(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022149
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】積層装置および積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240208BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B25J13/08 A
H05K3/46 Y
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125515
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】森本 崇
【テーマコード(参考)】
3C707
5E316
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707AS08
3C707BS10
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS05
3C707KT02
3C707KT06
3C707LT06
3C707LT12
3C707NS09
3C707NS10
5E316AA02
5E316CC16
5E316EE21
5E316GG28
5E316HH31
(57)【要約】
【課題】搬送経路が自由にレイアウト可能な積層装置および積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る積層装置1は、シート状の被積層体Sが載置される載置台4と、複数の被積層体が積層される積層台6と、被積層体を保持し、載置台における載置位置P1から積層台の上方の待機位置P2まで搬送する多関節ロボット5と、多関節ロボットに保持されている被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置81~84と、画像に基づいて、積層台に積層された被積層体により構成される中間積層体ILに対する、多関節ロボットに保持されている被積層体の位置を調整する位置調整部311と、中間積層体と、多関節ロボットに保持されている被積層体と、の相対距離を調整することにより、被積層体を中間積層体に積層させる距離調整機構7と、を有してなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被積層体が載置される載置台と、
複数の前記被積層体が積層される積層台と、
前記被積層体を保持し、前記載置台における載置位置から前記積層台の上方の待機位置まで搬送する多関節ロボットと、
前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置と、
前記画像に基づいて、前記積層台に積層された前記被積層体により構成される中間積層体に対する、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整する位置調整部と、
前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体と、の相対距離を調整することにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる距離調整機構と、
を有してなる、
積層装置。
【請求項2】
前記距離調整機構として機能し、前記積層台を昇降させる昇降装置、
を有してなり、
前記昇降装置は、前記待機位置において前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体に向けて、前記積層台を上昇させることにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項3】
前記多関節ロボットは、
前記距離調整機構として機能し、
前記中間積層体に向けて、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体を下降させることにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項4】
前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体に向けて光を照射する光源と、
前記光源を、前記待機位置の下方の照射位置と、前記距離調整機構による前記相対距離の調整を阻害しない退避位置と、の間で移動させる移動装置と、
を有してなり、
前記撮像装置は、前記待機位置の上方に配置され、
前記移動装置は、
前記撮像装置が前記特徴部の撮像を開始するとき、前記光源を前記退避位置から前記照射位置に移動させて、
前記撮像装置が前記特徴部の撮像を終了したとき、前記光源を前記照射位置から前記退避位置に移動させる、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層装置。
【請求項5】
前記多関節ロボットは、前記被積層体を保持する保持部材を備え、
前記保持部材は、前記被積層体が前記待機位置に搬送されたとき、前記保持部材に保持される前記被積層体の一部が前記撮像装置により上方から撮像可能に構成される窓部を備える、
請求項4に記載の積層装置。
【請求項6】
前記位置調整部は、前記中間積層体に対する前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記位置のずれ量が、所定の閾値を満たすまで、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記位置の調整を繰り返す、
請求項1または2に記載の積層装置。
【請求項7】
前記中間積層体に前記被積層体が積層される前に、前記中間積層体の上面または前記被積層体の下面に、前記積層を補助するための補助処理を実行する補助処理装置、
を有してなり、
前記多関節ロボットは、前記被積層体を保持する保持面を有する保持部材を備え、
前記補助処理装置は、前記保持部材に取り付けられて、前記中間積層体の前記上面に前記補助処理を実行し、
前記多関節ロボットは、
前記距離調整機構が前記相対距離を調整するとき、前記保持面を前記上面側に向けて、
前記補助処理装置が前記補助処理を実行するとき、前記補助処理装置が前記上面側に向けられるように、前記保持部材の向きを変える、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項8】
シート状の被積層体が載置される載置台と、
複数の前記被積層体が積層される積層台と、
前記被積層体を保持し、搬送する多関節ロボットと、
前記被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置と、
前記画像に基づいて、前記積層台に積層された前記被積層体により構成される中間積層体に対する前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整する位置調整部と、
前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体と、の相対距離を調整する距離調整機構と、
を有してなる積層装置により実行される積層体の製造方法であって、
前記多関節ロボットが、前記載置台に載置された前記被積層体を保持するステップと、
前記多関節ロボットが、前記被積層体を前記積層台の上方に搬送するステップと、
前記撮像装置が、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記画像を撮像するステップと、
前記位置調整部が、前記中間積層体に対する、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記位置を調整するステップと、
前記距離調整機構が、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持された前記被積層体と、の前記相対距離を調整することにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させるステップと、
を含む、
積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層装置および積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層構造を有する積層セラミック電子部品(例えば、積層セラミックコンデンサ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitors)、チップインダクタ、低温同時焼成セラミック(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)など)の製造工程では、フィルム状の基材上にセラミックグリーンシートが形成される。次いで、セラミックグリーンシート上に内部電極が適宜印刷される。次いで、セラミックグリーンシートが基材から剥離され、複数のセラミックグリーンシート同士が積層されてセラミックグリーンシートの積層体が形成される。次いで、積層体が加熱・圧着され、所定のサイズに切断されることにより積層体がチップ化される。次いで、チップ化された積層体が焼成され、焼成体の表面に外部電極が形成され、積層セラミック電子部品が完成する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように、所定の大きさの複数のセラミックグリーンシートが積層された積層体から多数の積層セラミック電子部品が製造されている。近年、積層セラミック電子部品の小型化が進み、1つの積層体から製造される積層セラミック電子部品の数は、増大している。その結果、内部電極は微細化され、高精度なセラミックグリーンシートの積層が必要となっている。
