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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022293
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】車両充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240208BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240208BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20240208BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/02 F
B60L53/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125764
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝資
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ アル タミミ
(72)【発明者】
【氏名】成田 瞳
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA10
5G503CC08
5G503DA04
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC11
5H125AC23
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE30
(57)【要約】
【課題】 最初に充電が開始された車両の充電を優先するが、所定の条件を満たしたら満充電に至らなくても優先制御を終了する車両充電装置を提供する。
【解決手段】 同一出力の10台の直流電源ユニット3と、2つの充電コネクタ6と、充電コネクタ6に接続した車両Mから入手した充電指示情報を基に、充電に使用する直流電源ユニット3の数を決定して充電制御を実施する制御部9とを有し、先に充電コネクタ6に接続された第1の車両M1の充電を優先する優先充電制御を実施し、第1の車両M1の優先充電を実施中に、未使用の充電コネクタ6に第2の車両M2にが続されても、満充電になる前に達成可能な所定の時間が経過するまでは第1の車両M1の優先充電を継続し、所定の時間が経過したら優先充電制御を終了して第1の車両M1及び第2の車両M2を同一の電力で充電する均等充電に移行する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置された複数の直流電源ユニットを使用して車両充電を実施する車両充電装置であって、
前記直流電源ユニットの個々の出力容量は同一であると共に、車両を充電するための2つの充電コネクタと、前記直流電源ユニットの組合せを制御する組合せ制御部とを備え、
前記組合せ制御部は、前記充電コネクタを接続した車両から入手した充電指示情報を基に、充電に使用する前記直流電源ユニットの数を決定して充電制御を実施すると共に、先に前記充電コネクタに接続された第1の車両の充電を優先する優先充電制御を実施し、
前記第1の車両の優先充電を実施中に、未使用の前記充電コネクタに第2の車両が接続されても、満充電になる前に達成可能な所定の条件を満たすまでは前記第1の車両の優先充電を継続し、前記所定の条件を満たしたら前記優先充電制御を終了して、前記第1の車両及び前記第2の車両を同一の電力で充電する均等充電に移行制御することを特徴とする車両充電装置。
【請求項2】
前記組合せ制御部は、先に接続された前記第1の車両の充電が完了したら、後から接続された前記第2の車両に対して前記優先充電制御を実施し、
その後、前記第1の車両を充電した一方の前記充電コネクタに第3の車両が接続されても、前記所定の条件を満たすまでは、前記第2の車両の前記優先充電制御を継続することを特徴とする請求項1記載の車両充電装置。
【請求項3】
前記組合せ制御部は、前記優先充電制御を終了した車両を再度優先の対象とはせず、優先充電制御終了後、充電を継続している状態で未使用の前記充電コネクタに新たな車両が接続されたら、均等充電を実施することを特徴とする請求項1又は2記載の車両充電装置。
【請求項4】
