(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022171
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/36 20200101AFI20240208BHJP
D06F 58/38 20200101ALI20240208BHJP
D06F 58/48 20200101ALI20240208BHJP
D06F 105/28 20200101ALN20240208BHJP
D06F 105/52 20200101ALN20240208BHJP
D06F 105/20 20200101ALN20240208BHJP
D06F 103/50 20200101ALN20240208BHJP
【FI】
D06F58/36
D06F58/38
D06F58/48
D06F105:28
D06F105:52
D06F105:20
D06F103:50
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125554
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】北島 拓
(72)【発明者】
【氏名】沖原 俊祐
(72)【発明者】
【氏名】西脇 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】曽我 丈
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA04
3B167AB22
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB33
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA43
3B167BA45
3B167BA55
3B167JA41
3B167JA42
3B167JA43
3B167KA08
3B167KA32
3B167LA22
3B167LA23
3B167LA38
3B167LA39
3B167LC01
3B167LC14
3B167LC19
3B167LC20
3B167LF01
3B167LG04
(57)【要約】
【課題】省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現する。
【解決手段】洗濯乾燥機100は、筐体1内に回転可能に設けたドラム(洗濯槽7)と、ドラムを回転駆動するモータ10と、ドラムに乾燥用空気を送風する送風装置(送風ユニット28)と、送風装置により送風される乾燥用空気をドラムに流入する循環風路102と、乾燥用空気を加熱する第1加熱装置(ヒータ43)と、第1加熱装置とは種類が異なる乾燥用空気を加熱する第2加熱装置(凝縮器58b)を有する熱交換器(ヒートポンプユニット58)と、ドラム内の槽内温度を検出する温度検出装置(温度センサ36)と、乾燥運転を制御する制御装置33と、を備える。制御装置は、温度検出装置の検出結果に応じて第1加熱装置による乾燥運転と熱交換器による乾燥運転とのいずれか一方に切り替える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に回転可能に設けたドラムと、
前記ドラムを回転駆動するモータと、
前記ドラムに乾燥用空気を送風する送風装置と、
前記送風装置により送風される乾燥用空気を前記ドラムに流入する循環風路と、
乾燥用空気を加熱する第1加熱装置と、
前記第1加熱装置とは種類が異なる乾燥用空気を加熱する第2加熱装置を有する熱交換器と、
ドラム内の槽内温度を検出する温度検出装置と、
乾燥運転を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記温度検出装置の検出結果に応じて前記第1加熱装置による乾燥運転と前記熱交換器による乾燥運転とのいずれか一方に切り替える、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記第1加熱装置は、ヒータであり、
前記第2加熱装置は、凝縮器であり、
前記熱交換器は、ヒートポンプユニットである、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記制御装置は、乾燥運転時に、まず前記第1加熱装置による乾燥運転を行い、次に前記熱交換器による乾燥運転を行う、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯乾燥機において、
