(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022184
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】転炉排ガス処理設備及び転炉排ガス処理方法
(51)【国際特許分類】
C21C 5/40 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
C21C5/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125573
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】501120122
【氏名又は名称】スチールプランテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】等々力 勇
【テーマコード(参考)】
4K070
【Fターム(参考)】
4K070CA01
(57)【要約】
【課題】一酸化炭素及び二酸化炭素のいずれも回収可能な転炉排ガス処理設備及び転炉排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る転炉排ガス処理設備は、転炉1から排出される排ガスを処理するためのものであって、排ガスを通す排ガスダクト13と、排ガスダクト13に設けられた排ガスダクト13内の排ガスの組成を測定するための排ガス分析装置16、17、18と、排ガス分析装置16、17、18が設けられた位置よりも下流側において排ガスダクト13に接続されたCO回収設備9及びCO
2回収設備12、19、20、21、22と、排ガスをCO回収設備9及びCO
2回収設備12、19、20、21、22のいずれかに選択的に導くことができるよう構成された排ガス流路切替装置6、10と、排ガス分析装置16、17、18による測定の結果に基づいて、排ガス流路切替装置6、10を制御する制御装置23と、備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転炉から排出される排ガスを処理するための転炉排ガス処理設備であって、
前記排ガスを通す排ガスダクトと、
前記排ガスダクトに設けられた、前記排ガスの組成を測定するための排ガス分析装置と、
前記排ガス分析装置が設けられた位置よりも下流側において前記排ガスダクトに接続されたCO回収設備及びCO2回収設備と、
前記排ガスを前記CO回収設備及び前記CO2回収設備のいずれかに選択的に導くことができるよう構成された排ガス流路切替装置と、
前記排ガス分析装置による測定の結果に基づいて、前記排ガス流路切替装置を制御する制御装置と、
を備えていることを特徴とする転炉排ガス処理設備。
【請求項2】
前記CO回収設備が第1ガスホルダーを含み、
前記CO2回収設備が第2ガスホルダーを含み、
前記制御装置は、前記排ガス分析装置による前記測定の結果、CO濃度がCO2濃度よりも高い時は、前記排ガスを前記CO回収設備に導いて前記第1ガスホルダーで貯蔵し、CO2濃度がCO濃度よりも高い時は、前記排ガスを前記CO2回収設備に導いて前記第2ガスホルダーで貯蔵するように前記排ガス流路切替装置を制御するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の転炉排ガス処理設備。
【請求項3】
前記排ガスダクトに接続された放散塔を更に備え、
前記排ガス流路切替装置は、前記排ガスを前記CO回収設備、前記CO2回収設備、及び前記放散塔のうちのいずれか1つに選択的に導くよう構成されており、
前記制御装置は、前記第1ガスホルダー及び前記第2ガスホルダーの双方の貯蔵レベルが所定の閾値を超えている場合には、前記排ガスを前記放散塔に導くように前記排ガス流路切替装置を制御するよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載の転炉排ガス処理設備。
【請求項4】
転炉から排出される排ガスを処理する転炉排ガス処理方法であって、
排ガスダクトを通る前記排気ガスの組成を測定することと、
前記測定の結果に基づいて、前記排ガスの組成の測定位置よりも下流側において前記排ガスダクトに接続されたCO回収設備及びCO2回収設備のいずれかに選択的に前記排ガスを導くことと、
