(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022254
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01P 1/203 20060101AFI20240208BHJP
H01P 1/212 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H01P1/203
H01P1/212
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125693
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】易 龍飛
(72)【発明者】
【氏名】戸蒔 重光
(72)【発明者】
【氏名】芦田 裕太
【テーマコード(参考)】
5J006
【Fターム(参考)】
5J006HB05
5J006JA04
5J006JA31
5J006LA03
5J006LA11
5J006NB01
5J006NB06
5J006NE02
(57)【要約】
【課題】複数の共振器の間に発生する電磁界結合を調整することができる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1は、積層体2と、第一シールド5A及び第二シールド5Bと、第一共振器6及び第五共振器10と、第二シールド5Bに接続されている遮蔽導体35と、を備え、遮蔽導体35は、第三方向D3から見たときに、第一共振器6と第五共振器10との間において第三方向D3に延在している領域に配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向している実装面及び主面と、互いに対向している一対の第一側面と、互いに対向している一対の第二側面と、を有している積層体と、
前記積層体の前記実装面に配置されている入出力端子及びグラウンド端子と、
前記積層体内に配置されている第一シールド及び第二シールドであって、前記グラウンド端子に電気的に接続されていると共に前記実装面寄りの位置に配置されている前記第一シールド、及び、前記第一シールドに電気的に接続されていると共に前記主面寄りの位置に配置されている前記第二シールドと、
前記第一シールドと前記第二シールドとの間において、一対の前記第二側面の対向方向から見たときに、一対の前記第一側面の対向方向において所定の間隔をあけて配置されている第一共振器及び第二共振器と、
前記第一シールドと前記第二シールドとの間に配置されており、前記実装面と前記主面との対向方向に沿って延在していると共に、前記第二シールドに接続されている導体と、を備え、
前記導体は、一対の前記第二側面の前記対向方向から見たときに、前記第一共振器と前記第二共振器との間において一対の前記第二側面の前記対向方向に延在している領域に配置されている、電子部品。
【請求項2】
複数の前記導体を備え、
複数の前記導体のそれぞれは、前記領域に配置されている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第一共振器及び前記第二共振器のそれぞれは、前記第二シールドに電気的に接続されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第一共振器及び前記第二共振器のそれぞれは、前記実装面と前記主面との対向方向において異なる高さ位置に配置されている第一導体及び第二導体と、前記第一導体及び前記第二導体と前記第二シールドとを接続している接続導体と、を含んでおり、
前記第一導体は、前記主面寄りの位置に配置されており、
前記第二導体は、前記実装面寄りの位置に配置されており、
前記導体は、前記第二導体よりも前記第一導体に近い位置に配置されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項5】
複数の前記導体のうちの少なくとも一つの前記導体は、一対の前記第一側面の前記対向方向から見て、前記第一共振器と前記第二共振器とが重なる前記領域に配置されている、請求項2に記載の電子部品。
【請求項6】
前記第一共振器と前記第二共振器とは、前記実装面と前記主面との対向方向から見て、対称構造を有している、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項7】
一対の前記第一側面の前記対向方向において前記第一共振器と前記第二共振器との間に配置されている第三共振器を備え、
前記第三共振器は、前記実装面と前記主面との対向方向から見て、前記導体と重なる位置に配置されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、誘電体よりなる本体と、複数の共振器と、一対のシールドと、導体よりなる仕切り部と、を備える電子部品が開示されている。特許文献1に記載の電子部品では、共振器の各々は、共振器導体部を含んでいる。共振器導体部は、長手方向の両端に位置する第一端と第二端を有している。第一端はグランドに接続され、第二端は開放されている。仕切り部は、共振器のそれぞれの共振器導体部の間を通過するように延在して、一対のシールドのそれぞれに電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共振器を備える電子部品では、目標減衰帯域の減衰量を高めるために、減衰極の形成が必要となる。しかしながら、複数の共振器が配置される電子部品では、共振器の間において電磁界結合が複雑に生じるため、減衰極を形成することが困難となる。そのため、電子部品において、目標減衰量を達成することができない。
【0005】
