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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002216
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B65G47/14 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101285
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】志村 洋一
(72)【発明者】
【氏名】梶本 武志
(72)【発明者】
【氏名】松井 周平
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA01
3F080AA05
3F080AA24
3F080BA02
3F080BC01
3F080CB02
3F080CB06
3F080CB11
3F080CB13
3F080CC03
3F080CG02
3F080DA10
3F080DA11
3F080DA20
3F080DB04
3F080EA08
3F080EA09
3F080EA10
3F080EA15
(57)【要約】
【課題】搬送されるワークの位置および姿勢を安定させることで作業効率を向上させることができる部品供給装置を提供する。
【解決手段】部品供給装置2は、収容したワークWを振動によって整列させながら搬送路18aに沿って搬送供給するボウル18を有する振動ボウルフィーダ16と、振動ボウルフィーダ16から整列状態で供給されるワークWを搬送する搬送台8とを備えている。搬送台8が、振動ボウルフィーダ16の外周に沿って円環状に配置され、上面にワークWの搬送面22aが構成された回転円盤22を有する。搬送面22aに、搬送台8を搬送中のワークWの位置および姿勢が変わるのを抑制する姿勢安定手段34が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容したワークを振動によって整列させながら搬送路に沿って搬送供給するボウルを有する振動ボウルフィーダと、
前記振動ボウルフィーダから整列状態で供給される前記ワークを搬送する搬送台と、を備え、
前記搬送台が前記振動ボウルフィーダの外周に沿って円環状に配置され、
前記搬送台が、上面に前記ワークの搬送面が構成された回転円盤を有する部品供給装置であって、
前記搬送面に、前記搬送台を搬送中の前記ワークの位置および姿勢が変わるのを抑制する姿勢安定手段が設けられている部品供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品供給装置において、前記回転円盤上に、前記ワークを供給するワーク供給エリアと、前記ワーク供給エリアのワーク流れ方向下流に前記ワークの位置および姿勢を検出するセンシングエリアと、前記センシングエリアのワーク流れ方向下流に前記ワークをピックアップするピックアップエリアと、前記ピックアップエリアのワーク流れ方向下流側に前記ピックアップエリアでピックアップされなかったワークを前記ボウルに戻すワーク回収エリアとが設けられている部品供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の部品供給装置において、前記姿勢安定手段は、前記搬送面に形成された前記搬送台の周方向に延びる溝である部品供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品供給装置において、前記溝における径方向内側の壁面が、径方向内側に向かって上方に傾斜している部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品、電子部品等のワークを搬送台に供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械部品、電子部品等のワークの部品供給装置として、ワークを自動的に整列させて搬送台に供給し、搬送台上でワークをロボットによってピックアップして次の工程に供給するものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6892952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような部品供給装置では、ピックアップされるワークの位置および姿勢が不安定であると、ピックアップされないワークが増えて、作業効率が悪くなる。