前記制御装置は、前記温度検出装置の検出結果が所定値以上である場合に、前記第1加熱装置による乾燥運転から前記熱交換器による乾燥運転に切り替える、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項3に記載の洗濯乾燥機において、
前記制御装置は、前記温度検出装置の検出結果が所定値未満である場合に、前記第1加熱装置による乾燥運転を維持する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類等を洗濯乾燥する洗濯乾燥機の乾燥方式は、大きく分けて、ヒータを用いて空気を加熱するヒータ乾燥方式と、ヒートポンプを用いて空気を加熱するヒートポンプ乾燥方式の二つがある。
【0003】
ヒータ乾燥方式は、衣類を収容した洗濯槽内の空気を、水冷除湿機構とヒータを配設した風路を通して循環させる。ヒータ乾燥方式は、水冷除湿機構によって、空気中の水分を結露させて除湿を行い、ヒータによって、空気を加熱する。その後、ヒータ乾燥方式は、送風ユニットを用いて高温低湿の空気を洗濯槽内に送り込み、衣類の乾燥を行う。ヒータ乾燥方式は、ヒータの加熱量が大きいため、洗濯槽内の目標温度に達するまでの時間を短くできる。
【0004】
一方ヒートポンプ乾燥方式は、衣類を収容した洗濯槽内の空気を、ヒートポンプの蒸発器と凝縮器を配設した風路を通して循環させる。ヒートポンプ乾燥方式は、蒸発器によって、空気中の水分を結露させて除湿を行い、凝縮器によって、空気を加熱する。その後、ヒートポンプ乾燥方式は、送風ユニットを用いて高温低湿の空気を洗濯槽内に送り込み、衣類の乾燥を行う。ヒートポンプ乾燥方式は、蒸発器と空気との間、及び、凝縮器と空気との間での熱交換効率が高いため、省エネルギー性能の観点で優れている。
【0005】
そして、衣類に付着した雑菌を効果的に除菌するために、ヒータとヒートポンプを搭載する洗濯乾燥機が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術は、以下に説明するように、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現することが望まれている、という課題があった。
【0008】
例えば、ヒータ乾燥方式は、ヒートポンプ乾燥方式に比べて熱交換効率が低いため、省エネルギー性能が低い。一方、ヒートポンプ乾燥方式は、ヒータ乾燥方式に比べて省エネルギー性能が高いものの、同量の空気に対するヒートポンプの凝縮器の加熱量がヒータの加熱量よりも小さい。そのため、ヒートポンプ乾燥方式は、送風ユニットの出力をヒータ乾燥方式と同じにした場合に、ヒータ乾燥方式に比べて、乾燥工程中の洗濯槽内の温度を目標温度に到達させるまでの時間が長くかかる。したがって、ヒートポンプ乾燥方式は、乾燥工程中の洗濯槽内の温度をヒータ乾燥方式と同時間で目標温度に達するためには、送風ユニットとヒートポンプの出力を増やさなければならない。そのため、従来の乾燥洗濯機は、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現することが望まれている。
【0009】
なお、特許文献1に開示された従来技術は、衣類に付着した雑菌を効果的に除菌するためにヒータによる乾燥運転とヒートポンプによる乾燥運転を切り替えるものであり、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現するものではない。そのため、特許文献1に開示された従来技術は、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現することが望まれている。
【0010】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現する洗濯乾燥機を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、洗濯乾燥機であって、筐体内に回転可能に設けたドラムと、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記ドラムに乾燥用空気を送風する送風装置と、前記送風装置により送風される乾燥用空気を前記ドラムに流入する循環風路と、乾燥用空気を加熱する第1加熱装置と、前記第1加熱装置とは種類が異なる乾燥用空気を加熱する第2加熱装置を有する熱交換器と、ドラム内の槽内温度を検出する温度検出装置と、乾燥運転を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記温度検出装置の検出結果に応じて前記第1加熱装置による乾燥運転と前記熱交換器による乾燥運転とのいずれか一方に切り替える、構成とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施形態に係る洗濯乾燥機の内部の構造を示す断面図である。
