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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022165
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】青汁素材の風味改善剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/02 20060101AFI20240208BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20240208BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20240208BHJP
   A23F 3/14 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A23L2/02 E
A23L7/10 H
A23L19/00 A
A23F3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125540
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】398029533
【氏名又は名称】株式会社ファイン
(74)【代理人】
【識別番号】100183461
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 薫
(72)【発明者】
【氏名】榊原 学
【テーマコード(参考)】
4B016
4B023
4B027
4B117
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LE05
4B016LG05
4B016LG08
4B016LG10
4B016LG16
4B016LK09
4B016LK12
4B023LC02
4B023LE30
4B023LG05
4B023LK08
4B027FB01
4B027FB06
4B027FB13
4B027FC01
4B027FC02
4B027FE02
4B027FK04
4B027FK13
4B027FP85
4B117LC03
4B117LG08
4B117LG13
4B117LG17
4B117LG18
4B117LK13
4B117LK22
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、青汁素材の風味改善剤を提供することである。
【解決手段】キサンタンガムを有効成分とする、青汁素材の風味改善剤であって、
前記風味改善が、青汁素材の青臭さの抑制、ざらざら感の抑制、口当たりの向上、のど越しの向上、及び、味わいの向上からなる群から選ばれる少なくとも1つである、青汁素材の風味改善剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キサンタンガムを有効成分とする、青汁素材の風味改善剤であって、
前記風味改善が、青汁素材の青臭さの抑制、ざらざら感の抑制、口当たりの向上、のど越しの向上、及び、味わいの向上からなる群から選ばれる少なくとも1つである、青汁素材の風味改善剤。
【請求項2】
前記青汁素材が、大麦若葉を含む、請求項1に記載の青汁素材の風味改善剤。
【請求項3】
前記風味改善が、青汁素材の青臭さの抑制である、請求項1に記載の青汁素材の風味改善剤。
【請求項4】
請求項1に記載のキサンタンガムを有効成分とする、青汁素材の風味改善剤、及び、青汁素材を含有する、青汁飲食品用組成物。
【請求項5】
前記キサンタンガムの含有量は、前記青汁素材100質量部に対して、0.1~50質量部である、請求項4に記載の青汁飲食品用組成物。
【請求項6】
さらに、大麦粉を含む、請求項4に記載の青汁飲食品用組成物。
【請求項7】
前記大麦粉の含有量が、前記青汁素材100質量部に対して、0.1~20質量部である、請求項6に記載の青汁飲食品用組成物。
【請求項8】
前記キサンタンガムの含有量は、前記青汁素材及び前記大麦粉の合計量100質量部に対して、0.01~100質量部である、請求項6に記載の青汁飲食品用組成物。
【請求項9】
前記青汁素材が、大麦若葉、ケール、ブロッコリー、キャベツ、小松菜、大根の葉、クレソン、ナズナ、セリ、パセリ、ニンジンの葉、セロリ、明日葉、アスパラガス、ホウレンソウ、ニガウリ、シソ、シュンギク、ニワトコ、ハコベ、ヨモギ、スピルリナ、抹茶、及び緑茶からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項4に記載の青汁飲食品用組成物。
【請求項10】
さらに、食物繊維を含む、請求項4に記載の青汁飲食品用組成物。
【請求項11】
キサンタンガムを、青汁素材に配合する工程を備える、青汁素材の風味改善方法であって、
前記風味改善が、青汁素材の青臭さの抑制、ざらざら感の抑制、口当たりの向上、のど越しの向上、及び、味わいの向上からなる群から選ばれる少なくとも1つである、青汁素材の風味改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青汁素材の風味改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国においては、食生活の欧米化が進み、動物性食品の摂取が増大する一方、主食としての穀物及び野菜等のグリーン食材の摂取が減少している。このことが、生活習慣病である心臓病、糖尿病、癌等の疾病増加を招いているといわれている。
このような状況を打開するため、従来、野菜類の摂取を目的として、野菜類を青汁食品として摂取することが試みられている(例えば、特許文献1及び2)。
特許文献1には、麦若葉由来の素材と、青汁の素材とを含むことを特徴とする食品が記載されている。
また、特許文献2には、乾燥したケールが、賦形剤および結合剤が添加されずに、水で粒状に成型された、ケール青汁の造粒物が記載されている。
これらの青汁食品は、青臭さ、苦味、香り等の風味、嗜好性の面で十分に満足のいくものとはいえず、これらの改良が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-051753号公報
【特許文献2】特開2002-218964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、青汁素材の風味改善剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、青汁素材に、キサンタンガムを特定量添加することによって、青臭さ、ざらざら感、口当たり、のど越し、味わい等の風味を改善することができることを見出して本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
項1.
キサンタンガムを有効成分とする、青汁素材の風味改善剤であって、
前記風味改善が、青汁素材の青臭さの抑制、ざらざら感の抑制、口当たりの向上、のど越しの向上、及び、味わいの向上からなる群から選ばれる少なくとも1つである、青汁素材の風味改善剤。
項2.
前記青汁素材が、大麦若葉を含む、項1に記載の青汁素材の風味改善剤。
項3.
前記風味改善が、青汁素材の青臭さの抑制である、項1に記載の青汁素材の風味改善剤。
項4.
項1に記載のキサンタンガムを有効成分とする、青汁素材の風味改善剤、及び、青汁素材を含有する、青汁飲食品用組成物。
項5.
前記キサンタンガムの含有量は、前記青汁素材100質量部に対して、0.1~50質量部である、項4に記載の青汁飲食品用組成物。
項6.
さらに、大麦粉を含む、項4に記載の青汁飲食品用組成物。
項7.
前記大麦粉の含有量が、前記青汁素材100質量部に対して、0.1~20質量部である、項6に記載の青汁飲食品用組成物。
項8.
