(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022082
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】作業管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240208BHJP
E02F 3/36 20060101ALI20240208BHJP
B02C 1/06 20060101ALI20240208BHJP
B02C 23/08 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G06Q50/10
E02F3/36 A
B02C1/06
B02C23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125422
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】濱本 亮
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智祥
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 一臣
【テーマコード(参考)】
2D012
4D063
4D067
5L049
【Fターム(参考)】
2D012DA03
4D063AA13
4D063GC21
4D063GC29
4D067EE45
4D067EE48
4D067EE50
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】作業機械を用いた対象物の仕分け作業において、仕分け作業を実行しながら仕分け量を簡易に求めることが可能な作業管理装置を得る。
【解決手段】作業管理装置は、保持部によって保持された対象物を仕分け先に移動する作業機械の作業を管理する作業管理装置であって、前記仕分け先への前記保持部の接近を検知する接近検知部と、データ処理部と、を備える。前記データ処理部は、前記接近検知部によって検知された前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が所定レベル以上であると判定した場合に、前記仕分け先への仕分け回数をカウントし、前記仕分け先に関してカウントされた仕分け回数に基づいて、前記仕分け先への対象物の仕分け量を算出する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部によって保持された対象物を仕分け先に移動する作業機械の作業を管理する作業管理装置であって、
前記仕分け先への前記保持部の接近を検知する接近検知部と、
データ処理部と、
を備え、
前記データ処理部が、
前記接近検知部によって検知された前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が所定レベル以上であると判定した場合に、前記仕分け先への仕分け回数をカウントし、
前記仕分け先に関してカウントされた仕分け回数に基づいて、前記仕分け先への対象物の仕分け量を算出する、作業管理装置。
【請求項2】
前記接近検知部は、
前記保持部に配置された第1通信機と、
前記仕分け先に配置された第2通信機と、
を有し、
前記データ処理部は、
前記第1通信機と前記第2通信機との間で送受信された電波の受信強度が所定のしきい値以上である場合に、前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が前記所定レベル以上であると判定する、請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項3】
前記データ処理部は、
前記保持部の動作を制御する動作制御情報を取得し、
前記仕分け回数をカウントする処理において、前記接近検知部によって検知された前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が前記所定レベル以上であり、かつ、取得した前記動作制御情報が前記保持部に対象物を開放させる動作を示している場合に、当該仕分け先への仕分け回数をカウントする、請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項4】
前記接近検知部は、
前記保持部に配置されたカメラと、
前記仕分け先に配置された目印と、
を有し、
前記データ処理部は、
前記カメラによって撮影された前記目印の大きさが所定のしきい値以上である場合に、前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が前記所定レベル以上であると判定する、請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項5】
前記データ処理部は、前記仕分け量を算出する処理において、前記仕分け先に関してカウントされた仕分け回数に、前記仕分け先に関して設定された基準重量を乗算することにより、前記仕分け先への対象物の仕分け重量を算出する、請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項6】
前記データ処理部はさらに、
前記仕分け先に関して、前記仕分け回数のカウントの許可又は不許可を示すフラグ情報を保持し、
前記接近検知部によって検知された前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が前記所定レベル未満から前記所定レベル以上となった場合に、当該仕分け先に関する前記フラグ情報を許可から不許可に設定し、
前記接近検知部によって検知された前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が前記所定レベル以上から前記所定レベル未満となった場合に、当該仕分け先に関する前記フラグ情報を不許可から許可に設定する、請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項7】
