(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022169
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A47K3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125551
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 純也
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132FA13
2D132FC04
2D132FJ17
2D132FJ27
2D132FJ31
(57)【要約】
【課題】シャワーヘッドの水垂れを少なくする。
【解決手段】切替部材は、有底円筒状の弁体522を有し、弁体522は、周方向に沿って互いに独立した複数種類の通水路を有している。切替部材を回動操作して、通水路の位置を変更することによって流路を切り換えるように構成されている。弁体522を当該弁体522の軸方向から平面視し、ハンドル部の軸方向を基準にして、シャワーヘッドの基端側を0度、先端側を180度とし、回動中心に対する弁体522の周方向に沿う左右両側を0度から180度までのプラスの角度で表すと、複数種類の通水路のうち少なくとも一種類の通水路は、90度以上の位置のみに設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のハンドル部と、ヘッド部とを有するヘッドケースと、
前記ヘッドケースに収容される通水部材と、
前記通水部材に取り付けられて、前記通水部材から吐出される湯水の流路を切り換える切替部材とを備えるシャワーヘッドであって、
前記切替部材は、有底円筒状の弁体を有し、
前記弁体は、周方向に沿って互いに独立した複数種類の通水路を有しており、
前記切替部材を回動操作して、前記通水路の位置を変更することによって前記流路を切り換えるように構成されており、
前記弁体を当該弁体の軸方向から平面視し、
前記ハンドル部の軸方向を基準にして、前記シャワーヘッドの基端側を0度、先端側を180度とし、回動中心に対する前記弁体の周方向に沿う左右両側を0度から180度までのプラスの角度で表すと、
前記複数種類の通水路のうち少なくとも一種類の通水路は、90度以上の位置のみに設けられていることを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記複数種類の通水路のうち少なくとも一種類の通水路は、90度以上の位置のみに設けられており、別の種類の通水路は、0度以上90度未満の位置にも設けられている請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記90度以上の位置のみに設けられた通水路は、前記弁体の底面に設けられた開口部に連通するとともに、前記弁体の前面が閉鎖されて、前記弁体の側面から内外に連通する請求項1又は2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記通水路は、噴霧水用の通水路である請求項3に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記切替部材は、前記90度以上の位置のみに設けられた通水路に連通する吐水孔と、前記0度以上90度未満の位置にも設けられた通水路に連通する吐水孔とを有し、
前記90度以上の位置のみに設けられた通水路に連通する吐水孔は、前記0度以上90度未満の位置にも設けられた通水路に連通する吐水孔よりも前記切替部材の径方向外周側に位置し、前記切替部材の周方向に沿って複数形成されている請求項2に記載のシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
湯水の流路を切り替えて異なる吐出形態を選択することができるシャワーヘッドが知られている。
図11~13に示すように、特許文献1に記載のシャワーヘッド90は、ヘッドケース(図示省略)と、ヘッドケースに収容される通水部材91と、通水部材91に取り付けられて、通水部材91から吐出される湯水の流路を切り換える切替部材93とを備える。切替部材93は、弁体としての有底円筒状の流路切替機構部93aを有している。
【0003】
図11に示すように、流路切替機構部93aは、周方向に沿って独立した複数種類の通水路h1、h2、h3を有している。複数種類の通水路h1、h2、h3は、周方向に沿って互いに独立しており、同じ種類の通水路h1、h2、h3が一対ずつ流路切替機構部93aの軸心Tを挟んで対向している。
【0004】
図12に示すように、通水部材91は、カバーとしての流路切替板92を有する。流路切替板92は、通水穴92aを有している。
図12に示すように、切替部材93を回動操作して、流路切替機構部93aの複数種類の通水路h1、h2、h3のうち、一種類の通水路、例えば通水路h3と、流路切替板92の通水穴92aとを連通させる。これにより、通水部材91からの湯水Wが切替部材93を流通して、吐水口94から吐出される。
【0005】
