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特開2024-22057コンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法、および算出用キット
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  • 特開-コンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法、および算出用キット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022057
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】コンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法、および算出用キット
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/00 20060101AFI20240208BHJP
   G01N 3/08 20060101ALI20240208BHJP
   G01N 33/38 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01N3/00 M
G01N3/08
G01N33/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125380
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】臼井 達哉
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA02
2G061AB01
2G061AC01
2G061BA06
2G061CA08
2G061CB03
2G061DA01
2G061EA03
2G061EA04
2G061EC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法と、ヤング係数の補正係数を算出するための算出用キットを提供すること。
【解決手段】コンクリートのヤング係数実測値を測定するヤング係数測定工程と、コンクリート温度応力実測値を算出する温度応力算出工程と、コンクリートの有効ひずみと仮のコンクリートの温度応力とを算出する仮の温度応力算出工程と、コンクリート温度応力実測値とコンクリートの有効ひずみとから算出した有効ヤング係数(Ee)と、仮のコンクリート温度応力と前記コンクリートの有効ひずみとから算出した仮のヤング係数(Ep)との比からヤング係数の補正係数(Ee/Ep)を算出する補正係数算出工程と、を有するコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法と、温度応力測定装置と自由ひずみ測定装置とを有するヤング係数の補正係数の算出用キット。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートのヤング係数実測値を測定するヤング係数測定工程と、
長さ方向の断面形状が同一である型枠内に打設されたコンクリート内部に設けられた非熱膨張性棒材のひずみ(εs(t))を温度制御しながら測定し、下記式(1)に基づいてコンクリート温度応力実測値(σc(t))を算出する温度応力算出工程と、
長さ方向の断面形状が同一である型枠内に打設されたコンクリート内部に設けられたひずみ計を用いてコンクリートの自由ひずみ(εc,free(t))を上記温度応力算出工程と同一条件で温度制御しながら測定して下記式(2)に基づいてコンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))を算出し、さらに下記式(3)に基づいてヤング係数の補正係数を1.0と仮定した仮のコンクリートの温度応力(Δσcp(t))を算出する仮の温度応力算出工程と、
前記コンクリート温度応力実測値(σc(t))と前記コンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))とから算出した有効ヤング係数(Ee=Δσc(t)/Δεc,res(t))と、前記仮のコンクリート温度応力(Δσcp(t))と前記コンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))とから算出した仮のヤング係数(Ep=Δσcp(t)/Δεc,res(t))との比からヤング係数の補正係数(Ee/Ep)を算出する補正係数算出工程と、
を有するコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法。
(式1)
σc(t)=(εs(t)×Es×As)/Ac
