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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002219
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】コンロバーナ、ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/76 20060101AFI20231228BHJP
   F23D 14/06 20060101ALI20231228BHJP
   F24C 3/02 20210101ALI20231228BHJP
   F24C 3/08 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F23D14/76
F23D14/06 N
F24C3/02 H
F24C3/08 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101288
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】深谷 岳士
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017AA00
3K017AB05
3K017AB07
3K017AB10
3K017AD12
3K017AF01
3K017AF02
(57)【要約】
【課題】高火力状態で長時間に亘って連続して使用しても燃料ガスを正常に燃焼させることが可能なコンロバーナおよびガスコンロを提供する。
【解決手段】コンロバーナ(10)のバーナ本体(30)は、円板形状の底壁部(31)と円筒形状の外筒部(32)とを有しており、外筒部の上にバーナヘッド(20)が載置され、底壁部の中央に下方から接続されたガス供給部(50)から燃料ガスが供給される。また、ガス供給部は、底壁部の中央でバーナヘッドおよびバーナ本体の重量を支えている。この構造では、バーナヘッドおよびバーナ本体の重量で底壁部に大きな曲げ荷重が掛かるので、バーナ本体よりも融点の高い材質で形成された変形抑制部材(44)を底壁部に取り付ける。こうすれば、バーナヘッドやバーナ本体が高温となっても、底壁部の変形を抑制できるので、燃料ガスを正常に燃焼させることが可能となる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスが供給されるバーナ本体と、前記バーナ本体の上に載置されて円環形状または円盤形状に形成されたバーナヘッドと、前記バーナ本体に接続されて前記バーナ本体に前記燃料ガスを供給するガス供給通路が内部に形成されたガス供給部とを有し、前記バーナヘッドに形成された複数の炎口から前記燃料ガスを流出させることによって、前記燃料ガスを燃焼させるコンロバーナにおいて、
前記バーナ本体は、
円筒形状に形成されて、前記円筒形状の上端に形成された載置面に前記バーナヘッドが載置される外筒部と、
前記外筒部の底面を形成する底壁部と、
前記底壁部の中央に形成されて前記ガス供給部が下方から接続されると共に、前記ガス供給部の前記ガス供給通路から前記燃料ガスが流入するガス流入口が形成された接続部と
を備え、
前記ガス供給部は、前記バーナ本体の下方から前記接続部に接続されることによって前記バーナ本体および前記バーナヘッドの重量を支えており、
前記底壁部には、前記バーナ本体よりも融点が高い材質で形成されて、前記底壁部の変形を防止する変形抑制部材が取り付けられている
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンロバーナにおいて、
前記変形抑制部材は、前記底壁部の下面に取り付けられている
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項3】
請求項1に記載のコンロバーナにおいて、
前記バーナ本体は、
前記バーナ本体の前記外筒部よりも小径の円筒形状で、前記外筒部と同軸に配置された中筒部と、
前記中筒部よりも小径の円筒形状で、前記中筒部と同軸に配置された小筒部と、
前記中筒部の外側と前記小筒部の内側とを連結する複数の連結通路と
を備え、
前記バーナヘッドは、
円環形状に形成されて、前記円環形状の半径方向の外側部分が前記外筒部の前記載置面に載置され、前記円環形状の半径方向の内側部分が前記中筒部に嵌合すると共に、外周側面に複数の前記炎口が形成された大バーナヘッドと、
前記大バーナヘッドよりも小径の円盤形状に形成されて、前記小筒部の上端の載置面に載置されると共に、外周側面に複数の前記炎口が形成された小バーナヘッドと
を備えており、
前記バーナ本体の前記底壁部の一部は、複数の前記連結通路の底面を形成しており、
前記底壁部には、複数の前記連結通路の間の部分に、前記小バーナヘッドに向けて空気を供給するための空気供給口が形成されており、
前記変形抑制部材には、前記底壁部の前記空気供給口と重なる位置に、貫通口または切欠部が形成されている
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項4】
請求項3に記載のコンロバーナにおいて、
前記バーナ本体は、
前記外筒部および前記底壁部を有する下バーナ本体と、
前記中筒部と、前記小筒部と、前記中筒部と前記小筒部とを連結する複数の連結部とを有し、前記下バーナ本体の前記底壁部の上に載置される上バーナ本体と
を備え、
複数の前記連結通路は、前記下バーナ本体の前記底壁部の上に前記上バーナ本体を載置すると、前記連結部が前記底壁部に当接することによって、前記底壁部と前記連結部との間に形成される