前記組合せ制御部は、優先充電制御対象の車両の充電時間が所定時間経過したら、前記優先充電制御を終了することを特徴とする請求項1記載の車両充電装置。
【請求項5】
前記組合せ制御部は、優先充電制御対象の車両の充電率が一定の割合増加したら、前記優先充電制御を終了すること特徴とする請求項1記載の車両充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気自動車等の蓄電池を備えた車両を充電する車両充電装置に関し、特に2台の車両の同時充電を可能とする車両充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数車両の急速充電を可能とした車両充電装置がある。例えば、特許文献1では主力容量が同一の複数の直流電源ユニットと車両充電のための複数の充電コネクタを備え、1台目の車両からの充電指示情報を基に、必要な数の直流電源ユニットを選択して電力を供給した。そして、2台目の車両が接続されたら、使用していない直流電源ユニットを使用して電力を供給した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-239559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の車両充電装置は、直流電源ユニットを複数備えることで、複数台の車両の同時充電が可能であった。しかしながら、最初に充電が開始された車両の充電が最後まで優先されるため、多くの直流電源ユニットが最初の車両充電に使用されたら、2台目の充電電力に使用される直流電源ユニットは少ないか無い場合が発生した。こうなると、2台目の充電は1台目の充電が終了するまで待たなければならず、充電の完了まで時間を要した。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、最初に充電が開始された車両の充電を優先するが、所定の条件を満たしたら満充電に至らなくても優先制御を終了する車両充電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、並列に配置された複数の直流電源ユニットを使用して車両充電を実施する車両充電装置であって、直流電源ユニットの個々の出力容量は同一であると共に、車両を充電するための2つの充電コネクタと、直流電源ユニットの組合せを制御する組合せ制御部とを備え、組合せ制御部は、充電コネクタを接続した車両から入手した充電指示情報を基に、充電に使用する直流電源ユニットの数を決定して充電制御を実施すると共に、先に充電コネクタに接続された第1の車両の充電を優先する優先充電制御を実施し、第1の車両の優先充電を実施中に、未使用の充電コネクタに第2の車両が接続されても、満充電になる前に達成可能な所定の条件を満たすまでは第1の車両の優先充電を継続し、所定の条件を満たしたら優先充電制御を終了して、第1の車両及び第2の車両を同一の電力で充電する均等充電に移行制御することを特徴とする。
この構成によれば、第1の車両が充電中に第2の車両の充電を開始しても、所定の条件を満たすまでは第1の車両の優先充電が実施されるが、所定の条件を満たしたら優先充電制御が終了し、第1の車両が満充電に至らなくても2台の均等充電に移行する。よって、先に充電を開始した車両の充電が優先されるし、2台目が長時間待たされる事態も防止できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、組合せ制御部は、先に接続された第1の車両の充電が完了したら、後から接続された第2の車両に対して優先充電制御を実施し、その後、第1の車両を充電した一方の充電コネクタに第3の車両が接続されても、所定の条件を満たすまでは、第2の車両の優先充電制御を継続することを特徴とする。
この構成によれば、充電の途中から優先充電制御対象となったら、その後車両が未使用の充電コネクタに接続されても、優先充電は継続されるため、先に充電が開始された車両は一定量の充電が成されるまでの時間が長くなることがない。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、組合せ制御部は、優先充電制御を終了した車両を再度優先の対象とはせず、優先充電制御終了後、充電を継続している状態で未使用の充電コネクタに新たな車両が接続されたら、均等充電を実施することを特徴とする。