前記接近検知部との間でデータの無線通信が可能なサーバ装置を備え、
前記データ処理部は前記サーバ装置に実装されている、請求項1~6のいずれか一つに記載の作業管理装置。
【請求項8】
前記接近検知部は、前記サーバ装置との間で、暗号復号処理、改竄確認処理、及び認証処理の少なくとも一つを実行する第1セキュリティ処理部を有し、
前記サーバ装置は、前記接近検知部との間で、前記第1セキュリティ処理部に対応して暗号復号処理、改竄確認処理、及び認証処理の少なくとも一つを実行する第2セキュリティ処理部を有する、請求項7に記載の作業管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理装置に関し、特に、作業機械を用いた仕分け作業の作業管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ニブラが装着された解体機を用いた自動車の解体方法が開示されている。作業者は、解体機を操作することによって、解体の対象物である自動車からワイヤハーネス、内装品、又は外装品等の部品を除去し、リサイクル等のために部品毎にまとめて対象物を仕分けする。
【0003】
下記特許文献2には、解体機を用いた自動車の解体における作業量を特定する方法として、廃車から解体した部品の仕分先を判定することが開示されている。具体的には、解体機における破砕機の位置座標と、作業現場に設定された基準位置に対する上部旋回体の旋回角度と、破砕機の開閉情報とを作業情報として取得し、作業情報において旋回角度が所定方向から逆転した時刻に記録されたレコードを逆転位置レコードとして特定し、当該逆転位置レコードの直前に破砕機の開操作が記録された逆転位置レコードにおける旋回角度に基づいて仕分先を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-224253号公報
【特許文献2】特開2022-59669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような手法で仕分けされた部品は重量に応じた価格でリサイクル業者に販売等されるため、部品毎の仕分け重量を管理する必要がある。しかし、解体作業の終了後に部品毎に仕分け重量の計測を行ったのでは、作業効率が悪い。そこで特許文献2のように、上部旋回体の旋回角度と破砕機の開閉情報とに基づいて解体した部品の仕分先を判定し作業量を計測することが想定される。
【0006】
しかしながら、特許文献2は破砕機の位置座標や旋回角度を取得する具体的な手段については開示していない。自動車等の解体作業は、屋内の作業場で行われることもあり衛星測位システムは使用できない。したがって、屋内にて位置を精度よく特定するためには多数のセンサを作業場に配置する必要が生じてしまう。また、下部走行体に対する上部旋回体の旋回角度を検出するセンサを取り付けることは可能であるが、基準位置に対する旋回角度に変換できるようにするためには、より多くのセンサを作業場や解体機に配置する必要が生じてしまう。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、作業機械を用いた対象物の仕分け作業において、仕分け作業を実行しながら仕分け量を簡易に求めることが可能な作業管理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係る作業管理装置は、保持部によって保持された対象物を仕分け先に移動する作業機械の作業を管理する作業管理装置であって、前記仕分け先への前記保持部の接近を検知する接近検知部と、データ処理部と、を備え、前記データ処理部が、前記接近検知部によって検知された前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が所定レベル以上であると判定した場合に、前記仕分け先への仕分け回数をカウントし、前記仕分け先に関してカウントされた仕分け回数に基づいて、前記仕分け先への対象物の仕分け量を算出する。
【0009】
第1態様によれば、仕分け先と保持部との接近検知によってカウントされた仕分け回数に基づいて仕分け量を算出するという簡易な処理によって、仕分け作業を実行しながら仕分け先への対象物の仕分け量を簡易に求めることが可能となる。
【0010】
本発明の第2態様に係る作業管理装置は、第1態様において、前記接近検知部は、前記保持部に配置された第1通信機と、前記仕分け先に配置された第2通信機と、を有し、前記データ処理部は、前記第1通信機と前記第2通信機との間で送受信された電波の受信強度が所定のしきい値以上である場合に、前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が前記所定レベル以上であると判定する。
【0011】
第2態様によれば、第1通信機と第2通信機との間で送受信された電波の受信強度が所定のしきい値以上であることによって、仕分け先への保持部の接近を簡易に検知することが可能となる。
【0012】
本発明の第3態様に係る作業管理装置は、第1又は第2態様において、前記データ処理部は、前記保持部の動作を制御する動作制御情報を取得し、前記仕分け回数をカウントする処理において、前記接近検知部によって検知された前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が前記所定レベル以上であり、かつ、取得した前記動作制御情報が前記保持部に対象物を開放させる動作を示している場合に、当該仕分け先への仕分け回数をカウントする。
【0013】
第3態様によれば、接近検知のみならず保持部の動作制御情報を用いることにより、各仕分け先への仕分け作業が実行されたことを検出する精度を向上でき、ひいては仕分け量の算出精度を向上することが可能となる。