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項5】
請求項4に記載のコンロバーナにおいて、
前記変形抑制部材は、前記下バーナ本体の前記底壁部と前記上バーナ本体との間に挟在される板状部材である
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載のコンロバーナにおいて、
前記バーナ本体はアルミ合金材料で形成されており、
前記変形抑制部材はステンレス材料で形成されている
ことを特徴とするコンロバーナ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載のコンロバーナを搭載したことを特徴とするガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスが供給されるバーナ本体と、バーナ本体の上に載置されたバーナヘッドと、バーナ本体に燃料ガスを供給するガス供給部とを備え、バーナヘッドに形成された複数の炎口から燃料ガスを流出することによって燃料ガスを燃焼させるコンロバーナ、およびコンロバーナを搭載したガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
円筒形状のバーナ本体と、バーナ本体の上に載置されたバーナヘッドとを備え、バーナヘッドに形成された複数の炎口から流出する燃料ガスに点火することによって、燃料ガスを燃焼させるコンロバーナが知られている。バーナ本体には燃料ガスを供給するためのガス供給部が接続されており、ガス供給部の内部に形成されたガス供給通路からバーナ本体に燃料ガスが供給されている。
【0003】
一般的なコンロバーナは、ガス供給部がバーナ本体の側面に接続されており、バーナ本体の側面から燃料ガスが供給されているが、大型のコンロバーナではガス供給部がバーナ本体の底面の中央に接続されており、底面の中央からバーナ本体に燃料ガスが供給されるようになっている。また、一般的なコンロバーナでは、バーナ本体とガス供給部とが一体に形成されているが、大型のコンロバーナでは、バーナ本体とガス供給部とが別体に形成されている。そして、バーナ本体に形成されたガス流入口の位置と、ガス供給部内に形成されたガス供給通路の位置とを一致させた状態で、バーナ本体にガス供給部を接続するようになっている。
【0004】
ここで、バーナ本体とガス供給部との接続部分が密着していないと燃料ガスが漏れ出してしまう虞があるため、ガス供給部は、バーナ本体の下方からバーナ本体やバーナヘッドの重量を支える構造となっている。このような構造にしておけば、バーナ本体およびバーナヘッドの自重でバーナ本体がガス供給部に押し付けられて、バーナ本体とガス供給部との接続部分が密着するため、燃料ガスが漏れ出すことを防止することができる(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-142500号公報
【特許文献2】特開2017-125637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、近年では、コスト低減などの要請からバーナ本体をアルミ合金などで形成するようになっており、それに伴って、高火力で長時間に亘って連続して使用すると、燃料ガスを正常に燃焼させることができなくなるという問題が生じるようになっていた。この理由は、次のようなものである。
【0007】
先ず、コスト低減などの要請から使用されるアルミ合金などの金属は、従来から用いられてきた真鍮などに比べて、融点が低くなっている。また、コンロバーナを高火力の状態で長時間に亘って連続して使用していると、バーナヘッドやバーナ本体が高温となる。加えて、前述したように、大型のコンロバーナは、バーナ本体の底面の中央にガス供給部が接続されており、ガス供給部がバーナ本体やバーナヘッドの重量を支える構造となっている。このため、高火力で長時間に亘ってコンロバーナを使用するなどしてバーナ本体が高温になると、バーナ本体およびバーナヘッドの重量でバーナ本体の底面が変形してしまう。その結果、バーナ本体にバーナヘッドを適切に載置できなくなったり、あるいは、バーナヘッドの位置が下がってガスコンロの天板までの距離が確保できなくなったりして、燃料ガスを正常に燃焼させることが困難になるためである。
【0008】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するために成されたものであり、高火力状態で長時間に亘って連続して使用した場合でも、燃料ガスを正常に燃焼させることが可能なコンロバーナおよびガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のコンロバーナは次の構成を採用した。すなわち、
燃料ガスが供給されるバーナ本体と、前記バーナ本体の上に載置されて円環形状または円盤形状に形成されたバーナヘッドと、前記バーナ本体に接続されて前記バーナ本体に前記燃料ガスを供給するガス供給通路が内部に形成されたガス供給部とを有し、前記バーナヘッドに形成された複数の炎口から前記燃料ガスを流出させることによって、前記燃料ガスを燃焼させるコンロバーナにおいて、
前記バーナ本体は、
円筒形状に形成されて、前記円筒形状の上端に形成された載置面に前記バーナヘッドが載置される外筒部と、
前記外筒部の底面を形成する底壁部と、
前記底壁部の中央に形成されて前記ガス供給部が下方から接続されると共に、前記ガス供給部の前記ガス供給通路から前記燃料ガスが流入するガス流入口が形成された接続部と
を備え、
前記ガス供給部は、前記バーナ本体の下方から前記接続部に接続されることによって前記バーナ本体および前記バーナヘッドの重量を支えており、
