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特開2024-22101発電システム、および発電システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022101
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】発電システム、および発電システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20240208BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240208BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240208BHJP
   E02B 9/00 20060101ALI20240208BHJP
   H02P 101/10 20150101ALN20240208BHJP
【FI】
H02P9/04 A
H02J3/38 110
H02J3/46
E02B9/00 B
H02P101:10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125458
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】柚木 晃広
【テーマコード(参考)】
5G066
5H590
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB02
5G066JA01
5G066KA06
5H590AA02
5H590CA11
5H590CE01
5H590CE03
5H590CE05
5H590EA10
5H590FA05
5H590GB05
5H590JA02
(57)【要約】
【課題】出力制御時に再生可能エネルギー発電装置の発電電力を利用することができる発電システムを提供する。
【解決手段】発電システムは、貯水槽に水を注水する注水路に設けられ、注水の水流により発電する発電部と、前記貯水槽から前記水を排水する排水路に設けられる排水ポンプと、再生可能エネルギー発電装置から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得する取得部と、前記出力制御情報に基づいて、前記貯水槽への注水および排水を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水槽に水を注水する注水路に設けられ、注水の水流により発電する発電部と、
前記貯水槽から前記水を排水する排水路に設けられる排水ポンプと、
再生可能エネルギー発電装置から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得する取得部と、
前記出力制御情報に基づいて、前記貯水槽への注水および排水を制御する制御部と、
を備える発電システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記出力制御情報に含まれる出力制御時間帯以外の時間に前記貯水槽へ注水するよう制御する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記出力制御情報に含まれる出力制御時間帯に、前記出力の制御により余剰となる前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力である余剰電力を用いて前記貯水槽から排水するよう制御する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記出力制御情報に含まれる出力制御量の情報に基づいて、前記出力の制御により余剰となる前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力量を表す余剰電力量を算出し、
前記排水ポンプが前記余剰電力量に応じた排水量を排水するよう制御する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項5】
前記貯水槽は、船舶が入出渠するドックであり、
前記発電システムは、
前記船舶の前記ドックへの入出渠時間を取得し、前記入出渠時間が前記出力制御情報に含まれる出力制御時間帯と重ならないように前記入出渠時間を変更する入出渠時間調整部をさらに備える、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記出力制御情報と、電力料金および潮汐状態の少なくとも一方とに基づいて、前記貯水槽に対する注水および排水を制御する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項7】
前記注水路と前記排水路とは同一の通路であり、
前記発電部と前記排水ポンプとは一体に構成されている、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項8】
前記再生可能エネルギー発電装置により発電される電力を蓄電する蓄電池をさらに備え、
前記制御部は、前記出力制御情報に含まれる出力制御時間帯に、前記出力の制御により余剰となる前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力である余剰電力が前記蓄電池に蓄電されるよう制御する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項9】
