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特開2024-22289画像撮影装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022289
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】画像撮影装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/10 20060101AFI20240208BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20240208BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240208BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20240208BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240208BHJP
【FI】
H04N1/10
H04N5/222 300
H04N5/232 290
H04N1/387 110
G03B15/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125759
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡下 敏之
【テーマコード(参考)】
5C072
5C076
5C122
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA13
5C072EA08
5C072FB04
5C072FB25
5C072LA04
5C072LA12
5C072LA14
5C072MA05
5C072PA02
5C072PA05
5C072RA04
5C072UA11
5C072UA13
5C072VA06
5C076AA13
5C076BA03
5C076BA04
5C076CA03
5C076CA08
5C076CB02
5C122EA42
5C122FA18
5C122FH11
5C122FH14
5C122FK35
5C122GD03
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】ガイド部材を有する画像撮影装置において撮影対象媒体の券面全域の画像を取得すること。
【解決手段】画像撮影装置1において、左側ガイド部材及び右側ガイド部材は、撮影対象媒体の先端部分を突き当て部分へ案内するとともに、撮影対象媒体の先端部分が突き当て部分に突き当たっている状態で、撮影対象媒体の上面の一部分を撮影対象媒体の上方から覆い隠し、撮影対象媒体の撮影用の内部カメラ41は、撮影対象媒体が開口部から突き当て部分まで移動する間に撮影対象媒体の上面の一部分が左側ガイド部材及び右側ガイド部材によって覆い隠されていない状態にあるときの画像である第一画像を撮影するとともに、撮影対象媒体の先端部分が突き当て部分に突き当たっている状態にあるときの画像である第二画像を撮影し、抽出部53は、第一画像から所定範囲の画像である第三画像を抽出し、合成部54は、第三画像を第二画像に合成する。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部を有する撮影対象媒体が前記先端部から所定の挿入方向で挿入される開口部と、
前記開口部から挿入された前記撮影対象媒体が載置される載置台と、
前記載置台上で前記所定の挿入方向で挿入される前記撮影対象媒体の前記先端部が突き当たる突き当て部と、
前記先端部を前記突き当て部へ案内するとともに、前記先端部が前記突き当て部に突き当たっている状態で、前記撮影対象媒体の上面の一部分を前記撮影対象媒体の上方から覆い隠す案内部と、
前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体を前記撮影対象媒体の上方から撮影し、前記撮影対象媒体が前記開口部から前記突き当て部まで移動する間に前記一部分が前記案内部によって覆い隠されていない状態にあるときの画像である第一画像を撮影するとともに、前記先端部が前記突き当て部に突き当たっている状態にあるときの画像である第二画像を撮影する撮影部と、
前記第一画像から所定範囲の画像である第三画像を抽出する抽出部と、
前記第三画像を前記第二画像に合成する合成部と、
を具備する画像撮影装置。
【請求項2】
前記合成部は、前記第三画像を縮小し、縮小後の前記第三画像を前記第二画像に合成する、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項3】
前記合成部は、前記第三画像を縮小する際の倍率を基準画像と前記第三画像とに基づいて算出し、算出した前記倍率に従って前記第三画像を縮小する、
請求項2に記載の画像撮影装置。
【請求項4】
前記所定範囲は、前記一部分の長手方向の長さを有する短辺と、前記第一画像に含まれる前記撮影対象媒体の画像の幅方向の長さを有する長辺とによって形成される矩形領域である、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項5】
前記所定範囲は、前記一部分の長手方向の長さを有する長辺と、前記一部分の短手方向の長さを有する短辺とによって形成される矩形領域である、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項6】
前記第三画像に異物の画像が含まれていると判定されるときに、前記撮影対象媒体からの前記異物の除去と、前記開口部への前記撮影対象媒体の再挿入とを促す警告を出力する出力部、をさらに具備する、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項7】
前記第三画像がボケていると判定されるときに、前記開口部への前記撮影対象媒体の再挿入を促す警告を出力する出力部、をさらに具備する、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項8】
先端部を有する撮影対象媒体が前記先端部から所定の挿入方向で挿入される開口部と、
前記開口部から挿入された前記撮影対象媒体が載置される載置台と、
前記載置台上で前記所定の挿入方向で挿入される前記撮影対象媒体の前記先端部が突き当たる突き当て部と、
前記先端部を前記突き当て部へ案内するとともに、前記先端部が前記突き当て部に突き当たっている状態で、前記撮影対象媒体の上面の一部分である対象部分を前記撮影対象媒体の上方から覆い隠す案内部と、
前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体を前記撮影対象媒体の上方から撮影する撮影部と、
を具備する画像撮影装置における画像処理方法であって、
前記撮影対象媒体が前記開口部から前記突き当て部まで移動する間に前記一部分が前記案内部によって覆い隠されていない状態にあるときの画像である第一画像を前記撮影部が撮影するとともに、前記先端部が前記突き当て部に突き当たっている状態にあるときの画像である第二画像を前記撮影部が撮影し、
前記第一画像から所定範囲の画像である第三画像を抽出し、
前記第三画像を前記第二画像に合成する、
画像処理方法。
【請求項9】
先端部を有する撮影対象媒体が前記先端部から所定の挿入方向で挿入される開口部と、
前記開口部から挿入された前記撮影対象媒体が載置される載置台と、
前記載置台上で前記所定の挿入方向で挿入される前記撮影対象媒体の前記先端部が突き当たる突き当て部と、
前記先端部を前記突き当て部へ案内するとともに、前記先端部が前記突き当て部に突き当たっている状態で、前記撮影対象媒体の上面の一部分である対象部分を前記撮影対象媒体の上方から覆い隠す案内部と、
前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体を前記撮影対象媒体の上方から撮影する撮影部と、
を具備する画像撮影装置に適用可能な画像処理プログラムであって、
前記撮影対象媒体が前記開口部から前記突き当て部まで移動する間に前記一部分が前記案内部によって覆い隠されていない状態にあるときの画像である第一画像を前記撮影部に撮影させるとともに、前記先端部が前記突き当て部に突き当たっている状態にあるときの画像である第二画像を前記撮影部に撮影させ、
前記第一画像から所定範囲の画像である第三画像を抽出し、
前記第三画像を前記第二画像に合成する、
処理をプロセッサに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像撮影装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パスポートに例示される冊子媒体の券面の画像(以下では「券面画像」と呼ぶことがある)を撮影することにより本人確認を行う画像撮影装置がある。また、券面画像は冊子媒体の上方から撮影されるため、券面画像の撮影時の冊子媒体の浮きを抑えることにより券面画像の歪みを防止するために、冊子媒体を上方から押さえつける機能を有するガイド部材を備える画像撮影装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/021716号