前記底壁部には、前記バーナ本体よりも融点が高い材質で形成されて、前記底壁部の変形を防止する変形抑制部材が取り付けられている
ことを特徴とする。
【0010】
このような本発明のコンロバーナにおいては、バーナヘッドおよびバーナ本体の重量が、底壁部の中央に形成された接続部の位置でガス供給部によって支えられており、このため、バーナ本体の底壁部には、バーナヘッドおよびバーナ本体の重量によって大きな曲げ荷重が掛かる構造となっている。そこで、底壁部には、バーナ本体よりも融点の高い材質で形成された変形抑制部材が取り付けられている。
【0011】
コンロバーナは、高火力状態で長時間に亘って連続して使用していると、バーナヘッドやバーナ本体が高温となることがあり、バーナ本体が高温になると底壁部も高温となる。そして、一般に金属材料は高温になると強度が低下するから、大きな曲げ荷重によって底壁部が変形する虞があり、底壁部が変形すると、バーナ本体の外筒部の上にバーナヘッドを適切に載置することができなくなって、燃料ガスを正常に燃焼させることが困難になる。しかし、底壁部には、バーナ本体よりも融点の高い材質で形成された変形抑制部材が取り付けられているので、底壁部が変形することを抑制することができる。その結果、高火力状態で長時間に亘って連続して使用した場合でも、バーナ本体の底壁部が変形することを抑制することができるので、燃料ガスを正常に燃焼させることが可能となる。
【0012】
上述した本発明のコンロバーナでは、変形抑制部材を、底壁部の下面に取り付けるようにしても良い。
【0013】
こうすれば、バーナヘッドや外筒部の重量で下方に変形しようとする底壁部を、変形抑制部材で下方から支えることができるので、バーナ本体の底壁部の変形を簡単に抑制することができる。
【0014】
また、上述した本発明は、円環形状の大バーナヘッドと、大バーナヘッドよりも小径で円盤形状の小バーナヘッドとを有するコンロバーナに適用することもできる。すなわち、バーナ本体には、バーナ本体の外筒部よりも小径の円筒形状で外筒部と同軸に配置された中筒部と、中筒部よりも小径の円筒形状で中筒部と同軸に配置された小筒部とを形成しておき、中筒部の外側と小筒部の内側とを複数の連結通路で連結する。そして、底壁部の一部で連結通路を底面を形成しておく。更に、大バーナヘッドには外周側面に複数の炎口を形成しておき、大バーナヘッドの半径方向の内側部分を中筒部に嵌合させながら、大バーナヘッドの半径方向の外側部分を外筒部の載置面に載置する。また、小バーナヘッドにも外周側面に複数の炎口を形成しておき、小バーナヘッドは、バーナ本体の小筒部の上端に形成された載置面に載置する。更に、底壁部の上面に形成された複数の連結通路の間の部分には、小バーナヘッドに向けて空気を供給するための空気供給口を形成し、変形抑制部材には、底壁部の空気供給口と重なる位置に、貫通口または切欠部を形成する。
【0015】
大バーナヘッドおよび小バーナヘッドを備える上述した本発明のコンロバーナでは、大きな火力を発生させることが可能であるため、高火力状態で長時間に亘って連続して使用していると、コンロバーナが高温となり易い。その一方で、大バーナヘッドやバーナ本体の外筒部の重量によって、底壁部には大きな曲げ荷重が掛かる構造となっている。従って、このようなコンロバーナでは、底壁部に変形抑制部材を取り付けることで、バーナ本体の底壁部の変形を抑制することができる。その結果、高火力状態で長時間に亘って連続して使用した場合でも、バーナ本体の変形を抑制することができるので、燃料ガスを正常に燃焼させることが可能となる。
【0016】
また、大バーナヘッドおよび小バーナヘッドを有する上述した本発明のコンロバーナでは、次のような上バーナ本体と下バーナ本体とを組み合わせることによってバーナ本体を形成しても良い。先ず、下バーナ本体には、外筒部および底壁部を形成する。また、上バーナ本体には、中筒部と、小筒部と、中筒部と小筒部とを連結する複数の連結部とを形成する。そして、下バーナ本体の底壁部の上に上バーナ本体を載置することによって、上バーナ本体の連結部が下バーナ本体の底壁部に当接して連結通路が形成されるようにしても良い。
【0017】
こうすれば、大バーナヘッドおよび小バーナヘッドを有するコンロバーナを簡単に製造することが可能となる。
【0018】
また、下バーナ本体の上に上バーナ本体を載置する上述した本発明のコンロバーナでは、下バーナ本体の底壁部と上バーナ本体との間に、板状の変形抑制部材を挟在させても良い。
【0019】
こうすれば、コンロバーナのユーザがコンロバーナをお手入れする際に、変形抑制部材が取り付けられていることがユーザには分かり難くすることができる。このため、変形抑制部材によってコンロバーナの美観が損なわれる事態を防止することができる。
【0020】
また、上述した本発明のコンロバーナでは、バーナ本体をアルミ合金で形成し、変形抑制部材をステンレスで形成しても良い。
【0021】
バーナ本体の製造には、加工が容易であり、且つ、寸法精度を出し易いことが要請されるので、バーナ本体をアルミ合金で形成すれば、これらの要請を同時に満足させることができる。また、変形抑制部材には、バーナ本体を形成する材質よりも融点が高く、耐食性があり、更に、液体がかかるなどして急冷された場合でも変形が小さいことが要請されるが、変形抑制部材をステンレスで形成すれば、これらの要請を同時に満足させることができる。
【0022】
また、上述した本発明のコンロバーナをガスコンロに搭載しても良い。
【0023】
こうすれば、高火力状態で長時間に亘って連続して使用した場合でも、燃料ガスを正常に燃焼させることが可能なガスコンロを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施例のガスコンロ1の外観形状を示した斜視図である。
