(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022253
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】自動ドア
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20240208BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
E05F15/73
E06B7/28 B
E06B7/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125692
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】飯白 豊充
(72)【発明者】
【氏名】四國 康則
(72)【発明者】
【氏名】井田 康
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA06
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA13
2E052EB01
2E052EC02
2E052KA27
(57)【要約】
【課題】表示装置を効率的に保持できる自動ドアを提供する。
【解決手段】自動ドアは、開口部の一部を塞ぐ固定扉12と、開閉制御される可動扉が取り付けられるたて枠16と、固定扉12、可動扉、開状態の可動扉を間に挟んで固定扉12に対向して設けられるガードスクリーンの少なくともいずれかに設けられて画像を表示する表示装置37と、表示装置37を、固定扉12に対して保持する上下保持部材181、中央保持部材182であって、可動扉の開閉方向に延在して少なくとも一方の端部が固定扉12の縦框151に対向する上下保持部材181、中央保持部材182と、上下保持部材181、中央保持部材182によって開閉方向にガイドされ、当該上下保持部材181、中央保持部材182の少なくとも一方の端部から縦框151およびたて枠16の内部に入り、当該たて枠16の外に引き出される表示装置37の配線371と、を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の一部を塞ぐ固定扉、開閉制御される可動扉、開状態の前記可動扉を間に挟んで前記固定扉に対向して設けられるガードスクリーンの少なくともいずれかに設けられて画像を表示する表示装置と、
前記表示装置を、前記固定扉、前記可動扉、前記ガードスクリーンの少なくともいずれかに対して保持する保持部材であって、前記表示装置の上端部および下端部の少なくともいずれかと、前記固定扉、前記可動扉、前記ガードスクリーンの少なくともいずれかの表面の一部を覆う保持部材と、
を備える自動ドア。
【請求項2】
開口部の一部を塞ぐ固定扉と、開閉制御される可動扉が取り付けられるたて枠と、
前記固定扉、前記可動扉、開状態の前記可動扉を間に挟んで前記固定扉に対向して設けられるガードスクリーンの少なくともいずれかに設けられて画像を表示する表示装置と、
前記表示装置を、前記固定扉、前記可動扉、前記ガードスクリーンの少なくともいずれかに対して保持する保持部材であって、前記可動扉の開閉方向に延在して少なくとも一方の端部が前記固定扉、前記可動扉、前記ガードスクリーンの少なくともいずれかの縦框に対向する保持部材と、
前記保持部材によって前記開閉方向にガイドされ、当該保持部材の少なくとも一方の端部から前記縦框および前記たて枠の内部に入り、当該たて枠の外に引き出される前記表示装置の配線と、
を備える自動ドア。
【請求項3】
前記ガードスクリーンは、開状態の前記可動扉を間に挟んで前記表示装置が設けられる前記固定扉に対向して設けられる、請求項1または2に記載の自動ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
電力等の動力によって扉を自動的に開閉する自動ドアとして、ガラス扉に情報表示機能を設けたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、情報表示機能を備えるガラス扉の具体的な構成方法の開示がない。また、ガラス扉には広告主が情報配信センターに送信した情報がそのまま表示されるため、自動ドアの周辺にいる人にとって有用な情報であるとは限らない。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示装置を効率的に保持できる自動ドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動ドアは、開口部の一部を塞ぐ固定扉、開閉制御される可動扉、開状態の可動扉を間に挟んで固定扉に対向して設けられるガードスクリーンの少なくともいずれかに設けられて画像を表示する表示装置と、表示装置を、固定扉、可動扉、ガードスクリーンの少なくともいずれかに対して保持する保持部材であって、表示装置の上端部および下端部の少なくともいずれかと、固定扉、可動扉、ガードスクリーンの少なくともいずれかの表面の一部を覆う保持部材と、を備える。
【0007】
この態様によれば、表示装置を自動ドアに対して保持する保持部材が、表示装置の上端部および/または下端部と表示装置の設置面の一部を覆うため、上端部および/または下端部から表示装置に対する水等の侵入を効果的に防止できる。
【0008】
本発明の別の態様もまた、自動ドアである。この自動ドアは、開口部の一部を塞ぐ固定扉と、開閉制御される可動扉が取り付けられるたて枠と、固定扉、可動扉、開状態の可動扉を間に挟んで固定扉に対向して設けられるガードスクリーンの少なくともいずれかに設けられて画像を表示する表示装置と、表示装置を、固定扉、可動扉、ガードスクリーンの少なくともいずれかに対して保持する保持部材であって、可動扉の開閉方向に延在して少なくとも一方の端部が固定扉、可動扉、ガードスクリーンの少なくともいずれかの縦框に対向する保持部材と、保持部材によって開閉方向にガイドされ、当該保持部材の少なくとも一方の端部から縦框およびたて枠の内部に入り、当該たて枠の外に引き出される表示装置の配線と、を備える。
【0009】
この態様では、表示装置の配線のガイド部を兼ねている保持部材によって、表示装置を自動ドアに対して効率的に保持できる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示装置を自動ドアに対して効率的に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】自動ドアの内外で相互に通信可能な各種の構成機器を模式的に示す図である。
【
図3】扉部に表示装置が設けられる自動ドアの分解斜視図である。
【
図5】自動ドアの画像制御装置の機能ブロック図である。
【
図6】自動ドアの周辺の状況と、扉部の各扉に設けられる表示装置に表示される画像を模式的に示す。
【
図10】可動扉の動作に応じて各扉に表示させる画像例を示す。
【
図15】ガードスクリーンが設けられる自動ドアの模式的な上面図である。
【
図16】ガードスクリーンが設けられない自動ドアの模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に、
図1および
図2を参照して、本発明の実施形態が適用される自動ドア100の概要を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る自動ドア100を概略的に示す正面図である。自動ドア100は、開閉制御または開閉駆動される可動扉を含む扉部10と、自動ドア100全体を制御するコントローラ20と、通行者を検知するセンサ30(起動センサ31、保護センサ32の総称)と、動力を発生させるドアエンジン40と、動力を扉部10に伝達する動力伝達部50とを主に備える。なお、以下の説明では、
図1における左右方向を水平方向とし、
図1における上下方向を鉛直方向とするが、自動ドア100は任意の姿勢で設置することができ、その設置方向が以下の例に限定されるものではない。
【0014】
扉部10は、それぞれ水平方向に可動に設けられる第1の可動扉11Lと第2の可動扉11Rと、第1の可動扉11Lおよび第2の可動扉11Rが開状態のときにそれぞれと重なる位置に設けられる固定部としての第1の固定扉12Lと第2の固定扉12Rと、第1の可動扉11Lと第2の可動扉11Rの水平方向の動作をガイドするガイド機構13を備える。第1の可動扉11L、第2の可動扉11R、第1の固定扉12L、第2の固定扉12Rは、鉛直方向の寸法が水平方向の寸法よりも大きい縦長の矩形状に構成される。扉部10の開駆動時には、