【0005】
本発明の目的は、搬送されるワークの位置および姿勢を安定させることで作業効率を向上させることができる部品供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品供給装置は、収容したワークを振動によって整列させながら搬送路に沿って搬送供給するボウルを有する振動ボウルフィーダと、前記振動ボウルフィーダから整列状態で供給される前記ワークを搬送する搬送台とを備えている。前記搬送台が、前記振動ボウルフィーダの外周に沿って円環状に配置され、上面に前記ワークの搬送面が構成された回転円盤を有する。前記搬送面に、前記搬送台を搬送中の前記ワークの位置および姿勢が変わるのを抑制する姿勢安定手段が設けられている。
【0007】
この構成によれば、姿勢安定手段により、搬送台を搬送中のワークの位置および姿勢が変わるのが抑制される。これにより、例えば、ロボットによるワークのピックアップ作業が安定する。その結果、作業効率が向上する。
【0008】
本発明において、前記回転円盤上に、前記ワークを供給するワーク供給エリアと、前記ワーク供給エリアのワーク流れ方向下流に前記ワークの位置および姿勢を検出するセンシングエリアと、前記センシングエリアのワーク流れ方向下流に前記ワークをピックアップするピックアップエリアと、前記ピックアップエリアのワーク流れ方向下流側に前記ピックアップエリアでピックアップされなかったワークを前記ボウルに戻すワーク回収エリアとが設けられていてもよい。
【0009】
この構成では、センシングエリアでワークの位置および姿勢が検出され、この検出された位置および姿勢のワークがピックアップエリアでピックアップされる。このとき、センシングエリアで検出されたワークの位置および姿勢から、ピックアップエリアでのワークの位置および姿勢が変わっていると、ワークがピックアップされず、作業効率が悪くなる。上記構成によれば、姿勢安定手段によりワークの位置および姿勢が変わるのが抑制されるので、センシングエリアとピックアップエリアとでワークの位置および姿勢が変化しない。したがって、ワークが安定してピックアップされ、作業効率が向上する。
【0010】
本発明において、前記姿勢安定手段は、例えば、前記搬送面に形成された前記搬送台の周方向に延びる溝である。この構成によれば、姿勢安定手段の構成が簡単で、且つ、その実現も容易である。
【0011】
この場合、前記溝における径方向内側の壁面が、径方向内側に向かって上方に傾斜していてもよい。この構成によれば、溝の径方向内側の壁面が傾斜しているので、ピックアップされなかったワークをワーク回収エリアからボウルに戻すのが容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の部品供給装置によれば、姿勢安定手段により、搬送台を搬送中のワークの位置および姿勢が変わるのが抑制されるので、例えば、ロボットによるワークのピックアップ作業が安定し、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る部品供給装置を含む部品供給システムを示す平面図である。
図2】同部品供給システムを示す側面図である。
図3】同部品供給システムを示す斜視図である。
図4】同部品供給装置の姿勢安定手段の一種である溝を示す断面図である。
図5A】同部品供給システムのハンドを拡大して示す正面図である。
図5B図5Aのハンドを矢印VB方向から見た側面図である。
図6A図5Aとは異なる姿勢のハンドを示す正面図である。
図6B図6Aのハンドを矢印VIB方向から見た側面図である。
図7A】本発明の第2実施形態に係る部品供給装置を含む部品供給システムのハンドを拡大して示す正面図である。
図7B図7Aのハンドを矢印VIIB方向から見た側面図である。
図8A】本発明の第3実施形態に係る部品供給装置を含む部品供給システムのハンドを拡大して示す正面図である。
図8B図8Aのハンドを矢印VIIIB方向から見た側面図である。