【0014】
本発明の第4態様に係る作業管理装置は、第1~第3のいずれか一つの態様において、前記接近検知部は、前記保持部に配置されたカメラと、前記仕分け先に配置された目印と、を有し、前記データ処理部は、前記カメラによって撮影された前記目印の大きさが所定のしきい値以上である場合に、前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が前記所定レベル以上であると判定する。
【0015】
第4態様によれば、カメラによって撮影された目印の大きさが所定のしきい値以上であることによって、仕分け先への保持部の接近を高精度に検知することが可能となる。
【0016】
本発明の第5態様に係る作業管理装置は、第1~第4のいずれか一つの態様において、前記データ処理部は、前記仕分け量を算出する処理において、前記仕分け先に関してカウントされた仕分け回数に、前記仕分け先に関して設定された基準重量を乗算することにより、前記仕分け先への対象物の仕分け重量を算出する。
【0017】
第5態様によれば、仕分け回数に基準重量を乗算するという簡易な処理によって、仕分け重量を簡易に算出することが可能となる。
【0018】
本発明の第6態様に係る作業管理装置は、第1~第5のいずれか一つの態様において、前記データ処理部はさらに、前記仕分け先に関して、前記仕分け回数のカウントの許可又は不許可を示すフラグ情報を保持し、前記接近検知部によって検知された前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が前記所定レベル未満から前記所定レベル以上となった場合に、当該仕分け先に関する前記フラグ情報を許可から不許可に設定し、前記接近検知部によって検知された前記仕分け先への前記保持部の接近の程度が前記所定レベル以上から前記所定レベル未満となった場合に、当該仕分け先に関する前記フラグ情報を不許可から許可に設定する。
【0019】
第6態様によれば、仕分け先への保持部の接近の程度の変化に応じてフラグ情報の許可又は不許可を設定することにより、一度の接近に対して仕分け回数が重複してカウントされる事態を回避することが可能となる。
【0020】
本発明の第7態様に係る作業管理装置は、第1~第6のいずれか一つの態様において、前記接近検知部との間でデータの無線通信が可能なサーバ装置を備え、前記データ処理部は前記サーバ装置に実装されている。
【0021】
第7態様によれば、サーバ装置にデータ処理部を実装することにより、仕分け先への仕分け量をサーバ装置によって集中管理することが可能となる。また、接近検知部へデータ処理部を実装する必要がないため、接近検知部に関して構成の簡略化及び処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
【0022】
本発明の第8態様に係る作業管理装置は、第7態様において、前記接近検知部は、前記サーバ装置との間で、暗号復号処理、改竄確認処理、及び認証処理の少なくとも一つを実行する第1セキュリティ処理部を有し、前記サーバ装置は、前記接近検知部との間で、前記第1セキュリティ処理部に対応して暗号復号処理、改竄確認処理、及び認証処理の少なくとも一つを実行する第2セキュリティ処理部を有する。
【0023】
第8態様によれば、暗号復号処理によってデータの漏洩を防止でき、改竄確認処理によってデータの改竄を検知でき、認証処理によって不正アクセスを防止できるため、接近検知部とサーバ装置との間の通信におけるセキュリティ性を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、作業機械を用いた対象物の仕分け作業において、仕分け作業を実行しながら仕分け量を簡易に求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態に係る作業機械の構成を模式的に示す図である。
【
図2】作業機械を用いた仕分け作業を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る作業管理システムの構成を簡略化して示す図である。
【
図5】セキュリティ処理部が有する機能を示す図である。
【
図7】データ処理部が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図10】第1変形例に関して、データ処理部が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図11】第2変形例に関して、収容箱を模式的に示す図である。
【
図12】第2変形例に関して、作業管理システムの構成を簡略化して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る作業機械1の構成を模式的に示す図である。本実施の形態の例において、作業機械1は、交換可能なアタッチメントとして、爪部の開閉による挟み動作が可能な圧砕機(例えばニブラ23)が装着された建設機械である。但し、ニブラに限らず、バケット又はブレーカ等の他のアタッチメントが装着されても良い。また、建設機械に限らず、農業機械又は工業機械等の他の作業機械であっても良い。
【0028】
図1に示すように、作業機械1は、クローラ式の下部走行体12と、下部走行体12上に旋回可能に配置された上部旋回体11と、上部旋回体11に取り付けられた作業装置とを備えている。下部走行体12及び上部旋回体11は、作業機械1の本体部を構成する。
【0029】
作業装置は、上部旋回体11に対して起伏可能に取り付けられたブーム21と、ブーム21の先端に対して揺動可能に取り付けられたアーム22と、アーム22の先端に対して揺動可能に取り付けられた保持部としてのニブラ23とを備えている。また、図示は省略するが、作業装置は、上部旋回体11に対してブーム21を起伏させるブームシリンダ、ブーム21に対してアーム22を揺動させるアームシリンダ、及びアーム22に対してニブラ23を揺動させるアタッチメントシリンダ等のアクチュエータを備えている。
