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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022242
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240208BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20240208BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K3/18 G
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125674
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
5E343
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC14
5E316CC31
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC37
5E316DD17
5E316DD24
5E316EE31
5E316FF04
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH01
5E316HH08
5E316JJ02
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB02
5E338BB12
5E338BB75
5E338CC01
5E338CD02
5E338EE11
5E343AA02
5E343AA16
5E343AA17
5E343AA18
5E343BB13
5E343BB14
5E343BB16
5E343BB24
5E343BB44
5E343BB71
5E343DD25
5E343DD43
5E343FF16
5E343GG14
(57)【要約】
【課題】絶縁性及び電気的特性に優れた微細な配線を含む配線基板の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板1は、絶縁層33と、絶縁層33の表面33a上に形成されていて複数の配線パターン11を含んでいる導体層24と、を含んでいる。導体層24における絶縁層33と反対側の表面24aは研磨面であり、複数の配線パターン11の最小の配線幅は5μm以下であり、複数の配線パターン11の各配線パターン11同士の最小の間隔は7μm以下であり、複数の配線パターン11それぞれのアスペクト比は2.0以上、4.0以下であり、導体層24は、めっき膜からなる上層2bと、絶縁層33の表面33a上に直接形成されていて上層2bのめっき膜のシード層である下層2aとによって構成されており、導体層24の厚さTに対する下層2aの厚さT1の比率は、2.5%以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層の表面上に形成されていて複数の配線パターンを含んでいる導体層と、
を含んでいる配線基板であって、
前記導体層における前記絶縁層と反対側の表面は研磨面であり、
前記複数の配線パターンの最小の配線幅は5μm以下であり、
前記複数の配線パターンの各配線パターン同士の最小の間隔は7μm以下であり、
前記複数の配線パターンそれぞれのアスペクト比は2.0以上、4.0以下であり、
前記導体層は、めっき膜からなる上層と、前記絶縁層の前記表面上に直接形成されていて前記めっき膜のシード層である下層とによって構成されており、
前記導体層の厚さに対する前記下層の厚さの比率は、2.5%以下である。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記導体層の厚さは、15μm以下である。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記下層の厚さは、0.3μm以下である。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記下層はスパッタ膜からなる。
【請求項5】
請求項4記載の配線基板であって、前記スパッタ膜は、前記絶縁層の前記表面上に銅の合金によって形成されている下部膜と、前記下部膜の上に銅で形成されている上部膜と、を含んでいる。
【請求項6】
請求項5記載の配線基板であって、前記下部膜の幅は、前記上層の幅よりも小さく、前記上部膜の幅よりも大きい。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記導体層と一体的に形成されていて、前記絶縁層を貫通すると共に、前記絶縁層における前記導体層と反対側の導電体と前記導体層とを接続するビア導体を含み、
前記ビア導体のアスペクト比は、0.5以上、1.0以下である。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、前記複数の配線パターンそれぞれの側面に露出する前記下層の側面は溶解面である。
【請求項9】
請求項1記載の配線基板であって、前記研磨面は0.3μm以下の算術平均粗さを有している。
【請求項10】
絶縁層を形成することと、
前記絶縁層の表面上に導体層を形成することと、
を含む配線基板の製造方法であって、
前記導体層を形成することは、
前記絶縁層の表面上に0.03μm以上、0.3μm以下の厚さのシード層を形成することと、
前記シード層を露出させる溝状の複数の開口部を有するめっきレジストを前記シード層上に形成することと、
前記複数の開口部内に前記めっきレジストよりも厚い電解めっき膜を形成することと、
研磨により前記電解めっき膜及び前記めっきレジストの厚さを小さくすることと、
前記めっきレジストを除去することと、
前記シード層における前記電解めっき膜に覆われていない部分を除去することと、
を含み、
前記複数の開口部は、それぞれ、5μm以下の幅、及び、2.0以上のアスペクト比を有すると共に、隣接する開口部との間に7μm以下の間隔を有し、
前記電解めっき膜は、前記研磨において、前記シード層の厚さが、前記シード層の厚さと前記電解めっき膜の厚さとの合計の厚さの2.5%を超えないように研磨される。
【請求項11】
請求項10記載の配線基板の製造方法であって、前記シード層を形成することは、
スパッタリングによって、銅合金からなる下部膜を前記絶縁層の前記表面上に直接形成することと、
スパッタリングによって、銅からなる上部膜を前記下部膜上に形成することと、
を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、絶縁層上に電解めっきにより配線を形成する方法が開示されている。この方法では、シード層上に形成された第1のレジスト膜の開口部へのめっき膜の形成によって配線が形成され、第1のレジスト膜の除去後に、めっき膜を覆う第2のレジスト膜が形成される。めっき膜の上面及び側面が第2のレジスト膜で覆われた状態で、めっき膜に覆われていないシード層の不要部分がウェットエッチングで除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-253147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の配線の形成方法では、微細なピッチで並ぶ複数の配線の形成において狭い間隔で隣り合うめっき膜同士の間に露出するシード層が第2のレジスト膜に覆われてしまって確実に除去されないことがある。その結果、配線間の絶縁性の低下や短絡不良が生じることがある。加えて、低い導体抵抗を有する配線を形成すべく厚いめっき膜が形成される場合には、めっき膜の側面間に跨るような第2のレジスト膜が形成され易く、めっき膜同士の間に露出するシード層が第2のレジスト膜で一層覆われ易いと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、絶縁層と、前記絶縁層の表面上に形成されていて複数の配線パターンを含んでいる導体層と、を含んでいる。そして、前記導体層における前記絶縁層と反対側の表面は研磨面であり、前記複数の配線パターンの最小の配線幅は5μm以下であり、前記複数の配線パターンの各配線パターン同士の最小の間隔は7μm以下であり、前記複数の配線パターンそれぞれのアスペクト比は2.0以上、4.0以下であり、前記導体層は、めっき膜からなる上層と、前記絶縁層の前記表面上に直接形成されていて前記めっき膜のシード層である下層とによって構成されており、前記導体層の厚さに対する前記下層の厚さの比率は、2.5%以下である。