図9】同ハンドの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1~3は本発明の第1実施形態に係る部品供給システムSYを示す断面図、側面図および斜視図である。以下の説明において、「上流」および「下流」は、ワークの流れ方向の「上流」および「下流」をいう。
【0015】
[システム全体]
図1に示すように、部品供給システムSYは、部品供給装置2により自動的に整列されたワークWを、ロボット4およびハンド6(図2)によってピックアップして次工程の自動機械などに供給する。詳細には、部品供給システムSYは、ワークWを搬送台8に供給する部品供給装置2と、搬送台8が配置された第1のエリアA1から第1のエリアA1とは異なる第2のエリアA2にワークWを搬送するロボット4と、ロボット4のアーム10の先端に取り付けられたハンド6(図2)とを備えている。
【0016】
本実施形態では、ワークWは、ボルトのような円筒形の部材である。ただし、ワークWは、これに限定されず、例えば、機械部品、電子部品、プラスチック部品、薬品、医療品、食料品、雑貨類等であってもよい。
【0017】
部品供給装置2、ロボット4およびハンド6は、制御装置12により同期制御される。具体的には、搬送台8上のワークWの位置および姿勢がワーク検出手段14により検出され、ワーク検出手段14で検出された位置にロボット4のアーム10が移動し、ワーク検出手段14で検出された姿勢に応じた角度でハンド6がワークWを把持する。その後、ロボット4のアーム10が第2のエリアA2に移動し、ハンド6がワークWを離す。以降、この動作が繰り返される。
【0018】
本実施形態では、ワーク検出手段14は、カメラのような撮影手段である。ただし、ワーク検出手段14は、カメラに限定されず、例えば、距離センサや接触式のワーク検出手段等であってもよい。カメラは、ワークWの位置および姿勢の検出専用に設けられてもよく、別の用途に兼用されてもよい。また、カメラは、固定式であってもよく、ロボット4のアーム4に取り付けられてもよい。
【0019】
[部品供給装置]
部品供給装置2は、収容したワークWを振動によって整列させる振動ボウルフィーダ16と、振動ボウルフィーダ16から整列状態で供給されるワークWを搬送する搬送台8とを備えている。搬送台8は、振動ボウルフィーダ16の外周に沿って振動ボウルフィーダ16の外周を囲むように配置されている。
【0020】
振動ボウルフィーダ16は、内周面に搬送路18aを有する椀状のボウル18と、ボウル18を振動させる振動機(図示せず)とを有している。ボウル18に収容されたワークWが、振動機の振動によって整列させながら搬送路18aに沿って、搬送路18aの最上部に位置するワーク排出部18bまで順次搬送される。
【0021】
本実施形態の部品供給装置2は、振動ボウルフィーダ16と搬送台8との間の全周に、搬送台8の上面よりも上方に突出する立壁20を有している。つまり、立壁20は、振動ボウルフィーダ16の径方向外側で、搬送台8の径方向内側に位置している。
【0022】
ワーク排出部18bおよび後述のワーク回収部32は、立壁20を貫通する開口である。ただし、部品供給装置2の構成はこれに限定されず、振動ボウルフィーダ16と搬送台8との間の周方向の一部または全部に立壁20のない部分が形成されてもよい。その場合、ワーク排出部18bおよびワーク回収部32(後述)は、搬送台8の周方向における立壁20のない領域に形成されてもよい。
【0023】
椀状のボウル18は、ワークWを収容する底部18cと、底部18cの外径側から螺旋を描くように上方へ向かう前記搬送路18aとを有している。搬送路18aの最上部に、立壁20を貫通する前記ワーク排出部18bが形成されている。
【0024】
ボウル18の底部18aに投入されたワークWは、ボウル18の振動によって内周面の搬送路18aを下方から上方に向かって整列しながら順次で繰り出され、最上部のワーク排出部18bから排出される。
【0025】
搬送台8は、振動ボウルフィーダ16の外周に沿って円環状に配置されている。搬送台8は、上面にワークWの円環状の搬送面22aが構成された回転円盤22を有している。搬送面22aと、ワーク排出部18bはほぼ同じ高さ位置に調節されている。この回転円盤22が、回転駆動装置(図示せず)により旋回駆動される。回転駆動装置は、例えば、電動モータであるが、これに限定されない。また、駆動モータの駆動軸にエンコーダ(図示せず)が接続されており、回転円盤22の位相位置が検出可能となっている。