本発明の一側面は、複数の共振器の間に発生する電磁界結合を調整することができる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る電子部品は、互いに対向している実装面及び主面と、互いに対向している一対の第一側面と、互いに対向している一対の第二側面と、を有している積層体と、積層体の実装面に配置されている入出力端子及びグラウンド端子と、積層体内に配置されている第一シールド及び第二シールドであって、グラウンド端子に電気的に接続されていると共に実装面寄りの位置に配置されている第一シールド、及び、第一シールドに電気的に接続されていると共に主面寄りの位置に配置されている第二シールドと、積層体内の第一シールドと第二シールドとの間において、一対の第二側面の対向方向から見たときに、一対の第一側面の対向方向において所定の間隔をあけて配置されている第一共振器及び第二共振器と、積層体内において第一シールドと第二シールドとの間に配置されており、実装面と主面との対向方向に沿って延在していると共に、第二シールドに接続されている導体と、を備え、導体は、一対の第二側面の対向方向から見たときに、第一共振器と第二共振器との間において一対の第二側面の対向方向に延在している領域に配置されている。
【0007】
本発明の一側面に係る電子部品では、導体は、第二シールドに接続されており、一対の第二側面の対向方向から見たときに、第一共振器と第二共振器との間において一対の第二側面の対向方向に延在している領域に配置されている。これにより、電子部品では、第一共振器と第二共振器との電磁界結合を、導体によって調整(抑制、遮蔽)することができる。したがって、電子部品では、複数の共振器の間に発生する電磁界結合を調整することができる。その結果、電子部品では、目標減衰量を達成することが可能となる。
【0008】
(2)複数の導体を備え、複数の導体のそれぞれは、領域に配置されている、(1)に記載の電子部品。この構成では、導体の数及び位置を調整することによって、第一共振器と第二共振器との間の電磁界結合を調整することができる。
【0009】
(3)第一共振器及び第二共振器のそれぞれは、第二シールドに電気的に接続されている、(1)又は(2)に記載の電子部品。この構成では、導体と第一共振器及び第二共振器とを共通の第二シールドに接続することによって、第一共振器と第二共振器との電磁界結合の度合いを適切に調整することができる。
【0010】
(4)第一共振器及び第二共振器のそれぞれは、実装面と主面との対向方向において異なる高さ位置に配置されている第一導体及び第二導体と、第一導体及び第二導体と第二シールドとを接続している接続導体と、を含んでおり、第一導体は、主面寄りの位置に配置されており、第二導体は、実装面寄りの位置に配置されており、導体は、第二導体よりも第一導体に近い位置に配置されている、(1)~(3)のいずれか一つに記載の電子部品。第二シールドに接続導体を介して接続される第一導体及び第二導体のうち、第二シールドに近い位置に配置されている第一導体の方が、第二導体よりも流れる電流が大きくなる。そのため、第二導体よりも第一導体の近くに導体を配置することにより、第一共振器と第二共振器との電磁界結合を、導体によって効果的に調整することができる。
【0011】
(5)複数の導体のうちの少なくとも一つの導体は、一対の第一側面の対向方向から見て、第一共振器と第二共振器とが重なる領域に配置されている、(2)に記載の電子部品。この構成では、第一共振器と第二共振器との間の電磁界結合を、導体によって効果的に調整することができる。
【0012】
(6)第一共振器と第二共振器とは、実装面と主面との対向方向から見て、対称構造を有している、(1)~(5)のいずれか一つに記載の電子部品。このように、第一共振器と第二共振器とを対称構造とすることによって、電子部品の設計を容易にすることができる。
【0013】
(7)一対の第一側面の対向方向において第一共振器と第二共振器との間に配置されている第三共振器を備え、第三共振器は、実装面と主面との対向方向から見て、導体と重なる位置に配置されている、(1)~(6)のいずれか一つに記載の電子部品。この構成では、積層体の外形サイズに制限がある場合において、積層体内のスペースを有効に活用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、複数の共振器の間に発生する電磁界結合を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子部品の斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る電子部品の斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、電子部品を主面側から見た図であり、
図3(b)は、電子部品を実装面側から見た図である。
【
図6】
図6は、電子部品の積層体の内部構造を示す平面図である。
【
図10】
図10(a)は、
図8に示す電子部品を側面側から見た図であり、
図10(b)は、
図8に示す電子部品を側面側から見た図である。
【
図31】
図31(a)は、比較例に係る電子部品の共振特性を示すグラフであり、
図31(b)は、電子部品の共振特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1及び
図2は、一実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図3(a)は、電子部品を主面側から見た図であり、
図3(b)は、電子部品を実装面側から見た図である。
図4及び
図5は、電子部品の透過図である。
図6は、電子部品の積層体の内部構造を示す平面図である。
図1~
図6に示されるように、電子部品1は、積層体2と、入出力端子3,4と、第一シールド5A及び第二シールド5Bと、第一共振器6、第二共振器7、第三共振器8、第四共振器9及び第五共振器(第二共振器)10と、を備えている。
図4~
図6では、説明の便宜上、積層体2を二点鎖線で示している。
【0018】