【0004】
セラミックグリーンシートは、薄く(例えば、数μm~数10μm)、柔い。そのため、セラミックグリーンシートは、例えば、セラミックグリーンシートの全面を吸着保持する吸着保持装置により、セラミックグリーンシートの載置台(供給台)から積層台に搬送される(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-122068号公報
【特許文献2】特開2005-125799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示された積層装置では、吸着保持装置の移動には、吸着保持装置を載置台から積層台の間で直動させる搬送軸(例えば、リニアレールなど)が用いられる。そのため、積層装置では、搬送軸に沿った搬送経路のレイアウトが必要となり、積層装置の設置に必要なスペース(フットプリント)は大きくなり易い。また、積層装置の導入コストも高くなる。
【0007】
本発明は、搬送経路が自由にレイアウト可能な積層装置および積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様における積層装置は、シート状の被積層体が載置される載置台と、複数の前記被積層体が積層される積層台と、前記被積層体を保持し、前記載置台における載置位置から前記積層台の上方の待機位置まで搬送する多関節ロボットと、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置と、前記画像に基づいて、前記積層台に積層された前記被積層体により構成される中間積層体に対する、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整する位置調整部と、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体と、の相対距離を調整することにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる距離調整機構と、を有してなる、積層装置である。
【0009】
本発明の一実施形態における積層体の製造方法は、シート状の被積層体が載置される載置台と、複数の前記被積層体が積層される積層台と、前記被積層体を保持し、搬送する多関節ロボットと、前記被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置と、前記画像に基づいて、前記積層台に積層された前記被積層体により構成される中間積層体に対する前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整する位置調整部と、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体と、の相対距離を調整する距離調整機構と、を有してなる積層装置により実行される積層体の製造方法であって、前記多関節ロボットが、前記載置台に載置された前記被積層体を保持するステップと、前記多関節ロボットが、前記被積層体を前記積層台の上方に搬送するステップと、前記撮像装置が、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記画像を撮像するステップと、前記位置調整部が、前記中間積層体に対する、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整するステップと、前記距離調整機構が、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持された前記被積層体と、の相対距離を調整することにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させるステップと、を含む、積層体の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬送経路が自由にレイアウト可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る積層装置の実施の形態を示す模式図である。
【
図3】
図1の積層装置が備える積層台および昇降装置の模式断面図である。
【
図4】
図1の積層装置が備える撮像ユニットおよび照明ユニットの位置関係を示す模式斜視図である。
【
図5】
図1の積層装置の動作の例を示す模式部分拡大断面図である。
【
図6】
図5の状態の積層装置の動作の例を示す模式部分拡大断面図である。
【
図7】
図6の状態の積層装置の動作の例を示す模式部分拡大断面図である。
【
図8】
図7に示される動作を説明する模式部分拡大斜視図である。
【
図9】
図7の状態の積層装置の動作の例を示す模式部分拡大断面図である。
【
図10】
図9の状態の積層装置の動作の例を示す模式部分拡大断面図である。
【
図11】
図10の状態の積層装置の動作の例を示す模式断面図である。
【
図12】本発明の第1変形例に係る積層装置を示す模式部分拡大断面図である。
【
図13】本発明の第2変形例に係る積層装置を示す模式部分拡大断面図である。
【
図14】本発明の第3変形例に係る測定装置を示す模式部分拡大断面図である。
【
図15】本発明の第4変形例に係る測定装置を示す模式部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る積層装置および積層体の製造方法(以下「本製法」という。)の実施の形態について説明する。各図において、同一の部材および要素については同一の符号が付され、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、説明の便宜上、誇張されている場合が有り、各図面に図示されている比率に限定されない。
【0013】
●積層装置●
先ず、本発明に係る積層装置の実施の形態について説明する。
【0014】
●積層装置の構成
図1は、本発明に係る積層装置の実施の形態を示す模式図である。
図2は、積層装置1の機能ブロック図である。
【0015】
積層装置1は、セラミックグリーンシートS(以下「シートS」という。)を積層して、シートSの積層体Lを製造する。積層装置1は、例えば、多層構造を有する積層セラミック電子部品の製造工程において、積層体Lを製造するために用いられている。積層装置1は、筐体2、制御装置3、載置台4、搬送装置5、積層台6、昇降装置7、撮像ユニット8、照明ユニット9、および帯電ユニット10を有してなる
【0016】
「積層セラミック電子部品」は、例えば、積層セラミックコンデンサ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitors)、チップインダクタ、低温同時焼成セラミック(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)などのセラミックの多層構造を有する電子部品である。
【0017】
「シートS」は、積層セラミック電子部品の各層(誘電体層)となるシート状の部材である。シートSは、本発明における被積層体の一例である。本実施の形態では、シートSには、積層セラミック電子部品の内部電極(不図示)が印刷されている。
【0018】
「積層体L」は、複数のシートSが積層されることにより形成される、シートSの集合体である。積層体Lは、本発明に係る積層体の一例である。積層体Lの構成は、公知のセラミックグリーンシートの積層体の構成と共通する。そのため、積層体Lの構成の詳細は、省略される。
【0019】
筐体2は、制御装置3、載置台4、搬送装置5、積層台6、昇降装置7、撮像ユニット8、照明ユニット9、および帯電ユニット10を収容・支持している。筐体2は、収容室21および機械室22を備える。収容室21は、筐体2の下部に配置され、制御装置3を収容・支持している。機械室22は、収容室21の上方に隣接して配置され、載置台4、搬送装置5、積層台6、昇降装置7、撮像ユニット8、照明ユニット9、および帯電ユニット10を収容・支持している。収容室21および機械室22の形状は、例えば、箱状である。
【0020】
制御装置3は、積層装置1全体の動作を制御している。制御装置3は、例えば、1以上のPLC(Programmable Logic Controller)により構成されている。制御装置3は、制御部31および記憶部32を備える。
【0021】