【0006】
本発明の配線基板の製造方法は、絶縁層を形成することと、前記絶縁層の表面上に導体層を形成することと、を含んでいる。そして、前記導体層を形成することは、前記絶縁層の表面上に0.03μm以上、0.3μm以下の厚さのシード層を形成することと、前記シード層を露出させる溝状の複数の開口部を有するめっきレジストを前記シード層上に形成することと、前記複数の開口部内に前記めっきレジストよりも厚い電解めっき膜を形成することと、研磨により前記電解めっき膜及び前記めっきレジストの厚さを小さくすることと、前記めっきレジストを除去することと、前記シード層における前記電解めっき膜に覆われていない部分を除去することと、を含み、前記複数の開口部は、それぞれ、5μm以下の幅、及び、2.0以上のアスペクト比を有すると共に、隣接する開口部との間に7μm以下の間隔を有し、前記電解めっき膜は、前記研磨において、前記シード層の厚さが、前記シード層の厚さと前記電解めっき膜の厚さとの合計の厚さの2.5%を超えないように研磨される。
【0007】
本発明の実施形態によれば、微細なピッチで並んでいて隣接する配線との間に所望の絶縁性を有し、しかも電気的特性に優れた配線を含む配線基板が提供されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図2図1のII部の拡大図。
図3】一実施形態の配線基板に含まれる配線パターンの一例を拡大して示す断面図。
図4A】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図4B】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図4C】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図4D】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図4E】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図4F】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図4G】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図4H】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図4I】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図4J】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図4K】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図1の配線基板を示す断面図。
図5】本発明の他の実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図6A】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図5の配線基板を示す断面図。
図6B】実施形態の配線基板の製造方法で製造中の図5の配線基板を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。図1には、本実施形態の配線基板の一例である配線基板1の断面図が示されている。図2には、図1のII部の拡大図が示されている。なお、配線基板1は実施形態の配線基板の一例に過ぎない。例えば、実施形態の配線基板の積層構造、並びに、実施形態の配線基板に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数は、図1の配線基板1の積層構造、及び配線基板1に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。また、以下の説明で参照される各図面では、開示される実施形態が理解され易いように特定の部分が拡大して描かれていることがあり、大きさや長さに関して、各構成要素が互いの間の正確な比率で描かれていない場合がある。
【0010】
図1に示されるように、配線基板1は、配線基板1の厚さ方向と直交する2つの表面(主面)のうちの一方である第1面1f及び第1面1fの反対面である第2面1sを有しており、配線基板1の厚さ方向に積層された絶縁層と導体層とを含んでいる。図1の例の配線基板1は、絶縁層31~35及び導体層21~25を含んでいる。導体層21~25のうち配線基板1の第2面1s側の最も外側に導体層21が形成されている。導体層21における第2面1s側の表面以外の表面は絶縁層31に覆われている。そして、絶縁層31における第1面1f側の表面上に、第1面1fに向かって順に、導体層22、絶縁層32、導体層23、絶縁層33、導体層24、絶縁層34、導体層25、及び絶縁層35が形成されている。
【0011】
導体層22~25は、それぞれ、絶縁層31~34それぞれにおける配線基板1の第1面1f側の表面に形成されている。導体層22は絶縁層31の表面31a上に、導体層23は絶縁層32の表面32a上に、導体層24は絶縁層33の表面33a上に、そして導体層25は絶縁層34の表面34a上に、それぞれ形成されている。導体層25は、配線基板1における第1面1f側の最も外側の導体層である。配線基板1の第1面1fは、主に、導体層25を覆っている絶縁層35における導体層25と反対方向を向く表面によって構成されている。一方、配線基板1の第2面1sは、導体層21及び絶縁層31それぞれにおける導体層22と反対方向を向く表面によって構成されている。図1の例の配線基板1は、導体層21~25及び絶縁層31~35を逐次形成することによって製造される、所謂ビルドアップ配線基板である。
【0012】
なお、本実施形態の説明では、配線基板1の厚さ方向(各絶縁層及び各導体層の積層方向)において第1面1f側は、「上側」若しくは「上方」、又は単に「上」とも称され、第2面1s側は、「下側」若しくは「下方」、又は単に「下」とも称される。さらに、各導体層及び各絶縁層において、第1面1f側を向く表面は「上面」とも称され、第2面1s側を向く表面は「下面」とも称される。また、実施形態の配線基板1の厚さ方向は「Z方向」とも称される。
【0013】
実施形態の配線基板1は、さらに、絶縁層31~34のいずれかを貫通するビア導体4を含んでいる。図1の配線基板1は、絶縁層31~34それぞれを貫く複数のビア導体4を含んでいる。各ビア導体4は、自身の上側に形成される導体層と一体的に形成されている。各ビア導体4は、各ビア導体4に貫通される絶縁層31~34のいずれかを挟む2つの導電体同士を接続している。例えば、絶縁層33を貫通するビア導体4は、導体層24と一体的に形成されていて、導電体である導体層24と、絶縁層33における導体層24と反対側に位置する導電体(図1の例において導体層23)とを接続している。同様に、絶縁層31を貫通するビア導体4は導体層21と導体層22とを接続し、絶縁層32を貫通するビア導体4は導体層22と導体層23とを接続し、絶縁層34を貫通するビア導体4は導体層24と導体層25とを接続している。各ビア導体4は、配線基板1の第1面1f側から第2面1s側に向かって幅が細くなるテーパー形状を有している。なおビア導体4の「幅」は、ビア導体4におけるZ方向と直交する断面(又は端面)の外周上の2点間の最長距離である。