を含むことを特徴とする転炉排ガス処理方法。
【請求項5】
前記測定の結果、CO濃度がCO2濃度よりも高い時は、前記排ガスを前記CO回収設備に導いて、前記CO回収設備が備える第1ガスホルダーで前記排ガスを貯蔵することと、
前記測定の結果、CO2濃度がCO濃度よりも高い時は、前記排ガスを前記CO2回収設備に導いて、前記CO2回収設備が備える第2ガスホルダーで前記排ガスを貯蔵することと、
を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の転炉排ガス処理方法。
【請求項6】
前記第1ガスホルダー及び前記第2ガスホルダーの双方の貯蔵レベルが所定の閾値を超えている場合に、前記排ガスダクトに接続された放散塔に前記排ガスを導くことを更に含むことを特徴とする請求項5に記載の転炉排ガス処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転炉から排出される排ガスを処理するための転炉排ガス処理設備及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
転炉での精錬においては、まず転炉に溶銑を装入し、転炉吹錬によって主に脱炭精錬を行う。そして、精錬完了後に溶鋼を出鋼するとともにスラグを排滓し、次の精錬のために溶銑を装入する。
このような転炉精錬時に発生する排ガス中には、高濃度の一酸化炭素が含まれている。
【0003】
一酸化炭素は燃料として用いることができるため、一酸化炭素を燃焼させずに非燃焼型の転炉排ガス回収装置によってこの排ガスを回収する回収方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において開示されているような従来の転炉排ガス回収装置においては、排ガス中の一酸化炭素(CO)濃度が高くない時点での排ガス回収は行わず、放散塔から大気放出していたが、地球温暖化防止の観点から二酸化炭素(CO2)の大気放出を抑制する必要が生じた。
また、メタネーション技術が確立した場合、CO2と水素を結合させることでメタンガスを生成させることが可能となるが、従来の転炉排ガス回収装置では、高濃度COのみを回収する設備や制御方法しか確立されていなかった。
【0006】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、一酸化炭素及び二酸化炭素のいずれも回収可能な転炉排ガス処理設備及び転炉排ガス処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る転炉排ガス処理設備は、転炉から排出される排ガスを処理するためのものであって、
前記排ガスを通す排ガスダクトと、
前記排ガスダクトに設けられた、前記排ガスの組成を測定するための排ガス分析装置と、
前記排ガス分析装置が設けられた位置よりも下流側において前記排ガスダクトに接続されたCO回収設備及びCO2回収設備と、
前記排ガスを前記CO回収設備及び前記CO2回収設備のいずれかに選択的に導くよう構成された排ガス流路切替装置と、
前記排ガス分析装置による測定の結果に基づいて、前記排ガス流路切替装置を制御する制御装置と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、
前記CO回収設備が第1ガスホルダーを含み、
前記CO2回収設備が第2ガスホルダーを含み、
前記制御装置は、前記排ガス分析装置による前記測定の結果、CO濃度がCO2濃度よりも高い時は、前記排ガスを前記CO回収設備に導いて前記第1ガスホルダーで貯蔵し、CO2濃度がCO濃度よりも高い時は、前記排ガスを前記CO2回収設備に導いて前記第2ガスホルダーで貯蔵するように前記排ガス流路切替装置を制御するよう構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
(3)また、上記(2)に記載のものにおいて、
前記排ガスダクトに接続された放散塔を更に備え、
前記排ガス流路切替装置は、前記排ガスを前記CO回収設備、前記CO2回収設備、及び前記放散塔のうちのいずれか1つに選択的に導くよう構成されており、
前記制御装置は、前記第1ガスホルダー及び前記第2ガスホルダーの双方の貯蔵レベルが所定の閾値を超えている場合には、前記排ガスを前記放散塔に導くように前記排ガス流路切替装置を制御するよう構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