積層体2は、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。積層体2は、外面として、一対の主面2a,2bと、四つの側面2c,2d,2e,2fと、を有している。主面2a,2bは、互いに対向している。側面(第一側面)2c,2dは、互いに対向している。側面(第二側面)2e,2fは、互いに対向している。以下では、主面2a,2bの対向方向を第一方向D1、側面2c,2dの対向方向を第二方向D2、及び、側面2e,2fの対向方向を第三方向D3とする。第一方向D1、第二方向D2及び第三方向D3は互いに略直交している。
【0019】
主面2a,2bは、側面2c,2dを連結するように第二方向D2に延在している。主面2a,2bは、側面2e,2fを連結するように第三方向D3にも延在している。側面2c,2d,2e,2fは、主面2a,2bを連結するように第一方向D1に延在している。側面2c,2dは、側面2e,2fを連結するように第三方向D3にも延在している。側面2e,2fは、側面2c,2dを連結するように第二方向D2に延在している。
【0020】
主面2bは、実装面であり、たとえば電子部品1を図示しない他の電子機器(たとえば、回路基材、又は積層電子部品)に実装する際、他の電子機器と対向する面である。主面2aには、マークMが設けられている。マークMは、電子部品1の向き、方向を示すものである。なお、マークMは設けられていなくてもよい。
【0021】
積層体2の第一方向D1における長さは、積層体2の第二方向D2における長さ及び積層体2の第三方向D3における長さよりも短い。積層体2の第二方向D2における長さは、積層体2の第三方向D3における長さと同等である。積層体2の第二方向D2における長さは、積層体2の第三方向D3における長さよりも短くてもよいし、積層体2の第三方向D3における長さよりも長くてもよい。
【0022】
なお、本実施形態で「同等」とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
【0023】
積層体2は、複数の誘電体層(図示省略)が第一方向D1において積層されてなる。つまり、積層体2の積層方向は、第一方向D1である。実際の積層体2では、複数の積層体層は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されていてもよいし、層間の境界が視認できるように一体化されていてもよい。
【0024】
誘電体層は、たとえば、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。誘電体材料は、たとえば、BaTiO3系材料、Ba(Ti,Zr)O3系材料、(Ba,Ca)TiO3系材料、ガラス材料、又はアルミナ材料から選択された少なくとも1つを含んでいる。
【0025】
積層体2は、第一誘電率部2Aと、第二誘電率部2B,2Cと、を有している。第一誘電率部2Aは、第二誘電率部2B,2Cよりも誘電率が高い。言い換えれば、第二誘電率部2B,2Cは、第一誘電率部2Aよりも誘電率が低い。本実施形態では、第一誘電率部2Aの誘電率は、たとえば、20~100である。第二誘電率部2B,2Cの誘電率は、たとえば、3~10である。
【0026】
第一誘電率部2Aは、第一方向D1において、第二誘電率部2Bと第二誘電率部2Cとの間に配置されている。すなわち、第一誘電率部2Aは、第二誘電率部2Bと第二誘電率部2Cとに挟まれるように、第一方向D1において、積層体2の中央部に位置している。第二誘電率部2Bの表面(第一誘電率部2Aと対向(接触)する面とは反対側の面)は、積層体2の主面2aを構成している。第二誘電率部2Cの表面(第一誘電率部2Aと対向(接触)する面とは反対側の面)は、積層体2の主面2b(実装面)を構成している。
【0027】
第一誘電率部2Aの第一方向D1における厚みは、第二誘電率部2B,2Cにおける第一方向D1の厚みよりも小さい(薄い)。言い換えれば、第二誘電率部2B,2Cの第一方向D1における厚みは、第一誘電率部2Aにおける第一方向D1の厚みよりも大きい(厚い)。本実施形態では、第一誘電率部2Aの厚みは、たとえば、0.16mmである。第二誘電率部2B,2Cの厚みは、たとえば、0.64mmである。本実施形態では、第二誘電率部2B及び第二誘電率部2Cの厚みは同等である。第二誘電率部2B,2Cの厚みは、たとえば、第一誘電率部2Aの厚みの4倍である。
【0028】
入出力端子3及び入出力端子4のそれぞれは、積層体2に設けられている。入出力端子3及び入出力端子4のそれぞれは、積層体2の主面2bに配置されている。入出力端子3と入出力端子4とは、第二方向D2において互いに離間して積層体2に設けられている。積層体2の主面2bには、複数のグラウンド端子11が配置されている。グラウンド端子11は、他の電子機器のグラウンド(図示省略)に接続されるグラウンド端子である。
【0029】
入出力端子3、入出力端子4及びグラウンド端子11のそれぞれは、長方形状(長方形状)を呈している。入出力端子3、入出力端子4及びグラウンド端子11のそれぞれは、各辺が第二方向D2又は第三方向D3に沿うように配置されている。入出力端子3、入出力端子4及びグラウンド端子11は、主面2bよりも突出している。すなわち、本実施形態では、入出力端子3、入出力端子4及びグラウンド端子11のそれぞれの表面は、主面2bと面一ではない。入出力端子3、入出力端子4及びグラウンド端子11は、導電材料(たとえば、Cu)により構成されている。
【0030】
入出力端子3、入出力端子4及びグラウンド端子11のそれぞれには、電解めっき又は無電解めっきが施されることにより、たとえばNi、Sn、Auなどを含むめっき層(不図示)が設けられてもよい。めっき層は、たとえばNiを含み入出力端子3、入出力端子4及びグラウンド端子11を覆うNiめっき膜と、Auを含み、Niめっき膜を覆うAuめっき膜と、を有していてもよい。
