(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022259
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】表示制御装置、及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20240101AFI20240208BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125705
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】名和田 毅
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AB01
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】物体が表示部の妨げとなっていても表示部の表示物を視認できる表示制御装置、及び表示制御方法を提供する。
【解決手段】表示制御装置8は、車両の運転席6の前方に配置された表示部7を制御する。抽出部24は、入力部22で入力した検出信号Saに基づき、車内に位置するユーザの目線Rkと、表示部7及びユーザの間に位置する物体20と、を抽出する。制御部25は、抽出部24の抽出結果に基づき、表示部7を向く目線Rk上に物体20が存在することを認識した場合に、物体20で隠れてしまう表示物をユーザに見えるようにするために、表示部7の表示状態を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席の前方に配置された表示部を制御する表示制御装置であって、
車内に位置するユーザを検出する検出部から検出信号を入力する入力部と、
前記入力部で入力した前記検出信号に基づき、前記車内に位置する前記ユーザの目線と、前記表示部及び前記ユーザの間に位置する物体と、を抽出する抽出部と、
前記抽出部の抽出結果に基づき、前記表示部を向く目線上に前記物体が存在することを認識した場合に、前記物体で隠れてしまう表示物を前記ユーザに見えるようにするために、前記表示部の表示状態を制御する制御部と
を備えた表示制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザの前記目線から見て前記物体に隠れない画面上の表示有効領域に前記表示物を表示する
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示有効領域が変化した場合、前記制御部は、変化後の前記表示有効領域に前記表示物が表示されるように、前記表示物を動かす
請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記表示物を前記表示有効領域に動かすとともに縮小表示する
請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記表示物を前記表示有効領域に動かすとともに簡易表示する
請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記車両のステアリングホイールに配置されている
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記ステアリングホイールの操舵角を表す舵角信号を取得する取得部を備え、
前記制御部は、前記舵角信号に基づき、前記表示物を前記ステアリングホイールの回転位置に応じた向きで表示する
請求項6に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記車両の運転モードが自動運転モードのときに、前記表示部の表示状態の制御を実行する
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項9】
車両の運転席の前方に配置された表示部を制御するための表示制御方法であって、
車内に位置するユーザを検出する検出部から検出信号を入力することと、
入力した前記検出信号に基づき、前記車内に位置する前記ユーザの目線と、前記表示部及び前記ユーザの間に位置する物体と、を抽出することと、
抽出結果に基づき、前記表示部を向く目線上に前記物体が存在することを認識した場合に、前記物体で隠れてしまう表示物を前記ユーザに見えるようにするために、前記表示部の表示状態を制御することと、