この構成によれば、一度優先充電制御が終了した車両は、その後優先制御対象になることがなく、未使用の充電コネクタに新たな車両が接続されたら均等充電を実施する。よって、先の充電車両に対して一定量の充電が成されたら、後から接続された車両は待ち時間無く充電を開始できる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に記載の構成において、組合せ制御部は、優先充電制御対象の車両の充電時間が所定時間経過したら、優先充電制御を終了することを特徴とする。
この構成によれば、優先充電制御が充電時間で管理されるため、後から接続されて充電待ちの状態にある車両であっても、充電開始時間を把握し易い。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1に記載の構成において、組合せ制御部は、優先充電制御対象の車両の充電率が一定の割合増加したら、優先充電制御を終了すること特徴とする。
この構成によれば、優先充電制御が充電率で管理されるため、蓄電残量の多い車両は優先充電時間が短く、少ない車両は長くなる。よって、車両が一定の距離の走行を可能とする蓄電量の充電を優先充電制御により確保し易く、利便性が良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1の車両が充電中に第2の車両の充電を開始しても、所定の条件を満たすまでは第1の車両の優先充電が実施されるが、所定の条件を満たしたら優先充電制御が終了し、第1の車両が満充電に至らなくても2台の均等充電に移行する。よって、先に充電を開始した車両の充電が優先されるし、2台目が長時間待たされる事態も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る車両充電装置の一例を示す構成図である。
図2】充電制御のフローチャートである。
図3】優先制御のフローチャートである。
図4】充電電力と経過時間の関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る車両充電装置の一例を示すブロック図である。車両充電装置1は、商用電力である三相交流電力Wを直流電力に変換するAC/DCコンバータ2、直流電力を出力する複数の直流電源ユニット3を備えた直流電源部30、車両Mと通信する車両充電用通信部5、車両Mに接続して充電電力を供給する充電コネクタ6、直流電源部30の出力を2系統から成る出力電路L1に切替接続する電路選択リレー部7、出力電路L1と充電コネクタ6を備えた充電ケーブルL2との接続をオン/オフする出力リレー部8、直流電源ユニット3の組合せを制御すると共に車両充電装置1を制御する制御部(組合せ制御部)9等を備えている。
【0014】
AC/DCコンバータ2の出力は、DCバスL3を介して直流電源部30に入力される。また、車両充電装置1は、出力電路L1、充電ケーブルL2を2系統備え、充電コネクタ6を2つ有し、車両充電用通信部5は個々の充電コネクタ6に対して備えられている。
【0015】
AC/DCコンバータ2は、商用電力(交流電力)を所定の電圧の直流に変換する。制御部9から指示を受けて車両充電のための直流電力を生成する。ここでは、出力容量を100kWとしている。
【0016】
直流電源装置30は、並列に配置された10台の直流電源ユニット(第1~第10直流電源)3を備えて構成されている。直流電源ユニット3はDC/DCコンバータにより構成され、出力容量を10kWとし、全体で100kWを出力可能としている。また、各直流電源ユニット3を管理する直流電源管理部31を備えている。
直流電源管理部31は、車両充電用通信部5からの情報を基に各直流電源ユニット3が出力する電力(電圧/電流)を制御する。
【0017】
車両充電用通信部5は、充電コネクタ6を介して車両Mと通信し、車両Mから要求電力を含む充電指示情報を取得し、取得した情報を直流電源管理部31と制御部9に通知する。
【0018】
充電コネクタ6は、直流電源ユニット3から出力電路L1、充電ケーブルL2を介して供給された直流電力を車両Mに供給する。また、車両Mとの通信を管理する管理部(図示せず)を備えており、管理部から充電ケーブルL2を経由して車両充電用通信部5へ運転状態、車両との通信情報が通知される。この情報は、車両充電用通信部5から制御部9、直流電源管理部31へ通知される。
【0019】
電路選択リレー部7は、個々の直流電源ユニット3に対して、並列に配置した2つのリレーを備えて構成されている。制御部9により開閉制御され、直流電源ユニット3の出力を、2系統から成る出力電路L1の何れか一方に接続させる。
【0020】
出力リレー部8は、出力電路L1と充電ケーブルL2との接続をオン/オフする。制御部9により制御され、充電開始時にオンされ、完了するとオフされる。
