(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022251
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】軟水化装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/42 20230101AFI20240208BHJP
B01J 49/53 20170101ALI20240208BHJP
B01F 23/2373 20220101ALI20240208BHJP
B01F 25/452 20220101ALI20240208BHJP
【FI】
C02F1/42 A
B01J49/53
B01F23/2373
B01F25/452
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125689
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 弥志雄
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 幸江
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 浩
【テーマコード(参考)】
4D025
4G035
【Fターム(参考)】
4D025AA02
4D025AB19
4D025BA08
4D025BA22
4D025BB13
4D025BB15
4D025BB18
4D025DA10
4G035AB04
4G035AC26
4G035AE11
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】本発明は軟水化装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の軟水化装置は、水を軟水化するため陽イオン交換樹脂を有するイオン交換樹脂部と、前記イオン交換樹脂部を収納するタンクと、前記タンクを覆うケーシング部材と、前記タンクの内部に水を供給するための水入口部と、前記タンクの内部から外部へ水を流出させるための水出口部と、前記水入口部に接続される入口継手と、前記水出口部に接続される出口継手と、を備え、前記入口継手から前記出口継手の間に、水からファインバブルを生成するためのファインバブル生成器が設けられたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を軟水化するため陽イオン交換樹脂を有するイオン交換樹脂部と、
前記イオン交換樹脂部を収納するタンクと、
前記タンクを覆うケーシング部材と、
前記タンクの内部に水を供給するための水入口部と、
前記タンクの内部から外部へ水を流出させるための水出口部と、
前記水入口部に接続される入口継手と、
前記水出口部に接続される出口継手と、を備え、
前記入口継手から前記出口継手の間に、水からファインバブルを生成するためのファインバブル生成器が設けられたことを特徴とする、軟水化装置。
【請求項2】
前記ファインバブル生成器は、前記水出口部と、前記出口継手の間に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の軟水化装置。
【請求項3】
前記入口継手および出口継手が前記ケーシング部材の上面から上方に延びるとともに、前記入口継手および出口継手が前記ケーシング部材の上面から上方に延びる直管部と
前記直管部の上端から前記ケーシング部材の上面に沿う方向に屈曲して延びる屈曲部と、を有し、
前記入口継手と前記出口継手が、同一形状、かつ、同一寸法であり、
前記入口継手の直管部および前記出口継手の直管部が、前記ケーシング部材に対し前記直管部の軸回りに回転自在であることを特徴とする、請求項2に記載の軟水化装置。
【請求項4】
前記ファインバブル生成器は、
前記水出口部に接続される出口アダプターと、前記出口アダプターの上流側に内蔵され、水流を旋回させるためのプレート部材と、前記プレート部材の下流側で前記出口アダプターの内面に固定されるファインバブル生成部材で構成され、
前記出口アダプターの出口端部が、前記出口継手の直管部に着脱自在に嵌合されたことを特徴とする、請求項2または3に記載の軟水化装置。
【請求項5】
前記ファインバブル生成器は、前記出口アダプターの出口端部側から、前記プレート部材と前記ファインバブル生成部材が挿抜自在に内蔵されることを特徴とする、請求項4に記載の軟水化装置。
【請求項6】
前記ファインバブル生成部材の出口端部に、所定幅で所定深さの切欠溝を有することを特徴とする、請求項4に記載の軟水化装置。
【請求項7】
前記ファインバブル生成部材の出口端部に、所定幅で所定深さの切欠溝を有することを特徴とする、請求項5に記載の軟水化装置。
【請求項8】
前記出口アダプターが、
上流側に前記プレート部材を収納するためのプレート収納部と、前記プレート収納部の下流側で、前記ファインバブル生成部材を固定するための内ネジを備え、
前記ファインバブル生成部材が、
上流側の外周に、前記内ネジと嵌合する外ネジを備え、
内面側に、上流側端部から、中央部に向かって、内径が徐々に狭まる第一流路と、前記第一流路に接続する第二流路と、前記第二流路に接続し、下流側端部に向かって、内径が徐々に広がる第三流路を備えたことを特徴とする、請求項4に記載の軟水化装置。
【請求項9】
前記出口アダプターが、
上流側に前記プレート部材を収納するためのプレート収納部と、前記プレート収納部の下流側で、前記ファインバブル生成部材を固定するための内ネジを備え、
前記ファインバブル生成部材が、
上流側の外周に、前記内ネジと嵌合する外ネジを備え、
内面側に、上流側端部から、中央部に向かって、内径が徐々に狭まる第一流路と、前記第一流路に接続する第二流路と、前記第二流路に接続し、下流側端部に向かって、内径が徐々に広がる第三流路を備えたことを特徴とする、請求項5に記載の軟水化装置。
