IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東亜ディーケーケー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-測定装置 図1
  • 特開-測定装置 図2
  • 特開-測定装置 図3
  • 特開-測定装置 図4
  • 特開-測定装置 図5
  • 特開-測定装置 図6
  • 特開-測定装置 図7
  • 特開-測定装置 図8
  • 特開-測定装置 図9
  • 特開-測定装置 図10
  • 特開-測定装置 図11
  • 特開-測定装置 図12
  • 特開-測定装置 図13
  • 特開-測定装置 図14
  • 特開-測定装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022103
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125461
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】堀 健人
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB05
2G059DD12
2G059EE01
2G059JJ30
2G059KK01
2G059PP03
(57)【要約】
【課題】出射窓と入射窓とに付着した汚濁物質を安定して除去可能な測定装置を得る。
【解決手段】本発明に係る測定装置1は、光を用いて試料水の水質を測定する測定装置であって、少なくとも一部が試料水に浸漬されて水質を検知する検出器100を有してなる。検出器は、光を発する発光部21と、発光部からの光を出射する出射窓22と、出射窓から出射された光が入射する入射窓32と、入射窓に入射した光を受光する受光部31と、試料水に満たされる出射窓と入射窓との間のセル空間内CSを往復移動して、出射窓と入射窓とを洗浄するワイパー63と、を備える。ワイパーは、弾性を有する金属製である。出射窓と入射窓とは、サファイアガラス製である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を用いて試料水の水質を測定する測定装置であって、
少なくとも一部が前記試料水に浸漬されて、前記水質を検知する検出器、
を有してなり、
前記検出器は、
前記光を発する発光部と、
前記発光部からの前記光を出射する出射窓と、
前記出射窓から出射された前記光が入射する入射窓と、
前記入射窓に入射した前記光を受光する受光部と、
前記試料水に満たされる前記出射窓と前記入射窓との間のセル空間内を往復移動して、前記出射窓と前記入射窓とを洗浄するワイパーと、
を備え、
前記ワイパーは、弾性を有する金属製であり、
前記出射窓と前記入射窓とは、サファイアガラス製である、
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記出射窓と前記入射窓それぞれは、
相互に対向する対向面、
を備え、
前記ワイパーは、
前記ワイパーが往復移動時に、対応する前記対向面に当接するように構成される一対のブレード部、
を備え、
一対の前記ブレード部それぞれは、
前記ワイパーの往路方向側の第1面と、
前記ワイパーの復路方向側の第2面と、
を備え、
一対の前記ブレード部それぞれの先端部は、前記ワイパーによる洗浄方向に向けられ、
前記ブレード部に負荷が加えられていないとき、
前記先端部同士の間隔は、前記対向面同士の間隔よりも大きく、
前記先端部を通る前記対向面と平行な仮想平面と前記第1面との間の角度は鈍角であり、前記仮想平面と前記第2面との間の角度は鋭角である、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記出射窓と前記入射窓それぞれは、
前記対向面に隣接し、前記ワイパーの往路において、前記先端部が前記対向面よりも先に当接し、前記ブレード部を前記対向面に向けて案内するガイド面、
を備える、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記ガイド面は、隣接する前記対向面に向かうにつれて、前記出射窓と前記入射窓との間隔が連続的に狭くなるように傾斜する傾斜面、または、湾曲する曲面であり、
前記先端部が対応する前記ガイド面に当接するとき、前記第1面と前記ガイド面との間の角度は鈍角であり、前記第2面と前記ガイド面との間の角度は鋭角である、
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記ワイパーは、第1位置と第2位置との間を往復移動し、
前記ワイパーが前記第1位置に位置しているとき、
前記ブレード部は対応する前記対向面に当接し、
前記先端部は、当接している前記対向面の中心方向に向けられる、
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記ワイパーは、第1位置と第2位置との間を往復移動し、
前記出射窓と前記入射窓それぞれは、前記ワイパーの往復方向において、前記第1位置と前記第2位置との間に配置され、
前記ワイパーが前記第1位置に位置しているとき、前記先端部は、対応する前記出射窓または前記入射窓に向けられる、
請求項3または4に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を用いて水質(例えば、有機汚濁物質、濁度、浮遊物質量(SS)など)を測定する測定装置は、湖沼、河川、または海水などの環境水、または工場の排水の水質の測定に用いられている。このような測定装置は、測定対象の水(以下「試料水」という。)を透過した光または試料水により散乱した光を検出する検出器を備え、検出器の検出結果に基づいて、水質を測定する。一般的に、水質を常時測定する場合、試料水の水面下に検出器が設置される浸漬型検出器を備える測定装置が使用される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された測定装置は、光を発する発光部と、発光部からの光を出射する出射窓と、出射窓から出射された光が入射する入射窓と、入射窓に入射した光を受光する受光部と、を備える。出射窓と入射窓との間には、試料水が満たされるセル空間が形成されている。同測定装置は、セル空間内の試料水に光を出射し、試料水を透過した光または試料水により散乱した光を検出することにより、試料水の水質(濁度)を測定する。同測定装置が連続して使用されると、試料水に含まれる汚濁物質が、出射窓および/または入射窓に付着・堆積する。その結果、同測定装置の光の検出能力が低下し、水質の測定精度が低下する。そこで、同測定装置は、出射窓と入射窓とに付着した汚濁物質を除去する除去機構を備える。
【0004】