前記貯水槽は、電気推進船が入出渠するドックであり、
前記蓄電池は、前記ドックに入渠している前記電気推進船に搭載された蓄電池である、
請求項8に記載の発電システム。
【請求項10】
前記再生可能エネルギー発電装置により発電される電力を使用して水素を生成する水素生成装置をさらに備え、
前記制御部は、
前記出力制御情報に含まれる出力制御時間帯に、前記出力の制御により余剰となる前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力を表す余剰電力を用いて前記水素生成装置が水素を生成するよう制御する、
請求項1から9の何れか一項に記載の発電システム。
【請求項11】
貯水槽に水を注水する注水路において、注水の水流により発電するステップと、
前記貯水槽から排水路を通じて前記水を排水するステップと、
再生可能エネルギー発電装置から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得するステップと、
前記出力制御情報に基づいて、前記貯水槽への注水および排水を制御するステップと、
を有する発電システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電システム、および発電システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー発電装置(例えば太陽光発電、風力発電など)では、時間帯や天候などの条件に応じて発電量が変動するため、電力系統または負荷に供給される電力に余剰または不足が生じる場合がある。
【0003】
例えば特許文献1には、電力供給量よりも電力需要量が多い場合に海から貯水槽への注水路に設けられた発電部が海水面と貯水槽の水面との水位差により発電を行い、電力需要量よりも電力供給量が多い場合に排水ポンプが貯水槽から海へ排水を行って電力を消費することにより、電力系統における電力変動を平滑化する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-121718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生可能エネルギー発電装置の導入拡大により、例えば、生産活動の少ない日曜や連休時などに、天候などの条件が良いと再生可能エネルギー発電装置による発電電力が余剰となる可能性がある。このとき、電力事業者から発電事業者に対し、再生可能エネルギー発電装置から電力系統へ出力停止または出力量の低減を出力制御として指示される場合がある。このような出力制御が指示された場合に、再生可能エネルギー発電装置が電力系統へ出力できなくなる電力を有効利用することが求められている。
【0006】
本開示の目的は、出力制御時に再生可能エネルギー発電装置の発電電力を利用することができる発電システム、および発電システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、発電システムは、貯水槽に水を注水する注水路に設けられ、注水の水流により発電する発電部と、前記貯水槽から前記水を排水する排水路に設けられる排水ポンプと、再生可能エネルギー発電装置から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得する取得部と、前記出力制御情報に基づいて、前記貯水槽への注水および排水を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様によれば、発電システムの制御方法は、貯水槽に水を注水する注水路において、注水の水流により発電するステップと、前記貯水槽から排水路を通じて前記水を排水するステップと、再生可能エネルギー発電装置から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得するステップと、前記出力制御情報に基づいて、前記貯水槽への注水および排水を制御するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、出力制御時に再生可能エネルギー発電装置の発電電力を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1の実施形態に係る発電システムの全体構成を示す図である。
図2】本開示の第1の実施形態に係る制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】本開示の第1の実施形態に係る発電システムの処理の一例を示すフローチャートである。
図4】本開示の第1の実施形態に係る発電システムの機能を説明するための図である。
図5】本開示の第2の実施形態に係る発電システムの全体構成を示す図である。
図6】本開示の第3の実施形態に係る発電システムの全体構成を示す図である。
図7】本開示の第3の実施形態に係る発電システムの機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、本実施形態について図1図4を参照しながら説明する。
【0012】
(発電システムの全体構成)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る発電システムの全体構成を示す図である。
本実施形態に係る発電システム1は、時間帯や天候などの条件に応じて発電量が変化する再生可能エネルギー発電装置9の不足電力を補うとともに、再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力を利用するシステムである。再生可能エネルギー発電装置9は、例えば太陽光発電装置、風力発電装置などである。