図13に示すように、さらに、切替部材93を回動操作して、連通状態にあった通水路h3と通水穴92aとの連通を解消する。そして、流路切替機構部93aの複数種類の通水路h1、h2、h3のうち、別の種類の通水路、例えば通水路h2と、流路切替板92の通水穴92aとを連通させる。これにより、
図12とは異なる吐出形態にて吐水口95から湯水Wを吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、切替部材93を回動操作して、シャワーヘッド90からの湯水Wの吐出形態を切り替え、弁体の通水路h1、h2、h3と、流路切替板92の通水穴92aとの連通を解消すると、通水路h1、h2、h3内に湯水Wが滞留する。また、弁体の複数種類の通水路h1、h2、h3のいずれかと、流路切替板92の通水穴92aとが連通した状態で、シャワーヘッド90の湯水を供給する水栓を止水しても、通水路h1、h2、h3内に湯水Wが滞留する。滞留した湯水Wは、水垂れとなって吐水口94、95から排出される。シャワーヘッド90の使用感を向上させるために、水垂れを少なくすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのシャワーヘッドは、筒状のハンドル部と、ヘッド部とを有するヘッドケースと、前記ヘッドケースに収容される通水部材と、前記通水部材に取り付けられて、前記通水部材から吐出される湯水の流路を切り換える切替部材とを備えるシャワーヘッドであって、前記切替部材は、有底円筒状の弁体を有し、前記弁体は、周方向に沿って互いに独立した複数種類の通水路を有しており、前記切替部材を回動操作して、前記通水路の位置を変更することによって前記流路を切り換えるように構成されており、前記弁体を当該弁体の軸方向から平面視し、前記ハンドル部の軸方向を基準にして、前記シャワーヘッドの基端側を0度、先端側を180度とし、回動中心に対する前記弁体の周方向に沿う左右両側を0度から180度までのプラスの角度で表すと、前記複数種類の通水路のうち少なくとも一種類の通水路は、90度以上の位置のみに設けられていることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、複数種類の通水路のうち少なくとも一種類の通水路は、90度以上の位置のみに設けられていることによって、この通水路内の湯水の水垂れを少なくすることができる。
【0010】
上記シャワーヘッドについて、前記複数種類の通水路のうち少なくとも一種類の通水路は、90度以上の位置のみに設けられており、別の種類の通水路は、0度以上90度未満の位置にも設けられていることが好ましい。この構成によれば、少なくとも一種類の通水路に対して、水垂れを少なくすることができる。
【0011】
上記シャワーヘッドについて、前記90度以上の位置のみに設けられた通水路は、前記弁体の底面に設けられた開口部に連通するとともに、前記弁体の前面が閉鎖されて、前記弁体の側面から内外に連通することが好ましい。この構成によれば、通水路が相対的に大きな容積を有した状態になるため、残水量も相対的に大きくなりやすい。よって、残水量が相対的に大きな通水路に対して、効果的に水垂れを少なくすることができる。
【0012】
上記シャワーヘッドについて、前記通水路は、噴霧水用の通水路であることが好ましい。この構成によれば、噴霧水用の通水路からの水垂れを少なくすることができる。
上記シャワーヘッドについて、前記切替部材は、前記90度以上の位置のみに設けられた通水路に連通する吐水孔と、前記0度以上90度未満の位置にも設けられた通水路に連通する吐水孔とを有し、前記90度以上の位置のみに設けられた通水路に連通する吐水孔は、前記0度以上90度未満の位置にも設けられた通水路に連通する吐水孔よりも前記切替部材の径方向外周側に位置し、前記切替部材の周方向に沿って複数形成されていることが好ましい。この構成によれば、90度以上の位置のみに設けられた通水路が相対的に大きな容積を有した状態になるため、残水量も相対的に大きくなりやすい。よって、残水量が相対的に大きな通水路に対して、効果的に水垂れを少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシャワーヘッドによれば、水垂れを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図3(a)はインナーカップ本体及びカバーの正面図、
図3(b)はインナーカップの半断面図である。
【
図5】
図5(a)は操作部の正面図、
図5(b)は同底面図、
図5(c)は同側面図、
図5(d)は断面図である。
【
図6】
図6(a)はインナーカバーと操作部の位置関係を示す正面図、
図6(b)は同半断面図、
図6(c)は操作部を回動させた場合の正面図、
図6(d)は同半断面図、
図6(e)は操作部を回動させた場合の正面図、
図6(f)は同半断面図である。
【
図7】
図7(a)は斜め前方から見た切替部の分解斜視図、
図7(b)は斜め後方から見た切替部の分解斜視図である。
【
図8】
図8(a)は操作部が散水位置の流路を示す断面図、
図8(b)は操作部が噴霧水位置の流路を示す断面図、
図8(c)は操作部が直流水位置の流路を示す断面図である。
【
図12】
図12は特定の吐水形態が選択された従来技術のシャワーヘッドの断面図である。