【0030】
上部旋回体11の内部には、作業機械1の全体の制御を司る機体コントローラとしての制御部31が配置されている。作業機械1のオペレータのレバー操作に伴う制御部31の油圧制御によって、上部旋回体11に対するブーム21の角度、ブーム21に対するアーム22の角度、及び、アーム22に対するニブラ23の角度が、それぞれ変更される。なお、本実施の形態では、作業装置が三つの駆動要素(ブーム、アーム、アタッチメント)を有する例について説明するが、この例には限られない。作業装置は少なくとも一つの駆動要素を有すれば良い。また、本実施の形態では、作業機械1はオペレータのレバー操作に伴い動作するが、この例には限られない。例えば、作業機械1は外部の遠隔操作装置により遠隔操作されるものであっても良いし、自動運転するものであっても良い。
【0031】
また、上部旋回体11の内部には、油圧モータ等のアクチュエータを用いて構成された旋回部32が配置されている。作業機械1のオペレータのレバー操作に伴う制御部31の油圧制御によって、旋回部32は垂直な軸Xを中心として上部旋回体11を旋回させる。旋回部32は、旋回によってニブラ23の位置を移動させる移動部として機能する。
【0032】
また、ニブラ23には、第1通信機である電波送信機41が装着されている。電波送信機41は、ニブラ23による対象物の保持動作の妨げとならない所定の箇所に配置されている。例えば、電波送信機41は、ニブラ23の開閉する爪部を支持する支持部に配置されても良いし、当該支持部よりもアーム22に近い側に配置されても良いし、ニブラ23の内部に埋め込まれて配置されても良い。また、電波送信機41は、アーム22の先端近傍に配置されても良い。電波送信機41は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、又はLPWA(Low Power Wide Area)等の任意の通信方式の電波を、一定の送信電波強度で無線送信する。電波送信機41が送信する電波は、各々の電波送信機41に付与された識別情報を含んでも良いし、一定振幅かつ一定周期のパルス列又は正弦波等であっても良いし、電圧値が一定のDC信号であっても良い。電波送信機41が送信した電波は、第2通信機である後述の電波受信機42によって受信される。電波送信機41と制御部31とは、CAN(Controller Area Network)、Wi-Fi、又はBluetooth(登録商標)等の任意の通信方式によって、相互に有線通信又は無線通信が可能である。なお、上記の例とは逆に、第2通信機が電波を送信する送信機であり、第1通信機が電波を受信する受信機であっても良い。
【0033】
図2は、作業機械1を用いた仕分け作業を模式的に示す図である。作業機械1の正面に、仕分け作業の対象物OBが配置される。本実施の形態の例において対象物OBは解体される自動車を構成する複数の部品であるが、これに限定されない。例えば、仕分け作業がゴミの分別作業であれば、対象物OBは分別前のゴミであり、仕分け作業が伐採した樹木の部位又は品質毎の分別作業であれば、対象物OBは分別前の樹木である。
【0034】
軸Xを中心とし、軸Xと対象物OBとの距離を半径とする円Yの外周に沿って、複数の仕分け先が規定される。本実施の形態の例では4箇所の仕分け先が規定され、各仕分け先に対象物OBの収容箱51(51A~51D)が配置される。例えば、解体される自動車の配置箇所を0度として、左135度の位置に収容箱51Aが配置されており、左45度の位置に収容箱51Bが配置されており、右45度の位置に収容箱51Cが配置されており、右135度の位置に収容箱51Dが配置されている。自動車が解体されて対象物OBである部品毎に仕分けされることにより、例えば、収容箱51Aにはハーネスが収容され、収容箱51Bには基盤が収容され、収容箱51Cにはエンジンが収容され、収容箱51Dには樹脂が収容される。作業機械1の制御部31は、解体した対象物OBをニブラ23に保持させた状態でブーム21を上昇させることでニブラ23を上昇させた後、旋回部32に旋回動作を行わせることによって、対象物OBの種類に応じた所望の仕分け先の上方にニブラ23を移動させる。次に、制御部31は、ブーム21を上昇させることでニブラ23を下降させた後、ニブラ23に対象物OBを開放させることによって、当該所望の仕分け先の収容箱51内に対象物OBを落下させて仕分けする。このように、円Yの外周に沿って複数の仕分け先が規定されることで、ニブラ23の把持及び開放、ブーム21の上昇及び下降、並びに旋回部32の旋回動作のみで、対象物OBの仕分け作業を行う現場が構成される。円Yの中心である軸Xは、作業機械1が対象物OBの仕分け作業を行う作業現場において、複数の仕分け先とともに設定できる地点であれば良い。
【0035】
なお、複数の仕分け先は、作業機械1の周囲に個別に配置されていれば良く、軸Xと対象物OBとの距離を半径とする円Yの外周に沿って配置されていなくても良い。この場合、ニブラ23の把持及び開放、ブーム21の上昇及び下降、並びに旋回部32の旋回動作に加えて、アーム22をアーム押し方向又はアーム引き方向に動作させることでニブラ23を上部旋回体11に近づけたり遠ざけたりする動作や、下部走行体12を前後に走行させる動作により、対象物OBの仕分け作業を行う作業現場が構成される。なお、仕分け先は複数ではなく一つであっても良い。
【0036】
図3は、収容箱51を模式的に示す図である。収容箱51は、上面が開口した中空の箱体部53と、箱体部53の奥の面から上方に向けて延在した起立部52とを有している。起立部52の中央上部には、電波受信機42が装着されている。