制御部31は、搬送装置5、昇降装置7、撮像ユニット8、照明ユニット9、および帯電ユニット10の動作を制御する。制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)31aなどのプロセッサ、CPU31aの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)31bなどの揮発性メモリ、および、制御プログラムなどの各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)31cなどの不揮発性メモリ、により構成されている。制御部31は、位置調整部311、搬送制御部312、昇降制御部313、撮像制御部314、照明制御部315、および帯電制御部316を備える。
【0022】
位置調整部311は、撮像ユニット8が撮像した画像に基づいて、積層台6上の中間積層体ILに対する、搬送装置5に保持されているシートSの位置を調整する。位置調整部311の具体的な動作は、後述される。
【0023】
「中間積層体IL」は、積層台6に積層予定のシートSのうち、積層台6に積層された一部のシートSにより構成される積層体である。すなわち、中間積層体ILは、積層体Lの積層途中の状態(例えば、100層の積層であれば、1層~99層のシートSが積層された状態)である。説明の便宜上、中間積層体ILには、最下層のシートSのみが積層台6に載置されている状態も含まれる。
【0024】
搬送制御部312は、搬送装置5の動作を制御する。搬送制御部312の具体的な動作は、後述される。
【0025】
昇降制御部313は、昇降装置7の動作を制御する。昇降制御部313の具体的な動作は、後述される。
【0026】
撮像制御部314は、撮像ユニット8の動作を制御する。撮像制御部314の具体的な動作は、後述される。
【0027】
照明制御部315は、照明ユニット9の動作を制御する。照明制御部315の具体的な動作は、後述される。
【0028】
帯電制御部316は、帯電ユニット10の動作を制御する。帯電制御部316の具体的な動作は、後述される。
【0029】
記憶部32は、積層装置1の動作に必要な情報(例えば、後述される第1画像、第2画像、閾値など)を記憶する。記憶部32は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。
【0030】
なお、本発明において、制御装置3は、PLCに限定されない。すなわち、例えば、制御装置3は、パーソナルコンピュータ、マイクロコントローラ、または、これらおよびPLCの組合せにより構成されていてもよい。
【0031】
また、本発明において、制御装置3は、搬送装置5、昇降装置7、撮像ユニット8、照明ユニット9、および帯電ユニット10それぞれの動作を個別に制御する複数の制御機器により構成されていてもよい。
【0032】
載置台4は、積層装置1において取り扱われる(積層される)シートSが載置されるステージである。載置台4は、例えば、金属製である。載置台4は、本発明における載置位置P1である平面状の上面4aを備える。載置台4は、機械室22の床面22aに取り付けられている。
【0033】
搬送装置5は、載置台4に載置されているシートSを保持し、載置位置P1から待機位置P2まで搬送する。搬送装置5は、例えば、公知の6軸の垂直多関節ロボットである。搬送装置5は、基台部51、アーム部52、保持部材53、および真空発生器54を備える。
【0034】
「載置位置P1」は、載置台4の上面4aのうち、シートSが載置されている位置である。
【0035】
「待機位置P2」は、積層台6が上昇したとき、搬送装置5に保持されているシートSと、積層台6の上面6a、または、積層台6の上面6aに積層されているシートS(中間積層体IL)と、が当接する位置である。すなわち、待機位置P2は、積層台6の上方に位置している。待機位置P2において、搬送装置5に保持されているシートSは、積層台6の上面6aに対向する。
【0036】
基台部51は、機械室22の床面22aに取り付けられ、アーム部52を支えている。
【0037】
アーム部52は、基台部51との接続部位である基端から先端まで、複数の関節部(本実施の形態では、6つ)で連結され、基台部51に対して所望の姿勢を取るために、所定の可動範囲内において自由に変位(動作)可能に構成されている。可動範囲には、載置台4および積層台6が含まれている。
【0038】
保持部材53は、シートSを保持する、いわゆるエンドエフェクタである。保持部材53の形状は、例えば、直方体状である。保持部材53は、例えば、シートSを歪みなく保持可能、かつ、後述される負荷に耐える剛性を有する金属製である。保持部材53は、アーム部52の先端に取り付けられている。保持部材53は、上面53a、下面53b、および4つの窓部53c,53d,53e,53f(
図4参照。以下同じ。)を備える。
【0039】
なお、本発明において、保持部材53は、必要な剛性を有していれば、合成樹脂製でもよい。
【0040】
また、本発明において、保持部材53の形状は、シートSを歪みなく保持可能な形状であればよく、直方体状に限定されない。
【0041】
保持部材53の下面53bは、シートSを吸着保持する保持面である。保持部材53の下面53bには複数の吸着孔(不図示。以下同じ。)が配置され、各吸着孔は配管(不図示)を介して真空発生器54に接続されている。
【0042】
窓部53c~53fは、保持部材53の上面53aと下面53bとを上下方向に貫通する貫通孔である。窓部53c~53fの形状は、例えば、円柱状である。窓部53c~53fは、上下方向視において、シートSの特徴部と重複する位置(保持部材53の4隅近傍)に配置されている。
【0043】
なお、本発明において、窓部53c~53fの形状は、撮像ユニット8が窓部53c~53fを介して特徴部を撮像可能な形状であればよく、円柱状に限定されない。すなわち、例えば、窓部53c~53fの形状は、矩形状や長孔状でもよい。
【0044】
「特徴部」は、シートS同士を積層するための位置決めの標識として機能する部位であり、例えば、シートSの形状を特徴づける部位(凹凸、輪郭など)、シートSに付される標識、などである。本実施の形態では、特徴部は、シートSの4隅に形成されている円形(「○」状)の孔である。
【0045】
なお、本発明において、特徴部は、孔に限定されない。すなわち、例えば、特徴部は、シートSの角部(輪郭)でもよい。また、例えば、特徴部は、シートSに付されているアライメントマークでもよい。さらに、特徴部の形状は、円形に限定されない。すなわち、例えば、特徴部の形状は、「+」状や「L字」状でもよい。
【0046】
真空発生器54は、保持部材53がシートSを吸着するための減圧雰囲気(真空)を発生させる。真空発生器54は、例えば、コンプレッサおよびエジェクタを備える公知の真空発生(減圧)機構である。コンプレッサが生成した圧縮空気がエジェクタに供給されることにより、エジェクタは吸着孔内を真空引きし減圧する。このときに吸着孔内に生じる負圧により、保持部材53はシートSを吸着保持できる。一方、コンプレッサからの圧縮空気の供給が停止されると、エジェクタは吸着孔内を真空破壊し、吸着孔内は大気開放され、保持部材53によるシートSの吸着が解除される。
【0047】
なお、本発明において、真空発生器54の構成は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、真空発生器54は、真空ポンプでもよい。
【0048】
図3は、積層台6および昇降装置7の模式断面図である。
同図は、説明の便宜上、照明ユニット9および帯電ユニット10も示している。また、同図は、移動後の積層台6、中間積層体IL、照明ユニット9および帯電ユニット10を破線で示し、移動後の保持部材53およびシートSを二点鎖線で示している。
【0049】
積層台6は、複数のシートSが積層されるステージである。積層台6は、例えば、金属製で、平面状の上面6aを備える。積層台6は、昇降装置7に支持され、昇降装置7により所定の移動範囲内において、上下方向に昇降可能である。
【0050】
昇降装置7は、積層台6を下降位置P3と積層位置P4との間で昇降させることにより、積層台6の上面6aに積層されているシートSの中間積層体ILと、搬送装置5に保持されているシートSと、の間の相対距離を調整する。昇降装置7は、本発明における距離調整機構の一例である。昇降装置7は、例えば、4つのスライドガイド71,72(2つのスライドガイドは不図示。以下同じ。)、4つのリニアブッシュ73,74(2つのリニアブッシュは不図示。以下同じ。)、および駆動部75を備える公知の直動機構である。
【0051】
「下降位置P3」は、搬送装置5および照明ユニット9の動作を阻害しない位置であって、後述される第1画像が撮像される位置である。
【0052】
「積層位置P4」は、下降位置P3よりも上方であって、後述されるシートSの積層が実行される位置である。
【0053】
スライドガイド71,72は、リニアブッシュ73,74の上下方向の移動をガイドする。スライドガイド71,72の形状は、円柱状である。スライドガイド71,72は、例えば、金属製である。スライドガイド71,72は、機械室22の床面22aに直立するように取り付けられている。