を前記表示部を制御する表示制御装置に実行させる表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の表示部を制御する表示制御装置、及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、ステアリングホイールのスポークにスクリーンが設けられた技術が周知である。スクリーンには、例えば、道路標識などの画像が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転車の場合、自動運転中に、モバイル端末を操作したり読書したりすることが想定される。この場合、運転者の目の位置とスポークのスクリーンとの間にモバイル端末や本が位置していると、これらがスクリーンの妨げとなってしまう。このため、モバイル端末の操作中や読書中にスクリーンを見たいとき、モバイル端末や本の位置を変えなければならない状況が生じ得るため、不便さを感じる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する表示制御装置は、車両の運転席の前方に配置された表示部を制御する構成であって、車内に位置するユーザを検出する検出部から検出信号を入力する入力部と、前記入力部で入力した前記検出信号に基づき、前記車内に位置する前記ユーザの目線と、前記表示部及び前記ユーザの間に位置する物体と、を抽出する抽出部と、前記抽出部の抽出結果に基づき、前記表示部を向く目線上に前記物体が存在することを認識した場合に、前記物体で隠れてしまう表示物を前記ユーザに見えるようにするために、前記表示部の表示状態を制御する制御部と、を備えた。
【0006】
前記課題を解決する表示制御方法は、車両の運転席の前方に配置された表示部を制御するための方法であって、車内に位置するユーザを検出する検出部から検出信号を入力することと、入力した前記検出信号に基づき、前記車内に位置する前記ユーザの目線と、前記表示部及び前記ユーザの間に位置する物体と、を抽出することと、抽出結果に基づき、前記表示部を向く目線上に前記物体が存在することを認識した場合に、前記物体で隠れてしまう表示物を前記ユーザに見えるようにするために、前記表示部の表示状態を制御することと、を前記表示部を制御する表示制御装置に実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、物体が表示部の妨げとなっていても表示部の表示物を視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】物体で画面が妨げられた表示部の正面図である。
【
図4】物体で画面が妨げられた表示部の正面図である。
【
図5】物体で画面が妨げられた表示部の正面図である。
【
図6】物体で画面が妨げられた表示部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態を説明する。
(車両1の概説)
図1に示すように、車両1は、車両1に前後進の推進力を付与する走行駆動装置2を制御する走行制御部3を備える。走行制御部3は、車両1とキー(図示略)との間で無線による認証が成立した場合に、走行駆動装置2の作動が許可される。走行駆動装置2は、例えば、モータ、エンジン、又はこれらの組み合わせのいずれでもよい。キーは、例えば、主としてキー機能を有する電子キー、キー機能を登録したモバイル端末のいずれでもよい。モバイル端末は、例えば、携帯電話である。
【0010】
走行制御部3は、車両1の運転モードを、手動運転モード及び自動運転モードの間で切り替える。走行制御部3は、例えば、車両1において自動運転開始操作が実行されると、車両1の運転モードを自動運転モードに設定する。走行制御部3は、自動運転モードのとき、車両1に搭載されたカメラ、レーダ、ライダー、センサなどから入力する情報に基づき、車両1の加減速制御、操舵制御、及び制動制御を実行する。
【0011】
(ステアリングホイール5の表示機能)
図1に示す通り、車両1は、車両1の運転席6の前方に配置された表示部7を制御する表示制御装置8を備える。表示制御装置8は、例えば、車両1に設けられた通信線9によって走行制御部3と接続されている。通信線9は、例えば、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)が挙げられる。
【0012】
表示部7は、例えば、ステアリングホイール5に設けられている。表示部7は、例えば、ステアリングシャフト10の軸心L1上に配置されることにより、ステアリングホイール5とともに軸心L1回りに同期回転する。
【0013】
図2に示すように、表示部7は、ステアリングホイール5の把持部13の内側に設けられたスポーク14に配置されている。表示部7は、例えば、長方形状に形成されている。表示部7は、例えば、モノクロ液晶ディスプレイ、カラー液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどが挙げられる。
【0014】
図1に示す通り、表示制御装置8は、表示部7の表示を制御する表示処理部15を備える。表示処理部15は、例えば、入力する車両情報Daに基づき、表示部7の表示を切り替える。車両情報Daは、例えば、車速情報、車両位置情報、シフト位置情報、燃費情報、エンジンオイル温度情報、エンジン冷却水温度情報、エンジン回転数情報、車載アクセサリ情報などを含む。
【0015】
表示処理部15は、例えば、走行情報表示、オーディオシステム連携表示、車両情報表示、運転支援機能情報表示などを実行する。走行情報表示は、例えば、燃費グラフ、航続可能距離、エコドライブインジケータの表示を含む。オーディオシステム連携表示は、例えば、オーディオソースの選択や選曲の表示を含む。車両情報表示は、例えば、ドライブインフォメーション、タイヤ空気圧、ブーストメータ、油温計、油圧計の表示を含む。運転支援機能情報表示は、例えば、レーントレーシングアシストやレーダークルーズコントロールの作動状況の表示、ナビゲーションシステムによるルート案内やコンパスの表示を含む。