図2を参照して、収容箱51A~51Dはそれぞれ起立部52A~52Dを有しており、起立部52A~52Dにはそれぞれ電波受信機42A~42Dが装着されている。収容箱51A~51Dは、それぞれの箱体部53を円Yの外周が横切り、起立部52A~52Dが円Yの外周よりも外側に位置するように配置されている。このように起立部52A~52Dが配置されていることにより、所望の仕分け先の上方にニブラ23を移動させるまでの途中に位置する収容箱51の上方を、対象物OBを把持したニブラ23が通過しやすくなっている。
【0037】
なお、複数の仕分け先には、それぞれ電波受信機42が配置されていれば良く、複数の仕分け先の一部又は全てに収容箱51が配置されていなくても良い。例えば、各仕分け先にシートを敷設しかつ電波受信機42が装着された立て札が配置されても良い。シートは、作業機械1のオペレータが仕分け先の位置を認識しやすくするために敷設される。シートに電波受信機42が装着されても良い。シートの代わりに、仕分けの位置範囲が分かる外形線がロープ等により作業現場に敷設されても良い。また、シートは敷設せずに立て札のみが配置されても良い。立て札の代わりに棒状のポールが配置され、このポールに電波受信機42が装着されても良い。
【0038】
図4は、本発明の実施の形態に係る作業管理システムの構成を簡略化して示す図である。作業管理システムは、サーバ装置8と、電波受信機42と、電波送信機41と、表示装置6とを備える。サーバ装置8は、クラウドサーバ又はエッジサーバ等であり、作業管理装置として機能する。但し、サーバ装置8の機能を作業機械1の制御部31又は電波受信機42の制御部72に実装しても良い。電波送信機41及び電波受信機42は、複数の仕分け先のいずれかの仕分け先へのニブラ23の接近を検知する接近検知部として機能する。表示装置6は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。表示装置6は、例えば、作業機械1が作業を行う作業現場の監視室内に配置されている。表示装置6は、スマートフォン又はタブレット端末等の持ち運び可能な電子端末によって構成されても良い。サーバ装置8、電波受信機42、作業機械1、及び表示装置6は、専用回線網又は公衆回線網等の任意の通信ネットワーク5に接続されている。
【0039】
作業機械1は、制御部31、入力部61、表示部62、記憶部63、駆動回路64、アクチュエータ65、セキュリティ処理部68、及び通信部69を備えている。制御部31は、マイクロコントローラ等を用いて構成されている。入力部61は、操作スイッチ又は操作ボタン等を用いて構成されている。表示部62は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイが採用されることにより、入力部61及び表示部62が一体として構成されても良い。記憶部63は、HDD、SSD、又は半導体メモリ等を用いて構成されている。アクチュエータ65は、複数のアクチュエータを含む。当該複数のアクチュエータには、上述したブームシリンダ、アームシリンダ、アタッチメントシリンダ、及び油圧モータ等が含まれる。駆動回路64には、動力源としてのエンジンによって駆動される油圧ポンプ、油圧ポンプから各アクチュエータへの作動油の供給量を調整するためのコントロールバルブ、及び、コントロールバルブを制御するためのパイロット圧を発生させる操作レバー等が含まれる。作業機械1のオペレータによって操作レバーが操作されると、その操作量に応じて変動するパイロット圧によってコントロールバルブが制御され、パイロット圧に応じた吐出量の作動油がアクチュエータに供給され、作動油の油圧によってアクチュエータが動作する。これにより、オペレータのレバー操作に従って、作業機械1が所望の動作を実行することとなる。通信部69は、IP等の通信ネットワーク5の通信方式に対応した通信モジュールを用いて構成される。
【0040】
電波受信機42は、記憶部71、制御部72、受信部73、セキュリティ処理部78、及び通信部79を備えている。記憶部71は、半導体メモリ等を用いて構成されている。制御部72は、マイクロコントローラ等を用いて構成されている。受信部73は、電波送信機41から無線送信された、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、又はLPWA等の任意の通信方式の電波を受信する。通信部79は、IP等の通信ネットワーク5の通信方式に対応した通信モジュールを用いて構成される。
【0041】
サーバ装置8は、記憶部81、データ処理部82、セキュリティ処理部88、及び通信部89を備えている。サーバ装置8は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット端末によって構成されても良い。記憶部81は、HDD、SSD、又は半導体メモリ等を用いて構成されている。記憶部81には、基準重量情報91、フラグ情報92、カウンタ情報93、及びしきい値情報94が格納されている。基準重量情報91は、対象物OBの種類毎の平均重量等を示すデータであり、複数の仕分け先の各々毎に設定される。フラグ情報92は、オン又はオフを示すデータであり、複数の仕分け先の各々毎に設定される。フラグ情報92がオンに設定されている場合には、対応する仕分け先のカウンタ情報93に関して仕分け回数のカウントが許可される。フラグ情報92がオフに設定されている場合には、対応する仕分け先のカウンタ情報93に関して仕分け回数のカウントが禁止される。カウンタ情報93は、仕分け回数のカウントデータであり、複数の仕分け先の各々毎に管理される。しきい値情報94は、受信電波強度に関する所定のしきい値THを示すデータであり、複数の仕分け先に共通して又は複数の仕分け先の各々毎に設定される。データ処理部82は、CPU等のプロセッサを用いて構成されている。通信部89は、IP等の通信ネットワーク5の通信方式に対応した通信モジュールを用いて構成される。
【0042】