特許文献1に開示された除去機構は、駆動部と回転軸とゴムワイパーとを備える。駆動部は、検出器の筐体に収容され、ゴムワイパーを移動させるための動力を供給する。回転軸は、駆動部に連結され、駆動部からの動力をゴムワイパーに伝達する。回転軸の下端部は、セル空間に突出している。ゴムワイパーは、セル空間に配置され、回転軸の下端部に取り付けられている。ゴムワイパーは、回転軸の周方向に往復移動(往復回転運動)することにより、出射窓と入射窓とに接触しながら出射窓と入射窓との間の空間(セル空間の一部)を横切るように構成されている。このように構成される同除去機構では、ゴムワイパーの往復移動に伴い、出射窓と入射窓それぞれに付着した汚濁物質は、除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-222187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、ゴムワイパーの往復移動のみでは、出射窓(入射窓)に付着・堆積した汚濁物質が完全に除去できない場合がある。そこで、特許文献1に開示された測定装置では、出射的と入射窓それぞれの表面に汚濁物質(炭酸カルシウム:CaCO)の付着を防止するフッ素コーティングが施されている。その結果、同測定装置では、出射窓と入射窓への汚濁物質(CaCO)の付着は、抑制されている。
【0007】
しかしながら、同測定装置では、ゴムワイパーがコーティングされた表面を擦りながら往復移動する。そのため、コーティングは経時的に薄くなり、その厚みはゴムワイパーの移動回数(すなわち、水質)に依存する。また、試料水の中には、砂利や砂などの細かく硬い鉱物が含有されている場合がある。この場合、同鉱物がゴムワイパーと出射窓(入射窓)との間に挟まると、コーティングは、ゴムワイパーの移動に伴う鉱物の移動により、線状に削られる。このように、同測定装置では、コーティングが維持される期間のばらつきが大きく、安定した汚濁物質の除去に技術的な課題が在る。
【0008】
本発明は、出射窓と入射窓とに付着した汚濁物質を安定して除去可能な測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る測定装置は、光を用いて試料水の水質を測定する測定装置であって、少なくとも一部が試料水に浸漬されて、水質を検知する検出器、を有してなり、検出器は、光を発する発光部と、発光部からの光を出射する出射窓と、出射窓から出射された光が入射する入射窓と、入射窓に入射した光を受光する受光部と、試料水に満たされる出射窓と入射窓との間のセル空間内を往復移動して、出射窓と入射窓とを洗浄するワイパーと、を備え、ワイパーは、弾性を有する金属製であり、出射窓と入射窓とは、サファイアガラス製である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、出射窓と入射窓とに付着した汚濁物質を安定して除去可能な測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る測定装置の実施の形態を示す模式図である。
図2図1の測定装置が備える検出器の側面図である。
図3図2の検出器のAA線における断面図である。
図4図2の検出器のAA線における部分拡大断面図である。
図5図4の検出器の一部を示す部分拡大模式断面図である。
図6図2の検出器のBB線における断面図である。
図7図2の検出器が備えるワイパーの模式図であり、(a)はワイパーの図6のC矢視における模式図であり、(b)は(a)のワイパーのDD線における模式断面図である。
図8図7のワイパーが初期位置に位置している状態を示す部分拡大模式断面図である。
図9図8のワイパーの移動中の状態を示す部分拡大模式断面図である。
図10図8のワイパーの移動中の別の状態を示す部分拡大模式断面図である。
図11図8のワイパーの移動中のさらに別の状態を示す部分拡大模式断面図である。
図12図8のワイパーの移動中のさらに別の状態を示す部分拡大模式断面図である。
図13】本発明に係る測定装置の変形例を示す部分拡大模式断面図であり、(a)は第1変形例に係る測定装置を示し、(b)は第2変形例に係る測定装置を示し、(c)は第3変形例に係る測定装置を示し、(d)は第4変形例に係る測定装置を示す。
図14】本発明に係る測定装置の別の変形例を示す部分拡大模式断面図であり、(a)は第5変形例に係る測定装置を示し、(b)は第6変形例に係る測定装置を示し、(c)は第7変形例に係る測定装置を示す。
図15】本発明に係る測定装置のさらに別の変形例を示す部分拡大模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る測定装置(以下「本装置」という。)の実施の形態について説明する。以下の説明において、同一の構造または機能を有する要素については同一の符号が付され、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、説明の便宜上、誇張されている場合が有り、各図面に図示されている比率に限定されない。
【0013】
●測定装置●
●測定装置の構成
図1は、本装置の実施の形態を示す模式図である。
【0014】
本装置1は、光を用いて試料水Wの水質を測定する。本装置1は、例えば、UV(ultraviolet)光を用いて試料水Wの有機汚濁物質を測定する吸光度測定装置である。本装置1は、検出器100と変換器200とを備える。
【0015】
「試料水W」は、本装置1による水質の測定対象である水である。試料水Wは、例えば工場の排水である。
【0016】
なお、本発明における試料水は、工場の排水に限定されない。すなわち、例えば、試料水は、湖沼、河川、または海水などの環境水でもよい。
【0017】
検出器100は、試料水Wに光を出射し、試料水Wを透過した光を受光することにより、試料水Wの水質(吸光度)を検出する。検出器100は、試料水Wの水面下に設置されている。すなわち、検出器100は、使用時に試料水Wに浸漬されている。検出器100の構成は、後述する。検出器100は、ケーブルCを介して、変換器200と電気的に接続されている。
【0018】
以下の説明において、「上方」は、試料水Wに浸漬された状態の検出器100に対して水面が位置する方向(図1の紙面上方)である。「下方」は、上方の反対方向(図1の紙面下方)である。
【0019】
変換器200は、検出器100が検出した吸光度に基づいて、試料水Wの水質(有機汚濁物質、濁度、SS濃度など)を算出・変換する。変換器200は、水面より高い位置であって、例えば、検出器100の上方に設置されている。
【0020】
●検出器の構成
図2は、検出器100の側面図である。
図3は、検出器100の図2のAA線における断面図である。
図3は、説明の便宜上、検出器100の内部構造の一部の図示を省略・簡素化している。
【0021】
検出器100は、筐体10と、発光ユニット20と、受光ユニット30と、モータ40と、回転軸50と、ワイパーユニット60と、を備える。
【0022】
筐体10は、発光ユニット20と、受光ユニット30と、モータ40と、回転軸50と、を収容する。筐体10は、上下方向に沿う略円柱体である。筐体10は、ユニット保持部11と、有底円筒状の第1カバー12と、円筒状の第2カバー13と、を備える。