【0021】
制御部9は、車両充電用通信部5と通信して車両Mから情報を入手し、AC/DCコンバータ2、直流電源部30、電路選択リレー部7、出力リレー部8を制御する。直流電源部30の制御においては、特に直流電源ユニット3の組合せを制御する。
【0022】
上記の如く構成された車両充電装置1の動作は以下のようである。
図2は車両充電装置1の充電制御の流れを示すフローチャートであり、2台の車両Mを充電し、1台目の車両Mの充電が完了するまでの流れを示している。まずこの図2を参照して説明する。尚、説明の都合上、最初に充電コネクタ6に接続される車両Mを第1の車両M1、2番目に接続される車両Mを第2の車両M2とする。
双方の充電コネクタ6が未接続の状態から、一方の充電コネクタ6に第1の車両M1が接続される(S1)と、充電コネクタ6に接続された一方の車両充電用通信部5と第1の車両M1との間で通信が成され、充電指示情報が第1の車両M1から車両充電用通信部5に通知される。この通知を受けて、制御部9は充電優先権を付与(S2)し、充電制御を開始する(S3)。
尚、説明の都合上、最初に第1の車両M1が接続された充電コネクタ6及び充電ケーブルL2を、第1コネクタ6a、第1充電ケーブルL2aとし、後から第2の車両M2が接続される充電コネクタ6及び充電ケーブルL2を、第2コネクタ6b、第2充電ケーブルL2bとする。
【0023】
充電を開始するまでの具体的制御を説明する。所定の充電開始操作で第1の車両M1の充電制御が開始されると、第1コネクタ6aの管理部が第1の車両M1から充電指示情報を入手し、第1充電ケーブルL2aを介して車両充電用通信部5に通知される。車両充電用通信部5は、通知された充電指示情報を制御部9及び直流電源管理部31に送信する。
【0024】
制御部9は、充電開始操作により使用する充電ケーブルL2が第1充電ケーブルL2aであることを認識し、出力リレー部8を制御して第1の車両M1が接続された第1充電ケーブルL2aと直流電源部30とを接続する。そして、受信した充電指示情報を基に、充電に使用する直流電源ユニット3を選択し、電路選択リレー部7を開閉制御し、優先充電制御を開始する。
【0025】
第1の車両M1からの充電指示情報を基に、要求電力を認識する(ここでは100kWとする)。要求電力が100kWであると認識した制御部9は、10台全ての直流電源ユニット3を選択し、第1充電ケーブルL2aが接続された一方の出力電路L1に接続されるよう電路選択リレー部7の全てのリレーを操作する。こうして第1の車両M1への100kWの電力供給が開始される。
【0026】
その後、車両Mが接続されなければ(S4でNO)、優先充電制御が後述する所定の条件を満たして終了しても、第1の車両M1からの要求電力に基づく充電は継続される(S5)。尚、引き続き管理部と車両M1との通信が継続され、要求電力が変更されると車両充電用通信部5はその情報を直流電源管理部31に通知して、直流電源部30が出力する電力が変更される。
そして、満充電等で充電が完了(S6でYES)し、第1コネクタ6aが第1の車両M1から切断(S7)されたら充電制御は終了し、新たな車両Mの接続を待つ。
【0027】
次に、第1の車両M1の充電が開始された後、2番目として第2の車両M2が接続されて、同時に2台の充電が行われる場合の制御を説明する。
第1コネクタ6aに接続された第1の車両M1の優先充電制御中に、第2コネクタ6bに第2の車両M2が接続されたら(S4でYES)、第2コネクタ6bを介して他方の車両充電用通信部5が第2の車両M2の充電指示情報を受信し、直流電源管理部31及び制御部9に通知する。
【0028】
充電指示情報を受信した制御部9では、充電優先権を付与した第1の車両M1の優先制御が終了していないため、優先制御を継続する(S9)。
但し、使用していない直流電源ユニット3があったら、その直流電源ユニット3を使用して電力を第2の車両M2に供給する。例えば、第2の車両M2の充電を開始する時点での第1の車両M1からの要求電力が80kWであったら、使用される直流電源ユニット3は8台となるため、2台の直流電源ユニット3が稼働していない未使用状態となる。そのため、この2台を使用して充電が開始される。
【0029】
ここで、優先充電制御を具体的に説明する。図3は優先制御のフローを示し、この図3を参照して説明する。優先制御は充電時間により管理され、一定時間(ここでは15分)が経過したら終了するよう制御される。
