右半分を覆うための右石膏ユニットとを備える前記<1>に記載の石膏パック。
【0009】
<3> 前記左石膏ユニット及び右石膏ユニットの各周縁部のうち、利用者の額から鼻にかけた箇所にそれぞれ対応する第1周縁部同士と、利用者の鼻から口にかけた箇所にそれぞれ対応する第2周縁部同士が、互いに繋ぎ合わせられる前記<2>に記載の石膏パック。
【0010】
<4> 前記左石膏ユニット及び右石膏ユニットの各周縁部のうち、利用者の口から顎にかけた箇所にそれぞれ対応する第3周縁部同士が、互いに着脱可能に接合される前記<3>に記載の石膏パック。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装着性に優れる石膏パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1の石膏パックの表側の構成を示す説明図
図2】実施形態1の石膏パックの裏側の構成を示す説明図
図3】石膏パックを構成する右石膏ユニットと左石膏ユニットとを示す説明図
図4図1のA-A線断面図
図5】右底シート部と左底シート部とを示す説明図
図6】右中間枠部と左中間枠部とを示す説明図
図7】右蓋シート部と左蓋シート部とを示す説明図
図8】石膏パックを利用者の顔に装着した状態を示す説明図
図9】本実施形態の石膏パックの表面温度の推移と比較例の石膏パックの表面温度の推移を示すグラフ
図10】実施形態2の石膏パックの表側の構成を示す説明図
図11】実施形態2の石膏パックを構成する右石膏ユニットと左石膏ユニットとを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係る石膏パック1を、図1図9を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1の石膏パック1の表側の構成を示す説明図であり、図2は、実施形態1の石膏パック1の裏側の構成を示す説明図である。
【0014】
本実施形態の石膏パック1は、顔面用の温熱パックとして利用されるものであり、全体的には、利用者の顔面に装着される覆面のような形(マスク型)をなしている。石膏パック1は、表面1aが外側を向き、かつ裏面1bが利用者の顔面を向く形で、使用される。なお、本明細書において、石膏パック1の「右側」及び「左側」は、石膏パック1を装着した利用者を基準とする。つまり、石膏パック1の表側の構造が示される図1の左側(石膏パック1の裏側の構造が示される図2の右側)が、石膏パック1の「右側」であり、図1の右側(図2の左側)が、石膏パック1の「左側」である。
【0015】
このような石膏パック1は、主として、中央側に配置され、利用者の顔面を覆う本体部2と、この本体部2から左右に延びた一対の装着部3,3とを備える。説明の便宜上、右側(図1の左側)の装着部3を、「装着部3a」と表し、左側(図1の右側)の装着部3を、「装着部3b」と表す。
【0016】
本体部2は、石膏パック1の使用時に、利用者の顔面形状に倣いつつ、利用者の顔面を覆う部分である。このような本体部2には、利用者の左右の目の位置に対応した貫通孔状の窓部2a及び窓部2bが形成されている。また、本体部2の中央側には、利用者の鼻先の位置に対応した貫通孔状の窓部2cと、利用者の口の位置に対応した貫通孔状の窓部2dとがそれぞれ形成されている。
【0017】
本体部2の下部側は、図1に示されるように、左右に分かれて離れた形状となっている。本体部2の右側下部2eの裏面と、左側下部2fの表面には、それぞれ接合部材4が取り付けられている。接合部材4は、着脱自在な状態で互いに接合可能な部材であり、本実施形態の場合、一方がフック面、他方がループ面を有する面ファスナーからなる。このような右側下部2eと左側下部2fとを、石膏パック1の使用時に、互いに近付けつつ重ね合わせることで、右側下部2e及び左側下部2fが接合部材4を利用して固定される。互いに固定された右側下部2e及び左側下部2fは、利用者の顎付近を覆うように配置される。接合部材4を備えた右側下部2e及び左側下部2fは、石膏パック1の使用時に、本体部2と利用者の顔面との密着具合等を調整するための調整部として機能する。
【0018】