【0014】
導体層21~25は、それぞれ、所定の導体パターンを含んでいる。図1の例において導体層25は、配線基板1の使用時に配線基板1に搭載される部品(図1の例において第1部品E1及び第2部品E2)と接続される複数の導体パッド71及び複数の導体パッド72を含んでいる。配線基板1に搭載される第1部品E1及び第2部品E2は、例えば、マイコンやメモリなどの半導体集積回路装置のような電子部品であり得る。
【0015】
図1の配線基板1は、さらに、導体パッド71又は導体パッド72の表面上に形成されている複数の導体ポスト5を含んでいる。導体ポスト5は、絶縁層35を貫通して、配線基板1の第1面1fを構成する絶縁層35の上面から突出している。絶縁層35の上面には、導体層は形成されておらず、導体ポスト5以外の導電体は存在しない。導体ポスト5によって、配線基板1に搭載される部品(図1の例では第1部品E1及び第2部品E2)と導体パッド71又は導体パッド72とが接続される。導体ポスト5を介して第1部品E1及び第2部品E2が配線基板1に接続されるので、各部品の搭載が容易になることや、導体パッド71同士の短絡や導体パッド72同士の短絡が防がれることがある。
【0016】
導体ポスト5における導体層25と反対側の端面には、導体ポスト5の端面の保護層として、及び/又は、第1部品E1若しくは第2部品E2と導体ポスト5との接合層として、機能し得る機能層6が形成されている。機能層6は、例えばニッケル、すず、パラジウム、又は金などのめっき膜によって形成されている。
【0017】
一方、配線基板1の第2面1sに下面を露出させている導体層21は、導体パッド73を含んでいる。導体パッド73は、配線基板1の外部の導電体(図示せず)、例えば、電子機器のマザーボードのような配線基板1以外の配線基板のパッド、又は任意の導電性の機構部品などに接続される。図1の例では、導体層25の導体パッド71及び導体パッド72と導体層21の導体パッド73とが、積層されている複数のビア導体4(所謂スタックビア導体)を介して接続されている。そのため、配線基板1の使用時には、第1部品E1及び第2部品E2と、例えばマザーボードのような導体パッド73と接続される部材とが短い経路で接続され、意図通りの電気的特性が得られ易いことがある。
【0018】
導体層25は、導体パッド71及び導体パッド72以外にも、導体パターン12及び複数の配線パターン11を含んでいる。図1に示されるように導体パターン12は、導体パッド71と導体パッド72とを接続している。配線パターン11は、図示されていないが、導体層21~25のいずれかが含む任意の導体パッド同士を接続して電気信号を伝播させる信号線路であり得る。
【0019】
導体層25以外の各導体層も任意の所望の導体パターンを含み得る。図1の例において導体層22~24も、それぞれ、複数の配線パターン11を含み、導体層23は、さらに導体パターン12を含んでいる。導体層23が含む導体パターン12の両端は、それぞれ、ビア導体4を介して1つの導体パッド71及び1つの導体パッド72に接続されている。導体層22~24それぞれが含む複数の配線パターン11は、それぞれ、導体層25が含む配線パターン11と同様に、任意の導体パッド同士を接続して電気信号を伝播させる信号線路であり得る。
【0020】
実施形態の配線基板では、導体層21~25のような、実施形態の配線基板が含む1以上の導体層のうちの少なくとも1つは、その導体層が表面に形成されている絶縁層と反対側の表面として、研磨で仕上げられた状態を有する研磨面を有する。例えば、図1の例において、導体層24における絶縁層33と反対側の表面である表面24aは研磨面であり得る。図1の例では、導体層22~25の全部において、配線基板1の第1面1f側の表面は研磨面である。すなわち、導体層24の表面24aに加えて、導体層22における絶縁層31と反対側の表面22a、導体層23における絶縁層32と反対側の表面23a、及び、導体層25おける絶縁層34と反対側の表面25aは研磨面である。
【0021】
そのため、表面22a~25aは、例えば、金属の析出によって形成されたままのめっき膜の面粗度よりも低い面粗度を有し得る。そのため、研磨面を含む導体層22~25に含まれる配線パターン11において、高周波信号の伝送時の表皮効果による実質的な導体抵抗の増大に伴う信号伝送特性の低下や電圧降下の増大が生じ難いと考えられる。例えば、導体層22~25が第1面1f側の表面として有する研磨面は、0.3μm以下の算術平均粗さを有し得る。そのような面粗度が得られていると、伝送特性に関する上記のような好ましい効果が得られることがある。なお、図1の配線基板1において、さらに、導体層21における配線基板1の第1面1f側の表面21aも研磨面であってもよい。
【0022】
また、研磨面である表面21a~25aは、表面21a~25aそれぞれを有する各導体層全体に渡って均一な高さ(下側の絶縁層の上面からの距離、例えば絶縁層33の表面33aと導体層24の表面24aとの間の距離)を有し易い。そのため、各導体層上、例えば導体層24上に形成されるビア導体4の高さも揃い易く、さらにその上に形成される導体ポスト5の高さも揃い易い。結果として、第1部品E1及び/又は第2部品E2が安定して配線基板1に搭載されると考えられる。また、表面22a~25aが研磨面であるため、配線パターン11の厚さが、その全長に渡って略一定になり易く、そのため配線パターン11において特性インピーダンスに変動が生じ難い。そのため、配線パターン11における反射損失が抑制されることがある。
【0023】
図2に示されるように、配線基板1の各導体層が含む配線パターン11は、配線幅W1、及び隣接する配線パターン11との間に間隔Gを有している。図2図1のII部の拡大図を示しているので、導体層24の配線パターン11、導体層25、及び絶縁層34を貫通するビア導体4などが拡大して示されている。本実施形態の配線基板1が含む導体層に含まれる複数の配線パターン11の配線幅W1の最小値は1μm以上、5μm以下であり、配線パターン11同士の間隔Gの最小値は3μm以上、7μm以下である。すなわち、実施形態の配線基板1に含まれる導体層22~25などの導体層のいずれか1つ以上は、5μm以下の配線幅を有し、且つ、隣接する配線パターンとの間に7μm以下の間隔を有する配線パターンを含んでいる。図1及び図2の例において、導体層22~25の一部又は全部が、1μm以上、5μm以下の配線幅W1を有し、且つ、隣接する配線パターン11との間に3μm以上、7μm以下の間隔Gを有する配線パターン11を含み得る。
【0024】
本実施形態では、導体層22~25のような導体層のいずれか1つ以上が、このように微細な最小配線幅及び微細な最小配線間隔を有する配線パターン、すなわち、微細なピッチで並ぶ配線パターンを含んでいる。そのため、実施形態の配線基板は、従来の配線基板と比べて小さく実現され得ることがある。また、部品と接続される導体パッド間に、このように微細な配線幅及び配線間隔の配線パターンを有し得る実施形態の配線基板の設計では、2つの部品の配置に関する自由度が高いことがある。
【0025】
加えて、本実施形態では、配線パターン11のように微細な配線幅を有し得る配線パターンは、配線幅W1よりも大きな厚さTを有している。換言すると、本実施形態において各導体層に含まれる配線パターン11のような配線パターンは、1を超える比較的大きなアスペクト比(配線パターンの厚さT/配線パターンの幅W1)を有している。具体的には、本実施形態の配線基板に含まれる配線パターンのアスペクト比は2.0以上、4.0以下である。図1の例において、導体層22~25のうちの一部又は全部が、2.0以上、4.0以下のアスペクト比を有する配線パターン11を含み得る。