【0026】
回転円盤22の上面の搬送面22aに、周方向に並んで、ワーク供給エリア24と、センシングエリア26と、ピックアップエリア28と、ワーク回収エリア30とが設けられている。ワーク供給エリア24は、ワーク排出部18bからワークWが供給される領域である。
【0027】
センシングエリア26は、ワーク供給エリア24のワーク流れ方向下流側に位置する。センシングエリア26において、前述のワーク検出手段14によりワークWの位置および姿勢が検出される。
【0028】
ピックアップエリア28は、センシングエリア26のワーク流れ方向下流側に位置する。ピックアップエリア28において、ロボット4およびハンド6によりワークWがピックアップされる。
【0029】
ワーク回収エリア30は、ピックアップエリア28のワーク流れ方向下流側に位置する。ワーク回収エリア30では、ピックアップエリア28でピックアップされなかったワークWがボウル18に戻される。詳細には、ワーク回収エリア30に配置されたワーク回収部32を介して、ワークWが搬送路8からボウル18に戻される。前述のように、本実施形態では、ワーク回収部32は、立壁20を貫通する開口である。
【0030】
搬送路8の搬送面22aに、姿勢安定手段34が設けられている。姿勢安定手段34は、搬送台8を搬送中のワークWの位置および姿勢が変わるのを抑制する。詳細には、姿勢安定手段34は、センシングエリア26とピックアップエリア28の間で、ワークWの姿勢が変わるのを抑制する。本実施形態では、姿勢安定手段34は、搬送面22aの全周に設けられている。
【0031】
本実施形態では、姿勢安定手段34は、搬送面22aに形成された搬送台8の周方向に延びる溝34である。ただし、姿勢安定手段34は、溝に限定されない、姿勢安定手段34は、例えば、回転円盤22の搬送面22aと摩擦係数を変えるように構成されたり、回転円盤22と材質を変えたりしてもよい。具体的には、姿勢安定手段34は、例えば、金属の回転円盤22の搬送面22aに、繊維状のフェルトが取り付けられたり、ゴムのような弾性体が取り付けられたりしてもよい。
【0032】
図4に示すように、溝34があることで、回転円盤22が回転しても、ワークWが転がりにくく、ワークWの位置および姿勢が安定する。溝34により、特に、ボルトのような安定性の悪い円筒形のワークWを一定の姿勢に規制できる。
【0033】
本実施形態では、溝34における径方向内側の壁面34aが、径方向内側に向かって上方に傾斜している。一方、溝34における径方向外側の壁面34bは、ほぼ鉛直方向に延びている。つまり、水平方向に延びる溝34の底壁34cに対する径方向外側の壁面34bの角度θoは約90°で、底壁34cに対する径方向内側の壁面34aの角度θiは90°より大きい。底壁34cに対する径方向内側の壁面34aの角度θiは、好ましくは90°~150°で、より好ましくは135°~150°である。ただし、角度θo、θiは、これに限定されない。
【0034】
外径側の壁面34bが鉛直方向に延びているので、回転円盤22が回転する際の遠心力でワークが径方向外側に移動するのを抑制できる。また、内径側の壁面34aが傾斜しているので、ピックアップされなかったワークWが、径方向内側のボウル18に戻り易い。
【0035】
[ロボット]
図1に示すロボット4は、複数のアーム10を有し、水平方向にアーム10が動作する水平多関節ロボットである。ロボット4は、搬送台8のある第1のエリアA1と、次工程の第2のエリアA2との間を旋回する。本実施形態のロボット4は、図3に示すように、床面に固定された基体部36と、3つの第1~3のアーム10A,10B,10Cとを有している。
【0036】
第1のアーム10Aは、水平方向に延びる角棒状の部材で、基端部10Aaが基体部36の上面に、鉛直方向の第1の回転軸心AX1回りに旋回自在に連結されている。第2のアーム10Bは、水平方向に延びる角棒状の部材で、基端部10Baが、第1のアーム10Aの先端部10Abに、鉛直方向の第2の回転軸心AX2回りに旋回自在に連結されている。
【0037】
第3のアーム10Cは、鉛直方向に延びる円柱状の軸部材で、第2のアーム10Bの先端部10Bbに挿通されている。第3のアーム10Cは、第2のアーム10Bの先端部10Bbに対して鉛直方向に移動自在で、且つ、鉛直方向の第3の回転軸心AX3回りに回転自在である。第3のアーム10Cの下端10Caに、前記ハンド6が取り付けられている。