【0023】
ユニット保持部11は、発光ユニット20と、受光ユニット30と、回転軸50と、を保持する。ユニット保持部11は、第1保持部111と、第2保持部112と、2つの柱状部113,114と、を備える。
【0024】
第1保持部111は、発光ユニット20を保持する。第1保持部111は、底部が上方に向けられた有底円筒状である。第1保持部111は、窓取付孔111hを備える。窓取付孔111hは、第1保持部111の天井壁111a(底部)に配置され、天井壁111aを貫通している。窓取付孔111hは、後述するセル空間CSに臨むように配置されている。天井壁111aの上面111bのうち、窓取付孔111hの側方の一部の領域は、下方へ向けて傾斜する傾斜面111cを構成している。
【0025】
第2保持部112は、受光ユニット30と回転軸50とを保持する。第2保持部112は、有底円筒状である。第2保持部112は、窓取付孔112hと回転軸取付孔(不図示。以下同じ。)とを備える。窓取付孔112hと回転軸取付孔とは、第2保持部112の底壁112aに配置され、底壁112aを貫通している。窓取付孔112hと回転軸取付孔とは、後述するセル空間CSに臨むように配置されている。底壁112aの下面112bのうち、窓取付孔112hの側方の一部の領域は、上方へ向けて傾斜する傾斜面112cを構成している。傾斜面112cは、傾斜面111cの上方に配置されている。
【0026】
2つの柱状部113,114は、天井壁111aの上面111bと底壁112aの下面112bとが相互に対向するように、第1保持部111と第2保持部112とを連結している。上面111bと下面112bとの間には、試料水W(図1参照。以下同じ。)に満たされるセル空間CSが形成されている。
【0027】
2つの窓取付孔111h,112hは、上下方向に沿う同一仮想軸線上に配置されている。すなわち、2つの窓取付孔111h,112hは、セル空間CSを挟んで、相互に対向するように配置されている。
【0028】
第1カバー12は、第1保持部111に液密かつ着脱可能に取り付けられている。その結果、第1保持部111と第1カバー12とは、後述する光源ユニット21が収容されている第1収容空間S1を形成している。
【0029】
第2カバー13は、第2保持部112に液密かつ着脱可能に取り付けられている。その結果、第2保持部112と第2カバー13とは、後述する受光部31と、モータ40と、回転軸50と、が収容されている第2収容空間S2を形成している。
【0030】
図4は、検出器100の図2のAA線における部分拡大断面図である。
図5は、図4の検出器100の一部を示す部分拡大模式断面図である。
図4は、説明の便宜上、検出器100の内部構造の一部の図示を省略・簡素化している。
【0031】
発光ユニット20は、光を生成し、生成された光をセル空間CS内の試料水Wに出射する。発光ユニット20は、光源ユニット21と、出射窓22とを備える。
【0032】
光源ユニット21は、例えば、光源(不図示。以下同じ。)と、光源からの光を誘導するレンズ(不図示。以下同じ。)と、を備えている。光源は、例えば、発光ダイオード(LED:light emitting diode)などの半導体発光素子である。光源ユニット21は、本発明における発光部の例である。光源ユニット21は、第1収容空間S1(図3参照)に収容され、第1保持部111に保持されている。
【0033】
出射窓22は、サファイアガラス製である。出射窓22は、ハット状で、円柱状の本体部221と、リング状のフランジ部222と、を備える。本体部221の下部の外周面は、本体部221の径方向外方に突出してフランジ部222を構成している。出射窓22(本体部221)の上面は、円形で、後述される対向面32aと対向する対向面22aを構成している。出射窓22の周方向において、対向面22aの外縁部は、全周に亘り面取り(例えば、45°の面取り)された傾斜面22bを構成している。すなわち、傾斜面22bは、対向面22aに隣接している。傾斜面22bは、本発明におけるガイド面の一例である。出射窓22は、窓取付孔111hに液密に取り付けられている。対向面22aは、後述するワイパー63が対向面22aに確実に当接されるように、天井壁111aの上面111bよりも僅かにセル空間CS側(上側)に突出するように配置されている。このとき、傾斜面22bの全体は、上面111bより上方に配置されない。すなわち、例えば、傾斜面22bの一部(例えば、傾斜面22bの長さの1/3~1/2程度)は、上面111bより下方に配置されている。
【0034】
受光ユニット30は、セル空間CS内の試料水Wを透過した光を受光する。受光ユニット30は、受光部31と入射窓32とを備える。
【0035】
受光部31は、例えば、フォトダイオードなどの半導体受光素子である。受光部31は、第2収容空間S2に収容され、第2保持部112に保持されている。
【0036】
入射窓32は、サファイアガラス製である。入射窓32は、逆ハット状で、円柱状の本体部321と、リング状のフランジ部322と、を備える。本体部321の上部の外周面は、本体部321の径方向外方に突出してフランジ部322を構成している。入射窓32(本体部321)の下面は、円形で、対向面32aを構成している。入射窓32の周方向において、対向面32aの外縁部は、全周に亘り面取り(例えば、面取り角度45°)された傾斜面32bを構成している。傾斜面32bは、本発明におけるガイド面の一例である。入射窓32は、窓取付孔112hに取り付けられている。入射窓32の対向面32aは、後述するワイパー63が対向面32aに確実に当接されるように、底壁112aの下面112bよりも僅かにセル空間CS側に突出するように配置されている。このとき、傾斜面32bの全体は、下面112bより下方に配置されない。すなわち、例えば、傾斜面32bの一部(例えば、傾斜面32bの長さの1/3~1/2程度)は、下面112bより上方に配置されている。
【0037】
出射窓22の対向面22aは、入射窓32の対向面32aに対して平行かつ対向して配置されている。上下方向において、対向面22aと対向面32aとの間隔「L1」は、天井壁111aの上面111bと底壁112aの下面112bとの間隔「L2」よりも小さい。このとき、傾斜面22b,32bは、隣接する対向面22a,32aに向かうにつれて、出射窓22と入射窓32との間隔が連続的に狭くなるように傾斜している。
【0038】
図3に戻る。
モータ40は、ワイパーユニット60を移動させる動力を供給する。モータ40は回転軸を下方に向けた状態で、第2収容空間S2に収容されている。
【0039】
回転軸50は、モータ40からの動力をワイパーユニット60に伝達し、ワイパーユニット60を往復移動させる。回転軸50は、第2収容空間S2に収容され、回転軸取付孔に液密かつ回転可能に取り付けられている。回転軸50の下端部50aは、セル空間CS内に突出している。
【0040】
図6は、検出器100の図2のBB線における断面図である。