図5は、セキュリティ処理部68,78,88が有する機能を示す図である。セキュリティ処理部68,78,88は、認証処理部301、暗号復号処理部302、及び改竄確認処理部303を有している。認証処理部301は、秘匿状態で記憶されている鍵情報を用いた任意の認証アルゴリズム(SHA等)によって、作業機械1、電波受信機42、及びサーバ装置8の相互間で正当性を認証するための認証処理を行う。認証処理部301を有することにより、外部からの不正アクセスを防止することが可能となる。暗号復号処理部302は、秘匿状態で記憶されている鍵情報を用いた任意の暗号アルゴリズム(DES等)によって、作業機械1、電波受信機42、及びサーバ装置8の相互間での送信データに対して暗号化処理を行い、受信データに対して復号化処理を行う。暗号復号処理部302を有することにより、機密データの漏洩を防止することが可能となる。改竄確認処理部303は、秘匿状態で記憶されている鍵情報を用いた任意の改竄確認アルゴリズム(MAC等)によって、作業機械1、電波受信機42、及びサーバ装置8の相互間での受信データに対して改竄確認処理を行う。改竄確認処理部303を有することにより、送受信データが改竄された場合にその改竄を検知することが可能となる。なお、以下の説明では、セキュリティ処理部68,78,88が実行する処理内容の説明は省略する。
【0043】
図6は、データ処理部82が有する機能を示す図である。コンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体から読み出したプログラムをプロセッサが実行することによって実現される機能として、データ処理部82は、取得部102、判定部103、算出部104、作成部105、フラグ管理部106、及びカウンタ管理部107を有する。各処理部の処理内容の詳細については、後述の動作説明において述べる。
【0044】
図7は、データ処理部82が実行する処理を示すフローチャートである。
図7には複数の仕分け先のうち一つの仕分け先に関して実行される処理が示されているが、データ処理部82は複数の仕分け先の各々について同様の処理を実行する。
【0045】
作業機械1のオペレータが入力部61を操作することによって作業開始信号を入力すると、作業機械1の通信部69は、通信ネットワーク5を介してサーバ装置8に向けて作業開始信号を送信する。サーバ装置8の通信部89は、通信部69から送信された作業開始信号を受信する。ステップS01において取得部102は、作業開始信号を通信部89から取得する。
【0046】
次にステップS02においてフラグ管理部106は、フラグ情報92をオンに設定する。
【0047】
作業機械1を用いた作業が開始されると、電波送信機41は継続して一定の送信電波強度で電波を無線送信する。電波受信機42の受信部73は、電波送信機41から送信された電波を受信し、その受信電波強度を測定する。制御部72は、受信電波の電波強度値(RSSI値)を示す電波強度情報を、通信部79から通信ネットワーク5を介してサーバ装置8に送信する。電波受信機42からサーバ装置8への電波強度情報の送信は、継続して実行され、又は微小時間間隔で繰り返し実行される。ステップS03において取得部102は、電波強度情報を通信部89から取得する。
【0048】
次にステップS04において判定部103は、ステップS03で取得した電波強度情報で示される電波強度値が、しきい値情報94で示されるしきい値TH以上であるか否かを判定する。
【0049】
図8は、電波強度値の一例を示す図である。ここでは、解体した対象物OBを収容箱51Bに投入するために、収容箱51Bの近傍にニブラ23が位置している状況を想定している。この場合、電波送信機41と電波受信機42Bとの距離が、電波送信機41と他の電波受信機42A,42C,42Dとの距離よりも極端に短くなる。そのため、電波受信機42Bから受信した電波強度情報で示される電波強度値は、しきい値THより大きくなっている。また、他の電波受信機42A,42C,42Dから受信した電波強度情報で示される電波強度値は、しきい値THより小さくなっている。しきい値THは、固定値として予め設定されても良く、あるいは電波受信機42から受信する電波強度情報に基づいてデータ処理部82が動的に設定しても良い。
【0050】
本実施の形態の例では、電波送信機41及び電波受信機42によって接近検知部が構成される。そして、判定部103は、電波受信機42によって受信された電波の強度が所定のしきい値TH以上である場合に、複数の仕分け先のうち当該電波受信機42が配置された仕分け先へのニブラ23の接近の程度が所定レベル以上であると判定する。一方、判定部103は、電波受信機42によって受信された電波の強度が所定のしきい値TH未満である場合に、複数の仕分け先のうち当該電波受信機42が配置された仕分け先へのニブラ23の接近の程度が所定レベル未満であると判定する。なお、ニブラ23の所定の箇所に測距センサを配置し、測距センサから収容箱51までの距離を測定し、判定部103は、その測定された距離と所定のしきい値との比較結果に基づいて、接近の程度が所定レベル以上であるか否かを判定しても良い。
【0051】
電波強度値がしきい値TH以上である場合(ステップS04:YES)は、次にステップS05において判定部103は、フラグ情報92がオンに設定されているか否かを判定する。
【0052】
フラグ情報92がオンに設定されている場合(ステップS05:YES)は、次にステップS06においてカウンタ管理部107は、カウンタ情報93をインクリメントすることにより、カウンタ情報93で示される仕分け回数の現在値に1を加算する。
【0053】
次にステップS07においてフラグ管理部106は、フラグ情報92をオフに設定する。
【0054】
次にステップS08において判定部103は、取得部102が作業終了信号を通信部89から取得したか否かを判定する。作業機械1のオペレータが入力部61を操作することによって作業終了信号を入力すると、作業機械1の通信部69は、通信ネットワーク5を介してサーバ装置8に向けて作業終了信号を送信する。サーバ装置8の通信部89は、通信部69から送信された作業終了信号を受信する。取得部102は、作業終了信号を通信部89から取得する。