【0054】
リニアブッシュ73,74は、スライドガイド71,72に沿って上下方向に摺動することにより、積層台6を精密に昇降させる。リニアブッシュ73,74は、例えば、積層台6の4隅に取り付けられている。リニアブッシュ73,74には、対応するスライドガイド71,72が挿通されている。リニアブッシュ73,74が対応するスライドガイド71,72に沿って摺動することにより、積層台6は上下方向に精密に昇降可能である。
【0055】
駆動部75は、例えば、モータおよびボールねじを備え、積層台6を昇降させる駆動力を生成し、積層台6を昇降可能に構成されている。
【0056】
なお、本発明において、駆動部75の構成は、本実施の形態に限定されない。
【0057】
図4は、撮像ユニット8および照明ユニット9の位置関係を示す模式斜視図である。
【0058】
撮像ユニット8は、保持部材53に保持されているシートS(
図3参照)の特徴部を撮像する。撮像ユニット8は、4つの撮像装置81,82,83,84を備える。撮像装置81~84は、例えば、デジタルカメラである。撮像装置81~84は、積層台6の上方に配置され、機械室22の天井22b(
図3参照)に取り付けられている。撮像装置81~84は、保持部材53が後述される待機位置P2(
図3参照)に位置しているとき、対応する窓部53c~53fの上方に配置され、対応する窓部53c~53f内の特徴部を撮像する。
【0059】
照明ユニット9は、保持部材53に保持されているシートS(
図3参照)の特徴部に向けて光を照射する。照明ユニット9は、4つの光源91,92,93,94、および移動装置95(
図2参照。以下同じ。)を備える。
【0060】
光源91~94は、対応する特徴部に向けて光を照射する。光源91~94は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。
【0061】
移動装置95は、例えば、モータおよびスライド機構を備え、光源91~94を、退避位置P5と照射位置P6との間で移動可能に構成されている。
【0062】
「退避位置P5」は、昇降装置7による積層台6の昇降を阻害しない位置である。本実施の形態では、退避位置P5は、昇降装置7(
図3参照)の側方に位置している。
【0063】
「照射位置P6」は、光源91~94が対応する特徴部を照射可能な位置である。本実施の形態では、照射位置P6は、待機位置P2(
図3参照)に位置しているシートSと、下降している積層台6と、の間に位置している。
【0064】
図1~
図3に戻る。
帯電ユニット10は、シートSの中間積層体ILの上面ILaを帯電させる。帯電ユニット10は、帯電バー101および移動装置102を備える。
【0065】
帯電バー101は、高電圧を印加されることにより、シートSの中間積層体ILの上面ILaに放電(荷電粒子を照射)し、同上面ILaに帯電処理を実行する。帯電バー101の形状は、例えば、シートSの幅方向(
図3の紙面奥手前方向)に細長い棒状である。同幅方向において、帯電バー101の長さは、シートSの長さよりも僅かに長い。帯電バー101は本発明における補助処理装置の一例であり、帯電処理は本発明における補助処理の一例である。
【0066】
移動装置102は、例えば、モータおよびスライド機構を備え、帯電バー101を、第1退避位置P7と第2退避位置P8との間で移動可能に構成されている。
【0067】
「第1退避位置P7」は、搬送装置5によるシートSの搬送を阻害しない位置である。本実施の形態では、第1退避位置P7は、上下方向において、待機位置P2よりも上方であり、かつ、上方視において、昇降装置7の側方に位置している。
【0068】
「第2退避位置P8」は、搬送装置5によるシートSの搬送を阻害しない位置であり、上方視において、シートSに対して第1退避位置P7とは反対側の位置である。本実施の形態では、第2退避位置P8は、帯電バー101がシートSの中間積層体ILの上方を横切った後、第1退避位置P7に向けて折り返す位置である。
【0069】
●積層装置の動作
次に、積層装置1の動作(すなわち、本製法)が、積層台6に載置されているシートSの中間積層体ILに、シートSが積層される場合を例に、以下に説明される。以下の説明において、
図1~
図4は、適宜参照される。また、以下の
図5~
図7,
図9~
図11において、説明の便宜上、制御装置3の構成の一部が、二点鎖線で図示されている。
【0070】
図5は、積層装置1の動作の例を説明する模式部分拡大断面図である。
【0071】
先ず、撮像制御部314は、撮像ユニット8に、中間積層体ILの最上部に積層されているシートSの特徴部を撮像させる。このとき、積層台6は下降位置P3に位置し、各撮像装置81~84は対応する特徴部を撮像する。撮像された画像(以下「第1画像」という。)は、例えば、記憶部32に記憶されている。第1画像は、静止画である。
【0072】
図6は、
図5の積層装置1の次の動作の例を説明する模式断面図である。
【0073】
次いで、搬送制御部312は、搬送装置5に、載置台4の載置位置P1に載置されているシートSを取り出させる。このとき、保持部材53は、下面53bにシートSを吸着することにより、シートSを保持している(保持ステップ)。上方視において、窓部53c~53fの中には、シートSの特徴部が配置されている。
【0074】
図7は、
図6の積層装置1の次の動作の例を説明する模式部分拡大断面図である。
図8は、
図7に示される動作を説明する模式部分拡大斜視図である。
【0075】
次いで、搬送制御部312は、搬送装置5に、保持部材53に保持されているシートSを待機位置P2に搬送させる(搬送ステップ)。このとき、窓部53c~53fの上方には、対応する撮像装置81~84が配置されている。そのため、撮像装置81~84は、対応する窓部53c~53fを介して、保持部材53に保持されているシートSの特徴部を撮像可能である。
【0076】
次いで、照明制御部315は、移動装置95に、光源91~94を退避位置P5から照射位置P6に移動させる。次いで、撮像制御部314は、撮像ユニット8に、特徴部を撮像させる。このとき、撮像ユニット8は、窓部53c~53fを介して、保持部材53に保持されているシートSの特徴部の撮像を開始する。光源91~94は対応する特徴部に向けて下方から光を照射し、撮像装置81~84は対応する特徴部を撮像する(撮像ステップ)。すなわち、撮像装置81~84が対応する特徴部の撮像を開始するとき、移動装置95は光源91~94を退避位置P5から照射位置P6に移動させ、光源91~94は対応する特徴部に光を照射する。撮像された画像(以下「第2画像」という。)は、例えば、記憶部32に記憶されている。第2画像は、静止画でもよく、あるいは、動画でもよい。
【0077】
次いで、位置調整部311は、第1画像および第2画像に基づいて、積層台6上の中間積層体ILに対する、保持部材53に保持されているシートSの位置を調整する(位置調整ステップ)。具体的には、位置調整部311は、第2画像の特徴部が第1画像の特徴部に重複するようにアーム部52の動作を制御して、保持部材53の姿勢を変更させる。このとき、撮像ユニット8および位置調整部311は、第1画像および第2画像の特徴部同士のずれ量が所定の閾値(例えば、数μm)以内に収まるまで、第2画像の撮像と位置の調整とを繰り返させている。換言すれば、位置調整部311は、中間積層体ILに対する搬送装置5に保持されているシートSの位置のずれ量が所定の閾値を満たすまで、搬送装置5に保持されているシートSの位置の調整を繰り返している。
【0078】
ここで、保持部材53は、アーム部52の先端に取り付けられている。そのため、保持部材53の姿勢および位置は、アーム部52の各関節(軸)の動きの組み合わせにより変更される。すなわち、位置のずれ量の調整は、各関節(軸)の動きの組み合わせにより実行される。つまり、例えば、保持部材53の姿勢を維持した状態で保持部材53を真下へ平行移動させるとき、ある軸の動きによる姿勢の変化および前後左右方向への位置の変化を打ち消すように他の軸の動きが調整される。したがって、1回の位置の調整(保持部材53の姿勢の変更)では、シートSを待機位置P2に保ちつつ精度良くずれ量を調整できない場合が有る。そのため、ずれ量の調整は、1回で終了せず、ずれ量が所定の閾値を満たすまで複数回繰り返され得る。
【0079】
ずれ量が所定の範囲内に収まったとき、位置調整部311はアーム部52および保持部材53の姿勢を固定し、撮像制御部314は撮像ユニット8に特徴部の撮像を停止させ、照明制御部315は光源91~94に光の照射を停止させ、光源91~94を退避位置P5に移動させる。すなわち、撮像装置81~84が対応する特徴部の撮像を停止したとき、光源91~94は光の照射を停止し、移動装置95は光源91~94を照射位置P6から退避位置P5に移動させる。
【0080】
図9は、
図7の積層装置1の次の動作の例を説明する模式部分拡大断面図である。
【0081】