【
図13】
図13は別の吐水形態が選択された従来技術のシャワーヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を
図1~
図10にしたがって説明する。
図1にシャワーヘッド1の斜視図を示す。同図に示すシャワーヘッド1は先端前面から湯水を吐出することができ、その吐出形態を直流水(ストレート水)、散水(シャワー水)、噴霧水(ミスト水)の3種から任意に選択することができる。なお、シャワーヘッド1の基端には図示しないホース及び水栓が接続されており、水栓にて温度及び流量が調整された湯水がホースを通ってシャワーヘッド1に送られてくる。
【0016】
図2にシャワーヘッド1の分解斜視図を示す。同図に示すようにシャワーヘッド1は、その外殻をなすヘッドケース10と、通水部材としてのインナーカップ20とを有する。また、インナーカップ20からの湯水を異なる吐出形態に切り替えて吐出する切替部材としての吐出ユニット30を有する。なお、シャワーヘッド1及びこれを構成する各部材において、先端、基端、前方(前面)、後方(背面)とは、
図1に矢印にて図示した方向をいう。
【0017】
以下、シャワーヘッド1を構成する各部材について説明する。
<ヘッドケース10>
図2に示すように、ヘッドケース10は本体ケース11とこれに嵌合する前面ケース12とを有し、それぞれABS樹脂にて成形されて、その表面が金属メッキされている。本体ケース11は、側壁13及び底壁14を有し前面が開口した円筒状のヘッド部11Aと、このヘッド部11Aの基端に連通し、前面が開口した半円筒状の背面ハンドル部11Bを一体成形したものである。ヘッド部11Aの基端側の側壁13と背面ハンドル部11Bは前縁の高さ(前後方向の長さ)が低くなっており、ここに前面ケース12が装着される。ヘッド部11Aの底壁14には前方に突出するボス15が4箇所形成されており、ボス15の内側に雌ネジが形成されている。
【0018】
前面ケース12は背面が開口した半円筒状の前面ハンドル部12Aと、前面ハンドル部12Aの先端に一体成形された円弧状の枠部12Bを有し、正面視で略Y字状をなす。枠部12Bの前面はヘッド部11Aの側壁13に直交する面を有し、先端縁がヘッド部11Aの側壁13と同心円かつ側壁13よりも小径の円弧状に形成された係合片16を有する。この係合片16はヘッドケース10の第2係合部を構成する。係合片16は側壁13の前縁と同じ高さとなっており、側壁13の延長線(側壁13の正面視における円弧を基端に延長させた場合の軌跡)よりも径方向(吐出ユニット30の回動軸に直交する方向)内側に位置する。
【0019】
背面ハンドル部11Bと前面ハンドル部12Aを組み合わせることによって、筒状のハンドル部17が形成される。
<インナーカップ20>
図1~3に示すように、通水部材としてのインナーカップ20は、ヘッドケース10に収容される。インナーカップ20はインナーカップ本体21と、インナーカップ本体21の前面に位置するカバー22とを有する。インナーカップ本体21は前面が開口した有底円筒状をなす円筒部23を有し、この円筒部23の基端に管状の接続部24が形成されている。接続部24の基端は径方向外側に延び、シャワーヘッド1のハンドル内に位置する配管(
図2に2点鎖線で示す)に接続されており、インナーカップ20へと湯水を供給する。円筒部23内には同心円状に外側から案内溝25、円状流路26、嵌合部27が形成されている。案内溝25は基端を除く範囲に周方向(吐出ユニット30の回動方向)に形成された正面視(
図3(a))でC字状の溝であり、後述する切替部50に形成された案内筒部515を回動可能に遊嵌している。案内溝25の内側には円筒状の仕切り壁251を挟んで円状流路26が形成されている。円状流路26の基端には接続部24の先端が連通して開口している。円状流路26の中央には円筒状の嵌合部27が位置し、嵌合部27の中心には内側に雌ネジを有するボス271が形成されている。このボス271に吐出ユニット30が回動可能に固定され、吐出ユニット30の回動軸はボス271を通る。
【0020】
図3(b)に示すように、円筒部23の前端外周から鍔部28が形成されている。鍔部28は円筒部23の前端外縁から径方向外側に向かって延びる円板状をなし周方向において接続部24と重なる箇所を除いた範囲に形成されている。なお、
図3等では接続部24と周方向に重なる箇所にも鍔部28が位置するように図示されているが、成型上、鍔部28の前面形状を接続部24の前面にも形成しているだけであり、この箇所には鍔部28は形成されていない。鍔部28には周方向の4箇所に本体ケース11の底壁14のボス15に対応したネジ孔281が形成されており、インナーカップ20はネジ29(
図2参照)により本体ケース11に回動不能に固定されている。
【0021】
図3(b)に示すように、鍔部28の外周部分には背面側に形成された段差を介して薄肉の係合板282が形成されており、この係合板282はインナーカップ20の第1係合部を構成する。
図3(a)に示すように係合板282は鍔部28のうち正面視で先端を12時とした場合の12時、3時、9時となる位置には形成されていない。すなわち、鍔部28のこれらの位置は係合板282の幅だけ径方向内側に凹んでいる。これは成形及び操作部40との組付けを考慮したものである。なお、鍔部28の一部である係合板282が円板部となる。
