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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022166
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】畳
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
E04F15/02 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125541
(22)【出願日】2022-08-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年3月31日に畳を開示した。 令和4年6月24日に畳を販売した。 令和4年7月26日に畳を販売した。
(71)【出願人】
【識別番号】397010789
【氏名又は名称】萩原株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】月本 明雄
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220FA01
2E220GA22X
2E220GA24X
2E220GA25X
2E220GA27X
2E220GA28X
2E220GB32X
2E220GB33X
2E220GB35X
2E220GB36X
2E220GB39X
2E220GB48X
2E220GB52X
(57)【要約】
【課題】
長期的な耐久性に優れており、芯材の構成材としてインシュレーションボードを使用した畳に比して、カッターナイフを用いて人手により、より簡単に切断することができる畳を提供する。
【解決手段】
フローリング材の代替材として構造床に敷設され、芯材と芯材を被覆する表素材とをカッターナイフを用いて人手により切断して畳の寸法を施工箇所に応じて調節可能にした畳であり、当該畳は、板状の芯材と、芯材を包む表素材とを含み、前記芯材は、厚みが5~12mmであり、密度110~180kg/mの単一層のフェルト板であり、表素材の厚みは1~4mmであり、畳全体の厚みは、10~14mmである畳である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローリング材の代替材として構造床に敷設され、芯材と芯材を被覆する表素材とをカッターナイフを用いて人手により切断して畳の寸法を施工箇所に応じて調節可能にした畳であり、
当該畳は、板状の芯材と、芯材を包む表素材とを含み、
前記芯材は、厚みが5~12mmであり、密度110~180kg/mの単一層のフェルト板であり、
表素材の厚みは1~4mmであり、
畳全体の厚みは、10~14mmである畳。
【請求項2】
カッターナイフの刃に対して鉛直方向1kgの荷重をかけて、カッターナイフの刃を1.5m/分の速度で横方向に移動させて、芯材に前記刃を接触させて芯材を切断する際に、前記芯材が切断に至るまでの回数は、1~2回である請求項1に記載の畳。
【請求項3】
カッターナイフの刃に対して鉛直方向1kgの荷重をかけて、カッターナイフの刃を1.5m/分の速度で横方向に移動させて、芯材に前記刃を接触させて芯材を切断する際に、刃を横方向に引くのに要する荷重は、2.8~3.7kgである請求項1又は2に記載の畳。
【請求項4】
前記表素材、及び前記芯材に加えて、芯材の裏面に配される不織布シートと、当該不織布シートの裏面に配される防滑材とをさらに備えており、
前記畳は、前記表素材、前記芯材、前記不織布シート、及び防滑材の計4点のみから構成される請求項1又は2に記載の畳。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローリング材の代替材として構造床に敷設され、芯材と芯材を被覆する表素材とをカッターナイフを用いて人手により切断して畳の寸法を施工箇所に応じて調節可能にした畳に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1、又は特許文献2には、カッターナイフで切断することができる畳が開示されている。特許文献1には、不透湿性シート、木質板材、不透湿性シートの順に、上から下に、各層を積層した芯材が記載されている。前記不透湿性シートは、ポリエチレンなどの合成樹脂フィルムの表面と裏面との両方に紙を接着したものである。木質板材は、インシュレーションボードなどの板材である。