【0038】
各アームのアーム10A,10B,10Cは、アクチュエータ(図示せず)により駆動される。アクチュエータは、例えば、電動モータであるが、これに限定されない。本実施形態では、ロボット4は、床面に固定されているが、固定されていなくてもよい。また、ロボット4は、本実施形態の構造に限定されず、任意の作業用ロボットを適用できる。
【0039】
[ハンド]
ハンド6は、第1のエリアA1(図1)で搬送台8上のワークWをピックアップし、第2のエリアA2(図1)でワークWを置く。図5Aはハンド6を拡大して示す正面図で、図5Bはその側面図である。図5Bに示すように、ハンド6は、ワークWを把持する又は離す把持部38と、把持部38の姿勢を変更する1自由度以上のアクチュエータ40とを有している。
【0040】
ハンド6は、第3のアーム10Cの下端10Caに、第3の回転軸心AX3回りに旋回自在に取り付けられている。ロボット4の第3のアーム10Cとハンド6は、L字形のブラケット42により連結されている。詳細には、ブラケット42の水平部分42aの上面に第3のアーム10Cの下端10Caが連結され、ブラケット42の鉛直部分42bにハンド6のアクチュエータ40がボルト連結されている。本実施形態では、ハンド6は、ブラケット42の鉛直部分42bの内側の面、すなわち第3の回転軸心AX3側の面に取り付けられている。ただし、ブラケット42の形状、ハンド6の配置はこれに限定されない。
【0041】
アクチュエータ40は、水平方向に延びる第4の回転軸心AX4を有する。把持部38は連結部材44を介してアクチュエータ40に連結されている。連結部材44は、板状の長尺部材からなり、その基端部44aがアクチュエータ40に第4の回転軸心AX4回りに回動自在に連結され、先端部44bに把持部38がボルト連結されている。アクチュエータ40が、図5Bの矢印AR方向に90°回転することで、把持部38は図6Bの位置となる。この例では、第4の回転軸AX4は第3の回転軸AX3と交差し、把持部38がアクチュエータ40に対して第4の回転軸AX4の周方向に配置されている。
【0042】
図6Aおよび図6Bはそれぞれ、アクチュエータ40が矢印AR(図5B)方向に90°回転したときの正面図および側面図である。図5Aおよび図5Bはハンド6が下向きの状態を示す。一方、図6Aおよび図6Bはハンド6が横向きの状態を示す。このように、ブラケット42が第3の回転軸心AX3回りに回動することで把持部38が任意の位置に変更され、連結部材44が第4の回転軸心AX4回りに回動することで把持部38が任意の姿勢に変更される。
【0043】
図7Aおよび図7Bは第2の実施形態に係るハンド6を示す。第2の実施形態では、第4の回転軸AX4は第3の回転軸AX3と交差せず、第4の回転軸AX4と第3の回転軸AX3は、ねじれの位置となっている。具体的には、図7Bに示すように、第4の回転軸AX4が、第3の回転軸AX3に対して水平方向(図7Bの右側)にオフセットしている。
【0044】
また、把持部38が、アクチュエータ40に対して第4の回転軸AX4の周方向にオフセットして配置されている。これにより、図5A図5Bの例と比較して、ロボット4の先端4aから把持部38の先端38aまでの距離が短くなり、第3の回転軸AX3の軸方向にコンパクトな構成となる。
【0045】
さらに、図5A図5Bの例と比較して、第4の回転軸AX4から把持部38の先端38aまでの距離が短くなり、アクチュエータ40が駆動させる負荷の慣性が小さくなる。第4の回転軸AX4から把持部38の先端38aまでの距離が短くなることで、第4の回転軸AX4回りに回動させたとき、把持部38の先端位置の移動量が小さくなる。その結果、把持部38の先端38aの鉛直位置を合わせるためのロボット4の鉛直軸方向の移動が小さくて済み、動作時間が短縮できるうえに、ロボット4の鉛直方向の調整可能範囲も大きくなる。
【0046】
図8Aおよび図8Bは第3の実施形態に係るハンド6を示す。第3の実施形態では、第4の回転軸AX4は第3の回転軸AX3とが交差する(図8B)。第3の実施形態では、把持部38がアクチュエータ40の第4の回転軸AX4の軸心方向に配置されるように、アクチュエータ40が水平方向にオフセットして配置されている。具体的には、図8Aに示すように、アクチュエータ40が、第3の回転軸AX3に対して水平方向(図8Aの右側)にオフセットしている。これにより、図5Aおよび図5Bの例と比較して、ロボット4の先端4aから把持部38の先端38aまでの距離が短くなり、第3の回転軸AX3の軸方向にコンパクトな構成となる。