【0013】
発電システム1は、貯水槽Dを利用した発電システムである。図1に示すように、発電システム1は、制御装置2と、発電部3と、排水ポンプ4とを備える。
【0014】
貯水槽Dは、船舶のメンテナンスなどに使用されるドックである。なお、他の実施形態では、貯水槽Dは工業用水の貯水槽や貯水池などであってもよい。
【0015】
制御装置2は、貯水槽Dへの注水および排水を制御する。制御装置2の具体的な機能構成については後述する。
【0016】
発電部3は、外部(海など)から貯水槽Dに水を注入する注水路31に設けられ、注水の水流により発電する。発電部3は、水車32と、発電機33とを備える。
【0017】
注水路31は、例えば図1の例のように、貯水槽Dと外部とを隔てるゲートや岸壁などを貫通して設けられる。なお、他の実施形態では、注水路31は、ゲートや岸壁を乗り越えて配置されるパイプ等であってもよい。
【0018】
水車32は、注水の水流によって回転し、回転軸で連結された発電機33を回転させる。
【0019】
発電機33は、水車32から伝達された回転エネルギーを電力へ変換する。発電機33は、例えば磁気歯車を有する磁気ギアード発電機である。磁気ギアード発電機は、不図示の電力変換部を有し、発電電力の周波数を電力系統の周波数に一致させて出力する。これにより、水車32の回転数が一定しない場合であっても、電力系統に出力する発電電力の周波数を一定にすることができる。また、発電機33の発電電力は、変圧器5で変圧されて、電力系統または負荷(施設内の電気機械など)に出力される。
【0020】
排水ポンプ4は、貯水槽Dから水を排水する排水路41に設けられる。排水ポンプ4は、ポンプ本体42と、モータ43とを備える。
【0021】
ポンプ本体42は、モータ43により駆動され、貯水槽Dの水を排水路41を通じて外部に排水する。
【0022】
モータ43は、再生可能エネルギー発電装置9の発電電力により駆動して、ポンプ本体42を動作させる。また、モータ43は、例えば磁気歯車を有する磁気ギアードモータである。
【0023】
(制御装置の機能構成)
図2は、本開示の第1の実施形態に係る制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置2は、プロセッサ20と、メモリ21と、ストレージ22と、通信インタフェース23とを備える。
【0024】
メモリ21は、プロセッサ20の動作に必要なメモリ領域を有する。
【0025】
ストレージ22は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
【0026】
通信インタフェース23は、外部機器との間で各種情報の送受信を行うためのインタフェースである。
【0027】
プロセッサ20は、所定のプログラムに従って動作することにより、取得部201、制御部202、入出渠時間調整部203としての機能を発揮する。
【0028】
取得部201は、再生可能エネルギー発電装置9から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得する。
【0029】
制御部202は、出力制御情報に基づいて、貯水槽Dへの注水および排水を制御する。
【0030】
入出渠時間調整部203は、船舶のドック(貯水槽D)への入出渠時間を取得し、入出渠時間が出力制御情報に含まれる出力制御時間帯と重ならないように入出渠時間を変更する。
【0031】
なお、制御装置2のプロセッサ20が実行する所定のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶される。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。さらに、このプログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0032】
(発電システムの処理フロー)
図3は、本開示の第1の実施形態に係る発電システムの処理の一例を示すフローチャートである。
ここでは、図3を参照しながら、発電システム1における発電および給電(貯水槽Dへの注水および排水)の計画を生成する処理について説明する。
【0033】
まず、制御装置2の取得部201は、出力制御情報を取得する(ステップS100)。
【0034】
出力制御情報は、再生可能エネルギー発電装置9の出力制御が必要な場合に、出力制御の実施日の前日までに、電力事業者から再生可能エネルギー発電装置9を有する発電事業者へ伝達される指示情報である。
【0035】
例えば、電力事業者は、気象データなどから、翌日の管内全体の再生可能エネルギー発電装置9による発電電力量の総量を予測する。また、電力事業者は、気象データや過去データから、翌日の電力需要量を予測する。電力事業者は、管内の再生可能エネルギー発電装置9の発電電力量の総量を含む電力供給量が電力需要量を上回ると予測され、ダム揚水利用や火力発電の発電量抑制、他の電力事業者の管内への融通などによっても、依然供給量が余剰となる場合に、再生可能エネルギー発電装置9の出力制御を実施する時間帯(出力制御時間帯)、および出力制御量(例えば、X%出力減)を含む出力制御情報を生成する。
【0036】
出力制御情報は、電話やメールで各発電事業者へ伝達されてもよいし、電力事業者のサーバから再生可能エネルギー発電装置9のPCS(Power Conditioning System;パワーコンディショナ)に通知されてもよい。取得部201は、発電事業者からの入力操作により、または、再生可能エネルギー発電装置9のPCSから自動的に、出力制御情報を取得する。
【0037】