前記キサンタンガムの含有量は、前記青汁素材及び前記大麦粉の合計量100質量部に対して、0.01~100質量部である、項6に記載の青汁飲食品用組成物。
項9.
前記青汁素材が、大麦若葉、ケール、ブロッコリー、キャベツ、小松菜、大根の葉、クレソン、ナズナ、セリ、パセリ、ニンジンの葉、セロリ、明日葉、アスパラガス、ホウレンソウ、ニガウリ、シソ、シュンギク、ニワトコ、ハコベ、ヨモギ、スピルリナ、抹茶、及び緑茶からなる群から選択される少なくとも1種を含む、項4に記載の青汁飲食品用組成物。
項10.
さらに、食物繊維を含む、項4に記載の青汁飲食品用組成物。
項11.
キサンタンガムを、青汁素材に配合する工程を備える、青汁素材の風味改善方法であって、
前記風味改善が、青汁素材の青臭さの抑制、ざらざら感の抑制、口当たりの向上、のど越しの向上、及び、味わいの向上からなる群から選ばれる少なくとも1つである、青汁素材の風味改善方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、青汁素材の風味改善剤を提供することができる。さらに、本発明の風味改善剤によれば、青汁素材の青臭さの抑制、ざらざら感の抑制、口当たりの向上、のど越しの向上、及び、味わいの向上を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
青汁素材の風味改善剤
本発明の青汁素材の風味改善剤は、キサンタンガムを有効成分として含有する。
ここで、風味とは、一般的には、飲食物の香り、味わい等を意味しているが、本明細書において、風味は、具体的には、青汁素材の臭い(青臭さ、生臭さ等);青汁素材の食感(ざらざら感、口当たり、のど越し等)、青汁素材の味わい等を含んでいる。風味改善は、青汁素材の青臭さを抑制できること、青汁素材のざらざら感を抑制できること、青汁素材の口当たりを向上できること、青汁素材ののど越しを向上できること、及び、青汁素材の味わいを向上できることを意味している。青汁素材のざらざら感を抑制できること、青汁素材の口当たりを向上できること、及び、青汁素材ののど越しを向上できることは、食感の改善と言い換えることもできる。
キサンタンガムは粉末又は水溶液であってもよい。粉末としては、特に限定はなく、例えば、粒度が50メッシュ以上、500メッシュ未満が挙げられる。例えば、キサンタンガムとしては、60メッシュパスが100%以上、80メッシュパスが最小95%、325メッシュが最大10%のキサンタンガム粉末を用いることができる。キサンタンガムの乾燥減量(LOD:Loss on Drying)は、特に限定はないが、例えば、20以下である。
キサンタンガムの市販品としては、例えば、ユニテックフーズ株式会社製のSATIAXANE CX915、ADM社製のノヴァザン200等が挙げられる。
【0009】
キサンタンガムは、青汁素材の青臭さを抑制し、青汁素材のざらざら感を抑制し、青汁素材の口当たりを向上し、青汁素材ののど越しを向上し、及び、青汁素材の味わいを向上することができる。
【0010】
青臭さとは、青草から発するような臭いのことをいい、生々しい、嫌な臭いとされている。
青汁素材の青臭さを抑制するとは、青汁特有の青臭い戻り香を抑えることをいう。
ざらざら感とは、口に入れた時に感じるざらざらとした不快な食感のことをいい、ざらざら感を抑制するとは、口に入れた時にざらざらとした不快な食感を感じる度合いが少なくなることをいう。
口当たりとは、口に入れた時の感じ(舌ざわり、口ざわり等)をいい、口当たりが向上するとは、口に入れた時の感じがよくなることをいう。
のど越しとは、のどを通っていく感じをいい、のど越しが向上するとは、のどを通る時に引っ掛かりを感じる度合いが少なくなることをいう。
味わいとは、のどに飲み込んだときに感じる濃厚で味わいをいい、味わいが向上するとは、のどに飲み込んだ時に感じる濃厚で深い味わいの感じ方が強くなることをいう。
【0011】
前記青汁素材の風味改善剤は、青汁素材に配合することができる。
【0012】
青汁素材
青汁素材としては、特に限定はなく、青汁飲食品に通常使用される公知の青汁素材原料を用いることができる。具体的に、青汁素材は、例えば、大麦若葉、ケール、ブロッコリー、キャベツ、小松菜、大根の葉、クレソン、ナズナ、セリ、パセリ、ニンジンの葉、セロリ、明日葉、アスパラガス、ホウレンソウ、ニガウリ、シソ、シュンギク、ニワトコ、ハコベ、ヨモギ、スピルリナ、抹茶、緑茶等が挙げられる。青汁素材は、1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。青汁素材は、粉末又はエキス(搾汁)であってもよいが、粉末が好ましい。粉末の場合、青汁素材の粒度は、例えば、40メッシュパスが100%以上のものを用いることができる。青汁素材としては、大麦若葉を含むことが好ましく、中でも、前記大麦若葉と、さらに、ケール、小松菜、明日葉、ヨモギ、スピルリナ、及び、抹茶からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、前記大麦若葉と、さらに、ケール、明日葉、スピルリナ、及び、抹茶からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。青汁素材には、デキストリンを配合することができる。
【0013】
青汁素材として、例えば、大麦若葉、ケール、明日葉、スピルリナ、及び、抹茶を含む場合、これらの合計量を100質量%とすると、大麦若葉の含有量としては、通常1~75質量%、ケールの含有量としては、通常0.1~20質量%、明日葉の含有量としては、通常0.1~20質量%、スピルリナの含有量としては、通常0.1~20質量%、及び、抹茶の含有量としては、通常1~75質量%であり、
大麦若葉を5~50質量%、ケールを0.5~15質量%、明日葉を0.5~15質量%、スピルリナを0.5~15質量%、及び、抹茶を5~50質量%の割合で含むことが好ましく、
大麦若葉を10~40質量%、ケールを1~10質量%、明日葉を1~10質量%、スピルリナの含有量を1~10質量%、及び、抹茶を10~40質量%の割合で含むことがより好ましい。
【0014】
