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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022180
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】プロテクタ及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20240208BHJP
   F16B 2/22 20060101ALI20240208BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
H02G3/04 037
H02G3/04 087
F16B2/22 C
B60R16/02 623V
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125569
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】荻野 一真
【テーマコード(参考)】
3J022
5G357
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022EA41
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022ED22
3J022ED26
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB08
3J022FB12
3J022HA03
3J022HB02
3J022HB06
5G357DA02
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DE02
(57)【要約】
【課題】電線部材を収容部から簡易に取付けることができるプロテクタ及びワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】電線部材2と一体に取付け先3に固定されるプロテクタ4は、電線部材2を収容する収容部14を備える。収容部14は、電線部材2が嵌め込まれる開口17を有する。収容部14は、収容部14に収容された電線部材2を支える支持壁18と、支持壁18に対向配置されるとともに弾性変形可能に構成された保持部19と、を有する。プロテクタ4は、電線部材2を支持壁18と保持部19とによって挟み込んで保持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材と一体に取付け先に固定されるプロテクタであって、
前記電線部材を収容するとともに、前記電線部材が嵌め込まれる開口を有する収容部を備え、
前記収容部は、前記収容部に収容された前記電線部材を支える支持壁と、前記支持壁に対向配置されるとともに弾性変形可能に構成された保持部と、を有し、
前記電線部材を前記支持壁と前記保持部とによって挟み込んで保持する、プロテクタ。
【請求項2】
前記支持壁は、前記収容部の底壁であり、
前記保持部は、前記底壁に対向する位置に配置されている、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記保持部は、一対の保持部のうちの1つであり、
前記一対の保持部は、前記電線部材を幅方向両側から挟み込むように設けられ、
前記一対の保持部からなる前記保持部の組は、前記収容部の長手方向の異なる複数の位置に設けられている、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記保持部の組は、前記収容部の長手方向の両端に各々配置されている、請求項3に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記保持部は、前記電線部材を前記収容部の内部に案内するためのテーパ部を先端に有する、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記保持部は、
前記支持壁に連結された基端部と、
前記基端部から延びるとともに、前記基端部よりも厚く形成された先端部と、を有する、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項7】
前記収容部は、前記収容部の内部に流入した流体を前記収容部の外部に排出可能な孔を有する、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項8】
前記電線部材は、1本又は複数本の電線と、前記電線を内部に収容する筒状の外装部材と、を有し、
前記支持壁及び前記保持部は、前記外装部材の外周面を挟み込む、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項9】