【0031】
図5及び
図6に示されるように、第一シールド5A及び第二シールド5Bは、積層体2内に配置されている。第一シールド5A及び第二シールド5Bは、電子部品1の周囲に電磁波が放射されることを防止する機能を有する。第一シールド5A及び第二シールド5Bは、導電材料(たとえば、Cu)により構成されている。
【0032】
第一シールド5Aは、第二誘電率部2Cに配置されている。第一シールド5Aは、第二誘電率部2C(積層体2)において、主面2b寄りの位置に配置されている。第二シールド5Bは、第二誘電率部2Bに配置されている。第二シールド5Bは、第二誘電率部2Bにおいて、主面2a寄りの位置に配置されている。第一シールド5A及び第二シールド5Bは、長方形状を呈している。第一シールド5Aでは、入出力端子3,4が設けられている位置において、切り欠きが設けられている。なお、
図5及び
図6では、第一シールド5A及び第二シールド5Bの一部を破線で示している。
【0033】
第一シールド5A及び第二シールド5Bは、グラウンド端子11に電気的に接続されている。第一シールド5Aと第二シールド5Bとは、複数の接続導体12によって電気的に接続されている。複数の接続導体12のそれぞれは、円柱状(棒状)を呈しており、第一方向D1に沿って延在している。複数の接続導体12のそれぞれは、たとえば、複数のビア導体によって構成されている。第一シールド5Aとグラウンド端子11とは、複数の接続導体13によって電気的に接続されている。複数の接続導体13のそれぞれは、たとえば、ビア導体である。
【0034】
図7は、電子部品1の等価回路部図である。
図7に示されるように、電子部品1は、入出力ポート部14と、入出力ポート部15と、第一共振器6と、第二共振器7と、第三共振器8と、第四共振器9と、第五共振器10と、第一結合部C1と、第二結合部C2と、第三結合部C3と、第四結合部C4と、第五結合部C5と、第六結合部C6と、第七結合部C7と、第八結合部C8と、を有している。
【0035】
第一共振器6、第二共振器7、第三共振器8、第四共振器9及び第五共振器10は、回路構成上、入出力端子3(入出力ポート部14)と入出力端子4(入出力ポート部15)との間に設けられている。本実施形態においては、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を示すために用いている。本実施形態では、回路構成上、入出力端子3と入出力端子4との間に、入出力端子3側から順に、一段目の第一共振器6、二段面の第二共振器7、三段目の第三共振器8、四段面の第四共振器9及び五段目の第五共振器10が含まれている。
【0036】
第一共振器6、第二共振器7、第三共振器8、第四共振器9及び第五共振器10は、回路構成上隣接する二つの共振器が電磁結合するように構成されている。具体的には、第一共振器6と第二共振器7とが回路構成上隣接して電磁結合し、第一共振器6と第三共振器8とが回路構成上隣接して電磁結合し、第二共振器7と第三共振器8とが回路構成上隣接して電磁結合し、第二共振器7と第四共振器9とが回路構成上隣接して電磁結合し、第三共振器8と第四共振器9とが回路構成上隣接して電磁結合し、第三共振器8と第五共振器10とが回路構成上隣接して電磁結合し、第四共振器9と第五共振器10とが回路構成上隣接して電磁結合するように構成されている。
【0037】
第一結合部C1は、第一共振器6と第二共振器7との磁気結合により構成されるキャパシタンスである。第二結合部C2は、第二共振器7と第三共振器8との磁気結合により構成されるキャパシタンスである。第三結合部C3は、第三共振器8と第四共振器9との磁気結合により構成されるキャパシタンスである。第四結合部C4は、第四共振器9と第五共振器10との磁気結合により構成されるキャパシタンスである。第五結合部C5は、第一共振器6と第三共振器8との磁気結合により構成されるキャパシタンスである。第六結合部C6は、第三共振器8と第五共振器10との磁気結合により構成されるキャパシタンスである。第七結合部C7は、第二共振器7と第四共振器9との磁気結合により構成されるキャパシタンスである。第八結合部C8は、第一共振器6と第五共振器10との磁気結合により構成されるキャパシタンスである。
【0038】
第一共振器6、第二共振器7、第三共振器8、第四共振器9及び第五共振器10は、積層体2内において、第一シールド5Aと第二シールド5Bとの間に配置されている。
【0039】
図8は、電子部品1の透過斜視図である。
図9は、
図8に示す電子部品1の平面図である。
図10(a)は、
図8に示す電子部品1を側面2c側から見た図であり、
図10(b)は、
図8に示す電子部品1を側面2f側から見た図である。
図8~
図10では、説明の便宜上、積層体2を二点鎖線で示している。
【0040】
図8及び
図9に示されるように、入出力ポート部14は、導体20を有している。
図10(a)及び
図10(b)に示されるように、導体20は、第二誘電率部2Cに配置されている。
図8及び
図9に示されるように、導体20は、第一共振器6と磁気結合する導体パターン20Aと、入出力端子3と導体パターン20Aとを電気的に接続する接続パターン20Bと、を含んでいる。導体パターン20Aと接続パターン20Bとは、一体に形成されている。接続パターン20Bは、接続導体20Cによって、入出力端子3に接続されている。接続導体20Cは、たとえば、複数のビア導体で構成されている。
【0041】
入出力ポート部15は、導体21を有している。
図10(a)及び
図10(b)に示されるように、導体21は、第二誘電率部2Cに配置されている。
図8及び
図9に示されるように、導体21は、第五共振器10と磁気結合する導体パターン21Aと、入出力端子4と導体パターン21Aとを電気的に接続する接続パターン21Bと、を含んでいる。導体パターン21Aと接続パターン21Bとは、一体に形成されている。接続パターン21Bは、接続導体21Cによって、入出力端子4に接続されている。接続導体21Cは、たとえば、複数のビア導体で構成されている。