【請求項10】
前記出口アダプターが、
上流側に前記プレート部材を収納するためのプレート収納部と、前記プレート収納部の下流側で、前記ファインバブル生成部材を固定するための内ネジを備え、
前記ファインバブル生成部材が、
上流側の外周に、前記内ネジと嵌合する外ネジを備え、
内面側に、上流側端部から、中央部に向かって、内径が徐々に狭まる第一流路と、前記第一流路に接続する第二流路と、前記第二流路に接続し、下流側端部に向かって、内径が徐々に広がる第三流路を備えたことを特徴とする、請求項6に記載の軟水化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水などの原水の硬度成分を除去し軟水化する軟水化装置に、ファインバブル生成器を内蔵する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、水道水などの軟水化に陽イオン交換樹脂が用いられている。陽イオン交換樹脂は、使用を続けるとイオン交換能力が低下するため、再生水(例えば塩水)を通水して再生することが行われる。
陽イオン交換樹脂を備えた軟水化装置は、陽イオン交換樹脂の容量を多くすると大型化するが、陽イオン交換樹脂の再生頻度は少なくなる。一方、陽イオン交換樹脂の容量を少なくすると、装置は小型化するが、陽イオン交換樹脂の再生頻度が多くなる。
【0003】
軟水化された水は、硬度成分が除去されたことで、石けんと硬度成分が結合して生成される「石けんカス」の発生を抑制するという効果がある。
さらに、それに伴い、石けんの泡立ちが良くなり、「水周りの汚れが少なくなる」、「石けんやシャンプー等の使用量が減る」、「髪や肌に優しい」といった効果が知られている。特に、シャワーを浴びた後、肌には石けんカスの残留がなく、皮脂膜と同じような脂肪酸に覆われるため、肌に優しい状態になる。
【0004】
一方、水中で、直径が100μm未満の気泡はファインバブルと呼ばれ、その中でも直径が1μm以上100μm未満の気泡はマイクロバブル、直径が1μm未満の気泡はウルトラファインバブルと呼ばれている。ファインバブルは浮力が弱い、洗浄効果がある、生理活性効果があるなど様々な特徴を有しており、家庭用のシャワーに応用されている。
【0005】
ファインバブルの発生方式としては、特に、キャビテーション方式やエジェクター方式を使ったファインバブルを生成するファインバブル生成器が、家庭用のシャワー装置として使用され、シャワー配管の途中に配置されるか、シャワーヘッドに内蔵されている。
キャビテーション方式は、外部から空気を吸入しないで、ベルヌーイの法則にあるように、流路を絞り込み、流速を加速させ、圧力が急減圧してキャビテーションを起こし、一旦膨張して発生する気泡を、流路を徐々に開放して、圧力を上昇させ崩壊し、気泡を微細化する方法である。エジェクター方式は、ノズルからの高速ジェットで負圧を作り、外部の空気を吸引し、気液混合しながら、大きな剪断力を作用させ、乱流混合して気泡を微細化する方法である。
【0006】
シャワー用の軟水化装置として、浴室内の混合水栓から分岐してシャワーを軟水化する能力を持つもの(シャワー用)とした特許文献1の技術が開示されている。一方、ファインバブル生成器として、キャビテーション方式で送液管内に配置する技術が特許文献2に開示されている。また、キャビテーション方式のファインバブル生成器をシャワーホースとシャワーヘッドに配置する技術が特許文献3に開示されている。さらに、エジェクター方式のファインバブル生成器をシャワーヘッドに内蔵する技術が特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-18892号公報
【特許文献2】特開2017-136590号公報
【特許文献3】特開2019-25451号公報
【特許文献4】特開2020-11034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術は、軟水化装置で入口継手と出口継手をケーシング部材の上面に設けたことで、混合水栓からの接続およびシャワーホースを介したシャワーヘッドへの接続を容易にできるものである。そして、混合水栓のシャワー側を開くと、既設のシャワーヘッドから軟水が吐水される。前述した通り、石けんを使ってシャワーを浴びると、肌には石けんカスは残らず、脂肪酸が存在し、使用者はヌルヌルした状態を実感することになる。
この状態で、水道水を張った浴槽に入浴すると、水道水中のカルシウムイオンなどの硬度分と脂肪酸が反応し、石けんカスに変化する。使用者は、石けんカスのギシギシ感を実感することになる。シャワーから浴槽への入浴を行うと、結果的に肌に石けんカスが残留した状態になり、残留した石けんカスは、軟水のシャワーだけでは除去できないという問題があった。
【0009】
特許文献2に記載の技術は、キャビテーション方式のマイクロバブル生成器であり、マイクロバブル生成路を備える筒の外周にOリングが嵌められ、送液管内部に容易に構築できる構造を有する。また、マイクロバブル生成路を内部に備える筒の端部にフランジを備えることで、既存の送液管の端部の内部に簡単に位置固定することができる構造など、既存の送液管に取り付ける技術である。
一方で、特許文献2に記載の構成では、送液管が、相対応する構造であることが必須であり、マイクロバブル生成能を付加した商品開発では、それぞれの商品に合わせて独自に設計しなければならないという問題があった。また、フランジを内部で係止する構造の場合、外側(被送液場所側)から、筒を外すことが不可能であり、メンテナンスの際に手間がかかるという問題があった。
【0010】
特許文献3に記載の技術は、キャビテーション方式のマイクロバブル生成器で、シャワーヘッドなどの既存の機具と機具専用のホースとの間に接続できるようにした技術であり、他の機器に内蔵することはできないという問題があった。但し、既設のシャワーヘッドをそのまま使えるという長所がある。また、このマイクロバブル生成器を使ってマイクロバブルを生成しながら、石けんを使って、水道水でシャワーを浴びた場合、肌に石けんカスが残留し、容易に除去できないという問題があった。