【0026】
このような大きなアスペクト比を有する配線パターンは、小さな配線幅の割に低い導体抵抗を有し得る。そのため、図1の例の導体パッド71のような電子部品と接続される導体パッド同士を接続する配線パターン(例えば配線パターン11)の挿入損失が低いことがある。そのため、第1部品E1と第2部品E2のような2つの電子部品の間で、少ない伝送損失で、すなわち良好な伝送効率で、信号を伝播させ得ることがある。また、2つの電子部品を接続する信号線路において所望の特性インピーダンスが得られ易く、そのため、さらに挿入損失を低減し得ることがある。
【0027】
図1及び図2の例において、各導体層に含まれる配線パターン11の厚さT、すなわち導体層22~25それぞれの厚さTは、例えば、5μm以上、15μm以下であり得る。このような厚さが得られていると、実施形態の配線基板の厚さを顕著に増大させずに、前述したような挿入損失の低減などの効果が得られることがある。
【0028】
比較的微細なピッチで配置され得る配線パターン11を含む本実施形態の配線基板1では、小さなピッチで並ぶビア導体4が好ましいことがある。すなわち、小さな幅を有し、それに伴い大きなアスペクト比を有するビア導体4が好ましいことがある。実施形態の配線基板1では、ビア導体4のアスペクト比は、例えば、0.5以上、1.0以下であり得る。微細なピッチで並ぶ配線パターン11のような配線パターンが、その配線パターンを含む導体層と異なる導体層の配線パターンと、導体層間の接続部においても比較的微細なピッチを保って接続され得ることがある。なお、ビア導体4のアスペクト比は、(図2に示される間隔D)/(図2に示される幅W2)である。ここで間隔Dは、ビア導体4によって接続される2つの導体層のZ方向における間隔であり、W2は、第1面1f側(図1参照)の導体層との界面におけるビア導体4の幅である。
【0029】
絶縁層31~34は、2つの導体層の間に介在する層間絶縁層であり、それぞれ、絶縁性樹脂を用いて形成され得る。絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、又はフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂、及び、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン(PTFE)樹脂、ポリエステル(PE)樹脂、及び変性ポリイミド(MPI)樹脂のような熱可塑性樹脂が例示される。絶縁層31~34は、シリカ、アルミナなどの無機フィラー(図示せず)を含み得る。絶縁層31~34は、図示されないガラス繊維などの補強材(芯材)を含んでいてもよい。しかし、補強材を含まない方が、微細なピッチで並ぶ配線パターン11の形成の容易性の面で、好ましいことがある。
【0030】
絶縁層31~34が無機フィラーを含む場合、含まれる無機フィラーとしては、粒径(無機フィラーの表面上の2点間の最長距離)の小さな無機フィラーが好ましいと考えられる。例えば、絶縁層31~34は、最大でも1μm以下の粒径を有する複数の無機フィラーを含み得る。各絶縁層に含まれる無機フィラーの粒径が小さいと、例えば、微細なピッチで並ぶ配線パターン11同士の間であっても、無機フィラーに沿ったリーク経路などによる短絡不良が生じ難いことがある。また、微小なビア導体4の形成が容易なことがある。
【0031】
さらに、各導体層が含む配線パターンにおいて良好な高周波信号の伝送特性を得るべく、低い誘電率及び低い誘電損失を有している絶縁層31~34が好ましいと考えられる。例えば、5.8GHzの周波数において絶縁層31~34それぞれの比誘電率は、3.0以上、4.0以下程度であり得、誘電正接は、0.001以上、0.005以下程度であり得る。
【0032】
導体層25を覆う絶縁層35も、絶縁層31~34と同様の絶縁性樹脂を用いて形成され得る。しかし、導体層25を覆う絶縁層35は、ソルダーレジストとして機能する絶縁層であってもよい。その場合、絶縁層35は、絶縁層31~34と主成分又は添加剤が異なる材料で形成されていてもよい。例えば絶縁層35は、感光剤を含むエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを用いて形成されていてもよい。
【0033】
導体層21~25、ビア導体4、及び導体ポスト5は、例えば銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成されている。導体層21は、例えば電解めっき膜からなる1層の金属膜で形成されている。導体層21は絶縁層31に埋め込まれて第2面1s側の表面だけを露出させている。
【0034】
導体層22~25、ビア導体4及び導体ポスト5は、図1では、簡略化されて1つの層だけを有するように描かれているが、拡大図である図2に示される導体層24及び導体層25、並びにビア導体4のように、めっきもしくはスパッタリングなどでそれぞれ形成される2つ以上の金属膜を含む多層構造を有し得る。具体的には、実施形態の配線基板に含まれる導体層22~25のような各導体層、及びビア導体4は、下層2aと、下層2a上に形成されている上層2bとによって構成されている。従って各導体層が含む配線パターン11も、下層2aと上層2bとによって構成されている。
【0035】
上層2bは、全面的に、下層2aの上に、すなわち、下層2aに対して配線基板1の第1面1f(図1参照)側に形成されている。上層2bにおける第1面1f側の表面が、前述した導体層22~25それぞれが有し得る研磨面である。下層2aは、上層2bと、上層2bの直ぐ下側の絶縁層との間(例えば導体層24を構成する上層2bと絶縁層33との間)に介在している。下層2aは、絶縁層33の表面33aや絶縁層34の表面34aなどのような、各絶縁層における第1面1f側の表面上に直接形成されている。
【0036】
下層2aは、任意の方法で形成される金属膜からなる。下層2aは、例えばスパッタリングで形成されるスパッタ膜であり得、無電解めっきで形成される無電解めっき膜であってもよい。一方、上層2bは、電解めっきによって形成されるめっき膜からなる。下層2aは、この電解めっきによって形成される上層2bのシード層である。すなわち、下層2aは、電解めっきによる上層2bの形成時のめっき電流を通す電極であって、めっき金属の析出を促し得るシード層(又は給電層)として機能する金属膜である。
【0037】
そして本実施形態の配線基板において、各導体層は、各導体層の厚さに対して十分に小さい厚さの下層2aを有している。具体的には、実施形態の配線基板1が含む導体層22~25それぞれの厚さTに対する下層2aの厚さT1の比率は、0.2%以上、2.5%以下である。相対的に薄い下層2aの利点が以下に説明される。
【0038】
下層2aをシード層(又は給電層)として用いる上層2bの形成を含む導体層24などの各導体層の形成では、後述されるように、先ず、絶縁層33の表面33aなどの各絶縁層の表面の全面に、シード層として機能する下層2aが形成される。電解めっきを含むパターンめっきによる上層2bの形成後、各絶縁層の表面の全面に形成された下層2aのうちの上層2bに覆われていない部分(不要部分)がクイックエッチングなどで除去される。この下層2aの不要部分の除去の際、下層2aが厚いと、所定のエッチング時間で不要部分が十分に除去されないことがある。その結果、微細な配線間隔で形成され得る配線パターン11同士の間で短絡不良が生じたり、配線パターン11同士の間の絶縁性が低下したりすることがある。また、短絡や絶縁性の低下を防ぐべく過剰な時間エッチングが行われると、上層2bに対するエッチングが進行して、上層2bの幅や高さが減少し、意図通りの電気的特性が得られないことがある。
【0039】