【0047】
また、図5Aおよび図5Bの例と比較して、第4の回転軸AX4から把持部38の先端38aまでの距離が短くなり、アクチュエータ40が駆動させる負荷の慣性が小さくなる。第4の回転軸AX4から把持部38の先端38aまでの距離が短くなることで、第4の回転軸AX4回りに回動させたとき、把持部38の先端位置の移動量が小さくなる。その結果、把持部38の先端38aの鉛直位置を合わせるためのロボット4の鉛直軸方向の移動が小さくて済み、動作時間が短縮できるうえに、ロボット4の鉛直方向の調整可能範囲も大きくなる。
【0048】
図8Aおよび図8Bの第3の実施形態の方が、図7Aおよび図7Bの第2の実施形態よりもアクチュエータ40の負荷の慣性が小さくなる。ただし、把持部38の向き(爪46の開閉する方向)によっては、第2の実施形態よりも第3の実施形態の方が、サイズが大きくなる場合がある。同様に、アクチュエータ40の負荷の慣性は、図5Aおよび図5Bの第1の実施形態が一番大きくなり、ロボット4の鉛直方向の移動量も大きくなる。しかしながら、下向きにしたときのサイズは、第1の実施形態が最もコンパクトになる場合がある。ワークWの形状や、部品供給装置2の構造に応じて、任意の構造のハンドを選択することができる。
【0049】
図5Aおよび図5Bの第1の実施形態の把持部38は、開閉自在な複数の爪46を有するチャック装置である。本実施形態では、把持部38は2つの爪46を有しているが、爪46は3つ以上であってもよい。また、把持部38は、吸着パッドでもあってもよい。本実施形態では、ロボット4の第3のアーム10Cの第3の回転軸心AX3と、把持部38の第5の軸心AX5は一致している。ここで、第5の軸心AX5は、把持部38の把持中心である。ただし、第3の回転軸心AX3と第5の軸心AX5は一致していなくてもよい。つまり、第5の軸心AX5が、第3の回転軸心AX3に対して水平方向にオフセットされていてもよい。
【0050】
図9の変形例に示すように、連結部材44に、残部よりも剛性の低い脆弱部48が設けられていてもよい。本実施形態の脆弱部48は、連結部材44に形成された切り欠き48である。ただし、脆弱部48は、切り欠きに限定されない。脆弱部48を設けることで、把持部38に負荷がかかった際の衝撃を逃がしてロボット4、アクチュエータ40を保護できるうえに、軽量化も実現できる。
【0051】
[動作]
つぎに部品供給装置2を含む部品供給システムSYの動作を説明する。図1に示すボウル18に投入されたワークWは、螺旋状に設けられた搬送路18a上を振動によりボウル18の最上部のワーク排出部18bまで整列状態で搬送される。整列状態でのワークWがワーク排出部18bからワーク供給エリア24に供給される。
【0052】
ワーク供給エリア24に供給されたワークWは、その下流側のセンシングエリア26で、ワーク検出手段14により位置、姿勢が検出される。具体的には、ワーク検出手段14からの信号により、ワークWがピックアップ可能であるか否か、可能である場合、ハンド6をどのような位置、姿勢に設定すればよいかを制御装置12が判定する。
【0053】
センシングエリア26の下流側のピックアップエリア28において、ワーク検出手段14からの信号に基づいた制御装置12の判定結果から、ロボット4のアーム10を移動させることでハンド6の位置が設定され、アクチュエータ40を駆動させることでハンド6の姿勢が設定される。この設定された位置、姿勢でハンド6がワークWをピックアップする。
【0054】
このとき、センシングエリア26で検知されたワークWの位置および姿勢と、実際のピックアップエリア28でのワークWの位置および姿勢が異なっているとハンド6でピックアップできない恐れがある。本実施形態では、溝からなる姿勢安定手段34により搬送中のワークWの位置および姿勢の変化が抑制されているので、ハンド6によりワークWを安定してピップアップできる。
【0055】
ワークWがピックアップされた後、ロボット4のアーム10を移動させてハンド6を第2のエリアA2に移動させ、アクチュエータ40を駆動させることでハンド6の姿勢を設定して、ハンド6がワークWを離す。