大麦としては、例えば、二条大麦、六条大麦、裸大麦等を用いることができる。若葉は、大麦が実質的に黄変する前の緑葉であり、成熟期前、即ち、分けつ開始期から出穂開始前期に収穫されたものであることが好ましい。具体的には、品種の違いによっても異なるが、一般に、草丈が10cm以上、好ましくは15~90cm程度、より好ましくは20~35cm程度である大麦から、緑葉を収穫することが好ましい。若葉は、植物体の葉の部分だけでなく、葉とともに茎その他の部分を含んでもよい。
大麦若葉には、クロロフィル(葉緑素)、ビタミン類、ミネラル類、抗酸化物質、及び食物繊維が豊富に含まれており、抗高血圧効果、有害物質の吸着、腸内環境の改善、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)を活性化する等の効果を有している。
【0015】
前記大麦若葉として、大麦若葉粉末、大麦若葉搾汁等を用いることができる。
前記大麦若葉粉末には、例えば、大麦若葉を乾燥させて粉末化したもの(大麦若葉粉末)、大麦若葉の搾汁を乾燥させて粉末化したもの(大麦若葉搾汁乾燥粉末)等が含まれる。
前記大麦若葉搾汁には、例えば、大麦若葉の搾汁(絞って液体としたもの)等が含まれる。前記大麦若葉搾汁には、絞った後の固形分が含まれていてもよい。
前記大麦若葉は、大麦若葉粉末及び大麦若葉搾汁のいずれか一方を用いてもよいし、両方を混合して用いてもよい。前記大麦若葉としては、大麦若葉粉末が好ましく、不溶性の繊維質を含まないため、鮮やかな緑色であり、ざらつきが少なく、水に溶けやすい特性を有する大麦若葉搾汁乾燥粉末を使用することがより好ましい。
【0016】
前記大麦若葉搾汁乾燥粉末の製造方法は、特に限定されない。例えば、大麦若葉の草丈が20~35cmになったときに収穫を行い、よく洗浄した後、大麦若葉を搾汁する。搾汁は、従来公知の方法に従い、例えば、ミキサー、ジューサー等の機械的破砕手段を、遠心分離、ろ過等の固液分離手段と組み合わせることにより行うことができる。そして、得られた大麦若葉の搾汁液を加熱殺菌した後、粉末化することにより大麦若葉搾汁乾燥粉末が得られる。得られた大麦若葉搾汁乾燥粉末の粒径は、例えば、粒径250μm~470μmの粒度分布が31%以上、粒径160μm~250μmの粒度分布が44%以下である。
加熱滅菌は、常圧において、又は、減圧下若しくは加圧下のいずれでも行うことができる。例えば、90~150℃で180秒~2秒程度行えばよい。加熱殺菌された搾汁液を粉末化する。粉末化する方法は、従来公知の方法で行うことができ、噴霧乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。噴霧乾燥としては、例えば、120~200℃、好ましくは140~170℃程度の熱風を用いる加熱噴霧乾燥、例えば、塩化リチウム等の乾燥剤で乾燥した空気中での常温噴霧乾燥等が挙げられる。凍結乾燥には、乾燥板の温度40~50℃、真空度1.0~0.01mmHg程度の条件が通常採用される。粉末化する方法としては、噴霧乾燥が好ましい。
前記大麦若葉搾汁乾燥粉末は、市販品を使用することもできる。
【0017】
ケールは、アブラナ科植物の1種であり、葉にはキャベツと同様にビタミンCが多く含まれている。また、ケールは、胃炎又は胃潰瘍の予防、肝機能、便秘等に有効であることが知られている。一般に、ケールには、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラード及び緑葉カンラン等の種類がある。ケールは、葉部、茎部のいずれも用いることができる。
【0018】
ケールは、破砕物又は粉砕物(生又は乾燥物)、搾汁、抽出物のいずれであってもよい。好ましくはケールの乾燥粉砕物である(以下、これをケール末という)。
【0019】
ケール末の調製は、制限されないが、下記のケールの洗浄工程、裁断工程、ブランチング処理、冷却工程、乾燥工程、及び粉砕工程を備える方法によって行うことができる。
【0020】
(1)洗浄工程
洗浄工程は、ケールを収穫した後、泥等を洗い流す工程である。この洗浄工程は、好適には冷水(20℃以下の水)で行われる。後の裁断工程においてケールの温度が過度に上昇するのを防止し、酸化反応又は酵素反応によるケールの変質を防止することが可能となるからである。なお、ケールは、風味等の品質劣化防止のため、収穫後直ちに洗浄等の処理工程に供することが好ましい。
【0021】
(2)裁断工程
裁断工程は、ケールを洗浄し、水気を切った後、通常用いられる切断具(カッター、スライサー等)を用いて、ケールの葉部および茎部を適当な大きさ(例えば、5cm程度)に裁断する工程である。なお、この裁断工程は、後述する粉砕工程と同時に行ってもよい。
【0022】
(3)ブランチング処理
さらに必要に応じて、ケールの変質に関与するケール中の酵素を失活させるためのブランチング処理を行う。なお、ここで変質に関与する酵素には、クロロフィラーゼ、ペルオキシダーゼ等が含まれる。ブランチング処理としては、熱水処理、水蒸気処理等が挙げられる。通常90~100℃の熱水で1~5分間、ケールを処理することによって行われる。
【0023】
(4)冷却工程
冷却工程は、上記ブランチング工程を行った後、ケールを冷却する工程である。冷却工程は、ケールを冷水に浸漬する方法、その他、冷蔵、凍結、冷風又は温風による気化冷却、冷風と温風とを同時又は交互に吹き付けて行う気化冷却法等で行うことができる。いずれの方法により冷却する場合も、色止め、すなわち、鮮やかな緑を保持するため、急冷することが好ましい。
【0024】
(5)乾燥工程
乾燥工程は、ブランチング処理し、冷却されたケールを、必要に応じて、遠心分離等により脱水した後、乾燥させる工程である。乾燥は、ブランチングされたケールの水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように行うことが好ましい。水分含量が高いと菌が増殖し保存安定性が悪くなるからである。乾燥には温風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥等の任意の乾燥法を用いることができる。加熱による変色防止のため、乾燥はできるだけ低温で行い、加熱する場合でも60℃以下で行うことが好ましい。
【0025】
(6)粉砕工程
粉砕工程は、乾燥したケールを、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼等を用いて粉砕する工程である。粉砕された乾燥ケールは必要に応じて篩にかける。通常、篩は250~30メッシュのものが用いられる。本発明において、特に制限されないが、ケール乾燥粉末の粒径の90%以上が200~100メッシュ(75~100μm)で、かつ、平均径(メジアン径)が20~80μmとなるように、乾燥ケールを粉砕することが好ましい。