次いで、昇降制御部313は、昇降装置7に、待機位置P2において保持部材53に保持されているシートSに向けて積層台6を上昇させる。このとき、昇降装置7は、積層台6上の中間積層体ILがシートSに当接し、所定の圧力で押圧されるまで、積層台6を上昇させる。所定の圧力は、例えば、アーム部52が有する力覚センサ(不図示)により検知される。換言すれば、昇降装置7は、アーム部52が有するセンサの検知結果に基づいて、積層台6を積層位置P4まで上昇させ、シートSを積層させる(積層ステップ)。
【0082】
次いで、搬送制御部312は、保持部材53によるシートSの吸着を解除させる。
【0083】
ここで、前述のとおり、位置の調整後のアーム部52および保持部材53の姿勢は、固定されている。また、リニアブッシュ73,74が対応するスライドガイド71,72に沿って摺動することにより、積層台6は上下方向に精密に昇降可能である。したがって、位置の調整後のシートSに向けて積層台6(中間積層体IL)を精密に上昇させることにより、シートSは、中間積層体ILに精度よく積層される。
【0084】
また、中間積層体ILの上面ILaには、既に後述される帯電処理が実行されている。そのため、中間積層体ILとシートSとは、静電吸着される。その結果、シートSは、中間積層体ILに隙間なく密着する。このように、帯電処理は、シートSと中間積層体ILとの積層を補助する補助処理として機能している。
【0085】
図10は、
図9の積層装置1の次の動作の例を説明する模式部分拡大断面図である。
【0086】
次いで、搬送制御部312は、搬送装置5に、保持部材53を積層台6の上方から退避させる。
【0087】
次いで、帯電制御部316は、移動装置102に、帯電バー101を第1退避位置P7から第2退避位置P8まで移動させた後、第2退避位置P8から第1退避位置P7まで移動させる。このとき、帯電バー101は、中間積層体ILの上面ILa(新たに積層されたシートSの上面)を帯電させる。
【0088】
なお、本発明において、移動装置102は、帯電バー101を第1退避位置P7から第2退避位置P8に移動させた後、帯電バー101を第2退避位置P8に停止させ、次のシートSの積層後に、帯電バー101を第2退避位置P8から第1退避位置P7に移動させた後、帯電バー101を第1退避位置P7に停止させてもよい。この場合、帯電バー101は、中間積層体ILの上方を横切るとき、中間積層体ILの上面ILaを帯電させる。
【0089】
図11は、
図10の積層装置1の次の動作の例を説明する模式部分拡大断面図である。
【0090】
次いで、昇降制御部313は、昇降装置7に、積層台6を下降位置P3まで下降させる。以降は、必要数のシートSが積層されて積層体Lが完成するまで、上記の動作が繰り返される。
【0091】
このように、積層装置1では、シートSの搬送に多関節ロボットが用いられている。そのため、積層装置1では、アーム部52の可動範囲内であれば、載置台4および積層台6は自由にレイアウト可能である。すなわち、積層装置1では、シートSの搬送経路(載置台4から積層台6までの経路)は、自由にレイアウト可能である。また、搬送軸を用いて載置台(供給台)と積層台との間を搬送する従来の積層装置(以下「従来装置」という。)と比較して、積層装置1の設置に必要なスペース(フットプリント)は、小さくなる。
【0092】
また、積層装置1は、積層台6上の中間積層体ILに対する、搬送装置5に保持されているシートSの位置の調整を複数回繰り返すことにより、高精度な位置の調整を実現している。
【0093】
さらに、積層装置1は、高精度に位置が調整されたシートSに向けて、積層台6を精密に上昇させることにより、高精度なシートSの積層を実現している。その結果、積層装置1は、比較的簡易な構成で、シートSが高精度に積層された積層体Lを製造できる。
【0094】
●変形例●
次に、積層装置1の変形例が、先に説明した実施の形態(以下「第1実施形態」という。)と異なる点を中心に、以下に説明される。以下の変形例において、説明の便宜上、第1実施形態と同じ部材、および、共通する機能を有する部材には、第1実施形態と同じ符号が付されている。また、以下の変形例において、
図1~
図4は、適宜参照される。
【0095】
●第1変形例
図12は、第1変形例に係る積層装置1Aを示す模式部分拡大断面図である。
【0096】
第1変形例に係る積層装置1Aでは、積層処理の動作が、第1実施形態と異なる。搬送装置5は、保持部材53に保持されているシートSを積層台6に向けて下降させることにより、シートSを中間積層体ILに積層させる。すなわち、搬送装置5が、本発明における距離調整機構として機能している。この構成では、アーム部52の各関節(軸)の動きの組み合わせにより保持部材53の姿勢を制御しつつ保持部材53を下降させるため、積層精度は第1実施形態の積層精度よりも悪化するが、比較的高精度な積層は可能である。一方、第1実施形態における昇降装置7は不要となり、第1実施形態よりも積層装置1Aは省スペース化され、シートSの搬送経路は自由にレイアウト可能である。
【0097】
なお、第1変形例において、位置調整部311は、保持部材53の下降中に、位置の調整を繰り返してもよい。
【0098】
●第2変形例
図13は、第2変形例に係る積層装置1Bを示す模式部分拡大断面図である。
【0099】
第2変形例に係る積層装置1Bでは、帯電バー101が保持部材53の上面53aの端部に取り付けられる点、および、帯電処理の動作が第1実施形態と異なる。第2変形例では、搬送装置5は、昇降装置7が積層台6を上昇させるとき、保持部材53の下面53bを中間積層体ILの上面ILa側に向け、シートSの積層後、待機位置P2からの退避時に帯電バー101が下方を向くように保持部材53の姿勢を変更する。次いで、保持部材53は中間積層体ILの上方を横切り、帯電バー101は中間積層体ILの上面ILaを帯電させる(帯電処理を実行する)。すなわち、搬送装置5は、帯電バー101が帯電処理を実行するとき、帯電バー101が上面ILa側に向けられるように、保持部材53の向きを変える。次いで、保持部材53の下面53bが下方を向くように保持部材53の姿勢は変更される。この構成では、第1実施形態における移動装置102が不要となり、帯電処理は保持部材53の退避と同時に実行される。このように、搬送装置5が保持部材53の姿勢を自由に変更可能な多関節ロボットで構成されているため、積層を補助する補助処理装置が保持部材53にアタッチメントとして取り付け可能である。
【0100】
●第3変形例
図14は、第3変形例に係る積層装置1Cを示す模式部分拡大断面図である。
同図は、光源91からの光を二点鎖線で模式的に示している。
【0101】
第3変形例に係る積層装置1Cでは、光源91~94の位置、および、窓部53c~53fの構成が、第1実施形態と異なる。光源91~94は、待機位置P2よりも上方であって、撮像装置81~84の画角に干渉しない位置に配置されている。光源91~94からの光は、対応する窓部53c~53fに斜め上方から照射される。窓部53c~53fの内面は光を反射するように構成され(例えば、内面が白色に塗装されている)、光源91~94からの光は窓部53c~53f内において拡散光となる。この構成では、光が斜めから照射されていても、特徴部には上方の比較的全方位から光が照射され、撮像装置81~84は特徴部を明確に撮像できる。
【0102】
●第4変形例
図15は、第4変形例に係る積層装置1Dを示す模式部分拡大断面図である。
【0103】
第4変形例に係る積層装置1Dでは、積層台6および昇降装置7の構成が、第1実施形態と異なる。積層台6の4隅には、リニアブッシュ73,74に代えて、4つの貫通孔6b,6c(2つの貫通孔は不図示)が配置されている。昇降装置7は、ピン支持部76、および、4つのガイドピン77,78(2つのガイドピンは不図示)を備える。ピン支持部76は、積層台6の周囲に配置され、機械室22の床面22aに直立するように取り付けられている。ガイドピン77,78は、先端部77a,78aが下方に向けられるように、ピン支持部76に指示されている。昇降装置7が積層台6を上昇させると、ガイドピン77,78は、対応する貫通孔6b,6cに挿通され、積層台6はガイドピン77,78に沿って上昇する。そのため、積層台6の上昇精度は、貫通孔6b,6cとガイドピン77,78との隙間の公差により調整可能である。
【0104】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、積層装置1は、載置台4、積層台6、搬送装置5、撮像装置81~84、位置調整部311、および昇降装置7を備える。載置台4にはシート状のシートSが載置され、積層台6には複数のシートSが積層される。搬送装置5は、公知の垂直多関節ロボットであり、シートSを保持して、載置位置P1から待機位置P2まで搬送する。撮像装置81~84は、搬送装置5に保持されているシートSの特徴部を撮像する。位置調整部311は、第1画像および第2画像に基づいて、中間積層体ILに対する、搬送装置5に保持されているシートSの位置を調整する。昇降装置7は、積層台6を昇降させることにより、中間積層体ILと、搬送装置5に保持されているシートSと、の相対距離を調整し、シートSを中間積層体ILに積層させる。この構成によれば、シートSの搬送に多関節ロボットが用いられるため、多関節ロボット(アーム部52)の可動範囲内であれば、載置台4および積層台6は自由にレイアウト可能である。すなわち、積層装置1では、シートSの搬送経路(載置台4から積層台6までの経路)は、自由にレイアウト可能である。