【0016】
(表示物18の表示調整機能)
図1に示す通り、表示制御装置8は、運転席6に着座するユーザの動作を考慮して表示部7の表示物18(
図2等参照)の表示状態を調整する表示調整機能を備える。本例の表示調整機能は、車内に位置するユーザを検出部19で監視する。具体的には、検出部19は、運転席6に着座するユーザを監視する。このとき、ユーザの目線Rkの方向と、ユーザの目及び表示部7の間に物体20が存在するか否かと、を監視する。そして、ユーザの目線Rkが表示部7を向き、かつ、その目線Rk上に物体20が位置する場合に、表示部7の表示状態を切り替える。物体20は、例えば、モバイル端末(高機能携帯電話)、本、雑誌、小物などが挙げられる。表示制御機能は、例えば、車両1の運転モードが自動運転モードのときに実行される。
【0017】
検出部19は、例えば、少なくとも運転席6のユーザを撮影するカメラである。検出部19は、例えば、ユーザの目線Rkの位置や、ユーザが所持する物体20の位置を監視する。検出部19は、例えば、複数箇所からユーザを監視するために複数設けられる。カメラは、例えば、可視光カメラ及び赤外線カメラのどちらでもよい。検出部19は、カメラに限らず、例えば、人を感知して反応する人感センサや、運転席6に組み込まれた荷重センサなどのセンサでもよい。また、検出部19は、カメラ及びセンサの両方でもよい。検出部19は、検出信号Saを表示制御装置8に出力する。
【0018】
表示制御装置8は、検出部19の検出信号Saを入力する入力部22を備える。入力部22は、例えば、運転モードが自動運転モードとなったとき、検出信号Saの入力を開始する。
【0019】
表示制御装置8は、ステアリングホイール5の操舵角を表す舵角信号Sbを取得する取得部23を備える。取得部23は、例えば、運転モードが自動運転モードとなったとき、舵角信号Sbの入力を開始する。
【0020】
表示制御装置8は、検出信号Saに基づきユーザの目線Rkと物体20とを抽出する抽出部24を備える。抽出部24は、入力部22で入力した検出信号Saに基づき、運転席6に着座するユーザの目線Rkと、ユーザ及び表示部7の間に存在する物体20と、を抽出する。検出信号Saが画像データの場合、抽出部24は、画像データを画像処理することにより、目線Rkと物体20とを抽出する。
【0021】
表示制御装置8は、抽出部24の抽出結果に基づき表示部7の表示状態を制御する制御部25を備える。制御部25は、抽出部24の抽出結果に基づき、表示部7を向く目線Rk上に物体20が存在すると判定した場合に、物体20で隠れてしまう表示物18をユーザに見えるようにするために、表示部7の表示状態を制御する。本例の制御部25は、ユーザの目線Rkから見て物体20に隠れない画面上の表示有効領域Eに表示物18を表示する。表示有効領域Eが変化した場合、制御部25は、変化後の表示有効領域Eに表示物18が表示されるように、表示物18を動かす。このとき、制御部25は、例えば、表示物18を縮小表示したり、簡易表示したりしてもよい。
【0022】
表示調整機能は、例えば、操舵されるステアリングホイール5の舵角に応じて表示物18の表示向きを切り替えることが好ましい。この場合、制御部25は、取得部23によって取得された舵角信号Sbに基づき、表示物18をステアリングホイール5の回転位置に応じた向きで表示する。すなわち、ステアリングホイール5が回転操作されて表示部7が軸心L1回りに回っても、表示物18が同じ角度で見えるように、表示物18をステアリングホイール5の操舵に応じて回転させる。
【0023】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態の表示制御装置8(表示制御方法)の作用について説明する。
図1に示す通り、車両1が自動運転モードのとき、抽出部24は、検出部19によるユーザの監視を実行する。本例の場合、抽出部24は、検出部19の検出信号Saに基づき、ユーザの目線Rkを抽出する。具体的には、抽出部24は、カメラで取得した画像データ(例えば、映像)を画像処理することにより、ユーザの目線Rkを抽出する。
【0024】
画像処理は、例えば、画像入力、前処理、画像特徴抽出、判定、出力を含む。前処理は、例えば、画像データからノイズを除去することにより、画像をシャープ化する。画像特徴抽出は、例えば、前処理された画像から、目線Rkを計測できる形に画像を加工する。抽出部24は、加工後の画像に基づき、目線Rkを抽出する。画像処理は、機械学習を用いてもよい。機械学習は、例えば、サポートベクタマシン、CNNなどが挙げられる。
【0025】
また、抽出部24は、検出部19の検出信号Saに基づき、ユーザの目と表示部7との間に存在する物体20を抽出する。具体的には、抽出部24は、カメラで取得した画像データ(例えば、映像)を画像処理することにより、物体20の位置を抽出する。画像処理は、目線Rkの抽出で説明した方法を用いることが好ましい。
【0026】