図1で左側に示される第1の可動扉11Lが左方向に駆動され、
図1で右側に示される第2の可動扉11Rが右側に駆動される。また、扉部10の閉駆動時には、開駆動時とは逆に、第1の可動扉11Lが右方向に駆動され、第2の可動扉11Rが左方向に駆動される。なお、扉部10を構成する扉の数や形状は上記に限られず、設置場所のニーズに合わせて適宜設計可能である。また、同様に、扉部10の可動方向も水平方向に限られず、水平方向から傾斜した方向としてもよい。
【0015】
ガイド機構13は、走行レール131と、戸車132と、ガイドレール133と、振れ止め部134を備える。走行レール131は、可動扉11L、11Rの上方において、その可動域の全体に亘って水平方向に延伸する柱状のレール部材である。戸車132は、可動扉11L、11Rの上部にそれぞれ二つずつ設けられ、各可動扉11L、11Rを走行レール131に懸架する。各可動扉11L、11Rが水平方向に開閉駆動される際、戸車132が走行レール131を転動するため、円滑な開閉動作が可能となる。ガイドレール133は、可動扉11L、11Rの下方において、その可動域の全体に亘って水平方向に延伸する溝状のレール部材である。振れ止め部134は、可動扉11L、11Rの下部から張り出して溝状のガイドレール133に収まる。各可動扉11L、11Rが水平方向に開閉駆動される際、振れ止め部134がガイドレール133に沿って動くため、各可動扉11L、11Rの見込み方向(
図1の紙面に垂直な方向)の振動を抑制できる。
【0016】
なお、扉部10の開閉に関する各種のパラメータはコントローラ20で設定可能である。例えば、開閉速度、開閉強度、開口幅等を設定できる。開閉速度は、第1の可動扉11Lおよび第2の可動扉11Rの水平方向の速度であり、両扉の速度の方向は互いに逆向きである。両扉で速度の大きさ(速さ)は等しくするのが好適であるが、異なる速さとしてもよい。また、開閉速度は、通常開閉時とそれ以外の時で異なる値を設定してもよい。例えば、扉部10の通常の閉駆動中に、閉じる可動扉11L、11Rに通行者が挟まれるのを緊急回避するために開駆動に切り替えるいわゆる反転の場合、その開駆動時の可動扉11L、11Rの速度は、通常の開駆動時の速度と異なる値を設定してもよい。また、停電時等の通常の電源が利用できない非常時にバッテリから供給される臨時の電力によって扉部10が駆動される際の開速度や閉速度を通常の駆動時と異なる値に設定してもよい。
【0017】
開閉強度は、可動扉11L、11Rの開閉時の力の大きさであり、後述するモータ42の発生トルク値で制御される。上記の開閉速度と同様に、基本的には可動扉11L、11Rで等しい開閉強度とするのが好適である。また、通常開閉時とそれ以外の時で異なる開閉強度を設定してもよい。開口幅は、典型的には扉部10が全開のときの第1の可動扉11Lと第2の可動扉11Rの水平方向の間隔である。
図1に示されるように、第1の可動扉11Lの全閉位置と全開位置の間の移動距離をW1、第2の可動扉11Rの全閉位置と全開位置の間の移動距離をW2とすれば、開口幅はW1+W2で表される。ここで、移動距離W1、W2は、自動ドア100の水平方向寸法に収まる範囲で個別に設定できる。なお、停電時等の通常の電源が利用できない非常時にバッテリから供給される臨時の電力によって扉部10が駆動される際の開口幅を通常時よりも小さくすることで非常時の扉部10の開閉駆動による電力消費を抑制してもよい。
【0018】
図1には、センサ30の例として、光学センサとしての起動センサ31と、保護センサ32が設けられる。起動センサ31は、扉部10の上方の無目60の表面に設けられる光電センサである。起動センサ31は、赤外線等の光を床面に向けて投光する複数の投光部と、床面からの反射光を受光する複数の受光部を備える。通行者等の物体が自動ドア100に近づいて光を遮ると、受光部の受光量が変化するため物体を検知できる。以下、このように検知対象の物体によって起動センサ31の受光部の受光量が有意に変化している場合、起動センサ31が検知状態であるという。検知状態にある起動センサ31の検知情報がコントローラ20に入力されると、ドアエンジン40の駆動により扉部10が開く。なお、起動センサ31は室内側(例えば
図1の紙面の表側)と室外側(例えば
図1の紙面の裏側)にそれぞれ設けられ、いずれの側から近づく通行者も検知できる。以下で両者を区別する必要がある場合は、それぞれ室内側起動センサ、室外側起動センサと記載する。
【0019】
なお、起動センサ31は、マイクロ波等の電波や超音波の反射により通行者を検知する構成としてもよい。また、
図1で31Aとして示すように、可動扉11Lおよび11Rの少なくとも一方に設けられるタッチプレートが通行者によって押されることで、扉部10を駆動する構成としてもよい。また、観光施設やアミューズメントパーク等では、通行者の検知や操作に加えてまたは代えて、施設の係員の操作で扉部10を駆動する態様も想定される。このような場合、施設の係員は扉部10から離れた位置に設けられる操作盤や自動ドア100と通信可能な操作端末で遠隔から扉部10を駆動できる。
【0020】
保護センサ32は、扉部10の第1の固定扉12Lと第2の固定扉12Rに設けられる光電センサである。保護センサ32は、第1の固定扉12Lおよび第2の固定扉12Rの一方に設けられる投光部と、他方に設けられる受光部を備える。投光部と受光部は床面から同じ高さに設けられ、投光部から水平方向に投光される赤外線等の光を受光部で受光する。扉部10が開いている状態で、その開口部を通行者が通過して光を遮ると受光部の受光量が変化するため、通行者を検知できる。以下、このように検知対象の通行者等によって保護センサ32の受光部の受光量が有意に変化している場合、保護センサ32が検知状態であるという。保護センサ32の主な目的は閉保護であり、可動扉11L、11Rの閉動作中に保護センサ32が通行者を検知すると、コントローラ20は閉駆動を中止して開駆動に切り替える反転制御を行う。これにより、閉じる可動扉11L、11Rに通行者が挟まれるのを防止できる。なお、このような閉保護の制御において、保護センサ32と同様に光電センサで構成される起動センサ31の検知情報を併用することで、通行者の検知精度を高めて安全性を更に向上できる。
【0021】
なお、保護センサ32は、マイクロ波等の電波や超音波の反射により通行者を検知する構成としてもよい。また、保護センサ32は固定扉12L、12Rとは異なる場所に設けてもよい。例えば、起動センサ31と同様に無目60に設けてもよいし、自動ドア100近傍の天井に設置してもよい。このような保護センサ32を複数設ければ、高コストになる一方で安全性が飛躍的に高まる。
【0022】
ドアエンジン40は、モータ駆動部41と、モータ42と、駆動プーリ43を備える。モータ駆動部41は、インテリジェントパワーモジュール(IPM)で構成され、コントローラ20の制御の下でモータ42を駆動する電圧ないし電流を発生させる。回転動力を発生させる動力源としてのモータ42は各種の公知のモータとして構成できるが、本実施形態では例えばホール素子を用いたエンコーダを備えるブラシレスモータとして構成される。エンコーダで検出されたモータ42の回転子の位置がモータ駆動部41に入力され、それに応じた駆動電圧ないし駆動電流がモータ42に印加されることで、所望の回転動力が発生する。モータ42によって回転駆動される駆動プーリ43は、図示しない歯車機構等を介してモータ42の回転子と連結され、連動して回転する。
【0023】
動力伝達部50は、ドアエンジン40で発生した動力を扉部10に伝達し、可動扉11L、11Rを開閉駆動する。動力伝達部50は、動力伝達ベルト51、従動プーリ52、連結部材53を備える。動力伝達ベルト51は、内周面に多数の歯が形成された環状のタイミングベルトであり、
図1の右側において駆動プーリ43に巻き付けられ、
図1の左側において従動プーリ52に巻き付けられる。この状態において動力伝達ベルト51の水平方向の寸法は、駆動プーリ43と従動プーリ52の水平方向の距離に等しく、また可動扉11L、11Rの可動域の水平方向の寸法と同程度である。モータ42により駆動プーリ43が回転すると、動力伝達ベルト51を介して従動プーリ52が連動して回転する。
【0024】
連結部材53は、可動扉11L、11Rをそれぞれ動力伝達ベルト51に連結して、開閉駆動する。ここで、一方の可動扉は動力伝達ベルト51の上側に連結され、他方の可動扉は動力伝達ベルト51の下側に連結される。
図1の例では、動力伝達ベルト51が反時計回りに回転すると、第1の可動扉11Lが左側に移動し第2の可動扉11Rが右側に移動する開動作となり、動力伝達ベルト51が時計回りに回転すると、第1の可動扉11Lが右側に移動し第2の可動扉11Rが左側に移動する閉動作となる。