図2】ガスコンロ1に搭載されている本実施例のコンロバーナ10の外観形状を示した斜視図である。
図3】本実施例のコンロバーナ10の構造を示す分解組立図である。
図4】バーナ本体30の底面側の形状を示した斜視図である。
図5】バーナ本体30の構造を示す分解組立図である。
図6】切欠部44cが形成された変形抑制部材44を例示した説明図である。
図7】本実施例のコンロバーナ10を縦方向に切断することによって、ガス供給部50の上にバーナ本体30が接続された状態を示した断面図である。
図8】変形抑制部材44が取り付けられていない従来のコンロバーナ90を縦方向に切断して得られる断面図である。
図9】第1変形例のコンロバーナ10の構造を示す分解組立図である。
図10】第2変形例のコンロバーナ70の構造を示す分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
A.本実施例 :
図1は、本実施例のガスコンロ1の外観形状を示す斜視図である。図示されるように、本実施例のガスコンロ1は、上面側が開口した箱形状に形成された板金製のコンロ本体2と、コンロ本体2上に載置されてコンロ本体2の上面を覆う天板3と、天板3に形成された図示しない開口部から上部を突出させてコンロ本体2内に搭載された2つのコンロバーナ10とを備えている。また、天板3上には、それぞれのコンロバーナ10を点火したり、火力を調整したりするための操作つまみ6が設けられており、更に、コンロバーナ10を囲むような形状に形成されて、鍋などの調理容器を載置するために用いられる五徳5が、それぞれのコンロバーナ10に搭載されている。
【0026】
図2は、ガスコンロ1に搭載されたコンロバーナ10の外観形状を示した斜視図である。図示されるように、本実施例のコンロバーナ10は、燃料ガスが供給されるガス供給部50の上にバーナ本体30が載置され、バーナ本体30の上にバーナヘッド20が載置された構造となっている。バーナヘッド20は、円環形状の大バーナヘッド21と、大バーナヘッド21よりも小径で円盤形状の小バーナヘッド22とを有しており、大バーナヘッド21の外周側面には、燃焼ガスが流出する複数の炎口21fが形成され、小バーナヘッド22の外周側面には、燃焼ガスが流出する複数の炎口22fが形成されている。
【0027】
図2では、大バーナヘッド21の外周側面の一部、および小バーナヘッド22の外周側面の一部を拡大して表示することによって、大バーナヘッド21の外周側面に複数の炎口21fが形成され、小バーナヘッド22の外周側面に複数の炎口22fが形成された状態が示されている。尚、本実施例の大バーナヘッド21および小バーナヘッド22は、何れも真鍮製の鍛造または鋳物によって形成されている。
【0028】
ガス供給部50は鋳鉄製の鋳物によって形成された部材であり、ガス供給部50には2本のガス供給管51,52が形成されている。このうち、大径のガス供給管51(以下、大ガス供給管51と称する)は、バーナ本体30を介して大バーナヘッド21に連通するようになっており、大ガス供給管51の図示しない開口端に取り付けられた燃料噴射ノズル51nから、大ガス供給管51の内部に向かって燃料ガスを噴射すると、大バーナヘッド21の外周側面に形成された炎口21fから燃料ガスが流出する。また、小径のガス供給管52(以下、小ガス供給管52と称する)は、バーナ本体30を介して小バーナヘッド22に連通するようになっており、小ガス供給管52の図示しない開口端に取り付けられた燃料噴射ノズル52nから小ガス供給管52の内部に向かって燃料ガスを噴射すると、小バーナヘッド22の外周側面に形成された炎口22fから燃料ガスが流出するようになっている。バーナ本体30の内部構造については後述する。尚、本実施例のバーナ本体30は、アルミ合金製のダイカストによって形成されているが、アルミ合金に限らず、亜鉛合金や、マグネシウム合金、銅合金などを用いることもできる。また、ダイカストに限らず、鍛造や鋳造などによってバーナ本体30を形成しても良い。
【0029】
大バーナヘッド21の側方には点火プラグ60が設けられており、小バーナヘッド22の側方には火炎センサ61が設けられている。このため、点火プラグ60から火花を飛ばしつつ、大バーナヘッド21の複数の炎口21fが燃料ガスを流出させると、燃料ガスに着火させることができる。そして、この炎が隣接する炎口21fに次々と火移りすることによって、大バーナヘッド21で燃料ガスの燃焼を開始することができる。また、大バーナヘッド21の上面には、半径方向に延びるスリット状の火移り炎口21gが形成されている。このため、大バーナヘッド21での燃焼が開始されると、炎が火移り炎口21gを伝わって小バーナヘッド22の炎口22fにも火移りする。そして、小バーナヘッド22でも隣接する炎口22fに次々と火移りして、全ての炎口22fで燃料ガスの燃焼が開始される。小バーナヘッド22の全ての炎口22fで燃焼が開始されると、火炎センサ61が炎を検知するため、小バーナヘッド22で燃焼が開始されたことを認識することが可能となる。
【0030】
図3は、本実施例のコンロバーナ10の構造を示す分解組立図である。図示されるように、本実施例のコンロバーナ10は、ガス供給部50の上にバーナ本体30が載置され、バーナ本体30の上にバーナヘッド20が載置された構造となっている。バーナヘッド20は、円環形状に形成された大バーナヘッド21と、大バーナヘッド21よりも小径で円盤形状に形成された小バーナヘッド22とを有している。大バーナヘッド21の半径方向外側(すなわち外縁部分)には、下方に向けて円筒形状の筒状壁21aが形成されており、筒状壁21aの下端面には、筒状壁21aを貫通する複数の炎口溝21bが上方に向けて穿設されている。また、大バーナヘッド21の半径方向内側(すなわち内縁部分)にも、下方に向けて円筒形状の嵌合壁21cが形成されている。更に、小バーナヘッド22には、半径方向外側(すなわち外縁部分)に、下方に向けて円筒形状の筒状壁22aが形成されており、筒状壁22aの下端面には、筒状壁22aを貫通する複数の炎口溝22bが上方に向けて穿設されている。