装着部3は、後述するように、主として、弾性繊維からなる伸縮性のシート状の基材(スパンボンド生地)からなり、本体部2に対して一体的に設けられている。右側の装着部3aには、利用者の右耳の位置に対応した貫通孔状の窓部5aが形成され、左側の装着部3bには、利用者の左耳の位置に対応した貫通孔状の窓部5bが形成されている。また、右側の装着部3aは、裏面に接合部材7が形成された帯状端部6aを有し、左側の装着部3bは、表面に接合部材7が形成された帯状端部6bを有する。接合部材7は、上述した接合部材4と同様、着脱自在な状態で互いに接合可能な部材であり、一方がフック面、他方がループ面を有する面ファスナーからなる。各接合部材7は、伸縮性の各帯状端部6a,6bに取り付けられているため、互いの位置(距離)を調節しつつ、着脱可能な状態で接合することができる。
【0019】
図3は、石膏パック1を構成する右石膏ユニット1Lと左石膏ユニット1Rとを示す説明図である。石膏パック1は、図3に示されるように、左右に分けられた1組(一対)のユニット(右石膏ユニット1L及び左石膏ユニット1R)からなる。右石膏ユニット1Lと左石膏ユニット1Rとを互いに繋ぎ合わせたものが、石膏パック1となる。図3には、右石膏ユニット1L及び左石膏ユニット1Rの表側が示される。右石膏ユニット1Lは、利用者の顔面の右半分を覆う部分であり、左石膏ユニット1Rは、利用者の顔面の左半分を覆う部分である。図3に示されるように、本体部2は、左右で2つに分かれており、それらの一方が右石膏ユニット1L側の右本体部2Lであり、他方が左石膏ユニット1R側の左本体部2Rである。
【0020】
右石膏ユニット1Lの周縁部のうち、利用者の額から鼻にかけた箇所に対応する第1周縁部8L1と、鼻から口にかけた箇所に対応する第2周縁部8L2と、口から顎にかけた箇所に対応する第3周縁部8L3とが、相手側の左石膏ユニット1Rの各周縁部と縫製により繋ぎ合わせられる。左石膏ユニット1Rの各周縁部とは、利用者の額から鼻にかけた箇所に対応する第1周縁部8R1、鼻から口にかけた箇所に対応する第2周縁部8R2、及び口から顎にかけた箇所に対応する第3周縁部8R3である。
【0021】
このように右石膏ユニット1Lの各周縁部と、左石膏ユニット1Rの各周縁部とが繋ぎ合わせられることで、石膏パック1が形成されると共に、右石膏ユニット1Lと左石膏ユニット1Rとの間に、上述した利用者の鼻先の位置に対応した窓部2cと、利用者の口の位置に対応した窓部2dとがそれぞれ形成される。
【0022】
図4は、図1のA-A線断面図である。本実施形態の石膏パック1は、底シート部10、中間枠部20、石膏組成物30、蓋シート部40等からなる。
【0023】
底シート部10は、石膏パック1の使用時に、利用者の顔面に宛がわれる部分であり、本体部2の一部(裏面側)を構成する。底シート部10は、不織布製のシート状の部材であり、柔軟な可撓性を有する不織布からなる。また、底シート部10は、液体が浸透可能な素材で形成される。底シート部10の厚みは、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、0.2mm以上2mm以下の範囲に設定されてもよい。底シート部10は、石膏パック1の使用時に、外表面10aが、利用者の顔(皮膚)を向く形で使用される。
【0024】
図5は、右底シート部10Lと左底シート部10Rとを示す説明図である。底シート部10は、図5に示されるように、右石膏ユニット1L側の右底シート部10Lと、左石膏ユニット1R側の左底シート部10Rとからなる。図5には、底シート部10(右底シート部10L及び左底シート部10R)の内表面側が示されている。右底シート部10L及び左底シート部10Rは、平面視で左右対称の形をなしている。右底シート部10Lの輪郭は、右本体部2Lの輪郭に対応し、左底シート部10Rの輪郭は、左本体部2Rの輪郭に対応する。
【0025】
図5に示されるように、右底シート部10Lには、利用者の右目の位置に対応した貫通孔10Laが形成されている。また、左底シート部10には、利用者の左目の位置に対応した貫通孔10Rbが形成されている。なお、石膏パック1の使用時に、右底シート部10Lは、利用者の顔面の右半分に宛がわれ、左底シート部10Rは、利用者の顔面の左半分に宛がわれる。その際、右底シート部10L及び左底シート部10Rの各外表面が、利用者の顔面(皮膚)と密着する。
【0026】
中間枠部20は、図4に示されるように、底シート部10と蓋シート部40との間に介在される枠状の部材である。中間枠部20は、底シート部10と蓋シート部40との間に、複数の石膏組成物30の充填スペースが確保されるように、複数の小型の枠が集合したような形をなしている。