【0026】
以上のようにしてケール末を調製することができる。かかるケール末は商業的に入手することができる(例えば、アスザックフーズ株式会社等)。なお、本発明では、ケールとしてγ-アミノ酪酸(GABA)富化処理したケール末を用いることもできる。ケールをGABA富化処理する方法には、例えば、ケールをグルタミン酸溶液に浸漬する方法、ケール細片化物又はケール末にグルタミン酸を添加する方法、嫌気処理又は保温処理(温水処理、赤外線照射処理、温風処理、インキュベーター処理等)する方法を挙げることができる。GABA富化処理は、上記洗浄工程の前、裁断工程の後、粉砕工程の後のいずれの段階で行ってもよい。
【0027】
ブロッコリーは、アブラナ科アブラナ属ヤセイカンラン種の植物であり、野菜として広く一般的に用いられている。品種等は特に限定されず、公知のブロッコリーを使用することができ、ブロッコリー(Brassica oleracea var. italica)の他、変種のカリフラワー(Brassica oleracea var. botrytis)等を用いてもよい。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は花序が好ましい。ブロッコリーは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0028】
キャベツは、アブラナ科アブラナ属の緑黄色野菜であり、学名はBrassica oleracea var. capitataで、和名はカンラン(甘藍)、タマナ(玉菜)とも言われる。本発明に用いるキャベツの品種としては、例えば、グリーンボール、ちりめんキャベツ(縮緬キャベツ、サボイキャベツ)、アーリーボール、アーリータイム、札幌大球、彩里、おきな、涼音、彩風、夢ごろも、北ひかり、冬王、湖月等が挙げられる。本発明に供する部位は、葉及び茎が好ましい。キャベツは、含硫化合物(アリルイソチオシアネート、ジメチルジスルフィド等)に起因する不快臭を発することが知られている。キャベツは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0029】
小松菜は、アブラナ科アブラナ属ラパ種の植物であり、野菜として広く一般的に用いられている。品種等は、特に限定はなく、公知の小松菜を使用することができ、小松菜(Brassica rapa var. perviridis)の他、これらの亜種を用いてもよい。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は葉が好ましい。小松菜は粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0030】
大根は、アブラナ科ダイコン属ダイコン種の植物であり、野菜として広く一般的に用いられている。品種等は特に限定されず、公知の大根を使用することができ、大根(Raphanus sativus var. longipinnatus)の他、ハツカダイコン(R. sativus var. sativus)、ハマダイコン(R. sativus var. hortensis f. raphanistroides)、黒大根(R. sativus var. niger)等の亜種を用いてもよい。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、根、茎又は葉が好ましい。本発明においては、大根の葉が好ましく用いられる。以下、大根の葉を単に大根葉と記載する場合がある。大根は粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0031】
クレソンとは、オランダガラシ(和蘭芥子)とも言われ、水中又は湿地に生育するアブラナ科の多年草である。独特な香りとほのかな苦味、ピリッとする辛味がある。β-カロテンを大量に含み、ビタミンC、鉄分、カルシウム、カリウム、葉酸等の栄養素も豊富に含むことから、血液の酸化、貧血予防等に役立つ野菜といわれている。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は葉が好ましい。クレソンは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0032】
ナズナ(薺、学名:Capsella bursa-pastoris)は、アブラナ科ナズナ属の越年草であり、別名、ペンペングサ(ぺんぺん草)、シャミセングサ(三味線草)とも言われている。春の七草の一つである。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は葉が好ましい。ナズナは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0033】
セリ(芹、学名: Oenanthe javanica)は、セリ科セリ属の多年草である。日本原産で、春の七草の一つであり、水田の畔道、湿地等に生え、野菜として栽培もされている。独特の強い香りと歯触りに特徴がある。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は葉が好ましい。セリは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0034】
パセリ(旱芹菜・旱芹、学名: Petroselinum crispum)は、セリ科の1種の二年草であり、精油成分を多く含むハーブの1つでもある。栄養価は、極めて高く、栄養素の含有量は他の緑黄色野菜の中でも群を抜いている。香りの主成分アピオールは、食欲増進作用があり、消化を助けて口臭を予防する働きがある。また、防腐効果もあり、食中毒予防に効果的といわれている。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は葉が好ましい。パセリは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0035】