同図は、説明の便宜上、実線で示される位置から移動後のワイパーユニット60を二点鎖線で示す。
【0041】
ワイパーユニット60は、出射窓22と入射窓32(図3図5参照。以下同じ。)とを洗浄する。ワイパーユニット60は、ワイパー支持部材61と、ユニット取付ねじ62と、ワイパー63と、一対のワイパー押え板64,65と、2つのワイパー取付ねじ66,67と、を備える。ワイパー支持部材61は、回転軸50の下端部50aが挿通される挿通孔61hを備える。ワイパー63は、ワイパー押え板64,65に挟まれた状態で、ワイパー取付ねじ66,67によりワイパー支持部材61に取り付けられている。ワイパー支持部材61は、ユニット取付ねじ62により回転軸50の下端部50aに取り付けられている。
【0042】
図7は、ワイパー63の模式図であり、(a)はワイパー63の図6のC矢視における模式図であり、(b)は(a)のワイパー63のDD線における模式断面図である。
【0043】
ワイパー63は、例えば、ステンレス鋼などの弾性を有する金属製である。ワイパー63は、第1面63aと第2面63bとを有する略矩形板状である。ワイパー63は、一対のブレード部631,632と、被保持部633と、を備える。ワイパー63の下端部は、一方向側(第1面63a側)に折り曲げられて、ブレード部631を構成している。ワイパー63の上端部は、下端部と同じ方向側(第1面63a側)に折り曲げられて、ブレード部632を構成している。ワイパー63の上端部と下端部との間の中央部分は、被保持部633を構成している。
【0044】
ブレード部631は、ワイパー63の移動時において、対応する出射窓22の対向面22a(図3図5参照)に当接するように構成され、対向面22aを洗浄する。ブレード部631は、先端部631a(下端部)に向かうにつれて幅が狭くなる台形状である。図示されないが、先端部631aは、汚濁物質を除去可能な程度に適宜研磨されている。ワイパー63の第1面63aのうち、ブレード部631に位置している部分は、ブレード部631の第1面631bを構成している。ワイパー63の第2面63bのうち、ブレード部631に位置している部分は、ブレード部631の第2面631cを構成している。
【0045】
ブレード部632は、ワイパー63の移動時において、対応する入射窓32の対向面32a(図3図5参照)に当接するように構成され、対向面32aを洗浄する。ブレード部632は、先端部632a(上端部)に向かうにつれて幅が狭くなる台形状である。図示されないが、先端部632aは、汚濁物質を除去可能な程度に適宜研磨されている。ワイパー63の第1面63aのうち、ブレード部632に位置している部分は、ブレード部632の第1面632bを構成している。ワイパー63の第2面63bのうち、ブレード部632に位置している部分は、ブレード部632の第2面632cを構成している。
【0046】
第1面63aにおいて、ブレード部631と被保持部633との間の角度「θ1」は鈍角(例えば、105°)である。ブレード部632と被保持部633との間の角度「θ2」は、角度「θ1」と同じ鈍角である。
【0047】
図4図7に戻る。
被保持部633は、ワイパー63のうち、ワイパー押え板64,65に挟まれている部分である。
【0048】
ブレード部631,632に後述される負荷が加えられていないとき(無負荷時)、上下方向において、ブレード部631,632それぞれの先端部631a,632a同士の間隔「L3」は、対向面22a,32a同士の間隔「L1」および上面111bと下面112bとの間の間隔「L2」よりも大きい。また、上下方向において、被保持部633の長さ「L4」は、前述の間隔「L1」よりも小さい。無負荷時において、ブレード部631の第1面631bと、先端部631aを通り対向面22aと平行な仮想平面C1と、の間の角度「θ11」は、鈍角(例えば、約165°)である。一方、第2面631cと仮想平面C1との間の角度「θ21」は、鋭角である。同様に、ブレード部632の第1面632bと、先端部632aを通り対向面32aと平行な仮想平面C2と、の間の角度「θ31」は、角度「θ11」と同じ鈍角である。第2面632cと仮想平面C2との間の角度「θ41」は、角度「θ21」と同じ鋭角である。
【0049】
ワイパーユニット60は、セル空間CSに配置されていて、回転軸50の往復回転運動に伴い、後述される初期位置P1と折返位置P2との間を回転軸50の周方向に往復移動(往復回転運動)するように構成されている。すなわち、ワイパー63の往復方向は、回転軸50の周方向である。このとき、出射窓22と入射窓32とは、ワイパー63の往復方向において、初期位置P1と折返位置P2との間に配置されている。ワイパー63は、ブレード部631が出射窓22に接触し、ブレード部632が入射窓32に接触した状態で、出射窓22と入射窓32との間の空間(セル空間CSの一部)を横切るように構成されている。すなわち、ワイパー63は、セル空間CSを満たしている試料水W内を往復移動するように構成されている。ワイパー63の往復移動に伴い、出射窓22と入射窓32それぞれに付着した汚濁物質は、ブレード部631,632により除去される。
【0050】
●測定装置の動作
次に、本装置1の動作が、ワイパー63の動作を中心に以下に説明される。以下の説明において、図4図7は、適宜参照される。
【0051】
図8は、ワイパー63が初期位置P1に位置している状態を示す部分拡大模式断面図である。同図は、検出器100の図2のAA線における断面の一部を模式的に示している。
【0052】
移動前のワイパー63の先端部631a,632aは、初期位置P1に位置している。「初期位置P1」は、出射窓22(入射窓32)の径方向外方であって、ワイパー63の第1面63a側に出射窓22(入射窓32)が配置されている位置である。初期位置P1は、本発明における第1位置の一例である。このとき、ブレード部631は天井壁111aの上面111bに当接し、ブレード部631には同上面111bから上向きの負荷が加えられている。同様に、ブレード部632は底壁112aの下面112bに当接し、ブレード部632には同下面112bから下向きの負荷が加えられている。ワイパー63の往復方向において、ブレード部631,632の第1面631b,632bは往路方向側に向けられ、第2面631c,632cは復路方向側に向けられている。また、先端部631a,632aは、往路方向(後述される洗浄方向)側に向けられている。第1面631bと上面111bとの間の角度「θ12」は、第1面632bと下面112bとの間の角度「θ32」と同じであり、角度「θ11」よりも僅かに大きい鈍角である。一方、第2面631cと上面111bとの間の角度「θ22」は、第2面632cと下面112bとの間の角度「θ42」と同じであり、角度「θ21」よりもやや小さい鋭角である。
【0053】
図9は、ワイパー63の移動中の状態を示す部分拡大模式断面図である。
同図は、検出器100の図2のAA線における断面の一部を模式的に示している。
【0054】