前記保持部は、前記外装部材の外周面と一致する円弧状の内周面を有する、請求項8に記載のプロテクタ。
【請求項10】
前記開口を閉じる蓋を備えた、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項11】
電線部材と、前記電線部材と一体に取付け先に固定されるプロテクタと、を備えたワイヤハーネスであって、
前記プロテクタは、前記電線部材を収容するとともに、前記電線部材が嵌め込まれる開口を有する収容部を備え、
前記収容部は、前記収容部に収容された前記電線部材を支える支持壁と、前記支持壁に対向配置されるとともに弾性変形可能に構成された保持部と、を有し、
前記電線部材を前記支持壁と前記保持部とによって挟み込んで保持する、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタ及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、内部に電線を有する筒状部材を車体等に取付けるためのクランプ、及び同クランプを備えたワイヤハーネスが周知である。クランプは、筒状部材が嵌め込まれる開口部を有するクランプ本体と、クランプ本体に対して開口部を覆うように取付けられる蓋と、を備える。また、クランプ本体の底部において、筒状部材と接する部分には、板ばねが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-57951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のクランプは、クランプ本体と蓋とを有する二部品構成であって、クランプ本体の板ばねと蓋との間に筒状部材を挟み込んで保持するように構成されている。このため、クランプ本体と蓋との製造バラつきによっては、蓋を閉じたときの筒状部材と板ばねとの接触量(ラップ量)が設計値よりも大きくなることがある。この場合、筒状部材をクランプに取り付ける際に、クランプ本体に蓋をロックするのに大きな力が必要となる。このため、作業者は、治具を用いて蓋をロックするといった面倒な作業を行う必要があった。
【0005】
本開示の目的は、電線部材を収容部に簡易に取付けることができるプロテクタ及びワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するプロテクタは、電線部材と一体に取付け先に固定される構成であって、前記電線部材を収容するとともに、前記電線部材が嵌め込まれる開口を有する収容部を備え、前記収容部は、前記収容部に収容された前記電線部材を支える支持壁と、前記支持壁に対向配置されるとともに弾性変形可能に構成された保持部と、を有し、前記電線部材を前記支持壁と前記保持部とによって挟み込んで保持する。
【0007】
前記課題を解決するワイヤハーネスは、電線部材と、前記電線部材と一体に取付け先に固定されるプロテクタと、を備えた構成であって、前記プロテクタは、前記電線部材を収容するとともに、前記電線部材が嵌め込まれる開口を有する収容部を備え、前記収容部は、前記収容部に収容された前記電線部材を支える支持壁と、前記支持壁に対向配置されるとともに弾性変形可能に構成された保持部と、を有し、前記電線部材を前記支持壁と前記保持部とによって挟み込んで保持する。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、電線部材を収容部に簡易に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ワイヤハーネスの部分斜視図である。
図2図2は、プロテクタを開口から見たときの斜視図である。
図3図3は、図2に示すIII-III線断面図である。
図4図4は、図1に示すIV-IV線断面図である。
図5図5は、プロテクタの平面図である。
図6図6は、プロテクタを底壁外面から見たときの斜視図である。
図7図7(a)~図7(d)は、電線部材をプロテクタに取付けるときの手順図である。
図8図8は、保持部の掛かり代を示す断面図である。
図9図9は、別例のプロテクタの斜視図である。
図10図10は、プロテクタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のプロテクタは、電線部材と一体に取付け先に固定される構成であって、前記電線部材を収容するとともに、前記電線部材が嵌め込まれる開口を有する収容部を備え、前記収容部は、前記収容部に収容された前記電線部材を支える支持壁と、前記支持壁に対向配置されるとともに弾性変形可能に構成された保持部と、を有し、前記電線部材を前記支持壁と前記保持部とによって挟み込んで保持する。
【0011】
本構成によれば、電線部材を収容部に取付けるときは、電線部材を収容部の開口から単に嵌め込むだけでよい。このように、電線部材を収容部に取付けるとき、治具等を用いた面倒な作業が必要とならない。よって、電線部材を収容部に簡易に取付けることが可能となる。