ニンジン(人参、学名: Daucus carota subsp. sativus)は、中央アジア原産のセリ科ニンジン属の二年草である。ニンジンは、2-ノネナールに起因する不快臭を発することが知られている。本発明においては、ニンジンの葉を用いることができる。ニンジンは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0036】
セロリは、セリ科オランダミツバ属の植物であり、野菜として広く一般的に用いられている。品種等は特に限定されず、公知のセロリを使用することができ、セロリ(Apium graveolens var. dulce)の他、改良されたキンサイ(芹菜)、変種のセロリアック等を用いてもよい。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は葉が好ましい。セロリは粉末状であることが好ましくり、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0037】
明日葉は、セリ科Angelica属の植物であり、タンパク質、アミノ酸のほか、ビタミン、ミネラル類等が豊富に含まれており、特に他の野菜と比較してカリウムの含量が非常に多いことが特徴である。
明日葉としては、例えば、明日葉をそのまま乾燥した乾燥粉末、明日葉の細片化物及びその乾燥粉末、明日葉の搾汁の乾燥粉末等が挙げられる。
明日葉は、例えば、水(好ましくは25℃以下の冷水)で明日葉を洗浄し、泥等を洗い落とし、水気を切った後、適当な長さに切断し、このまま搾汁を得て、乾燥粉末化することもできる。あるいは、搾汁とせずに、水分含量が5質量%以下になるように乾燥を行った後に粗粉砕工程及び加熱工程を経て、粉末にすることもできる。また、品質を安定にするという面から、明日葉の緑色の褪色又は栄養成分の変質に関与する酵素を失活させるために、熱水処理及び蒸熱処理のようなブランチング処理を行うこともできる。明日葉は粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0038】
アスパラガス(龍鬚菜、英: Asparagus、Asparagus spp.)は、被子植物の中の単子葉植物に属する多年生草本植物である。薬効としては根及び茎に利尿作用があることが知られている。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎が好ましい。アスパラガスは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0039】
ホウレンソウ(菠薐草、法蓮草、赤根草;学名:Spinacia oleracea)は、ヒユ科アカザ亜科ホウレンソウ属の野菜である。緑黄色野菜の1つで、大きく分けると東洋種と西洋種の2系統に分かれる。ホウレンソウは、ビタミン、鉄分等の栄養素に富み、3-ヘキセナール(青葉アルコール)に起因する不快臭を発することが知られている。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は葉が好ましい。ホウレンソウは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0040】
ニガウリは、ゴーヤ、ツルレイシとも言われるウリ科ツルレイシ属の植物であり、野菜として広く一般的に用いられている。品種等は特に限定されず、公知のゴーヤ(Momordica charantia var. pavel)が用いられる。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、実が好ましい。なお、使用する際、皮を含んでもよい。ニガウリは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0041】
シソは、シソ科(Lamiaceae)シソ属(Perilla)の植物種は、特に限定されるものではない。なお、シソとしては、一般的に、学名として、Perilla frutescens var. Crispa、又はPerilla frutescens var. Brittonで表記されるものを含み、例えば、アオジソ、チリメンジソ、アカジソ、マダラジソ、カタメンジソ、チリメンアオジソ又はこれらの変種もしくは亜種、或いは交配種が挙げられるが、本発明はこれに限るものではない。また、当該植物の全草、葉、花部、茎、種子、実、根等、いずれを用いてもよいが、全草又は葉の使用が好ましい。シソは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0042】
シュンギク(春菊)は、キク科シュンギク属(学名: Glebionis coronaria)に分類される植物である。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は葉が好ましい。シュンギクは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0043】
ニワトコは、ニワトコ属(学名:Sambucus、和名漢字表記:庭常属、接骨木属)の落葉樹である。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は葉が好ましい。ニワトコは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0044】
ハコベは、ナデシコ科ハコベ属(Stellaria)の植物であり、一般には、コハコベとミドリハコベを総称している。使用する部位としては、可食部であれば特に限定されないが、茎又は葉が好ましい。ハコベは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0045】
ヨモギは、キク科に属する、学名がArtemisia indica Willd. var. maximowicziiの多年草であり、香辛料、調味料、ハーブ、生薬としても用いられている。本発明で用いるヨモギの種類としては、特に限定はなく、ヨモギ、ニガヨモギ、タラゴン、ニトロフヨモギ、オニオトコヨモギ、カワラヨモギ、オトコヨモギ、ハマヨモギ、カワラニンジン、クソニンジン、イヌヨモギ、ミヤマオトコヨモギ、エゾハハコヨモギ、サマニヨモギ、タカネヨモギ、ハハコヨモギ、シコタンヨモギ、シロヨモギ、イワヨモギ、ヒメヨモギ、ワタヨモギ、ケショウヨモギ、ヒトツバヨモギ、チシマヨモギ、ヒロハウラジロヨモギ、ヒロハヤマヨモギ、ユキヨモギ、ヤブヨモギ、オオヨモギ、ニシヨモギ、アサギリソウ、キタダケヨモギ等を挙げることができる。本発明で用いるヨモギの使用部位としては、全体を用いてもいずれの部位を用いてもよく、特に制限はないが、花、穂、茎、葉、枝、根茎、根、種子が好ましく、茎、葉、枝がより好ましく、葉が特に好ましい。ヨモギは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0046】