【0011】
特許文献4に記載の技術は、エジェクター方式のファインバブル生成器であり、シャワーヘッドにファインバブル生成器を内蔵した技術である。シャワーヘッド内で安定してファインバブルを生成するために、構造が複雑になっていて、しかもシャワーヘッドが専用になり高額であるという問題点があった。また、このシャワーヘッドを使ってファインバブルを生成しながら、石けんを使って、水道水でシャワーを浴びた場合、肌に石けんカスが残留し、容易に除去できないという問題があった。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みなされたものであって、シャワー用軟水化装置にファインバブル生成器を内蔵し、軟水だけ、またはファインバブルだけでは実現できない、軟水とファインバブルの相乗効果を発揮する軟水化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述の課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明に係る軟水化装置は、水を軟水化するため陽イオン交換樹脂を有するイオン交換樹脂部と、前記イオン交換樹脂部を収納するタンクと、前記タンクを覆うケーシング部材と、前記タンクの内部に水を供給するための水入口部と、前記タンクの内部から外部へ水を流出させるための水出口部と、前記水入口部に接続される入口継手と、前記水出口部に接続される出口継手と、を備え、前記入口継手から前記出口継手の間に、水からファインバブルを生成するためのファインバブル生成器が設けられたことを特徴とする。
(2)本発明に係る(1)に記載の軟水化装置において、前記ファインバブル生成器は、前記水出口部と、前記出口継手の間に設けられたことを特徴とする。
【0014】
(3)本発明に係る(2)に記載の軟水化装置において、前記入口継手および出口継手が前記ケーシング部材の上面から上方に延びるとともに、前記入口継手および出口継手が前記ケーシング部材の上面から上方に延びる直管部と前記直管部の上端から前記ケーシング部材の上面に沿う方向に屈曲して延びる屈曲部と、を有し、前記入口継手と前記出口継手が、同一形状、かつ、同一寸法であり、前記入口継手の直管部および前記出口継手の直管部が、前記ケーシング部材に対し前記直管部の軸回りに回転自在であることが好ましい。
(4)本発明に係る(2)または(3)に記載の軟水化装置において、前記ファインバブル生成器は、前記水出口部に接続される出口アダプターと、前記出口アダプターの上流側に内蔵され、水流を旋回させるためのプレート部材と、前記プレート部材の下流側で前記出口アダプターの内面に固定されるファインバブル生成部材で構成され、前記出口アダプターの出口端部が、前記出口継手の直管部に着脱自在に嵌合されたことが好ましい。
【0015】
(5)本発明に係る(4)に記載の軟水化装置において、前記ファインバブル生成器は、前記出口アダプターの出口端部側から、前記プレート部材と前記ファインバブル生成部材が挿抜自在に内蔵されることが好ましい。
(6)本発明に係る(4)または(5)に記載の軟水化装置において、前記ファインバブル生成部材の出口端部に、所定幅で所定深さの切欠溝を有することが好ましい。
【0016】
(7)本発明に係る(4)~(6)のいずれかに記載の軟水化装置において、前記出口アダプターが、上流側に前記プレート部材を収納するためのプレート収納部と、前記プレート収納部の下流側で、前記ファインバブル生成部材を固定するための内ネジを備え、前記ファインバブル生成部材が、上流側の外周に、前記内ネジと嵌合する外ネジを備え、内面側に、上流側端部から、中央部に向かって、内径が徐々に狭まる第一流路と、前記第一流路に接続する第二流路と、前記第二流路に接続し、下流側端部に向かって、内径が徐々に広がる第三流路を備えたことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る軟水化装置によれば、既設のシャワーヘッドを使い、軟水による石けんカスの発生が抑制される効果のほか、ファインバブルとの組み合わせによる効果を奏する。特に、ファインバブルを生成した軟水のシャワーにより、石けんを使ったシャワー後の水道水入浴後に肌に残留する石けんカスを除去できる。
ファインバブル生成器は軟水化装置の出口側に設けた方が、ファインバブルの個数濃度が高くなる。また、ファインバブル生成器を内蔵しても、入口継手と出口継手をケーシング部材の上面で、入口継手や出口継手を同一形状、同一寸法とし、継手の直管部をケーシング部材に対して回転自在とするとことで、これまでのシャワー用軟水化装置同様、混合水栓からの接続およびシャワーホースを介したシャワーヘッドへの接続を容易にできる。
ファインバブル生成器は、出口側から、ソケット部材中のプレート部材とファインバブル生成部材を取り付け、取り外しができる構造とすることで、万一のメンテナンスの際、機器全体を分解する必要がない。
ファインバブル生成部材の出口端部に有する切欠溝に工具などを差し込むことで、取り付け、取り外しが容易になる。ファインバブル生成部材の内部形状は、ベルヌーイの法則に合うように流路を徐々に絞り込み、さらに徐々に開放することで、一般家庭の給水圧力0.15MPa以上の条件で安定してファインバブルを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る第一実施形態の軟水化装置を示す断面図。
【
図4】同軟水化装置に組み込まれた第一形態のファインバブル生成器の拡大断面図。
【
図5】同軟水化装置に組み込まれた第二形態のファインバブル生成器の拡大断面図。
【