【0027】
中間枠部20は、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ底シート部10の輪郭に沿うように底シート部10の上面(内表面)に形成される縁枠部21と、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ上面(内表面)のうち縁枠部21で囲まれた部分を複数の部分に区画するように底シート部10の上面(内表面)に形成される仕切り枠部22とを有する。そして、縁枠部21と仕切り枠部22とで複数の小枠部23が形成される。
【0028】
中間枠部20の縁枠部21は、石膏パック1の本体部2(底シート部10等)の輪郭に沿って形成される部分であり、そのような縁枠部21同士が、仕切り枠部22によって一体的に繋げられて、それぞれ小枠部23が形成される。
【0029】
図6は、右中間枠部20Lと左中間枠部20Rとを示す説明図である。中間枠部20は、図6に示されるように、右石膏ユニット1L側の右中間枠部20Lと、左石膏ユニット1R側の左中間枠部20Rとからなる。図6には、中間枠部20(右中間枠部20L及び左中間枠部20R)の内表面(上面)側が示されている。右中間枠部20L及び左中間枠部20Rは、全体的には、平面視で左右対称の形をなしている。右中間枠部20L及の輪郭は、右本体部2L(右底シート部10L)の輪郭に対応し、左中間枠部20Rの輪郭は、左本体部2R(左底シート部10R)の輪郭に対応する。
【0030】
右中間枠部20Lは、図6に示されるように、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ右底シート部10Lの輪郭に沿うように右底シート部10Lの上面(内表面)に形成される右縁枠部21Lと、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ上面(内表面)のうち右縁枠部21Lで囲まれた部分を複数の部分に区画するように右底シート部10Lの上面(内表面)に形成される右仕切り枠部22Lと、右縁枠部21Lと右仕切り枠部22Lとで形成される複数の右小枠部23Lとを有する。
【0031】
なお、右縁枠部21Lは、右底シート部10Lの外周縁の輪郭に沿う部分と、右底シート部10Lに形成された貫通孔10Laの周縁(内周縁)の輪郭に沿う部分とからなる。右中間枠部20Lには、合計11個の右小枠部23Lが形成されている。
【0032】
左中間枠部20Rは、図6に示されるように、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ左底シート部10Rの輪郭に沿うように左底シート部10Rの上面(内表面)に形成される左縁枠部21Rと、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ上面(内表面)のうち左縁枠部21Rで囲まれた部分を複数の部分に区画するように左底シート部10Rの上面(内表面)に形成される左仕切り枠部22Rと、左縁枠部21Rと左仕切り枠部22Rとで形成される複数の左小枠部23Rとを有する。
【0033】
なお、左縁枠部21Rは、左底シート部10Rの外周縁の輪郭に沿う部分と、左底シート部10Rに形成された貫通孔10Rbの周縁(内周縁)の輪郭に沿う部分とからなる。左中間枠部20Rには、合計11個の左小枠部23Rが形成されている。
【0034】
中間枠部20を構成する縁枠部21及び仕切り枠部22の各線幅は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば4mm以上7mm以下に設定されてもよい。また、縁枠部21及び仕切り枠部22の厚み(中間枠部20の厚み)は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、5mm以上12mm以下に設定されてもよい。
【0035】
中間枠部20は、底シート部10と同様、柔軟な可撓性を有する不織布から構成されている。ただし、中間枠部20は、底シート部10に使用される不織布よりも、厚手の不織布から形成されている。中間枠部20は、所定の厚みを有するシート状の不織布に対して、適宜、くり貫き加工が施されることで得られる。
【0036】