【0022】
カバー22は、
図3(b)に断面図を示すように円状流路26の前面を覆うものである。カバー22は円形の板材であり、外周縁の2箇所には凸片221が形成されて円状流路26の仕切り壁251に形成された切り欠きにて位置決めされている。カバー22には中央の貫通孔222とこれを挟んで対向する2つで対をなす扇形の吐出口223が貫通形成されており、接続部24から円状流路26に送られてきた湯水は2つの吐出口223から湯水を前方に吐出可能となっている。
【0023】
<吐出ユニット30>
図1、2に示すように、切替部材としての吐出ユニット30は、インナーカップ20に取り付けられて、インナーカップ20から吐出される湯水の流路を切り替える。
【0024】
図4に吐出ユニット30の分解斜視図を示す。同図に示すように吐出ユニット30は図中右から操作部40、切替部50、シャワーノズル60、シャワーフェイス70、整流器80を含んで構成される。なお、操作部40には後述する摺動リング49が装着されているが、摺動リング49は吐出ユニット30には含まれない。
【0025】
(操作部40)
以下、操作部40について説明する。
図5(a)に操作部40の正面図、
図5(b)に同底面図、
図5(c)に同側面図、
図5(d)に同断面図を示す。操作部40はABS樹脂で形成されている。操作部40は円環状の表面部41と表面部41から後方に円筒状に延びる外嵌筒部42とを有する。この外嵌筒部42がインナーカップ20の一部に外嵌した状態で係合し、インナーカップ20に対して回動可能となっている。表面部41の外径はヘッドケース10の側壁13と同径であり、表面部41の基端には前方に突出する摘み43が形成されていて使用者はこの摘み43を把持して操作部40を回動させることができる。なお、操作部40において基端及び先端とは、操作部40が回動中心にある位置(
図1の位置)における先端(図中上)及び基端(図中下)をいう。外嵌筒部42の内周面には一定の高さ範囲に雌ネジ44が形成されている。この雌ネジ44は後述するシャワーフェイス70に螺合するものである。外嵌筒部42の内周面のうち雌ネジ44より後方には内周面から径方向内側に向かう一定幅の係合リブ45が円弧状に形成されており、これは操作部40の第1係合部を構成する。係合リブ45は外嵌筒部42の先端と基端とを結ぶ線に対称に形成されており、係合リブ45のうち最も離れて位置する部分間の角度範囲は約200度となっている。係合リブ45は周方向に連続して形成されてはおらず、例えば
図5(a)にて先端を12時とした場合の12時、3時、9時の位置には形成されていない。これは成形上及びインナーカップ20との組付けを考慮したものである。外嵌筒部42の内周面において係合リブ45が形成されていない左右位置の前方には径方向内側に向かう位置決めリブ46がそれぞれ形成されており、正面視では各位置決めリブ46が左右の係合リブ45が形成されていない箇所に重なる。係合リブ45と位置決めリブ46との前後方向の間隔は、インナーカップ20の係合板282の厚みよりも長い。また、外嵌筒部42のうち係合リブ45と同じ高さであって係合リブ45が形成されていない周方向部分には外嵌筒部42も形成されておらず、同部分は
図5(c)に示すように係合リブ45の高さ分だけ短く切り欠かれたような凹部47となっている。
【0026】
操作部40の表面部41の背面かつ外嵌筒部42の前端外周面には径方向外側に開口する第2係合部及び溝部としての係合溝48が全周に亘って形成されている。
図8に示すように、この係合溝48には全体としてリング状をなし断面が径方向外側に開口するコ字状の摺動リング49が装着されている。摺動リング49は基端に切れ目を挟んで端部を有する略Ω状をなし、その両端部からそれぞれ径方向外側に延びる係止片49aを有する。係止片49aが前面ケース12に係止されて摺動リング49は前面ケース12に回動不能に固定されている。摺動リング49は断面コ字状において平行に延びる2片のうち前方(
図8の上方)に位置する前片が後方に位置する後片よりも径方向外側に長く形成されている。摺動リング49を係合溝48に装着した状態では係合溝48の内面は摺動リング49に覆われる。そして、係合溝48及び摺動リング49内に前面ケース12の係合片16が挿入されて、ヘッドケース10及び摺動リング49に対して操作部40を回動可能に係合している。また、表面部41の背面は摺動リング49を介してヘッドケース10の側壁13前端に着座してヘッドケース10及び摺動リング49に対して操作部40を回動可能に係合している。摺動リング49はPOM樹脂にて成形されている。
【0027】
図6にインナーカップ20と操作部40とを係合した関係を示し、他の部材の図示は省略する。インナーカップ20は接続部24を除いた部分が操作部40に内嵌されて両者が相対回動可能に係合されている。
図6(a)、
図6(b)に示すように、操作部40の係合リブ45(
図6(a)では破線で示す)はインナーカップ20の係合板282と正面視にて重なる関係にある。また、操作部40の係合リブ45とインナーカップ20の係合板282からなる第1係合部は、