【0055】
取得部102が作業終了信号を取得していない場合(ステップS08:NO)は、データ処理部82はステップS03以降の処理を繰り返し実行する。
【0056】
電波強度値がしきい値TH未満である場合(ステップS04:NO)は、次にステップS09において判定部103は、フラグ情報92がオフに設定されているか否かを判定する。
【0057】
フラグ情報92がオフに設定されている場合(ステップS09:YES)は、次にステップS10においてフラグ管理部106は、フラグ情報92をオンに設定する。
【0058】
次にステップS08において判定部103は、取得部102が作業終了信号を通信部89から取得したか否かを判定する。
【0059】
フラグ情報92がオンに設定されている場合(ステップS09:NO)は、ステップS10を実行することなく、次にステップS08において判定部103は、取得部102が作業終了信号を通信部89から取得したか否かを判定する。
【0060】
取得部102が作業終了信号を取得した場合(ステップS08:YES)は、処理が終了する。
【0061】
サーバ装置8が作業機械1等からレポート作成要求を受信すると、算出部104は、記憶部81から基準重量情報91及びカウンタ情報93を読み出す。算出部104は、読み出した基準重量情報91及びカウンタ情報93を参照し、各仕分け先に関してカウントされた仕分け回数に、各仕分け先に関して設定された基準重量を乗算することによって、各仕分け先への対象物OBの仕分け重量を算出する。作成部105は、仕分け重量の情報を含むレポートRPを作成する。通信部89は、レポートRPの画像データを、通信ネットワーク5を介して作業機械1に送信する。作業機械1の通信部69は当該画像データを受信し、表示部62は当該画像データに基づいてレポートRPを表示する。なお、レポートRPは、作業機械1の表示部62ではなく監視室内の表示装置6の画面に表示されても良い。
【0062】
図9は、レポートRPの例を示す図である。レポートRPは、部品名、基準重量、仕分け回数、及び仕分け重量の項目を含む。部品名は、ハーネス、基盤、エンジン、及び樹脂を含む。例えばハーネスに関して、基準重量は0.1kgであり、仕分け回数は28回であり、仕分け重量は2.8kgである。なお、ニブラ23が保持している対象物OBの重量を測定する重量測定機能を作業機械1が有している場合には、対象物OBを各仕分け先に仕分けする度に測定した重量を各仕分け先に関して積算することによって、各仕分け先への対象物OBの仕分け重量を算出するようにしても良い。また、データ処理部82が仕分けの実行順序を示すログ情報を記憶部81に記憶しておくことにより、レポートRPには、各仕分け先への仕分け回数のみならず、複数の仕分け先に関してニブラ23の移動順序を示す時系列情報を含めても良い。さらに、データ処理部82が各部品に対応する単位重量当たりの価値情報を記憶部81に記憶しておくことにより、仕分けした部品の価値情報をレポートRPに含めるようにしても良い。
【0063】
本実施の形態によれば、仕分け先とニブラ23との接近検知によってカウントされた仕分け回数に基づいて仕分け量を算出するという簡易な処理によって、仕分け作業を実行しながら各仕分け先への対象物の仕分け量を簡易に求めることが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、電波受信機42によって受信された電波の強度が所定のしきい値TH以上であることによって、仕分け先へのニブラ23の接近を簡易に検知することが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、仕分け回数に基準重量を乗算するという簡易な処理によって、仕分け重量を簡易に算出することが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、仕分け先へのニブラ23の接近の程度の変化に応じてフラグ情報92のオン又はオフを設定することにより、一度の接近に対して仕分け回数が重複してカウントされる事態を回避することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、サーバ装置8にデータ処理部82を実装することにより、複数の仕分け先の各々への仕分け量をサーバ装置8によって集中管理することが可能となる。また、作業機械1又は電波受信機42へデータ処理部82を実装する必要がないため、作業機械1又は電波受信機42に関して構成の簡略化及び処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、暗号復号処理部302の暗号復号処理によってデータの漏洩を防止でき、改竄確認処理部303の改竄確認処理によってデータの改竄を検知でき、認証処理部301の認証処理によって不正アクセスを防止できる。そのため、作業機械1、電波受信機42、及びサーバ装置8の間の相互通信におけるセキュリティ性を向上することが可能となる。
【0069】
<第1変形例>
電波送信機41が送信する電波には、制御部31によって対象物OBを落下させて仕分けするための作業機械1の動作を制御する動作制御情報を含めても良い。この動作制御情報には、例えば、制御部31によるニブラ23の爪部の開閉制御の内容を示す情報が含まれる。
【0070】
電波受信機42の受信部73は、電波送信機41から送信された電波を受信し、その受信電波強度を測定する。制御部72は、電波強度情報と、受信電波から抽出した動作制御情報とを、通信部79から通信ネットワーク5を介してサーバ装置8に送信する。なお、動作制御情報は、作業機械1の通信部69から通信ネットワーク5を介してサーバ装置8に送信されても良い。
【0071】