底シート部10及び中間枠部20を構成する不織布の素材としては、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、木綿等の天然繊維、合成繊維、合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、天然由来の天然繊維を用いることが、肌(皮膚)にとって好適である。なお、中間枠部20を構成する不織布の素材としては、特に、パルプが好ましい。パルプ製の中間枠部20は、乾燥状態では剛性を示すため、石膏パック1全体が変形し難く(へたり難く)、取り扱い性に優れる。パルプ製の中間枠部20は、水分(水等)を十分に含むと柔軟性を示し、石膏パック1全体が、利用者の顔の表面形状に追従し易くなる。
【0037】
蓋シート部40は、石膏パック1の本体部2の一部を構成する本体蓋部41と、左右一対の装着部3,3とを構成する。蓋シート部40は、弾性繊維からなる伸縮性のシート状の部材であり、例えば、スパンデックス生地(ポリウレタン弾性繊維生地)からなる。
【0038】
蓋シート部40の厚みは、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、0.2mm以上2mm以下の範囲に設定されてもよい。蓋シート部40のうち、本体部2の一部を構成する本体蓋部41は、石膏組成物30を覆うように中間枠部20に積層される。そして、蓋シート部40の残りの部分は、一対の装着部3(装着部3a及び装着部3b)として利用される。
【0039】
蓋シート部40は、石膏パック1の使用時に、外表面40aが外側を向く形で使用される。蓋シート部40の外表面40aは、石膏パック1の表面1aを構成する。
【0040】
図7は、右蓋シート部40Lと左蓋シート部40Rとを示す説明図である。蓋シート部40は、図7に示されるように、右石膏ユニット1L側の右蓋シート部40Lと、左石膏ユニット1R側の左蓋シート部40Rとからなる。図7には、蓋シート部40(右蓋シート部40L及び左蓋シート部40R)の外表面40a側が示されている。右蓋シート部40L及び左蓋シート部40Rは、平面視で左右対称の形をなしている。
【0041】
右蓋シート部40Lは、本体部2(右本体部2L)の一部を構成する本体蓋部41Lと、装着部3aとを備える。本体蓋部41Lには、利用者の右目の位置に対応した貫通孔41Laが形成されている。左蓋シート部40Rは、本体部2(左本体部2R)の一部を構成する本体蓋部41Rと、装着部3bとを備える。本体蓋部41Rには、利用者の左目の位置に対応した貫通孔41Rbが形成されている。
【0042】
石膏組成物30は、中間枠部20が底シート部10と蓋シート部40との間に挟まれた状態で、中間枠部20の縁枠部21と仕切り枠部22とで形成される複数の小枠部23の内側を埋めるように充填される。石膏組成物30は、粉末状である。
【0043】
石膏組成物30は、焼石膏(CaSO・1/2HO)及び二水石膏(CaSO・2HO)の混合石膏粉末を含んでなる。石膏組成物30は、石膏成分としての混合石膏粉末を、石膏組成物30の全質量(100質量%)のうち、90質量%以上の割合で含有することが好ましい。
【0044】
また、混合石膏粉末は、焼石膏と二水石膏の合計100質量部に対する、焼石膏の配合割合が40~80質量部であることが好ましい。
【0045】
1つの石膏パック1に含まれる石膏組成物30の量は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、1つの石膏パック当たり、100g~300gの割合で含有することが好ましい。
【0046】
混合石膏粉末は、水と接触すると、粉末中の焼石膏が水と反応して発熱する。そのため、石膏パック1は、温熱パックとして利用することができる。温熱パックは、例えば、利用者の顔面に、直接又は他のシート等を介して載せられて、利用者の肌質の改善や、リラックス効果、痩身効果等を目的として使用される。
【0047】
石膏パック1の石膏組成物30には、混合石膏粉末が水と接触した際に、焼石膏が発熱する温度を調整する温度調整剤が含まれていてもよい。温度調整剤としては、硫酸カリウム(KSO)、粉砕二水石膏、カリミョウバン(AlK(SO・12HO)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、温度調整剤としては、硫酸カリウムが特に好ましい。
【0048】