(4)また、本発明に係る転炉排ガス処理方法は、転炉から排出される排ガスを処理する方法であって、
排ガスダクトを通る前記排ガスの組成を測定することと、
前記測定の結果に基づいて、前記排ガスの組成の測定位置よりも下流側において前記排ガスダクトに接続されたCO回収設備及びCO2回収設備のいずれかに選択的に前記排ガスを導くことと、
を含むことを特徴とするものである。
【0011】
(5)また、上記(4)に記載のものにおいて、
前記測定の結果、CO濃度がCO2濃度よりも高い時は、前記排ガスを前記CO回収設備に導いて、前記CO回収設備が備える第1ガスホルダーで前記排ガスを貯蔵することと、
前記測定の結果、CO2濃度がCO濃度よりも高い時は、前記排ガスを前記CO2回収設備に導いて、前記CO2回収設備が備える第2ガスホルダーで前記排ガスを貯蔵することと、
を更に含むことを特徴とするものである。
【0012】
(6)また、上記(5)に記載のものにおいて、
前記第1ガスホルダー及び前記第2ガスホルダーの双方の貯蔵レベルが所定の閾値を超えている場合に、前記排ガスダクトに接続された放散塔に前記排ガスを導くことを更に含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一酸化炭素及び二酸化炭素のいずれも回収可能となり、転炉において精錬を行う際に排出される排ガスをほぼ全量回収する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る転炉排ガス処理設備の全体構成を示すと共に一酸化炭素ガス回収時のガスフローを示す図である。
【
図2】二酸化炭素ガス回収時のガスフローを示す図である。
【
図3】転炉操業時間とガス成分との関係の概略を示すグラフである。
【
図4】一酸化炭素ガス回収中に一酸化炭素ガスホルダーレベル高時のガスフローを示す図である。
【
図5】メタネーションプラントへ二酸化炭素ガスを供給する時のガスフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る転炉排ガス処理設備100の全体構成を示すと共に一酸化炭素(CO)ガス回収時のガスフローを示している。また、
図2は、二酸化炭素(CO
2)ガス回収時のガスフローを示しており、
図3は転炉操業時の操業時間と排ガス成分値(%)との関係の概略(典型例)を示している。
以下、
図1~
図3に基づいて本実施の形態の転炉排ガス処理設備100について説明する。
【0016】
図1において、1は転炉、2はフード、3は輻射部、4は集塵器、5は誘引送風機、6は第1三方弁、7はバイパス弁、8はCOガス回収弁、9はCOガスホルダー、13は排ガスダクト、14は放散塔、15は窒素パージ配管、16は炉頂酸素分析計、17は炉頂CO分析計、18は誘引送風機5の下流側の排ガスダクト13に配置された炉下酸素分析計、23は制御装置である。
【0017】
また、本実施の形態の転炉排ガス処理設備100は、放散塔14へのガス流路(排ガスダクト13)から分岐したガス流路の分岐部に設けられた第2三方弁10、第2三方弁10の下流側に設けられてCO2回収設備への流路に設けられたCO2ガス回収弁11、CO2ガス回収弁11を通過したCO2を貯留するCO2ガスホルダー12、CO2ガスホルダー12の下流側に設けられたサイクロンセパレータ19、ブースターファン20、CO2吸収塔21、及びCO2再生塔22を備えている。
【0018】
即ち、本実施の形態に係る転炉排ガス処理設備100は、
図1に示すように、転炉から排出される排ガスを処理するためのものであって、排ガスを通す排ガスダクト13と、排ガスダクト13に設けられた、排ガスの組成を測定するための排ガス分析装置(本実施の形態では炉頂酸素分析計16、炉頂CO分析計17、炉下酸素分析計18)と、排ガス分析装置が設けられた位置よりも下流側において排ガスダクト13に接続されたCO回収設備(本実施の形態ではCOガスホルダー9)及びCO
2回収設備(本実施の形態ではCO
2ガスホルダー12、サイクロンセパレータ19、ブースターファン20、CO
2吸収塔21、及びCO
2再生塔22)と、排ガスをCO回収設備及びCO