しかし、本実施形態の配線基板に含まれる各導体層を構成する下層2aは、各導体層の厚さに対して前述したような小さな比率の厚さを有している。そのため、下層2aの不要部分が、エッチングなどによって短い時間で十分に除去され得る。従って、微細な配線間隔で形成され得る配線パターン11同士の間で短絡不良や絶縁性の低下が生じ難い。また、下層2aの除去の為に過剰なエッチング時間が求められないので、上層2bの幅や高さの減少も生じ難い。加えて、下層2aが、各導体層の厚さに対して前述したような小さな比率の厚さを有している本実施形態では、上層2bが従来よりも厚いことがある。そのため、下層2aの不要部分の除去において、上層2bが多少エッチングされてその幅や厚さが幾らか減少しても、各導体層の導体抵抗が、実質的に問題が生じるほど低下し難く、意図通りの電気的特性が維持され易いことがある。
【0040】
下層2aが、導体層22~25などの各導体層の厚さTに対して、前述した2.5%以下の比率の厚さT1を有していると、このような短絡防止や所望の電気的特性の確保などの効果が得られることがある。また、下層2aが、各導体層の厚さTに対して、前述した0.2%以上の比率の厚さを有していると、上層2bの形成において、求められる上層2bの厚さに対して十分にめっき電流が供給され、厚い上層2bが比較的短時間で形成され得ることがある。
【0041】
絶対値としての下層2aの厚さT1は、例えば、0.03μm以上、0.3μm以下である。下層2aの厚さT1が0.3μm以下であると、前述した短絡防止や所望の電気的特性の確保などの効果が得られることがある。また、厚さT1が0.03μm以上であると、上層2bの形成において、給電層である下層2a内で過大な電圧降下が生じ難く、よって上層2bの厚さのむらが小さいことがある。
【0042】
前述したように、下層2aは、スパッタ膜などの任意の金属膜であり得る。スパッタ膜は、薄く均一な厚さに形成され易いので、各導体層に対して前述した厚さの比率を有する下層2aとして好ましいことがある。また、導体層22~25それぞれの上面の平坦性が高いことがある。加えて、下層2aがスパッタ膜からなる場合、導体層24や導体層25などの各導体層と絶縁層33や絶縁層34などの各絶縁層との強固な密着性が得られていることがある。さらに、スパッタ膜はそのように各絶縁層と強固に密着し得るので、所謂アンカー効果を得るべく各絶縁層がその表面に大きな凹凸を有しなくてもいいことがある。そのため、前述した下層2aの不要部分の除去が一層速やか且つ十分に行われ、各導体層において、短絡防止や所望の電気的特性の確保、並びに配線パターンの幅や厚さの低下抑制などの効果が、より顕著に得られることがある。
【0043】
下層2aがスパッタ膜である場合、図2に示されるように、そのスパッタ膜(下層2a)は、下部膜2aaと、下部膜2aaの上に形成されている上部膜2abとを含み得る。下部膜2aaは、絶縁層33の表面33aや絶縁層34の表面34aのような、各絶縁層における配線基板1の第1面1f(図1参照)側の表面上に直接形成されている。下部膜2aaは、例えば、チタン、ニッケル、クロム、アルミニウム、又は、これらの金属若しくはこれら以外の任意の金属と銅との合金によって形成されているスパッタ膜であり得る。一方、上部膜2abは、銅で形成されているスパッタ膜であり得る。なお「銅」は、99.95%以上の純度を有する銅を意味する。下層2aが絶縁層33などの各絶縁層との界面に銅合金などからなる下部膜2aaを有していると、下部膜2aaを介して、銅からなる上部膜2abと各絶縁層とが強固に密着し易い。従って各導体層と各絶縁層との間に高い密着強度が得られていることがある。
【0044】
図3には、本実施形態の配線基板に含まれる配線パターン11の一例が、図2よりもさらに拡大して示されている。図3に例示の配線パターン11は、図1に示される絶縁層31~34のいずれかであり得る絶縁層30の表面30a上に形成されている。図3に例示の配線パターン11も、下層2a及び上層2bによって構成され、下層2aは下部膜2aaと上部膜2abとを含んでいる。下部膜2aaの厚さT11は、例えば0.01μm以上、0.3μm以下程度であり、上部膜2abの厚さT12は、例えば0.02μm以上、0.3μm以下程度であり得る。
【0045】
図3に例示の配線パターン11は、下層2aと上層2bとの境界部分にくびれFを有している。すなわち、下層2aと上層2bとの境界部分は、上層2bが構成する部分の幅W1よりも小さい最小の幅W3を有している。下層2aは、上部膜2abにおけるZ方向の上端部分に最小の幅W3を有している。すなわち、上部膜2abの幅は、上層2b側から下部膜2aaに近付くに連れて広がっている。その上部膜2abと接する下部膜2aaの幅W4は、上部膜2abから絶縁層30に至る全ての部分で、くびれFの部分を除く上層2bの幅W1(例えば下層2a側と反対側の端部である上端部での幅)よりも小さく、下層2aの最小の幅W3及び上部膜2abの幅よりも大きい。下部膜2aaの幅は、上部膜2ab側から絶縁層30側に向かって拡大していて、下部膜2aaは、図3に示される断面においてフィレット状の形状を有している。
【0046】
配線パターン11の側面、特に配線パターン11の側面に露出する下層2aの側面2acは溶解面であり得る。すなわち、側面2acは、例えばめっきによって析出した金属がそのままの状態で露出している面ではなく、ウェットエッチングやドライエッチングなどによって溶解した部分が除去された後に、その除去によって露出する、溶解部分の消失後の状態を露呈する面である。側面2acが溶解面であって、その結果図3の例のように配線パターン11がくびれていると、そのくびれている部分(くびれF)に、絶縁層34(図2参照)のような配線パターン11を覆う絶縁層が入り込むことがある。また、配線パターン11と絶縁層30との接触面積は、くびれFでの断面積よりも大きい。そのため、配線パターン11と絶縁層30のような周囲の絶縁層との間で良好な密着性が得られることがある。加えて、配線パターン11を構成する下部膜2aaの側面と絶縁層30の表面30aとの接触角が鈍角であるため、配線パターン11と絶縁層30との界面の外周部への応力集中が緩和されることがある。従って、配線パターン11と絶縁層30との間の剥離が生じ難いと考えられる。
【0047】
つぎに、図4A図4Kを参照して、図1に例示の配線基板1が製造される場合を例に、一実施形態の配線基板の製造方法の一例が説明される。なお、以下では、図4Aに示されるような支持体8上で配線基板1を製造する方法が説明されるが、本実施形態の配線基板の製造方法は、支持体8を用いる方法に限定されない。また、先に為された配線基板1の各構成要素の材料の説明と異なる説明がない限り、各構成要素は、各構成要素について先に説明された材料のいずれかを用いて形成され得る。
【0048】
図4Aに示されるように、支持体8が用意され、その一面8aに導体層21が形成される。図4Aに示される例では、基材81と、第1金属膜層82と、剥離層83と、第2金属膜層84と、を含む支持体8が用意されている。基材81は、例えば、適切な剛性を有するガラス、シリコンなどの無機素材、又は、エポキシ樹脂などの有機素材からなる。第1及び第2の金属膜層82、84は、例えば、銅などの任意の金属で構成され得る。剥離層83は、第1金属膜層82と第2金属膜層84同士を、所定の処理で意図的に付着させ、且つその後に分離させ得る任意の材料、例えば、熱可塑性や感光性の接着剤などで形成され得る。
【0049】
導体層21は、例えば、電解めっきを用いるパターンめっきによって形成される。支持体8の一面8aを構成する第2金属膜層84上に、導体層21に含まれるべき導体パッド73などの導体パターンの形成位置に応じた開口を有するめっきレジスト(図示せず)が設けられる。そして、第2金属膜層84を給電層として用いる電解めっきによって、めっきレジストの開口内に銅などの金属が析出され、その析出される金属からなる導体パターンを含む導体層21が形成される。その後めっきレジストが除去される。なお、めっきレジストの除去の前に導体層21の上面(支持体8と反対側の表面)が、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)などの任意の方法により研磨されてもよい。研磨の際には、除去される前のめっきレジストの上面付近が、導体層21の上面と共に研磨されてもよい。