更に石膏組成物30には、温度調整剤以外にも、生薬成分や増粘剤が含まれていてもよい。生薬成分としては、例えば、ハトムギエキスが、焼石膏と二水石膏の合計100質量部に対して、0.1~1.0質量部含まれていてもよい。生薬成分を配合することにより、温熱効果に加え、更に美肌や代謝アップ、疲労回復等の効果が期待できる。また、増粘剤としては、例えば、メチルセルロースが、焼石膏と二水石膏の合計100質量部に対して、0.1~1.0質量部含まれていてもよい。増粘剤を配合することにより、石膏パック1の小枠部23に充填された石膏組成物30のずれを抑制することができる。
【0049】
ここで、石膏パック1の製造方法の一例を説明する。石膏パック1の製造方法は、右石膏ユニット1L及び左石膏ユニット1Rを製造するユニット製造工程と、右石膏ユニット1L及び左石膏ユニット1Rを互い繋ぎ合わせる繋合工程とを備える。
【0050】
ユニット製造工程では、図3に示されるような、右石膏ユニット1Lと、左石膏ユニット1Rとが製造される。先ず、図5に示されるような、左右1組の底シート部10(右底シート部10L及び左底シート部10R)を用意する。そして、左右1組の底シート部10の内表面に対して、図6に示されるような、左右1組の中間枠部20が、澱粉糊等の接着剤を介して重ね合わせて接着する。このように中間枠部20が底シート部10に接着されると、底シート部10上において、中間枠部20の縁枠部21と仕切り枠部22とで区画された複数の小枠部23が形成される。
【0051】
次に、底シート部10上に形成された各小枠部23の内側(セル)に、それぞれ石膏組成物30が充填される。石膏組成物30は、図4に示されるように、小枠部23(中間枠部20)の高さと同程度の高さとなる量が、小枠部23内に充填される。
【0052】
続いて、中間枠部20に対して蓋シート部40を、底シート部10の反対側から小枠部23内の石膏組成物30を覆うように接着剤を介して重ね合わせて接着する。これにより、中間枠部20の内側(各小枠部23の各内側)が底シート部10及び蓋シート部40により閉じられるとともに、内側の空間に石膏組成物30が充填された状態の、右石膏ユニット1L及び左石膏ユニット1Rに対応した1組の積層物が得られる。
【0053】
得られた各積層物において、底シート部10、中間枠部20及び蓋シート部40が重なった部分を、ミシンで縫製する。図3には、ミシンによる縫製ライン9が示されている。縫製ライン9は、中間枠部20の形状をなぞるように形成されている。その後、各積層物の所定箇所に、接合部材4や接合部材7が縫製や接着剤等で取り付けられることにより、右石膏ユニット1L及び左石膏ユニット1Rが得られる。なお、図3において、右石膏ユニット1Lの縫製ライン9は、「縫製ライン9L」で示され、左石膏ユニット1Rの縫製ライン9は、「縫製ライン9R」で示される。
【0054】
繋合工程では、右石膏ユニット1Lと左石膏ユニット1Rとがミシンを用いた縫製により、互いに繋ぎ合わせられる。その際、右石膏ユニット1Lの第1周縁部8L1と左石膏ユニット1Rの第1周縁部8R1とは、互いの裏面1a(外表面10a)同士を密着させつつ互いに重なった状態で縫製される。また、同様に、右石膏ユニット1Lの第2周縁部8L2と左石膏ユニット1Rの第2周縁部8R2とは、互いの裏面1a(外表面10a)同士を密着させつつ互いに重なった状態で縫製され、右石膏ユニット1Lの第3周縁部8L3と左石膏ユニット1Rの第3周縁部8R3とは、互いの裏面1a(外表面10a)同士を密着させつつ互いに重なった状態で縫製される。
【0055】
このように右石膏ユニット1Lの各周縁部と、左石膏ユニット1Rの各周縁部とが繋ぎ合わせられることで、右石膏ユニット1Lの周縁部にある切り欠き部11Lと、左石膏ユニット1Rの周縁部にある切り欠き部11Rとの間で、利用者の口の位置に対応した窓部2dが形成される。また、右石膏ユニット1Lの周縁部のうち利用者の鼻先の位置に対応した未縫製の周縁部12Lと、左石膏ユニット1Rの周縁部のうち利用者の鼻先の位置に対応した未縫製の周縁部12Rと、互いに縫製された第2周縁部8L2及び第2周縁部8R2とで囲まれた部分に、利用者の鼻先の位置に対応した窓部2cが形成される。
【0056】
以上のように、右石膏ユニット1L及び左石膏ユニット1Rが繋ぎ合わせられることで、石膏パック1が得られる。
【0057】