次に、制御部202は、出力制御情報の出力制御量に基づいて、出力制御により余剰となる再生可能エネルギー発電装置9の発電電力量(余剰電力量)を算出する(ステップS101)。余剰電力量は、再生可能エネルギー発電装置9の発電電力量と出力制御量との差分から算出され、電力事業者に買取されない電力量である。または、余剰電力量は、再生可能エネルギー発電装置9の発電電力量から負荷に出力された電力量を除いた電力量と出力制御量との差分から算出され、電力事業者に買取されない電力量であってもよい。
【0038】
また、制御部202は、出力制御情報の出力制御時間帯と、余剰電力量とに基づいて、貯水槽Dへの注排水計画を作成する(ステップS102)。
【0039】
図4は、本開示の第1の実施形態に係る発電システムの機能を説明するための図である。
図4の(a)は、出力制御情報(出力制御指示)の送信時刻および出力制御操作の実施時刻の一例を示したものである。
図4の(b)は、出力制御情報が送信されてから出力制御が終了するまでの期間における電力需要G1、再生可能エネルギー発電装置9の全出力G2、および再生可能エネルギー発電装置9から電力系統への出力G3の一例を示したものである。
図4の(c)は、制御部202が作成する注排水計画の一例を示したものである。
図4の(d)は、注排水による貯水槽D(ドック)の水位の変化の一例を示したものである。
図4の(e)は、貯水槽Dへの注水元(または排水先)となる海の潮位の変化の一例を示したものである。
図4の(f)は、貯水槽D(ドック)への船舶の入出渠時間の一例を示したものである。
【0040】
まず、制御部202が注水実施期間D1を設定する方法について説明する。図4に示すように、制御部202は、出力制御時間帯よりも前に貯水槽Dへの注水が完了するように、注水実施期間D1を設定する。なお、図4の例では、再生可能エネルギー発電装置9は、太陽光発電装置である。このため、制御部202は、太陽光発電装置が発電を行えない夜間に注水実施期間D1を設定する。注水実施期間において、注水によって発電部3が発電した電力(網掛け部R1)は、再生可能エネルギー発電装置9の不足電力を補うために、電力系統または負荷に出力される。
【0041】
また、制御部202は、電力料金が安価となる時間帯以外の時間帯に注水実施期間D1を設定する。図4の例では、制御部202は、電力料金が安価な夜間電力料金時間帯よりも前の時間帯に注水実施期間D1を設ける。これにより、例えば施設内の負荷において、電力料金が高価な期間は発電部3の発電電力を利用し、安価な期間は電力系統から買電するようにすることで、施設における電力料金を低減することができる。
【0042】
なお、制御部202は、電力料金に代えて、もしくは電力料金に加えて、貯水槽Dへの注水元である海の潮汐状態に基づいて、注水実施期間D1を調整してもよい。例えば、制御部202は、潮位が最も高くなる時間帯(例えば、潮位の平均値が最も高い時間帯)に注水実施期間D1を設定する。そうすると、海と貯水槽Dとの水位差が大きくなり、発電部3が効率よく発電を行うことができる。
【0043】
次に、制御部202が排水実施期間D2を設定する方法について説明する。制御部202は、出力制御時間帯において、出力制御による再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力量(網掛け部R2)が排水ポンプ4に給電されるように、排水実施期間D2を設定する。これにより、電力系統への出力制御を行う場合に、再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力を排水ポンプ4の駆動に有効利用することができる。
【0044】
また、制御部202は、余剰電力量の多寡に応じて、貯水槽Dに溜めた水を全て排水してもよいし、一部のみを排水してもよい。例えば、制御部202は、船舶の入渠予定がなく貯水槽D(ドック)の水量に制約が無い場合には、余剰電力量で排水可能な排水量を算出し、排水実施期間D2における算出した排水量を上限として排水を行うように設定する。このようにすることで、制御部202は、排水ポンプ4が余剰電力量以上の電力を消費することを抑制することができる。
【0045】
なお、制御部202は、貯水槽Dの排水先である海の潮汐状態に基づいて、排水実施期間D2を調整してもよい。例えば、制御部202は、潮位が最も低くなる時間帯に排水実施期間D2を設定することにより、排水の効率を向上させることができる。制御部202は、排水量の調整に加えて、排水実施期間D2を潮位が低い期間に合わせることにより、排水ポンプ4を駆動する電力を、再生可能エネルギー発電装置9の出力制御による余剰電力のみで賄うことができるように調整する。潮位は高い確度で予測することが可能であるため、このように潮位に応じて注水実施期間D1および排水実施期間D2を設定することにより、効率的に注水および排水を行うことができる。
【0046】
なお、制御部202は、電力料金および潮汐状態の両方に基づいて注水実施期間D1および排水実施期間D2を設定する場合、電力料金および潮汐状態のどちらを優先するか、予め優先順位を決めておいてもよい。
【0047】
次に、入出渠時間調整部203は、貯水槽D(ドック)への船舶の入出渠時間を取得する(ステップS103)。入出渠時間調整部203は、ストレージ22から各船舶の入出渠時間を読み出してもよいし、不図示の入出渠管理サーバから通信インタフェース23を介して取得してもよい。
【0048】
入出渠時間調整部203は、注水実施期間D1および排水実施期間D2が、船舶の入出渠時間と重複するか判定する(ステップS104)。
【0049】