図6】第一実施形態の軟水化装置を備えた浴室の設置図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「第一実施形態」
以下、図面を用いて本発明の実施形態の軟水化装置について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0020】
<軟水化装置>
図1は、第一実施形態の軟水化装置1の断面図である。また、
図2、
図3は、軟水化装置1の斜視図である。軟水化装置1は、上タンク5aと下タンク5bとを有するタンク5と、タンク5の内部に収容されたイオン交換樹脂部3と、タンク5の内部に水を供給するための水入口部6と、水入口部6に接続された入口継手11と、タンク5の内部から外部へ水を流出させるための水出口部7と、水出口部7に接続された出口継手14と、タンク5を覆うケーシング部材19と、を備える。
タンク5の内部は、軟水化させる水の流路となる。軟水化される水は、タンク5の下部側の水入口部6からタンク5の内部に流入し、イオン交換樹脂部3を通過し、タンク5の上部側の水出口部7から外部に流出する。
【0021】
軟水化装置1は、タンク5の内部に再生液を投入するための再生液投入口8と、再生液投入口8を覆い、別手段で開閉できる再生液投入弁部16と、再生液を排出するための排水口9と、排水口9を覆う着脱自在な排水口用キャップ部材18と、を備える。再生液は、陽イオン交換樹脂のイオン交換能力を再生する。尚、再生に関する内容は、本出願とは無関係であるため説明を割愛する。
以下、軟水化装置1の各部について詳細に説明する。
【0022】
<イオン交換樹脂部>
イオン交換樹脂部3は、水を軟水化する陽イオン交換樹脂2と、内部空間に陽イオン交換樹脂2を構成するケース部材4と、を有する。なお、
図1において、陽イオン交換樹脂2は、一部のみを図示しており、実際の収容状態とは異なる。実際の陽イオン交換樹脂2は、ケース部材4の内部空間の90%以上を満たす。
【0023】
陽イオン交換樹脂2は、水道水中のカルシウムイオン(Ca2+)とマグネシウムイオン(Mg2+)とを除去する。一例として、陽イオン交換樹脂2の母体は、初期段階では陰イオン(R-SO3
-)に陽イオンであるNa+が結合している。水道水を陽イオン交換樹脂に導入すると、イオン交換が始まり、Ca2+、Mg2+が陽イオン交換樹脂2に吸着され、その代わりにNa+を放出する。これにより、硬度成分であるCa2+、Mg2+が除去され水が軟水化される。
【0024】
また、陽イオン交換樹脂2は、使用を続けると陽イオン交換能力が低下するため、再生水(例えば塩水)を通水して再生することが行われる。陽イオン交換樹脂2は、例えば5~20%の高濃度の塩水が通水されるとイオン交換能が逆転し、Na+が陽イオン交換樹脂2に吸着され、代わりにCa2+、Mg2+が放出される。これにより、陽イオン交換樹脂2は、初期の状態に復元され、陽イオン交換機能が再生される。軟水化装置は、このように軟水化と、再生を繰り返して使用される。
【0025】
ケース部材4は、陽イオン交換樹脂2を収納する。また、ケース部材4は、タンク5に収容され、タンク5の上下方向中程に固定されている。したがって、タンク5の内部には、ケース部材4の上下に貯留空間5d、5eが形成されている。ケース部材4は、上側に開口する箱状体4dと箱状体4dの開口を覆う蓋体4cとを有する。蓋体4cと箱状体4dとの接合面は、溶着されており、陽イオン交換樹脂2が流出しないように固定されている。箱状体4dの側壁部4eは、タンク5の内側面と接触している。蓋体4cの全面および箱状体4dの底面には、メッシュ部材4a、4bからなる。メッシュ部材4a、4bは、例えばポリエステル製であって、線径が45μm、目開き寸法が96μmである。
【0026】
タンク5内を下側から上側に向かって流れる水は、ケース部材4の底面のメッシュ部材4aを通過してケース部材4の内部に流入する。この水は、ケース部材4の内部で陽イオン交換樹脂2と接触して軟水化される。さらに、この水は、ケース部材4の蓋体4cのメッシュ部材4bを通過して、ケース部材4から外部に流出する。
【0027】
陽イオン交換樹脂2の容量は、メッシュ部材4a、4bの間の容積(すなわち、ケース部材4の内部の容積)の90%以上とすることが好ましい。本実施形態の陽イオン交換樹脂2の収容形態は、陽イオン交換樹脂2が水の通過によってほとんど流動しない固定床を採用する。このため、陽イオン交換樹脂2の容量をケース部材4の容積に対して90%以上とすることができ、陽イオン交換樹脂2の容量に対するタンク5の容積を極力小さくできる。すなわち、コンパクトな軟水化装置1を提供できる。
【0028】
また、陽イオン交換樹脂2は、粒度分布150μm以上355μm以下が95%以上の微粒タイプを用いることが好ましい。一般的に、陽イオン交換樹脂2の粒径は300~1180μmのものが適宜ブレンドされている。陽イオン交換樹脂2の粒径が大きい場合は、通過する水の流量が大きい場合にイオン交換性能が低下する。これに対し、陽イオン交換樹脂2の粒径が小さい場合は、通過する水の流量が大きい場合であってもイオン交換性能を高めることができる。本実施形態のイオン交換樹脂部3は、微粒タイプの陽イオン交換樹脂2によりイオン交換性能を高めることができる。
【0029】
<タンク>
タンク5は、下側に開口する箱状の上タンク5aと上側に開口する箱状の下タンク5bを有し、互いの開口同士を重ね合わせて固定することで内部空間を構成する2分割構造である。上タンク5aおよび下タンク5bの開口周縁には縁部が形成されている。下タンク5bには、上下方向中程より下側に内段部5cが設けられており、内段部5cにケース部材4が搭載されている。また、下タンク5bの内周面には、ケース部材4の外周面が嵌合されている。さらに、ケース部材4の蓋体4cの縁部には、パッキン10を介して上タンク5aの縁部が被せられている。また、上タンク5aと下タンク5bとの縁部同士は、溶着により水漏れしないように固定されている。上タンク5aとケース部材4との間にパッキン10が設けられていることで、タンク5内を下側から上側に向かって通過する水は、全量がケース部材4の内部(すなわち、陽イオン交換樹脂2の層内)を通過する。