次いで、ワイパー63が往路方向(往復方向のうち、先端部631a,632aが向けられている側の方向)に移動すると、先端部631aが出射窓22の傾斜面22bに当接し、先端部632aが入射窓32の傾斜面32bに当接する。すなわち、ブレード部631,632は、対応する出射窓22および入射窓32のうち、傾斜面22b,32bに最初に当接する。このとき、第1面631bと傾斜面22bとの間の角度「θ13」は、第1面632bと傾斜面32bとの間の角度「θ33」と同じ鈍角である。一方、第2面631cと傾斜面22bとの間の角度「θ23」は、第2面632cと傾斜面32bとの間の角度「θ43」と同じ鋭角である。
【0055】
次いで、ワイパー63が往路方向に移動すると、先端部631aは、対応する傾斜面22bに向けて押し込まれる。このとき、角度「θ13」は鈍角であるため、先端部631aは傾斜面22bに沿って上昇し、ブレード部631は角度「θ1」を減少させるように押し上げられる。同様に、先端部632aは傾斜面32bに沿って下降し、ブレード部632は角度「θ2」を減少させるように押し下げられる。すなわち、ワイパー63は、上下方向において、先端部631a,632a同士の間隔「L3」を減少させるように変形する。その後、先端部631aは傾斜面22bに沿って対向面22aに向けて案内され、対向面22aに到達する。一方、先端部632aは傾斜面32bに沿って対向面32aに向けて案内され、対向面32aに到達する。
【0056】
図10は、ワイパー63の移動中の別の状態を示す部分拡大模式断面図である。
同図は、検出器100の図2のAA線における断面の一部を模式的に示している。
【0057】
ブレード部631が対応する対向面22aに当接し、ブレード部632が対応する対向面32aに当接しているとき、上下方向において、ブレード部631,632は、ワイパー63が初期位置P1(図7参照。以下同じ。)に位置していたときよりも圧縮され、先端部631a,632a同士の間隔「L3」は、初期位置P1における同間隔「L3」よりも僅かに減少し、対向面22a,32a同士の間隔「L1」と略同じとなっている。このとき、第1面631bと対向面22aとの間の角度「θ14」は、第1面632bと対向面32aとの間の角度「θ34」と同じであり、角度「θ12」(図8参照)よりも僅かに大きい鈍角である。一方、第2面631cと対向面22aとの間の角度「θ24」は、第2面632cと対向面32aとの間の角度「θ44」と同じであり、角度「θ22」(図8参照)よりも僅かに小さい鋭角である。先端部631a,632aは、ワイパー63(ブレード部631,632)の弾性力により、対応する対向面22a,32aに押し付けられている。また、前述のとおり、上下方向において、被保持部633の長さ「L4」は、間隔「L1」よりも小さい。そのため、ワイパー63の移動中、被保持部633は、対向面22a,32aに引っ掛かることなく対向面22a,32aの間を通過できる。
【0058】
次いで、ワイパー63が往路方向に移動すると、ブレード部631は、先端部631aが対応する対向面22aに押し付けられた状態で、対向面22a上を往路方向に向けて移動する。このとき、対向面22aに付着している汚濁物質はブレード部631により除去され、対向面22aはブレード部631により洗浄される。同様に、ブレード部632は、先端部632aが対応する対向面32aに押し付けられた状態で、対向面32a上を往路方向に向けて移動する。このとき、対向面32aに付着している汚濁物質はブレード部632により除去され、対向面32aはブレード部632により洗浄される。すなわち、往路方向は、本発明における洗浄方向の一例である。
【0059】
図11は、ワイパー63の移動中のさらに別の状態を示す部分拡大模式断面図である。
同図は、検出器100の図2のAA線における断面の一部を模式的に示している。
【0060】
次いで、ワイパー63が往路方向に移動すると、ブレード部631は対向面22aを横断し、先端部631aは上面111bに当接する。このとき、第2面631cは、対向面22aと傾斜面22bとの境界部(角部)に当接している。同様に、ブレード部632は対向面32aを横断し、先端部632aは下面112bに当接する。このとき、第2面632cは、対向面32aと傾斜面32bとの境界部(角部)に当接している。
【0061】
図12は、ワイパー63の移動中のさらに別の状態を示す部分拡大模式断面図である。
同図は、検出器100の図2のAA線における断面の一部を模式的に示している。
【0062】
次いで、ワイパー63が往路方向に移動すると、先端部631a,632aは、傾斜面111c,112cの間の折返位置P2まで移動して、ワイパー63の往路方向への移動は停止される。「折返位置P2」は、ワイパー63の移動方向が復路方向へ折り返される位置であり、出射窓22(入射窓32)の径方向外方であって、ワイパー63の第2面63b側に出射窓22(入射窓32)が配置される位置である。折返位置P2は、本発明における第2位置の一例である。このとき、ワイパー63は、天井壁111aと底壁112aとに当接していない。その結果、ワイパー63自身の弾性により、先端部631a,632a同士の間隔「L3」は、無負荷状態の間隔に戻る。また、ワイパー63により除去された汚濁物質は、傾斜面111c,112c間に放出される。
【0063】
図8図12に戻る。
次いで、ワイパー63は、折返位置P2から復路方向(往復方向のうち、先端部631a,632aが向けられていない側の方向)に移動する。ワイパー63が復路方向へ移動すると、図11に示されるとおり、ブレード部631,632の第2面631c、632cは、対向面22a,32aと傾斜面22b,32bとの境界部(角部)に当接する。さらに、ワイパー63が復路方向へ移動すると、ブレード部631は同境界部により上方へ押し上げられ、ブレード部632は同境界部により下方へ押し下げられる。すなわち、ワイパー63は、上下方向において、先端部631a,632a同士の間隔「L3」を減少させるように変形する。
【0064】
さらに、ワイパー63が復路方向へ移動すると、図10に示されるとおり、ブレード部631,632は、対応する対向面22a,32aに当接する。さらに、ワイパー63が復路方向へ移動すると、図9に示されるとおり、先端部631a,632aは傾斜面22b,32bに当接する。さらに、ワイパー63が復路方向へ移動すると、先端部631a,632aは傾斜面22b,32bに沿って移動し、上下方向において、ワイパー63は先端部631a,632a同士の間隔「L3」を増加させるように変形する。そして、図8に示されるとおり、ワイパー63は、初期位置P1に戻る。
【0065】
このように、本装置1では、図9に示されるとおり、出射窓22および入射窓32のうち、ブレード部631,632が対向面22a,32aよりも先に当接する部分は、傾斜面22b,32bである。また、第1面631bと傾斜面22bとの間の角度「θ13」と、第1面632bと傾斜面32bとの間の角度「θ33」とは、同じ鈍角である。そのため、本装置1では、初期位置P1において、ブレード部631,632が出射窓22および入射窓32の径方向外方に位置していても、ワイパー63は、出射窓22および入射窓32に引っ掛かることなく往復移動できる。