【特許文献2】国際公開第2015/087383号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冊子媒体の券面においてガイド部材が存在する領域では、ガイド部材の画像(以下では「ガイド部材画像」と呼ぶことがある)によって券面画像の一部の領域が遮蔽されてしまう。ガイド部材画像によって遮蔽される領域が券面画像に存在すると、券面画像から得られる情報の一部が消失してしまう可能性があるため、本人確認の精度が低下する。
【0005】
そこで、本開示では、ガイド部材を有する画像撮影装置において撮影対象媒体の券面全域の画像を取得できる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像撮影装置は、開口部と、載置台と、突き当て部と、案内部と、撮影部と、抽出部と、合成部とを有する。前記開口部には、先端部を有する撮影対象媒体が前記先端部から所定の挿入方向で挿入される。前記載置台には、前記開口部から挿入された前記撮影対象媒体が載置される。前記突き当て部には、前記載置台上で前記所定の挿入方向で挿入される前記撮影対象媒体の前記先端部が突き当たる。前記案内部は、前記先端部を前記突き当て部へ案内するとともに、前記先端部が前記突き当て部に突き当たっている状態で、前記撮影対象媒体の上面の一部分を前記撮影対象媒体の上方から覆い隠す。前記撮影部は、前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体を前記撮影対象媒体の上方から撮影する。また、前記撮影部は、前記撮影対象媒体が前記開口部から前記突き当て部まで移動する間に前記一部分が前記案内部によって覆い隠されていない状態にあるときの画像である第一画像を撮影するとともに、前記先端部が前記突き当て部に突き当たっている状態にあるときの画像である第二画像を撮影する。前記抽出部は、前記第一画像から所定範囲の画像である第三画像を抽出する。前記合成部は、前記第三画像を前記第二画像に合成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ガイド部材を有する画像撮影装置において撮影対象媒体の券面全域の画像を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の画像撮影装置の外観の一例を示す図である。
図2図2は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す斜視図である。
図3図3は、本開示の左側ガイド部材の一例を示す斜視図である。
図4図4は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す正面断面図である。
図5図5は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す正面断面図である。
図6図6は、本開示のパスポートの一例を示す図である。
図7図7は、本開示のICAOパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。
図8図8は、本開示のICAOパスポートの券面を示す平面図である。
図9図9は、本開示のドイツパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。
図10図10は、本開示の薄手部分の奥側の先端部が左側接続部分に接触したときのICAOパスポートを示す斜視図である。
図11図11は、本開示の薄手部分の先端部が薄手部分対向領域に接近したときのICAOパスポートを示す斜視図である。
図12図12は、本開示の薄手部分が左側押さえ部分と載置台本体との間に配置されたときのICAOパスポートを示す斜視図である。
図13図13は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのICAOパスポートを示す斜視断面図である。
図14図14は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。
図15図15は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。
図16図16は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。
図17図17は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときに内部カメラにより撮影された画像を示す図である。
図18図18は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのドイツパスポートを示す斜視断面図である。
図19図19は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。
図20図20は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。
図21図21は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。
図22図22は、本開示の画像撮影装置の構成例を示す図である。
図23図23は、本開示の閾値の設定例の説明に供する図である。
図24図24は、本開示の画像撮影装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図25図25は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。
図26図26は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。
図27図27は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。
図28図28は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。
図29図29は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。
図30図30は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。
図31図31は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。
図32図32は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。
図33図33は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。
図34図34は、本開示のスペインパスポートの券面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。図面において同一の構成には同一の符号を付す。
【0010】
[実施例]
<画像撮影装置の構造>
図1は、本開示の画像撮影装置の外観の一例を示す図である。図1において、画像撮影装置1は、載置台2と、筐体3と、左側ガイド部材5と、右側ガイド部材6とを有する。筐体3は、光が透過しにくい材料から形成され、箱状に形成されている。筐体3は、載置台2の上に配置され、載置台2に固定されている。筐体3の内部には、載置台2と筐体3とに囲まれる内部空間7が形成されている。筐体3の手前側の部分には、開口部8が形成されている。内部空間7は、開口部8を介して筐体3の外部に接続されている。そして、先端部77を有する撮影対象媒体が先端部77から所定の挿入方向IDで開口部8に挿入される。
【0011】
また、図1において、画像撮影装置1は、外部カメラ91と、タッチスクリーン92と、挿入検知センサ55Aとを有する。外部カメラ91は、画像撮影装置1に対面し画像撮影装置1を利用して本人確認を行う者を撮影対象者とし、撮影対象者の顔を含む画像を撮影する。以下では、外部カメラ91によって撮影された画像を「外部カメラ画像」と呼ぶことがある。挿入検知センサ55Aは、撮影対象媒体が開口部8に挿入されたことを検知する。挿入検知センサ55Aの一例として、反射型光電センサが挙げられる。
【0012】
図2は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す斜視図である。載置台2は、載置台本体11と、突き当て部分12とを有する。載置台本体11は、板状に形成されている。載置台本体11には、平坦である載置面14が形成されている。載置面14は、薄手部分対向領域15と、厚手部分対向領域16とを含んでいる。薄手部分対向領域15と厚手部分対向領域16とは、載置面14が沿う平面に平行である奥行方向18に並び、厚手部分対向領域16は、薄手部分対向領域15の手前側に配置されている。筐体3は、薄手部分対向領域15が内部空間7に配置されるように、かつ、厚手部分対向領域16の一部が開口部8を介して筐体3の外部に配置されるように、載置台本体11に対して配置されている。
【0013】