σc(t) :コンクリート温度応力実測値
εs(t) :非熱膨張性棒材のひずみ
Es :非熱膨張性棒材のヤング係数
As :非熱膨張性棒材の断面積
Ac :コンクリートの断面積
(式2)
Δεc,res(t)=|(εc,free(t))-εs(t)|
Δεc,res(t):コンクリートの有効ひずみ
(自由ひずみと非熱膨張性棒材のひずみとの差の絶対値)
εc,free(t):自由ひずみ
εs(t) :非熱膨張性棒材のひずみ
(式3)
Δσcp(t)=1.0×Ec(t)×Δεc,res(t)
Δσcp(t) :仮のコンクリート温度応力
Ec(t) :コンクリートのヤング係数
(コンクリートのヤング係数実測値を元に算出)
Δεc,res(t):コンクリートの有効ひずみ
【請求項2】
前記非熱膨張性棒材が、インバー鋼であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法。
【請求項3】
ヤング係数の補正係数を、若材齢期、温度上昇期、温度下降期から選ばれる2以上に分けて算出することを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法。
【請求項4】
長さ方向の断面形状が同一である型枠と、型枠の長手方向に向けて端部が固定された非熱膨張性棒材と、非熱膨張性棒材の中央部に装着されたひずみゲージとを有し、温度を制御しながら型枠内でコンクリートを硬化させ、その硬化過程におけるコンクリートの温度応力を測定することのできる温度応力測定装置と、
長さ方向の断面形状が同一である型枠と、型枠の内部に設置されるひずみ計とを有し、温度を制御しながら型枠内でコンクリートを硬化させ、その硬化過程におけるコンクリートの自由ひずみを測定することのできる自由ひずみ測定装置と、
を有することを特徴とするコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出用キット。
【請求項5】
前記非熱膨張性棒材が、インバー鋼であることを特徴とする請求項4に記載のコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出用キット。
【請求項6】
前記型枠が、長さ150cm以下、長さ方向に対して垂直方向の断面積が400cm以下であることを特徴とする請求項4または5に記載のコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法と、コンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出に用いる算出用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは、水和(硬化)時に発熱して温度上昇し、その後の放熱により温度低下する。このコンクリートの温度上昇・下降による変形が、外部の岩盤や既設のコンクリートに拘束されることにより生じる応力が、温度ひび割れの原因となる。
温度ひび割れの発生を防ぐために、非特許文献1(土木学会「コンクリート標準示方書[設計編]」)や非特許文献2(日本コンクリート工学会「マスコンクリートのひび割れ制御指針 2016」)では、コンクリートの水和発熱と自己収縮に伴う体積変化に起因して生じる拘束応力を、3次元有限要素解析(FEM)によって算出し、ひび割れ発生確率、ひび割れ幅を予測することを標準としている。
3次元有限要素解析の入力値は、汎用セメントについては一般値が記載されているが、実際にはプラント毎に材料が異なり、発熱特性や自己収縮、強度発現性等が異なることが知られている。そのため、解析精度を向上させるために、事前に施工に用いるコンクリートについて、マスブロック試験体による発熱特性、温度履歴を受けた自己収縮ひずみ、圧縮強度、割裂引張強度、ヤング係数等を測定して、各種データを取得する場合がある。また、近年、極初期材齢からの熱膨張係数の測定方法や、ヤング係数の測定方法などが開発されている。
【0003】
一方、コンクリートの温度応力を算出するためには、自己収縮ひずみ、ヤング係数の他にクリープの影響を考慮(クリープ解析)することが必要となる。現在の指針(非特許文献1、2)では、クリープの影響を、ヤング係数に低減係数として「ヤング係数の補正係数」を乗じた有効ヤング係数(有効ヤング係数=ヤング係数の補正係数×ヤング係数。ヤング係数の補正係数は1以下の数値)を用いる有効弾性係数法によって行っているが、ヤング係数の補正係数は、セメントの種類に関わらず一定の値(温度上昇時0.42、温度下降時0.65)が用いられており、この値が適切ではない場合がある。