【0066】
また、本装置1では、ブレード部631,632を備え、弾性を有する金属製のワイパー63が用いられている。そのため、本装置1では、ワイパー63を変形させ、ワイパー63自身の弾性力により、ワイパー63(ブレード部631,632)を出射窓22と入射窓32とに押し付けることができる。したがって、本装置1では、ゴムワイパーを用いる従来の測定装置(以下「従来装置」という。)よりも、出射窓22と入射窓32とに付着した汚濁物質が除去可能である。すなわち、本装置1の汚濁物質の除去効率は、従来装置の除去効率よりも高い。
【0067】
さらに、本装置1では、金属製のブレード部631,632が対向面22a,32aに当接する。そのため、本装置1では、従来装置よりもワイパー63と対向面22a,32aとの間への鉱物の挟み込みは、生じ難い(ゴムワイパーの場合、ゴム自体が変形して鉱物が埋め込まれ易い)。さらにまた、本装置1では、サファイアガラス製の出射窓22と入射窓32とが用いられている。そして、サファイアガラスの硬度は、砂などの鉱物(例えば、二酸化ケイ素など)およびガラス(石英)の硬度よりも高い。そのため、仮に、鉱物がワイパー63と対向面22a,32aとの間に挟み込まれても、出射窓22と入射窓32には、傷が殆ど生じない。一方、仮に、出射窓と入射窓とがガラス製の場合、ガラスの硬度は砂などの鉱物の硬度よりも低く、出射窓と入射窓とには、傷が生じ易い。したがって、本装置1では、傷による出射窓22と入射窓32の劣化が従来装置よりも生じ難く、汚濁物質の除去効率が高い。つまり、本装置1は、安定して汚濁物質を除去できる。
【0068】
●変形例●
次に、本装置1(検出器100)の変形例が、以下説明される。以下の変形例において、説明の便宜上、先の実施の形態(以下「第1実施形態」という。)と同じ部材、および、共通する機能を有する部材には、第1実施形態と同じ符号が付されている。以下の変形例では、検出器の構成の一部が第1実施形態と異なる。
【0069】
図13は、本装置1の変形例を示す部分拡大模式断面図であり、(a)は第1変形例に係る検出器100Aを示し、(b)は第2変形例に係る検出器100Bを示し、(c)は第3変形例に係る検出器100Cを示し、(d)は第4変形例に係る検出器100Dを示している。
図14は、本装置1の別の変形例を示す部分拡大模式断面図であり、(a)は第5変形例に係る検出器100Eを示し、(b)は第6変形例に係る検出器100Fを示し、(c)は第7変形例に係る検出器100Gを示している。
【0070】
●第1変形例
第1変形例では、初期位置P1の位置が第1実施形態と異なる。第1変形例では、ワイパー63の先端部631a,632aが初期位置P1に位置しているとき、先端部631a,632aは対応する対向面22a,32aに当接している。このとき、先端部631a,632aは、当接している対向面22a,32aの中心方向に向けられている。また、ワイパー63が折返位置P2に位置しているとき、ブレード部631,632は対応する対向面22a,32aに当接している。この構成では、出射窓22と入射窓32それぞれの径が光路よりも十分に大きく設計されることにより、ワイパー63は、非洗浄時において、光源からの光を遮らない。
【0071】
ここで、第1変形例では、ワイパー63の往路方向において、ブレード部631,632を対応する対向面22a,32aに案内する必要がない。したがって、第1変形例では、出射窓22と入射窓32それぞれは傾斜面22b,32bを備えていなくてもよい。
【0072】
また、第1変形例では、折返位置は、第1実施形態と同様に、出射窓22と入射窓32それぞれの径方向外方に位置していてもよい。
【0073】
●第2変形例
第2変形例では、ブレード部631,632の向きが第1実施形態と異なる。第2変形例では、ブレード部631,632は、ワイパー63の第2面63b側に折り曲げられている。この構成では、初期位置P1から折返位置P2に移動するときのワイパー63の動作は、第1実施形態の復路方向におけるワイパー63の動作と同じであり、折返位置P2から初期位置P1に移動するときのワイパー63の動作は、第1実施形態の往路方向におけるワイパー63の動作と同じである。第2変形例では、折返位置P2は本発明における第1位置の一例であり、初期位置P1は本発明における第2位置の一例である。また、第2変形例では、ワイパー63の折返位置P2から初期位置P1への移動は、ワイパー63の往路方向(洗浄方向)への移動となる。一方、ワイパー63の初期位置P1から折返位置P2への移動は、ワイパー63の復路方向への移動となる。
【0074】
●第3変形例
第3変形例では、ブレード部632の向きが第1実施形態と異なる。第3変形例では、ブレード部631はワイパー63の第1面63a側に折り曲げられ、ブレード部632はワイパー63の第2面63b側に折り曲げられている。この構成では、ワイパー63の往復移動において、ブレード部631は第1実施形態のブレード部631と同様に変形し、ブレード部632は第2変形例のブレード部632と同様に変形する。第3変形例では、初期位置P1は、ブレード部631に対する第1位置の一例であり、ブレード部632に対する第2位置の一例である。一方、折返位置P2は、ブレード部632に対する第2位置の一例であり、ブレード部632に対する第1位置の一例である。また、第3変形例では、ワイパー63の初期位置P1から折返位置P2への移動は、ブレード部631に対しては往路方向(洗浄方向)への移動となり、ブレード部632に対しては復路方向への移動となる。一方、ワイパー63の折返位置P2から初期位置P1への移動は、ブレード部631に対しては復路方向への移動となり、ブレード部632に対しては往路方向(洗浄方向)への移動となる。
【0075】
ここで、第3変形例では、ブレード部631はワイパー63の第2面63b側に折り曲げられ、ブレード部631はワイパー63の第1面63a側に折り曲げられていてもよい。
【0076】
●第4変形例
第4変形例では、光源からの光の出射方向が第1実施形態と異なる。第4変形例では、光源からの光は、上下方向に直交する方向(例えば、左右方向)に出射される。出射窓22と入射窓32とは、上下方向に直交する方向において、対向面22a,32a同士が対向するように配置されている。ワイパー63の第1面63aは下方へ向けられ、第2面63bは上方へ向けられている。初期位置P1において、ブレード部631,632は、第1面63a側に折り曲げられている。ワイパー63は、上下方向に直線状に往復移動するように構成されている。
【0077】
●第5変形例
第5変形例では、傾斜面22b,32bの配置が第1実施形態と異なる。第5変形例では、傾斜面22bは、ブレード部631,632に対する往路方向において、先端部631a,632aが当接する部分(対向面22aに対して初期位置P1側の外縁部)とその近傍部分にのみ配置されている。