突き当て部分12は、帯状に形成されている。突き当て部分12には、平坦である突き当て面17が形成されている。突き当て部分12は、突き当て面17が沿う平面が奥行方向18に垂直であるように、かつ、突き当て面17が手前側を向くように、載置面14の奥側に配置されている。突き当て部分12は、載置台本体11と一体に形成され、載置台本体11に固定されている。
【0014】
左側ガイド部材5は、載置面14の幅方向19の左側の端に配置されている。右側ガイド部材6は、載置面14の幅方向19の右側の端に配置されている。幅方向19は、載置面14が沿う平面に平行であり、かつ、奥行方向18に垂直である。
【0015】
また、図2において、載置面14には突き当て検知センサ55Bが配置される。突き当て検知センサ55Bは、奥行方向18において突き当て部分12の直前に配置され、幅方向19において突き当て部分12の中央付近に配置される。突き当て検知センサ55Bは、開口部8に挿入された撮影対象媒体の先端部77が突き当て面17に突き当てられたことを検知する。突き当て検知センサ55Bの一例として、反射型光電センサが挙げられる。
【0016】
図3は、本開示の左側ガイド部材の一例を示す斜視図である。左側ガイド部材5は、左側サイドガイド部分21と、左側押さえ部分22と、左側上側ガイド部分23と、左側接続部分24とを有する。左側サイドガイド部分21には、平坦である左側サイドガイド面25が形成されている。左側サイドガイド部分21は、左側サイドガイド面25が右側を向くように、かつ、左側サイドガイド面25が沿う平面が幅方向19に垂直であるように、内部空間7の左端の下端に配置されている。左側サイドガイド部分21は、載置台本体11に固定されている。
【0017】
左側押さえ部分22は、板状に形成されている。左側押さえ部分22には、平坦である左側押さえ面26が形成されている。左側押さえ部分22は、左側押さえ面26が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、載置面14が沿う平面に平行である他の平面に左側押さえ面26が沿うように、薄手部分対向領域15の上に配置されている。左側押さえ部分22は、さらに、左側押さえ部分22の奥側の端と突き当て部分12の突き当て面17との間の距離が長さLに等しくなるように突き当て面17から手前側に離れ、載置面14の薄手部分対向領域15の左側に配置されている。左側押さえ部分22は、左側サイドガイド面25から突出するように左側サイドガイド部分21に一体に形成され、左側サイドガイド部分21に固定され、左側サイドガイド部分21を介して載置台本体11に固定されている。
【0018】
左側上側ガイド部分23は、平坦である帯状に形成されている。左側上側ガイド部分23には、平坦である左側上側ガイド面27が形成されている。左側上側ガイド部分23は、左側上側ガイド面27が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、載置面14が沿う平面に平行である他の平面に左側上側ガイド面27が沿うように、左側押さえ部分22の手前側に配置されている。左側上側ガイド部分23は、さらに、左側上側ガイド面27と薄手部分対向領域15との間の距離が、左側押さえ面26と薄手部分対向領域15との間の距離より長くなるように、左側押さえ部分22より上側に配置されている。左側上側ガイド部分23の手前側の端は、開口部8の近傍に配置されている。左側上側ガイド部分23は、左側サイドガイド面25から突出するように左側サイドガイド部分21に一体に形成され、左側サイドガイド部分21に固定され、左側サイドガイド部分21を介して載置台本体11に固定されている。
【0019】
左側接続部分24は、屈曲している帯状に形成されている。左側接続部分24は、左側接続部分24の奥側の端が左側押さえ部分22の手前側の端に繋がるように、かつ、左側接続部分24の手前側の端が左側上側ガイド部分23の奥側の端に繋がるように、左側押さえ部分22と左側上側ガイド部分23との間に配置されている。左側接続部分24には、左側曲面28が形成されている。左側曲面28の一端は、左側押さえ面26に隣接し、左側曲面28の他端は、左側上側ガイド面27に隣接している。左側曲面28は、さらに、左側押さえ部分22から離れるにつれて左側曲面28と載置面14との間の距離が単調に長くなるように形成されている。左側曲面28は、さらに、左側曲面28と左側押さえ面26との境界で角張らないように、かつ、左側曲面28と左側上側ガイド面27との境界で角張らないように、緩やかな曲面に形成されている。左側接続部分24は、左側サイドガイド面25から突出するように左側サイドガイド部分21に一体に形成され、左側サイドガイド部分21に固定され、左側サイドガイド部分21を介して載置台本体11に固定されている。
【0020】
左側ガイド部材5の左側サイドガイド部分21の下端は、載置面14から離れ、左側サイドガイド部分21の載置面14に近い側の端には、左側表紙用スリット29がさらに形成されている。左側表紙用スリット29は、左側サイドガイド面25から窪むように形成されている。
【0021】
図4及び図5は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す正面断面図である。
【0022】
図4において、右側ガイド部材6は、左側ガイド部材5と鏡像対称に形成されている。すなわち、右側ガイド部材6は、右側サイドガイド部分31と、右側押さえ部分32と、右側上側ガイド部分33と、右側接続部分34とを有する。右側サイドガイド部分31には、右側サイドガイド面35が形成されている。右側押さえ部分32には、右側押さえ面36が形成されている。右側上側ガイド部分33には、右側上側ガイド面37が形成されている。右側接続部分34には、右側曲面38が形成されている。
【0023】
右側ガイド部材6は、右側サイドガイド面35が左側サイドガイド面25と向かい合うように、すなわち、幅方向19に垂直である鏡映面40に対して左側ガイド部材5と対称になるように配置され、載置台2の載置台本体11に固定されている。鏡映面40は、幅方向19に垂直である。右側ガイド部材6の右側サイドガイド部分31の載置面14に近い側の端には、右側表紙用スリット39が形成されている。右側表紙用スリット39は、右側サイドガイド面35から窪むように形成されている。
【0024】
つまり、左側押さえ部分22及び右側押さえ部分32は、載置台2と内部カメラ41との間に配置され、載置台2に載置される撮影対象媒体は、左側押さえ部分22及び右側押さえ部分32によって載置台2の方へ押さえつけられる。よって、左側押さえ部分22を有する左側ガイド部材5、及び、右側押さえ部分32を有する右側ガイド部材6は、撮影対象媒体の上面の一部分を撮影対象媒体の上方から覆い隠すことになる。また、左側サイドガイド部分21及び右側サイドガイド部分31は、載置台2に対して直立して設置される。
【0025】
画像撮影装置1は、内部カメラ41をさらに有する。内部カメラ41は、撮影対象媒体の画像を撮影するカメラから形成されている。内部カメラ41は、内部空間7のうちの薄手部分対向領域15の上に配置され、鏡映面40に交差している。すなわち、内部カメラ41は、載置台2に対向して配置され、載置台2に載置された撮影対象媒体の画像を撮影対象媒体の上方から撮影する。内部カメラ41は、筐体3に固定され、筐体3を介して載置台2に固定されている。内部カメラ41は、さらに、載置台本体11に載置されて薄手部分対向領域15の近傍に配置される撮影対象媒体の画像が撮影されるように、薄手部分対向領域15に向けられている。内部カメラ41は、撮影対象媒体の画像を撮影する。以下では、内部カメラ41によって撮影された画像を「内部カメラ画像」と呼ぶことがある。
【0026】
図5において、薄手部分対向領域15は、左側非撮影領域42と右側非撮影領域43とを含んでいる。
【0027】
画像撮影装置1は、例えば、パスポートのうちの予め定められたページの画像を撮影するために利用される。パスポートは、画像撮影装置1の撮影対象となる冊子媒体の一例である。図6は、本開示のパスポートの一例を示す図である。図6には、パスポートの一例としてICAOパスポートを示す。ICAOパスポート61は、国際民間航空機関(ICAO:International Civil Aviation Organization)により定められた仕様で製本された冊子から形成されている。ICAOパスポート61は、複数のシート62が綴じ部63により綴じられている。綴じ部63は、直線状に形成されている。ICAOパスポート61には、券面64が形成されている。ICAOパスポート61は、ICAOパスポート61が閉じられたときに、券面64が露出しないように形成されている。複数のシート62は、券面64が露出するようにICAOパスポート61が開かれたときに、薄手部分65と厚手部分66とに区別される。薄手部分65は、複数のシート62のうちの1つのシートから形成され、先端部77を有する。厚手部分66は、複数のシート62のうちの薄手部分65を除く複数のシートから形成されている。厚手部分66は、綴じ部63を介して薄手部分65に接合されている。券面64は、薄手部分65に形成されている。ICAOパスポート61の幅は、綴じ部63が沿う直線に垂直である2つの平面にICAOパスポート61が挟まれたときに、その2つの平面の距離に等しく、幅Wに等しい。そして、ICAOパスポート61は、先端部77から挿入方向IDで開口部8に挿入される。