【0042】
図11は、電子部品1の透過斜視図である。
図12は、
図11に示す電子部品1の平面図である。
図13(a)は、
図11に示す電子部品1を側面2c側から見た図であり、
図13(b)は、
図11に示す電子部品1を側面2f側から見た図である。
図11~
図13では、説明の便宜上、積層体2を二点鎖線で示している。
【0043】
図11及び
図12に示されるように、第一共振器6は、第一導体23Aと、第二導体23Bと、接続導体23Cと、接続導体23Dと、を有している。第一導体23A及び第二導体23Bは、たとえば、長方形状を呈している。第一導体23A及び第二導体23Bは、同じサイズである。第一導体23Aと第二導体23Bとは、接続導体23C及び接続導体23Dによって電気的に接続されている。接続導体23C及び接続導体23Dのそれぞれは、たとえば、円柱状(棒状)を呈しており、第一方向D1に沿って延在している。接続導体23C及び接続導体23Dのそれぞれは、たとえば、複数のビア導体で構成されている。接続導体23C及び接続導体23Dのそれぞれの端部(主面2a側の端部)は、第二シールド5Bに接続されている。
【0044】
第一導体23Aと第二導体23Bとは、第一方向D1において所定の間隔をあけて対向する位置(異なる高さ位置)に配置されている。第一導体23Aは、積層体2の主面2a寄りの位置に配置されている。第二導体23Bは、積層体2の主面2b寄りの位置に配置されている。
図13(a)及び
図13(b)に示されるように、第一導体23Aは、第一誘電率部2Aに配置されている。第二導体23Bは、第二誘電率部2Cに配置されている。
図12に示されるように、第一導体23A及び第二導体23Bは、積層体2の第二方向D2において、側面2c寄りの位置に配置されている。
【0045】
図14は、電子部品1の透過斜視図である。
図15は、
図14に示す電子部品1の平面図である。
図16(a)は、
図14に示す電子部品1を側面2c側から見た図であり、
図16(b)は、
図14に示す電子部品1を側面2f側から見た図である。
図14~
図16では、説明の便宜上、積層体2を二点鎖線で示している。
【0046】
図14及び
図15に示されるように、第二共振器7は、第一導体24Aと、第二導体24Bと、を有している。第一導体24Aは、たとえば、略U字形状を呈している。第一導体24Aは、第三方向D3に沿って延在する部分と、当該部分の端部のそれぞれから第二方向D2に沿って延在する部分と、を含んでいる。
図16(a)及び
図16(b)に示されるように、第一導体24Aは、第一誘電率部2Aに配置されている。
【0047】
図14及び
図15に示されるように、第二導体24Bは、たとえば、長方形状を呈している。第二導体24Bは、接続導体24C及び接続導体24Dに接続されている。接続導体24C及び接続導体24Dは、第一シールド5A及び第二シールド5Bに接続されている。
図16(a)及び
図16(b)に示されるように、第二導体24Bは、第一誘電率部2Aに配置されている。第二導体24Bは、第一方向D1において、第一導体24Aよりも主面2b寄りの位置に配置されている。第二導体24Bの一部は、第一導体24Aの一部と第一方向D1において対向している。
図15に示されるように、第一導体24A及び第二導体24Bは、積層体2の第二方向D2において、側面2c寄りの位置に配置されている。
【0048】
図17は、電子部品1の透過斜視図である。
図18は、
図17に示す電子部品1の平面図である。
図19(a)は、
図17に示す電子部品1を側面2c側から見た図であり、
図19(b)は、
図17に示す電子部品1を側面2f側から見た図である。
図17~
図19では、説明の便宜上、積層体2を二点鎖線で示している。
【0049】
図17及び
図18に示されるように、第三共振器8は、第一導体25Aと、第二導体25Bと、第三導体25Cと、を有している。第三共振器8は、第二方向D2において、第一共振器6と第五共振器10との間に配置されている。第一導体25Aは、たとえば、長方形状を呈している。第一導体25Aは、第三方向D3に沿って延在している。
【0050】
第二導体25Bは、たとえば、長方形状を呈している。第二導体25Bは、接続導体25D、接続導体25E及び接続導体25Fに接続されている。接続導体25D及び接続導体24Eのそれぞれは、第一シールド5A及び第二シールド5Bに接続されている。接続導体25Fは、第一シールド5Aに接続されている。第三導体25Cは、たとえば、長方形状を呈している。第三導体25Cは、接続導体25G、接続導体25H及び接続導体25Iに接続されている。接続導体25G、接続導体25H及び接続導体25Iのそれぞれは、第一シールド5A及び第二シールド5Bに接続されている。
【0051】
図19(a)及び
図19(b)に示されるように、第一導体25Aは、第一誘電率部2Aに配置されている。
図18に示されるように、第一導体25Aは、積層体2の第二方向D2の中央部に配置されている。第二導体25Bは、第一誘電率部2Aに配置されている。第二導体25Bは、第一方向D1において、第一導体25Aよりも主面2b寄りの位置に配置されている。第二導体25Bの一部は、第一導体25Aの一部と第一方向D1において対向している。第二導体25Bは、積層体2の第三方向D3において、側面2e寄りの位置に配置されている。第三導体25Cは、第一方向D1において、第一導体25Aよりも主面2b寄りの位置に配置されている。第三導体25Cの一部は、第一導体25Aの一部と第一方向D1において対向している。第三導体25Cは、積層体2の第三方向D3において、側面2f寄りの位置に配置されている。
【0052】
図14及び