ケース部材4の底部と下タンク5bの底壁5fとの間には、貯留空間5eが形成されている。また、上タンク5aの上面壁5gとケース部材4の蓋体4cとの間には、貯留空間5dが形成されている。
【0030】
タンク5は、水の通過経路となる一方で、イオン交換樹脂部3による軟水化を行うための流路中の貯水部としても機能する。このため、タンク5内に水を流入させ始めてからタンク5内に水が満たされるまでの間、水出口部7から水が流出せず時間差が生じる。時間差を小さくするために、タンク5の容積は、小さくすることが好ましい。
例えば、10L/分のシャワーを使う場合、2Lの容積では12秒、3Lでは18秒、4Lでは24秒の時間差が生じる。タンク5の容積としては、2L以下の容積とし、時間差を12秒以下とすることが望ましい。
【0031】
タンク5は、構成材料として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いるか、ステンレス鋼などの金属を用いることができる。タンク5は、シャワー用の水を通水するために、50℃の温水通過に耐える材質からなる。タンク5は、水の流路となるため、陽イオン交換樹脂2やシャワーなどの圧力損失に伴う荷重が繰り返し印加される。そのため、タンク5は、リブなどにより補強された構造とすることが好ましい。また、タンク5を樹脂製とする場合、ガラス繊維などの無機物を添加し、材料強度を増してもよい。
【0032】
<水入口部、入口継手>
水入口部6は、イオン交換樹脂部3よりも下部で、タンク5(より具体的には下タンク5b)の側面の下部側に設けられている。水入口部6には、導水管12および入口アダプター13を介して入口継手11が接続されている。
【0033】
導水管12は、L字状のパイプであり、タンク5の側面から側方に延びる水平部12aと、水平部12aの先端から上方に延びる鉛直部12bとを有する。導水管12の水平部12aと水入口部6とは、パッキン等を介して漏水がないように接続される。導水管12の鉛直部12bの上端には、入口アダプター13が固定されている。
【0034】
入口アダプター13は、一端側が導水管12に接続され他端側が入口継手11に接続されている。入口アダプター13の他端側は、ケーシング部材19の上面19aから露出している。入口アダプター13の他端側の内周には、Oリングシール面13aと、さらにその奥側にメネジ13bが設けられている。
【0035】
入口継手11は、ケーシング部材19の上面19aから上方に延びる90度エルボ管である。入口継手11は、ケーシング部材19の上面19aから上方に延びる直管部11eと、直管部11eの上端からケーシング部材19の上面19aに沿う方向に屈曲して延びる屈曲部11fと、を有する。
【0036】
入口継手11の直管部11e側の端部の外周には、Oリング挿入溝11aが設けられ、さらにその先端側にオネジ11bを備えている。入口継手11の直管部11e側の端部は、オネジ11bが入口アダプター13のメネジ13bと螺合することで、入口アダプター13と接続される。また、入口継手11のOリング挿入溝11aと入口アダプター13のOリングシール面13aとが、対向して配置される。Oリング挿入溝11aには、入口継手11と入口アダプター13との間の水漏れを防ぐOリング11dが装着される。
Oリングシール面13aは、入口アダプター13の軸方向にオネジ11bのネジピッチの数倍の長さとされている。これにより、入口継手11は、入口アダプター13との水密性を確保しつつ、入口アダプター13から離脱することなくネジに沿って回転自在となる。入口アダプター13は、ケーシング部材19に対して他部材を介して固定されているため、入口継手11は、ケーシング部材19に対して回転自在である。即ち、入口アダプター13の直管部11eはその中心軸回りに回転自在に設置されている。
【0037】
入口継手11の屈曲部11f側の端部の外周には、例えば、呼びG1/2の管用平行ネジ11cが設けられている。管用平行ネジ11cには、例えば、水栓から延びる接続ホースが接続される。入口継手11を回転自在に構成することで、水栓に対して軟水化装置1がいかなる向きに配置された場合でも、入口継手11の開口方向を水栓側に向けることができる。これにより、水栓と入口継手11とを繋ぐ接続ホースを短く設定することができ、軟水化装置1をコンパクトに設置できる。
【0038】
<水出口部、出口継手>
水出口部7は、イオン交換樹脂部3より上部に位置している。本実施形態において水出口部7は、タンク5(より具体的には上タンク5a)の上面壁5gに設けられている。水出口部7には、出口アダプター15を介し出口継手14が接続されている。
【0039】
本実施形態において、出口アダプター15および出口継手14は、それぞれ入口アダプター13および入口継手11と同様の構造を有している。
出口アダプター15は、一端側が水出口部7に接続され他端側が出口継手14に接続されている。出口アダプター15の他端側の内周には、Oリングシール面15aと、さらにその奥側にメネジ15bが設けられている。
【0040】
出口継手14は、タンク5の上面壁5gから上方に延び、さらにケーシング部材19の上面19aから上方に延びる。出口継手14は、90度エルボ管である。出口継手14は、ケーシング部材19の上面19aから上方に延びる直管部14eと、直管部14eの上端からケーシング部材19の上面19aに沿う方向に屈曲して延びる屈曲部14fと、を有する。出口継手14の直管部14e側の端部の外周には、Oリング挿入溝14aが設けられ、さらにその先端側にメネジ15bと螺合されるオネジ14bを備えている。Oリング挿入溝14aには、Oリング14dが装着される。出口継手14は、入口継手11と同様に、ケーシング部材19に対して回転自在である。即ち、出口継手14の直管部14eはその中心軸周りに回転自在に支持されている。