【0028】
図7は、本開示のICAOパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。図7において、厚手部分66の厚さは、薄手部分65の厚さより厚い。厚手部分66には、右側端面67が形成されている。右側端面67は、綴じ部63が沿う直線に垂直である平面に沿うように形成されている。厚手部分66の右側端面67が形成されている側の反対側には、左側端面が形成されている。左側端面は、右側端面67が向いている方向の反対方向を向いている。左側端面が沿う平面は、右側端面67が沿う平面に平行である。
【0029】
図8は、本開示のICAOパスポートの券面を示す平面図である。券面64は、VIZ(Visual Inspection Zone)68とMRZ(Machine Readable Zone)69とを有する。VIZ68には、ICAOパスポート61が身分証明する人物に関する情報を示す文字列が記載され、ICAOパスポート61が身分証明する人物の写真がさらに記載されている。MRZ69には、文字列が記載されている。MRZ69は、VIZ68の綴じ部63から遠い側に配置されている。VIZ68の長さは、MRZ69とVIZ68とが隣接する境界線75から綴じ部63までの距離に等しく、VIZ68の長さL1Aに等しい。MRZ69の長さは、薄手部分65のうちの綴じ部63と反対側の先端部77から境界線75までの距離に等しく、MRZ69の長さL2Aに等しい。MRZ69の長さL2Aは、VIZ68の長さL1Aより短い。
【0030】
パスポートには、ICAOパスポートの他に、2017年以前にドイツで発行されたドイツパスポートがある。図9は、本開示のドイツパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。図9において、ドイツパスポート71は、上記のICAOパスポート61に表紙72が追加されたものであり、表紙72以外の部分は、上記のICAOパスポート61と同じである。すなわち、券面64が露出するようにドイツパスポート71が開かれたときに、ICAOパスポート61と同様に、ドイツパスポート71には、薄手部分65と厚手部分66とが形成される。
【0031】
表紙72は、薄手部分側表紙73と厚手部分側表紙74とを有する。薄手部分側表紙73は、券面64が露出するようにドイツパスポート71が開かれたときに、薄手部分65に沿っている。薄手部分側表紙73は、薄手部分65より大きく、薄手部分側表紙73の辺縁は、薄手部分65の辺縁から外側に突出している。厚手部分側表紙74は、券面64が露出するようにドイツパスポート71が開かれたときに、厚手部分66に沿っている。厚手部分側表紙74は、厚手部分66より大きく、厚手部分側表紙74の辺縁は、薄手部分65の辺縁から外側に突出している。すなわち、厚手部分側表紙74の1つの辺縁は、右側端面67が沿う平面から外側に突出し、厚手部分側表紙74の他の1つの辺縁は、同様に、左側端面が沿う平面から外側に突出している。
【0032】
これに対し、画像撮影装置1の左側ガイド部材5は、左側押さえ部分22の奥側の端と突き当て部分12の突き当て面17との間の長さLがMRZ69の長さL2Aと等しくなるように、または、長さLが長さL2Aより若干長くなるように配置されている。右側ガイド部材6は、右側押さえ部分32の奥側の端と突き当て部分12の突き当て面17との間の距離が長さL2Aと等しくなるように、または、右側押さえ部分32と突き当て面17との間の距離が長さL2Aより若干長くなるように配置されている。画像撮影装置1は、左側サイドガイド面25と右側サイドガイド面35との間の距離がパスポートの幅Wと等しくなるように、または、左側サイドガイド面25と右側サイドガイド面35との間の距離が幅Wより若干長くなるように形成されている。画像撮影装置1は、左側表紙用スリット29の幅が表紙72の厚さより大きくなるように、かつ、左側表紙用スリット29の幅が厚手部分66の厚さより小さくなるように形成されている。画像撮影装置1は、さらに、左側表紙用スリット29の深さが、表紙72が左側端面から突出する長さより長くなるように形成されている。画像撮影装置1は、右側表紙用スリット39の幅が表紙72の厚さより大きくなるように、かつ、右側表紙用スリット39の幅が厚手部分66の厚さより小さくなるように形成されている。画像撮影装置1は、さらに、右側表紙用スリット39の深さが、表紙72が右側端面67から突出する長さより長くなるように形成されている。
【0033】
<画像撮影装置へのパスポートの配置>
撮影対象者は、ICAOパスポート61の券面64の券面画像を画像撮影装置1に撮影させたいときに、券面64が上を向くようにICAOパスポート61を開く。撮影対象者は、さらに、薄手部分65が厚手部分66の奥側に配置されるように薄手部分65を画像撮影装置1の奥側に向け、開口部8を介して薄手部分65を画像撮影装置1に挿入する。撮影対象者は、さらに、薄手部分65が左側上側ガイド部分23と載置台本体11との間に配置されるように、かつ、薄手部分65が右側上側ガイド部分33と載置台本体11との間に配置されるように、薄手部分65を配置する。撮影対象者は、薄手部分65が左側上側ガイド部分23と載置台本体11との間に配置され、かつ、薄手部分65が右側上側ガイド部分33と載置台本体11との間に配置された後に、ICAOパスポート61を奥側に移動させる。
【0034】
薄手部分65の奥側の先端部77の左側の部分は、薄手部分65が左側上側ガイド部分23と載置台本体11との間に配置された後で、ICAOパスポート61が奥側に移動したときに、図10に示されているように、左側接続部分24に接触することがある。図10は、本開示の薄手部分の奥側の先端部が左側接続部分に接触したときのICAOパスポートを示す斜視図である。薄手部分65の先端部77は、先端部77が左側接続部分24に接触した後にICAOパスポート61が奥側にさらに移動することにより、左側曲面28に沿って移動し、図11に示されているように、載置面14の薄手部分対向領域15に接近する。図11は、本開示の薄手部分の先端部が薄手部分対向領域に接近したときのICAOパスポートを示す斜視図である。薄手部分65は、先端部77が薄手部分対向領域15に接近した後にICAOパスポート61が奥側にさらに移動することにより、図12に示されているように、左側押さえ部分22と載置台本体11との間にスムーズに配置される。図12は、本開示の薄手部分が左側押さえ部分と載置台本体との間に配置されたときのICAOパスポートを示す斜視図である。
【0035】
薄手部分65の奥側の先端部77の右側の部分は、ICAOパスポート61が奥側に移動したときに、薄手部分65の奥側の先端部77の左側の部分と同様に、右側押さえ部分32と載置台本体11との間に配置される。すなわち、画像撮影装置1は、薄手部分65が反っていたときでも、薄手部分65を左側押さえ部分22と右側押さえ部分32との下に誘導することができ、薄手部分65を左側押さえ部分22と右側押さえ部分32との下に配置させる撮影対象者の操作を容易化することができる。
【0036】
撮影対象者は、図13に示されているように、ICAOパスポート61の先端部77が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たるまで、ICAOパスポート61を奥側にさらに移動させる。図13は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのICAOパスポートを示す斜視断面図である。ICAOパスポート61は、先端部77が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たることにより、載置台本体11に適切に載置される。ICAOパスポート61は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分65が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、厚手部分66が厚手部分対向領域16に対向するように配置される。薄手部分65は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、予め定められた撮影位置に配置される。
【0037】
薄手部分65は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とにより上から押さえつけられている。すなわち、画像撮影装置1は、薄手部分65が反っていた場合でも、薄手部分65が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられることにより、薄手部分65が載置面14から大きく離れることを防止することができる。
【0038】