【0031】
バーナ本体30は、大まかにいうと、円板形状の底壁部31の外縁部分に円筒形状の外筒部32が上方に向けて立設されており、外筒部32よりも内側の位置に、外筒部32よりも小径で円筒形状の中筒部33が外筒部32と同軸で且つ上方に向けて立設され、中筒部33よりも内側の位置には、中筒部33よりも小径で円筒形状の小筒部34が中筒部33と同軸で且つ上方に向けて立設された形状となっている。また、中筒部33と小筒部34とは、半径方向に延びる4本の連結部35によって繋がっている。
【0032】
それぞれの連結部35の内部には連結通路35aが形成されており、それぞれの連結通路35aは、一端側が中筒部33の外周側面に開口し、他端側が小筒部34の内周面に開口している。更に、連結部35と連結部35との間には、バーナ本体30を上下方向に貫通して、小バーナヘッド22に燃焼用の空気を供給するための空気供給通路35bが形成されている。バーナ本体30の詳細な構造については後ほど詳しく説明する。
【0033】
また、外筒部32の上端には、半径方向内側に向かって低くなるように傾斜した載置面32aが形成されている。そして、載置面32aの上に大バーナヘッド21の筒状壁21aを載置すると、筒状壁21aに穿設された複数の炎口溝21bの下端が載置面32aで塞がれることによって、筒状壁21aの外周側面に複数の炎口21fが形成されることになる(図2参照)。同様に、小筒部34の上端にも、半径方向内側に向かって低くなるように傾斜した載置面34aが形成されている。そして、載置面34aの上に小バーナヘッド22の筒状壁22aを載置すると、筒状壁22aに穿設された複数の炎口溝22bの下端が載置面34aで塞がれることによって、筒状壁22aの外周側面に複数の炎口22fが形成される(図2参照)。
【0034】
ガス供給部50は、略円筒形状の本体部53の内側に、円筒形状の内管部54を備えた二重管構造となっており、本体部53の側方からは大ガス供給管51と小ガス供給管52とが延設されている。小ガス供給管52の内部にはガス供給通路52a(以下、小ガス供給通路52aと称する)が形成されており、小ガス供給通路52aは内管部54の内側に連通している。また、大ガス供給管51の内部にはガス供給通路51a(以下、大ガス供給通路51aと称する)が形成されており、大ガス供給通路51aは本体部53と内管部54の間の空間に連通している。図2を用いて前述した燃料噴射ノズル51nは、大ガス供給通路51a内に向けて燃料ガスを噴射し、燃料噴射ノズル52nは小ガス供給通路52a内に向けて燃料ガスを噴射する。
【0035】
本体部53の側方の2箇所には、点火プラグ60および火炎センサ61を取り付けるための取付部55a,55bが突設されている。点火プラグ60および火炎センサ61は板金製の取付ブラケット62に取り付けられる。取付ブラケット62は、取付穴62aを取付ボルト56で取付部55aに固定し、取付穴62bを取付部55bに固定することによって本体部53に取り付けられる。
【0036】
また、本体部53の上部は外周側面が円柱形状に削出加工されることによって挿入部53aが形成されると共に、挿入部53aの上端は平坦に削出加工されることによって当接面53bが形成されている。更に、内管部54の上部は内周面が削出加工されることによって円柱形状の接触面54aが形成されている。これらの挿入部53aや、当接面53b、接触面54aは、ガス供給部50をバーナ本体30に接続するための構造である。
【0037】
図4は、バーナ本体30を斜め下方から見上げることによって、バーナ本体30の底面側の形状を示した斜視図である。図示されるように、バーナ本体30の底面側には、円環形状の変形抑制部材44がボルト46によって取り付けられている。変形抑制部材44の中央からは、円筒形状の大接続管38が突出しており、大接続管38の内側には、大接続管38と同軸で円筒形状の小接続管39が突出している。小接続管39の外周面の直径は、ガス供給部50の内管部54の内側に形成された接触面54a(図3参照)に嵌る大きさに設定されている。また、大接続管38の内周面には、円柱形状の被挿入面38aが形成されており、被挿入面38aの奥には、平坦で円環形状の被当接面38bが形成されている。被挿入面38aの内径は、ガス供給部50の本体部53の上部に形成された円柱形状の挿入部53a(図3参照)が嵌る大きさに設定されている。これら大接続管38および小接続管39は、バーナ本体30の底面側にガス供給部50を接続するための接続部37となっている。
【0038】
バーナ本体30とガス供給部50とを接続する際には、バーナ本体30の底面から突出した円柱形状の小接続管39が、ガス供給部50の内管部54に形成された円柱形状の接触面54a(図3参照)の内側に挿入されるように位置決めした状態で、ガス供給部50の上方からバーナ本体30を下ろしていく。すると、ガス供給部50の本体部53に形成された円柱形状の挿入部53a(図3参照)が、バーナ本体30の大接続管38に形成された円柱形状の被挿入面38aの内側に挿入される。そして、更にバーナ本体30を下ろしていくと、ガス供給部50の本体部53の上端に形成された当接面53b(図3参照)が、バーナ本体30の被挿入面38aの奥に形成された被当接面38bに当接する。こうしてバーナ本体30の被当接面38bにガス供給部50の当接面53bを当接させると、バーナ本体30やバーナヘッド20(大バーナヘッド21および小バーナヘッド22)の重量で被当接面38bと当接面53bとが密着した状態となり、ガス供給部50とバーナ本体30とを確実に接続することが可能となる。