ヤング係数の補正係数は、実構造物のマスコンクリートを打設する際に、有効応力計、ひずみ計、無応力計を埋め込み、硬化時の挙動を計測することで算出することはできる。しかし、実構造物に測定装置を埋め込んで算出する場合は、施工前に算出することはできないため、事前に実構造物で算出したヤング係数の補正係数を用いて温度ひび割れの発生を予防、予測することはできない。また、実規模と同等のモックアップ試験体に有効応力計、ひずみ計、無応力計を設置して、ヤング係数の補正係数を算出することは可能であるが、多大な労力とコストを要することになり、その実施は現実的ではない。
【0004】
施工前にヤング係数の補正係数を高精度に算出する方法が求められているが、その測定方法、評価方法について確立されていない。例えば、非特許文献3において、ヤング率の補正係数が室内試験の結果より算出されているが、その算出値は1を超えている場合もあり、ヤング率の補正係数はその定義からして1以下であるため、十分な精度であるとは言い難い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】土木学会「コンクリート標準示方書[設計編]」
【非特許文献2】日本コンクリート工学会「マスコンクリートのひび割れ制御指針 2016」
【非特許文献3】芦澤 良一ら、「若材齢時におけるクリープの影響を考慮したヤング係数の低減係数に関する評価」、セメント・コンクリート論文集、2019年、73巻、1号、200-207
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法と、ヤング係数の補正係数を算出するための算出用キットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.コンクリートのヤング係数実測値を測定するヤング係数測定工程と、
長さ方向の断面形状が同一である型枠内に打設されたコンクリート内部に設けられた非熱膨張性棒材のひずみ(εs(t))を温度制御しながら測定し、下記式(1)に基づいてコンクリート温度応力実測値(σc(t))を算出する温度応力算出工程と、
長さ方向の断面形状が同一である型枠内に打設されたコンクリート内部に設けられたひずみ計を用いてコンクリートの自由ひずみ(εc,free(t))を上記温度応力算出工程と同一条件で温度制御しながら測定して下記式(2)に基づいてコンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))を算出し、さらに下記式(3)に基づいてヤング係数の補正係数を1.0と仮定した仮のコンクリートの温度応力(Δσcp(t))を算出する仮の温度応力算出工程と、
前記コンクリート温度応力実測値(σc(t))と前記コンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))とから算出した有効ヤング係数(Ee=Δσc(t)/Δεc,res(t))と、前記仮のコンクリート温度応力(Δσcp(t))と前記コンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))とから算出した仮のヤング係数(Ep=Δσcp(t)/Δεc,res(t))との比からヤング係数の補正係数(Ee/Ep)を算出する補正係数算出工程と、
を有するコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法。
(式1)
σc(t)=(εs(t)×Es×As)/Ac
σc(t) :コンクリート温度応力実測値
εs(t) :非熱膨張性棒材のひずみ
Es :非熱膨張性棒材のヤング係数
As :非熱膨張性棒材の断面積
Ac :コンクリートの断面積
(式2)
Δεc,res(t)=|(εc,free(t))-εs(t)|
Δεc,res(t):コンクリートの有効ひずみ
(自由ひずみと非熱膨張性棒材のひずみとの差の絶対値)
εc,free(t):自由ひずみ
εs(t) :非熱膨張性棒材のひずみ
(式3)
Δσcp(t)=1.0×Ec(t)×Δεc,res(t)
Δσcp(t) :仮のコンクリート温度応力
Ec(t) :コンクリートのヤング係数
(コンクリートのヤング係数実測値を元に算出)
Δεc,res(t):コンクリートの有効ひずみ
2.前記非熱膨張性棒材が、インバー鋼であることを特徴とする1.に記載のコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法。
3.ヤング係数の補正係数を、若材齢期、温度上昇期、温度下降期から選ばれる2以上に分けて算出することを特徴とする1.または2.に記載のコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法。
4.長さ方向の断面形状が同一である型枠と、型枠の長手方向に向けて端部が固定された非熱膨張性棒材と、非熱膨張性棒材の中央部に装着されたひずみゲージとを有し、温度を制御しながら型枠内でコンクリートを硬化させ、その硬化過程におけるコンクリートの温度応力を測定することのできる温度応力測定装置と、