ICAOパスポート61の厚手部分66の右側端面67は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、図14に示されているように、右側サイドガイド部分31の右側サイドガイド面35に対向している。図14は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。ICAOパスポート61は、厚手部分66が右側にずれるときに、右側端面67が右側サイドガイド面35に接触することにより、適切な位置から右側にずれないように制限される。ICAOパスポート61の厚手部分66の左側端面は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側サイドガイド部分21の左側サイドガイド面25に対向している。ICAOパスポート61は、厚手部分66が適切な位置から左側にずれるときに、左側端面が左側サイドガイド面25に接触することにより、適切な位置から左側にずれないように制限される。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、ICAOパスポート61が幅方向19に移動しないように厚手部分66を支持することができる。
【0039】
薄手部分65の左側の端面は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、図15に示されているように、何にも接触しない。図15は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。薄手部分65の右側の端面は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分65の左側の端面と同様に、何にも接触しない。薄手部分65は、薄手部分65の左側の端面と右側の端面とに接触する部材が存在しない場合でも、ICAOパスポート61が幅方向19に移動しないように厚手部分66が支持されていることにより、撮影位置から幅方向19に移動しないように支持されている。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分65が撮影位置から幅方向19に移動しないようにICAOパスポート61を支持することができる。
【0040】
図16は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。図16に示すように、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、先端部77が突き当て面17に突き当たることにより、ICAOパスポート61は傾斜した状態から傾斜していない状態に矯正され、ICAOパスポート61が傾斜しないようにICAOパスポート61の移動が制限される。
【0041】
薄手部分65のうちのVIZ68が配置されている部分は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられている。MRZ69は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とが突き当て部分12から長さLだけ離れていることにより、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられていない。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、MRZ69の一部が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに隠されないように、MRZ69の全部を露出させることができる。
【0042】
内部カメラ41は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されたときに、券面64の券面画像を撮影する。ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されたときに撮影された内部カメラ画像81には、図17に示されているように、MRZ像82と、VIZ像83と、左側押さえ部分22、左側上側ガイド部分23及び左側接続部分24の画像(以下では「左側ガイド部材画像」と呼ぶことがある)84と、右側押さえ部分32、右側上側ガイド部分33及び右側接続部分34の画像(以下では「右側ガイド部材画像」と呼ぶことがある)85とが写し出される。図17は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときに内部カメラにより撮影された画像を示す図である。MRZ像82には、券面64のMRZ69の全部が写し出される。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されたときに、MRZ69が左側ガイド部材5と右側ガイド部材6とで隠されないことにより、MRZ69の全部の画像を撮影することができる。
【0043】
VIZ像83には、券面64のVIZ68うちの左側ガイド部材5と右側ガイド部材6とに覆われていない部分が写し出される。左側ガイド部材画像84には、左側押さえ部分22と、左側接続部分24とが写し出される。右側ガイド部材画像85には、右側押さえ部分32と、右側接続部分34とが写し出される。
【0044】
一方で、撮影対象者は、ドイツパスポート71の券面64の券面画像を画像撮影装置1に撮影させたいときに、ICAOパスポート61のときと同様に、ドイツパスポート71を載置台本体11に適切に載置する。すなわち、撮影対象者は、券面64が上を向くようにドイツパスポート71を開き、薄手部分65の綴じ部63と反対側の先端部77が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たるまで、開口部8を介してドイツパスポート71を画像撮影装置1に挿入する。ドイツパスポート71は、ドイツパスポート71の先端部が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たることにより、載置台本体11に適切に載置される。
【0045】
図18は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのドイツパスポートを示す斜視断面図である。ドイツパスポート71は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、ICAOパスポート61と同様に、薄手部分65が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、厚手部分66が厚手部分対向領域16に対向するように配置される。薄手部分65は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに撮影位置に配置される。
【0046】
薄手部分65は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とにより上から押さえつけられている。すなわち、画像撮影装置1は、薄手部分65が反っていた場合でも、薄手部分65が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられることにより、薄手部分65が載置面14から大きく離れることを防止することができる。
【0047】
ドイツパスポート71の厚手部分側表紙74の右側端面67から突出した部分は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、図19に示されているように、右側表紙用スリット39に配置される。図19は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。厚手部分側表紙74の左側端面から突出した部分は、右側端面67から突出した部分と同様に、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側表紙用スリット29に配置される。
【0048】
ドイツパスポート71の厚手部分66の右側端面67は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、右側サイドガイド部分31の右側サイドガイド面35に対向している。ドイツパスポート71の厚手部分66の左側端面は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、厚手部分66の右側端面67と同様に、左側サイドガイド部分21の左側サイドガイド面25に対向している。すなわち、厚手部分側表紙74は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に配置されるときに、厚手部分66の左側端面が左側サイドガイド面25に沿うことを邪魔しない。このため、画像撮影装置1は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に配置されるときに、ドイツパスポート71が幅方向19に移動しないように厚手部分66を支持することができる。
【0049】