図6(b)、同(d)、同(f)に示すように接続部24と前後方向(高さ方向)において重なる位置に形成されている。インナーカップ20の係合板282が操作部40の係合リブ45の上(前方)に着座して操作部40の前方への移動を規制しつつ、両者は回動可能に係合されている。そして、操作部40はインナーカップ20に対して
図6(a)の位置から
図6(c)に示す時計回り方向、
図6(e)に示す反時計回り方向に回動することができる。操作部40はインナーカップ20のボス271を中心として回動する。なお、操作部40の回動に伴い係合リブ45も回動するため、インナーカップ20の係合板282が操作部40の係合リブ45に着座する箇所は、
図6(d)、
図6(f)のように回動に伴い変化する。流路切り替えに必要な操作部40の回動可能な範囲は
図6(a)を中心として左右にそれぞれ約60度である。そして、この回動範囲では操作部40に形成された係合リブ45はインナーカップ20の接続部24と回動方向において重ならない。すなわち、操作部40の係合リブ45とインナーカップ20の係合板282からなる第1係合部は、操作部40が回動する範囲を含めて、正面視では接続部24の位置を避けた環状に位置する。インナーカップ20の接続部24が位置する箇所は、操作部40の外嵌筒部42に凹部47が形成されているため、操作部40を回動しても接続部24が外嵌筒部42に干渉することはない。
【0028】
(切替部50)
以下、切替部50について説明する。
図7(a)及び
図7(b)に切替部50の分解斜視図を示す。切替部50はインナーカップ20の吐出口223から吐出された湯水の流路を切り替える部材であり、背面切替部51と前面切替部52と散水板53とから構成される。背面切替部51は、操作部40の外嵌筒部42内に遊嵌される環状の円環部511を有する。円環部511の前面内周縁には前方に突出するスペーサ512が形成されている。また、円環部511の外周縁には弾性リング513が装着されており、その後方には位置決め凹部514が周方向に180度離間した2箇所に形成されている。この位置決め凹部514は操作部40の外嵌筒部42に形成された位置決めリブ46に嵌合し、背面切替部51を操作部40に対して相対回動不能に固定する。円環部511の内周縁からは半円筒状の案内筒部515が後方に突出しており、インナーカップ20に形成された案内溝25に嵌合している。
【0029】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、前面切替部52は円環状の案内板521と有底円筒状の弁体522とを有する。案内板521は背面切替部51の円環部511より小径であり、その背面には円環部511のスペーサ512に係止するスペーサ523が突出形成されている。背面切替部51の円環部511と前面切替部52の案内板521との間にはスペーサ512、523の高さに相当する隙間を前後方向に有した状態で両者は相対回動不能に固定されている。この隙間は噴霧水用の通水路、すなわち噴霧水流路となる。
【0030】
弁体522は背面切替部51の円環部511に水密状態で内嵌されている。弁体522は内部に内筒524を有する二重筒状となっている。弁体522内のうち、内筒524の内側は前面に開口しており直流水用の通水路、すなわち直流水流路を構成する。また、弁体522内のうち内筒524の外側は周方向に4つに分割されており、このうち対向する一対は前面に開口して散水用の通水路、すなわち散水流路を構成する。また、もう一対のうちの一方は前面が閉塞されているとともに弁体522の側面に内外を連通する流出孔525が1箇所形成されており噴霧水流路を構成する。また、もう一対のうちの他方は前面が閉塞されているとともに流出孔525の位置に壁部530が形成されている(
図8(b)参照)。壁部530によって流出孔525が完全に塞がれており、噴霧水流路として機能しないように構成されている。
【0031】
弁体522の底は当接面526となっており、中央の固定孔527を中心として周方向にそれぞれ独立した6個の扇状をなす開口が形成されている。各開口は固定孔527を挟んで対向する2つが対をなしており、当接面526には第1開口528A、第2開口528B、第3開口528Cからなる合計3対の開口が形成されている。このうち、第1開口528Aは内筒524の外側の前面開口した部分に連通しており散水流路を構成する。また、第2開口528Bは弁体522に形成された流出孔525に連通しており噴霧水流路を構成する。さらに、第3開口528Cは内筒524の内側に連通しており直流水流路を構成する。
【0032】
言い換えれば、弁体522は、周方向に沿って互いに独立した複数種類の通水路を有している。また、噴霧水流路は、弁体522の底に設けられた開口部である第2開口528Bに連通するとともに、弁体522の前面が閉鎖されて、弁体522の側面から流出孔525を介して内外に連通している。
【0033】