【0003】
特許文献2には、インシュレーションボードの表裏面に非伸縮性シートを積層した畳床が開示されている。畳床は、裏打材を備える畳表により、被覆される。裏打材と畳床の間に、クッション材を配置した実施例も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-336303号公報
【特許文献2】特開2020-94479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1又は特許文献2に記載の畳は、カッターナイフで切断することができるとされている。しかしながら、いずれの畳も芯材の構成材として、インシュレーションボードを使用している。インシュレーションボードは、繰り返しカッターナイフの刃を当てて引く動作を何度も繰り返せば、切断することができるものの、誰もが簡単に切断できるとはいいがたい。例えば、畳職人などの手慣れた者であれば、要領よく畳を切断することができるかもしれないが、家庭においてDIY(Do It Yourself:「自身で行う」の意味)で畳を切断するような場合は、簡単に畳を切断することは難しい。
【0006】
本発明は、長期的な耐久性に優れており、芯材の構成材としてインシュレーションボードを使用した畳に比して、カッターナイフを用いて人手により、より簡単に切断することができる畳を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
フローリング材の代替材として構造床に敷設され、芯材と芯材を被覆する表素材とをカッターナイフを用いて人手により切断して畳の寸法を施工箇所に応じて調節可能にした畳であり、当該畳は、板状の芯材と、芯材を包む表素材とを含み、前記芯材は、厚みが5~12mmであり、密度110~180kg/mの単一層のフェルト板であり、表素材の厚みは1~4mmであり、畳全体の厚みは、10~14mmである畳により、上記の課題を解決する。
【0008】
上記の畳は、芯材が、上記所定の厚み、かつ上記所定の密度を有する単一層のフェルト板で構成され、畳表の厚みと畳全体の厚みを所定の厚みとしているため、カッターナイフを用いて、特殊な切断機等を用いることなく、人手で簡単に切断することができる。
【0009】
上記畳の物性については、特に限定されないが、好ましくは、カッターナイフの刃に対して鉛直方向1kgの荷重をかけて、カッターナイフの刃を1.5m/分の速度で横方向に移動させて、芯材に前記刃を接触させて芯材を切断する際に、前記芯材が切断に至るまでの回数は、1~2回である。
【0010】
上記畳の物性については、特に限定されないが、好ましくは、カッターナイフの刃に対して鉛直方向1kgの荷重をかけて、カッターナイフの刃を1.5m/分の速度で横方向に移動させて、芯材に前記刃を接触させて芯材を切断する際に、刃を横方向に引くのに要する荷重は、2.8~3.7kgである。
【0011】
上記畳は以下の構成とすることが好ましい。すなわち、前記表素材、及び前記芯材に加えて、芯材の裏面に配される不織布シートと、当該不織布シートの裏面に配される防滑材とをさらに備えており、前記畳は、前記表素材、前記芯材、前記不織布シート、及び防滑材の計4点のみから構成されることが好ましい。この構成によれば、カッターナイフを用いて、畳をより容易に切断することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長期的な耐久性に優れており、芯材の構成材としてインシュレーションボードを使用した畳に比して、カッターナイフを用いて人手により簡単に切断することができる畳を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の畳の一実施形態の構造を示す断面図である。
図2図1の畳の底面図である。
図3】芯材の切断試験で使用した切断装置の正面図である。
図4図3の切断装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して、説明する。以下に示す各実施形態と使用例は、本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲は例示した実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1に本実施形態に係る畳1の断面図を示す。本実施形態の畳1は、板状の芯材11と、芯材11を包む表素材12とを含む。前記畳1は、芯材11の裏面に配される不織布シート13と、防滑材14とをさらに備えており、前記畳1は、前記表素材12、前記芯材11、前記不織布シート13、及び防滑材14の計4点のみから構成される。