制御部25は、抽出したユーザの目線Rkと物体20とから、ユーザの目線Rkと物体20との位置関係を判定する。具体的には、ユーザの目線Rk上に位置する物体20について、前後方向の位置、左右方向の位置、傾き状態、などの指標から、表示部7の画面上における表示有効領域Eがどこであるのかを判定する。このように、制御部25は、ユーザの目線Rkの向きと、物体20の位置とを判定する。
【0027】
図2に示すように、制御部25は、表示部7を向いたユーザの目線Rk上に物体20が存在しないと判定した場合、表示部7の画面全領域を表示有効領域Eとする。すなわち、表示部7が物体20で隠れていないので、表示部7の画面全領域が表示有効領域Eとされる。よって、制御部25は、表示部7の画面全領域を使って表示物18を表示する。このとき、表示部7は、表示物18を大きな文字、かつ、多数文字で表示することが可能である。
【0028】
図3に示すように、例えば、表示部7の画面を物体20が妨げた場合、制御部25は、ユーザの目線Rkが表示部7を向きつつ、その目線Rk上に物体20が存在すると判定する。制御部25は、ユーザの目線Rk上に物体20が存在していると判定した場合、表示物18がユーザに見えるように、表示物18の表示を切り替える。例えば、表示部7の中央に物体20が存在する場合、制御部25は、表示部7の画面のうち、物体20で隠れていない紙面左側の領域を表示有効領域Eに設定する。すなわち、表示有効領域Eは、それまで画面全体だったものが、紙面左側の限定された領域である「Ea」に変更される。
【0029】
このように、表示部7の中央が物体20によって隠れてしまった場合、制御部25は、物体20で隠れていない紙面左側の表示有効領域Eに表示物18が表示されるように、表示物18の表示を切り替える。具体的には、制御部25は、物体20によって隠れていない紙面左側の表示有効領域Eに表示物18を動かして表示する。このとき、表示物18は、縮小表示したり簡易表示したりされるとよい。
【0030】
図4に示すように、物体20が中央から右寄りの位置に移動した場合、制御部25は、表示部7の画面の紙面左半分を表示有効領域Eに変更する。すなわち、制御部25は、表示有効領域Eを、それまでの画面左寄りの部分的な領域の「Ea」から、画面左半分の広い領域の「Eb」に切り替える。このように、制御部25は、表示有効領域Eを物体20の位置に応じて適宜切り替える。
【0031】
図5に示すように、ステアリングホイール5が回転操作された場合、取得部23は、ステアリングホイール5の回転位置に応じた舵角信号Sbを入力する。そして、制御部25は、取得部23で得た舵角信号Sbに基づき、表示有効領域Eを変化させるとともに、変化後の表示有効領域Eに表示物18を表示する。
【0032】
図5の例のように、例えば、ステアリングホイール5が左方向に略90度回転操作された場合、表示部7の画面のうち、この回転位置のときに物体20に隠れない紙面上側の「Ec」が表示有効領域Eに設定される。そして、この領域の「Ec」に表示物18が表示されるように、表示物18の表示を切り替える。例えば、表示物18の表示向きが回転に応じた向きに変更されるとともに、小さくなった領域の「Ec」内に収まるように、表示物18のサイズや文字数が調整される。
【0033】
図6に示すように、例えば表示物18の中央に物体20が配置された場合、その両側を表示有効領域Eとして使用可能であれば、これらの両方に表示物18を表示させてもよい。具体的には、元は1つであった表示物18を、これら両側の表示有効領域Eに分けて表示する。こうすれば、表示部7の画面の表示有効領域Eを効率よく使用することが可能となる。
【0034】
(実施形態の効果)
上記実施形態の表示制御装置8(表示制御方法)によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0035】
(1)表示制御装置8は、車両1の運転席6の前方に配置された表示部7を制御する。表示制御装置8は、入力部22、抽出部24、及び制御部25を備える。入力部22は、車内に位置するユーザを検出する検出部19から検出信号Saを入力する。抽出部24は、入力部22で入力した検出信号Saに基づき、車内に位置するユーザの目線Rkと、表示部7及びユーザの間に位置する物体20と、を抽出する。制御部25は、抽出部24の抽出結果に基づき、表示部7を向く目線Rk上に物体20が存在することを認識した場合に、物体20で隠れてしまう表示物18をユーザに見えるようにするために、表示部7の表示状態を制御する。
【0036】
本構成によれば、ユーザの目線Rkが表示部7を向き、かつ、目線Rk上に物体20が存在していれば、表示部7の表示物18がユーザに見えるように、表示部7の表示状態が切り替えられる。よって、物体20が表示部7の妨げとなっていても表示部7の表示物18を視認できる。
【0037】
(2)制御部25は、ユーザの目線Rkから見て物体20に隠れない画面上の表示有効領域Eに表示物18を表示する。この構成によれば、物体20に隠れない画面上の表示有効領域Eを使って、表示物18をユーザに見えるように表示できる。
【0038】