【0078】
●第6変形例
第6変形例では、対向面22a,32aの外縁部の形状が第1実施形態と異なる。第5変形例では、対向面22a,32aの外縁部は、断面視においてセル空間CS側に凸の四半円状の曲面22c,32cを構成している。換言すれば、同外縁部は、出射窓22と入射窓32との間隔が連続的に狭くなるように湾曲し、セル空間CS側に凸な曲面22c,32cを構成している。この場合、ワイパー63が往路方向に移動し、先端部631a,632aが曲面22c,32cに当接したとき、第1面631b,632bと曲面22c,32cとの間の角度は、先端部631a,632aが当接している部分における接線に基づいて、決定される。
【0079】
●第7変形例
第7変形例では、ワイパーユニット60が、2つのワイパー63A,63Bを備える点が第1実施形態と異なる。ワイパー63Aの構成は、第1実施形態のワイパー63の構成と共通する。ワイパー63Bの構成は、第2変形例のワイパー63の構成と共通する。ワイパー63Aは、ワイパー63Bと背中合わせに配置されている。この構成では、ワイパー63A,63Bの往復移動において、ワイパー63Aのブレード部631A,632Aは第1実施形態のブレード部631,632と同様に変形し、ワイパー63Bのブレード部631B.632Bは第2変形例のブレード部631,632と同様に変形する。第7変形例では、初期位置P1は、ブレード部631A,632Aに対する第1位置の一例であり、ブレード部631B,632Bに対する第2位置の一例である。一方、折返位置P2は、ブレード部631A,632Aに対する第2位置の一例であり、ブレード部631B,632Bに対する第1位置の一例である。また、第7変形例では、ワイパー63A,63Bの初期位置P1から折返位置P2への移動は、ブレード部631A,632Aに対しては往路方向(洗浄方向)への移動となり、ブレード部631B,632Bに対しては復路方向への移動となる。一方、ワイパー63A,63Bの折返位置P2から初期位置P1への移動は、ブレード部631A,632Aに対しては復路方向への移動となり、ブレード部631B,632Bに対しては往路方向(洗浄方向)への移動となる。
【0080】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、ワイパー63は、弾性を有する金属製である。出射窓22と入射窓32とは、サファイアガラス製である。この構成によれば、本装置1は、従来装置よりも効率的に、汚濁物質を除去できる。また、仮に、鉱物がワイパー63と対向面22a,32aとの間に挟み込まれても、出射窓22と入射窓32には、傷が殆ど生じない。したがって、本装置1では、従来装置よりも傷による出射窓22と入射窓32の劣化が生じ難く、汚濁物質の除去効率が高い。つまり、本装置1は、安定して汚濁物質を除去できる。
【0081】
また、以上説明した実施の形態によれば、ワイパー63は、ワイパー63が往復移動時に対応する対向面22a,32aに当接するように構成されている一対のブレード部631,632を備える。ブレード部631,632それぞれは、ワイパー63の往路方向側の第1面631b,632bと、ワイパー63の復路方向側の第2面631c,632cと、を備える。ブレード部631,632の先端部631a,632aは、往路方向に向けられている。無負荷時において、先端部631a,632a同士の間隔「L3」は、対向面22a,32a同士の間隔「L1」よりも大きい。仮想平面C1,C2と第1面631b,632bとの間の角度「θ11,θ31」は鈍角であり、仮想平面C1,C2と第2面631c,632cとの間の角度「θ21,θ41」は鋭角である。この構成によれば、ワイパー63の往路において、ブレード部631,632は、対応する対向面22a,32aに押し付けられ、汚濁物質をこそぎ落すように除去できる。
【0082】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、出射窓22と入射窓32それぞれは、傾斜面22b,32bを備える。傾斜面22b,32bは、ワイパー63が往路方向へ移動するとき、先端部631a,632a(ブレード部631,632)が対向面22a,32aよりも先に当接し、先端部631a,632aを対向面22a,32aに向けて案内する面である。この構成によれば、出射窓22と入射窓32それぞれがセル空間CSに突出していても、先端部631a,632aが対向面22a,32aに案内されるため、ワイパー63は、出射窓22と入射窓32とに引っかからない。
【0083】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、傾斜面22b,32bは、隣接する対向面22a,32aに向かうにつれて出射窓22と入射窓32との間隔が連続的に狭くなるように傾斜している。先端部631a,632aが傾斜面22b,32bに当接しているとき、第1面631b,632bと傾斜面22b,32bとの間の角度「θ13,θ33」は鈍角であり、第2面631c,632cと傾斜面22b,32bとの間の角度「θ23,θ43」は鋭角である。この構成によれば、先端部631a,632aが対向面22a,32aに確実に案内されるため、ワイパー63は、出射窓22と入射窓32とに引っかからない。
【0084】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ワイパー63は、初期位置P1と折返位置P2との間を往復移動する。出射窓22と入射窓32それぞれは、ワイパー63の往復方向において、初期位置P1と折返位置P2との間に配置されている。ワイパー63が初期位置P1に位置しているとき、先端部631a,632aは、対応する出射窓22または入射窓32に向けられている。この構成によれば、ワイパー63は、洗浄時(往復移動時)にのみ出射窓22と入射窓32との間を横断し、非洗浄時には出射窓22と入射窓32との間に位置していない。ここで、第1変形例では、出射窓22と入射窓32それぞれの直径が小さい場合、非洗浄時であっても、ブレード部631,632は、光源からの光の一部を遮り得る。一方、本構成では、非洗浄時において、ブレード部631,632は、出射窓22と入射窓32それぞれの大きさに関わらず、光源からの光を遮らない。
【0085】
●その他
なお、本発明において、検出器のセル空間が試料水に浸漬されていればよく、検出器全体が試料水に浸漬されていなくてもよい。
【0086】
また、本発明において、本装置は、浸漬型の検出器を備え、光を用いて試料水の水質を測定する装置であればよく、吸光度測定装置に限定されない。すなわち、例えば、本装置は、濁度を測定する濁度測定装置(濁度計)でもよい。
【0087】
さらに、本発明において、初期位置と折返位置とは、第1実施形態に限定されない。すなわち、例えば、第1変形例に例示されるとおり、初期位置および/または折返位置は、対応する対向面上に位置していてもよい。
【0088】