次いで、石膏パック1の使用方法を説明する。なお、石膏パック1を使用する前に、利用者は、洗顔して皮膚(肌)を清潔な状態にしておくことが好ましい。また、洗顔後、石膏パック1を使用する前に、皮膚(肌)に対して予めスキンケア用品を塗布してもよい。
【0058】
石膏パック1を、先ず、チャック付きのポリ袋の中に入れ、そして、そのポリ袋の中に、約45℃に温められたお湯を入れることで、お湯に石膏パック1を浸して、石膏パック1の本体部2内の石膏組成物30にお湯を浸透させる。
【0059】
石膏パック1の本体部2内の石膏組成物30に浸透させる液体としては、水道水、井戸水、市販の飲料水等でもよいし、温泉水であってもよい。なお、石膏パック1の本体部2内に浸透させる液体としては、温泉水が好ましい。また、液体としては、予め必要な分量だけを、袋等の容器に小分けしたものを用いてもよい。ここでは、予め必要な分量だけをポリ袋に小分けされた温泉水を使用する場合を説明する。このポリ袋入りの温泉水は、例えば、電子レンジを使用して約45℃に温めてもよい。
【0060】
上記のように石膏パック1が入れられたポリ袋の中に、必要な分量のお湯(温泉水)が入れられた後、ポリ袋内の空気をなるべく外部へ排出した状態で、ポリ袋のチャックを閉じて、ポリ袋を密閉する。その後、ポリ袋内の石膏パック1の本体部2付近を、ポリ袋越しに、握りこぶし等で上から軽く叩く等して、お湯(温泉水)を石膏パック1の本体部2に対して全体的に行き渡らせて、本体部2内の石膏組成物30にお湯(温泉水)を十分になじませる。
【0061】
1分間程度、お湯(温泉水)になじませた後、チャックを開けてポリ袋を開封し、そのポリ袋内から石膏パック1を取り出し、石膏パック1の表面等に付着した余分なお湯(温泉水)をタオル等で、適宜、拭き取る。
【0062】
その後、利用者の目(両目)及び口に対して、それぞれ窓部2a,2b及び窓部2dの位置を合わせながら、石膏パック1の本体部2の裏面1b(本体部2の外表面10a)を、利用者の顔全体に密着させる。
【0063】
このように本体部2の裏面1bを顔全体に密着させた後、本体部2から左右に延びた一対の装着部3,3の各帯状端部6a,6bを、それぞれ後頭部側へ軽く引っ張りつつ、各帯状端部6a,6bに設けられた接合部材7同士を重ねて固定する。装着部3は、上述したように伸縮性があるため、接合部材7同士が固定されることにより、利用者の頭を左右から巻きつつ帯のように締め付ける形となる。そのため、本体部2は、装着部3により左右両側から後方へ引っ張られる状態となり、その結果、本体部2の裏面(外表面10a)側が、利用者の顔面に対して押し付けられる形となる。
【0064】
続いて、左右に分かれた本体部2の右側下部2eと左側下部2fとが、互いに重ねられると共に、それらに設けられた接合部材4,4同士を重ねて固定することにより、利用者の顎付近が、互いに繋がった右側下部2eと左側下部2fとにより覆われた状態となる。
【0065】
その後、右側下部2e及び左側下部2fが、利用者の顎に対して確実に密着するように、左右の装着部3,3を引っ張り上げつつ、本体部2と利用者の顔との位置を調整しながら、再度、接合部材7,7同士の固定位置を適宜、変更することで、装着部3,3の締め直しが行われる。このようにして、石膏パック1の装着が完了する。
【0066】
図8は、石膏パック1を利用者の顔に装着した状態を示す説明図である。図8に示されるように、利用者Uの顔面U1に本体部2が宛がわれた状態において、一対の装着部3が、利用者の頭U2を巻くように、各装着部3の接合部材7同士が繋ぎ合わせられる。利用者Uの耳U3は、各装着部3に設けられた窓部5a,5bから露出される。図8には、利用者の左側の耳U3が、窓部5bから露出した状態が示される。また、利用者Uの口は、本体部2に設けられた窓部2dから露出される。利用者Uの顎U4付近は、互いに繋がった右側下部2eと左側下部2fとにより覆われた状態となる。
【0067】
上記のように、石膏パック1を装着後、例えば、15分間、そのままの状態とする。その後、石膏パック1を取り外し、必要に応じて、利用者は、スキンケア用品を塗布して肌(皮膚)を整えてもよい。
【0068】
以上のように、本実施形態の石膏パック1は、装着性に優れる。石膏パック1を使用すると、肌が温められて発汗が促されることにより毛穴が開くため、毛穴から老廃物が除去され易くなる。また、毛穴が開くことにより、肌に対する美容液や、石膏組成物に含まれるミネラル分等の浸透性も良くなる。
【0069】