(3)表示有効領域Eが変化した場合、制御部25は、変化後の表示有効領域Eに表示物18が表示されるように、表示物18を動かす。この構成によれば、物体20に隠れない画面上の表示有効領域Eに表示物18を動かすという簡易な方法により、表示物18をユーザに見えるようにすることができる。
【0039】
(4)制御部25は、表示物18を表示有効領域Eに動かすとともに縮小表示する。この構成によれば、表示有効領域Eが小さい場合であっても、表示物18を縮小表示することにより、表示物18の全体を表示することができる。
【0040】
(5)制御部25は、表示物18を表示有効領域Eに動かすとともに簡易表示する。この構成によれば、表示有効領域Eが小さいときには、表示物18を簡易的に表示するので、表示物18を見易い状態で表示できる。
【0041】
(6)表示部7は、車両1のステアリングホイール5に配置されている。この構成によれば、ステアリングホイール5に表示部7が存在するため、ユーザが運転中に物体20を使用したときには、物体20で表示部7が妨げられてしまう状況が発生し易い。しかし、本構成の場合、表示部7の表示物18がユーザに見えるように表示部7の表示状態が制御されるので、ユーザは表示物18を視認できる。
【0042】
(7)表示制御装置8は、ステアリングホイール5の操舵角を表す舵角信号Sbを取得する取得部23を備える。制御部25は、舵角信号Sbに基づき、表示物18をステアリングホイール5の回転位置に応じた向きで表示する。この構成によれば、ステアリングホイール5が回転しても、その回転位置に応じた向きで表示物18を表示することができる。よって、表示物18の見易さを向上できる。
【0043】
(8)制御部25は、車両1の運転モードが自動運転モードのときに、表示部7の表示状態の制御を実行する。この構成によれば、自動運転モードのときは、運転席6のユーザが物体20を使用する状況が多いため、物体20で表示部7が妨げられる可能性が高い。よって、表示部7が物体20で妨げられる可能性が高いときを狙って、表示部7の表示状態の制御を実行できる。
【0044】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0045】
・ステアリングホイール5の回転量は、中立位置を起点に左右90度以上回ることが好ましい。
・検出部19の検出対象は、運転席6に着座するユーザに限定されず、例えば、運転席6から離れているユーザでもよい。このように、検出対象は、車内に位置するユーザであればよい。
【0046】
・表示調整機能は、オンオフの切り替えを可能としてもよい。このように、表示調整機能が不要の場合には、表示調整機能をオフにユーザ自ら設定可能としてもよい。
・表示物18は、表示するものをユーザが選べるように、マニュアル設定可能としてもよい。
【0047】
・表示部7のディスプレイ形状は、長方形状に限定されず、例えば、台形や楕円形など、他の形状に変更してもよい。
・表示部7の表示状態の変更後、仮に表示有効領域Eが大きくなっても、表示内容がそのまま維持されてもよい。
【0048】
・縮小表示や簡易表示の仕方は、ユーザがマニュアル設定可能としてもよい。
・表示調整機能は、物体20のディスプレイを表示の一部として用いてもよい。すなわち、物体20が携帯電話等のモバイル端末の場合、表示部7が物体20で妨げられたときに、表示部7とモバイル端末の画面との双方を用いることにより、表示物18を表示してもよい。また、モバイル端末のディスプレイを画面表示の一部として使用する場合、例えば、緊急時や非常時となったタイミングで、そのメッセージをモバイル端末に表示してもよい。
【0049】
・ステアリングホイール5は、例えば、自動運転モードのとき、把持部13が車室内前部の所定の格納部(図示略)に収納されることにより、表示部7のみ運転席6に残るものでもよい。
【0050】
・表示部7は、ステアリングホイール5に配置されることに限定されない。表示部7は、例えば、インストルメントパネルやセンタークラスターに配置されるなど、運転席6に設けられていればよい。
【0051】
・車両1は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車、化石燃料車、水素自動車のいずれでもよい。
・表示処理部15、入力部22、取得部23、抽出部24、及び制御部25は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0052】
・表示処理部15、入力部22、取得部23、抽出部24、及び制御部25は、独立したプロセッサから構成されてもよいし、機能の一部分が共用のプロセッサから構築されてもよい。このように、表示処理部15、入力部22、取得部23、抽出部24、及び制御部25は、独立した機能ブロックに限らず、1つの機能ブロックから構成されてもよいし、一部分が共用された機能ブロックから構成されてもよい。
【0053】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0054】
1…車両、5…ステアリングホイール、6…運転席、7…表示部、8…表示制御装置、18…表示物、19…検出部、20…物体、22…入力部、23…取得部、24…抽出部、25…制御部、Sa…検出信号、Sb…舵角信号、Rk…目線、E…表示有効領域。