【0039】
図5は、バーナ本体30の構造を示す分解組立図である。図示されるように、本実施例のバーナ本体30は、大径の下バーナ本体41の上に、小径の上バーナ本体40を載置した構造となっており、下バーナ本体41の底面には円環形状の変形抑制部材44が取り付けられている。
【0040】
上バーナ本体40は、アルミ合金を用いたダイカストで形成されており、円筒形状の中筒部33と、中筒部33よりも小径で円筒形状の小筒部34とが、半径方向に延びる連結部35によって4箇所で連結した形状となっている。連結部35は底面側が開放した樋形状となっており、連結部35の内側は、半径方向に延びる連結溝35cとなっている。連結溝35cの一端側は中筒部33を貫通しており、連結溝35cの他端側は小筒部34を貫通している。
【0041】
小筒部34の内部には、連結部35の上面とほぼ同じ高さの位置に、円板形状の隔壁部34bが水平に形成されている。隔壁部34bの中央にはガス流入口39aが開口しており、ガス流入口39aは小ガス供給通路52a(図3参照)に連通している。このため、隔壁部34bの上方で小筒部34の内側の空間は、小ガス供給通路52aから供給された燃料ガスが流入する小バーナ室36bとなっている。また、ガス流入口39aが開口した部分の隔壁部34bからは、下方に向けて円筒形状の小接続管39(図4参照)が立設されている。
【0042】
下バーナ本体41は、アルミ合金を用いたダイカストで形成されており、円板形状の底壁部31の外縁部分から円筒形状の外筒部32が上方に向けて立設された形状となっている。底壁部31の中央には円形のガス流入口43が開口しており、ガス流入口43が開口した部分の底壁部31からは、下方に向けて円筒形状の大接続管38(図4参照)が立設されている。また、底壁部31には、4つの空気供給口42aと、4つの取付穴42bとが形成されている。更に、底壁部31の上面には、下バーナ本体41に対して上バーナ本体40の位置合わせを容易にするための4つの凸部42cが突設されている。
【0043】
下バーナ本体41に対して上バーナ本体40を組み付ける際には、下バーナ本体41の底壁部31の上に上バーナ本体40を載置した後、上バーナ本体40の底面の4箇所に形成された図示しない取付穴を、底壁部31に形成された4つの取付穴42bに位置合わせする。すると、底壁部31の空気供給口42aの上に、上バーナ本体40に形成された連結部35と連結部35との間の空間が来るように位置決めされるので、その状態で、下方からボルト46を用いて下バーナ本体41に上バーナ本体40を組み付ける。こうすると、連結部35と連結部35との間の空間と、底壁部31の空気供給口42aとが繋がることによって、小バーナヘッド22に燃焼用の空気を供給するための空気供給通路35bが形成される(図3参照)。また、連結部35の内側に形成された連結溝35cは、空気供給口42aと空気供給口42aとの間の底壁部31で底面側が塞がれることによって、図3を用いて前述した連結通路35aが形成される。
【0044】
また、変形抑制部材44は、下バーナ本体41に対して上バーナ本体40を組み付ける際に、ボルト46で共締めされる。図5に示されるように、変形抑制部材44は円環形状の部材であり、変形抑制部材44の外径は、外筒部32の内径よりは小さいが、中筒部33の外径よりは大きな寸法に設定されている。尚、本実施例の変形抑制部材44は、ステンレス製の板金を打抜き加工することによって形成されているが、変形抑制部材44の材質は下バーナ本体41や上バーナ本体40の材質よりも融点が高い金属であれば、ステンレス以外の材質であっても良い。
【0045】
また、変形抑制部材44の中央には、円形の貫通穴45が形成されており、貫通穴45の内径は、下バーナ本体41の底面から突設した大接続管38に外嵌め可能な大きさに設定されている。更に、貫通穴45の周囲には、4つの貫通口44aと4つの取付穴44bが形成されている。そして、変形抑制部材44を下バーナ本体41の底面に取り付ける際には、貫通穴45を下バーナ本体41の大接続管38に外嵌めして、変形抑制部材44の取付穴44bの位置を下バーナ本体41の取付穴42bの位置に合わせする。すると、変形抑制部材44の貫通口44aが、下バーナ本体41の空気供給口42aの位置に来るので、その状態で、更に、上バーナ本体40の図示しない取付穴も下バーナ本体41の空気供給口42aの位置に合わせた後、下方からボルト46を用いて変形抑制部材44と下バーナ本体41と上バーナ本体40とを組み付ける。また、変形抑制部材44には貫通口44aが形成されているので、下バーナ本体41の底面に変形抑制部材44を取り付けても下バーナ本体41の空気供給口42aが塞がれることがなく、従って、小バーナヘッド22に燃焼用の空気を供給する空気供給通路35b(図3参照)が閉塞されることもない。
【0046】
尚、図5に示したように、本実施例の変形抑制部材44には貫通口44aが形成されているものとしているが、変形抑制部材44を下バーナ本体41の底面に取り付けた時に空気供給口42aを塞がなければ、必ずしも貫通口44aを形成しなくても良い。例えば、図6に例示したように、貫通口44aの代わりに切欠部44cを形成しても良い。
【0047】