【0105】
また、以上説明した実施の形態によれば、昇降装置7は、待機位置P2において搬送装置5に保持されているシートSに向けて、積層台6を上昇させることにより、シートSを中間積層体ILに積層させる。この構成によれば、積層装置1は、昇降装置7の昇降精度を高めることにより、多関節ロボットによりシートSを積層させる場合では得ることのできない高精度な積層を実現する。
【0106】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、撮像装置81~84は、待機位置P2の上方に配置されている。この構成によれば、積層装置1は、待機位置P2において、シートSの位置の調整および積層を実行できる。すなわち、シートSの搬送経路において、シートSの位置の調整専用のスペースが不要となる。そのため、積層装置1の省スペース化が可能であり、シートSの搬送経路は自由にレイアウト可能である。
【0107】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、積層装置1は、照明ユニット9を備える。照明ユニット9は、搬送装置5に保持されているシートSに光を照射する光源91~94、および、光源91~94を、照射位置P6と退避位置P5との間で移動させる移動装置95を備える。移動装置95は、撮像装置81~84が特徴部の撮像を開始するとき光源91~94を照射位置P6に移動させ、撮像装置81~84が特徴部の撮像を停止したとき、光源91~94を退避位置P5に移動させる。この構成によれば、光源91~94は、積層時における積層台6の移動を妨げることなく、シートSの下面側から光を照射可能である。そのため、撮像装置81~84は、貫通孔である特徴部の輪郭を明確に撮像可能である。その結果、位置調整部311による位置の調整精度は、向上する。
【0108】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、搬送装置5は、シートSを保持する保持部材53を備える。保持部材53は、窓部53c~53fを備える。窓部53c~53fは、保持部材53を上下方向に貫通しており、シートSが待機位置P2に搬送されたとき、特徴部が撮像装置81~84により撮像可能に構成されている。この構成によれば、待機位置P2の上方に配置されている撮像装置81~84は、保持部材53に遮られることなく、待機位置P2において保持されているシートSの特徴部を撮像できる。
【0109】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、位置調整部311は、中間積層体ILに対する、搬送装置5に保持されているシートSの位置のずれ量が、所定の閾値を満たすまで位置の調整を繰り返す。この構成によれば、位置調整部311による位置の調整精度は、向上する。
【0110】
●その他の実施形態●
なお、本発明において、載置台4は、移動可能に構成されていてもよい。すなわち、例えば、載置台4は、昇降可能に構成されていてもよく、あるいは、前工程(フィルムからシートSを剥離する工程)から搬送可能に構成されていてもよい。
【0111】
また、本発明において、載置台4には、1つのシートSのみが載置されていてもよく、あるいは、複数のシートSが重ねられて載置されていてもよい。
【0112】
さらに、本発明において、積層装置1は、複数の載置台4を備えていてもよい。この場合、例えば、複数の載置台4は、上下方向において、棚状に並べて配置されていてもよい。
【0113】
さらにまた、本発明において、搬送装置5は、多関節ロボットであればよく、6軸の垂直多関節ロボットに限定されない。すなわち、例えば、搬送装置5は、公知の4軸の水平多関節ロボットでもよい。
【0114】
さらにまた、本発明において、窓部53c~53fそれぞれには、半透明状の筒体が嵌入されていてもよい。この場合、筒体の上端部は保持部材53の上面53aよりも上方に突出し、光源91~94からの光は突出している上端部に照射される。この構成では、光源91~94からの光は、上端部の側方から照射され、上端部から筒体内に導光され、筒体の内側の空間に照射される。
【0115】
さらにまた、本発明において、窓部53c~53fの数は、特徴部の数に対応すればよく、「4」に限定されない。
【0116】
さらにまた、本発明において、窓部53c~53fの位置は、保持部材53の4隅近傍に限定されない。すなわち、例えば、窓部53c~53fは、上下方向視において、保持部材53の各辺の中央近傍に配置されていてもよい。
【0117】
さらにまた、本発明において、窓部53c~53fは、貫通孔に限定されない。すなわち、例えば、窓部53c~53fは、上方視において、保持部材53の端部から中央部に向けて延出される切欠きにより構成されていてもよい。
【0118】
さらにまた、本発明において、窓部53c~53fには、透光性材料(例えば、ガラスなど)製の部材が配置(嵌入)されていてもよい。
【0119】
さらにまた、本発明において、積層装置1は、複数の積層台6および昇降装置7を備えていてもよい。
【0120】
さらにまた、本発明において、昇降装置7の構成は、第1実施形態および第4実施例の構成に限定されない。すなわち、例えば、昇降装置7は、上方視において「L」字状で、積層台6の側方に、積層台6の隣り合う2辺に沿うように配置されている突き当て壁を備え、積層台6を2側方から突き当て壁に突き当てた状態で昇降させるように構成されていてもよい。
【0121】
さらにまた、本発明において、撮像装置81~84の数は、特徴部の数に対応すればよく、「4」に限定されない。
【0122】
さらにまた、本発明において、撮像装置81~84は、待機位置P2の下方に進退可能に構成されていてもよい。この場合、撮像装置81~84は、保持部材53に保持されているシートSの特徴部のみを下方から撮像するように構成されていてもよい。この構成では、位置調整部311は、1つ前に積層されたシートSの特徴部の画像と、新たに撮像された特徴部の画像と、に基づいて位置の調整を実行してもよい。また、撮像装置81~84は、保持部材53に保持されているシートSの特徴部と、中間積層体ILの最上部に積層されているシートSの特徴部と、を同時に撮像するように構成されていてもよい。この構成では、位置調整部311は、第1実施形態と同様の位置の調整を実行できる。
【0123】
さらにまた、本発明において、光源91~94の数は、特徴部の数に対応すればよく、「4」に限定されない。
【0124】
さらにまた、本発明において、撮像装置81~84が保持部材53に保持されているシートSの特徴部を撮像可能であれば、積層装置1は、照明ユニット9を備えていなくてもよい。
【0125】
さらにまた、本発明において、積層装置1は、帯電ユニット10を備えていなくてもよい。
【0126】
さらにまた、本発明において、帯電バー101の長さは、シートSの長さよりも短くてもよい。この場合、例えば、搬送装置5は、帯電バー101が上面ILa全体を帯電させるように、幅方向にも往復移動しながら、上面ILaの上方を横断するように構成される。
【0127】
さらにまた、本発明において、帯電バー101は、載置位置P1から待機位置P2までの搬送経路上に配置され、保持部材53に保持されているシートSの下面に帯電処理を実行してもよい。
【0128】
さらにまた、本発明において、積層装置1は、中間積層体ILの上面ILaに接着剤を塗布するディスペンサを備えていてもよい。この場合、ディスペンサは本発明における補助処理装置の一例であり、接着剤の塗布処理は本発明における補助処理の一例である。ディスペンサは、第1実施形態の帯電バー101に代えて移動装置102に取り付けられていてもよい。また、ディスペンサは、第2変形例の帯電バー101に代えて保持部材53の上面53aに取り付けられていてもよい。この場合、ディスペンサは、アーム部52の動作の制御により、帯電バー101とは別に上面ILaの全体に、または、部分的に接着剤を塗布するように移動可能に構成されていてもよい。
【0129】
さらにまた、本発明において、積層装置1は、載置台4から積層台6までの経路に、アライメント用のステージ(アライメント台)を備えていてもよい。この場合、積層装置1は、アライメント台の上方または下方に配置され、保持部材53に保持されているシートSの特徴部の画像(第2画像)を撮像する撮像装置を備える。この構成では、撮像装置81~84は、第1画像のみを撮像していてもよい。
【0130】
さらにまた、本発明において、補助処理装置は、積層を補助する補助処理が実行可能であればよく、帯電バー101やディスペンサに限定されない。
【0131】
さらにまた、本発明において、窓部53c~53fには、透光性を有するガラスや合成樹脂が嵌め込まれていてもよい。
【0132】
さらにまた、本発明において、1層目のシートSと積層台6の上面6aとの間には、公知の積層シートまたは積層フィルムが配置されていてもよい。
【0133】
●本発明の実施態様●