【
図3】実施形態に係る洗濯乾燥機の乾燥ユニットの構造図である。
【
図4】実施形態に係る洗濯乾燥機のシステム概略図である。
【
図5】実施形態に係る洗濯乾燥機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0015】
[実施形態]
<洗濯乾燥機の構成>
以下、
図1から
図4を参照して、本実施形態に係る洗濯乾燥機100の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る洗濯乾燥機100の外観図である。
図2は、洗濯乾燥機100の内部の構造を示す断面図である。
図3は、洗濯乾燥機100の乾燥ユニットの構造図である。
図4は、洗濯乾燥機100のシステム概略図である。
【0016】
図1に示すように、ドラム式の洗濯乾燥機100の外郭を構成する筐体1は、四角形状のベース1hの上に取り付けられており、左右の側板1a,1b、前面カバー1c、背面カバー1d、上面カバー1e、下部前面カバー1fを有している。
【0017】
左右の側板1a,1bは、コの字型のそれぞれ図示せぬ上補強材、前補強材、後補強材で結合されており、ベース1hを含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
【0018】
ドア9は、前面カバー1cの中央に設けた衣類を出し入れするための投入口を塞ぐ。ドア9は、前補強材に設けたヒンジで開閉可能に支持されている。ドア開放レバー9aを引くことでロック機構(不図示)が外れてドア9が開き、ドア9を前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じられる。前補強材は後述する外槽の開口部と同心に衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
【0019】
操作パネル2は、筐体1の上部中央に設けられている。操作パネル2は、電源スイッチ3、操作ボタン4,5、及び表示器6を備えており、筐体1の上部に設けた制御装置33(
図2)に電気的に接続されている。
【0020】
操作パネル2の横には洗剤容器17が設けられている。つまり、洗剤容器17は、筐体1内の上部左側に設けられている。洗剤容器17は、開閉ふた式の洗剤トレイを装着する。洗剤容器17は、筐体1の上補強材に固定されている。洗剤容器17の後ろ側の上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口18a、風呂の残り湯の吸水ホース接続口18bが設けてある。
【0021】
図2に示すように、筐体1の内部には、洗濯槽7と外槽8が配置されている。洗濯槽7は、回転可能に支持された円筒状のドラムであり、その外周壁および底壁に通水および通風のための多数の貫通孔を有し、前側端面に衣類を出し入れするための開口部7aを設けてある。開口部7aの外側には洗濯槽7と一体の流体バランサ7bを備えている。外周壁の内側には軸方向に延びるリフタ7cが複数個設けてあり、洗濯、乾燥時に洗濯槽7を回転すると、衣類はリフタ7cと遠心力で外周壁に沿って持ち上がり、重力で落下するような動きを繰り返す。洗濯槽7の回転中心軸は、水平または開口部7a側が高くなるように傾斜している。
【0022】
外槽8は、洗濯槽7を同軸上に内包しており、円筒状を呈している。外槽8の前面は開口しており、後側端面の外側中央にモータ10を取り付ける。モータ10の回転軸は、外槽8を貫通し、洗濯槽7と結合している。外槽8の前面には外槽カバー8aが設けられており、外槽8内への貯水を可能としている。外槽カバー8aの前側中央には、衣類を出し入れするための開口部8bを有している。開口部8bと図示せぬ前補強材に設けた開口部は、ゴム製のベローズ11で接続しており、ドア9を閉じることで外槽8を水封する。
【0023】
外槽8の底面付近には温度センサ36が設けられている。温度センサ36は、槽内温度検出用の温度検出装置である。また、外槽8の底面最下部には排水口12が設けてあり、排水ホース13が接続している。排水ホース13の途中には排水弁14が設けている。排水弁14を閉じて給水することで外槽8に水を溜め、排水弁14を開いて外槽8内の水を機外へ排出する。外槽カバー8aの前側外壁部にはオーバーフロー口が設けられており、オーバーフローホース15で排水弁14の下流側で排水ホース13に接続している。
【0024】
外槽8は、下側をベース1hに固定されたサスペンション16(コイルばねとダンパで構成)で防振支持されている。また、外槽8の上側は上部補強部材に取り付けた補助ばね(不図示)で支持されており、外槽8の前後方向への倒れを防ぐ。