【0025】
以上のような構成の自動ドア100において、起動センサ31が通行者を検知すると、コントローラ20の制御の下でドアエンジン40が反時計回りの回転動力を発生させ、扉部10を開駆動する。また、開駆動後、通行者が検知されない状態が所定時間継続した場合、コントローラ20の制御の下でドアエンジン40が時計回りの回転動力を発生させ、扉部10を閉駆動する。なお、閉駆動中に保護センサ32や起動センサ31が通行者を検知すると、コントローラ20が閉駆動から開駆動に切り替える反転制御を行う。
【0026】
図2は、自動ドア100の内外で相互に通信可能な各種の構成機器を模式的に示す。自動ドア100は、各構成機器が接続されて構成機器間のデータ通信を行うバス2を備える。バス2は任意の通信規格、例えばCAN(Controller Area Network)に則って構成される。CANはホストコンピュータを介さずに構成機器が相互に通信できるように設計されており、自動ドアに限らず様々なシステムの制御情報の伝送に広く利用されている。バス2に接続された各構成機器は、バス2を介して他の構成機器に情報を送信でき、他の構成機器がバス2に送信した情報のうち自身に必要な情報を選択的に受信できる。
【0027】
図2には、バス2に接続される構成機器として、コントローラ20、起動センサ31、タッチプレート31A、保護センサ32、操作盤33、認証装置34、電気錠コントローラ35、外部インターフェース36、表示装置37が例示され、いずれの構成機器も自動ドア100を構成する。なお、本図はバス2に接続されうる構成機器を例示列挙したものであり、
図1に示されない構成機器も示されている。また、実際の自動ドア100に設ける構成機器は目的に応じて選択でき、図示される全ての構成機器を設ける必要はない。例えば、通行者の検知や操作のみで扉部10を駆動する自動ドア100においては、係員等の操作を行うための操作盤33を設ける必要はない。逆に、観光施設やアミューズメントパーク等で、施設の係員の操作のみで扉部10を駆動する自動ドア100においては、通行者の検知や操作のための起動センサ31やタッチプレート31Aを設ける必要はない。ただし、自動ドア100全体を制御するコントローラ20は、多くの場合で必須の構成機器である。
【0028】
図示される構成機器のうち、コントローラ20、起動センサ31、タッチプレート31A、保護センサ32については前述したので説明を省略する。操作盤33は、観光施設やアミューズメントパーク等で施設の係員が操作し、扉部10を駆動する制御盤である。例えば、利用者が所定のタイミングで異なる部屋を移動するアトラクションにおいては、その移動タイミングに合わせて係員が操作盤33を操作し、各部屋の扉部10を開閉制御することで利用者が円滑に移動できる。なお、操作盤33は施設に固定的に設置されたものでもよいし係員が携帯できるものでもよい。また、後述する外部インターフェース36を介してコントローラ20等と通信可能なタブレットやスマートフォン等の情報通信機器に操作盤33の機能を実現してもよい。
【0029】
認証装置34は、集合住宅やオフィスの入口等の高いレベルのセキュリティが要求される場所で、通行を許可すべき通行者を認証する。認証の方法は、扉部10近傍に設けられるキーパッドの入力によるパスワード認証や、指紋等の通行者の生体情報を用いた生体認証等がある。認証装置34での認証が成功すると、コントローラ20が扉部10を開駆動し、通行者は自動ドア100を通行できる。認証装置34での認証が失敗すると、たとえ起動センサ31が通行者を検知していたとしても、コントローラ20は扉部10を開駆動せず、未認証の通行者の不正な通行を阻止できる。
【0030】
電気錠コントローラ35は、自動ドア100を施錠する電気錠35Aを制御する。電気錠35Aは、錠を施錠位置と解錠位置の間で駆動する錠駆動手段として、例えば通電状態に応じた駆動力を発生するソレノイドを備える。
【0031】
外部インターフェース36は、有線または無線の接続により、自動ドア100外の各種の外部機器36Aとの間で信号を入出力する。外部機器36Aとしては、自動ドア100の設置や保守点検のために現場に赴いた作業員が使用する調整器等の作業端末や、インターネット等の公衆情報通信網を介して接続された遠隔のサーバやコンピュータが例示される。また、後述する本実施形態の画像制御部の機能は、自動ドア100外の外部機器36Aで実現してもよいし、自動ドア100内で実現してもよい。画像制御部の機能を外部機器36Aで実現する場合、複数の自動ドア100と同じ建物内でそれらの管理および制御を集中的に行うバックヤードに設けられるサーバやコンピュータを外部機器36Aとして利用するのが好ましい。このような外部機器36Aの入力操作により、自動ドア100の各構成機器の制御やパラメータ調整等の各種設定を行える。また、外部機器36Aは、自動ドア100の各構成機器や、それらに付随して設けられるメモリから情報を読み取り、自動ドア100の状態診断や保守点検を行える。なお、上述の通り、自動ドア100内のバス2はCAN規格に則って構成されるが、外部機器36Aと外部インターフェース36の間の通信がそれとは別の規格、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)で行われる場合、外部インターフェース36は一方の規格に基づく信号を他方の規格に基づく信号に変換するプロトコル変換器として機能する。
【0032】
表示装置37は、他の構成機器や外部機器36Aから受信した画像信号を表示する表示部を備える。表示装置37は、例えば、自動ドア100の付近や自動ドア100と同じ建物内のバックヤードに設けられ、自動ドア100の稼働状況等を表示するディスプレイでもよい。この表示装置37がタッチパネル等の入力機能を備える場合は、ディスプレイ上のタッチ操作により自動ドア100の各構成機器の制御やパラメータ調整等の各種設定を行える。また、後述するように表示装置37は自動ドア100の扉部10すなわち可動扉11L、11Rや固定扉12L、12Rに設けてもよい。以下の説明では特に断らない限り表示装置37は扉部10に設けられるものとする。
【0033】
以上で例示列挙した自動ドア100を構成する構成機器、すなわち、コントローラ20、起動センサ31、タッチプレート31A、保護センサ32、操作盤33、認証装置34、電気錠コントローラ35、外部インターフェース36、表示装置37は、CAN規格に則ったバス2を介して相互に通信可能である。つまり、各構成機器はCAN通信のためのCANトランシーバとCANコントローラを内蔵する。外部インターフェース36は、これらに加えて外部機器36Aが利用する通信規格とCAN規格のプロトコル変換を行うプロトコル変換部を有する。これにより、外部インターフェース36に接続された外部機器36Aは、自動ドア100の他の構成機器とバス2を介して相互に通信可能である。
【0034】
以上、
図1および
図2を参照して自動ドア100の概要を説明した。続いて、扉部10に表示装置37が設けられる自動ドア100の構成について説明する。
図3は、扉部10に表示装置37が設けられる自動ドア100の分解斜視図である。表示装置37は、扉部10を構成する4枚の扉12L、11L、11R、12Rにそれぞれ設けられる。以下、各扉12L、11L、11R、12Rを扉10と総称することがある。
【0035】
扉10に設けられる表示装置37は、横方向または左右方向に長尺の矩形状の複数の表示モジュール70によって構成される。図示の例では扉10の表面に縦方向または上下方向に隙間なく並べられた8個の表示モジュール70によって扉10の表示装置37が構成される。この構成では扉10の表面の略全部が複数の表示モジュール70によって覆われるが、表示モジュール70または表示装置37は扉10の表面の一部に設けてもよい。例えば、扉10の上部には表示モジュール70を設けずに各扉10の反対側の視認性の確保を優先してもよい。但し、後述するように表示モジュール70は透過性を有するため、表示モジュール70があったとしても扉10の反対側の視認性は十分に確保できる。また、扉10の下部は汚れや傷が付く可能性が高く、画像を表示しても通行者の目に留まりづらいため、表示モジュール70を設けなくてもよい。なお、各表示モジュール70は矩形状に限らず任意の形状でよく、各表示モジュール70間に隙間を設けた配置としてもよい。
【0036】