また、石膏パック1は、その使用時に、程よい温度(例えば、約40℃)の状態で、ある程度の間(例えば、10分~20分程度)、維持される。
【0070】
また、石膏パック1の石膏組成物を、温泉水を利用して発熱させると、利用者は自宅に居ながら、顔だけサウナ(蒸し風呂)に入ったような感覚が得られる。
【0071】
また、石膏パック1は、利用者の顔(頭)を包みこむような形で装着されるため、利用者の顔(頭)を引き締める効果(所謂、小顔効果)も期待される。
【0072】
ここで、上記のようにお湯(温泉水)を浸透させて発熱させた石膏パック1の表面温度の推移を観察した。また、比較例として、石膏パック1の蓋シート部を不織布(底シート部と同様の不織布)に代えた石膏パックを用意し、その石膏パックについても、同様に、表面温度の推移を観察した。結果は、図9のグラフに示した。なお、温度の測定位置は、利用者の顔に接触させる部分(底シート部)である。
【0073】
図9は、本実施形態の石膏パックの表面温度の推移と比較例の石膏パックの表面温度の推移を示すグラフである。図9の横軸は、経過時間(分)であり、縦軸は、温度(℃)である。図9に示されるように、蓋シート部が、スパンデックス生地(弾性繊維からなる伸縮性のシート状の部材)からなる本実施形態の石膏パック1の方が、比較例の石膏パックよりも、保温性が高いことが確かめられた。
【0074】
<実施形態2>
次いで、実施形態2に係る石膏パック1Aを、図10及び図11を参照しつつ説明する。図10は、実施形態2の石膏パック1Aの表側の構成を示す説明図であり、図11は、実施形態2の石膏パック1Aを構成する右石膏ユニット1ALと左石膏ユニット1ARとを示す説明図である。本実施形態の石膏パック1Aの基本的な構成は、実施形態1と同じであり、本体部2Aと、一対の装着部3Aとを備えている。本体部2A及び装着部3Aには、実施形態1と同様、弾性繊維からなる伸縮性のシート状の部材(例えば、スパンデックス生地)からなる蓋シート部が使用される。図10及び図11には、石膏パック1Aの表面1Aa側が示される。
【0075】
本体部2Aには、利用者の左右の目の位置に対応した貫通孔状の窓部2Aa,2Abが形成されている。また、本体部2Aの中央側には、利用者の鼻先の位置に対応した貫通孔状の窓部2Acと、利用者の口の位置に対応した貫通孔状の窓部2Adとがそれぞれ形成されている。
【0076】
また、石膏パック1Aは、実施形態1と同様、左右に分けられた1組のユニット(右石膏ユニット1AL及び左石膏ユニット1AR)が互いに繋ぎ合わせられたものからなる。図11において、右石膏ユニット1ALの縫製ライン9A(縫製ライン9AL)、及び左石膏ユニット1ARの縫製ライン9A(縫製ライン9AR)が示されており、これらは、石膏パック1Aが有する中間枠部(不図示)の輪郭に沿って設けられている。
【0077】
本実施形態の石膏パック1Aは、左石膏ユニット1AR及び右石膏ユニット1ALの各周縁部のうち、利用者の額から鼻にかけた箇所にそれぞれ対応する第1周縁部8AR1,8AL1同士と、利用者の鼻から口にかけた箇所にそれぞれ対応する第2周縁部8AR2,8AL2同士が、互いに縫製により、繋ぎ合わせられている。
【0078】
ただし、本実施形態の石膏パック1Aは、実施形態1とは異なり、右石膏ユニット1ALの周縁部のうち、利用者の口から顎にかけた箇所に対応する第3周縁部8AL3と、左石膏ユニット1ARの周縁部のうち、利用者の口から顎にかけた箇所に対応する第3周縁部8AR3とは、互いに着脱可能なように、それぞれ接合部材14Aを備えている。接合部材14Aは、他の接合部材4A等と同様、と着脱自在な状態で互いに接合可能な部材であり、一方がフック面、他方がループ面を有する面ファスナーからなる。右石膏ユニット1ALの第3周縁部8AL3の裏面側と、左石膏ユニット1ARの第3周縁部8AR3の表面側とに、それぞれ接合部材14Aが取り付けられている。
【0079】
また、石膏パック1Aにおける本体部2Aの下部側は、図10に示されるように、実施形態1よりも左右に大きく離れた形状となっている。本体部2Aの右側下部2Aeの裏面と、左側下部2Afの表面には、実施形態1と同様、それぞれ着脱自在な状態で互いに接合可能な接合部材4Aが取り付けられている。
【0080】