当接面526の各開口には周囲を囲う弾性部材529が配されており、当接面526はインナーカップ20のカバー22に対向した状態で当接し弾性部材529をカバー22に押圧している。固定孔527にはワッシャ54を介してネジ55が挿通されてインナーカップ20のボス271に固定されており、背面切替部51と前面切替部52とをインナーカップ20の嵌合部27に嵌合してインナーカップ20に回動可能に固定している。散水板53は円環状をなし周方向に一定間隔で小孔531が形成された板材であり、前面切替部52の内筒524の外側を塞ぐ形で配置されており、散水流路を通った湯水を小孔531から前方に吐出する。背面切替部51は前面切替部52と相対回動不能に固定されており、また背面切替部51は操作部40と相対回動不能に固定されている。このため、切替部50と操作部40とは相対回動不能かつ一体回動可能となっている。
【0034】
(シャワーノズル60)
以下、シャワーノズル60について説明する。
図4に示すシャワーノズル60は円環状のノズル部61を有し、弾性材料にて一体形成されている。ノズル部61の前面には前方に向けて突出する複数の散水ニップル62が形成されており、内部に図示しない散水孔が形成されている。
【0035】
(シャワーフェイス70)
以下、シャワーフェイス70について説明する。
シャワーフェイス70は円環状のカバー部71とその背面から後方に延びる円筒状の挿入筒部72とを有し、ABS樹脂にて一体形成されている。カバー部71には複数の挿通孔73が形成されており、シャワーノズル60の散水ニップル62が挿通孔73を通り抜けてシャワーフェイス70の前方に突出している。また、カバー部71の外周端には複数の吐水孔としてのミスト孔74が周方向に形成されており、ミスト孔74からは湯水を霧状(ミスト状)に噴出する。挿入筒部72の外周面には雄ネジ75が形成されており操作部40の雌ネジ44に螺合する。挿入筒部72の内周面は背面切替部51の円環部511外周の弾性リング513と当接する。
【0036】
(整流器80)
以下、整流器80について説明する。
図4に示す整流器80は円筒状をなし内部に図示しない整流板が配置されており、内部を通過する湯水の水流を整えるものである。整流器80は前面切替部52の内筒524内に装着されており、直流水流路を構成する。
【0037】
<シャワーヘッド1の切替機構>
次に、
図8(a)ないし(c)に基づいてシャワーヘッド1の切替機構について説明する。
【0038】
まず、吐出ユニット30の操作部40の摘み43が基端(
図6(a)の位置)にある場合、インナーカップ20のカバー22に形成された一対の吐出口223は当接面526の第1開口528Aと対向する。
図8(a)に破線で示すようにインナーカップ20から吐出された湯水は第1開口528Aから内筒524の外側にある散水流路及び散水板53を通りシャワーノズル60の背面に流れる。そして、湯水はシャワーノズル60の吐水孔としての散水ニップル62から散水(シャワー水)として吐出される。
【0039】
次に、操作部40の摘み43を把持して時計回りに回動すると(
図6(c)の位置)、操作部40の係合リブ45はインナーカップ20の係合板282に係合したまま回動する。また、操作部40の係合溝48は摺動リング49を介して前面ケース12の係合片16に係合したまま回動する。そして、吐出ユニット30全体も時計回りに回動し、インナーカップ20のカバー22に形成された一対の吐出口223は当接面526の第2開口528Bと対向する。
図8(b)に破線で示すようにインナーカップ20から吐出された湯水は第2開口528Bから弁体522内を経て流出孔525から弁体522の外に出る。その後、湯水は、案内板521の背面側を通って径方向外側に拡がってシャワーノズル60の外周側背面に案内され、ミスト孔74から噴霧水(ミスト水)として吐出される。
【0040】
なお、シャワーヘッド1の基端側(
図8(b)の左側)に位置する第2開口528Bは、弁体522の側面における流出孔525の位置に壁部530が形成されていることによって噴霧水流路として機能しない。そのため、シャワーヘッド1の先端側(
図8(b)の右側)に位置する第2開口528Bから流入した湯水のみが、流出孔525から弁体522の外に流出する。その後、案内板521の背面側(
図8(b)の下側)を通って径方向外側に拡がってミスト孔74から吐出される。
【0041】
一方、操作部40の摘み43を把持して反時計回りに回動すると(
図6(e)の位置)、操作部40の係合リブ45はインナーカップ20の係合板282に係合したまま回動する。また、操作部40の係合溝48も摺動リング49を介して前面ケース12の係合片16に係合したまま回動する。そして、吐出ユニット30は反時計回りに回動し、インナーカップ20のカバー22に形成された一対の吐出口223は当接面526の第3開口528Cと対向する。
図8(c)に破線で示すようにインナーカップ20から吐出された湯水は第3開口528Cから内筒524の内側にある吐水孔78内の整流器80を経て直流水(ストレート水)として吐出される。
【0042】
以上のように、吐出ユニット30の操作部40を回動操作して、弁体522の通水路、すなわち、散水流路、噴霧水流路、及び直流水流路の位置を変更することによって、インナーカップ20から吐出される湯水の流路を切り換えることができる。
【0043】
<作用及び効果>