【0025】
外槽8の周囲には、給水電磁弁18や風呂水給水ポンプ20、水位センサ21(
図4)など給水に関連する部品を設けてある。給水電磁弁18は、主給水電磁弁18c(
図4)、仕上げ剤給水電磁弁18d(
図4)、冷却水給水電磁弁18e(
図4)などを有している。洗剤容器17は、一方を主給水電磁弁18c(
図4)及び風呂水給水ポンプ20に接続され、他方を外槽8に接続されている。洗剤容器17は、主給水電磁弁18c(
図4)を開く、あるいは風呂水給水ポンプ20を運転することで、洗剤容器17内に投入されている洗剤とともに外槽8と洗濯槽7に洗濯水を供給する。また、洗剤容器17は、仕上げ剤給水電磁弁18d(
図4)を開くことで、洗剤容器17内に投入されている柔軟仕上げ剤とともに洗濯水を外槽8に供給する。
【0026】
また、外槽8の背面内側には、循環ダクト19が縦方向に設置されている。循環ダクト19の下部は、外槽8の背面下方の吸気口8cに開口している。吸気口8cは乾燥空路切替電磁弁59aに接続している。乾燥空路切替電磁弁59aはヒートポンプユニット58と電磁弁接続ホース60に接続される。ヒートポンプユニット58の内部には、空気中の水分を結露させて除湿を行うための蒸発器58aと、空気を加熱するための凝縮器58bが設けられている。電磁弁接続ホース60は乾燥空路切替電磁弁59bと循環ダクト19に接続しており、循環ダクト19内には、水冷除湿機構31を内蔵している。
【0027】
水冷除湿機構31は、冷却ノズル31aと循環ダクト19の壁面に複数個設置された除湿リブ31bを有している。除湿リブ31bは、冷却ノズル31aの冷却水出口の辺りから、循環ダクト19の下方の吸気口8c付近まで設置されている。この除湿リブ31bの水平断面形状は、凸形状でも凹み溝形状でもよい。冷却ノズル31aは、冷却水ホース32で冷却水給水電磁弁18eと接続されており、冷却水給水電磁弁18eを開くことで冷却ノズル31aへ冷却水を供給する。冷却水は除湿リブ31bの間をゆっくり流下し、吸気口8cから外槽8に入り、排水口12から排出される。また、冷却水ホース32とは別に洗浄ホース(不図示)で主給水電磁弁18cと循環ダクト19を接続し、主給水電磁弁18cを開くことで循環ダクト19内を洗浄するための洗浄水を供給する。洗浄水は循環ダクトの壁面を伝わって壁面に付着した埃を流し落とす。
【0028】
循環ダクト19の上部は、筐体1内の後方上部に設置したフィルタダクト27にゴム蛇腹42で接続している。フィルタダクト27の上面には開口部を有しており、この開口部に引き出し式の乾燥フィルタ30を挿入してある。循環ダクト19からフィルタダクト27へ入った空気は、乾燥フィルタ30のメッシュフィルタ(不図示)に流入することで、糸くずが除去される。乾燥フィルタ30の掃除は、乾燥フィルタ30を引き出してメッシュフィルタ(不図示)の表面を手やブラシで擦ったり、または掃除機等で吸引したりすることで行う。フィルタダクト27の乾燥フィルタ30挿入部の側面には開口部が設けてあり、この開口部には吸気ダクト29が接続しており、吸気ダクト29の他端は送風ユニット28の吸気口と接続している。
【0029】
送風ユニット28は、駆動用のモータ28a、ファンケース28b、ファン羽根車28cを有している。ファンケース28bにはヒータ43が内蔵されており、ファン羽根車28cから送られる空気を加熱する。
【0030】
ヒータ43は、入力切り換えが可能である。本実施形態では、ヒータ43は、強モードと弱モードを有しているものとして説明する。送風ユニット28の吐出口は温風ダクト41に接続する。温風ダクト41は、ゴム製の蛇腹管41a、蛇腹管継ぎ手41bを介して外槽カバー8aに設けた前部吹出し口44に接続している。前部吹出し口44は、洗濯槽7内に向かって開口している。前部吹出し口44からは、実線矢印に沿って洗濯槽7内に向かって風が吹出す。前部吹出し口44から吹出した風は、ヒータ43又はヒートポンプユニット58の凝縮器58bで加熱されるとともにファン羽根車28cで加速された高速な温風となっており、洗濯槽7内の衣類に直接当たるようになっている。
【0031】
本実施形態では、送風ユニット28が筐体1内の上部右側に設けてあるので、前部吹出し口44を外槽カバー8aの右斜め上の位置に設け、前部吹出し口44までの距離を極力短くするようにし、圧力損失や熱の逃げを最小限にしてある。送風ユニット28の入口には温度センサ34が、ヒータ43出口には温度センサ35が設けてある。
【0032】
係る構成において、送風ユニット28とヒートポンプユニット58は、乾燥ユニット101として機能する。以下、
図3を参照して、乾燥ユニット101の構成について説明する。