【0050】
図4Bに示されるように、支持体8の一面8a及び導体層21上に、絶縁層31、導体層22、絶縁層32、及び導体層23が順に形成される。これら絶縁層及び導体層は、以下に説明される絶縁層33及び導体層24の形成方法と同様の方法で形成される。なお、図4B、及び、以下で参照される図4C図4Kでは、支持体8の一面8a側と反対側の描写は省略されている。しかし、支持体8の一面8a側と反対側においても、図4A及び図4Bに示される工程で、導体層21~23、並びに絶縁層31及び絶縁層32が形成され、さらに、図4C図4Kを参照して説明される処理や各構成要素の形成が行われてもよい。
【0051】
図4C図4Hに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、絶縁層33を形成することと、絶縁層33の表面33a上に導体層24を形成することと、を含んでいる。まず、図4Cに示されるように、絶縁層32及び導体層23の上に絶縁層33が形成される。絶縁層33は、例えば、フィルム状のエポキシ樹脂を絶縁層32及び導体層23上に積層し、熱圧着することによって形成される。前述したように、絶縁層33などの各絶縁層は、エポキシ樹脂以外にも、BT樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、又はフッ素樹脂やLCPなどの熱可塑性樹脂を用いて形成され得る。
【0052】
絶縁層33には、ビア導体4(図1参照)の形成位置に、炭酸ガスレーザー光などの照射によって貫通孔4aが形成される。貫通孔4aの形成後、好ましくは、貫通孔4a内に残る樹脂屑(スミア)を除去するデスミア処理が行われる。デスミア処理は、過マンガン酸塩溶液などの薬液への浸漬を含むウェット処理であってもよいが、ドライ処理であってもよい。例えば、アルゴン、四フッ化メタン、四フッ化メタンと酸素との混合気、又は、六フッ化硫黄などのプラズマガスを用いるプラズマ処理が、ドライ処理として行われてもよい。プラズマ処理によるデスミア処理では、ウェット処理と比べて絶縁層33の表面33aの浸食が抑制されることがある。
【0053】
そして、貫通孔4a内及び絶縁層33の表面33aの全面に、例えば、スパッタリングや無電解めっきによって、例えば銅やニッケルなどからなるシード層20が形成される。スパッタリングでシード層20を形成することによって、絶縁層33との間で高い密着性を示すシード層20を形成し得ることがある。シード層20は、後工程で形成される電解めっき膜2bb(図4F参照)の形成時の給電層として機能する。
【0054】
本実施形態の配線基板の製造方法では、0.03μm以上、0.3μm以下の厚さのシード層20が形成される。この範囲の厚さを有するシード層20が形成されると、絶縁層33上に形成される導体層における短絡防止や所望の電気的特性の確保などの効果が得られることがある。また、後工程で厚さのむらの少ない電解めっき膜2bbを形成し得ることがある。シード層20の一部は、導体層24の下層2a(図2参照)となり得る。
【0055】
図4Dに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法において、シード層20を形成することは、下部膜20a及び上部膜20bをそれぞれスパッタリングによって形成すること含み得る。なお、図4D、及び以下で参照される図4E図4Hには、これら各図面を参照して説明される工程を経た後の図4Cに示されるIVD部に相当する部分の状態が拡大して示されている。下部膜20aは、絶縁層33の表面33a上及び貫通孔4a内に露出する絶縁層33の内壁面上に直接形成されている。そして、その下部膜20aの上に上部膜20bが形成されている。
【0056】
下部膜20a及び上部膜20bは、任意の材料で形成され得る。例えば、下部膜20aとして、チタン、ニッケル、クロム、アルミニウム、又は、これらの金属若しくはこれら以外の任意の金属と銅との合金からなるスパッタ膜が形成されてもよい。一方、上部膜20bとしては、銅からなるスパッタ膜が形成されてもよい。上部膜20bに先行して下部膜20aを絶縁層33の表面33a上に形成することによって、絶縁層33と強固に接合する上部膜20bを形成し得ることがある。下部膜20aの一部及び上部膜20bの一部は、それぞれ、絶縁層33上に形成される導体層の下層2aの下部膜2aa及び上部膜2ab(図2参照)となり得る。
【0057】
図4Eに示されるように、シード層20上に、シード層20を露出させる溝状の複数の開口部R11を有するめっきレジストR1が形成される。図4Eの例では、シード層20に覆われた貫通孔4aを露出させる開口部R12をさらに含むめっきレジストR1が形成されている。めっきレジストR1は、例えばシード層20上へのドライフィルムレジストのラミネートにより形成され、開口部R11、R12は、例えばフォトリソグラフィ技術により形成される。開口部R11は、絶縁層33上に形成される導体層24(図4H参照)が含むべき導体パターンに対応するパターンで形成される。
【0058】
実施形態の配線基板の製造方法において図4Eの工程で形成される複数の開口部R11は、それぞれ、5μm以下の幅、及び、2.0以上のアスペクト比((溝状の開口部R11の深さ)/(溝状の開口部R11の幅))を有している。さらに、複数の開口部R11は、それぞれ、隣接する開口部R11との間に7μm以下の間隔を有している。少なくともこのような開口部R11をめっきレジストR1に設けることによって、前述されたような最小の配線幅、最小の配線間隔、及びアスペクト比を有する配線パターン11(図2参照)を形成することができる。好ましくは、形成される導体層24の厚さを超える厚さ(開口部R11の深さ)を有するめっきレジストR1が形成される。
【0059】
図4Fに示されるように、めっきレジストR1の複数の開口部R11内、及び開口部R12内に、シード層20を給電層として用いる電解めっきによって電解めっき膜2bbが形成される。本実施形態の方法では、めっきレジストR1よりも厚い電解めっき膜2bbが形成される。例えば銅やニッケルなどからなる電解めっき膜2bbが形成される。電解めっき膜2bbの一部は、絶縁層33上に形成される導体層の上層2b(図2参照)となり得る。絶縁層33の貫通孔4a内にはビア導体4が形成される。電解めっき膜2bbは、図4Fの例のように、開口部R11、R12内を全て充填し、さらにめっきレジストR1の上面よりも上側に向かって突出する湾曲した上面を有するように形成されてもよい。所望の厚さ及びアスペクト比を有する導体パターンをより確実に形成し得ることがある。
【0060】
めっきレジストR1の上面からの突出部分を含む電解めっき膜2bbの上面側の一部が、図4Gに示されるように、研磨によって除去される。本実施形態の配線基板の製造方法では、めっきレジストR1の上面側の一部も電解めっき膜2bbの一部と共に研磨によって除去される。すなわち、研磨によって、電解めっき膜2bb及びめっきレジストR1の厚さが小さくされる。めっきレジストR1と共に電解めっき膜2bbが研磨されるので、電解めっき膜2bbの研磨及びその一部の除去が容易なことがある。金属膜2bb及びめっきレジストR1の研磨は、例えばCMPなどの任意の方法により行われる。研磨の結果、金属膜2bbの上面は、0.3μm以下の算術平均粗さを有し得る。
【0061】