データ処理部82は、接近検知部によって検知された仕分け先へのニブラ23の接近の程度が所定レベル以上であり、かつ、動作制御情報によって示される制御がニブラ23に対象物OBを開放させる動作の制御(開放動作制御)を示している場合に、当該仕分け先への仕分け回数をカウントする。開放動作制御は、例えば、ニブラ23の爪部を開く動作の制御である。
【0072】
図10は、第1変形例に関して、データ処理部82が実行する処理を示すフローチャートである。ステップS03Aにおいて取得部102は、電波強度情報及び動作制御情報を通信部89から取得する。
【0073】
ステップS04Aにおいて判定部103は、ステップS03Aで取得した電波強度情報で示される電波強度値が、しきい値情報94で示されるしきい値TH以上であるか否かを判定する。加えて、ステップS04Aにおいて判定部103は、ステップS03Aで取得した動作制御情報が開放動作制御を示しているか否かを判定する。
【0074】
電波強度値がしきい値TH以上であり、かつ、動作制御情報が開放動作制御を示している場合(ステップS04A:YES)は、ステップS05以降の処理が実行され、電波強度値がしきい値TH未満であり、又は、動作制御情報が開放動作制御を示していない場合(ステップS04A:NO)は、ステップS09以降の処理が実行される。その他の処理内容は
図7と同様である。
【0075】
第1変形例によれば、接近検知のみならずニブラ23の動作制御情報を用いることにより、各仕分け先への仕分け作業が実行されたことを検出する精度を向上でき、ひいては仕分け量の算出精度を向上することが可能となる。
【0076】
なお、上記第1変形例では、電波強度値がしきい値TH未満の場合(ステップS04A:NO)には動作制御情報が開放動作制御を示していたとしてもカウンタ情報93はインクリメントされないが、これに限られない。例えば、各電波受信機42A~42Dが取得した電波強度情報で示される電波強度値のうち最も強度の高い電波強度値を取得した電波受信機42を備える収容箱51に対応する仕分け先への仕分け作業が実行されたものと判定して、カウンタ情報93をインクリメントしても良い。この際、いずれの電波受信機42においても電波強度値が高まらなかった場合には、仕分け作業が実行されなかったものと判定して、カウンタ情報93をインクリメントしなくても良い。
【0077】
また、動作制御情報は、上述したニブラ23の爪部の開閉制御に限られず、作業機械1の他の動作を用いても良い。
【0078】
例えば、上述したニブラ23による仕分け作業を行う場合には、仕分け先の上方にニブラ23を移動させた後にニブラ23を下降させてからニブラ23の爪部の開閉制御が行われる。従って、ニブラ23を下降するための動作制御情報をニブラ23の爪部の開閉制御と併せて用いても良い。
【0079】
また、例えば、土砂や砂利を対象物OBとして、粒の大きさによって仕分けする仕分け作業を行う場合には、作業機械1にはアーム22の先端に対して揺動可能に取り付けられた保持部としてのバケットが取り付けられる。バケットにより仕分け作業を行う場合には、仕分け先の上方にバケットを移動させた後にバケットを排土方向に揺動させる揺動制御が行われる。従って、バケットを排土方向に揺動させるための揺動制御を動作制御情報として用いても良い。
【0080】
また、例えば、供給される電力に応じて吸着量が変化するリフティングマグネットを作業機械1が保持部として備える場合には、リフティングマグネットを励磁させて対象物OBを吸着しながら仕分け先の上方にリフティングマグネットを移動させた後にリフティングマグネットの励磁が終了されることにより仕分け作業が行われる。従って、リフティングマグネットの励磁を終了させるための消磁制御を動作制御情報として用いても良い。
【0081】
<第2変形例>
図11は、第2変形例に関して、収容箱51を模式的に示す図である。
図3に示した電波受信機42に代えて、起立部52の中央上部に目印43が貼付されている。目印43には、複数の仕分け先を画像によって区別可能な識別情報、例えば各収容箱51A~51Dに付与されたID情報が表記されている。また、目印43は、後述のカメラ44によって目印43が撮影された際に、撮影画像の解析によって大きさの特定が容易となるような特殊な模様又は形状を有していても良い。
【0082】
図12は、第2変形例に関して、作業管理システムの構成を簡略化して示す図である。
図4に示した電波送信機41に代えて、ニブラ23の所定の箇所にカメラ44が配置されている。また、
図4に示した電波受信機42は省略されている。カメラ44によって撮影された画像の画像データは、通信部69から通信ネットワーク5を介してサーバ装置8に送信される。判定部103は、画像内に目印43が含まれている場合に、その目印43に表記されている仕分け先の識別情報を画像解析によって特定する。また、判定部103は、その画像内における目印43の大きさを画像解析によって計測する。そして、計測した目印43の大きさが所定のしきい値以上であるか否かを判定する。
【0083】
第2変形例では、カメラ44及び目印43によって接近検知部が構成される。そして、判定部103は、カメラ44によって撮影された目印43の大きさが所定のしきい値以上である場合に、複数の仕分け先のうち当該目印43が配置された仕分け先へのニブラ23の接近の程度が所定レベル以上であると判定する。
【0084】
第2変形例によれば、カメラ44によって撮影された目印43の大きさが所定のしきい値以上であることによって、仕分け先へのニブラ23の接近を高精度に検知することが可能となる。
【0085】
なお、第2変形例は上記実施の形態又は上記第1変形例と組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 作業機械
8 サーバ装置
23 ニブラ
31 制御部
32 旋回部
41 電波送信機
42 電波受信機
43 目印
44 カメラ
51 収容箱
68,78,88 セキュリティ処理部
82 データ処理部