隙間なく並べられた複数の表示モジュール70によって扉10の表面の略全部が覆われた図示の例では、後述する画像制御部によって各表示モジュール70に表示させる画像を互いに同期させることで、複数の表示モジュール70が一つの大きな合成画像を扉10の表面に表示できる。すなわち、扉10があたかも一つのディスプレイのように機能する。また、表示装置37の画像表示に異常が発生した場合、不具合のある一部の表示モジュール70の修理や交換をすればよく、表示装置37全体の修理や交換が不要となるので、効率良くメンテナンスを行える。
【0037】
各表示モジュール70は、扉10の表面に設けられて画像信号を表示する表示部71および扉10の縦枠14の内部に設けられて画像信号を取得するコネクタ部72を備える。すなわち、表示装置37は表示部71およびコネクタ部72の複数の組(表示モジュール70)によって構成される。表示部71は透過性および柔軟性を有するのが好ましい。透過性を有する表示部71によれば扉10の反対側の視認性を確保でき、柔軟性を有する表示部71によれば扉10の表面への取付容易性と密着性が向上する。このような透過性と柔軟性を兼ね備えた表示部71としては、フィルム状のLED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)やOLED(有機発光ダイオード:Organic Light-Emitting Diode)を利用できる。
【0038】
なお、これらの表示部71に実装されている発光素子や周辺素子によって表示部71の一部が不透明となることがあるが、少なくとも表示部71が画像を表示していない時に表示部71の少なくとも一部が透明または半透明になっていれば扉10の反対側の視認性を確保できるため、本実施形態ではこのような表示部71も透過性を有するという。また、表示部71は透過性または柔軟性を有しなくてもよい。例えば、透過性も柔軟性も有しない液晶によって表示部71を構成してもよい。この場合、表示部71に扉10の反対側の画像を表示させることにより、擬似的に扉10の反対側の視認性を確保できる。
【0039】
コネクタ部72は、表示モジュール70の横方向または左右方向の端部において表示部71に隣接して設けられる。図の左側の扉12L、11Lでは扉部10の開口部から遠い左端部にコネクタ部72が設けられ、図の右側の扉11R、12Rでは扉部10の開口部から遠い右端部にコネクタ部72が設けられる。各扉10において、複数の表示モジュール70のコネクタ部72は、縦枠14と重なる位置において縦方向または上下方向に整列する。縦枠14の内部には長手方向すなわち縦方向に沿って各コネクタ部72からの配線が通るガイド部141が設けられる。ガイド部141を通る配線は、
図2において表示装置37の各コネクタ部72をバス2に接続する。これによって、各コネクタ部72はバス2から画像信号を取得でき、表示部71に表示させることができる。後述するように、表示部71に表示させる画像信号は主に外部機器36Aとしての画像制御部から供給される。この場合、画像信号は画像制御部(外部機器36A)、外部インターフェース36、バス2、ガイド部141(配線)、コネクタ部72、表示部71という経路で伝達される。
【0040】
扉10の縦枠14は着脱可能なカバー部142を備える。カバー部142は縦方向または上下方向に長尺の部材であり、複数の表示モジュール70のコネクタ部72およびガイド部141を縦枠14の内部に収容する。
図4は、上面視による扉10の断面図である。内部が略中空の縦枠14は、カバー部142が前方(
図4の下方)から取り付けられる縦枠本体143を備える。縦枠本体143とカバー部142は二つの係合部144、145によって互いに係合される。第1の係合部144では、縦枠本体143の前面がカバー部142の後面と当接し、縦枠本体143の左側面がカバー部142に設けられる突起部の右側面と当接した状態で両者が係合される。第2の係合部145では、縦枠14の上端と下端に設けられる縦枠本体143の二つの突起部がカバー部142と当接した状態で両者が係合される。係合部144、145の係合方式は任意であるが、例えばスナップフィット方式が利用される。
【0041】
複数の表示モジュール70のコネクタ部72は、縦方向または上下方向に長尺の矩形状の取付面146に取り付けられる。
図4では第2の係合部145によってコネクタ部72が左右に分断されているように見えるが、前述の通り第2の係合部145は縦枠14の上端と下端のみに設けられるため、上下端の間に設置されるコネクタ部72は左右に繋がっている。また、コネクタ部72は、扉10の表面に設けられた表示部71と配線73によって接続され、画像信号を表示部71に供給する。なお、カバー部142が取り外された時には縦枠14の内部の全てのコネクタ部72が前方に向かって外部に露出するため、各表示モジュール70の点検、修理、交換等のメンテナンス作業を効率的に行える。
【0042】
ガイド部141は、縦方向または上下方向に長尺の矩形状の取付面147に取り付けられる。コネクタ部72の取付面146が前方を向いていたのに対し、ガイド部141の取付面147は側方(
図4の左方)を向いている。換言すれば、コネクタ部72の取付面146の法線方向とガイド部141の取付面147の法線方向は交差し、厳密には直交する。ガイド部141の取付面147を側方に向けたことによって、縦枠14の内部空間を効率的に利用してコネクタ部72より占有体積が大きいガイド部141を収容できる。また、取付面146、147は、縦枠14が扉10を把持する扉把持部148の外周面でもある。このように既存の扉把持部148の構造を利用して、コネクタ部72およびガイド部141を取り付けられるため、表示装置37を扉10に簡易に設置できる。なお、前述の通りガイド部141には各コネクタ部72からの配線(不図示)が縦方向(
図4の紙面に垂直な方向)に通る。
【0043】
図示の例では、表示部71およびコネクタ部72からなる表示モジュール70は扉10の前面(
図4の下面)に設けられるが、表示モジュール70は扉10の後面(
図4の上面)に設けてもよいし、扉10の前面と後面の両方に設けてもよい。
【0044】
続いて、扉部10に設けられる表示装置37による画像表示について説明する。
図5は、自動ドア100の画像制御装置80の機能ブロック図である。画像制御装置80は、画像制御部81と、検知情報取得部82と、選択部83と、発信情報取得部84を備える。
【0045】
画像制御部81は自動ドア100外の外部機器36A(
図2)として構成され、外部インターフェース36およびバス2を介して各表示モジュール70に画像信号を提供する。
図5において「ローカル」と示されるように、画像制御部81の機能は一または複数の自動ドア100と同じ建物内でそれらの管理および制御を集中的に行うバックヤードに設けられるサーバやコンピュータで実現される。なお、画像制御部81の機能は
図2に示されるような自動ドア100内の構成機器として実現してもよい。画像制御部81は、遠隔(リモート)または同じ建物内(ローカル)に設けられる画像サーバ90から、表示装置37に表示すべき画像信号を受信する。そして、画像制御部81は、後述するように、検知情報取得部82、選択部83、発信情報取得部84から提供される各種の情報に基づいて、画像サーバ90から受信した画像信号に対して加工、調整、編集、改変、重畳、付加等の画像制御処理を施したものを各表示モジュール70に送信する。
【0046】
このように、画像サーバ90および画像制御部81はそれぞれ画像信号を生成する。それぞれが生成する画像信号の種別や内容は限定されないが、典型的には、画像サーバ90は広告や自動ドア100の通行者に周知すべき一般的な案内等の自動ドア100の周辺の状況に依存しない画像信号を生成し、画像制御部81は後述する注意喚起情報、通行補助情報、開口位置情報、要注意箇所情報のように自動ドア100の周辺の状況に依存する付加的な画像信号を生成する。なお、画像サーバ90と画像制御部81が同じ場所に設けられる場合は、両者を別体として構成する必要はなく、一体として構成できる。
【0047】
検知情報取得部82は、自動ドア100の周辺の状況を検知するセンサの検知情報を取得する。センサの種類、数、設置態様は問わないが、
図5に例示されるように、起動センサ31(
図1、2のタッチプレート31Aも含む)、保護センサ32、扉動作検知部821、画像センサ822、輝度センサ823等の各種のセンサが利用可能である。なお、図示は省略するが、これらのセンサが自動ドア100外に設けられている場合、検知情報取得部82は外部インターフェース36およびバス2を介して検知情報を取得する。例えば、自動ドア100の周辺を撮影する自動ドア100外の監視カメラの画像センサ822の検知情報は、外部機器36A(
図2)としての監視カメラから外部インターフェース36およびバス2を介して検知情報取得部82に提供される。画像制御部81は、検知情報取得部82が取得した検知情報に基づいて自動ドア100の扉10に設けられる表示部71または表示装置37が表示する画像を制御する。