図15に示されるように、第四共振器9は、第一導体26Aと、第二導体26Bと、を有している。第四共振器9は、第二共振器7と対称構造を有している。第四共振器9は、第二共振器7と線対称の構造となっている。第一導体26Aは、たとえば、略U字形状を呈している。第一導体26Aは、第三方向D3に沿って延在する部分と、当該部分の端部のそれぞれから第二方向D2に沿って延在する部分と、を含んでいる。
図16(a)及び
図16(b)に示されるように、第一導体26Aは、第一誘電率部2Aに配置されている。
【0053】
図14及び
図15に示されるように、第二導体26Bは、たとえば、長方形状を呈している。第二導体26Bは、接続導体26C及び接続導体26Dに接続されている。接続導体26C及び接続導体26Dは、第一シールド5A及び第二シールド5Bに接続されている。
図16(a)及び
図16(b)に示されるように、第二導体26Bは、第一誘電率部2Aに配置されている。第二導体26Bは、第一方向D1において、第一導体26Aよりも主面2b寄りの位置に配置されている。第二導体26Bの一部は、第一導体26Aの一部と第一方向D1において対向している。
図15に示されるように、第一導体26A及び第二導体26Bは、積層体2の第二方向D2において、側面2d寄りの位置に配置されている。
【0054】
図11及び
図12に示されるように、第五共振器10は、第一導体27Aと、第二導体27Bと、接続導体27Cと、接続導体27Dと、を有している。第五共振器10は、第一共振器6と対称構造を有している。第五共振器10は、第一共振器6と線対称の構造となっている。第五共振器10と第一共振器6とは、第二方向D2から見て、重なる位置に配置されている。第一共振器6と第五共振器10とは、第二方向D2において所定の間隔をあけて配置されている。
【0055】
第一導体27A及び第二導体27Bは、たとえば、長方形状を呈している。第一導体27A及び第二導体27Bは、同じサイズである。第一導体27Aと第二導体27Bとは、接続導体27C及び接続導体27Dによって電気的に接続されている。接続導体27C及び接続導体27Dのそれぞれは、たとえば、円柱状(棒状)を呈しており、第一方向D1に沿って延在している。接続導体27C及び接続導体27Dのそれぞれは、たとえば、複数のビア導体で構成されている。接続導体27C及び接続導体27Dのそれぞれの端部(主面2a側の端部)は、第二シールド5Bに接続されている。
【0056】
第一導体27Aと第二導体27Bとは、第一方向D1において所定の間隔をあけて対向する位置(異なる高さ位置)に配置されている。第一導体27Aは、積層体2の主面2a寄りの位置に配置されている。第二導体27Bは、積層体2の主面2b寄りの位置に配置されている。
図13(a)及び
図13(b)に示されるように、第一導体27Aは、第一誘電率部2Aに配置されている。第二導体27Bは、第二誘電率部2Cに配置されている。
図12に示されるように、第一導体27A及び第二導体27Bは、積層体2の第二方向D2において、側面2d寄りの位置に配置されている。
【0057】
図20は、電子部品1の透過斜視図である。
図21は、
図20に示す電子部品1の平面図である。
図20及び
図21に示されるように、第一共振器6と第二共振器7とは、結合導体28によって磁気結合する。結合導体28は、たとえば、長方形状を呈している。結合導体28は、第一誘電率部2Aに配置されている。結合導体28は、第一方向D1において、第一共振器6の第一導体23A及び第二共振器7の第一導体24Aよりも主面2a寄りの位置に配置されている。結合導体28は、第一共振器6の第一導体23Aと、第二共振器7の第一導体24Aとに対向している。
【0058】
図22は、電子部品1の透過斜視図である。
図23は、
図22に示す電子部品1の平面図である。
図24(a)は、
図22に示す電子部品1を側面2c側から見た図であり、
図24(b)は、
図22に示す電子部品1を側面2f側から見た図である。
【0059】
図22及び
図23に示されるように、第二共振器7と第三共振器8とは、結合導体29によって磁気結合する。結合導体29は、たとえば、略L字形状を呈している。
図24(a)及び
図24(b)に示されるように、結合導体29は、第一誘電率部2Aに配置されている。結合導体29は、第一方向D1において、第二共振器7の第一導体24A及び第三共振器8の第一導体25Aよりも主面2a寄りの位置に配置されている。結合導体29は、第二共振器7の第一導体24Aと、第三共振器8の第一導体25Aとに対向している。
【0060】
図22及び
図23に示されるように、第三共振器8と第四共振器9とは、結合導体30によって磁気結合する。結合導体30は、たとえば、略L字形状を呈している。
図24(a)及び
図24(b)に示されるように、結合導体30は、第一誘電率部2Aに配置されている。結合導体30は、第一方向D1において、第三共振器8の第一導体24A及び第四共振器9の第一導体26Aよりも主面2a寄りの位置に配置されている。結合導体30は、第三共振器8の第一導体25Aと、第四共振器9の第一導体26Aとに対向している。
【0061】
図25は、電子部品1の透過斜視図である。
図26は、
図25に示す電子部品1の平面図である。
図27(a)は、
図25に示す電子部品1を側面2c側から見た図であり、
図27(b)は、
図25に示す電子部品1を側面2f側から見た図である。
【0062】
図25及び
図26に示されるように、第一共振器6と第三共振器8とは、結合導体31によって磁気結合する。結合導体31は、たとえば、略L字形状を呈している。
図27(a)及び
図27(b)に示されるように、結合導体31は、第一誘電率部2Aに配置されている。結合導体31は、第一方向D1において、第一共振器6の第一導体23A及び第三共振器8の第一導体25Aよりも主面2a寄りの位置に配置されている。結合導体31は、第一共振器6の第一導体23Aと、第三共振器8の第一導体25Aとに対向している。
【0063】
図25及び