長さ方向の断面形状が同一である型枠と、型枠の内部に設置されるひずみ計とを有し、温度を制御しながら型枠内でコンクリートを硬化させ、その硬化過程におけるコンクリートの自由ひずみを測定することのできる自由ひずみ測定装置と、
を有することを特徴とするコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出用キット。
5.前記非熱膨張性棒材が、インバー鋼であることを特徴とする4.に記載のコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出用キット。
6.前記型枠が、長さ150cm以下、長さ方向に対して垂直方向の断面積が400cm以下であることを特徴とする4.または5.に記載のコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出用キット。
【0008】
以下、本発明のコンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出方法、コンクリートの温度応力によるヤング係数の補正係数の算出用キットを、単に算出方法、算出用キットともいう。
【発明の効果】
【0009】
本発明の算出方法と算出用キットにより、ヤング係数の補正係数を施工前に高精度に算出することができる。算出したヤング係数の補正係数を用いることにより、温度応力によるひずみの発生をより高精度に予測することができるため、適切な温度ひび割れ対策を選定することができ、現場で施工後に温度ひび割れが発生することを防止することができる。本発明の算出方法は、初期に大きく膨張する膨張コンクリート、自己収縮ひずみが大きい高炉セメントコンクリート、強度発現の遅い低発熱コンクリート等の硬化時の挙動が異なるコンクリートであってもその種類を問わずに、ヤング係数の補正係数を算出することができ、温度応力解析を精度よく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の算出用キットのうち、温度応力測定装置の模式図。
図2】コンクリートの温度上昇時と温度下降時の寸法変化の模式図。
図3】本発明の算出用キットのうち、自由ひずみ測定装置の模式図。
図4】実施例における、材齢と圧縮強度の関係の一例である(N)普通セメントコンクリートにおける材齢と圧縮強度の関係を示すグラフ。
図5】実施例における、全コンクリートの圧縮強度(0.75N/mm以下)とヤング係数実測値との関係を示すグラフ。
図6】実施例における、全コンクリートの圧縮強度(0.75N/mm越え)とヤング係数実測値との関係を示すグラフ。
図7】実施例における、温度応力算出工程と仮の温度応力算出工程での温度制御条件。
図8】実施例における、縦軸にコンクリート温度応力実測値(σc(t))と仮のコンクリートの温度応力(Δσcp(t))、横軸にコンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))をとった応力-ひずみ曲線の一例である、普通コンクリート(N)の試験体1での結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の算出方法を、工程毎に説明する。なお、本発明の算出工程において、別の工程で算出した値を他の工程で用いる場合に適切な順に行う以外は、その工程順は制限されない。
・ヤング係数測定工程
コンクリートのヤング係数実測値を測定する。
ヤング係数実測値は、従来公知の方法により測定することができる。コンクリートは、その材齢によりヤング係数の値が変化するため、材齢の異なる供試体を用いて、様々な材齢におけるヤング係数実測値を測定する。ヤング係数の補正係数を精度良く算出するために、ヤング係数実測値は適切な頻度で測定することが好ましく、例えば、圧縮強度が1.0N/mm程度以下の若材齢期には1~3時間毎に測定することが好ましく、温度上昇期には2時間~1日毎に測定することが好ましく、温度下降期には1~14日毎に測定することが好ましい。
ヤング係数実測値は、例えば、若材齢以降の温度上昇期と温度下降期はJIS A1149:2017、コンクリートの静弾性係数試験方法等の荷重制御による方法で測定することができ、若材齢期には変位制御による方法で測定することができる。
【0012】
・温度応力算出工程
長さ方向の断面形状が同一である型枠内に打設されたコンクリート内部に設けられた非熱膨張性棒材のひずみ(εs(t))を温度制御しながら測定し、下記式(1)に基づいてコンクリート温度応力実測値(σc(t))を算出する。
(式1)
σc(t)=(εs(t)×Es×As)/Ac
σc(t) :コンクリート温度応力実測値
εs(t) :非熱膨張性棒材のひずみ
Es :非熱膨張性棒材のヤング係数
As :非熱膨張性棒材の断面積
Ac :コンクリートの断面積
【0013】
コンクリート温度応力実測値(σc(t))は、本発明の算出用キットのうち、コンクリートの温度応力測定装置100により測定することができる。