【0033】
図3に示すように、乾燥ユニット101は、空気を循環させる循環風路102を有している。循環風路102は、洗濯槽7内で衣類に当たり湿った空気を、洗濯槽7内から外部に排出し、送風ユニット28のヒータ43又はヒートポンプユニット58の凝縮器58bで加熱して洗濯槽7内に戻す構成になっている。循環風路102は、送風ユニット28のヒータ43で空気を加熱する場合に、洗濯槽7から、外槽8、乾燥空路切替電磁弁59a、電磁弁接続ホース60、乾燥空路切替電磁弁59b、循環ダクト19、乾燥フィルタ30、送風ユニット28、前部吹出し口44を通って、洗濯槽7に戻るルートになっている。また、循環風路102は、ヒートポンプユニット58の凝縮器58bで空気を加熱する場合に、洗濯槽7から、外槽8、乾燥空路切替電磁弁59a、ヒートポンプユニット58(ヒートポンプユニット58の内部では蒸発器58aと凝縮器58b)、乾燥空路切替電磁弁59b、循環ダクト19、乾燥フィルタ30、送風ユニット28、前部吹出し口44を通って、洗濯槽7に戻るルートになっている。
【0034】
乾燥ユニット101は、送風ユニット28を駆動し、風路中のヒータ43を通電すると、前部吹出し口44から洗濯槽7内に温風が吹き込む。洗濯槽7内に吹き込まれた温風は、湿った衣類に当たり衣類を温め、衣類から水分を蒸発させる。乾燥運転中は、洗濯槽7を正逆回転させており、衣類が持ち上がり重力で落下する動きを繰り返し、万遍なく衣類に温風が行き渡る。高温多湿となった空気は、洗濯槽7に設けた貫通孔から外槽8に流れ、吸気口8cから乾燥空路切替電磁弁59aに流れる。乾燥空路切替電磁弁59aは洗濯槽7内の温度に応じて空路の切り替えを行う。
【0035】
乾燥空路切替電磁弁59aを閉じている場合、高温多湿となった空気は、電磁弁接続ホース60に流れ、乾燥空路切替電磁弁59bを経由した後、循環ダクト19に吸い込まれる。この時、乾燥空路切替電磁弁59bは閉じており、ヒートポンプユニット58に高温多湿となった空気が流入しない構造としている。循環ダクト19の壁面に設けた水冷除湿機構31には冷却水が流れ落ちており、高温多湿の空気は冷却水と接触することで結露し除湿されて、高温低湿な空気となり、乾燥フィルタ30へ入る。
【0036】
乾燥空路切替電磁弁59aを開いている場合、高温高湿な空気はヒートポンプユニット58内に流入する。この時、ヒータ43への通電と水冷除湿機構31への冷却水の流入を停止する。ヒートポンプユニット58内に流入した高温高湿な空気は、ヒートポンプユニット58内の蒸発器58a及び凝縮器58bに触れることで高温低湿な空気となる。高温低湿な空気は乾燥空路切替電磁弁59bを経由した後、循環ダクト19に吸い込まれ、循環ダクト19を下から上へ流れ、乾燥フィルタ30へ入る。
【0037】
乾燥フィルタ30内に流入した高温低湿な空気は、送風ユニット28に吸い込まれた後に、再び、前部吹出し口44から洗濯槽7内に吹き込まれる。乾燥フィルタ30と送風ユニット28の間には、温度センサ34が設けてあり、循環する空気の温度を検出している。
【0038】
以下、
図4を参照して、洗濯乾燥機100の制御装置33の構成について説明する。
図4に示すように、マイクロコンピュータ50は、操作ボタン4,5に接続される操作ボタン入力回路51や水位センサ21、温度センサ34,35,36と接続され、使用者のボタン操作や洗濯工程、乾燥工程での各種情報信号を受ける。マイクロコンピュータ50からの出力は、駆動回路54に接続され、給水電磁弁18(18c,18d,18e)、排水弁14、モータ10、送風ユニット28、ヒータ43、風呂水給水ポンプ20などに接続され、これらの開閉や回転、通電を制御する。また、使用者に洗濯乾燥機100の動作状態を知らせるための7セグメント発光ダイオードもしくは液晶の表示器6やブザー57に接続される。
【0039】
<洗濯乾燥機の動作>
洗濯乾燥機100は、運転時間を短縮するために、ヒートポンプユニット58よりも先に、ヒートポンプユニット58よりも洗濯槽7内の温度を目標温度に到達させ易いヒータ43を運転する。そして、洗濯乾燥機100は、温度センサ36で検知した温度が目標温度以上になった場合に、ヒータ43よりも省エネルギー性能が高いヒートポンプユニット58に運転を切り替える。以下、
図5を参照して、洗濯乾燥機100の動作について説明する。
図5は、洗濯乾燥機100の動作を示すフローチャートである。
【0040】
図5に示すように、洗濯乾燥機100は、乾燥運転を開始する(ステップS105)。洗濯乾燥機100は、始めにヒータ乾燥運転を行う(ステップS110)。ヒータ乾燥運転では、ヒータ43に通電し、水冷除湿機構31に冷却水を流して空気を除湿しながら加熱する。この時、乾燥空路切替電磁弁59aと乾燥空路切替電磁弁59bはどちらも閉じている。