【0016】
前記畳1は、フローリング材の代替材として構造床に敷設される。建築物の構造床としては、鉄筋コンクリートで構成した建築物の場合はスラブ、木材で構成した建築物の場合は合板が一般的に使用される。構造床の上には、木材、タイルや木材等の外観を模した化粧層を備える合成樹脂材などで構成されるフローリング材が敷設される。フローリング材の厚みは、12mmである。和風建築の場合は、構造床の上に本畳が敷設される。構造床に敷設される本畳の一般的な厚みは、55~60mmである。
【0017】
一般的な本畳の厚みは、フローリング材の厚みよりも大きいため、フローリング材用に設計した部屋には、一般的な本畳を敷設することはできない。本実施形態の畳1は、畳全体の厚みが10~14mmであるため、フローリング材用に設計した部屋の床材として、好適に使用することができる。これにより、洋室を前提に設計された部屋を、畳1を床材とする部屋に仕上げることができる。また、畳1を外して、公知のフローリング材に入れ替えることも可能である。なお、畳全体の厚みには、表素材、芯材、不織布シート、及び防滑材、それぞれの厚みを含む。
【0018】
本実施形態の畳1は、芯材11と芯材を被覆する表素材12とをカッターナイフを用いて人手により切断して畳の寸法を施工箇所に応じて調節可能にしたものであり、畳1を敷設する際に、部屋の大きさにあわせて、カッターナイフを用いて人手により、畳1を簡単に切断することができる。畳1を切断する際に大きな力や特殊な道具を要しないため、DIYで畳を敷設する作業を行う際にも、部屋の大きさに応じて畳1を施工現場で切断して、畳1を隙間なく敷設することができる。また、職人が畳を敷設する作業を行う際にも、より簡単に畳を施工現場で切断することができる。
【0019】
前記芯材は、厚みが5~12mmであり、密度110~180kg/mの単一層のフェルト板である。厚みを5~12mmにし、密度を密度110~180kg/mにすることにより、畳の芯材として必要となる長期的な耐久性を確保し、カッターナイフを用いて人手により畳を容易に切断することが可能になる。芯材は、単一層のフェルト板から構成される。芯材を2枚のフェルト板を積層して構成した場合、フェルト板が接合部で剥離したり、フェルト板の接合部がカッターナイフで切断する際に抵抗となり、切断作業の妨げとなることがある。フェルト板を単一層とすることにより、剥離の問題や切断時の抵抗となる問題を解消することができる。
【0020】
芯材の密度について、前記範囲を下回ると、畳の長期的な耐久性が低下し、畳に対して継続して入力される体重等の荷重により、畳にヘタリが生じ、畳のクッション性が失われやすくなる。芯材の密度について、上記範囲を上回ると、カッターナイフを用いて人手で畳を切断するのが困難になる。
【0021】
芯材の製造方法は、特に限定されず、公知のフェルト板の製造方法によればよい。例えば、化学繊維のウェブにフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂をバインダーとして混合し、熱を加えながら圧縮することでフェルト板を得ることができる。
【0022】
上記の芯材は、カッターナイフの刃に対して鉛直方向1kgの荷重をかけて、カッターナイフの刃を1.5m/分の速度で横方向に移動させて、芯材に前記刃を接触させて芯材を切断する際に、前記芯材が切断に至るまでの回数は、1~2回である易切断性を有する。畳を切断する際の方向は、特に限定されず、例えば、縦方向又は横方向のいずれであってもよい。
【0023】
上記の芯材は、カッターナイフの刃に対して鉛直方向1kgの荷重をかけて、カッターナイフの刃を1.5m/分の速度で横方向に移動させて、芯材に前記刃を接触させて芯材を切断する際に、刃を横方向に引くのに要する荷重は、2.8~3.7kgである易切断性を有する。畳を切断する際の方向は、特に限定されず、例えば、縦方向又は横方向のいずれであってもよい。
【0024】
フェルト板を構成する繊維は、特に限定されないが、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維等の化学繊維が挙げられる。中でもポリエステルは、虫害に強く、吸水性が低く速乾性が高い、日光によって劣化しにくいといった特性を有するため、好適に使用することができる。フェルト板の構成材のうち90~100質量%は、ポリエステル繊維にすることが好ましい。