【0041】
軟水化装置1を浴室に設置してシャワー用として用いる場合には、出口継手14に直接的にシャワーホースを接続することができる。この場合、シャワーホースは、使用者によってさまざまな方向に引き回されるため、出口継手14を回転自在に構成することで、出口継手14がシャワーホース35の動作に伴って追随して回転移動する。これにより、出口継手14およびその接続部に加わる負荷を軽減して破損を防止できる。
【0042】
<ケーシング部材>
ケーシング部材19は、タンク5と、水入口部6と、水出口部7と、再生液投入口8と、排水口9と、再生液投入弁部16と、排水口用キャップ部材18を覆っている。これにより、上記の各部が露出することがなく、外観に配慮した意匠性の高い軟水化装置1を構成できる。
【0043】
図2および
図3に示すように、ケーシング部材19は、ベース20、左側面カバー21、右側面カバー22、内カバー23、上カバー24および前カバー25で構成されている。なお、本実施形態のケーシング部材19は、ベース20、左側面カバー21、右側面カバー22、内カバー23、上カバー24および前カバー25で構成されるが、各部材のうち任意の組み合わせの部材同士が一体化されていてもよい。
【0044】
図1に示すように、ベース20は、タンクの底部を覆う。ベース20の内面側には、タンク5の底部がネジで固定されている。なお、タンク5には水入口部6、水出口部7、再生液投入弁部16、排水口用キャップ部材18、入口アダプター13、出口アダプター15、導水管12が固定されているため、結果的にベース20にこれらが固定されることになる。
【0045】
ベース20は、底面から下方(設置面)に向かって、4隅から例えば高さ30mmの脚部26が延設され、脚部26の先端部26aが設置面に接している。軟水化装置1を浴室に設置する場合、一般的に底面と設置面との間に汚れが貯まりやすい。軟水化装置1の底面に延設された脚部26を設けて、底面と設置面との間に隙間を形成することで、汚れが貯まりにくくなる。脚部26は、ケーシング部材と一体化されていても別体であってもよい。また、軟水化装置1がベース20を有していない場合には、脚部はタンク5から下方に向かって延設されていてもよい。隙間の寸法は、30mm前後とすることで、その間に手が入るため、スポンジなどの清掃用具を使って設置面を清掃することができる。なお、設置面とは、浴室の洗い場や、カウンター面や、浴槽上縁面などがある。
【0046】
左側面カバー21および右側面カバー22は、ベース20に固定されている。左側面カバー21および右側面カバー22は、タンク5の両側面と背面を覆う。
【0047】
<第一形態のファインバブル生成器>
第一形態のファインバブル生成器36は、軟水化装置1の入口継手11から出口継手14の間に設けることができる。どこに設けてもファインバブルがシャワーから吐水されるが、特に、出口側に設けた方が、シャワー吐水時のファインバブルの個数濃度が多くなるため好ましい。
本発明者の実験によると、出口側に設けた場合と入口側に設けた場合とで個数濃度を比較すると約7倍、出口側に設けた方が多いことがわかっている。これは、入口側に設けると、生成したファインバブルが、イオン交換樹脂部3を通過すると減衰するためである。
【0048】
ファインバブル生成器36を出口側に設ける場合、水出口部7と出口継手14の間に設けることが、軟水化装置1の構造上、スペースを有効に利用できるため好ましい。特に、キャビテーション式の生成器であれば、比較的構造が簡単であるため、出口アダプター15の内側に内蔵することによって、出口継手14を入口継手11と同一寸法、同一形状にすることができる。
【0049】
図4は、第一実施形態の軟水化装置1に設けられているファインバブル生成器36の断面図である。ファインバブル生成器36は、出口アダプター15の上流側に内蔵され、旋回水流を作り出すプレート部材37と、プレート部材37の下流で出口アダプター15の内ネジ15cに螺合して固定されるファインバブル生成部材38で構成される。また、出口アダプター15の出口端部は、出口継手14のオネジ14bと螺合するメネジ15bであって、さらにOリング14dに対応するOリングシール面15aが設けられ、出口継手14の直管部14eがケーシング部材19に対して回転自在となる。
【0050】
このようなプレート部材37とファインバブル生成部材38を出口アダプター15に組み付ける際は、出口アダプター15の下流側の開口部15dから、上流側の通路よりも大きい収納段部(プレート収納部)15eの底部側に、開口部15dからプレート部材37を収納する。さらに、ファインバブル生成部材38の上流側端部のオネジ(外ネジ)38aを、開口部15dから内ネジ15cに螺合させ、プレート部材37に当接させて固定する。これにより、ファインバブル生成器36を軟水化装置1に内蔵できる。
【0051】
この組み付け方法によって、プレート部材37、ファインバブル生成部材38は開口部15dに対し、挿抜自在に内蔵される。これにより、軟水化装置1の全体を分解せずに、出口継手14を取り外すだけで、メンテナンス時にファインバブル生成部材周りの分解組立を行うことができる。この場合、ファインバブル生成部材38の出口端部側に所定幅で所定深さの切欠溝38bを設けることで、メンテナンス時に出口継手14を外すと、切欠溝38bが露出する。このため、切欠溝38bに工具や硬貨を嵌めて回転させることで、分解組立がしやくなる。切欠溝38bは、溝幅が2mmで、深さが2mmであれば、マイナスドライバーや硬貨が嵌まるため好ましく、対向して2ケ所設けるとさらに好ましい。
【0052】