【0012】
[2]上記[1]において、前記支持壁は、前記収容部の底壁であり、前記保持部は、前記底壁に対向する位置に配置されている。この構成によれば、収容部の底壁と保持部とによって、電線部材をしっかりと挟み込んで保持することが可能となる。
【0013】
[3]上記[1]又は[2]において、前記保持部は、一対の保持部のうちの1つであり、前記一対の保持部は、前記電線部材を幅方向両側から挟み込むように設けられ、前記一対の保持部からなる前記保持部の組は、前記収容部の長手方向の異なる複数の位置に設けられている。この構成によれば、収容部の複数箇所で電線部材を保持することが可能となるので、電線部材を収容部から抜け難くすることが可能となる。
【0014】
[4]上記[3]において、前記保持部の組は、前記収容部の長手方向の両端に各々配置されている。この構成によれば、収容部の両端各々で電線部材をしっかりと保持するので、電線部材を収容部から外れ難くするのに一層寄与する。
【0015】
[5]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記保持部は、前記電線部材を前記収容部の内部に案内するためのテーパ部を先端に有する。この構成によれば、電線部材を収容部に収容し易くなるので、電線部材を収容部に取付けるときの作業性の簡易化に一層寄与する。
【0016】
[6]上記[1]から[5]のいずれかにおいて、前記保持部は、前記支持壁に連結された基端部と、前記基端部から延びるとともに、前記基端部よりも厚く形成された先端部と、を有する。この構成によれば、保持部の先端部を幅の広い形状とすることにより、電線部材に対する保持部の掛かり代を十分にとることが可能となる。よって、保持部で電線部材を保持するときの保持力の向上に寄与する。
【0017】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記収容部は、前記収容部の内部に流入した流体を前記収容部の外部に排出可能な孔を有する。この構成によれば、収容部に水等の流体が滞留し難くなるので、電線部材の劣化防止に寄与する。
【0018】
[8]上記[1]から[7]のいずれかにおいて、前記電線部材は、1本又は複数本の電線と、前記電線を内部に収容する筒状の外装部材と、を有し、前記支持壁及び前記保持部は、前記外装部材の外周面を挟み込む。この構成によれば、外装部材の内部に電線が収容された電線部材において、収容部への容易な取付けが可能となる。また、保持部を外装部材の外周面に引っ掛けて電線部材を保持することも可能となる。
【0019】
[9]上記[8]において、前記保持部は、前記外装部材の外周面と一致する円弧状の内周面を有する。この構成によれば、保持部を電線部材に面接触させることが可能となるため、保持力の向上に寄与する。
【0020】
[10]上記[1]から[9]のいずれかにおいて、プロテクタは、前記開口を閉じる蓋を備えた。この構成によれば、収容部の内部に異物が侵入し難くなるので、電線部材を異物から保護することが可能となる。また、電線部材の劣化防止にも寄与する。
【0021】
[11]本開示のワイヤハーネスは、電線部材と、前記電線部材と一体に取付け先に固定されるプロテクタと、を備えた構成であって、前記プロテクタは、前記電線部材を収容するとともに、前記電線部材が嵌め込まれる開口を有する収容部を備え、前記収容部は、前記収容部に収容された前記電線部材を支える支持壁と、前記支持壁に対向配置されるとともに弾性変形可能に構成された保持部と、を有し、前記電線部材を前記支持壁と前記保持部とによって挟み込んで保持する。本構成によれば、プロテクタの作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0022】
(本開示の実施形態の詳細)
本開示のプロテクタ及びワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
【0023】
(ワイヤハーネス1の概説)
図1に示すように、ワイヤハーネス1は、電線部材2と、電線部材2と一体に取付け先3に固定されるプロテクタ4と、を備える。このように、電線部材2は、プロテクタ4によって取付け先3に固定される。プロテクタ4は、例えば、電線部材2の保護や電線部材2の経路規制のために使用される。取付け先3は、例えば、車両のボディ5である。ボディ5は、例えば、床下のパネルである。
【0024】
(電線部材2の概説)
図1に示す通り、電線部材2は、1本又は複数本の電線8と、電線8を内部に収容する筒状の外装部材9と、を備える。本例の場合、電線8は、2本である。電線8は、例えば、導体よりなる芯線10と、芯線10の外周を被覆する絶縁被覆11と、を有する。電線8は、例えば、高電圧及び大電流に対応した高圧電線である。電線8は、例えば、磁気シールド構造を有しないノンシールド電線、又は、磁気シールド構造を有するシールド電線、のいずれでもよい。