【0025】
表素材は、芯材を被覆する外装材であり、シート状の形状である。表素材の厚みは、1~4mmである。表素材は、ごく薄いので、カッターナイフを用いて人手によって、畳を切断する際に、表素材が切断作業の妨げにはならない。
【0026】
表素材の構成材は、特に限定されないが、例えば、天然藺草、紙、及び合成樹脂素材を素材とする織編物で構成することができる。前記織編物であれば、カッターナイフの刃が通りやすく、畳をより切断しやすくなる。
【0027】
前記不織布シート13は、芯材の裏面を保護し、芯材の繊維が脱落するのを防止し、畳の裏面の美感をよくする目的で、芯材の裏面に貼着される。不織布シートの厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1~3mmとすることができる。この程度の厚みであれば、畳を切断する際に、不織布シートが切断作業の妨げにはならない。
【0028】
不織布シート13の構成材は、特に限定されないが、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維を使用することができる。
【0029】
畳1は、板状の芯材11と、芯材11を包む表素材12と、不織布シート13と、防滑材14とを備える構成である。防滑材14は、図2に示したように、不織布シート13の裏面全体を覆うように配置するのではなく、不織布シート13の一部を覆う形状とし、残りの部分は不織布シート13が畳の裏面に露出するようにすることが好ましい。このようにすることで、畳を切断する際における防滑材の影響を小さくすることができる。図2の例では、不織布シート13に比して小さい面積の防滑材14を不織布シート13の裏面に貼着している。防滑材14は、特に限定されないが、例えば、厚み0.1~3mmのシート状の形態にすることができる。防滑材の構成材は、特に限定されないが、例えば、シリコーンゴム、加硫ゴム、アクリル系エラストマーなどの弾性素材をシート状にしたものが挙げられる。アクリル系エラストマーとしては、例えば、アクリル系ブロック共重合体が挙げられる。防滑材は、必須ではなく、省略してもよい。この場合、畳は、表素材、芯材、及び不織布シートの計3点のみから構成される。
【0030】
[実施例]
以下の実施例1の芯材、及び各比較例の芯材について、切断試験を行った。
【0031】
切断試験に使用した装置の構成を、図3及び図4に示す。切断装置5は、人手によりカッターナイフの刃を用いて畳を切断する際における、畳の切れやすさを評価するための装置である。切断装置5は、カッターナイフの刃51と、当該刃51を固定する固定部52と、固定部52を保持するスライダー53と、当該スライダー53を水平方向に移動可能な状態で保持するレール部54と、当該レール部54の両端部に接続される一対の支持柱55と、当該支持柱55に交差する方向に延在する形状であり、前記支持柱55が倒れないように保持する一対の接地部56と、一方の足部に固定され、作業台上のポリカーボネートの板6に載置された畳7の位置を固定するストッパー57とを有する。
【0032】
前記固定部52は、2枚の板状部材で構成される。2枚の板状の部材の間に、カッターナイフの刃51を挟持し、螺子により固定する。固定部52の上方には、板状部536から上方に突出する計4本のスライドシャフト531が設けられる。スライドシャフト531の基端部と固定部52の基端部とは板状部536に対してそれぞれ固定されており、固定部52は板状部536の下方に配され、スライドシャフト531は板状部536の上方に配される。
【0033】
ストッパー57は、板を曲げ加工した形状であり、中ほどに、カッターナイフの刃51を受け入れる切り欠き部571を備える。
【0034】
スライダー53は、L字状の板状部532と、前記スライドシャフト531を受け入れる計4本のフランジ付きのリニアブッシュ533とを備える。リニアブッシュ533のフランジ部は、L字状の板状部532に固定される。前記リニアブッシュ533の貫通孔に前記スライドシャフト531を挿通し、前記リニアブッシュ533の貫通孔の上端から突出するスライドシャフト531には、リング状の抜け留め部材534が固定される。前記L字状の板状部532には、スライダー53を横方向に移動させる際に使用する、棒状のハンドル535が設けられる。
【0035】