尚、プレート部材37は、収納段部15eに嵌合する外径と対応する厚みを有し、平面上に等間隔で流れ方向に貫通する複数の取水孔37aが円形に設けられている。この複数の取水孔37aは、上流側から下流側に向けて、それぞれの中心軸が流れの中心軸に対して、所定の角度で傾斜させた斜円柱状の孔であることが好ましい。これによって、流入する水が取水孔37aを通過して旋回流となり、ファインバブル生成部材38に流入し、ファインバブルが生成しやすくなる。
【0053】
ファインバブル生成部材38は、外部から空気を吸入しないで、流路内でキャビテーションを起こすものであり、流路を絞り込み、その後、徐々に流路を拡大して気泡を微細化する。そのため、ファインバブル生成部材38は、内面側に、上流側端部から中央部に向かって、内径が徐々に狭まる第一流路38fと、この第一流路に接続する均一内径の第二流路38gと、第二流路38gに接続し、下流側端部に向かって、内径が徐々に広がる第三流路38hで構成されている。
【0054】
キャビテーション現象の目安として、pは流れが物体の影響を受けない場での圧力、pvは液温における飽和水蒸気圧、ρは液の密度、Vは液と物体の相対速度とすると、以下の式(1)でキャビテーション係数kが表される。
k=(p-pv)/(ρV2/2) …式(1)
【0055】
式(1)により、kが1よりも小さいとキャビテーションが起こしやすいと言われている。従って、第二流路38gの内径が重要になる。同一の圧力下では、流速Vが大きくなるほど、すなわち、ベルヌーイの定理から内径が小さいほど、キャビテーションが発生しやすくなる。ところが、一方で、内径が小さい場合、圧力損失が大きくなり、一般家庭の給水圧力(0.15MPa)でシャワー流量を確保できない場合がある。そこで、シャワー用配管の内径は11mm程度であり、給水圧力0.1MPaで、シャワー流量を8L/分と仮定し、液温40℃で、k≒1となる内径は3.5mmと算出できる。すなわち、第二流路38gの内径を3.5mmとすることが好ましい。
【0056】
図5は、軟水化装置1に適用する第二形態のファインバブル生成器36の断面図である。出口アダプター15を分割して、第一ソケット部材15fと第二ソケット部材15iから構成し、その内側に、ファインバブル生成器36を内蔵することもできる。尚、第一ソケット部材15fと第二ソケット部材15iは、双方を組み合わせることで、出口アダプター15と同一形状となり、水出口部7に取り付けられ、出口継手14が取り付けられる。この第二形態では、第一実施形態の構造が有していたメンテナンス性は損なわれるが、軟水化装置1にファインバブル生成器36を設けるための一例として採用できる。
【0057】
第一ソケット部材15fは、内面に上流側から順に、収納段部15eと、それよりも小径のOリングシール面15hと、さらに小径の挿入孔15kが設けられ、さらに出口継手14のオネジ14bとOリングシール面15aに対応したメネジ15bとOリングシール面15aが設けられている。
そして、ファインバブル生成部材38とプレート部材37は、第一ソケット部材15fの上流側から順に、収納段部15eに嵌合するフランジ38eと、Oリングシール面15hに嵌合し、Oリング38dを装着するOリング溝部38cを有し、第一ソケット部材15fの挿入孔15kを貫通して取り付けられる。フランジ38eは、収納段部15eとOリングシール面15hとの段差に当接し、プレート部材37は、その上流側に挿入されている。
【0058】
一方、第一ソケット部材15fの上流側外周面には、第二ソケット部材15iの内ネジ15cと、Oリングシール面15gに対応するオネジ15lが設けられ、Oリング15mが装着され、螺合され固定されることにより、第一ソケット部材15fと第二ソケット部材15iが、ファインバブル部材38とプレート部材37を内蔵しながら一体化されている。このとき、第二ソケット部材15iの上流側通路15jの内径は、プレート部材37の外径よりも小径とすることでプレート部材37の水出口部7側への落下を防止することができる。
【0059】
また、ファインバブル生成部材38の内面側は、第一実施形態と同一形状を用いることで、シャワー流量を確保しながら、キャビテーションを発生させ、ファインバブルを生成することができる。
【0060】
<設置形態>
次に、軟水化装置1の設置形態について説明する。
図6は、軟水化装置1を浴室27に設置した状態を示すための説明図である。
軟水化装置1は、シャワーホース35を介しシャワーヘッド34に接続される混合水栓30が設けられた浴室27に設置されている。
本実施形態において、軟水化装置1は、浴室27内の洗い場28上に設置されている。軟水化装置1を浴室内に設置する場合、既設の混合水栓30とシャワーヘッド34との間に設置することで、使用者は、水栓を操作してシャワーからファインバブルを生成した軟水を使うことができる。軟水化装置1は、混合水栓30を挟んでシャワーフック29と反対側に設置される。なお、シャワーホース35とシャワーヘッド34は既設のものであり、その位置も、軟水化装置1の設置前とほぼ同じ位置であることから、軟水化装置1を設置したことでシャワーの使い勝手を大きく損なうことはない。
【0061】
本実施形態において、軟水化装置1は、混合水栓30に取り付ける固定ユニット31と、固定ユニット31と入口継手11とを接続する入口側接続ホース32と、固定ユニット31と出口継手14とを接続する出口側接続ホース33と、をさらに備えることができる。使用者は、混合水栓30を開閉することで、ファインバブルが生成された軟水のシャワーを使用できる。
【0062】
本発明に係わる軟水化装置によって、軟水とファインバブルとの相乗効果を確認した。
<実験1:シャワー使用による石けんカスの除去>
蛍光増白剤入りの無添加石けん((株)東邦製ウタマロ石けん)を使ってシャワーで手を洗い、乾燥を5回繰り返した。暗室内でブラックライト照射下において、手に残った石けんカスが蛍光発色する現象を利用して観察した。このとき、水道水硬度は85mg/L、軟水化装置を通過した水(以下、軟水という)の硬度は0mg/L、シャワー水温は40℃であった。