図26に示されるように、第三共振器8と第五共振器10とは、結合導体32によって磁気結合する。結合導体32は、たとえば、略L字形状を呈している。
図27(a)及び
図27(b)に示されるように、結合導体32は、第一誘電率部2Aに配置されている。結合導体32は、第一方向D1において、第三共振器8の第一導体24A及び第五共振器10の第一導体27Aよりも主面2a寄りの位置に配置されている。結合導体32は、第三共振器8の第一導体25Aと、第五共振器10の第一導体27Aとに対向している。
【0064】
図28は、電子部品1の透過斜視図である。
図29は、
図28に示す電子部品1の平面図である。
図30(a)は、
図28に示す電子部品1を側面2c側から見た図であり、
図30(b)は、
図28に示す電子部品1を側面2f側から見た図である。
【0065】
図28及び
図29に示されるように、第一共振器6と第五共振器10とは、結合導体33によって磁気結合する。結合導体33は、たとえば、長方形状を呈している。
図30(a)及び
図30(b)に示されるように、結合導体33は、第一誘電率部2Aと第二誘電率部2Cとの境界に配置されている。結合導体33は、第一方向D1において、第一共振器6の第一導体23A及び第五共振器10の第一導体27Aよりも主面2b寄りの位置に配置されている。結合導体33は、第一共振器6の第一導体23Aと、第五共振器10の第一導体27Aとに対向している。
【0066】
第二共振器7と第四共振器9とは、積層体2内において、第二共振器7と第四共振器9との間に配置されている複数の導体(第一シールド5Aと第二シールド5Bとを接続している接続導体12など)によって磁気結合する。
【0067】
図6に示されるように、第四共振器9と第五共振器10とは、結合導体34によって磁気結合する。結合導体34は、たとえば、長方形状を呈している。結合導体34は、第一誘電率部2Aに配置されている。結合導体34は、第一方向D1において、第四共振器9の第一導体26A及び第五共振器10の第一導体27Aよりも主面2a寄りの位置に配置されている。結合導体34は、第四共振器9の第一導体26Aと、第五共振器10の第一導体27Aとに対向している。
【0068】
図4に示されるように、積層体2内には、遮蔽導体35が配置されている。本実施形態では、遮蔽導体35は、複数(たとえば、五個)配置されている。遮蔽導体35は、たとえば、円柱状(棒状)を呈しており、第一方向D1に沿って延在している。遮蔽導体35は、第二誘電率部2Bに配置されている。遮蔽導体35の長さは、第二誘電率部2Bの厚みよりも小さい。遮蔽導体の長さは、たとえば、0.20~0.60mmである。遮蔽導体35は、たとえば、複数のビア導体で構成されている。遮蔽導体35のそれぞれの端部(主面2a側の端部)は、第二シールド5Bに接続されている。
【0069】
遮蔽導体35は、第三方向D3から見たときに、第一共振器6と第五共振器10との間において第三方向D3に延在している領域に配置されている。当該領域は、第一方向D1から見たときに、側面2eと側面2fとにわたって延在する領域である。遮蔽導体35は、当該領域において、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。本実施形態では、遮蔽導体35は、積層体2の第三方向D3の中央よりも、側面2f寄りの領域に配置されている。複数の遮蔽導体35のうちの少なくとも一つは、第二方向D2から見て、第一共振器6と第五共振器10との間に配置されている。遮蔽導体35は、第一共振器6の第一導体23A及び第五共振器10の第一導体27Aの近傍に配置されている。すなわち、遮蔽導体35は、第一共振器6の第二導体23B及び第五共振器10の第二導体27Bよりも、第一共振器6の第一導体23A及び第五共振器10の第一導体27Aの近くに配置されている。
【0070】
遮蔽導体35は、第一方向D1から見て、第三共振器8と重なる位置に配置されている。本実施形態では、遮蔽導体35は、積層体2の第二方向D2における中央の位置において、第三方向D3に沿った直線上に配置されている。
【0071】
図31(a)は、比較例に係る電子部品の共振特性を示すグラフであり、
図31(b)は、電子部品1の共振特性を示すグラフである。
図31(a)及び
図31(b)では、入出力端子3から信号を入力して、入出力端子4から信号を出力した場合の、減衰量の周波数特性を示している。
図31(a)及び
図31(b)では、横軸は周波数[MHz]を示し、縦軸は減衰量[dB]を示している。なお、
図31(a)及び
図31(b)に例示する特性図は、シミュレーションにより得られた結果を表している。比較例に係る電子部品は、遮蔽導体を備えていない。
【0072】
図31(a)に示されるように、比較例に係る電子部品では、第一共振器と第五共振器との間に不要な結合が生じるため、5800MHz付近の減衰極の減衰量は目標とする50dB以下となる。
図31(b)に示されるように、電子部品1では、遮蔽導体35によって、第一共振器6と第五共振器10との間に不要な結合が生じることを抑制できる(結合を遮断する)ため、5800MHz付近の減衰量は60dB以下となる。すなわち、電子部品1では、遮蔽導体35を備えることにより、目標とする50dB以下とすることができる。
【0073】
図32は、電子部品1の共振特性を示すグラフである。
図32では、入出力端子3から信号を入力して、入出力端子4から信号を出力した場合の、減衰量の周波数特性を示している。
図32では、横軸は周波数[MHz]を示し、縦軸は減衰量[dB]を示している。
図32では、遮蔽導体35が0.28mmの場合の特性を実線で示し、遮蔽導体35が0.57mmの場合の特性を一点鎖線で示し、遮蔽導体を備えていない場合の特性を破線で示している。
【0074】