スピルリナは、水前寺海苔等と同じ藍藻類の一種で、ユレモ目アルスロスピラ属に属する一群の微細藻類のことである。今から30億年以上も昔に地球上に誕生した、最古の植物の一つである。主に、アフリカ、中南米等の亜熱帯地方の高アルカリの塩水湖に繁殖していることが知られている。スピルリナには、ビタミン、ミネラル、βカロテン、タンパク質、リノール酸、リノレン酸、酵素、核酸等の多種類の栄養素が豊富に含まれている。スピルリナが有する機能としては、例えば、血清コレステロールの上昇抑制、血糖値の上昇抑制、腎機能の改善、アルコール代謝の改善、免疫機能の強化、腸内細菌叢の改善等が挙げられる。スピルリナは粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0047】
抹茶は、緑茶の一種であり、チャノキの葉(茶の葉)を蒸してから乾燥させた碾茶を茶臼で挽いた粉末であり、まだ脱カフェイン処理をされていないものである。抹茶を準備する際に用いられる挽臼としては、電動石臼が挙げられるが、テアニン又は香り成分の熱変性を抑えるため、手挽き用石臼が好ましい。また、原料の抹茶は、碾茶の仕立て葉を挽臼で粉砕した後、更に篩機にかけて夾雑物を除かれたものが好ましい。抹茶の粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0048】
緑茶は、チャノキの葉から作った茶のうち、摘み取った茶葉を加熱処理して茶葉中の酵素反応(茶業界では「発酵」と呼ばれる)を妨げたものである。緑茶は粉末状であることが好ましく、その粒径は、例えば、1~20μm程度である。
【0049】
青汁飲食品用組成物
本発明の青汁飲食品用組成物は、前記キサンタンガムを有効成分として含む、青汁素材の風味改善剤と、上記の青汁素材とを含んでいる。
【0050】
キサンタンガムは、トウモロコシ等のデンプンを微生物(キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris))で発酵させて分離して得られる微生物由来多糖類の1種である。キサンタンガム以外の微生物由来多糖類として、例えば、ジェランガム(ゲランガム)、ウェランガム等があり、キサンタンガムに加えてこれらを使用することもできる。
【0051】
前記青汁飲食品用組成物は、青汁素材として、上記の青汁素材を含んでいる。
【0052】
前記青汁素材として、大麦若葉、ケール、ブロッコリー、キャベツ、小松菜、大根の葉、クレソン、ナズナ、セリ、パセリ、ニンジンの葉、セロリ、明日葉、アスパラガス、ホウレンソウ、ニガウリ、シソ、シュンギク、ニワトコ、ハコベ、ヨモギ、スピルリナ、抹茶、緑茶等が挙げられる。
これらの青汁素材は、1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。前記青汁素材として、大麦若葉を含むことが好ましい。
前記大麦若葉は、上述した大麦若葉粉末、大麦若葉搾汁等を用いることができ、大麦若葉粉末が好ましく、その中でも大麦若葉搾汁乾燥粉末がより好ましい。
【0053】
前記キサンタンガムの含有量は、前記青汁素材100質量部に対して、通常0.1~50質量部程度であり、好ましくは2~45質量部程度であり、より好ましくは10~40質量部程度である。本発明の青汁飲食品用組成物は、このような割合でキサンタンガムを含むことにより、青汁素材の風味を改善することができる。
【0054】
本発明の青汁飲食品用組成物には、さらに、大麦粉を配合することができる。大麦粉は、大麦を粉砕した粉である。大麦粉の粒子径としては、調製される食品の形態に応じて適切な大きさを選択すればよく特に限定されないが、例えば、20~210μm程度の範囲が挙げられる。ここで、平均粒子径はレーザー粒度分析計LMS-2000e((株)セイシン製)を用いて測定されるd(0.5)の値である。大麦粉は、1種単独で、又は粒子径が異なる2種以上を混合して使用することができる。
大麦は、ビタミンB群、ビタミンE、カリウム、カルシウム、鉄分等の微量栄養素を豊富に含んでいる。
本発明の青汁飲食品用組成物が、大麦粉を含むことにより、大麦粉の栄養素を付与することができるというメリットがある。
【0055】
前記大麦粉の含有量は、前記青汁素材100質量部に対して、通常0.01~30質量部であり、好ましくは0.1~20質量部程度であり、より好ましくは5~10質量部程度である。
青汁素材(成分A)、キサンタンガム(成分B)及び大麦粉(成分C)を含む場合、キサンタンガム(成分B)の含有量((B/A+C)×100)は、前記青汁素材(成分A)及び前記大麦粉(成分C)の合計量100質量部に対して、通常0.01~100質量部、好ましくは0.1~80質量部、より好ましくは1~60質量部である。
【0056】
本発明の青汁飲食品用組成物は、さらに食物繊維(成分D)を含むことが好ましい。食物繊維を配合する場合、前記食物繊維の含有量は、前記青汁素材100質量部に対して、通常5~300質量部程度であり、好ましくは10~200質量部程度であり、より好ましくは30~150質量部程度である。
【0057】
青汁素材(成分A)、キサンタンガム(成分B)、及び、食物繊維(成分D)を含む場合、食物繊維(成分D)の含有量((D/A+B)×100)は、前記青汁素材(成分A)及び前記キサンタンガム(成分B)の合計量100質量部に対して、通常0.01~200質量部、好ましくは0.1~150質量部、より好ましくは1~100質量部である。
青汁素材(成分A)、キサンタンガム(成分B)、大麦粉(成分C)、及び、食物繊維(成分D)を含む場合、食物繊維(成分D)の含有量((B/A+B+C)×100)は、前記青汁素材(成分A)、前記キサンタンガム(成分B)及び大麦粉(成分C)の合計量100質量部に対して、通常0.01~200質量部、好ましくは0.1~150質量部、より好ましくは1~100質量部である。