入出渠時間調整部203は、注水実施期間D1および排水実施期間D2が船舶の入出渠時間と重複しない場合(ステップS104)、入出渠時間の調整は不要と判断し、処理を終える。
【0050】
一方、入出渠時間調整部203は、注水実施期間D1および排水実施期間D2が船舶の入出渠時間と重複する場合(ステップS104;YES)、船舶の入出渠時間を変更可能か判断する(ステップS105)。
【0051】
例えば、図4の例のように、船舶の入渠時間(入渠予定)が排水実施期間D2に含まれていたとする。入出渠時間調整部203は、船舶の入渠時間を変更可能な場合(ステップS105;YES)、船舶の入渠時間を排水実施期間D2よりも前の時間帯に変更する(早める)。なお、入出渠時間調整部203は、次の注水の予定がある場合には、船舶の入渠時間を次の注水実施期間D1よりも後の時間帯に変更する(遅らせる)ようにしてもよい。出渠時間についても重複があれば、同様に変更する。
【0052】
また、入出渠時間調整部203が船舶の入出渠時間を変更できないと判断した場合(ステップS105;NO)、制御部202は注排水計画を調整する(ステップS107)。例えば、船舶の入渠時間が注水実施期間D1に含まれていたとする。この場合、制御部202は、注水実施期間D1を入渠時間よりも前に変更する。
【0053】
なお、制御部202は、注排水計画を変更できない場合、注水または排水を制限してもよい。例えば、船舶の入渠時間と排水実施期間D2とが重複し、何れも変更できない場合、制御部202は排水実施期間D2での排水を中止する。この場合、再生可能エネルギー発電装置9側で出力調整を行い、出力制御を実施する。
【0054】
制御装置2は、出力制御情報を取得する毎に、図3の一連の処理を実施する。また、出力制御情報に変更があった場合に、同様の処理を行って注排水計画を修正してもよい。
【0055】
また、制御装置2の制御部202は、作成した注排水計画に基づいて、貯水槽Dへの注水および排水を実施する。すなわち、制御部202は、注水実施期間D1において、貯水槽Dへの注水(発電部3による発電)を行う。また、制御部202は、排水実施期間D2において、貯水槽Dから設定した排水量分の排水(排水ポンプ4への余剰電力の供給)を行う。
【0056】
(作用、効果)
以上のように、本実施形態に係る発電システム1は、貯水槽Dに水を注水する注水路31に設けられ、注水の水流により発電する発電部3と、貯水槽Dから水を排水する排水路41に設けられる排水ポンプ4と、再生可能エネルギー発電装置9から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得する取得部201と、出力制御情報に基づいて、貯水槽Dへの注水および排水を制御する制御部202と、を備える。
【0057】
このようにすることで、発電システム1は、出力制御時に再生可能エネルギー発電装置9の発電電力(余剰電力)を貯水槽Dで利用することができる。これにより、再生可能エネルギー発電装置9の発電を停止することなく、あるいは発電量低減を最小限にして、出力制御に対応することができる。また、発電システム1は、注水による発電を行うことで、再生可能エネルギー発電装置9が発電できない期間、あるいは発電力が少ない期間に不足電力を補うことができる。
【0058】
また、制御部202は、出力制御情報に含まれる出力制御時間帯以外の時間に貯水槽Dへ注水するよう制御する。
【0059】
このようにすることで、発電システム1は、出力制御時間帯に排水(排水ポンプ4への余剰電力の供給)を行えるように、事前に貯水槽Dに水を溜めておくことができる。
【0060】
また、制御部202は、出力制御情報に含まれる出力制御時間帯に、出力制御による再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力を用いて貯水槽Dから排水するよう制御する。
【0061】
このようにすることで、発電システム1は、出力制御による再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力を排水処理(排水ポンプ4の駆動)に有効利用することができる。
【0062】
また、制御部202は、出力制御情報に含まれる出力制御量に基づいて、出力制御による再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力量を算出し、排水ポンプ4が余剰電力量に応じた排水量を排水するよう制御する。
【0063】
このようにすることで、発電システム1は、排水ポンプ4が余剰電力量以上の電力を消費する、すなわち、電力系統から買電が必要となることを抑制することができる。
【0064】
また、貯水槽Dは、船舶が入出渠するドックであり、発電システム1は、船舶のドックへの入出渠時間を取得し、入出渠時間が出力制御時間帯と重ならないように入出渠時間を変更する入出渠時間調整部203をさらに備える。
【0065】
発電システム1は、このように船舶の入出渠時間を調整することにより、出力制御時間帯に合わせて適切に注水および排水を実施することができる。
【0066】
また、制御部202は、出力制御情報と、電力料金および潮汐状態の少なくとも一方とに基づいて、貯水槽Dに対する注水および排水を制御する。
【0067】
このようにすることで、発電システム1は、電力料金や潮汐状態に応じて効率的に注水(発電)および排水(余剰電力の消費)を行うことができる。
【0068】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る発電システム1について図5を参照しながら説明する。第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0069】