コンクリートの温度応力測定装置100を図1に示す。
コンクリートの温度応力測定装置100は、長さ方向の断面形状が同一である型枠11と、型枠11の長手方向に向けて端部が固定された非熱膨張性棒材12と、非熱膨張性棒材12の中央部に装着されたひずみゲージ13とを有する。
型枠11は、その長さ方向の断面形状が同一である。型枠11は、非熱膨張性棒材12に均一な応力を付与することができるとともに、型枠11内部で硬化するコンクリートに余計な拘束力を与えないものであれば良く、寸法誤差、製造誤差等を含む略同一であってもよい。型枠11の長さ方向断面形状が同一(略同一)であることにより、型枠11内で硬化するコンクリート内部における温度のバラツキを小さくすることができ、そのコンクリートをより均一な応力状態とすることができる。型枠11の断面形状は、例えば、多角形、円形等が挙げられ、製造が容易であるため矩形であることが好ましく、正方形であることがより好ましい。
【0014】
型枠11の大きさは特に制限されないが、長さ150cm以下、長さ方向に対して垂直方向の断面積が400cm以下であることが、恒温室等の温度を制御した空間内に配置することが容易であり、さらに、コンクリートの厚さ方向での温度分布をより均一とすることができ、コンクリートの温度履歴を精密に制御することができるため好ましい。型枠11の長さは120cm以下であることが好ましく、100cm以下であることがより好ましい。型枠11が短くなりすぎると、ひずみの検出が難しくなる場合があるため、40cm以上であることが好ましい。型枠11の断面積は260cm以下であることが好ましく、150cm以下であることがより好ましい。型枠11の断面積が小さくなりすぎると、型枠内11で硬化するコンクリートの断面積(Ac)が小さくなり、粗骨材が非熱膨張性棒材の周囲に不均一となる場合があり、また、コンクリートに発生する応力が多くなりすぎる等の不具合が生じる場合があるため、60cm以上であることが好ましく、80cm以上であることがより好ましい。
【0015】
非熱膨張性棒材12は、熱膨張係数が5.0×10-6/℃以下の材質からなる棒材である。非熱膨張性棒材12の熱膨張係数は小さいことが好ましく、4.0×10-6/℃以下であることが好ましく、3.0×10-6/℃以下であることがより好ましく、2.0×10-6/℃以下であることがさらに好ましい。非熱膨張性棒材12の材質としては、例えば、インバー鋼、スーパーインバー鋼、ゼロインバー鋼等の各種インバー鋼が挙げられる。また、棒材の形状としては、丸鋼であることが好ましい。非熱膨張性棒材12は、長さ方向から見た型枠11の略中心部に配置される。
非熱膨張性棒材12は、その両端がコンクリートの膨張・収縮に追従できる付着部121であり、その中央部がコンクリートの膨張・収縮に追従しない付着除去部122である。付着部121は、コンクリートの膨張・収縮に追従できればよく、例えば、非熱膨張性棒材12にねじ加工を施すことにより設けることができる。付着除去部122は、コンクリートの膨張・収縮に追従しなければよく、例えば、非熱膨張性棒材12の表面を平坦とし、さらにその周囲をコンクリートと固着しないフッ素樹脂シート等で覆う、あるいは、コンクリートと固着しないフッ素塗料等を塗布することにより設けることができる。
【0016】
ひずみゲージ13は、非熱膨張性棒材12の付着除去部122である長さ方向中央部に装着され、非熱膨張性棒材12のひずみ量を検出するものである。ひずみゲージ13は、コンクリートの体積変化を検出しないように装着される。ひずみゲージ13は、公知のものを特に制限することなく使用することができるが、ひずみゲージ自体の温度変化による寸法変化を除去することのできる3線式のものが好ましい。
【0017】
コンクリートの温度応力測定装置100の型枠11にコンクリートを打設し、温度制御することにより所定の温度履歴を与えながら、コンクリートを硬化させる。コンクリート硬化時の温度の経時変化を制御することにより、小型の測定装置でありながらも、マスコンクリートのような大容量のコンクリートが硬化する際に想定される任意の温度履歴を与えることが可能であり、夏や冬等の季節や、北海道や高地等の寒冷地、九州・沖縄等の地域性等も考慮した上で、再現することができる。
【0018】
温度上昇時と温度下降時の寸法変化の模式図を、それぞれ図2に示す。
温度上昇時にはコンクリートが膨張するが、非熱膨張性棒材の付着部121は、コンクリートに拘束されているため、コンクリートの膨張に追従して伸長する(図2の温度上昇時の拘束試験体)。付着除去部122は、コンクリートの膨張に追従しないが、付着部121の伸長により圧縮されて短縮し、その変形量をひずみゲージで検出することにより、非熱膨張性棒材のひずみ(εs(t))を算出することができる。