【0048】
起動センサ31の検知情報は、起動センサ31の検知状態を示す。すなわち、自動ドア100の通行者等の検知対象が起動センサ31の検知エリア内にある検知状態では、光を遮る検知対象による起動センサ31の受光部の受光量の有意な変化に応じて検知情報が生成される。一方、検知対象が起動センサ31の検知エリア内にない非検知状態では、起動センサ31の受光部の受光量に有意な変化がないため検知情報が生成されない。後述するように、画像制御部81は、検知情報に基づいて起動センサ31が検知状態であると判断した時、表示部71または表示装置37が表示している画像の非表示、当該画像の縮小、当該画像の表示部71または表示装置37の端の方への移動、扉部10の反対側の映像の表示の少なくともいずれか一つの制御を行う。
【0049】
起動センサ31の検知情報によれば、起動センサ31が検知している対象が扉部10に向かって移動していることも検知できる。すなわち、起動センサ31は検知エリアとしての床面を格子状等に分割した複数の検知スポットからの反射光を受光する複数の受光部を備えるため、検知対象が検知された検知スポットが扉部10に向かって移動していれば、検知対象が扉部10に向かって移動していることが分かる。後述するように、画像制御部81は、検知情報に基づいて起動センサ31が検知している対象が扉部10に向かって移動していると判断した時、表示部71または表示装置37が表示している画像の非表示、当該画像の縮小、当該画像の表示部71または表示装置37の端の方への移動、扉部10の反対側の映像の表示の少なくともいずれか一つの制御を行う。
【0050】
同様に、起動センサ31の検知情報によれば、扉部10に接近する接近者を検知できる。後述するように、画像制御部81は、検知情報に基づいて扉部10に接近する接近者がいると判断した時、検知された接近者に対して表示部71または表示装置37が表示する画像を変化させる。
【0051】
起動センサ31の検知情報によれば、自動ドア100の周辺の混雑状況を推定する混雑状況推定部を構成できる。すなわち、検知対象が検知された検知スポット数が多い場合、検知エリア内が多くの検知対象で混雑していることが分かる。但し、起動センサ31の検知エリアは限られているため、より広いエリアでの混雑状況を推定するためには、後述する画像センサ822や発信情報取得部84を利用するのが好ましい。後述するように、画像制御部81は、検知情報に基づいて推定された自動ドア100の周辺の混雑状況に応じて表示部71または表示装置37が表示する画像を変化させる。また、画像制御部81は、混雑状況推定部が推定した混雑状況が閾値以下の時、表示部71または表示装置37の画像を非表示としてもよいし、表示部71または表示装置37の画像の輝度を下げてもよい。
【0052】
起動センサ31の検知情報によれば、自動ドア100の周辺にいる人の異常も検知できる。例えば、本来は人が近づくべきではない固定扉12L、12Rに隣接する起動センサ31の検知スポットで検知対象(人)が検知された場合、開く可動扉11L、11Rが検知対象(人)に衝突する可能性がある異常な状態であることを認識できる。但し、起動センサ31の検知エリアは限られているため、より広いエリアでの異常を検知するためには、後述する画像センサ822や発信情報取得部84を利用するのが好ましい。後述するように、画像制御部81は、検知情報に基づいて自動ドア100の周辺にいる人の異常を検知した時、異常が検知された人に対して注意を喚起する注意喚起情報を表示部71または表示装置37に表示させる。
【0053】
起動センサ31の検知情報によれば、可動扉11L、11Rの動作も検知できる。すなわち、起動センサ31の検知情報がコントローラ20に入力されると、ドアエンジン40の駆動により可動扉11L、11Rが開くため、起動センサ31の検知情報は可動扉11L、11Rの開動作を示す。また、可動扉11L、11Rの開動作の速度や開口幅はコントローラ20によって予め設定されているため、開動作中の可動扉11L、11Rの位置や速度も検知できる。さらに、全開位置にある可動扉11L、11Rが閉動作を開始するタイミングや閉動作の速度もコントローラ20によって予め設定されているため、閉動作中の可動扉11L、11Rの位置や速度も検知できる。このように、起動センサ31の検知情報をトリガとして、可動扉11L、11Rの開閉動作を検知できる。なお、可動扉11L、11Rの位置や速度を測定する位置センサや速度センサが扉動作検知部821に設けられる場合は、その検知情報に基づいて可動扉11L、11Rの動作を検知してもよい。後述するように、画像制御部81は、検知情報に基づいて検知された可動扉11L、11Rの動作に応じて表示部71または表示装置37が表示する画像を制御する。
【0054】
保護センサ32の検知情報は、保護センサ32の検知状態を示す。すなわち、自動ドア100の通行者等の検知対象が保護センサ32の検知エリア内にある検知状態では、光を遮る検知対象による保護センサ32の受光部の受光量の有意な変化に応じて検知情報が生成される。一方、検知対象が保護センサ32の検知エリア内にない非検知状態では、保護センサ32の受光部の受光量に有意な変化がないため検知情報が生成されない。後述するように、画像制御部81は、検知情報に基づいて保護センサ32が検知状態であると判断した時、注意を喚起する注意喚起情報を表示部71または表示装置37に表示させる。
【0055】
保護センサ32の検知情報によれば、起動センサ31の検知情報と併せて、可動扉11L、11Rの動作も検知できる。すなわち、可動扉11L、11Rの閉動作中に保護センサ32が通行者を検知すると、コントローラ20は閉駆動を中止して開駆動に切り替える反転制御を行うため、保護センサ32の検知情報は可動扉11L、11Rの反転動作を示す。また、可動扉11L、11Rの反転動作の速度や開口幅はコントローラ20によって予め設定されているため、反転動作中の可動扉11L、11Rの位置や速度も検知できる。
【0056】
画像センサ822は、自動ドア100の周辺を撮影した画像情報を検知情報として検知情報取得部82に提供する。画像センサ822は、自動ドア100に設けられたものでもよいし、自動ドア100外の監視カメラ等に設けられたものでもよい。画像センサ822の検知情報によれば、起動センサ31の検知情報と同様に、検知対象が扉部10に向かって移動していることや、扉部10に接近する接近者や、自動ドア100の周辺の混雑状況や、自動ドア100の周辺にいる人の異常や、可動扉11L、11Rの動作を検知できる。この際、人工知能や機械学習に基づく画像認識技術や画像解析技術を利用することによって、検知対象としての人や物体を個別に認識でき、各人の行動、表情、視線、服装、年齢や性別等の属性、状態、状況等を把握できる。後述するように、画像制御部81は、画像センサ822の検知情報に基づいて自動ドア100の周辺にいる人に向けた画像や情報を表示部71または表示装置37に表示させる。例えば、画像制御部81は、画像センサ822の検知情報に基づいて扉部10に接近する接近者の視線上の画像を変化させる。
【0057】
輝度センサ823は、自動ドア100近傍の輝度を測定した輝度情報を検知情報として検知情報取得部82に提供する。輝度センサ823は、自動ドア100に設けられたものでもよいし、自動ドア100外の壁や天井に設けられたものでもよい。画像制御部81は、輝度センサ823の検知情報に応じて表示部71または表示装置37が表示する画像の輝度を調整する。すなわち、自動ドア100の周辺の輝度が高い場合は画像の輝度も高くし、自動ドア100の周辺の輝度が低い場合は画像の輝度も低くすることで、自動ドア100の周辺にいる人が画像を適切に視認できるように調整する。なお、一日の間の輝度変化は季節毎にある程度決まっているため、輝度センサ823を用いずに一日の時間経過に合わせて画像の輝度を調整してもよい。
【0058】
選択部83は、検知情報取得部82で取得された検知情報、特に画像センサ822の検知情報に基づいて自動ドア100の周辺にいる少なくとも一人を選択する。例えば、選択部83は視線上に表示部71または表示装置37がある人を選択する。画像制御部81は、選択部83によって選択された人に向けた画像を表示部71または表示装置37に表示させる。前述の通り、画像センサ822の検知情報を利用すれば、選択部83によって選択された人の行動、表情、視線、服装、年齢や性別等の属性、状態、状況等を把握できるため、画像制御部81はその人が興味を持つ可能性の高い画像または情報を画像サーバ90から選択して表示部71または表示装置37に表示させることができる。