【0025】
芯線10は、例えば、複数の金属素線をより合わせてなる撚線、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や、内部が中空構造をなす筒状導体などである。芯線10は、例えば、撚線、柱状導体、筒状導体等の複数種類の導体を組み合わせたものでもよい。柱状導体としては、例えば、単芯線やバスバーなどが挙げられる。芯線10の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料が使用される。
【0026】
絶縁被覆11は、例えば、芯線10の外周面を全周にわたって被覆している。絶縁被覆11は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料からなる。絶縁被覆11の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする合成樹脂が用いられる。絶縁被覆11の材料としては、1種の材料を単独で用いてもよいし、2種以上の材料を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0027】
外装部材9は、電線部材2の外周を周方向の全体にわたって覆う円筒状をなしている。外装部材9は、例えば、電線部材2の長さ方向の一部の外周を被覆するように設けられている。外装部材9は、例えば、金属製のパイプ部材である。具体的には、外装部材9は、例えば、アルミパイプであることが好ましい。
【0028】
(プロテクタ4の概説)
図2に示す通り、プロテクタ4は、電線部材2を収容する収容部14と、取付け先3に固定される固定部15と、を備える。収容部14及び固定部15は、例えば、一体に形成された構造、又は、別部材のものを組付ける構造、のいずれでもよい。プロテクタ4(少なくとも収容部14)は、例えば、樹脂製である。固定部15は、例えば、ボルト等の螺着部材(図示略)によって、取付け先3(図1参照)に固定される。
【0029】
(収容部14及び保持部19の具体的な構成)
図2及び図3に示すように、収容部14は、収容部14に電線部材2を嵌め込むための開口17を有する。開口17は、例えば、収容部14の頂部(例えば、紙面上部)において、収容部14の軸方向(図2のX軸方向)の全体にわたって開口している。収容部14は、軸方向から見た場合、略円弧状に形成されている。
【0030】
収容部14は、収容部14に収容された電線部材2を支える支持壁18と、支持壁18に対向配置されるとともに弾性変形可能に構成された一対の保持部19と、支持壁18の両側部に沿って設けられた一対の側壁21と、を有する。支持壁18は、例えば、収容部14の底壁20である。支持壁18は、電線部材2の外周面26(図1等参照)と一致する略円弧状の内周面を有している。支持壁18は、収容部14の一対の側壁21を繋ぐように形成されている。
【0031】
保持部19は、電線部材2を保持するためのばね機能を有する。本例の場合、保持部19は、例えば、樹脂ばねとして機能する。保持部19は、底壁20に対向する位置に配置されている。ここでいう底壁20に対向する位置とは、保持部19と底壁20との間に収容部14の内部空間Pが存在するように設定された、保持部19の位置である。保持部19は、例えば、収容部14の側壁21と、収容部14の長手方向(図5のX軸方向)に並んで配置されている。保持部19は、収容部14の内部に倒れ込むような形状に形成されている。保持部19の基端には、保持部19(収容部14)を金型成形によって製造する際に生じる孔22が形成されている。
【0032】
図3に示す通り、保持部19は、支持壁18(底壁20)に連結された基端部24と、基端部24から延びる先端部25と、を有する。先端部25は、基端部24よりも厚く形成されている。具体的には、基端部24の厚さW1と先端部25の厚さW2との間には、W2>W1の関係が設定されている。保持部19は、電線部材2の外周面26(図1等参照)と一致する円弧状の内周面27を有する。
【0033】
保持部19は、電線部材2を収容部14に案内するためのテーパ部28を先端に有する。本例の場合、テーパ部28は、電線部材2の嵌め込み方向(図3の矢印A1方向)に向かうほど、両保持部19間の間隔が狭くなるような傾斜面として形状に形成されている。
【0034】
図4に示すように、収容部14は、電線部材2を支持壁18と保持部19とによって挟み込んで保持する。具体的には、支持壁18及び保持部19は、外装部材9の外周面26を挟み込む。
【0035】
図5に示すように、一対の保持部19は、電線部材2を幅方向(図5のY軸方向)両側から挟み込むように設けられている。具体的には、一対の保持部19は、収容部14の幅方向(図5のY軸方向)において対向するように設けられている。一対の保持部19からなる保持部19の組は、収容部14の長手方向(図5のX軸方向)の異なる二つの位置に(本例は、2組)設けられている。2組の保持部19は、収容部14の長手方向の両端に各々配置されている。