図5は、本開示の第2の実施形態に係る発電システムの全体構成を示す図である。
図5に示すように、本実施形態に係る発電システム1において、注水路31と排水路41とは同一の通路であり、発電部3と排水ポンプ4とは一体に構成される。
【0070】
水車32およびポンプ本体42は、いわゆるポンプ水車であり、注水時(発電時)には水車32として機能し、排水時(余剰電力の消費時)にはポンプ本体42として機能する。
【0071】
発電機33およびモータ43は、発電機と電動機とを兼ねた磁気ギアードモータ(発電機)であり、注水時には水車32から伝達された回転エネルギーで発電し、排水時には再生可能エネルギー発電装置9から供給された電力でポンプ本体42を駆動する。
【0072】
このようにすることで、発電システム1を構成する機器数や設置スペースを削減することができる。
【0073】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る発電システム1について図6図7を参照しながら説明する。第1および第2の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0074】
図6は、本開示の第3の実施形態に係る発電システムの全体構成を示す図である。
図6に示すように、発電システム1は、蓄電池6をさらに備える。また、発電システム1は、蓄電池6に代えて、もしくは蓄電池6に加えて、水素生成装置7をさらに備えていてもよい。
【0075】
蓄電池6は、再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力を蓄電する。蓄電池6に蓄電された電力は、再生可能エネルギー発電装置9および発電部3の発電電力が不足する場合に、電力系統、負荷(施設内の電気機械など)または排水ポンプ4に供給されてもよい。
【0076】
また、貯水槽D(ドック)に入渠中の船舶が電気推進船である場合、蓄電池6は電気推進船に搭載された蓄電池であってもよい。また、蓄電池6が貯水槽D(ドック)に併設されている場合には、蓄電池6に蓄電された電力は、入渠中の電気推進船の蓄電池の充電に用いられてもよい。
【0077】
水素生成装置7は、再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力を使って水素を生成する。
【0078】
なお、図6の例では、第1の実施形態の構成(図1)に蓄電池6および水素生成装置7を加えた例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、第2の実施形態の構成(図5)に蓄電池6および水素生成装置7を加えてもよい。
【0079】
また、本実施形態に係る制御部202は、貯水槽Dへの注水および排水の制御に加えて、蓄電池6への充電の制御、および水素生成装置7の制御も行う。
【0080】
図7は、本開示の第3の実施形態に係る発電システムの機能を説明するための図である。
例えば、制御部202は、図7の(c)に示すように、出力制御時間帯に排水実施期間D2を設定し、再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力を排水で消費する計画を作成する。しかしながら、天候、潮汐などの条件
や電力需要量によっては、排水で消費する電力量よりも余剰電力量(出力制御量)の方が多くなる場合がある。また、船舶の入出渠状態により出力制御時間帯に十分な排水が行えず、全ての余剰電力量を消費できない場合がある。
【0081】
このような場合、制御部202は、余剰電力を蓄電池6に供給して蓄電させる。また、制御部202は余剰電力を水素生成装置7に供給して水素を発生させる。なお、制御部202は、余剰電力を蓄電池6と水素生成装置7とに均等に割り当ててもよいし、優先順位や蓄電池6の蓄電量に応じて割り当てる電力量を異ならせてもよい。図3のステップS102において、制御部202は、余剰電力量から排水ポンプ4への供給電力量を減じた電力量を蓄電池6および水素生成装置7へ供給するようにしてもよいし、余剰電力量から蓄電池6および水素生成装置7への供給電力量を減じた電力量に基づいて注排水計画を作成(調整)するようにしてもよい。
【0082】
このようにすることで、発電システム1は、排水のみでは全ての余剰電力を消費できない場合であっても、蓄電池6または水素生成装置7で余剰電力を有効利用することができる。これにより、再生可能エネルギー発電装置9の発電を停止することなく、あるいは発電量低減を最小限にして、出力制御に対応することができる。また、発電システム1は、再生可能エネルギー発電装置9が発電できない期間、あるいは発電力が少ない期間には、蓄電池6に蓄電した電力で不足電力を補うことができる。
【0083】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0084】
<付記>
上述の実施形態に記載の駆動装置および駆動装置の制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0085】
(1)本開示の第1の態様によれば、発電システム1は、貯水槽Dに水を注水する注水路31に設けられ、注水の水流により発電する発電部3と、貯水槽Dから水を排水する排水路41に設けられる排水ポンプ4と、再生可能エネルギー発電装置9から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得する取得部201と、出力制御情報に基づいて、貯水槽Dへの注水および排水を制御する制御部202と、を備える。