【0059】
発信情報取得部84は、自動ドア100の周辺にある情報通信機器84Aの発信情報を取得する。発信情報取得部84が取得する発信情報は、自動ドア100の周辺にいるユーザが使用している携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等の情報通信機器84Aが画像制御装置80に向けて発信した情報、または、画像制御装置80による取得をユーザが許可した情報に限られる。画像制御部81は発信情報取得部84が取得した発信情報に基づいて表示部71または表示装置37が表示する画像を制御する。例えば、発信情報取得部84が取得した発信情報にユーザの行動、嗜好、年齢や性別等の属性、状態、状況等に関する情報が含まれている場合、画像制御部81はそのユーザが興味を持つ可能性の高い画像または情報を画像サーバ90から選択して表示部71または表示装置37に表示させることができる。また、発信情報取得部84が取得した発信情報によれば、起動センサ31や画像センサ822の検知情報と同様に、自動ドア100の周辺の混雑状況や自動ドア100の周辺にいる人の異常を検知できる場合がある。例えば、発信情報取得部84が短時間に多くの情報通信機器84Aから発信情報を取得した場合、自動ドア100の周辺が情報通信機器84Aの使用者である多くの人で混雑していることが分かる。
【0060】
続いて、扉部10に設けられる表示装置37の具体的な画像表示例について説明する。
図6は、自動ドア100の周辺の状況と、扉部10の各扉12L、11L、11R、12Rに設けられる表示装置37に表示される画像I2L、I1L、I1R、I2Rを模式的に示す。自動ドア100の周辺には多くの人がいるが、そのうち第1の人P1は起動センサ31の検知エリア31B内に入って自動ドア100に接近して通行しようとしながら視線S1が可動扉11Lに表示されている広告画像I1Lに向けられており、第2の人P2の視線S2は可動扉11Rに表示されている広告画像I1Rに向けられている。第1の人P1が自動ドア100に向かって移動しながら可動扉11Lの広告画像I1Lを見ていることや、第2の人P2が可動扉11Rの広告画像I1Rを見ていることを含め、自動ドア100の周辺にいる人の状況や様子は画像センサ822等によって検知される。図示の例では、自動ドア100外のセンサとして、画像センサ822と輝度センサ823に加えて、自動ドア100の周辺の温度、湿度、騒音等の環境データを測定する環境センサ824が設けられ、画像制御部81の画像制御に利用される。例えば、画像制御部81は温度が高い場合に冷たい飲み物やアイスクリームの広告画像を扉10に表示させる。
【0061】
図7は、第1の人P1に対する画像表示例を示す。
図7(A)では、
図6と同様の画像が各扉12L、11L、11R、12Rに表示されている。前述の通り、第1の人P1は可動扉11Lの広告画像を見ており、その視界または視野の中央部がS1で示されている。
図7(B)~(J)は、可動扉11L、11Rに接近する接近者としての第1の人P1に対して画像制御部81が変化させる可動扉11Lの画像例である。ここでは可動扉11Lの画像例のみを示すが、画像制御部81は可動扉11Rの画像を同様に変化させてもよい。
【0062】
図7(B)では、検知エリア31B内にいる第1の人P1によって起動センサ31が検知状態となったことに応じて、画像制御部81が可動扉11Lの画像を非表示とする。この時、非表示となった画像の代わりに第1の人P1の視界を妨げない文字情報等の視認性の良い情報を可動扉11Lに表示させてもよい。
図7(C)では、検知エリア31B内にいる第1の人P1によって起動センサ31が検知状態となったことに応じて、画像制御部81が可動扉11Lの画像の輝度を低くする。
図7(D)では、検知エリア31B内にいる第1の人P1によって起動センサ31が検知状態となったことに応じて、画像制御部81が可動扉11Lの画像を縮小する。
図7(E)では、検知エリア31B内にいる第1の人P1によって起動センサ31が検知状態となったことに応じて、画像制御部81が可動扉11Lの画像を可動扉11Lの端の方へ移動させる。これらの画像例によれば、自動ドア100を通行しようとする第1の人P1の視界が広告画像等によって妨げられるのを防止でき、通行中の安全性を高めることができる。なお、以上の
図7(B)~(E)の画像および以下で説明する
図7(F)~(J)の画像は、検知エリア31B内にいる第1の人P1が可動扉11L、11Rに向かって移動していることを検知情報取得部82が検知した時に画像制御部81が表示させてもよい。
【0063】
図7(F)~(I)の例では、画像制御部81が接近者としての第1の人P1の視界S1内または視線S1上の画像を変化させる。
図7(F)では、画像制御部81が第1の人P1の視界S1内または視線S1上の画像を非表示とする。
図7(G)では、画像制御部81が第1の人P1の視界S1内または視線S1上の画像の輝度を低くする。この場合、第1の人P1が可動扉11Lに近づくにつれて視界S1内または視線S1上の画像の輝度を徐々に低くしてもよい。このようにすれば、第1の人P1は可動扉11Lの画像によって目が眩むことなく自動ドア100を安全に通行できる。
図7(H)では、画像制御部81が第1の人P1の視界S1または視線S1外へ画像を移動させる。
図7(I)では、画像制御部81が第1の人P1の視界S1内または視線S1上に可動扉11Lの反対側の画像を表示させる。これらの画像例によれば、自動ドア100を通行しようとする第1の人P1の視界S1が広告画像等によって妨げられるのを防止でき、通行中の安全性を高めることができる。
【0064】
図7(J)では、画像制御部81が接近者としての第1の人P1の自動ドア100の通行を補助する通行補助情報を表示部としての可動扉11Lに表示させる。具体的には、自動ドア100の開口の位置を示す開口位置情報811および自動ドア100の開閉部や方立等の要注意箇所を示す要注意箇所情報812が通行補助情報として可動扉11Lに表示される。
図7(A)のように可動扉11Lおよび他の扉12L、11R、12Rを広告画像等のディスプレイとして利用する場合、自動ドア100の本来の開閉動作に関する注意が弱まる可能性があるが、
図7(J)のように自動ドア100への接近者に対して通行補助情報を表示することで開閉動作に関する注意を喚起でき、通行中の安全性を高めることができる。以上、
図7(B)~(J)の画像例を個別に説明したが、これらの画像例は適宜組み合わせてもよい。例えば、
図7(C)のように画像の輝度を低くしたり、
図7(D)のように画像を縮小するのと同時に、
図7(J)のような通行補助情報を表示してもよい。
【0065】
図8は、第2の人P2に対する画像表示例を示す。
図8(A)では、
図6と同様の画像が各扉12L、11L、11R、12Rに表示されている。前述の通り、第2の人P2は可動扉11Rの広告画像を見ており、その視界または視野の中央部がS2で示されている。
図8(B)は、広告画像を見ている第2の人P2に対して画像制御部81が表示させる可動扉11Rの画像例である。第2の人P2が見ている広告画像上に特別割引情報を表示させることで、第2の人P2の商品購買意欲を促進できる。なお、このような画像表示は前述の選択部83を介して行われる。選択部83は、検知情報取得部82で取得された検知情報、特に画像センサ822の検知情報に基づいて、視線S2上に可動扉11R(表示装置37)がある第2の人P2を選択する。そして、画像制御部81は、選択部83によって選択された第2の人P2に向けた
図8(B)の画像を可動扉11Rに表示させる。
【0066】
図9は、検知情報取得部82が取得した検知情報に基づいて自動ドア100の周辺にいる人の異常を検知した画像制御部81が、異常が検知された人に対して注意を喚起する注意喚起情報を各扉12L、11L、11R、12Rに表示させる例を示す。第3の人P3は、起動センサ31の検知エリア31B内に入って自動ドア100に向かって高速で走っており、可動扉11L、11Rが開く前に衝突する可能性があることから、画像制御部81は異常を検知して、第3の人P3の停止を促す注意喚起情報813を両可動扉11L、11Rに表示させる。第4の人P4は、起動センサ31の検知エリア31B内で固定扉12Lに接触または近接しており、可動扉11Lが開くと衝突する可能性があることから、画像制御部81は異常を検知して、第4の人P4に固定扉12Lの前に立たないように注意を促す注意喚起情報814を固定扉12Lに表示させる。なお、固定扉12Rには表示すべき注意喚起情報がないため、広告画像等をそのまま表示させてもよい。
【0067】