【0058】
食物繊維とは、人の消化酵素では消化することのできない食物成分である。食物繊維としては、水溶性又は不溶性等は特に限定されず、例えば、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース等が挙げられる。食物繊維は、1種又は2種以上含むことができる。
前記難消化性デキストリンは、ヒトの消化酵素(アミラーゼ)では加水分解されにくい難消化性の多糖類であり、例えば、デンプンを加熱により加水分解した後、アミラーゼにより加水分解し、加水分解されにくい成分を精製して得ることができる。この難消化性デキストリンは、粉末、細粒、顆粒等の形態で市販されており、これら市販品を使用することができる。また、難消化性デキストリンは水溶性であるため、水溶液の形態のものを使用してもよい。
【0059】
難消化性デキストリンを配合する場合、前記難消化性デキストリンの含有量は、前記青汁素材100質量部に対して、通常5~300質量部程度であり、好ましくは10~200質量部程度であり、より好ましくは30~150質量部程度である。
なお、商業上入手可能な難消化性デキストリンとしては、例えば、松谷化学工業株式会社製のファイバーソル、パインファイバー等がある。
【0060】
前記イヌリンは、水溶性食物繊維の一種であって、キク科植物の塊茎、球根等に含有される多糖類であり、具体的には、スクロースのフルクトース側にD-フルクトースがβ-(2→1)結合で順次、脱水重合した多糖類であって、グルコースに2分子以上のフルクトースが重合したものを意味する。イヌリンは通常重合度の異なる集合体として販売されている。イヌリンが種々の重合度のイヌリンの混合物である場合、混合物中のイヌリンの鎖長は、平均重合度で表すことができる。本発明において、上記組成物中に含まれるイヌリンは、平均重合度が10~30のものであることが好ましい。
【0061】
イヌリンは、イヌリンを含有する植物、例えば、キクイモ、ダリア、ゴボウ、アザミ、ヤムイモ、チコリ等から抽出することができる。さらに、抽出されたイヌリンを分画(例えば、特開平9-324002号公報参照)することにより、所望の鎖長のイヌリンを得ることができる。イヌリンはまた、イヌリン合成酵素を用いて製造することもでき(例えば、特開2009-50281号公報参照)、又は市販品(例えば、フジ日本精糖株式会社製)を使用することもできる。
イヌリンは、整腸作用を有することが知られており、ビフィズス菌等の腸内有用細菌(プロビオティックス)の発育を促進するプレバイオティックスとしての効能がある。
【0062】
イヌリンを配合する場合、前記イヌリンの含有量は、前記青汁素材100質量部に対して、通常5~300質量部程度であり、好ましくは10~200質量部程度であり、より好ましくは30~150質量部程度である。
【0063】
ポリデキストロースは、例えば、トウモロコシから作られた水溶性食物繊維であり、具体的には、グルコース、ソルビトール、クエン酸を混合して作られ、血糖値の上昇、コレステロールを減らす効果等がある食物繊維である。
【0064】
ポリデキストロースを配合する場合、前記ポリデキストロースの含有量は、前記青汁素材100質量部に対して、通常5~300質量部程度であり、好ましくは10~200質量部程度であり、より好ましくは30~150質量部程度である。
なお、商業上入手可能なポリデキストロースとしては、例えば、ダニスコジャパン株式会社製のライテスII等がある。
【0065】
本発明の青汁飲食品用組成物は、上記した材料以外に、必要に応じて、通常の青汁飲食品に添加されている添加剤を含んでもよい。前記添加剤として、賦形剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料等が挙げられる。例えば、ローヤルゼリー、ビタミン、ミネラル、プロテイン、キトサン、レシチン等を配合することができ、さらに、糖液、調味料を加えて味を調えることもできる。
【0066】
青汁飲食品用組成物の製造方法
本発明の青汁飲食品用組成物の製造方法としては、特に限定はなく、例えば、青汁素材とキサンタンガムとを混合する工程を備える。原料の形態は、ハンドリング性の観点から、固体が好ましく、粉末が更に好ましい。原料の混合方法としては、原料の各成分を均一に混合できる方法であれば、いかなる方法でもよい。混合機械としては、例えば、コンテナミキサー、V型混合機、リボン型混合機、高速攪拌混合機(ハイスピードミキサー)等が挙げられる。混合温度は、特に限定はされないが、通常室温程度であり、10~35℃が好ましく、15~25℃がより好ましい。また、混合時間も特に限定されないが、通常1~60分、3~30分間が好ましく、5~10分間がより好ましい。さらに、大麦粉等を入れる場合、その混合方法としては、(1)全ての原料を一度に混合機械に投入して混合する方法;
(2)まず青汁素材とキサンタンガムとを混合し混合物1を得た後、前記混合物1に大麦粉等を混合し、混合物2を得る方法;
(3)まず青汁素材と大麦粉等とを混合し混合物3を得た後、前記混合物3にキサンタンガムを混合し、混合物4を得る方法;
(4)まず大麦粉とキサンタンガムとを混合し混合物5を得た後、前記混合物5に青汁素材を混合し、混合物6を得る方法等が挙げられる。
【0067】
製品形態(剤型)
本発明のキサンタンガムを有効成分とする、青汁素材の食感改善剤又は青汁飲食品用組成物は、用途に応じて、粉末、顆粒、錠剤等の形態に成型することができる。粉末、顆粒、錠剤等の大きさ(粒子径等)としては、青汁素材として市販品程度の大きさのものであればよい。
本発明の青汁素材の食感改善剤又は青汁飲食品用組成物は、常温(20℃±15℃)において固体である。
本発明のキサンタンガムを有効成分とする、青汁素材の食感改善剤又は青汁飲食品用組成物の水分含量は、通常5質量%以下であり、好ましくは4質量%以下である。
また、本発明の青汁飲食品用組成物は、用途又は好みに応じて、液状の飲食品として供することができ、あるいは、ハードカプセル、ソフトカプセル等のカプセル錠、錠剤、丸剤、若しくは糖衣錠として、又は粉末状、顆粒状、茶状、ティーパック状等の形状で提供することができる。
【0068】
用途
本発明のキサンタンガムを有効成分とする、青汁素材の食感改善剤又は青汁飲食品用組成物の用途としては、食品だけでなく、化粧品、経口投与用の医薬品等として提供されてもよいが、好ましくは食品である。