図7は、本実施例のコンロバーナ10を縦方向に切断することによって、ガス供給部50の上にバーナ本体30が載置された状態を示した断面図である。ガス供給部50の上にバーナ本体30を載置した状態では、ガス供給部50の挿入部53aの上端に形成された当接面53bが、被挿入面38aの奥に形成された被当接面38bに当接する。そして、バーナ本体30側の被当接面38bにガス供給部50側の当接面53bが当接すると、バーナ本体30に加えて大バーナヘッド21および小バーナヘッド22の重量が被当接面38bを介して当接面53bに掛かることになって、被当接面38bと当接面53bとが密着する。更に、この状態では、小接続管39の外周面も、内管部54の内側に形成された接触面54aと密着する。
【0048】
また、外筒部32の上端に形成された載置面32aには、大バーナヘッド21の外縁部分から下方に向けて立設された筒状壁21aが載置されており、大バーナヘッド21の内縁部分から下方に向けて立設された嵌合壁21cは、嵌合壁21cの外周面が中筒部33の内周面と摺接した状態となっている。このため、外筒部32と小筒部34との間には、下方が底壁部31で塞がれると共に上方が大バーナヘッド21で塞がれることによって大バーナ室36aが形成されている。
【0049】
更に、バーナ本体30の底壁部31と連結部35との間には連結通路35aが形成されており、連結通路35aの一端側は小筒部34の内側に開口しており、連結通路35aの他端側は中筒部33の外側に開口している。このため、大ガス供給管51の内側の大ガス供給通路51a内に噴射された燃料ガスは(図3参照)、大接続管38と小接続管39との間に形成されたガス流入口43から連結通路35aを通過して大バーナ室36aに供給された後、大バーナヘッド21の外周側面に形成された複数の炎口21fから流出する。また、小ガス供給管52の内側の小ガス供給通路52a内に噴射された燃料ガスは(図3参照)、小接続管39を通ってガス流入口39aから小バーナ室36bに供給された後、小バーナヘッド22の外周側面に形成された複数の炎口21fから流出する。このため、図2を用いて前述したように、点火プラグ60で火花を飛ばして炎口21fから流出する燃料ガスを着火させ、その炎で炎口22fから流出する燃料ガスを着火させることによって、燃料ガスの燃焼を開始することが可能となる。ここで、本実施例のコンロバーナ10が、バーナ本体30の底面側に変形抑制部材44が取り付けられているのは、次のような理由による。
【0050】
図8(a)は、変形抑制部材44が取り付けられていない従来のコンロバーナ90を縦方向に切断して得られる断面図である。図7を用いて前述した本実施例のコンロバーナ10に対して、図8のコンロバーナ90は変形抑制部材44を備えない点が異なるが、他の点については同じである。図8に示した従来のコンロバーナ90でも、図7に示した本実施例のコンロバーナ10と同様に、バーナ本体30や、大バーナヘッド21や、小バーナヘッド22の重量が、底壁部31の中央に形成された被当接面38bの位置で、ガス供給部50の当接面53bによって支えられている。ここで、バーナ本体30の小筒部34や小バーナヘッド22については、下方に当接面53bが存在するため、小筒部34や小バーナヘッド22の重量がそのまま当接面53bで支えられる。しかし、バーナ本体30の外筒部32や中筒部33や大バーナヘッド21は、ガス供給部50の当接面53bよりも半径方向外側の離れた位置に存在するため、大バーナヘッド21などの重量は、底壁部31(および一部は連結部35)を介してガス供給部50の当接面53bに伝わることになる。このため、底壁部31(および連結部35)には大きな曲げ荷重が加わっている。
【0051】
また、コンロバーナ10やコンロバーナ90を高火力で長時間に亘って連続して使用していると、大バーナヘッド21や小バーナヘッド22や、バーナ本体30の上バーナ本体40や下バーナ本体41が高温となる。更に、バーナ本体30の上バーナ本体40および下バーナ本体41はアルミ合金で形成されており、アルミ合金は高温になると強度が低下する。このため、底壁部31(および連結部35)に加わる曲げ荷重によって、底壁部31(および連結部35)が撓んでしまう虞がある。図8(b)には、底壁部31および連結部35が撓んだ状態が示されている。尚、図8(b)では、底壁部31や連結部35の撓みによる変形を認識し易くするために、実際よりも変形を誇張して表示している。
【0052】
図8(b)に示されるように、底壁部31や連結部35が撓んでしまうと、外筒部32が傾いたり、外筒部32の位置が低くなったりして、外筒部32の上に大バーナヘッド21を適切に載置することができなくなる。このため、炎口21fの形状が正常な形状から崩れてしまい、燃料ガスを正常に燃焼させることが困難となる。そして、ひとたび、底壁部31や連結部35が撓んでしまうと元の形状に戻すことは困難なので、それ以降は燃料ガスを正常に燃焼させることが困難となる。
【0053】
これに対して、本実施例のコンロバーナ10では、バーナ本体30の底面側に変形抑制部材44が取り付けられており(図5図7参照)、更に、変形抑制部材44の材質は、バーナ本体30の上バーナ本体40や下バーナ本体41を形成する材質(本実施例ではアルミ合金)よりも融点の高い材質(本実施例ではステンレス)で形成されている。このため、コンロバーナ10が高温となって、上バーナ本体40や下バーナ本体41の強度が低下しても、底壁部31や連結部35に加わる曲げ荷重を変形抑制部材44で支えることができるので、底壁部31や連結部35が撓む事態を抑制することができる。その結果、コンロバーナ10を高火力で長時間に亘って連続して使用した場合でも、燃料ガスを正常に燃焼させることが可能となる。
【0054】
B.変形例 :
上述した本実施例のコンロバーナ10には、幾つかの変形例が存在する。以下では、これらの変形例について、本実施例との相違点を中心として簡単に説明する。
【0055】