【0036】
(収容部14の排水用の孔31)
図5及び図6に示すように、収容部14は、収容部14の内部に流入した流体を収容部14の外部に排出可能な孔31を有する。孔31は、例えば、支持壁18(底壁20)の最下点に配置されている。本例の場合、孔31は、複数設けられている。複数の孔31は、例えば、収容部14の長手方向に沿って等間隔に並んで配置されている。
【0037】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態のプロテクタ4(ワイヤハーネス1)の作用について説明する。
図7(a)、(b)に示す通り、プロテクタ4に電線部材2を取付けるときには、電線部材2をプロテクタ4の収容部14の開口17に位置合わせし、そして、電線部材2を開口17から収容部14の内部(図7(a)の矢印A1方向)へ嵌め込む。このとき、電線部材2の嵌め込みは、保持部19のテーパ部28によって案内される。すなわち、保持部19の先端部25にテーパ部28を設けることにより、電線部材2を収容部14内へ嵌め込み易くなっている。
【0038】
図7(c)に示す通り、力を入れながら電線部材2を収容部14内に更に押し込んでいくと、保持部19が自身のばね力に抗して開く(矢印A2方向に開く)ことにより、電線部材2の嵌め込みが許容される。電線部材2を収容部14内へ嵌め込んでいくとき、保持部19は、外装部材9の外周面26上を摺動する。
【0039】
図7(d)に示す通り、電線部材2を収容部14の奥まで嵌め込むと、保持部19が電線部材2を上から押さえ込んだ状態となる。すなわち、一対の保持部19は、ばね機能による付勢方向(図7(d)の矢印A3方向)に電線部材2を押した状態となる。よって、収容部14内において、電線部材2を支持壁18と保持部19とで挟み込んで保持することが可能となる。
【0040】
図8に示すように、電線部材2を押さえ付ける保持部19の保持力は、電線部材2が収容部14内に収容されていないときの保持部19と、収容部14に収容された電線部材2と、の重複領域E(同図の点線領域)で決まる。本例の場合、保持部19の先端部25を基端部24よりも厚い幅とすることにより、重複領域Eを設定する。このようにして、保持部19のばね機能の十分な保持力が設定される。
【0041】
(実施形態の効果)
上記実施形態のプロテクタ4(ワイヤハーネス1)によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0042】
(1)電線部材2と一体に取付け先3に固定されるプロテクタ4は、電線部材2を収容する収容部14を備える。収容部14は、電線部材2が嵌め込まれる開口17を有する。収容部14は、収容部14に収容された電線部材2を支える支持壁18と、支持壁18に対向配置されるとともに弾性変形可能に構成された保持部19と、を有する。プロテクタ4は、電線部材2を支持壁18と保持部19とによって挟み込んで保持する。
【0043】
本構成によれば、電線部材2を収容部14に取付けるときは、電線部材2を収容部14の開口17から単に嵌め込むだけでよい。このように、電線部材2を収容部14に取付けるとき、治具等を用いた面倒な作業が必要とならない。よって、電線部材2を収容部14に簡易に取付けることができる。
【0044】
(2)支持壁18は、収容部14の底壁20である。保持部19は、底壁20に対向する位置に配置されている。この構成によれば、収容部14の底壁20と保持部19とによって、電線部材2を確実に挟み込んで保持することができる。
【0045】
(3)保持部19は、一対の保持部19のうちの1つである。一対の保持部19は、電線部材2を幅方向両側から挟み込むように設けられている。一対の保持部19からなる保持部19の組は、収容部14の長手方向の異なる複数の位置に設けられている。この構成によれば、収容部14の複数箇所で電線部材2を保持することが可能となるので、電線部材2を収容部14から抜け難くすることができる。
【0046】
(4)保持部19の組は、収容部14の長手方向の両端に各々配置されている。この構成によれば、収容部14の両端各々で電線部材2をしっかりと保持するので、電線部材2を収容部14から外れ難くするのに一層寄与する。
【0047】
(5)保持部19は、電線部材2を収容部14の内部に案内するためのテーパ部28を先端に有する。この構成によれば、電線部材2を収容部14に収容し易くなるので、電線部材2を収容部14に取付けるときの作業性の簡易化に一層寄与する。
【0048】
(6)保持部19は、支持壁18に連結された基端部24と、基端部24から延びる先端部25と、を有する。先端部25は、基端部24よりも厚く形成されている。この構成によれば、保持部19の先端部25を幅の広い形状とすることにより、電線部材2に対する保持部19の掛かり代を十分にとることが可能となる。よって、保持部19で電線部材2を保持するときの保持力の向上に寄与する。