本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、通常、シャワーヘッド1は、ハンドル部17の軸方向が鉛直方向に略沿った状態で使用される。そのため、噴霧水の吐出が止まると、残水として噴霧水流路の内部に滞留した湯水がシャワーヘッド1の鉛直方向下方側のミスト孔74から排出されやすい。特に、噴霧水流路は、案内板521の背面側を通って径方向外側に拡がる相対的に大きな容積を有しているため、ミスト孔74からの水垂れの量が相対的に大きくなる。
【0044】
図8(b)に示すように、本実施形態では、弁体522の一対の第2開口528Bのうち、シャワーヘッド1の基端側に位置する第2開口528Bの内部は、流出孔525の位置に壁部530を有しているため、弁体522の側面が内外に連通していない。すなわち、シャワーヘッド1の基端側に位置する第2開口528Bは、噴霧水流路として機能していない。そのため、湯水の流路が切り替わって、噴霧水の吐出が止まった際に、ミスト孔74から噴霧水流路内の湯水が排出されることを抑制することができる。
【0045】
以下、詳細に説明する。
図9、10は、弁体522の第2開口528Bが、インナーカップ20のカバー22に形成された一対の吐出口223(
図3参照)と対向した状態、すなわち、噴霧水が吐出される状態を示す。
【0046】
図9は、弁体522を弁体522の軸方向から平面視している。ハンドル部17の軸方向を基準にして、シャワーヘッド1の基端側を0度、先端側を180度とする。そして、回動中心Pに対する弁体522の周方向に沿う左右両側を0度から180度までのプラスの角度で表す。すると、シャワーヘッド1の先端側に位置する第2開口528Bによって形成される噴霧水流路は、噴霧水吐出時に90度以上の位置に設けられている。また、シャワーヘッド1の基端側に位置する第2開口528Bは、90度未満の位置に設けられている。具体的には、シャワーヘッド1の先端側に位置する第2開口528Bによって形成される噴霧水流路は、135度以上の位置に配置されている。135度以上の位置とは、回動中心Pを頂点とし、左右両辺が135度に位置する扇型に含まれる位置を意味するものとする。また、シャワーヘッド1の基端側に位置する第2開口528Bは、45度以下の位置に設けられている。45度以下の位置とは、回動中心Pを頂点とし、左右両辺が45度に位置する扇型に含まれる位置を意味するものとする。
【0047】
シャワーヘッド1の先端側に位置する第2開口528Bによって形成される噴霧水流路と、シャワーヘッド1の基端側に位置する第2開口528Bの位置は、それぞれ、90度からより離れた位置に配置されていることが好ましい。
【0048】
なお、インナーカップ20の一対の吐出口223は、0度と180度の位置に配置された状態となる。
また、散水流路となる第1開口528Aと、直流水流路となる第3開口528Cは、90度以上の位置に加えて、0度以上90度未満の位置にも設けられている。
【0049】
図10に示すように、噴霧水の吐出時に、シャワーヘッド1の先端側に位置する第2開口528Bから流入した湯水(矢印A)は、流出孔525から弁体522の外に流出する。その後、案内板521の背面側(
図10の右側)を通って径方向外側に拡がってミスト孔74から吐出される。これに対し、シャワーヘッド1の基端側に位置する第2開口528Bから流入した湯水(矢印B)は、弁体522の側面から外部へ流出しない。
【0050】
図9、10の状態から、さらに操作部40を回動操作して、第2開口528Bと、インナーカップ20の吐出口223との対向状態を解消すると、噴霧水の吐出が止まる。シャワーヘッド1の基端側に位置する第2開口528B内の流出孔525が壁部530で塞がれていることによって、噴霧水流路内において壁部530よりも上流側に位置する湯水が、ミスト孔74から排出されることを抑制することができる。
【0051】
また、第2開口528Bとインナーカップ20の吐出口223との対向状態を維持した状態で、シャワーヘッド1へ湯水を供給する水栓側で止水した場合も同様に、噴霧水の吐出が止まる。この場合も、噴霧水流路内において壁部530よりも上流側に位置する湯水が、ミスト孔74から排出されることを抑制することができる。インナーカップ20内に滞留する湯水の排出も抑制することができるため、水垂れの抑制効果をより効果的に発揮させることができる。
【0052】
なお、上記の「90度以上の位置のみに設けられており」とは、90度未満の位置には、通水路が設けられていないことを意味するものとする。通水路の一部が90度未満の位置にあっても、90度以上の位置のみに設けられているとは言わないものとする。また、上記「0度以上90度未満の位置にも設けられている」とは、通水路が、90度以上の位置に設けられているとともに、0度以上90度未満の位置にも設けられていることを意味するものとする。
【0053】
本実施形態の効果について説明する。
(1)弁体522を当該弁体522の軸方向から平面視し、ハンドル部17の軸方向を基準にして、シャワーヘッド1の基端側を0度、先端側を180度とする。回動中心Pに対する弁体522の周方向に沿う左右両側を0度から180度までのプラスの角度で表すと、複数種類の通水路のうち少なくとも一種類の通水路は、90度以上の位置のみに設けられている。
【0054】
したがって、この通水路内の湯水の水垂れを少なくすることができる。また、水垂れが少ないことによって、シャワーヘッド1の使用感を向上させることができる。