比較例1としてファインバブル入りの水道水を用いたシャワーの場合、比較例2として軟水を用いた普通のシャワー(ファインバブルなしのシャワー)の場合、実施例1としてファインバブル入りの軟水を用いたシャワーの場合の3種類の場合分け実験を実施した。これら実験の観察結果を以下の表1に記載する。
【0063】
【0064】
表1に示すように、比較例1では、ファインバブル入りのシャワーであっても、石けんカスは除去できないことが確認された。比較例2と実施例1の軟水では、石けんカスは存在しないことを確認できた。
【0065】
<実験2:入浴を想定した場合の石けんカスの除去>
軟水化装置は、シャワー水を軟水化できるが、浴槽水は別の方法でお湯張りされるため、水道水となる場合が多い。そこで、シャワー後に浴槽に入ることを想定した実験を行った。実験1同様の石けんを使って、シャワーで手を洗った後、浴槽に手を浸漬し、その後、シャワーで手を擦り洗い、乾燥を5回繰り返した。他の条件は実験1と同一である。
以上の実験結果を以下の表2に記載する。
【0066】
【0067】
表2に示すように、比較例4では、脂肪酸が石けんカスに変化して、その石けんカスは、軟水のシャワーでは除去できないことを確認できた。一方、実施例2では、石けんカスを除去できることを確認できた。
【0068】
<肌水分量比較>
肌水分量は、一般的に、生体電気インピーダンス式の測定器で計測される。高温多湿環境では、発汗によって水分量が高くなり、条件による差が明確にならない場合がある。
そこで、容易に発汗しない環境(室温15~16℃、相対湿度50%前後)を作り、その中で水分量を評価した。また、手洗い後の肌の水分を除去する環境も一定にする観点から、ドライヤーで強制的に温風乾燥した。
測定器は、HUNTKEY JAPAN(株)輸入「美肌キープ水分・油分チェッカー HKJ-SK03W」を使用した。測定値の目安は、「31%以下-ひじょうに乾燥している、32~36%-乾燥している、37~41%-普通、42~46%潤っている、47%以上-ひじょうに潤っている」肌の状態とされている。測定箇所は左手の甲の中央付近とした。
【0069】
<実験3:シャワー使用による肌水分量>
無添加石けん(シャボン玉石けん(株)製シャボン玉浴用)を使って、シャワーで手を洗い、キッチンペーパーで水分を拭き取り、水分量測定(直後)、強制乾燥1分、水分量測定(1分後)、強制乾燥1分、水分量測定(2分後)を繰り返し、1回目、2回目、3回目、5回目、7回目、10回目、15回目、20回目で水分量測定を実施し、計7回の水分量の平均値を求めた。結果を以下の表3に記載する。
【0070】
【0071】
比較例5では、乾燥が促進されることが確認された。実施例3では、強制乾燥2分後でも水分量が普通の肌レベルに維持されることを確認できた。また、実施例3は比較例6よりも、2分後の水分量が多く維持されることを確認できた。
【0072】
<実験4:入浴を想定した場合の肌水分量>
実験2同様、シャワー後に入浴することを想定した。無添加石けんを使って洗った後、浴槽に手を浸漬して、その後、シャワーで手を擦り洗い、キッチンペーパーで水分を拭き取り、水分量測定(直後)、強制乾燥1分、水分量測定(1分後)、強制乾燥1分、水分量測定(2分後)を繰り返し、実験3同様、計7回の水分量の平均値を求めた。
結果を以下の表4に記載する。
【0073】
【0074】
比較例8では、脂肪酸が石けんカスに変化して、その石けんカスは、軟水のシャワーでは除去できないことから、乾燥が促進されることを確認できた。一方、実施例4では、石けんカスが除去されることで、強制乾燥2分後でも水分量が普通の肌レベルに維持されることを確認できた。
【0075】
以上説明したように、本発明の様々な実施形態について説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は上述の実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0076】
1…軟水化装置、2…陽イオン交換樹脂、3…イオン交換樹脂部、
4…ケース部材、4a…メッシュ部材、4b…メッシュ部材、4c…蓋体、
4d…箱状体、4e…側壁部、
5…タンク、5a…上タンク、5b…下タンク、5c…内段部、5d…貯留空間、
5e…貯留空間、5f…底壁、5g…上面壁、
6…水入口部、7…水出口部、8…再生液投入弁部、9…排水口、10…パッキン、
11…入口継手、11a…Oリング挿入溝、11b…オネジ、11c…管用平行ネジ、11d…Oリング、11e…直管部、11f…屈曲部、
12…導水管、12a…水平部、12b…鉛直部、
13…入口アダプター、13a…Oリングシール面、13b…メネジ、
14…出口継手、14a…Oリング挿入溝、14b…オネジ、14c…管用平行ネジ、14d…Oリング、14e…直管部、14f…屈曲部、
15…出口アダプター、15a…Oリングシール面、15b…メネジ、15c…内ネジ、15d…開口部、15e…収納段部(プレート収納部)、15f…第一ソケット部材、15g…Oリングシール面、15h…Oリングシール面、15i…第二ソケット部材、
15j…上流側通路、15k…挿入孔、15l…オネジ、15m…Oリング、
16…再生液投入弁部、17…排水室、18…排水口用キャップ部材、
19…ケーシング部材、19a…上面、
20…ベース、21…左側面カバー、22…右側面カバー、23…内カバー、
24…上カバー、25…前カバー、
26…脚部、26a…先端部、
27…浴室、28…洗い場、29…シャワーフック、30…混合水栓、
31…固定ユニット、32…入口側接続ホース、33…出口側接続ホース、
34…シャワーヘッド、35…シャワーホース、36…ファインバブル生成器、
37…プレート部材、37a…取水孔、
38…ファインバブル生成部材、38a…オネジ(外ネジ)、38b…切欠溝、
38c…Oリング溝部、38d…Oリング、38e…フランジ、38f…第一流路、
38g…第二流路、38h…第三流路。