【0086】
このようにすることで、発電システム1は、出力制御時に再生可能エネルギー発電装置9の発電電力(余剰電力)を貯水槽Dで利用することができる。これにより、再生可能エネルギー発電装置9の発電を停止することなく、あるいは発電力低減を最小限にして、出力制御に対応することができる。また、発電システム1は、注水による発電を行うことで、再生可能エネルギー発電装置9が発電できない期間、あるいは発電力が少ない期間に不足電力を補うことができる。
【0087】
(2)本開示の第2の態様によれば、第1の態様に係る発電システム1において、制御部202は、出力制御情報に含まれる出力制御時間帯以外の時間に貯水槽Dへ注水するよう制御する。
【0088】
このようにすることで、発電システム1は、出力制御時間帯に排水(排水ポンプ4への余剰電力の供給)を行えるように、事前に貯水槽Dに水を溜めておくことができる。
【0089】
(3)本開示の第3の態様によれば、第1または第2の態様に係る発電システム1において、制御部202は、出力制御情報に含まれる出力制御時間帯に、出力の制御により余剰となる再生可能エネルギー発電装置9の発電電力である余剰電力を用いて貯水槽Dから排水するよう制御する。
【0090】
このようにすることで、発電システム1は、出力制御による再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力を排水処理に有効利用することができる。
【0091】
(4)本開示の第4の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る発電システム1において、制御部202は、出力制御情報に含まれる出力制御量の情報に基づいて、出力の制御により余剰となる再生可能エネルギー発電装置9の発電電力量を表す余剰電力量を算出し、排水ポンプ4が余剰電力量に応じた排水量を排水するよう制御する。
【0092】
このようにすることで、発電システム1は、排水ポンプ4が余剰電力量以上の電力を消費することを抑制することができる。
【0093】
(5)本開示の第5の態様によれば、第1から第4の何れか一の態様に係る発電システム1において、貯水槽Dは、船舶が入出渠するドックであり、発電システム1は、船舶のドックへの入出渠時間を取得し、入出渠時間が出力制御情報に含まれる出力制御時間帯と重ならないように入出渠時間を変更する入出渠時間調整部203をさらに備える。
【0094】
発電システム1は、このように船舶の入出渠時間を調整することにより、出力制御時間帯に合わせて適切に注水および排水を実施することができる。
【0095】
(6)本開示の第6の態様によれば、第1から第5の何れか一の態様に係る発電システム1において、制御部202は、出力制御情報と、電力料金および潮汐状態の少なくとも一方とに基づいて、貯水槽Dに対する注水および排水を制御する。
【0096】
このようにすることで、発電システム1は、電力料金や潮汐状態に応じて効率的に注水(発電)および排水(余剰電力の消費)を行うことができる。
【0097】
(7)本開示の第7の態様によれば、第1から第7の何れか一の態様に係る発電システム1において、注水路31と排水路41とは同一の通路であり、発電部3と排水ポンプ4とは一体に構成されている。
【0098】
このようにすることで、発電システム1を構成する機器数や設置スペースを削減することができる。
【0099】
(8)本開示の第8の態様によれば、第1から第7の何れか一の態様に係る発電システム1は、再生可能エネルギー発電装置9により発電される電力を蓄電する蓄電池6をさらに備え、制御部202は、出力制御情報に含まれる出力制御時間帯に、出力の制御により余剰となる再生可能エネルギー発電装置9の発電電力である余剰電力が蓄電池6に蓄電されるよう制御する。
【0100】
このようにすることで、発電システム1は、排水のみでは全ての余剰電力を消費できない場合であっても、蓄電池6で余剰電力を有効利用することができる。これにより、再生可能エネルギー発電装置9の発電を停止することなく、出力制御に対応することができる。また、発電システム1は、再生可能エネルギー発電装置9が発電できない期間、あるいは発電力が少ない期間には、蓄電池6に蓄電した電力で不足電力を補うことができる。
【0101】
(9)本開示の第9の態様によれば、第8の態様に係る発電システム1において、貯水槽Dは、電気推進船が入出渠するドックであり、蓄電池6は、ドックに入渠している電気推進船に搭載された蓄電池である。
【0102】
このようにすることで、発電システム1は、電気推進船の蓄電池6の充電を、再生可能エネルギー発電装置9の余剰電力で賄うことができる。これにより、発電システム1は、余剰電力を無駄なく有効利用できるとともに、電気推進船の蓄電池6の充電に要する電力料金を低減することができる。
【0103】
(10)本開示の第10の態様によれば、第1から第9の何れか一の態様に係る発電システム1は、再生可能エネルギー発電装置9により発電される電力を使用して水素を生成する水素生成装置7をさらに備え、制御部202は、出力制御情報に含まれる出力制御時間帯に、出力の制御により余剰となる再生可能エネルギー発電装置9の発電電力を表す余剰電力を用いて水素生成装置7が水素を生成するよう制御する。
【0104】
このようにすることで、発電システム1は、排水のみでは全ての余剰電力を消費できない場合であっても、水素生成装置7で余剰電力を有効利用することができる。これにより、再生可能エネルギー発電装置9の発電を停止することなく、あるいは発電量低減を最小限にして、出力制御に対応することができる。
【0105】