次に、以上説明した各実施形態から把握される本発明の実施態様について、各実施形態において記載された用語と符号とを援用しつつ、以下に記載する。
【0134】
本発明の第1の実施態様は、シート状の被積層体(例えば、シートS)が載置される載置台(例えば、載置台4)と、複数の前記被積層体が積層される積層台(例えば、積層台6)と、前記被積層体を保持し、前記載置台における載置位置(例えば、載置位置P1)から前記積層台の上方の待機位置(例えば、待機位置P2)まで搬送する多関節ロボット(例えば、搬送装置5)と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置(例えば、撮像装置81~84)と、前記画像に基づいて、前記積層台に積層された前記被積層体により構成される中間積層体(例えば、中間積層体IL)に対する、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整する位置調整部(例えば、位置調整部311)と、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体と、の相対距離を調整することにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる距離調整機構(例えば、昇降装置7)と、を有してなる、積層装置(例えば、積層装置1,1A,1B,1C,1D)である。
この構成によれば、セラミックグリーンシートの搬送経路は、自由にレイアウト可能である。
【0135】
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記距離調整機構として機能し、前記積層台を昇降させる昇降装置(例えば、昇降装置7)、を有してなり、前記昇降装置は、前記待機位置において前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体に向けて、前記積層台を上昇させることにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる、積層装置(例えば、積層装置1,1B,1C,1D)である。
この構成によれば、積層装置は、昇降装置の昇降精度を高めることにより、多関節ロボットによりセラミックグリーンシートを積層させる場合では得ることのできない高精度な積層を実現できる。
【0136】
本発明の第3の実施態様は、第1の実施態様において、前記多関節ロボットは、前記距離調整機構として機能し、前記中間積層体に向けて、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体を下降させることにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる、積層装置(例えば、積層装置1A)である。
この構成によれば、積層装置は省スペース化され、セラミックグリーンシートの搬送経路は自由にレイアウト可能である
【0137】
本発明の第4の実施態様は、第1乃至第3のいずれか1の実施態様において、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体に向けて光を照射する光源(例えば、光源91~94)と、前記光源を、前記待機位置の下方の照射位置(例えば、照射位置P6)と、前記距離調整機構による前記相対距離の調整を阻害しない退避位置(例えば、退避位置P5)と、の間で移動させる移動装置(例えば、移動装置95)と、を有してなり、前記撮像装置は、前記待機位置の上方に配置され、前記移動装置は、前記撮像装置が前記特徴部の撮像を開始するとき、前記光源を前記退避位置から前記照射位置に移動させて、前記撮像装置が前記特徴部の撮像を終了したとき、前記光源を前記照射位置から前記退避位置に移動させる、積層装置である。
この構成によれば、撮像装置は、待機位置に搬送されたセラミックグリーンシートの貫通孔である特徴部の輪郭を明確に撮像可能である。その結果、待機位置において、セラミックグリーンシートの位置の調整および積層が実行でき、位置調整部による位置の調整精度は、向上する。
【0138】
本発明の第5の実施態様は、第4の実施態様において、前記多関節ロボットは、前記被積層体を保持する保持部材(例えば、保持部材53)を備え、前記保持部材は、前記被積層体が前記待機位置に搬送されたとき、前記保持部材に保持される前記被積層体の一部が前記撮像装置により上方から撮像可能に構成される窓部(例えば、窓部53c~53f)を備える、積層装置である。
この構成によれば、待機位置の上方に配置されている撮像装置は、保持部材に遮られることなく、特徴部を撮像できる。
【0139】
本発明の第6の実施態様は、第4の実施態様において、前記位置調整部は、前記中間積層体に対する前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記位置のずれ量が、所定の閾値を満たすまで、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記位置の調整を繰り返す、積層装置である。
この構成によれば、位置調整部による位置の調整精度は、向上する。
【0140】
本発明の第7の実施態様は、第1の実施態様において、前記中間積層体に前記被積層体が積層される前に、前記中間積層体の上面(例えば、上面ILa)または前記被積層体の下面に、前記積層を補助するための補助処理を実行する補助処理装置(例えば、帯電バー101)、を有してなり、前記多関節ロボットは、前記被積層体を保持する保持面(例えば、下面53b)を有する保持部材、を備え、前記補助処理装置は、前記保持部材に取り付けられて、前記中間積層体の前記上面に前記補助処理を実行し、前記多関節ロボットは、前記距離調整機構が前記相対距離を調整するとき、前記保持面を前記上面側に向けて、前記補助処理装置が前記補助処理を実行するとき、前記補助処理装置が前記上面側に向けられるように、前記保持部材の向きを変える、積層装置(例えば、積層装置1B)である。
この構成によれば、帯電バーの移動装置が不要となり、帯電処理は保持部材の退避と同時に実行できる。
【0141】
本発明の第8の実施態様は、シート状の被積層体(例えば、シートS)が載置される載置台(例えば、載置台4)と、複数の前記被積層体が積層される積層台(例えば、積層台6)と、前記被積層体を保持し、搬送する多関節ロボット(例えば、搬送装置5)と、前記被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置(例えば、撮像装置81~84)と、前記画像に基づいて、前記積層台に積層された前記被積層体により構成される中間積層体(例えば、中間積層体IL)に対する前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整する位置調整部(例えば、位置調整部311)と、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体と、の相対距離を調整する距離調整機構(例えば、昇降装置7)と、を有してなる積層装置(例えば、積層装置1,1A,1B,1C,1D)により実行される積層体(例えば、積層体L)の製造方法(例えば、本製法)であって、前記多関節ロボットが、前記載置台に載置された前記被積層体を保持するステップ(例えば、保持ステップ)と、前記多関節ロボットが、前記被積層体を前記積層台の上方に搬送するステップ(例えば、搬送ステップ)と、前記撮像装置が、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記画像を撮像するステップ(例えば、撮像ステップ)と、前記位置調整部が、前記中間積層体に対する、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記位置を調整するステップ(例えば、位置調整ステップ)と、前記距離調整機構が、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持された前記被積層体と、の前記相対距離を調整することにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させるステップ(例えば、積層ステップ)と、を含む、積層体の製造方法である。
この構成によれば、セラミックグリーンシートの搬送経路は、自由にレイアウト可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 積層装置
1A 積層装置(第1変形例)
1B 積層装置(第2変形例)
1C 積層装置(第3変形例)
1D 積層装置(第4変形例)
311 位置調整部
4 載置台
5 搬送装置(多関節ロボット、距離調整機構)
53 保持部材
53b 下面(保持面)
53c 窓部
53d 窓部
53e 窓部
53f 窓部
6 積層台
7 昇降装置(距離調整機構)
81 撮像装置
82 撮像装置
83 撮像装置
84 撮像装置
91 光源
92 光源
93 光源
94 光源
95 移動装置
101 帯電バー(補助処理装置)
IL 中間積層体
ILa 上面
L 積層体
P1 載置位置
P2 待機位置
P5 退避位置
P6 照射位置
S セラミックグリーンシート(被積層体)