さらにまた、本発明において、ブレード部の向きは、第1実施形態に限定されない。すなわち、例えば、第2変形例に例示されるとおり、ブレード部の向きは、第1実施形態と逆向きであってもよい。また、例えば、第3変形例に例示されるとおり、ブレード部の向きは、被保持部を基準に互い違いの向きであってもよい。さらに、例えば、第7変形例に示されるとおり、2つのワイパーが背中合わせに配置され、ブレード部がワイパーの進退方向のいずれの方向にも向けられていてもよい。
【0089】
さらにまた、本発明において、光源からの光の出射方向は、第1実施形態に限定されない。すなわち、例えば、第4変形例に例示されるとおり、光源からの光の射出方向は、上下方向に直交する方向でもよい。この場合、ワイパーの往復方向は、対向面の配置されている向きにより設定される。
【0090】
さらにまた、本発明において、出射窓と入射窓における傾斜面の配置は、第1実施形態に限定されない。すなわち、例えば、第5変形例に例示されるとおり、傾斜面は、対向面に対して初期位置側の外縁部のみに配置されていてもよい。
【0091】
さらにまた、本発明において、対向面の外縁部の形状は、第1実施形態に限定されない。すなわち、例えば、第6変形例に例示されるとおり、対向面の外縁部は、曲面でもよい。また、例えば、傾斜面の面取り角度は、傾斜面とブレード部(第1面)との間の角度が鈍角になればよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、傾斜面の面取り角度は、対向面の仮想延長面に対して45°未満の角度となるように形成されていてもよい。さらに、例えば、外縁部は、ブレード部の先端部が当接する部分のみが傾斜面または曲面に構成されていればよく、先端部が当接しない部分は傾斜面および曲面に構成されていなくてもよい。
【0092】
さらにまた、本発明において、ワイパーが往復移動するときに先端部が出射窓と入射窓とに引っ掛からなければ、第1実施形態と各変形例それぞれは、適宜組み合わされていてもよい。
【0093】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、回転軸50はモータ40の回転軸に機械的に連結されていた。これに代えて、回転軸は、モータの回転軸と磁気的に結合されていてもよい。
【0094】
図15は、本発明の別の変形例(第8変形例)に係る検出器100Hを示す部分拡大模式断面図である。同図は、説明の便宜上、検出器100Hの一部のみを拡大して示す。第8変形例と先に説明した実施の形態との相違点が、以下に説明される。以下の説明において、図1図4も、適宜参照される。
【0095】
第8変形例では、検出器100Hは、筐体10と、発光ユニット20と、受光ユニット30と、モータ40と、取付部材41と、第1磁石42と、回転軸51と、第2磁石52と、ワイパーユニット60と、を備える。
【0096】
第1保持部111は、凹部111h2を備える。凹部111h2は、天井壁111aの上面111bに配置されている。第2保持部112は、回転軸取付孔(不図示)に代えて凹部112h2を備える。凹部112h2は、第2保持部112の底壁112aにおいて、セル空間CSを挟んで凹部111h2に対向する位置に配置されている。
【0097】
取付部材41は、モータ40の回転軸40aに第1磁石42を取り付ける部材である。取付部材41は、円筒状の保持部41aを備える。取付部材41は、保持部41aを下方に向けた状態で回転軸40aに取り付けられている。第1磁石42は、第2磁石52と磁気的に結合して、モータ40の動力を第2磁石52に伝達する。第1磁石42は、保持部41aに嵌め込まれている。第1磁石42は、例えば、凹部112h2よりも大きい内径を有する円筒状で、例えば、ネオジムなどの永久磁石製である。
【0098】
回転軸51は、モータ40からの動力をワイパーユニット60に伝達し、ワイパーユニット60を往復移動させる。回転軸51は、セル空間CSに配置されている。第2磁石52は、第1磁石42と磁気的に結合して、モータ40の動力を回転軸51に伝達する。第2磁石52は、例えば、凹部112h2よりも小さい外径を有する円筒状で、ネオジムなどの永久磁石である。回転軸51の上端部51aが第2磁石52に嵌め込まれることにより、第2磁石52は回転軸51の上端部51aに取り付けられている。回転軸51の下端部51bは凹部111h2に挿入され、第2磁石52は凹部112h2内に配置されている。すなわち、第2磁石52は、凹部112h2と共に、第1磁石42内に配置されている。このとき、回転軸51は、モータ40の回転軸40aと同一軸線上に配置されている。モータ40が動作すると、回転軸40aが回転し、第1磁石42が回転する。このとき、第1磁石42と第2磁石52との磁気的な結合により第2磁石52が回転し、回転軸51が2つの凹部111h2,112h2にガイドされて回転するように構成されている。このように、第1磁石42と第2磁石52との磁気的結合により回転軸51が回転されることにより、回転軸51のシールが不要となり、筐体10の液密性は向上する。
【0099】
なお、第8変形例において、第2磁石の形状は、円筒状に限定されない。すなわち、例えば、第2磁石は、円柱状でもよく、あるいは、複数の磁石が保持されたカゴ型回転子のような形状でもよい。
【0100】
また、第8変形例において、取付部材は、回転軸と共に上下方向に移動可能に構成されていてもよい。この場合、例えば、モータが回転軸を回転させるとき、取付部材は降下し、モータが回転軸を回転させないとき、取付部材は上昇していてもよい。
【0101】
さらに、第8変形例において、磁気的な結合を介して、回転軸がモータの回転軸と共に回転すればよく、磁気的な結合の構成は、図15に示される構成に限定されない。
【符号の説明】
【0102】
1 測定装置
100 検出器
21 光源ユニット(発光部)
22 出射窓
22a 対向面
22b 傾斜面(ガイド面)
22c 曲面(ガイド面)
31 受光部
32 入射窓
32a 対向面
32b 傾斜面(ガイド面)
32c 曲面(ガイド面)
63 ワイパー
63a 第1面
63b 第2面
631 ブレード部
631a 先端部
631b 第1面
631c 第2面
632 ブレード部
632a 先端部
632b 第1面
632c 第2面
63A ワイパー
631A ブレード部
631aA 先端部
632A ブレード部
632aA 先端部
63B ワイパー
631B ブレード部
631aB 先端部
632B ブレード部
632aB 先端部
100A 検出器(第1変形例)
100B 検出器(第2変形例)
100C 検出器(第3変形例)
100D 検出器(第4変形例)
100E 検出器(第5変形例)
100F 検出器(第6変形例)
100G 検出器(第7変形例)
100H 検出器(第8変形例)
CS セル空間
P1 初期位置(第1位置)
P2 折返位置(第2位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15