(11)本開示の第1の態様によれば、発電システム1の制御方法は、貯水槽Dに水を注水する注水路31において、注水の水流により発電するステップと、貯水槽Dから排水路41を通じて水を排水するステップと、再生可能エネルギー発電装置9から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得するステップと、出力制御情報に基づいて、貯水槽Dへの注水および排水を制御するステップと、を有する。
【符号の説明】
【0106】
1 発電システム
2 制御装置
20 プロセッサ
201 取得部
202 制御部
203 入出渠時間調整部
21 メモリ
22 ストレージ
23 通信インタフェース
3 発電部
31 注水路
32 水車
33 発電機
4 排水ポンプ
41 排水路
42 ポンプ本体
43 モータ
5 変圧器
6 蓄電池
7 水素生成装置
9 再生可能エネルギー発電装置
D 貯水槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水槽に水を注水する注水路に設けられ、注水の水流により発電する発電部と、
前記貯水槽から前記水を排水する排水路に設けられる排水ポンプと、
再生可能エネルギー発電装置から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得する取得部と、
前記出力制御情報に基づいて、前記貯水槽への注水および排水を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、
前記出力制御情報に含まれる出力制御時間帯よりも前に前記貯水槽への注水が完了するように制御し、
前記出力制御時間帯に、前記出力の制御により余剰となる前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力である余剰電力を用いて前記貯水槽から排水するよう制御する
発電システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記出力制御時間帯よりも前の時間帯、かつ、電力料金が安価となる時間帯以外の時間帯に前記貯水槽へ注水するよう制御する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記出力制御情報に含まれる出力制御量の情報に基づいて、前記出力の制御により余剰となる前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力量を表す余剰電力量を算出し、
前記排水ポンプが前記余剰電力量に応じた排水量を排水するよう制御する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項4】
前記貯水槽は、船舶が入出渠するドックであり、
前記発電システムは、
前記船舶の前記ドックへの入出渠時間を取得し、前記入出渠時間が前記出力制御情報に含まれる出力制御時間帯と重ならないように前記入出渠時間を変更する入出渠時間調整部をさらに備える、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記出力制御情報と、電力料金および潮汐状態の少なくとも一方とに基づいて、前記貯水槽に対する注水および排水を制御する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項6】
前記注水路と前記排水路とは同一の通路であり、
前記発電部と前記排水ポンプとは一体に構成されている、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項7】
前記再生可能エネルギー発電装置により発電される電力を蓄電する蓄電池をさらに備え、
前記制御部は、前記出力制御情報に含まれる出力制御時間帯に、前記出力の制御により余剰となる前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力である余剰電力が前記蓄電池に蓄電されるよう制御する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項8】
前記貯水槽は、電気推進船が入出渠するドックであり、
前記蓄電池は、前記ドックに入渠している前記電気推進船に搭載された蓄電池である、
請求項7に記載の発電システム。
【請求項9】
前記再生可能エネルギー発電装置により発電される電力を使用して水素を生成する水素生成装置をさらに備え、
前記制御部は、
前記出力制御情報に含まれる出力制御時間帯に、前記出力の制御により余剰となる前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力を表す余剰電力を用いて前記水素生成装置が水素を生成するよう制御する、
請求項1からの何れか一項に記載の発電システム。
【請求項10】
貯水槽に水を注水する注水路において、注水の水流により発電するステップと、
前記貯水槽から排水路を通じて前記水を排水するステップと、
再生可能エネルギー発電装置から電力系統への出力を制御する出力制御情報を取得するステップと、
前記出力制御情報に基づいて、前記貯水槽への注水および排水を制御するステップと、
を有し、
前記貯水槽への注水および排水を制御するステップにおいて、
前記出力制御情報に含まれる出力制御時間帯よりも前に前記貯水槽への注水が完了するように制御し、
前記出力制御時間帯に、前記出力の制御により余剰となる前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力である余剰電力を用いて前記貯水槽から排水するよう制御する、
発電システムの制御方法。