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被積層体が載置される載置台と、
複数の前記被積層体が積層される積層台と、
前記被積層体を保持し、前記載置台における載置位置から前記積層台の上方の待機位置まで搬送する多関節ロボットと、
前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置と、
前記画像に基づいて、前記積層台に積層された前記被積層体により構成される中間積層体に対する、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整する位置調整部と、
前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体と、の相対距離を調整することにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる距離調整機構と、
を有してなり、
前記距離調整機構は、前記積層台を昇降させる昇降装置であり、
前記昇降装置は、前記待機位置において前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体に向けて、前記積層台を上昇させることにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる、
積層装置。
【請求項2】
前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体に向けて光を照射する光源と、
前記光源を、前記待機位置の下方の照射位置と、前記距離調整機構による前記相対距離の調整を阻害しない退避位置と、の間で移動させる移動装置と、
を有してなり、
前記撮像装置は、前記待機位置の上方に配置され、
前記移動装置は、
前記撮像装置が前記特徴部の撮像を開始するとき、前記光源を前記退避位置から前記照射位置に移動させて、
前記撮像装置が前記特徴部の撮像を終了したとき、前記光源を前記照射位置から前記退避位置に移動させる、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項3】
前記多関節ロボットは、前記被積層体を保持する保持部材を備え、
前記保持部材は、前記被積層体が前記待機位置に搬送されたとき、前記保持部材に保持される前記被積層体の一部が前記撮像装置により上方から撮像可能に構成される窓部を備える、
請求項2に記載の積層装置。
【請求項4】
前記位置調整部は、前記中間積層体に対する前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記位置のずれ量が、所定の閾値を満たすまで、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記位置の調整を繰り返す、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項5】
前記中間積層体に前記被積層体が積層される前に、前記中間積層体の上面または前記被積層体の下面に、前記積層を補助するための補助処理を実行する補助処理装置、
を有してなり、
前記多関節ロボットは、前記被積層体を保持する保持面を有する保持部材を備え、
前記補助処理装置は、前記保持部材に取り付けられて、前記中間積層体の前記上面に前記補助処理を実行し、
前記多関節ロボットは、
前記距離調整機構が前記相対距離を調整するとき、前記保持面を前記上面側に向けて、
前記補助処理装置が前記補助処理を実行するとき、前記補助処理装置が前記上面側に向けられるように、前記保持部材の向きを変える、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項6】
シート状の被積層体が載置される載置台と、
複数の前記被積層体が積層される積層台と、
前記被積層体を保持し、前記載置台における載置位置から前記積層台の上方の待機位置まで搬送する多関節ロボットと、
前記被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置と、
前記画像に基づいて、前記積層台に積層された前記被積層体により構成される中間積層体に対する前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整する位置調整部と、
前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体と、の相対距離を調整する距離調整機構と、
を有してなる積層装置により実行される積層体の製造方法であって、
前記距離調整機構は、前記積層台を昇降させる昇降装置であり、
前記多関節ロボットが、前記載置台に載置された前記被積層体を保持するステップと、
前記多関節ロボットが、前記被積層体を前記待機位置に搬送するステップと、
前記撮像装置が、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記画像を撮像するステップと、
前記位置調整部が、前記中間積層体に対する、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記位置を調整するステップと、
前記昇降装置が、前記待機位置において前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体に向けて、前記積層台を上昇させて、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持された前記被積層体と、の前記相対距離を調整することにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させるステップと、
を含む、
積層体の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一実施態様における積層装置は、シート状の被積層体が載置される載置台と、複数の前記被積層体が積層される積層台と、前記被積層体を保持し、前記載置台における載置位置から前記積層台の上方の待機位置まで搬送する多関節ロボットと、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置と、前記画像に基づいて、前記積層台に積層された前記被積層体により構成される中間積層体に対する、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整する位置調整部と、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体と、の相対距離を調整することにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる距離調整機構と、を有してなり、前記距離調整機構は、前記積層台を昇降させる昇降装置であり、前記昇降装置は、前記待機位置において前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体に向けて、前記積層台を上昇させることにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させる、積層装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一実施形態における積層体の製造方法は、シート状の被積層体が載置される載置台と、複数の前記被積層体が積層される積層台と、前記被積層体を保持し、前記載置台における載置位置から前記積層台の上方の待機位置まで搬送する多関節ロボットと、前記被積層体の特徴部の画像を撮像する撮像装置と、前記画像に基づいて、前記積層台に積層された前記被積層体により構成される中間積層体に対する前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整する位置調整部と、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体と、の相対距離を調整する距離調整機構と、を有してなる積層装置により実行される積層体の製造方法であって、前記距離調整機構は、前記積層台を昇降させる昇降装置であり、前記多関節ロボットが、前記載置台に載置された前記被積層体を保持するステップと、前記多関節ロボットが、前記被積層体を前記待機位置に搬送するステップと、前記撮像装置が、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の前記画像を撮像するステップと、前記位置調整部が、前記中間積層体に対する、前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体の位置を調整するステップと、前記昇降装置が、前記待機位置において前記多関節ロボットに保持されている前記被積層体に向けて、前記積層台を上昇させて、前記中間積層体と、前記多関節ロボットに保持された前記被積層体と、の相対距離を調整することにより、前記被積層体を前記中間積層体に積層させるステップと、を含む、積層体の製造方法である。