【0056】
ピックアップエリア28でピックアップできなかったワークWは、その下流のワーク回収エリア30からボウル18内に戻される。このとき、溝34における径方向内側の壁面34aが径方向内側に向かって上方に傾斜しているので、ワークWをワーク回収エリア30からボウル18に戻すのが容易である。ボウル18内に戻されたワークWは、再び搬送路18a上を振動により搬送される。以降、同じ動作が繰り返される。
【0057】
[作用効果]
上記構成によれば、姿勢安定手段34により、搬送台8を搬送中のワークWの位置および姿勢が変わるのが抑制される。これにより、ロボット4によるワークWのピックアップ作業が安定する。その結果、作業効率が向上する。
【0058】
特に、センシングエリア26でワークWの位置および姿勢が検出され、この検出された位置および姿勢のワークWがピックアップエリア28でピックアップされる。このとき、センシングエリア26で検出されたワークWの位置および姿勢から、ピックアップエリア28でのワークWの位置および姿勢が変わっていると、ワークWがピックアップされず、作業効率が悪くなる。上記構成では、姿勢安定手段34によりワークWの位置および姿勢が変わるのが抑制されるので、センシングエリア26とピックアップエリア28とでワークWの位置および姿勢が変化しない。したがって、ワークWが安定してピックアップされ、作業効率が向上する。
【0059】
姿勢安定手段34が、搬送面22aに形成された溝であるので、姿勢安定手段34の構成が簡単で、且つ、その実現も容易である。また、溝34における径方向内側の壁面34aが、径方向内側に向かって上方に傾斜しているので、ピックアップされなかったワークWをワーク回収エリア30からボウル18に戻すのが容易になる。
【0060】
また、ハンド6の把持部38の位置および姿勢が変更可能であるから、搬送台8上のワークWをピックアップする際に、ハンド6が他のワークWや機器に接触するのを回避できる。その結果、ハンド6や他の機器に不具合が生じるのを防ぐことができるうえに、作業効率が向上する。
【0061】
このように、上記実施形態では、ハンド6の把持部38が、様々な角度で、すなわち最適の位置および姿勢でワークWにアプローチできる。例えば、図5Aおよび図5Bの下向きでワークWをピックアップし、図6Aおよび図6Bの横向きに姿勢変更してワークWを置いてもよい。また、図6Aおよび図6Bの横向きでワークWをピックアップし、図5Aおよび図5Bの下向きに姿勢変更してワークWを置いてもよい。あるいは、ピップアップと置く姿勢が同じ向き、すなわち両方とも下向きまたは両方とも横向きであってもよい。このように、自由に姿勢を変更できるので、ハンド6が周辺機器や他のワーク等に干渉するのを回避できる。
【0062】
円盤状の搬送台8を有する部品供給装置2では、直線状の搬送台のものに比べて、省スペース化を図ることができる反面、部品供給装置2の一部にハンドが接触しやすい。この構成によれば、ハンド6の把持部38の位置および姿勢が変更可能であるから、ハンド6が部品供給装置2の一部に接触するのを回避できる。
【0063】
上記実施形態では、部品供給装置2は、振動ボウルフィーダ16と搬送台8との間に搬送台8よりも上方に突出する立壁20を有しており、この立壁20にハンド6が接触することが懸念される。上記構成によれば、ハンド6の把持部38の位置および姿勢が変更可能であるから、搬送台8上のワークWをピックアップする際に、部品供給装置2の立壁20にハンド6が接触するのを回避できる。
【0064】
図9の変形例に示すように、連結部材44に脆弱部48が設けられているので、ハンド6が他の機器に接触した場合でも、脆弱部48によりその衝撃が吸収される。その結果、衝撃からロボット4、アクチュエータ40等が保護される。
【0065】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
2 部品供給装置
8 搬送台
16 振動ボウルフィーダ
18 ボウル
18a 搬送路
22 回転円盤
22a 搬送面
24 ワーク供給エリア
26 センシングエリア
28 ピックアップエリア
30 ワーク回収エリア
34 溝(姿勢安定手段)
34a 溝の径方向内側の壁面
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9