ドイツパスポート71の薄手部分側表紙73の薄手部分65から左側に突出した部分は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、図20に示されているように、左側表紙用スリット29に配置される。図20は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。ドイツパスポート71の薄手部分側表紙73の薄手部分65から右側に突出した部分は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分側表紙73の薄手部分65から左側に突出した部分と同様に、右側表紙用スリット39に配置される。すなわち、画像撮影装置1は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分側表紙73が干渉することなく、薄手部分65を撮影位置に適切に配置させることができる。
【0050】
図21は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。図21に示すように、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、先端部77が突き当て面17に突き当たることにより、ドイツパスポート71は傾斜した状態から傾斜していない状態に矯正され、ドイツパスポート71が傾斜しないようにドイツパスポート71の移動が制限される。
【0051】
薄手部分65のうちのVIZ68が配置されている部分は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられている。MRZ69は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とが突き当て部分12から長さLだけ離れていることにより、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられていない。すなわち、画像撮影装置1は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、MRZ69の一部が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに隠されないように、MRZ69の全部を露出させることができる。
【0052】
すなわち、画像撮影装置1では、ドイツパスポート71が開口部8を介して挿入された場合でも、薄手部分65が撮影位置に適切に配置される。画像撮影装置1は、ドイツパスポート71の薄手部分65が撮影位置に適切に配置されることにより、ドイツパスポート71の券面64の券面画像を適切に撮影することができる。
【0053】
<画像撮影装置の構成>
図22は、本開示の画像撮影装置の構成例を示す図である。図22において、画像撮影装置1は、内部カメラ41と、制御部51と、メモリ52と、抽出部53と、合成部54と、挿入検知センサ55Aと、突き当て検知センサ55Bと、異物判定部56と、ボケ判定部57と、真贋判定部58と、本人確認部59と、外部カメラ91と、タッチスクリーン92とを有する。内部カメラ41、メモリ52、抽出部53、合成部54、挿入検知センサ55A、突き当て検知センサ55B、異物判定部56、ボケ判定部57、真贋判定部58、本人確認部59、外部カメラ91、及び、タッチスクリーン92は、制御部51からの制御の下で動作する。制御部51、抽出部53、合成部54、異物判定部56、ボケ判定部57、真贋判定部58、及び、本人確認部59を実現するハードウェアの一例としてプロセッサが挙げられる。また、制御部51、抽出部53、合成部54、異物判定部56、ボケ判定部57、真贋判定部58、及び、本人確認部59を実現するプロセッサの一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、PLD(Programmable Logic Device)が挙げられる。メモリ52の一例として、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0054】
以下では、画像撮影装置1の撮影対象となる媒体がICAOパスポート61である場合を一例に挙げて説明する。
【0055】
<閾値の設定>
図23は、本開示の閾値の設定例の説明に供する図である。
【0056】
左側押さえ部分22、左側上側ガイド部分23及び左側接続部分24が存在する領域(以下では「左側ガイド部材存在領域LG」と呼ぶことがある)では、ICAOパスポート61の先端部77が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たっている状態にあるときに(つまり、先端部77が突き当て面17に突き当てられていることが突き当て検知センサ55Bによって検知されている状態にあるときに)、ICAOパスポート61の上面の左端付近の一部分がICAOパスポート61の上方から左側押さえ部分22、左側上側ガイド部分23及び左側接続部分24によって覆い隠されてしまうため、左側押さえ部分22、左側上側ガイド部分23及び左側接続部分24の画像(以下では「左側ガイド部材画像」と呼ぶことがある)によって券面画像の左端付近の一部の領域が遮蔽されてしまう。同様に、右側押さえ部分32、右側上側ガイド部分33及び右側接続部分34が存在する領域(以下では「右側ガイド部材存在領域RG」と呼ぶことがある)では、ICAOパスポート61の先端部77が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たっている状態にあるときに、ICAOパスポート61の上面の右端付近の一部分がICAOパスポート61の上方から右側押さえ部分32、右側上側ガイド部分33及び右側接続部分34によって覆い隠されてしまうため、右側押さえ部分32、右側上側ガイド部分33及び右側接続部分34の画像(以下では「右側ガイド部材画像」と呼ぶことがある)によって券面画像の右端付近の一部の領域が遮蔽されてしまう。また、左側ガイド部材存在領域LG及び右側ガイド部材存在領域RGの各々は、幅方向19の長さWG、及び、奥行方向18の長さHGを有する矩形の領域として規定され、突き当て面17から距離DGの位置にある。そこで、手前側から奥側へと挿入されるICAOパスポート61の先端部77から突き当て面17までの距離Dに対する閾値THが式(1)に従って設定され、メモリ52に予め記憶される。式(1)において、ΔHは、長さHGの5%以上10%未満の範囲にある何れかの値に設定されるのが好ましい。
TH=HG+ΔH …(1)
【0057】
<画像撮影装置における処理手順>
図24は、本開示の画像撮影装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0058】
図24において、ステップS100では、制御部51は、開口部8にICAOパスポート61が挿入されたことが挿入検知センサ55Aによって検知されるまで待機する(ステップS100:No)。開口部8にICAOパスポート61が挿入されたことが挿入検知センサ55Aによって検知されると(ステップS100:Yes)、処理はステップS105へ進む。
【0059】
ステップS105では、制御部51は、外部カメラ91による撮影対象者の撮影を行うとともに、内部カメラ41による撮影を開始する。内部カメラ41による撮影は、所定の時間間隔での写真の連写、または、所定のフレームレートでの動画撮影として行われる。
【0060】
次いで、ステップS110では、制御部51は、ICAOパスポート61の先端部77が突き当て面17に突き当てられたことが突き当て検知センサ55Bによって検知されたか否かを判定する。先端部77が突き当て面17に突き当てられたことが検知されるまで制御部51は内部カメラ41による撮影を継続させる(ステップS110:No)。内部カメラ41による撮影が継続されている間、制御部51は、内部カメラ画像をメモリ52に順次記憶させる。そして、先端部77が突き当て面17に突き当てられたことが検知されると(ステップS110;Yes)、ステップS115において、制御部51は内部カメラ41による撮影を終了させる。
【0061】
次いで、ステップS120では、制御部51は、メモリ52に記憶された内部カメラ画像における距離Dを解析する。ICAOパスポート61は挿入方向IDで挿入されるため、距離Dは、時間の経過に伴って徐々に小さくなる。内部カメラ41による撮影が所定の時間間隔での写真の連写として行われる場合には、制御部51は、ステップS105からステップS115までの間に撮影された複数枚の写真画像の各々について時間の経過順に距離Dを解析する。一方で、内部カメラ41による撮影が所定のフレームレートでの動画撮影として行われる場合には、制御部51は、ステップS105からステップS115までの間に撮影された動画を形成する各フレーム画像について時間の経過順に距離Dを解析する。以下では、時間の経過順に距離Dの解析対象となる各写真画像及び各フレーム画像を「解析対象画像」と総称することがある。
【0062】
次いで、ステップS125では、制御部51は、解析対象画像における距離Dが0.98TH以上、かつ、1.02TH未満の範囲にあるか否かを判定する。解析対象画像における距離Dが0.98TH以上かつ1.02TH以下の範囲にないときは(ステップS125:No)、処理はステップS120に戻る。一方で、解析対象画像における距離Dが0.98TH以上かつ1.02TH以下の範囲にあるときは(ステップS125:Yes)、処理はステップS130に進み、ステップS130では、制御部51は、距離Dが0.98TH以上かつ1.02TH以下の範囲にある解析対象画像を抽出元画像として取得する。なお、距離Dが0.98TH以上かつ1.02TH以下の範囲にある解析対象画像が複数存在する場合は、制御部51は、ステップS125の条件に最初に合致した解析対象画像を抽出元画像として取得する。