【0041】
ステップS110の後、洗濯乾燥機100は、温度センサ36で洗濯槽7内の温度を常時検出し(ステップS115)、温度センサ36で検知した温度が設定温度(例えば60℃)以上であるか否かを判定する(ステップS120)。
【0042】
本実施形態では、設定温度が例えば60℃である場合を想定して説明する。「60℃」という設定温度は、衣類(洗濯物)を痛めることなく十分に乾燥させることができる点で好適である。ただし、設定温度は、「60℃」に対して数度程度のプラス側の許容誤差とマイナス側の許容誤差を設けてもよい。つまり、設定温度が60℃に対してマイナス側の許容誤差以上からプラス側の許容誤差以下までの範囲内であれば、衣類を痛めることなく十分に乾燥させることができる。換言すると、設定温度が60℃に対するプラス側の許容誤差を上回る程に高い温度である場合に、衣類を痛めてしまう可能性があり、一方、設定温度が60℃に対するマイナス側の許容誤差を下回る程に低い温度である場合に、衣類を十分に乾燥できない可能性がある。「60℃」という設定温度は、このような現象を回避できる点で好適である。
【0043】
ステップS120の判定で、温度センサ36で検知した温度が設定温度(例えば60℃)未満であると判定された場合(“No”の場合)に、洗濯乾燥機100は、衣類乾燥度を測定し(ステップS125)、衣類乾燥度が0.9未満であるか否かを判定する(ステップS130)。ここでは、「衣類乾燥度」が「(乾布の質量)/(湿布の質量)」であるものとして説明する。衣類乾燥度は、衣類が濡れた状態(値「1.0」)から乾燥するにしたがって、小さくなっていく。本実施形態では、衣類乾燥度が0.9未満である場合に、衣類が十分に乾燥した状態となるものとして説明する。なお、衣類乾燥度の監視は、ステップS105の乾燥運転開始時から常時行うようにしてもよい。
【0044】
ステップS130の判定で、衣類乾燥度が0.9以上であると判定された場合(“No”の場合)に、処理はステップS115に戻る。その結果、洗濯乾燥機100は、ヒータ乾燥運転を継続する。一方、ステップS130の判定で、衣類乾燥度が0.9未満であると判定された場合(“Yes”の場合)に、衣類が十分に乾燥しているので、洗濯乾燥機100は、ヒータ43の運転を停止して乾燥運転を終了する。
【0045】
前記したステップS120の判定で、温度センサ36で検知した温度が設定温度(例えば60℃)以上であると判定された場合(“Yes”の場合)に、洗濯乾燥機100は、ヒータ乾燥運転からヒートポンプ乾燥運転に切り替える(ステップS135)。ヒートポンプ乾燥運転では、ヒータ43の通電を停止するとともに水冷除湿機構31への冷却水の流入を停止し、乾燥空路切替電磁弁59aと乾燥空路切替電磁弁59bを開き、ヒートポンプユニット58を作動して空気を除湿しながら加熱する。
【0046】
ステップS135の後、洗濯乾燥機100は、衣類乾燥度を測定し(ステップS140)、衣類乾燥度が0.9未満であるか否かを判定する(ステップS145)。
【0047】
ステップS145の判定で、衣類乾燥度が0.9以上であると判定された場合(“No”の場合)に、処理はステップS140に戻る。その結果、洗濯乾燥機100は、ヒートポンプ乾燥運転を継続する。一方、ステップS145の判定で、衣類乾燥度が0.9未満であると判定された場合(“Yes”の場合)に、衣類が十分に乾燥しているので、洗濯乾燥機100は、ヒートポンプユニット58の運転を停止して乾燥運転を終了する。
【0048】
<洗濯乾燥機の主な特徴>
(1)
図2に示すように、本実施形態に係る洗濯乾燥機100は、筐体1内に回転可能に設けたドラム(洗濯槽7)と、ドラムを回転駆動するモータ10と、ドラムに乾燥用空気を送風する送風装置(送風ユニット28)と、送風装置により送風される乾燥用空気をドラムに流入する循環風路102(
図3)と、乾燥用空気を加熱する第1加熱装置(ヒータ43)と、第1加熱装置とは種類が異なる乾燥用空気を加熱する第2加熱装置(凝縮器58b)を有する熱交換器(ヒートポンプユニット58)と、ドラム内の槽内温度を検出する温度検出装置(温度センサ36)と、乾燥運転を制御する制御装置33と、を備える。制御装置33は、温度検出装置(温度センサ36)の検出結果に応じて第1加熱装置(ヒータ43)による乾燥運転と熱交換器(ヒートポンプユニット58)による乾燥運転とのいずれか一方に切り替える。
【0049】