2回収設備のいずれかに選択的に導くよう構成された排ガス流路切替装置(本実施の形態では第1三方弁6及び第2三方弁10)と、排ガス分析装置による測定の結果に基づいて、排ガス流路切替装置を制御する制御装置23と、を備えている。
【0019】
転炉1内で発生した排ガスは、転炉1の上部に配置されたフード2によって集められ、輻射部3で排ガスを冷却し、次いで2段の集塵器(ベンチュリースクラバー)4で湿式集塵される。
湿式集塵された後の排ガスは、排ガスダクト13の途中に設けられた誘引送風機5で送風され、第1三方弁6に至る。
【0020】
第1三方弁6で分岐した一方の経路は第2三方弁10に至り、他方の経路は、COガス回収弁8を経由してCOガスホルダー9に至る経路である。
また、第2三方弁10で分岐した一方の経路は放散塔14に至り、他方の経路は、CO2ガス回収弁11を経由してCO2ガスホルダー12に至る経路である。
そして、第1三方弁6及び第2三方弁10の切り替え操作により、転炉1から排出された排ガスはCOガスホルダー9又はCO2ガスホルダー12に導かれ、あるいは放散塔14から放散される。
【0021】
排ガスをCOガスホルダー9に回収するか、CO2ガスホルダー12に回収するか、あるいは放散塔14を経由して大気中に放散するかの判断については、排ガスのガス分析結果によって制御装置23が行い、制御装置23は判断結果に基づいて第1三方弁6及び第2三方弁10の切り替え制御をする。
【0022】
具体的には、炉頂CO分析計17で分析した排ガス中CO濃度が、例えば25%以上であり、炉頂酸素分析計16と炉下酸素分析計18で分析した排ガス中酸素濃度が両方とも例えば2%以下であるという3つの条件が満たされた場合に、制御装置23はCO回収条件が成立していると判断する。この場合、制御装置23は、
図1に示すように、排ガスがCO回収設備側に流れるように第1三方弁6及び第2三方弁10を制御するとともにCOガス回収弁8を開とし、排ガスはCOガスホルダー9に回収される。
【0023】
一方、上記の3つの条件が一つでも満たされていない場合、換言すれば排ガス中CO濃度が25%未満である場合、炉頂酸素分析計16で分析した排ガス中酸素濃度が2%超えである場合、及び炉下酸素分析計18で分析した排ガス中酸素濃度が2%超えである場合のいずれか1つの条件が満たされた場合にはCO回収条件が不成立となる。この場合、制御装置23は、
図2に示すように、排ガスがCO
2回収設備側に流れるように第1三方弁6及び第2三方弁10を制御するとともにCO
2ガス回収弁11を開とし、排ガスはCO
2ガスホルダー12に回収される。
【0024】
転炉操業時の排ガスは、
図3に示すように、操業開始時と操業終了前は、転炉1の炉口周りから空気が吸引されてCOガスの二次燃焼が促進されるためCO
2ガス成分が多く、それら以外の時間(それらの間の時間)はCOガス成分が多い。排ガス中のCO濃度が高くない時点から排ガスをCO回収設備に導いて回収すると、回収した排ガスの燃料ガスとしての品位が低下するので好ましくない。そのため、転炉炉項の輻射部3の排ガス経路にCO濃度分析計(炉頂CO分析計17)を設け、操業開始後の所定時間と操業終了前の所定時間は、
図2に示すようにCO
2ガス回収を行い、それら以外の時間(それらの間の時間)は
図1に示すようにCOガス回収を行う。
【0025】
転炉操業の工程と排ガスフローの関係は、以下のようになる。
転炉非吹錬時には、制御装置23は、排ガスが転炉1から放散塔14に導かれるように第1三方弁6と第2三方弁10とを制御し、転炉排ガスを放散塔14から放散している(
図6参照)。
転炉吹錬開始時には、
図2に示すように、制御装置23は、排ガスが転炉1からCO
2回収設備に導かれるように第1三方弁6と第2三方弁10とを制御するとともにCO
2ガス回収弁11を開とし、転炉排ガスをCO
2ガスホルダー12に回収する。吹錬の経過とともに、炉頂酸素分析計16及び炉下酸素分析計18で検出される排ガス中の酸素濃度が低下し、炉頂CO分析計17で検出される排ガス中のCO濃度が上昇する。
そして分析したガス成分が前述したCO回収条件成立に至ったときに、制御装置23は、排ガスが転炉1からCO回収設備に導かれるように第1三方弁6と第2三方弁10とを制御するとともにCOガス回収弁8を開とし、COガスホルダー9ヘの排ガス回収を開始する。
【0026】