図32に示されるように、遮蔽導体35を備えることにより、減衰量を調整することができる。また、遮蔽導体35の長さによって、減衰極の発生位置及び目標減衰域の減衰量を調整(制御)することができる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1では、遮蔽導体35は、第二シールド5Bに接続されており、第三方向D3から見たときに、第一共振器6と第五共振器10との間において第三方向D3に延在している領域に配置されている。これにより、電子部品1では、第一共振器6と第五共振器10との電磁界結合を、遮蔽導体35によって調整(抑制、遮蔽)することができる。したがって、電子部品1では、複数の共振器の間に発生する電磁界結合を調整することができる。その結果、電子部品1では、目標減衰量を達成することが可能となる。
【0076】
本実施形態に係る電子部品1は、複数の遮蔽導体35を備えている。複数の遮蔽導体35のそれぞれは、上記領域に配置されている。この構成では、遮蔽導体35の数及び位置を調整することによって、第一共振器6と第五共振器10との間の電磁界結合を調整することができる。
【0077】
本実施形態に係る電子部品1では、第一共振器6及び第五共振器10のそれぞれと遮蔽導体35とは、第二シールド5Bに電気的に接続されている。この構成では、遮蔽導体35と第一共振器6及び第五共振器10とを共通の第二シールド5Bに接続することによって、第一共振器6と第五共振器10との電磁界結合の度合いを適切に調整することができる。
【0078】
本実施形態に係る電子部品1では、第一共振器6は、第一方向D1において異なる高さ位置に配置されている第一導体23A及び第二導体23Bと、第一導体23A及び第二導体23Bと第二シールド5Bとを接続している接続導体23C,23Dと、を含んでいる。第五共振器10は、第一方向D1において異なる高さ位置に配置されている第一導体27A及び第二導体27Bと、第一導体27A及び第二導体27Bと第二シールド5Bとを接続している接続導体27C,27Dと、を含んでいる。第一導体23A,27Aは、主面2a寄りの位置に配置されており、第二導体23B,27Bは、主面2b寄りの位置に配置されている。遮蔽導体35は、第二導体23B,27Bよりも第一導体23A,27Aに近い位置に配置されている。第二シールド5Bに接続導体23C,23D,27C,27Dを介して接続される第一導体23A,27A及び第二導体23B,27Bのうち、第二シールド5Bに近い位置に配置されている第一導体23A,27Aの方が、第二導体23B,27Bよりも流れる電流が大きくなる。そのため、第二導体23B,27Bよりも第一導体23A,27Aの近くに遮蔽導体35を配置することにより、第一共振器6と第五共振器10との電磁界結合を、遮蔽導体35によって効果的に調整することができる。
【0079】
本実施形態に係る電子部品1では、複数の遮蔽導体35のうちの少なくとも一つの遮蔽導体35は、第二方向D2から見て、第一共振器6と第五共振器10とが重なる領域に配置されている。この構成では、第一共振器6と第五共振器10との間の電磁界結合を、遮蔽導体35によって効果的に調整(抑制、遮蔽)することができる。
【0080】
本実施形態に係る電子部品1では、第一共振器6と第五共振器10とは、第一方向D1から見て、対称構造を有している。このように、第一共振器6と第五共振器10とを対称構造とすることによって、電子部品1の設計を容易にすることができる。
【0081】
本実施形態に係る電子部品1は、第二方向D2において第一共振器6と第五共振器10との間に配置されている第三共振器8を備えている。第三共振器8は、第一方向D1から見て、遮蔽導体35と重なる位置に配置されている。この構成では、積層体2の外形サイズに制限がある場合において、積層体2内のスペースを有効に活用することができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0083】
上記実施形態では、積層体2が第一誘電率部2Aと、二つの第二誘電率部2B,2Cと、を有する形態を一例に説明した。しかし、積層体2は、少なくとも、第一誘電率部と、一つの第二誘電率部と、を有していればよい。また、積層体2は、第一誘電率部のみで構成されていてもよい。
【0084】
上記実施形態では、電子部品1が第一共振器6、第二共振器7、第三共振器8、第四共振器9及び第五共振器10を備える形態を一例に説明した。しかし、電子部品は、少なくとも第一共振器6及び第五共振器10を備えていればよい。また、電子部品は、更に共振器を備えていてもよい。
【0085】
上記実施形態では、第一共振器6において、第一導体23A及び第二導体23Bのサイズが同じである形態を一例に説明した。しかし、第一導体23Aと第二導体23Bとは、サイズが異なっていてもよい。同様に、第五共振器10における第一導体27A及び第二導体27Bにおいても、サイズが異なっていてもよい。
【0086】
上記実施形態では、第一共振器6において、第一導体23Aが積層体2の第一誘電率部2Aに配置されており、第二導体23Bが積層体2の第二誘電率部2Cに配置されている形態を一例に説明した。しかし、第一導体23A及び第二導体23Bは、第一誘電率部2Aに配置されていてもよい。同様に、第五共振器10において、第一導体27A及び第二導体27Bが第一誘電率部2Aに配置されていてもよい。
【0087】
上記実施形態では、積層体2内に遮蔽導体35が五つ設けられている形態を一例に説明した。しかし、遮蔽導体35は少なくとも一つ設けられていればよい。
【符号の説明】
【0088】
1…電子部品、2…積層体、2a…主面、2b…主面(実装面)、2c,2d…側面(第一側面)、2e,2f…側面(第二側面)、3…入出力端子、4…入出力端子、5A…第一シールド、5B…第二シールド、6…第一共振器、8…第三共振器、10…第五共振器(第二共振器)、11…グラウンド端子、23A…第一導体、23B…第二導体、23C,23D…接続導体、27A…第一導体、27B…第二導体、27C,27D…接続導体。