前記リニアブッシュ533は、株式会社ミスミグループ本社(SLHFSW12)の製品を使用した。このリニアブッシュは、外筒部と、当該外筒部に同軸で内蔵される筒状のリテーナーと、前記外筒部とリテーナーとの間に配置される複数かつ小径のボールとを有する。リテーナーにより形成される貫通孔は、板状部532に設けられた貫通孔と連通する。前記スライドシャフト531は、カラーの貫通孔と前記板状部532の貫通孔に挿通される。
【0036】
レール部54には、水平方向に沿って延びる計2本の突条541が設けられる。それぞれの突条541は、上面と下面に後述するリニアスライダーのボールを受け入れる凹部542が設けられる。前記L字状の板状部532の背面側には、リニアスライダー(株式会社ミスミグループ本社、C-SV2R24-1240)が固定される。リニアスライダー53のボールは、前記突条の凹部542に接面する。リニアスライダー53は、ボールを介して、凹部542に接している。スライダー53を水平方向に動かすと、リニアスライダー53が突条541の上を摺動する。
【0037】
カッターナイフの刃には、上述の固定部52、板状部536、スライドシャフト531、及びリング状の抜け止め部材534の質量が作用する。固定部52のスライドシャフト531はスライダー53のリニアブッシュ533の貫通孔に挿通されているに過ぎず、固定部52はフリーの状態である。このため、スライダー53やレール部54等の質量は、カッターナイフの刃51に作用しない。
【0038】
本試験では、カッターナイフの刃として、オルファ株式会社のカッターナイフ用替刃(LB10K)を使用した。刃51の取付角度は、切断対象物である畳7の表面の水平線を0°としたとき、刃51の先端の直線が30°の角度をなすように、固定部52に取り付けた。スライダー53の移動速度は、1.5m/分となるようにした。切断する畳の長さは、500mmとした。刃51に作用する鉛直方向の荷重は、1.0kgになるようにした。
【0039】
作業台の上に厚み1mmの両面が平滑面であるポリカーボネートの板6(タキロンシーアイ株式会社)を設置し、その上に、以下の実施例1の芯材、又は各比較例の芯材7を設置し、装置のハンドル535にバネ秤を固定して、バネ秤を上記の移動速度で、引いて、畳を切断する作業を行った。実施例1、及び各比較例について、それぞれ6枚ずつを準備し、それぞれの畳が切断に至るまでスライダーを移動させた回数の平均値と、ハンドル535を引く際のバネ秤の荷重の平均値とを表1にまとめた。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例1の芯材、各比較例の芯材の構成は、表1に記載の通りである。実施例1及び比較例1で使用したフェルトは、何れも単一層であり、構成材はポリエステル繊維である。比較例で使用したインシュレーションボード及び発泡ポリスチレンボードは、畳の構成材として販売されているごく一般的なものである。表1の「ブランク」は、前記ポリカーボネートの板の上に畳を載せない状態で、スライダーを水平方向に移動させて、いわゆる空切りを行った場合において刃に作用する荷重である。
【0042】
表1に示したように、実施例1に係る芯材では、インシュレーションボードで構成される比較例2及び3に係る芯材に比して、より少ない回数で、芯材を切断することができる。上記の切断装置を使用せずに、カッターナイフを用いて人手により、実施例1、比較例2、及び比較例3に係る芯材を、それぞれ、切断してみたところ、官能評価においても、同様の結果となった。
【0043】
表1に示したように、実施例1に係る芯材では、発泡ポリスチレンで構成される比較例4及び5に係る芯材に比して、より小さい力を水平方向に入力することで、畳を切断することができる。上記の切断装置を使用せずに、カッターナイフを用いて人手により、実施例1、比較例4、及び比較例5に係る芯材を、それぞれ、切断してみたところ、官能評価においても、同様の結果となった。
【0044】
比較例1に係る芯材は、易切断性においては申し分ないが、長期的な耐久性において劣る。すなわち、比較例1に係る芯材は、密度が小さく、足で繰り返し踏むとヘタリやすく、比較的に短い時間で芯材のクッション性が失われてしまう。実施例1に係る芯材は、比較例1に係る芯材に比して、長期的な耐久性において優れるものであった。
【符号の説明】
【0045】
1 畳
12 表素材
11 芯材
13 不織布シート
14 防滑材
51 カッターナイフの刃

図1
図2
図3
図4