電解めっき膜2bbは、シード層20との合計の厚さが、絶縁層33上に形成される導体層24(図4H参照)に求められる厚さに達するまで、例えば、電解めっき膜2bbとシード層20との合計の厚さが15μm以下となるまで、研磨される。しかし、本実施形態の配線基板の製造方法では、この研磨において電解めっき膜2bbは、シード層20の厚さが、シード層20の厚さと電解めっき膜2bbの厚さとの合計の厚さの2.5%を超えないように研磨される。前述したように、0.03μm以上、0.3μm以下の厚さのシード層20が形成されているので、電解めっき膜2bbは、少なくとも4.875μm以上の厚さを維持するように研磨される。このような厚さで電解めっき膜2bbが残るので、形成される導体層24において、所望の低い導体抵抗を有し、その結果、伝送損失の少ない良好な信号伝送特性を有する配線パターンが得られることがある。
【0062】
電解めっき膜2bbの研磨後、めっきレジストR1が除去される。さらに、シード層20における電解めっき膜2bbに覆われていない部分が、例えばクイックエッチングなどによって除去される。
【0063】
その結果、図4Hに示されるように、配線パターン11などの互いに分離された所定の導体パターンを含む導体層24が得られる。このように、本実施形態の配線基板の製造方法において導体層24のような各導体層を形成することは、絶縁層33などの各絶縁層の表面上に0.03μm以上、0.3μm以下の厚さのシード層20を形成することと(図4D参照)、シード層20を露出させる溝状の複数の開口部R11を有するめっきレジストR1をシード層20上に形成することと(図4E参照)、を含んでいる。各導体層を形成することは、さらに、複数の開口部R11内にめっきレジストR1よりも厚い電解めっき膜2bbを形成することと(図4F参照)、研磨により電解めっき膜2bb及びめっきレジストR1の厚さを小さくすることと(図4G参照)、めっきレジストR1を除去することと、シード層20における電解めっき膜2bbに覆われていない部分を除去することと、を含んでいる。
【0064】
図4Iに示されるように、絶縁層33及び導体層24の上に、絶縁層34及び導体層25が形成される。絶縁層34は、例えば絶縁層33の形成方法と同様の方法で形成され得る。また、導体層25は、例えば導体層24の形成方法と同様の方法で形成され得る。
【0065】
図4Jに示されるように、導体層25及び絶縁層34の上に絶縁層35が形成され、絶縁層35を貫く導体ポスト5が形成される。絶縁層35は、例えば、絶縁層33の形成と同様にフィルム状のエポキシ樹脂の熱圧着によって形成される。絶縁層35は、感光剤を含むエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを用いたスプレーイングやカーテンコーティングなどの方法で形成されてもよい。導体ポスト5は、導体層24の形成方法として説明された電解めっき後の研磨工程を含む方法、又は、例えばセミアディティブ法などの一般的な導体層の形成方法によって形成され得る。図4Jの例では、電解めっきによる導体ポスト5の形成に続いて、その電解めっきに用いられた給電層を用いる電解めっきによって、導体ポスト5の上に機能層6が形成されている。例えば、ニッケル、すず、パラジウム、又は金などからなる1層又は2層以上の金属膜が、機能層6として形成される。
【0066】
図4Kに示されるように、支持体8が除去される。例えば、加熱や紫外線の照射などによって、支持体8に備えられている剥離層83が粘着性を喪失したり軟化したりしている状態で、基材81及び第1金属膜層82が、第2金属膜層84から引き離される。その後、第2金属膜層84が、エッチングなどによって除去される。導体層21及び絶縁層31における導体層22と反対側の表面が露出する。以上の工程を経ることによって図1の例の配線基板1が完成する。
【0067】
<第2実施形態>
図5には、図1などに一例が示される実施形態と異なる他の実施形態の配線基板の一例である配線基板1aが示されている。図5に示されるように、配線基板1aは、コア基板9と、コア基板9の第1面9a及びその反対側の第2面9bそれぞれの上に積層されている第1ビルドアップ部91と、を含んでいる。配線基板1aは、コア基板9の第1面9a側の第1ビルドアップ部91上に積層されている第2ビルドアップ部92と、第2面9b側の第1ビルドアップ部91上に積層されている第3ビルドアップ部93と、を含んでいる。コア基板9は、例えばガラスエポキシなどの絶縁性材料からなる絶縁層36、及び絶縁層36の両面それぞれに例えば銅などで形成されている導体層26によって構成されている。2つの導体層26は、例えば銅などで形成されていて絶縁層36を貫くスルーホール導体9cによって互いに接続されている。
【0068】
なお、配線基板1aが一例として示される本実施形態の説明では、配線基板1aの厚さ方向において、絶縁層36から遠い側は、「外側」若しくは「上側」、「上方」、又は単に「上」とも称され、絶縁層36に近い側は、「内側」若しくは「下側」、「下方」、又は単に「下」とも称される。さらに、各導体層及び各絶縁層において、絶縁層36と反対側を向く表面は「上面」とも称され、絶縁層36側を向く表面は「下面」とも称される。配線基板1aの厚さ方向は「Z方向」とも称される。
【0069】
2つの第1ビルドアップ部91は、それぞれ、積層された複数の絶縁層37及び複数の導体層27によって構成されている。2つの第1ビルドアップ部91それぞれにおいて、各絶縁層37と各導体層27とが交互に積層されている。第1ビルドアップ部91は、各絶縁層37を挟む2つの導体層27同士を接続するビア導体41を含んでいる。導体層27は、配線パターン13のような任意の導体パターンを含んでいる。
【0070】
一方、第2ビルドアップ部92は、図1を参照して説明された実施形態に含まれる絶縁層31~35及び導体層22~25によって構成され、ビア導体4を含んでいる。第2ビルドアップ部92には、図1を参照して説明された、機能層6を備える導体ポスト5が形成されている。なお、図1を参照して既に説明されたこれら各構成要素についての繰り返しとなる説明は省略される。
【0071】
図5の例の配線基板1aにおいて第3ビルドアップ部93は、積層された複数の絶縁層38、最も外側の絶縁層38上に形成されていて任意の導体パターンを含んでいる導体層28、及び導体層28を覆う絶縁層39によって構成されている。第3ビルドアップ部93は、複数の絶縁層38を一括して貫くビア導体42を含んでいる。ビア導体42は、導体層28と、第2面9b側の第1ビルドアップ部91の最も外側の導体層27とを接続している。
【0072】
第1ビルドアップ部91及び第3ビルドアップ部93をそれぞれ構成する導体層27及び導体層28は、先に説明された導体層22~25と同様に、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成される。これら各導体層は、図5のV部の拡大図を示す円C内に示されるように、下層2c及び上層2dを含んでいる。上層2dは、導体層24などの上層2b(図2参照)と同様に電解めっきによって形成されるめっき膜からなる。そして下層2cは、導体層24などの下層2a(図2参照)と同様に、例えばスパッタリングで形成されるスパッタ膜であり得、無電解めっきで形成される無電解めっき膜であってもよい。
【0073】
しかし、導体層27(又は導体層28)の全体の厚さT2に対する下層2cの厚さT21は、2.5%よりも大きい。また、下層2cは、導体層22~25の下層2aと異なる方法で形成された金属膜であってもよい。例えば、導体層22~25の下層2aがスパッタ膜であるときに、導体層27の下層2cが無電解めっき膜であってもよい。
【0074】
また、導体層27、28が含む配線パターン13のような配線パターンの最小の配線幅は、導体層22~25のいずれかに含まれる配線パターン(例えば配線パターン11)の最小の配線幅よりも大きい。加えて、導体層27、28が含む配線パターン同士の最小の間隔は、導体層22~25のいずれかに含まれる配線パターン(例えば配線パターン11)同士の最小の間隔よりも大きい。さらに、導体層27、28に含まれる配線パターンのアスペクト比は、導体層22~25に含まれる配線パターン(例えば配線パターン11)のアスペクト比よりも小さい。また、図1の例において、導体層27、28それぞれの上面は、いずれも、研磨工程を経ていない面である。