図10は、検知情報取得部82が取得した検知情報に基づいて検知された可動扉11L、11Rの動作に応じて、画像制御部81が各扉12L、11L、11R、12Rに表示させる画像例を示す。
図10(A)では、
図6と同様の画像が各扉12L、11L、11R、12Rに表示されている。
図10(B)は、可動扉11L、11Rの開動作中の画像例を示す。この例では
図10(A)の画像がそのまま表示されているように見えるが、可動扉11Lと固定扉12Lが重なる位置では可動扉11Lによって隠される部分の固定扉12Lの画像は非表示となっており、可動扉11Rと固定扉12Rが重なる位置では可動扉11Rによって隠される部分の固定扉12Rの画像は非表示となっている。このように外から視認できない部分の画像を非表示とすることで、固定扉12L、12Rの表示装置37の消費電力を低減できる。
【0068】
図10(B)の代わりに、
図10(C)のように可動扉11L、11Rの開動作に応じて徐々に小さくなる固定扉12L、12Rの画面に合わせて、画像中の広告商品等の大きさ、向き、位置、速度等を動的に変化させてもよい。このように可動扉11L、11Rの動作すなわち位置や速度に応じて画像を動的に変化させることで自動ドア100の周辺にいる人の注意を引きつけることができる。
【0069】
図10(D)は全開状態を表し、可動扉11L、11Rがそれぞれ固定扉12L、12Rと重なる。このタイミングで各扉12L、11L、11R、12Rの画像がリセットされる。
図10(E)では、可動扉11L、11Rの閉動作に応じて、
図10(A)~(C)とは異なる画像が各扉12L、11L、11R、12Rに徐々に現れる。固定扉12L、12Rでは、
図10(C)と同様に、可動扉11L、11Rの閉動作に応じて徐々に大きくなる固定扉12L、12Rの画面に合わせて、画像中の広告商品等の大きさ、向き、位置、速度等が動的に変化する。また、可動扉11L、11Rでは、可動扉11L、11Rの閉動作の位置や速度に合わせて、画像中の広告商品等が後方から前方に徐々に近づいてくるような画像制御が画像制御部81によって行われる。
【0070】
図10(F)は全閉状態を表す。前述したように、一つ前の全閉状態である
図10(A)とは異なる画像が各扉12L、11L、11R、12Rに表示されている。このように、可動扉11L、11Rの開閉毎に画像を変化させることで、自動ドア100の周辺にいる人の興味を引き続けることができる。可動扉11L、11Rの開閉毎に画像を変化させる他の例として、各扉12L、11L、11R、12Rに表示される人や物が可動扉11L、11Rの開閉毎に少しずつ動くようにしてもよい。この場合、自動ドア100は開閉毎に人や物が動くパラパラマンガや紙芝居のように機能する。
【0071】
なお、画像制御部81は、検知情報取得部82が取得した検知情報に基づいて可動扉11L、11Rの通常動作とは異なる例外動作を検知した場合、その説明情報や注意喚起情報を各扉12L、11L、11R、12Rに表示させてもよい。例えば、可動扉11L、11Rの閉動作中に保護センサ32が通行者を検知すると閉動作から開動作に切り替わる反転動作が発生した場合、その説明情報や注意喚起情報を少なくとも一つの扉10に表示させてもよい。また、
図9のように第4の人P4が固定扉12Lに接触または近接している状態では、安全のために可動扉11L、11Rの開動作が禁止される場合があるが、その説明情報や注意喚起情報を例えば固定扉12Rに表示すれば、自動ドア100の周辺にいる人は可動扉11L、11Rが開かない理由を理解できる。
【0072】
画像制御部81は、検知情報取得部82が取得した検知情報に基づいて推定された自動ドア100の周辺の混雑状況に応じて扉10が表示する画像を変化させてもよい。例えば、画像制御部81は推定された混雑状況に応じて扉10の画像の表示と非表示を切り替える。具体的には、自動ドア100の周辺が混雑している場合は扉10に広告画像等を表示して多くの人に見てもらう一方、自動ドア100の周辺が混雑していない場合は広告画像等を表示しても見る人が少ないため扉10の画像を非表示として消費電力を低減する。また、画像制御部81は推定された混雑状況に応じて扉10の画像の輝度を変化させてもよい。例えば、混雑時は扉10の画像の輝度を高くし、非混雑時は扉10の画像の輝度を低くして消費電力を低減する。
【0073】
図11は、表示装置37の第2の設置例を模式的に示す。なお、表示装置37の第1の設置例は、
図3および
図4において示した。本設置例および後述する第3の設置例では、固定扉12の少なくとも一方の表面15に一または複数の表示装置37が取り付けられるが、一または複数の表示装置37は、可動扉11に取り付けられてもよいし、後述するガードスクリーンに取り付けられてもよい。
【0074】
固定扉12の表面15は、固定扉12を左右から支持する一対の縦框151と、固定扉12を上下から支持する一対の横框152によって形成される矩形枠で囲まれた矩形状の領域である。上側の横框152の上方に無目60が設けられ、一方の縦框151(
図11においては右側の縦框151)は、自動ドア100全体(特に可動扉11および固定扉12)を取り付けるためのたて枠16に固定される。
【0075】
一または複数の表示装置37の画面の総面積が固定扉12の表面15の面積より小さい場合、固定扉12の表面15には表示装置37の画面がない部分が存在する。このような場合、固定扉12の表面15において表示装置37の画面がない部分には遮光フィルタ等の遮光部材を取り付けることで、表示装置37の周囲で光が固定扉12を透過することを防止できるため、表示装置37の視認性を高められる。
【0076】
本設置例では、四つの表示装置37が固定扉12の表面15に取り付けられる。図示の各表示装置37の画面は紙面の裏側(奥)を向いている。すなわち、
図11には各表示装置37の背面が示されている。四つの表示装置37は、それらの背面(
図11における手前側)から取り付けられる上下保持部材181および中央保持部材182によって、固定扉12の表面15に取り付けられて保持される。
【0077】
上下保持部材181は、四つの表示装置37の組合せによって構成される一つの大きな表示装置の上端部および下端部の少なくともいずれかと、固定扉12の表面15の一部を覆う。図示の例では、一つの大きな表示装置の上端部および下端部の両方に、上下一対の上下保持部材181が設けられる。
【0078】
図12は、例えば上側の上下保持部材181の側断面図である。表示装置37は、画面が本図における左側(以下では正面側ともいう)を向いた状態で、固定扉12の右側の表面15に取り付けられる。固定扉12がガラス等の透明材料で構成されているため、表示装置37が表示する画像は正面側(左側)の人にとって視認可能である。表示装置37は、背面側(
図12における右側)から取り付けられる上下保持部材181によって、固定扉12の表面15(背面)に対して保持される。上下保持部材181は、上端部が縦框151に固定され(
図11では配線371を図示する都合上、上下保持部材181と縦框151の間に隙間があるが、実際には両者が接触して固定されている)、固定扉12の表面15に直接的に接触する。また、上下保持部材181の下端部は、上端部よりも背面側に形成されて表示装置37の背面を支持する。上下保持部材181の下端部は、表示装置37の背面に固定されてもよいし、上端部を固定端とする片持ち梁として、表示装置37の背面に固定されないが接触しうる位置に設けられてもよい。このような上下保持部材181によって、表示装置37の上端部および/または下端部(
図12の例では上端部)が、当該上下保持部材181の端部(
図12の例では下端部)と固定扉12の表面15の間に挟まれることで効果的に保持される。
【0079】
また、上下保持部材181は、表示装置37の上端部および/または下端部に対して防水性や防塵性を付与できる。
図12の例では、上方および/または右方からの水(例えば雨)や塵の表示装置37の上端部への侵入が、上下保持部材181によって効果的に防止される。特に、模式的に図示されるように、表示装置37の上端と上下保持部材181の間には空間が形成されており、そこを表示装置37の配線371が通過しうる。本実施形態の上下保持部材181によれば、このような空間に水や塵が侵入して配線371と接触することによる表示装置37の不具合の発生を効果的に予防できる。
【0080】
なお、下側の上下保持部材181についての図示は省略するが、
図12で示した上側の上下保持部材181と上下が反転された構成を備え、作用および/または効果は同様である。また、上下保持部材181と同様の形状の保持部材が、表示装置37の左右の側部に設けられてもよい。この場合、それぞれの側部の保持部材は、上下保持部材181が90度回転された構成を備え、上下保持部材181と同様の作用および/または効果を有する共に、上下保持部材181のみで保持するよりも保持強度を上げられる。