本発明の青汁飲食品用組成物は、ゼリー、飴、アイスクリーム、焼き菓子等の食品に配合して適用することもできる。これらは、その形状又は好みに応じてそのまま食してもよいし、水、お湯、若しくは牛乳等に溶かして飲んでもよいし、又は、成分を浸出させてから飲んでもよい。
【0069】
上述したように、キサンタンガムは青汁素材の食感を改善することができることから、本発明には、キサンタンガムを、青汁素材に配合する工程を備える、青汁素材の食感改善方法であって、前記風味改善が、青汁素材の青臭さの抑制、ざらざら感の抑制、口当たりの向上、のど越しの向上、及び味わいの向上からなる群から選ばれる少なくとも1つである、青汁素材の食感改善方法が包含される。
【実施例0070】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【0071】
試料1(キサンタンガムの割合0、比較例)
青汁素材38質量部、大麦粉3質量部、及び、食物繊維59質量部を均一に混合して、試料1を得た。
【0072】
試料2(青汁素材100質量部に対するキサンタンガムの割合0.26質量部)
試料1の食物繊維を58.9質量部とし、キサンタンガムを0.1質量部加えた以外は、試料1と同様にして試料2を得た。
【0073】
試料3(青汁素材100質量部に対するキサンタンガムの割合1.3質量部)
試料1の食物繊維を58.5質量部とし、キサンタンガムを0.5質量部加えた以外は、試料1と同様にして試料3を得た。
【0074】
試料4(青汁素材100質量部に対するキサンタンガムの割合2.6質量部)
試料1の食物繊維を58質量部とし、キサンタンガムを1質量部加えた以外は、試料1と同様にして試料4を得た。
【0075】
試料5(青汁素材100質量部に対するキサンタンガムの割合11質量部)
試料1の食物繊維を55質量部とし、キサンタンガムを4質量部加えた以外は、試料1と同様にして試料5を得た。
【0076】
試料6(青汁素材100質量部に対するキサンタンガムの割合21質量部)
試料1の食物繊維を51質量部とし、キサンタンガムを8質量部加えた以外は、試料1と同様にして試料6を得た。
【0077】
試料7(青汁素材100質量部に対するキサンタンガムの割合32質量部)
試料1の食物繊維を47質量部とし、キサンタンガムを12質量部加えた以外は、試料1と同様にして試料7を得た。
【0078】
試料8(青汁素材100質量部に対するキサンタンガムの割合42質量部)
試料1の食物繊維を44質量部とし、キサンタンガムを16質量部加えた以外は、試料1と同様にして試料8を得た。
【0079】
試料9(青汁素材100質量部に対するキサンタンガムの割合53質量部)
試料1の食物繊維を39質量部とし、キサンタンガムを20質量部加えた以外は、試料1と同様にして試料9を得た。
【0080】
試験例
上記試料1~9について、以下のように官能評価を行った。
各試料(4g)を常温(約20℃)の水100mLに分散させ、8名の専門パネリストに約20mL飲用してもらい、香り及び食感に関する下記6項目について、以下の評価基準にしたがって評価してもらった。8名の専門パネリスト(A~H)の評点の平均値をそれぞれの項目における評価点としし、専門パネリスト8名の平均値が3点以上であれば、合格と判断した。
【0081】
香り(青臭さ)
点数 評価ポイント
5点 青汁特有の青臭い戻り香が非常に抑えられている
4点 青汁特有の青臭い戻り香が十分に抑えられている
3点 青汁特有の青臭い戻り香が少し抑えられている
2点 青汁特有の青臭い戻り香がほとんど抑えられていない
1点 青汁特有の青臭い戻り香が全く抑えられていない
【0082】
【表1】
【0083】
<結果>
キサンタンガムを配合することによって、青汁素材の青汁特有の青臭さが抑えられることがわかった。
【0084】
食感(ざらざら感)
点数 評価ポイント
5点 口に入れた時にざらざらした不快な食感を全く感じない
4点 口に入れた時にざらざらした不快な食感をほとんど感じない
3点 口に入れた時にざらざらした不快な食感をあまり感じない
2点 口に入れた時にざらざらした不快な食感を少し感じる
1点 口に入れた時にざらざらした不快な食感を非常に感じる
【0085】
【表2】
【0086】
<結果>
キサンタンガムを配合することによって、青汁素材のざらざら感が抑えられ、食感が改善することがわかった。
【0087】
食感(口当たり)
点数 評価ポイント
5点 口に入れた時の口当たりが良好である
4点 口に入れた時の口当たりがやや良好である
3点 口に入れた時の口当たりはやや物足りなさがあるものの、問題ないレベルである
2点 口に入れた時の口当たりが悪い
1点 口に入れた時の口当たりが非常に悪い
【0088】
【表3】
【0089】
<結果>
キサンタンガムを配合することによって、青汁素材の食感のうち、口当たりが改善することがわかった。
【0090】
食感(のど越し)
点数 評価ポイント
5点 のどに飲み込んだ時に引っ掛かりを全く感じない
4点 のどに飲み込んだ時に引っ掛かりをほとんど感じない
3点 のどに飲み込んだ時に引っ掛かりをあまり感じない
2点 のどに飲み込んだ時に引っ掛かりを少し感じる
1点 のどに飲み込んだ時に引っ掛かりを非常に感じる
【0091】
【表4】
【0092】
<結果>
キサンタンガムを配合することによって、青汁素材の食感のうち、のど越しが改善することがわかった。
【0093】
味わい
点数 評価ポイント
5点 のどに飲み込んだ時に濃厚で深い味わいを非常に感じる
4点 のどに飲み込んだ時に濃厚で深い味わいをやや感じる
3点 のどに飲み込んだ時の味わいは濃厚さ及び深みにやや物足りなさがあるものの、問題ないレベルである
2点 のどに飲み込んだ時に濃厚で深い味わいをあまり感じない
1点 のどに飲み込んだ時に濃厚で深い味わいを全く感じない
【0094】
【表5】
【0095】
<結果>
キサンタンガムを配合することによって、青汁素材の味わいが向上することがわかった。
【0096】
以上のとおり、キサンタンガムを有効成分として、青汁素材に配合することによって、青汁素材の青臭さを抑制でき、青汁素材のざらざら感の抑制、口当たりの向上、のど越しの向上、及び、味わいの向上が達成できることがわかった。このように、本発明の青汁飲食品用組成物は、青汁素材の風味を改善できることがわかった。