このような本実施形態に係る洗濯乾燥機100は、運転時間を短縮するために、熱交換器(ヒートポンプユニット58)よりも、ドラム(洗濯槽7)内の温度を目標温度に到達させ易い第1加熱装置(ヒータ43)を先に運転する。そして、洗濯乾燥機100は、温度検出装置(温度センサ36)で検知した温度が目標温度以上になった場合に、熱交換器(ヒートポンプユニット58)を運転する。このような洗濯乾燥機100は、第1加熱装置(ヒータ43)を先に運転することで、ドラム(洗濯槽7)内の温度を目標温度に素早く到達させて、その後に、省エネルギー性能に優れた熱交換器(ヒートポンプユニット58)を運転する。このような洗濯乾燥機100は、ドラム(洗濯槽7)内の温度を目標温度に到達させる際に、送風装置(送風ユニット28)と熱交換器(ヒートポンプユニット58)の出力を増やさなくてもよいため、省エネルギー性能の向上させることができる。しかも、洗濯乾燥機100は、空気の加熱時間の短縮を行うことができる。したがって、洗濯乾燥機100は、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現することができる。
【0050】
なお、前記した特許文献1に開示された従来技術は、衣類に付着した雑菌を効果的に除菌するためにヒータによる乾燥運転とヒートポンプによる乾燥運転を切り替えるものであり、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現するものではない。つまり、特許文献1に開示された従来技術は、送風ユニット28とヒートポンプユニット58の出力を増やすことなく、空気の加熱時間の短縮を行うものではない。
【0051】
(2)
図2に示すように、本実施形態に係る洗濯乾燥機100において、第1加熱装置はヒータ43であり、第2加熱装置は凝縮器58bであり、熱交換器はヒートポンプユニット58である。
【0052】
このような本実施形態に係る洗濯乾燥機100は、第1加熱装置(ヒータ43)を先に運転することで、ドラム(洗濯槽7)内の温度を目標温度に素早く到達させて、その後に、省エネルギー性能に優れた熱交換器(ヒートポンプユニット58)を運転することで省エネルギー性能の向上させることができる。このような洗濯乾燥機100は、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現することができる。
【0053】
(3)
図5に示すように、制御装置33は、乾燥運転時に、まず第1加熱装置(ヒータ43)による乾燥運転を行い、次に熱交換器(ヒートポンプユニット58)による乾燥運転を行うとよい。
【0054】
このような本実施形態に係る洗濯乾燥機100は、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現することができる。
【0055】
(4)
図5に示すように、制御装置33は、温度検出装置(温度センサ36)の検出結果が所定値以上である場合に、第1加熱装置(ヒータ43)による乾燥運転から熱交換器(ヒートポンプユニット58)による乾燥運転に切り替えるとよい。本実施形態では、温度検出装置(温度センサ36)の検出結果が所定値以上である場合とは、温度センサ36の検出温度が目標温度である60℃以上である場合になっている。
【0056】
このような本実施形態に係る洗濯乾燥機100は、第1加熱装置(ヒータ43)を先に運転することで、ドラム(洗濯槽7)内の温度を目標温度に素早く到達させて、その後に、省エネルギー性能に優れた熱交換器(ヒートポンプユニット58)を運転することで省エネルギー性能の向上させることができる。
【0057】
(5)
図5に示すように、制御装置33は、温度検出装置(温度センサ36)の検出結果が所定値未満である場合に、第1加熱装置(ヒータ43)による乾燥運転を維持するとよい。本実施形態では、温度検出装置(温度センサ36)の検出結果が所定値未満である場合とは、温度センサ36の検出温度が目標温度である60℃未満である場合になっている。
【0058】
このような本実施形態に係る洗濯乾燥機100は、ドラム(洗濯槽7)内の温度を目標温度に素早く到達させることができる。
【0059】
以上の通り、本実施形態に係る洗濯乾燥機100によれば、省エネルギー性能の向上と乾燥運転時間の短縮の両方を実現することができる。
【0060】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 筐体
2 操作パネル
3 電源スイッチ
7 洗濯槽(ドラム)
8 外槽
10 モータ
28 送風ユニット(送風装置)
33 制御装置
34,35 温度センサ
36 温度センサ(温度検出装置)
41 温風ダクト
43 ヒータ(第1加熱装置)
58 ヒートポンプユニット(熱交換器)
58a 蒸発器
58b 凝縮器(第2加熱装置)
100 洗濯乾燥機
101 乾燥ユニット
102 循環風路