【0081】
図11に示されるように、各上下保持部材181は、可動扉11の開閉方向(
図11における左右方向)に延在して、少なくとも一方の端部が、固定扉12の縦框151に対向する。なお、各上下保持部材181の端部は、固定扉12の縦框151に接触していてもよい。
図12に示されるように、表示装置37の配線371は、開閉方向(
図12における紙面に垂直な方向)に長尺の上下保持部材181によって開閉方向にガイドされる。そして、
図11に模式的に示されるように、上下保持部材181の一端部(
図11の例では右端部)から引き出された配線371は、不図示の孔等を介して縦框151(
図11の例では右側の縦框151)およびたて枠16の内部に入り、当該たて枠16の右側の面に設けられる不図示の孔等から自動ドア100の外に引き出される。この配線371は、
図5に示される画像制御装置80等に接続される。このように、表示装置37の配線371が、上下保持部材181に収納されながらガイドされるため、可動扉11に接触して開閉動作を阻害することも予防される。
【0082】
図11において、中央保持部材182は、四つの表示装置37の組合せによって構成される一つの大きな表示装置の上下方向の中央部、すなわち、上側の二つの表示装置37と下側の二つの表示装置37の間の左右方向の境界線(破線で示されている)を覆う。
【0083】
図13は、中央保持部材182の側断面図である。
図12と同様に、上下の二つの表示装置37は、画面が本図における左側(正面側)を向いた状態で、固定扉12の右側の表面15に取り付けられる。固定扉12がガラス等の透明材料で構成されているため、表示装置37が表示する画像は正面側(左側)の人にとって視認可能である。上下の二つの表示装置37は、背面側(
図13における右側)から取り付けられる中央保持部材182によって、固定扉12の表面15(背面)に対して保持される。中央保持部材182は、各表示装置37の背面に直接的に固定されてもよいし、各表示装置37の背面に固定されないが接触しうる位置に設けられてもよい。
図11に示されるように、中央保持部材182は開閉方向(左右方向)に延在して、その両端部が固定扉12の左右両側の縦框151に固定されている。このような中央保持部材182によって、上下の二つの表示装置37が固定扉12の表面15に対して効果的に保持される。
【0084】
また、中央保持部材182は、上下の二つの表示装置37の接触部に対して防水性や防塵性を付与できる。
図13の例では、上方、右方、下方からの水(例えば雨)や塵の各表示装置37の接触部への侵入が、中央保持部材182によって効果的に防止される。特に、模式的に図示されるように、上下の二つの表示装置37と中央保持部材182の間には空間が形成されており、そこを表示装置37の配線371が通過しうる。本実施形態の中央保持部材182によれば、このような空間に水や塵が侵入して配線371と接触することによる表示装置37の不具合の発生を効果的に予防できる。
【0085】
図13に示されるように、表示装置37の配線371は、開閉方向(
図13における紙面に垂直な方向)に長尺の中央保持部材182によって開閉方向にガイドされる。そして、
図11に模式的に示されるように、中央保持部材182の一端部(
図11の例では右端部)から引き出された配線371は、不図示の孔等を介して縦框151(
図11の例では右側の縦框151)およびたて枠16の内部に入り、当該たて枠16の右側の面に設けられる不図示の孔等から自動ドア100の外に引き出される。この配線371は、
図5に示される画像制御装置80等に接続される。このように、表示装置37の配線371が、中央保持部材182に収納されながらガイドされるため、可動扉11に接触して開閉動作を阻害することも予防される。
【0086】
図14は、表示装置37の第3の設置例を模式的に示す。第2の設置例と同様の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。本設置例では、固定扉12の少なくとも一方の表面15に一つの表示装置37が取り付けられる。この表示装置37の画面は、第2の設置例と同様に紙面の裏側(奥)を向いていてもよいし、紙面の表側(手前)を向いていてもよい。前者の場合、後述する周縁保持部材183が画面内または画像内で視認されないように、固定扉12の表面15において周縁保持部材183が固定される部分には遮光フィルタ等の遮光部材を取り付けるのが好ましい。
【0087】
一つの表示装置37は、その周縁部(すなわち四辺部)に沿って固定扉12の表面15に固定される、一または複数の線状または棒状の周縁保持部材183に、ねじ等の固定部材を介して取り付けられる。このように、一つの表示装置37は、一または複数の周縁保持部材183を介して(間に挟んで)、固定扉12の表面15に取り付けられて保持される。表示装置37の画面が紙面の裏側(奥)を向いている場合、第2の設置例と同様に、背面(紙面の手前の面)から表示装置37を保持する上下保持部材181および/または中央保持部材182が、周縁保持部材183に加えて設けられてもよい。
【0088】
第2の設置例における上下保持部材181および中央保持部材182と同様に、周縁保持部材183の一部または全部は、それぞれの延在方向に表示装置37の配線371(
図14では不図示)をガイドする機能を兼ね備えてもよい。
【0089】
図15は、可動扉11および固定扉12に加えてガードスクリーン19が設けられる自動ドア100の模式的な上面図である。ガードスクリーン19は、開状態(図示の状態)の可動扉11を間に挟んで、固定扉12に対向して設けられる。ガードスクリーン19の表示装置37に対向する面に遮光フィルムを貼付することによって、固定扉12に複数の表示装置37が設けられる場合に各表示装置37の隙間から光が漏れないようにしてもよい。また、図示の例では固定扉12に表示装置37が設けられているが、これに加えてまたは代えて可動扉11および/またはガードスクリーン19に表示装置37が設けられてもよい。
【0090】
ガードスクリーン19は、可動扉11が閉状態(図示の開状態より左側にある状態)にある際や、閉状態から開状態に遷移する際に、人や物が固定扉12や移動する可動扉11に接触することを防止する。図示の例では、固定扉12に表示装置37が設けられているため、ガードスクリーン19は、人や物が表示装置37に接触することも防止できる。なお、
図16に示されるようにガードスクリーン19が設けられない場合、表示装置37の背面(
図16の例では下面)に保護プレート185を取り付けることで、表示装置37が保護されてもよい。
【0091】
また、図示の例のように、固定扉12の縦框151と表示装置37の間に隙間がある場合、そこに人の手や物が誤って入り込み、可動扉11と接触することを防止するため、当該隙間を埋める保護部材184が設けられるのが好ましい。保護部材184の材料や形状は任意であるが、例えば、樹脂製もしくはアルミ製の部材や発泡スチロール等の緩衝材料でもよい。
【0092】
本実施形態の第2および第3の設置例は、既設の自動ドアに表示装置を設ける場合に好適である。
【0093】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0094】
なお、実施形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【0095】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0096】
2 バス、10 扉部、11L 第1の可動扉、11R 第2の可動扉、12L 第1の固定扉、12R 第2の固定扉、14 縦枠、15 表面、16 たて枠、19 ガードスクリーン、20 コントローラ、31 起動センサ、32 保護センサ、36 外部インターフェース、36A 外部機器、37 表示装置、70 表示モジュール、71 表示部、72 コネクタ部、80 画像制御装置、81 画像制御部、82 検知情報取得部、83 選択部、84 発信情報取得部、84A 情報通信機器、90 画像サーバ、100 自動ドア、141 ガイド部、142 カバー部、151 縦框、181 上下保持部材、182 中央保持部材、183 周縁保持部材、184 保護部材、185 保護プレート、371 配線、811 開口位置情報、812 要注意箇所情報、813、814 注意喚起情報、821 扉動作検知部、822 画像センサ、823 輝度センサ、824 環境センサ。