温度下降時はコンクリートが収縮するが、非熱膨張性棒材の付着部121は、このコンクリートの収縮に追従して短縮する(図2の温度下降時の拘束試験体)。付着除去部122は、コンクリートの収縮に追従しないが、コンクリートに拘束されている付着部121の短縮により伸長されて変形し、その変形量をひずみゲージ13で検出することにより、非熱膨張性棒材のひずみ(εs(t))を算出することができる。
【0019】
そして、非熱膨張性棒材12は熱膨張係数が小さく、その熱膨張係数がコンクリートの熱膨張係数との差が大きいため、コンクリートの温度変化による温度応力が発生する。なお、通常の鉄筋のようにコンクリートと熱膨張係数の差が小さい材料では、温度応力は測定できない。
ここで、コンクリートの変形(膨張・収縮)による温度応力と、非熱膨張性棒材12が元の形状に戻ろうとする応力とは釣り合っており等しいため、この2つの力の釣り合いから下記式(1)により、コンクリート温度応力実測値(σc(t))を求めることができる。
(式1)
σc(t)=(εs(t)×Es×As)/Ac
σc(t) :コンクリート温度応力実測値(N/mm
εs(t) :非熱膨張性棒材のひずみ
Es :非熱膨張性棒材のヤング係数(N/mm
As :非熱膨張性棒材の断面積(mm
Ac :コンクリートの断面積(mm
【0020】
・仮の温度応力算出工程
長さ方向の断面形状が同一である型枠内に打設されたコンクリート内部に設けられたひずみ計を用いてコンクリートの自由ひずみ(εc,free(t))を上記温度応力算出工程と同一条件で温度制御しながら測定して下記式(2)に基づいてコンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))を算出し、さらに下記式(3)に基づいて仮のコンクリートの温度応力(Δσcp(t))を算出する。
(式2)
Δεc,res(t)=|(εc,free(t))-εs(t)|
Δεc,res(t):コンクリートの有効ひずみ
(自由ひずみと非熱膨張性棒材のひずみとの差の絶対値)
εc,free(t):自由ひずみ
εs(t) :非熱膨張性棒材のひずみ
(式3)
Δσcp(t)=1.0×Ec(t)×Δεc,res(t)
Δσcp(t) :仮のコンクリート温度応力(N/mm
Ec(t) :コンクリートのヤング係数(N/mm
(コンクリートのヤング係数実測値を元に算出)
Δεc,res(t):コンクリートの有効ひずみ
【0021】
仮のコンクリートの温度応力(Δσcp(t))を算出するためには、先にコンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))を算出する必要がある。式(2)に示す通り、コンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))は、自由ひずみ(εc,free(t))と上記「温度応力算出工程」で求めた非熱膨張性棒材のひずみ(εs(t))との差の絶対値である。
コンクリートの自由ひずみ(εc,free(t))は、本発明の算出用キットのうち、コンクリートの自由ひずみ測定装置200により測定することができる。
コンクリートの自由ひずみ測定装置200を図3に示す。
コンクリートの自由ひずみ測定装置200は、長さ方向の断面形状が同一である型枠21と、型枠21の内部に設置されるひずみ計22とを有する。なお、この型枠21における同一は、上記したコンクリートの温度応力測定装置100の型枠11と同様に略同一を意味する。
【0022】
型枠21の大きさは特に制限されないが、長さ150cm以下、長さ方向に対して垂直方向の断面積が400cm以下であることが、恒温室等の温度を制御した空間内に配置することが容易であり、さらに、コンクリートの厚さ方向での温度分布をより均一とすることができ、コンクリートの温度履歴を精密に制御することができるため好ましい。型枠21の長さは120cm以下であることが好ましく、100cm以下であることがより好ましい。型枠21が短くなりすぎると、コンクリートのひずみの検出が難しくなる場合があるため、20cm以上であることが好ましい。型枠21の断面積は260cm以下であることが好ましく、150cm以下であることがより好ましい。型枠21の断面積が小さくなりすぎると粗骨材の分布が不均一となる場合があるため、60cm以上であることが好ましく、80cm以上であることがより好ましい。なお、温度応力測定装置100の型枠11と、自由ひずみ測定装置200の型枠21とは、同一形状でもよく、異なる形状でもよい。
【0023】
コンクリートの自由ひずみ測定装置200の型枠21にコンクリートを打設し、温度制御して上記した温度応力算出工程と同一の温度履歴を与える。コンクリート硬化時の温度の経時変化を制御することにより、小型の測定装置でありながらも、マスコンクリートのような大容量のコンクリートが硬化する際に想定される任意の温度履歴を与えることが可能であり、季節や地域性等を考慮した上で再現することができる。