【0075】
すなわち、第2ビルドアップ部92は、第1ビルドアップ部91に含まれる導体層27や第3ビルドアップ部93に含まれる導体層28と異なる構造を有する導体層22~25によって構成されている。また、第2ビルドアップ部92は、第1ビルドアップ部91及び第3ビルドアップ部93に含まれる配線パターン13などの配線パターンよりも微細な設計ルールで配置された配線パターン11のような配線パターンを含んでいる。
【0076】
図5の例の配線基板1aのように、実施形態の配線基板は、導体層22~25のような、微細な設計ルールで配置された配線パターンを含む導体層と、より大きな設計ルールで配置された配線パターンを含んでいて構造の異なる導体層とを含んでいてもよい。また、実施形態の配線基板は、そのように互いに異なる配線ルールで設計され且つ互いに異なる構造を有する2種類の導体層の一方によって構成されるビルドアップ部(例えば第1ビルドアップ部91)と、その2種類の導体層の他方によって構成されるビルドアップ部(例えば第2ビルドアップ部92)とを含んでいてもよい。例えば、部分的に微細な配線パターン及び良好な高周波伝送特性が求められる配線基板が、求められる特性を満たしつつ、より小型及び/又は低コストで実現されることがある。
【0077】
第1ビルドアップ部91及び第3ビルドアップ部93をそれぞれ構成する絶縁層37及び絶縁層38は、第2ビルドアップ部92を構成する先に説明された絶縁層31~34と同様に、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂又はフッ素樹脂のような熱可塑性樹脂を用いて形成されている。同様に、絶縁層39は、第2ビルドアップ部92を構成する絶縁層35と同様の材料で形成されている。しかし、絶縁層37は、絶縁層31~34と、組成や添加剤の含有量について異なる樹脂で形成されていてもよい。例えば、第2ビルドアップ部92の絶縁層31~34には、高周波信号の伝送特性や、配線パターン間の絶縁性維持の点で有利な絶縁性材料が用いられ、第1ビルドアップ部91の絶縁層37などには、加工性や経済性の面で有利な絶縁性材料が用いられてもよい。一例として、絶縁層31~34に含まれる、例えばシリカやアルミナなどの無機フィラー(図示せず)の粒径は、絶縁層38に含まれる無機フィラーの粒径よりも小さくてもよい。また、絶縁層31~34の比誘電率が絶縁層38の比誘電率よりも小さく、絶縁層31~34の誘電正接が絶縁層38の誘電正接よりも小さくてもよい。
【0078】
なお、図5の例の第3ビルドアップ部93では、複数の絶縁層38それぞれの表面上には導体層は形成されず、最も外側の絶縁層38の表面上にのみ導体層28が形成されている。必要とされる層数を超える導体層の形成が省略されることによって配線基板1aの小型軽量化及び低コスト化が促進されることがある。加えて、図5の例のように、第2ビルドアップ部92が備える絶縁層(絶縁層31~34)と、略同じ厚さを有し、同様の材料で形成された同じ層数の絶縁層38が形成されていると、配線基板1aの反りが抑制されることがある。
【0079】
図5の例の配線基板1aが製造される場合、先ず、図6Aに示されるように、コア基板9が用意され、その両面それぞれに第1ビルドアップ部91が形成される。コア基板9の用意では、例えば、絶縁層36を含む両面銅張積層板が用意され、例えばドリル加工による貫通孔の形成後、例えば無電解めっき及び電解めっきによって貫通孔内にスルーホール導体9cが形成される。スルーホール導体9cの内部がエポキシ樹脂などで充填された後、例えば、無電解めっき及び電解めっきを含むサブトラクティブ法によって、所定の導体パターンを含む導体層26が形成される。
【0080】
そして、第1ビルドアップ部91の形成では、コア基板9の第1面9a及び第2面9bそれぞれの上に、例えばフィルム状の絶縁性樹脂を熱圧着することによって、最も内側の絶縁層37が形成される。形成された絶縁層37には、ビア導体41の形成位置に、炭酸ガスレーザー光の照射などによって貫通孔が形成される。その後、例えばセミアディティブ法などの任意の導体層の形成方法を用いて、最も内側の導体層27が形成される。絶縁層37に形成された貫通孔内にはビア導体41が形成される。同様の方法で、絶縁層37、導体層27及びビア導体41の形成を繰り返すことによって、第1ビルドアップ部91が、コア基板9の両面それぞれに形成される。
【0081】
図6Bに示されるように、コア基板9の第1面9a側の第1ビルドアップ部91上に、導体層22~25及び絶縁層31~34、並びにビア導体4が形成される。導体層22~25及び絶縁層31~34、並びにビア導体4は、例えば、先に図4B図4Iを参照して説明された方法で形成される。コア基板9の第2面9b側の第1ビルドアップ部91上には、絶縁層31~34それぞれの形成と共に、複数の絶縁層38が、1層ずつ、絶縁層31~34それぞれの形成方法と同様の方法で形成される。第1面9a側への導体層25の形成後、複数の絶縁層38を一括して貫く貫通孔42aが形成され、さらに、最も外側の絶縁層38の上に、例えばセミアディティブ法によって導体層28が形成される。その導体層28の形成と共に、貫通孔42a内にビア導体42が形成される。
【0082】
導体層28の形成後、例えば、先に図4Jを参照して説明された方法で、図5に示される絶縁層35、導体ポスト5、及び機能層6が形成される。コア基板9の第2面9b側には、導体層28を覆う絶縁層39が、例えば、絶縁層35の形成方法と同様の方法で絶縁層35の形成と共に形成される。図5の例の配線基板1aが完成する。
【0083】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態の配線基板は、任意の数の導体層及び絶縁層を含み得る。例えば実施形態の配線基板は、1つの絶縁層、及び、その上に形成されている1つの導体層だけを含んでいてもよい。図1図5に例示の配線基板1及び配線基板1aが備える導体ポスト5及び機能層6は、実施形態の配線基板に必ずしも備えられない。図1の例において、導体層22~25の一部だけが研磨面を有していてもよい。
【0084】
実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。例えば、前述したように、実施形態の配線基板の製造方法によって、任意の層数を有する任意の積層構造の配線基板が製造され得る。実施形態の配線基板の製造方法では、図4Aに示される支持体8は、必ずしも用いられない。また、実施形態の配線基板の製造方法に用いられる支持体は、図4などに示される支持体8の構造を必ずしも有しない。実施形態の配線基板の製造方法には、前述された各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述された工程のうちの一部が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1、1a 配線基板
11、13 配線パターン
2a 下層
2aa、20a 下部膜
2ab、20b 上部膜
2ac 下層の側面
2b 上層
2bb 電解めっき膜
20 シード層
21~28 導体層
21a~25a 導体層の表面
30~39 絶縁層
31a~34a 絶縁層の表面
4、41、42 ビア導体
G 配線パターン同士の間隔
R1 めっきレジスト
R11、R12 開口部
T 配線パターン(導体層)の厚さ
T1 下層の厚さ
W1 配線パターンの幅
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図5
図6A
図6B