(2)複数種類の通水路のうち少なくとも一種類の通水路は、90度以上の位置のみに設けられており、別の種類の通水路は、0度以上90度未満の位置にも設けられている。したがって、少なくとも一種類の通水路に対して、水垂れを少なくすることができる。また、別の種類の通水路は、90度以上の位置のみに設けられた通水路に比べて、通水面積を広くとることができる。別の種類の通水路における流量を好適に確保しつつ、少なくとも一種類の通水路に対して、水垂れを少なくすることができる。
【0055】
(3)90度以上の位置のみに設けられた通水路は、弁体522の底面に設けられた開口部に連通するとともに、弁体522の前面が閉鎖されて、弁体522の側面から内外に連通する。通水路が相対的に大きな容積を有した状態になるため、残水量も相対的に大きくなりやすい。したがって、残水量が相対的に大きな通水路に対して、効果的に水垂れを少なくすることができる。
【0056】
(4)通水路は、噴霧水用の通水路である。したがって、噴霧水用の通水路からの水垂れを少なくすることができる。噴霧水は、散水(シャワー水)や直流水と比べて快適流量が低流量な吐水形態である。第2開口528Bの内部に壁部530を有することによって通水面積が小さくなり、流量が低下しても、快適流量を維持しやすい。すなわち、噴霧水は流量による影響が小さいため、壁部を設けていない他の吐水形態と同様に快適流量を維持しつつ、噴霧水用の通水路からの水垂れを少なくすることができる。
【0057】
(5)切替部材は、90度以上の位置のみに設けられた通水路に連通する吐水孔と、0度以上90度未満の位置にも設けられた通水路に連通する吐水孔とを有する。90度以上の位置のみに設けられた通水路に連通する吐水孔は、0度以上90度未満の位置にも設けられた通水路に連通する吐水孔よりも切替部材の径方向外周側に位置し、切替部材の周方向に沿って複数配置されている。90度以上の位置のみに設けられた通水路が相対的に大きな容積を有した状態になるため、残水量も相対的に大きくなりやすい。したがって、残水量が相対的に大きな通水路に対して、効果的に水垂れを少なくすることができる。
【0058】
(6)通水部材としてのインナーカップ20の吐出口223が、0度と180度の位置に配置されている。弁体522の第2開口528Bとインナーカップ20の吐出口223との対向状態を維持した状態で、シャワーヘッド1へ湯水を供給する水栓側で止水した際に、インナーカップ20内に滞留する湯水の排出も抑制することができる。したがって、水垂れの抑制効果をより効果的に発揮させることができる。
【0059】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0060】
・90度以上の位置のみに設けられている通水路は、噴霧水用の通水路に限定されない。直流水用の通水路であってもよいし、散水用の通水路であってもよい。噴霧水用の通水路、直流水用の通水路、散水用の通水路が全て90度以上の位置に設けられていてもよい。
【0061】
・シャワーヘッド1の基端側に位置する第2開口528Bの内部において、流出孔525は壁部530で完全に塞がれていたが、この態様に限定されない。流出孔525は、壁部によって部分的に塞がれていてもよい。
【0062】
例えば、壁部は、第2開口528B内の水圧が高まった際に、一時的に第2開口528B内の湯水を流通させて、圧抜きをすることができる程度の貫通孔を有していてもよい。当該貫通孔の内径は、特に制限されないが、例えば、ミスト孔74の内径よりも小さい径とすることができる。すなわち、通常の噴霧水流路として機能しないように構成されていれば、壁部は、流出孔525を完全に塞いでいなくてもよい。
【0063】
・シャワーヘッド1の基端側に位置する第2開口528Bの内部において、壁部530以外の手段によって流出孔525が塞がれていてもよい。壁部530以外の手段としては、例えば流出孔525の位置に網状部材を配置することが挙げられる。
【0064】
・本実施形態において、弁体522は有底円筒状であったが、この態様に限定されない。弁体522は、有底円筒状以外の形状であってもよい。有底円筒状以外の形状としては、例えば、横断面が楕円形状や、多角形状である有底筒状であってもよい。
【0065】
・本実施形態では、ハンドル部17の軸方向を基準にして、回動中心に対する弁体522の周方向に沿う左右両側を0度から180度までのプラスの角度で表していたが、この態様に限定されない。シャワーヘッド1の使用時の向きを基準にして、上記角度を規定してもよい。例えば、鉛直方向の下方側を0度、上方側を180度としてもよい。すなわち、シャワーヘッド1は、筒状のハンドル部17が省略されたものであってもよい。
【0066】
・本実施形態のシャワーヘッド1は、浴室で用いられる。また、浴室以外にも、キッチン、洗面所等において、シングルレバー水栓の吐水ヘッドとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0067】
1…シャワーヘッド、10…ヘッドケース、11A…ヘッド部、17…ハンドル部、20…インナーカップ(通水部材)、30…吐出ユニット(切替部材)、40…操作部、50…切替部、522…弁体。