そして、転炉操業の終了前になると、排ガス中のCO濃度が低下しCO2濃度が上昇するので、CO回収条件不成立となる。この時は、制御装置23は、排ガスが転炉1からCO2回収設備に導かれるように第1三方弁6と第2三方弁10とを制御するとともにCO2ガス回収弁11を開とし、CO2ガスホルダー12ヘの排ガス回収を開始する。
【0027】
従来の転炉排ガス回収装置では、転炉吹錬初期と末期に発生するCO2濃度が高い排ガスは未回収であった。
これに対して、本実施の形態の転炉排ガス処理設備100によれば、CO及びCO2のいずれも回収可能となり、転炉において精錬を行う際に排出される排ガスをほぼ全量回収する事が可能となる。
【0028】
本実施の形態の転炉排ガス処理設備100においては、
図1、
図2に示すように、炉頂CO分析計17、炉頂酸素分析計16及び炉下酸素分析計18でガス組成を分析している。そこで、本実施の形態では、ガス組成の分析結果に基づいて、ガス組成が爆発領域とならないように、CO充満部及び停滞部に窒素パージ配管15によって窒素(N
2)ガスを供給し、最適なパターンでパージ噴射させることでガス爆発抑制を行っている。このような、窒素ガスのパージ噴射の制御についても、制御装置23で行うようにすればよい。
【0029】
なお、本実施の形態の転炉排ガス処理設備100においては、COガスホルダー9に貯蔵ガスレベルを検知するCOガスレベル検知手段24を設け、制御装置23がCOガスレベル検知手段24の検知結果に基づいてCOガスホルダー9にて貯蔵量を超えて排ガスを受け入れる事が出来ないと判断した場合(貯蔵レベルが所定の閾値を超えている場合)に、
図4に示すように、排ガスが転炉1からCO
2回収設備に導かれるように第1三方弁6と第2三方弁10とを制御することにより、CO
2ガスホルダー12にてガス回収する。
【0030】
CO
2ガスホルダー12にて貯蔵された排ガスは、
図5に示すように、ブースターファン20で誘引され、サイクロンセパレータ19にて粒子径10μm以上のミスト及び15μm以上の固形物を99%分離し、CO
2吸収塔21及びCO
2回収塔22を通過させる事でCO
2を濃縮した後、メタネーションプラントに供給される。
【0031】
また、本実施の形態の転炉排ガス処理設備100においては、CO
2ガスホルダー12に貯蔵ガスレベルを検知するCO
2ガスレベル検知手段25をさらに設け、制御装置23がCO
2ガスレベル検知手段25の検知結果に基づいてCO
2ガスホルダー12にて貯蔵量を超えて排ガスを受け入れる事が出来ないと判断した場合(貯蔵レベルが所定の閾値を超えている場合)、即ち、COガスホルダー9及びCO
2ガスホルダーの双方にて貯蔵量を超えて排ガスを受け入れる事が出来ないと判断した場合(貯蔵レベルが所定の閾値を超えている場合)に、
図6に示すように、排ガスが転炉1から放散塔14に導かれるように第1三方弁6と第2三方弁10とを制御することにより、放散塔14に至る経路を開として排ガスを大気放出する。
【0032】
また、転炉吹錬トラブルによる緊急放散時中、COガスホルダー9及びCO2ガスホルダー12の両ガスホルダー共に貯蔵不可時にも、制御装置23は、排ガスが転炉1から放散塔14に導かれるように第1三方弁6と第2三方弁10とを制御することにより、放散塔14に至る経路を開として排ガスを大気放出する。
【0033】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明してきたが、本発明はこの実施の形態の構成には限られない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定まるものであり、その範囲内において実施の形態に示した構成要素の一部の省略や変形、またそれらの改良を施した構成の全てが本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 転炉
2 フード
3 輻射部
4 集塵器
5 誘引送風機
6 第1三方弁
7 バイパス弁
8 COガス回収弁
9 COガスホルダー
10 第2三方弁
11 CO2ガス回収弁
12 CO2ガスホルダー
13 排ガスダクト
15 窒素パージ配管
16 炉頂酸素分析計
17 炉頂CO分析計
18 炉下酸素分析計
19 サイクロンセパレータ
20 ブースターファン
21 CO2吸収塔
22 CO2再生塔
23 制御装置
24 COガスレベル検知手段
25 CO2ガスレベル検知手段
100 転炉排ガス処理設備