B-1.第1変形例 :
上述した実施例では、変形抑制部材44は下バーナ本体41の底面側に設けられて、ボルト46を用いて下バーナ本体41および上バーナ本体40と一緒に組付けられるものとして説明した。しかし、図9に示すように、上バーナ本体40と下バーナ本体41との間に変形抑制部材44を挟み込むようにして、ボルト46を用いて下バーナ本体41および上バーナ本体40と一緒に組付けるようにしても良い。このような第1変形例のコンロバーナ10でも、底壁部31や連結部35に掛かる曲げ荷重を変形抑制部材44で受けることができるので、底壁部31や連結部35が変形する事態を抑制することが可能となる。
【0056】
B-2.第2変形例 :
また、上述した実施例および変形例では、バーナヘッド20が大きさの異なる大バーナヘッド21および小バーナヘッド22を備えるものとして説明した。しかし、バーナヘッド20は必ずしも大バーナヘッド21および小バーナヘッド22を備えている必要はなく、単一のバーナヘッド20であっても良い。
【0057】
図10は、単一のバーナヘッド20を備える第2変形例のコンロバーナ70の構造を示す分解組立図である。図示したように、第2変形例のコンロバーナ70では、バーナヘッド20が円盤形状に形成されており、円盤形状の外縁部分からは、下方に向けて筒状壁20aが立設されて、筒状壁20aの下端面には上方に向けて複数本の炎口溝20bが形成された形状となっている。
【0058】
第2変形例のバーナ本体30も、前述した本実施例のバーナ本体30と同様にアルミ合金で形成されている。第2変形例のバーナ本体30では、円板形状の底壁部31の外縁部分から上方に向けて外筒部32が立設されており、外筒部32の上端には、バーナヘッド20の筒状壁20aが載置される載置面32aが形成されている。また、底壁部31の中央には円形のガス流入口43が開口しており、ガス流入口43の下方には、円筒形状の接続部37が下方に向けて突設されている。そして、接続部37の内部には、図4を用いて前述した本実施例の大接続管38と同様に、被挿入面38aおよび被当接面38bが形成されている。更に、バーナ本体30の底面には、円環形状の変形抑制部材44がボルト46で取り付けられる。尚、第2変形例の変形抑制部材44も、前述した本実施例の変形抑制部材44と同様に、アルミ合金よりも融点の高い材質(例えばステンレス)で形成されている。
【0059】
また、第2変形例のガス供給部50は、図3を用いて前述した本実施例のガス供給部50から、小ガス供給管52や内管部54を取り除いた形状となっている。本体部53の上部には、本実施例のガス供給部50と同様に、円柱形状の挿入部53aと、円環形状の当接面53bとが形成されている。
【0060】
ガス供給部50にバーナ本体30を載置する際には、バーナ本体30の接続部37の内側に形成された被挿入面38a(図4参照)内に、本体部53の挿入部53aが挿入されるように位置決めした状態で、接続部37の内側の被当接面38bに挿入部53aの先端の当接面53bが当接するまでバーナ本体30を下ろしていく。こうすることで、バーナ本体30およびバーナヘッド20の重量でバーナ本体30の被当接面38bが本体部53の当接面53bに押し付けられて、バーナ本体30の被当接面38bと本体部53の当接面53bとが密着する。
【0061】
このような第2変形例のコンロバーナ70でも、当接面53bから半径方向外側の離れた位置に外筒部32が存在するため、バーナ本体30の底壁部31には、外筒部32およびバーナヘッド20の重量による大きな曲げ荷重が掛かることになる。しかし、外筒部32の底面側には変形抑制部材44が取り付けられているため、底壁部31の変形を抑制することができる。その結果、コンロバーナ70を高火力で長時間に亘って連続して使用した場合でも、燃料ガスを正常に燃焼させることが可能となる。
【0062】
以上、本実施例および各種の変形例について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…ガスコンロ、 2…コンロ本体、 3…天板、 5…五徳、
6…操作つまみ、 10…コンロバーナ、 20…バーナヘッド、
20a…筒状壁、 20b…炎口溝、 21…大バーナヘッド、
21a…筒状壁、 21b…炎口溝、 21c…嵌合壁、 21f…炎口、
21g…火移り炎口、 22…小バーナヘッド、 22a…筒状壁、
22b…炎口溝、 22f…炎口、 30…バーナ本体、 31…底壁部、
32…外筒部、 32a…載置面、 33…中筒部、 34…小筒部、
34a…載置面、 34b…隔壁部、 35…連結部、 35a…連結通路、
35b…空気供給通路、 35c…連結溝、 36a…大バーナ室、
36b…小バーナ室、 37…接続部、 38…大接続管、
38a…被挿入面、 38b…被当接面、 39…小接続管、
39a…ガス流入口、 40…上バーナ本体、 41…下バーナ本体、
42a…空気供給口、 42b…取付穴、 42c…凸部、
43…ガス流入口、 44…変形抑制部材、 44a…貫通口、
44b…取付穴、 44c…切欠部、 45…貫通穴、 46…ボルト、
50…ガス供給部、 51…大ガス供給管、 51a…大ガス供給通路、
51n…燃料噴射ノズル、 52…小ガス供給管、 52a…小ガス供給通路、
52n…燃料噴射ノズル、 53…本体部、 53a…挿入部、
53b…当接面、 54…内管部、 54a…接触面、 55a…取付部、
55b…取付部、 56…取付ボルト、 60…点火プラグ、
61…火炎センサ、 62…取付ブラケット、 62a…取付穴、
62b…取付穴、 70…コンロバーナ、 90…コンロバーナ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10