本実施形態の石膏パック1Aは、このように、左石膏ユニット1ARの第3周縁部8AR3と右石膏ユニット1ALの第3周縁部8AL3とが、着脱可能な状態となっているため、実施形態1よりも、より石膏パック1Aの取り付け位置を細かく調整することができる。特に、本体部2Aの右側下部2Ae及び左側下部2Afの、利用者の顎付近に対する密着性が改善される。
【0081】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
(1)上記実施形態において、蓋シート部を構成する本体部と装着部とは、互いに1枚の生地として繋がっていたが、本発明の目的を損なわない限り、例えば、本体部に対して、別体の装着部を、後付けする形で取り付けてもよい。
【0083】
(2)上記実施形態において、装着部に設けられる接合部材や本体部に設けられる接合部材には、所謂、面ファスナーが利用されていたが、本発明を損なわない限り、接合部材として、互いの距離を調節しつつ着脱可能な他の機構が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…石膏パック、2…本体部、3…装着部、4…接合部材、7…接合部材、10…底シート部、20…中間枠部、21…縁枠部、22…仕切り枠部、23…小枠部、30…石膏組成物、40…蓋シート部、41…本体蓋部、U…利用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布製のシート状の底シート部と、
平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ前記底シート部の輪郭に沿うように前記底シート部の上面に形成される縁枠部と、平面視で所定の線幅を含む立壁状をなし、かつ前記上面のうち前記縁枠部で囲まれた部分を複数の部分に区画するように前記底シート部の前記上面に形成される仕切り枠部と、前記縁枠部と前記仕切り枠部とで形成される複数の小枠部とを有する中間枠部と、
前記小枠部の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物と、
前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層され、ポリウレタン弾性繊維からなる伸縮性のシート状の蓋シート部とを備え、
前記蓋シート部は、前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層される本体蓋部と、前記本体蓋部から左右に延びた形をなし、前記本体蓋部に対して一体的に設けられている一対の装着部とを有し、
前記石膏組成物を含みつつ、前記底シート部、前記中間枠部、及び前記本体蓋部からなる本体部の前記底シート部側が、利用者の顔面に宛がわれた状態において、前記一対の装着部が、前記利用者の頭を巻きつつ互いに接合され
前記一対の装着部は、それぞれ、前記利用者の耳の位置に対応した貫通孔状の窓部と、互いに接合可能な一対の帯状端部とを有する石膏パック。
【請求項2】
前記底シート部は、利用者の顔面の左半分に宛がわれる左底シート部と、前記顔面の右半分に宛がわれる右底シート部とを有し、
前記中間枠部は、複数の前記小枠部のうち前記左底シート部の上面に形成される左小枠部を含む左中間枠部と、複数の前記小枠部のうち前記右底シート部の上面に形成される右小枠部を含む右中間枠部とを有し、
前記石膏組成物は、前記左小枠部の内側を埋めるように充填されると共に、前記右小枠部の内側を埋めるように充填され、
前記蓋シート部は、前記左小枠部の内側の前記石膏組成物を覆うように前記左中間枠部に積層される左本体蓋部と、前記右小枠部の内側の前記石膏組成物を覆うように前記右中間枠部に積層される右本体蓋部とを有し、
前記左底シート部、前記左中間枠部、前記石膏組成物、及び前記左本体蓋部とを有し、前記顔面の左半分を覆うための左石膏ユニットと、前記右底シート部、前記右中間枠部、前記石膏組成物、及び前記右本体蓋部とを有し、前記顔面の右半分を覆うための右石膏ユニットとを備える請求項1に記載の石膏パック。
【請求項3】
前記左石膏ユニット及び右石膏ユニットの各周縁部のうち、利用者の額から鼻にかけた箇所にそれぞれ対応する第1周縁部同士と、利用者の鼻から口にかけた箇所にそれぞれ対応する第2周縁部同士が、互いに繋ぎ合わせられる請求項2に記載の石膏パック。
【請求項4】
前記左石膏ユニット及び右石膏ユニットの各周縁部のうち、利用者の口から顎にかけた箇所にそれぞれ対応する第3周縁部同士が、互いに着脱可能に接合される請求項3に記載の石膏パック。