【0063】
ここで、閾値THは式(1)に従って設定されており、かつ、抽出元画像は、距離Dが0.98TH以上かつ1.02TH以下の範囲にある解析対象画像であるため、抽出元画像には左側ガイド部材画像及び右側ガイド部材画像が含まれない。つまり、抽出元画像は、ガイド部材画像によって遮蔽された領域が無い内部カメラ画像となる。
【0064】
抽出元画像の取得後、制御部51は、ステップS135において、メモリ52に記憶された内部カメラ画像における距離Dの解析を継続する。
【0065】
次いで、ステップS140では、制御部51は、解析対象画像における距離Dが0になったか否かを判定する。解析対象画像における距離Dが0より大きいときは(ステップS140:No)、処理はステップS135に戻る。一方で、解析対象画像における距離Dが0になったときは(ステップS140:Yes)、処理はステップS145へ進み、ステップS145では、制御部51は、距離Dが0である解析対象画像を合成先画像として取得する。つまり、合成先画像は、先端部77が突き当て面17に突き当てられたときに撮影された内部カメラ画像である。
【0066】
次いで、ステップS150では、制御部51は、ステップS130で取得された抽出元画像に含まれる券面画像から所定範囲の画像を抽出部53に抽出させる。以下では、抽出部53によって抽出元画像から抽出された所定範囲の券面画像を「抽出済画像」と呼ぶことがある。
【0067】
次いで、ステップS155では、制御部51は、抽出済画像にゴミや撮影対象者の指等の異物の画像(以下では「異物画像」と呼ぶことがある)が含まれているか否かを異物判定部56に判定させる。抽出済画像に異物画像が含まれていると異物判定部56によって判定されるときは(ステップS155:Yes)、処理はステップS160へ進み、抽出済画像に異物画像が含まれていないと異物判定部56によって判定されるときは(ステップS155:No)、処理はステップS165へ進む。
【0068】
ステップS160では、制御部51は、警告WAをタッチスクリーン92に出力させる。タッチスクリーン92が出力する警告WAの一例として、ICAOパスポート61からの異物の除去と、開口部8へのICAOパスポート61の再挿入とを促す警告が挙げられる。ステップS160の処理後、図24に示すフローチャートは終了する。
【0069】
一方で、ステップS165では、制御部51は、抽出済画像にボケがあるか否かをボケ判定部57に判定させる。抽出済画像にボケがあるとボケ判定部57によって判定されるときは(ステップS165:Yes)、処理はステップS170へ進み、抽出済画像にボケがないとボケ判定部57によって判定されるときは(ステップS165:No)、処理はステップS175へ進む。
【0070】
ステップS170では、制御部51は、警告WBをタッチスクリーン92に出力させる。タッチスクリーン92が出力する警告WBの一例として、開口部8へのICAOパスポート61のゆっくりとした再挿入を促す警告が挙げられる。ステップS170の処理後、図24に示すフローチャートは終了する。
【0071】
ステップS175では、制御部51は、縮小倍率を合成部54に算出させる。
【0072】
次いで、ステップS180では、合成部54は、ステップS175で算出した縮小倍率に従って抽出済画像を縮小する。以下では、縮小倍率に従って縮小された後の抽出済画像を「縮小済画像」と呼ぶことがある。
【0073】
次いで、ステップS185では、合成部54は、合成先画像に含まれる券面画像の所定位置に縮小済画像を合成する。以下では、縮小済画像が合成された後の合成先画像を「合成済画像」と呼ぶことがある。
【0074】
次いで、ステップS190では、制御部51は、開口部8へ挿入されたICAOパスポート61の真贋を真贋判定部58に判定させる。例えば、真贋判定部58は、合成済画像おける画像レイアウト、マイクロプリント、地紋等に基づいてICAOパスポート61の真贋を判定する。ICAOパスポート61が偽物だと判定されるときは(ステップS190:No)、処理はステップS195へ進み、ICAOパスポート61が本物だと判定されるときは(ステップS190:Yes)、処理はステップS200へ進む。
【0075】
ステップS195では、制御部51は、警告WCをタッチスクリーン92に出力させる。タッチスクリーン92が出力する警告WCの一例として、開口部8へ挿入されたICAOパスポート61では本人確認ができない旨の警告が挙げられる。ステップS195の処理後、図24に示すフローチャートは終了する。
【0076】
一方で、ステップS200では、制御部51は、撮影対象者の本人確認を本人確認部59に行わせる。本人確認部59は、外部カメラ画像に含まれる撮影対象者の顔の画像と、合成済画像に含まれる顔の画像とを比較することにより、撮影対象者の本人確認を行う。撮影対象者が本人であると確認できなかったときは(ステップS200:No)、処理はステップS205へ進み、撮影対象者が本人であると確認できたときは(ステップS200:Yes)、処理はステップS210へ進む。
【0077】
ステップS205では、制御部51は、警告WDをタッチスクリーン92に出力させる。タッチスクリーン92が出力する警告WDの一例として、撮影対象者の本人確認ができなかった旨の警告が挙げられる。ステップS205の処理後、図24に示すフローチャートは終了する。
【0078】
一方で、ステップS210では、制御部51は、メッセージをタッチスクリーン92に出力させる。ステップS210でタッチスクリーン92が出力するメッセージの一例として、撮影対象者の本人確認に成功した旨のメッセージが挙げられる。ステップS210の処理後、図24に示すフローチャートは終了する。
【0079】
<画像撮影装置の動作>
図25図33は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。以下では、図25図30を用いて動作例1について説明し、図31図33を用いて動作例2について説明する。
【0080】
<動作例1>
図25図27に時系列に取得される内部カメラ画像を例示する。図25に示す内部カメラ画像81Aには券面画像FAが含まれ、図26に示す内部カメラ画像81Bには券面画像FBが含まれ、図27に示す内部カメラ画像81Cには券面画像FCが含まれる。また、内部カメラ画像81A,81B,81Cには、左側ガイド部材像部材画像84と右側ガイド部材像部材画像85とが含まれる。また、内部カメラ画像81A,81B,81Cは、時系列に撮影された画像であるため、内部カメラ画像81Bにおける距離Dは内部カメラ画像81Aにおける距離Dより小さく、内部カメラ画像81Cにおける距離Dは内部カメラ画像81Bにおける距離Dより小さい。また、図25には、距離DがステップS125の条件に合致しないときの内部カメラ画像81Aを示し、図26には、距離DがステップS125の条件に合致したときの内部カメラ画像81Bを示し、図27には、距離DがステップS140の条件に合致したとき、つまり、距離Dが0になったときの内部カメラ画像81Cを示す。つまり、内部カメラ画像81Bが抽出元画像となり、内部カメラ画像81Cが合成先画像となる。
【0081】
そこで、抽出部53は、図28に示すように、抽出元画像81Bに含まれる券面画像FBから所定範囲PA1の画像を抽出することにより抽出済画像EI1Aを取得する。所定範囲PA1は、券面画像FBにおいて、幅方向19の長さW1、及び、奥行方向18の長さH1を有する矩形の領域として規定され、突き当て面17から距離TH+DGの位置にある。また、所定範囲PA1の幅方向19の長さW1は、券面画像FBの全幅の長さに等しく、所定範囲PA1の奥行方向18の長さH1は、左側ガイド部材存在領域LG及び右側ガイド部材存在領域RGの奥行方向18の長さHGに等しい。つまり、所定範囲PA1は、左側ガイド部材存在領域LG及び右側ガイド部材存在領域RGの長手方向の長さHGを有する短辺と、券面画像FBの幅方向の長さを有する長辺とによって形成される矩形の領域である。また、所定範囲PA1には、対象部分OPA,OPBが含まれる。対象部分OPA,OPBの幅方向19の長さW2は、左側ガイド部材存在領域LG及び右側ガイド部材存在領域RGの幅方向19の長さWGに等しく、対象部分OPA,OPBの奥行方向の長さは、所定範囲PA1の奥行方向18の長さH1に等しい。つまり、対象部分OPA,OPBは、左側ガイド部材存在領域LG及び右側ガイド部材存在領域RGの長手方向の長さHGを有する長辺と、左側ガイド部材存在領域LG及び右側ガイド部材存在領域RGの短手方向の長さWGを有する長辺とによって形成される矩形の領域である。また、対象部分OPAは、券面画像FBにおいて、券面画像FBの左端、かつ、突き当て面17から距離TH+DGに位置し、対象部分OPBは、券面画像FBの右端、かつ、突き当て面17から距離TH+DGに位置する。
【0082】
ここで、券面画像FB(図26)の撮影時にはICAOパスポート61が載置面14から浮いた状態にある一方で、券面画像FC(図27)の撮影時には載置面14からのICAOパスポート61の浮きがないため、券面画像FBの撮影時での券面と内部カメラ41との間の距離は、券面画像FCの撮影時での券面と内部カメラ41との間の距離より小さい。よって、券面画像FBの全幅の長さは、券面画像FCの全幅の長さより大きくなる。