図2の温度上昇時の自由試験体が示すように、型枠21内において、コンクリートは温度上昇時には膨張し、温度下降時には収縮する。この変形を、型枠21内に設置したひずみ計22で検出することにより、コンクリートの自由ひずみ(εc,free(t))を検出することができる。
そして、図2の温度下降時の自由試験体が示すように、コンクリートの自由ひずみ測定装置200内におけるコンクリートは、なんらの拘束も受けていないため、コンクリートの温度応力測定装置100内における非熱膨張性棒材12の付着部121に拘束されているコンクリートと比較して、大きく変形することができる。すなわち、コンクリートの温度応力測定装置100内で、コンクリートは、本来、コンクリートの自由ひずみ測定装置200内と同等の大きさ(コンクリートの自由ひずみ(εc,free(t)))に変形するところを、非熱膨張性棒材の付着部121に拘束されているために、その変形量が非熱膨張性棒材のひずみ(εs(t))の大きさに抑えられている。式(2)に示すように、本来の変形量であるコンクリートの自由ひずみ(εc,free(t))と、拘束されたことによる現実の変形量である非熱膨張性棒材のひずみ(εs(t))との大きさの差(差の絶対値)が、コンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t)=|(εc,free(t))-εs(t)|)である。
【0024】
そして、コンクリートに有効ひずみ(Δεc,res(t))が生じることにより、コンクリート内部には応力が発生する。この応力は、実際にはクリープの影響を受けたものであるが、式(3)に示すように、その材齢におけるコンクリートのヤング係数(Ec(t))を乗じることにより、クリープの影響を無視した(ヤング係数の補正係数を1.0と仮定した)仮のコンクリート温度応力(Δσcp(t))を算出することができる。
(式3)
Δσcp(t)=1.0×Ec(t)×Δεc,res(t)
Δσcp(t) :仮のコンクリート温度応力
Ec(t) :コンクリートのヤング係数
(コンクリートのヤング係数実測値を元に算出)
Δεc,res(t):コンクリートの有効ひずみ
【0025】
コンクリートのヤング係数(Ec(t))は、上記「ヤング係数測定工程」で測定したヤング係数実測値を元に算出する。これは、ヤング係数実測値は、実際に測定した材齢における実測値であり、測定していない材齢でのヤング係数が不明なためである。そのため、ヤング係数実測値を元にして、材齢と圧縮強度、材齢とヤング係数等の関係式(測定値を結ぶ直線、近似直線、近似曲線等)から、ヤング係数実測値を測定していない材齢を含むコンクリートのヤング係数(Ec(t))を算出し、これを用いて仮のコンクリート温度応力の値を算出する。
【0026】
・補正係数算出工程
前記コンクリート温度応力実測値(σc(t))と前記コンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))とから算出した有効ヤング係数(Ee=Δσc(t)/Δεc,res(t))と、前記仮のコンクリート温度応力(Δσcp(t))と前記コンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))とから算出した仮のヤング係数(Ep=Δσcp(t)/Δεc,res(t))との比からヤング係数の補正係数(Ee/Ep)を算出する。
【0027】
ヤング率は、ひずみと応力との関係から導かれる値であり、縦軸に応力、横軸にひずみをとった応力-ひずみ曲線における傾きがヤング率である。
そのため、コンクリートのコンクリート温度応力実測値(σc(t))とコンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))とをプロットして、縦軸に応力、横軸にひずみをとった応力-ひずみ曲線を求め、その傾きから有効ヤング係数(Ee=Δσc(t)/Δεc,res(t))を算出することができる。
同様に、仮のコンクリート温度応力(Δσcp(t))とコンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))とをプロットした応力-ひずみ曲線の傾きから、仮のヤング係数(Ep=Δσcp(t)/Δεc,res(t))を算出することができる。
なお、有効ヤング係数、仮のヤング係数は、応力-ひずみ曲線における接線の傾き、近似直線の傾き、近似曲線の接線の傾き等として算出することができる。
【0028】
そして、有効ヤング係数(Ee)と仮のヤング係数(Ep)との比から、ヤング係数の補正係数(Ee/Ep)を算出することができる。
得られる応力-ひずみ曲線の形状から明らかであるが、硬化時の挙動が大きく異なる若材齢期、温度上昇期、温度下降期は、応力-ひずみ曲線の傾きが異なり、明確に区別することができる。そのため、若材齢期、温度上昇期、温度下降期から選ばれる2以上におけるヤング係数の補正係数を算出することが好ましく、影響の大きい温度上昇期と温度下降期におけるヤング係数の補正係数を算出することがより好ましい。