【0049】
(7)収容部14は、収容部14の内部に流入した流体を収容部14の外部に排出可能な孔31を有する。この構成によれば、収容部14に水等の流体が滞留し難くなるので、電線部材2の劣化防止に寄与する。
【0050】
(8)電線部材2は、1本又は複数本の電線8と、電線8を内部に収容する筒状の外装部材9と、を有する。支持壁18及び保持部19は、外装部材9の外周面26を挟み込む。この構成によれば、外装部材9の内部に電線8が収容された電線部材2において、収容部14への容易な取付けが可能となる。また、保持部19を外装部材9の外周面26に引っ掛けて電線部材2を保持することもできる。
【0051】
(9)保持部19は、外装部材9の外周面26と一致する円弧状の内周面27を有する。この構成によれば、保持部19を電線部材2に面接触させることが可能となるため、保持力の向上に寄与する。
【0052】
(10)保持部19が収容部14に一体形成されることで、クランプ本体と蓋とを有する二部品構成のクランプとは異なり、部品間の製造ばらつきにより電線部材2が取り付け難くなることがない。つまり、プロテクタ4は一部品でありながら、二部品構成のクランプと同等の保持力で電線部材2を保持して、取付け先3に固定することができる。
【0053】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0054】
図9に示すように、プロテクタ4は、収容部14の開口17を閉じる蓋35を備えた構造でもよい。蓋35は、例えば、蓋35に形成された係合部36を、収容部14の被係合部37に係合することにより、収容部14に取付けられる。係合部36及び被係合部37の構造は、例えば、圧入構造やスナップフィット構造など、種々の構造が適用可能である。プロテクタ4に蓋35を設けた場合、収容部14の内部に異物が侵入し難くなるので、電線部材2を異物から保護することができる。また、電線部材2の劣化防止にも寄与する。
【0055】
図10に示すように、蓋35は、例えば、電線部材2を保持するものではないことが好ましい。具体的には、蓋35は、例えば、電線部材2の周縁に単に接触するのみとし、電線部材2に対する保持力に影響を持つものではないこととする。こうすれば、プロテクタ4が蓋35を有する構造であっても、蓋35を収容部14に取付け難くなってしまうようなことがない。
【0056】
・2組の保持部19は、収容部14の長手方向両端に配置されることに限らず、例えば、中央寄りの位置に配置されてもよい。
・保持部19は、電線部材2に引っ掛かる爪を先端に有する形状としてもよい。
【0057】
・保持部19は、基端よりも先端の幅が大きくなるような形状に限定されず、基端及び先端で幅が同じでもよい。
・保持部19は、3組以上としてもよい。
【0058】
・保持部19は、1組のみとしてもよい。
・保持部19は、収容部14の幅方向片側にのみ設けられてもよい。
・保持部19は、樹脂ばねに限定されず、例えば、板ばねなどを用いてもよい。
【0059】
・保持部19は、収容部14と一体形成されることに限らず、収容部14とは別の部材から構成されてもよい。
・支持壁18は、底壁20に限定されず、側壁21でもよいし、或いは、側壁21を含んだ部位でもよい。
【0060】
・保持部19の位置は、保持部19と対向する支持壁18の位置に応じて、他の位置に変更してもよい。
・プロテクタ4は、開口17が上を向いた状態で取付けられることに限らず、例えば、開口17が横を向いた状態で取り付けられてもよい。
【0061】
・固定部15は、複数設けられてもよい。
・固定部15は、例えば、複数の締結部(ネジやボルト等)によって取付け先3に固定されてもよい。
【0062】
・電線部材2は、パイプハーネスに限定されず、例えば、コルゲートでもよい。
・電線部材2は、外装部材9が省略された部材でもよい。すなわち、電線部材2は、電線8のみを有する部材としてもよい。
【0063】
・取付け先3は、車両のボディ5に限定されず、例えば車両のエンジンルームなど、他の場所としてもよい。
・プロテクタ4(ワイヤハーネス1)は、車載用に限定されず、他の機器や装置に適用してもよい。
【0064】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0065】
1 ワイヤハーネス
2 電線部材
3 取付け先
4 プロテクタ
5 ボディ
8 電線
9 外装部材
10 芯線
11 絶縁被覆
14 収容部
15 固定部
17 開口
18 支持壁
19 保持部
20 底壁
21 側壁
22 孔
24 基端部
25 先端部
26 外周面
27 内周面
28 テーパ部
31 孔
35 蓋
36 係合部
37 被係合部
E 重複領域
W1 厚さ
W2 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10