【0083】
そこで、合成部54は、図29に示すようにして、抽出済画像EI1Aの全幅の長さW1と、基準画像RI1の全幅の長さWR1とに基づいて、式(2)に従って、縮小倍率L1を算出する。基準画像RI1は、載置面14からのICAOパスポート61の浮きがない状態で内部カメラ41によって予め撮影された画像であり、予めメモリ52に記憶されている。
L1=1/(W1÷WR1) …(2)
【0084】
次いで、合成部54は、縮小倍率L1を用いて抽出済画像EI1AをL1倍に縮小する。これにより、抽出済画像EI1Aの幅方向19の長さがW1×L1に縮小され、抽出済画像EI1Aの奥行方向18の長さがH1×L1に縮小された縮小済画像EI1Bが取得される。
【0085】
そして、合成部54は、図30に示すように、券面画像FCの所定位置に縮小済画像EI1Bを合成することにより合成済画像CIAを取得する。券面画像FCにおいて縮小済画像EI1Bが合成される所定位置は、幅方向19において、券面画像FCの左端と縮小済画像EI1Bの左端とが一致する位置、または、券面画像FCの右端と縮小済画像EI1Bの右端とが一致する位置であり、奥行方向18において、突き当て面17から距離DGの位置である。
【0086】
<動作例2>
以下、動作例1と異なる点について説明する。
【0087】
抽出部53は、図31に示すように、抽出元画像81Bに含まれる券面画像FBから所定範囲PA2の画像を抽出することにより抽出済画像EI2Aを取得する。所定範囲PA2は、対象部分OPA1と、対象部分OPB1とから形成される。
【0088】
ここで、券面画像FB(図31)の撮影時にはICAOパスポート61が載置面14から浮いた状態にある一方で、券面画像FC(図27)の撮影時には載置面14からのICAOパスポート61の浮きがないため、券面画像FBの撮影時での券面と内部カメラ41との間の距離は、券面画像FCの撮影時での券面と内部カメラ41との間の距離より小さい。よって、券面画像FBの全幅の長さは、券面画像FCの全幅の長さより大きくなる。
【0089】
そこで、合成部54は、図32に示すようにして、抽出済画像EI2Aの全幅の長さW2と、基準画像RI2の全幅の長さWR2とに基づいて、式(3)に従って、縮小倍率L2を算出する。基準画像RI2は、載置面14からのICAOパスポート61の浮きがない状態で内部カメラ41によって予め撮影された画像であり、予めメモリ52に記憶されている。
L2=1/(W2÷WR2) …(3)
【0090】
次いで、合成部54は、縮小倍率L2を用いて抽出済画像EI2AをL2倍に縮小する。これにより、抽出済画像EI2Aの幅方向19の長さがW2×L2に縮小され、抽出済画像EI2Aの奥行方向18の長さがH1×L2に縮小された縮小済画像EI2Bが取得される。
【0091】
そして、合成部54は、図33に示すように、券面画像FCの所定位置に縮小済画像EI2Bを合成することにより合成済画像CIBを取得する。券面画像FCにおいて縮小済画像EI2Bが合成される所定位置は、幅方向19において、券面画像FCの左端と左側の縮小済画像EI2Bの左端とが一致する位置、及び、券面画像FCの右端と右側の縮小済画像EI2Bの右端とが一致する位置であり、奥行方向18において、突き当て面17から距離DGの位置である。
【0092】
<スペインパスポート>
パスポートには、ICAOパスポート及びドイツパスポートの他に、スペインで発行されるスペインパスポートがある。図34は、本開示のスペインパスポートの券面の一例を示す図である。図34において、スペインパスポートSPASの所定領域HPには、パスポートの真贋判定や本人確認に必要な情報の一部が記載されている。また、所定領域HPは、スペインパスポートSPASの先端部T1が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たっている状態にあるときに、スペインパスポートSPASの上方から左側押さえ部分22、左側上側ガイド部分23及び左側接続部分24によって覆い隠されてしまう。
【0093】
よって、スペインパスポートSPASに対して本開示の技術を適用することにより、スペインパスポートSPASを用いた本人確認の精度を向上させることができる。
【0094】
<画像処理プログラム>
画像撮影装置1での各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムを画像撮影装置1が有するプロセッサに実行させることによって実現しても良い。例えば、画像撮影装置1での各処理に対応するプログラムがメモリ52に記憶されていても良い。また例えば、画像撮影装置1での各処理に対応するプログラムが、任意のネットワークを介して画像撮影装置1に接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバから画像撮影装置1でにダウンロードされて実行されても良い。また例えば、画像撮影装置1での各処理に対応するプログラムが、画像撮影装置1が読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から読み出されて実行されても良い。
【0095】
以上、本開示の実施例について説明した。
【0096】
以上のように、本開示の画像撮影装置(実施例の画像撮影装置1)は、開口部(実施例の開口部8)と、載置台(実施例の載置台2)と、突き当て部(実施例の突き当て部分12)と、案内部(実施例の左側押さえ部分22、左側上側ガイド部分23、左側接続部分24。右側押さえ部分32、右側上側ガイド部分33、右側接続部分34)と、撮影部(実施例の内部カメラ41)と、抽出部(実施例の抽出部53)と、合成部(実施例の合成部54)とを有する。開口部には、先端部(実施例の先端部77)を有する撮影対象媒体が先端部から所定の挿入方向(実施例の挿入方向ID)で挿入される。載置台には、開口部から挿入された撮影対象媒体が載置される。突き当て部には、載置台上で所定の挿入方向で挿入される撮影対象媒体の先端部が突き当たる。案内部は、撮影対象媒体の先端部を突き当て部へ案内するとともに、先端部が突き当て部に突き当たっている状態で、撮影対象媒体の上面の一部分を撮影対象媒体の上方から覆い隠す。撮影部は、載置台に対向して配置され、載置台に載置された撮影対象媒体を撮影対象媒体の上方から撮影する。また、撮影部は、撮影対象媒体が開口部から突き当て部まで移動する間に撮影対象媒体の上面の一部分が案内部によって覆い隠されていない状態にあるときの画像である第一画像(実施例の抽出元画像)を撮影するとともに、撮影対象媒体の先端部が突き当て部に突き当たっている状態にあるときの画像である第二画像(実施例の合成先画像)を撮影する。抽出部は、第一画像から所定範囲(実施例の所定範囲PA1,PA2)の画像である第三画像を抽出する。合成部は、第三画像を第二画像に合成する。
【0097】
例えば、所定範囲(実施例の所定範囲PA1)は、撮影対象媒体の上面の一部分の長手方向の長さを有する短辺と、第一画像に含まれる撮影対象媒体の画像の幅方向の長さを有する長辺とによって形成される矩形領域である。
【0098】
また例えば、所定範囲(実施例の所定範囲PA2)は、撮影対象媒体の上面の一部分の長手方向の長さを有する長辺と、撮影対象媒体の上面の一部分の短手方向の長さを有する短辺とによって形成される矩形領域である。
【0099】
こうすることで、案内部を有する画像撮影装置において撮影対象媒体の券面全域の画像を取得できる。このため、案内部を有する画像撮影装置を用いて行われる本人確認の精度を向上することができる。
【0100】
また、合成部は、第三画像(実施例の抽出済画像)を縮小し、縮小後の第三画像(実施例の縮小済画像)を第二画像に合成する。例えば、合成部は、第三画像を縮小する際の倍率(実施例の縮小倍率L1,L2)を基準画像(実施例の基準画像RI1,RI2)と第三画像とに基づいて算出し、算出した倍率に従って第三画像を縮小する。
【0101】
こうすることで、画像合成の精度を向上することができる。
【0102】
また、本開示の画像撮影装置は、第三画像に異物の画像が含まれていると判定されるときに、撮影対象媒体からの異物の除去と、開口部への撮影対象媒体の再挿入とを促す警告(実施例の警告WA)を出力する出力部(実施例のタッチスクリーン92)を有する。また、出力部は、第三画像がボケていると判定されるときに、開口部への撮影対象媒体の再挿入を促す警告を出力する。
【0103】
こうすることで、第三画像に異物の画像が含まれていたり、第三画像がボケていたりするときに、撮影部による撮影対象媒体の再撮影を行うことができる。
【符号の説明】
【0104】
1 画像撮影装置
8 開口部
2 載置台
12 突き当て部分
22 左側押さえ部分
23 左側上側ガイド部分
24 左側接続部分
32 右側押さえ部分
33 右側上側ガイド部分
34 右側接続部分
41 内部カメラ
53 抽出部
54 合成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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