【実施例0029】
使用したコンクリートの配合を表1、2に示す。
【表1】
【表2】
【0030】
・ヤング係数測定工程
各コンクリートの圧縮強度を測定し、ヤング係数実測値を求めた。材齢と圧縮強度の関係の一例として、(N)普通セメントコンクリートの関係を図4に示す。また、全コンクリートにおける圧縮強度とヤング係数実測値との関係を、圧縮強度0.75N/mm以下と圧縮強度0.75N/mm越えとに分けて、それぞれ図5、6に示す。
【0031】
・温度応力算出工程
長さ800cm、長さ方向に対して垂直方向の断面積が100cm(10cm×10cm)である型枠内に、非熱膨張性棒材としてインバー鋼の丸鋼(φ32mm、長さ830mm、熱膨張係数1.06×10-6/℃)を固定した温度応力測定装置を用いた。非熱膨張性棒材は、両端から長さ265mm部分がねじ加工された付着部である。非熱膨張性棒材のねじ加工されていない中央部に、ひずみゲージ(株式会社東京測器研究所製、一般用ひずみゲージ FLAB-3-11)を装着し、その上から厚さ0.1mmのフッ素樹脂シートを2重になるように巻き付けて付着除去部とした。
温度応力測定装置の型枠内に、各コンクリートを打設し、温度制御しながら経時での非熱膨張性棒材のひずみ(εs(t))を測定し、式(1)に基づいてコンクリート温度応力実測値(σc(t))を算出した(n=2)。温度制御条件を、図7に示す。
【0032】
・仮の温度応力算出工程
長さ400cm、長さ方向に対して垂直方向の断面積が100cm(10cm×10cm)である型枠内に、埋め込み型ひずみ計(株式会社東京測器研究所製、KM100BT)を設置した自由ひずみ測定装置を用いた。
自由ひずみ測定装置の型枠内に、各コンクリートを打設し、温度制御しながら経時でコンクリートの自由ひずみ(εc,free(t))を測定した(n=2)。温度制御条件は、温度応力算出工程と同一である。
式(2)に基づいて、自由ひずみ(εc,free(t))と非熱膨張性棒材のひずみ(εs(t))との大きさの違いであるコンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))を算出した。
さらに、このコンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))と、コンクリートのヤング係数(Ec(t))とから、式(3)に基づいて仮のコンクリートの温度応力(Δσcp(t))を算出した。
なお、コンクリートのヤング係数(Ec(t))は、上記「ヤング係数測定工程」で実測した圧縮強度(σc)とヤング係数(Ec)の値から近似曲線により関係式(圧縮強度0.75N/mm以下:Ec=0.008×exp(5.89×σc)、圧縮強度0.75N/mm越え:Ec=33.2×(1-exp(-0.155×(σc-0.66)^0.84)))を求め、この関係式と、材齢と圧縮強度との関係と組み合わせて、各材齢でのコンクリートのヤング係数(Ec(t))を求め、これを使用した。
【0033】
・補正係数算出工程
図8に、縦軸にコンクリート温度応力実測値(σc(t))と仮のコンクリートの温度応力(Δσcp(t))、横軸にコンクリートの有効ひずみ(Δεc,res(t))をとった応力-ひずみ曲線の一例として、普通コンクリート(N)の試験体1の結果を示す。
各応力-ひずみ曲線の変曲点から、(1)若材齢期、(2)温度上昇期、(3)温度下降期を定め、各期での近似直線の傾きから、有効ヤング係数(Ee)と仮のヤング係数(Ep)を算出した。
そして、有効ヤング係数と仮のヤング係数の比から、ヤング係数の補正係数(Ee/Ep)を算出した。
結果を表3~6に示す。
【0034】
【表3】
【表4】
【0035】
【表5】
【表6】
【0036】
本発明のヤング係数の補正係数の算出方法により、大型のモックアップ試験体を作成することなく、ヤング係数の補正係数を算出することができた。
従来、ヤング係数の補正係数は、セメントの種類に関わらず一定の値(温度上昇時0.42、温度下降時0.65)が用いられていたが、本発明のヤング係数の補正係数の算出方法により、挙動の異なるセメント毎に異なる値のヤング係数の補正係数を高精度に算出することができた。
本発明により算出したヤング係数の補正係数を用いることにより、温度応力ひずみをより高精度に予測することができ、適切な温度ひび割れ対策を選択することができる。
【符号の説明】
【0037】
100 温度応力測定装置
11 型枠
12 非熱膨張性棒材
121 付着部
122 付着除去部
13 ひずみゲージ

200 自由ひずみ測定装置
21 型枠
22 ひずみ計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8