そのため、まず優先充電制御を開始するにあたり、時間の計測が開始されて(S21)、充電が開始される(S22)。そして15分が経過(S24でYES)したら、優先充電制御を終了する。但し、15分の経過を前に第1の車両M1が満充電となったら充電完了と判断(S23でYES)して優先充電制御を終了し、第2の車両M2の優先充電制御に移行する。
【0030】
15分が経過して優先充電制御が終了したら(S8でYES)、2台の車両M1,M2の双方に対して直流電源部30の電力を均等に分配し、それぞれ50kWの電力を供給(S10)して充電を継続する。
この充電により第1の車両(1台目の車両)M1の充電が完了したら(S11でYES)、出力リレー部8をオフ操作して第1コネクタ6aを電路から切断する(S12)。
尚、この切断を受けて、優先権は第2の車両M2に付与され、均等配分から要求電力(例えば、100kW)の供給制御に移行する。
【0031】
このように、最初の第1の車両M1が充電中に第2の車両M2の充電を開始しても、所定の条件を満たすまでは第1の車両M1の優先充電が実施されるが、所定の条件を満たしたら優先充電制御が終了し、第1の車両M1が満充電に至らなくても2台の均等充電に移行する。よって、先に充電を開始した車両Mの充電が優先されるし、2台目が長時間待たされる事態も防止できる。
また、充電の途中から優先充電制御対象となったら、その後車両Mが未使用の充電コネクタ6に接続されても、優先充電は継続されるため、先に充電が開始された車両Mは一定量の充電が成されるまでの時間が長くなることがない。
更に、優先充電制御が充電時間で管理されるため、後から接続されて充電待ちの状態にある車両Mであっても、充電開始時間を把握し易い。
【0032】
図4は、充電電力と経過時間の関係を示すグラフ図であり、この図を参照して第2の車両以降の車両Mの充電制御を説明する。本発明の制御部9は、1度優先充電制御を付与した車両Mに対しては、再度優先制御を実施することはしない。ここでは、この制御を中心説明する。
尚、図4において、充電電力100%は、直流電源部30の出力容量である100kWで充電する状態を示している。また、3番目~5番目に充電が開始される車両Mを第3の車両M3~第5の車両M5と符号付けして説明する。
【0033】
図4に示すタイミングT1は、上記充電制御の説明で、充電開始から15分が経過して第1の車両M1の優先制御が終了したタイミングを示している。また、それから10分後(充電を開始してから25分後)のタイミングT2は、第1の車両M1の充電が完了して切断(S12)されたタイミングを示している。尚、このT2のタイミングは、第2の車両M2の優先充電制御が開始されるタイミングでもある。
【0034】
この第2の車両M2の優先充電中に、第1コネクタ6aに第3の車両M3が接続されると、制御部9はそれを認識するが、未使用の直流電源ユニット3が無ければ、充電を実施せずに第2の車両M2の優先制御の終了を待つ。
タイミングT3は、T2のタイミングから15分が経過して、第2の車両M2の優先制御が終了したタイミングを示し、その後は第2の車両M2と第3の車両M3の均等充電が実施される。
タイミングT4は、第3の車両M3に接続された第1コネクタ6aが取り外されたタイミングを示している。この場合、第2の車両に対して優先充電制御は復活しないが、充電車両Mは第2の車両M2のみになるため、要求電力が供給される。ここでは引き続き100kWの要求が継続され、直流電源部30の全ての電力が供給される状態を示している。
【0035】
T5は第4の車両M4が第1コネクタ6aに接続されたタイミング、T6はその5分後で第4の車両M4が手動で停止操作が成されて切断されたタイミングを示している。第4の車両M4が接続されると、第2の車両M2は優先制御が終了して解除されているため、第4の車両M4と均等充電に移行する。
尚、タイミングT6で第2の車両M2が切断されているが、これは満充電となり切断された場合を示している。そして、この時点で双方の充電コネクタ6には車両Mの接続が無くなるため、充電制御はリセットされる。
【0036】
その後、T7は第2コネクタ6bに第5の車両M5が接続されて充電(優先充電)が開始されたタイミングを示し、この制御は第1の車両M1の充電開始と同様の制御となる。
【0037】
尚、この制御では、接続された車両Mの要求電力が何れも100kWの場合を示しているが、例えば車両Mの要求電力が60kWであれば、優先制御していても供給電力は60kWであり、例えば6台の直流電源ユニット3が使用されて、電力が供給される。そして、後から接続された車両Mに対しては、優先充電の対象でなくとも充電待ちは発生せず、残りの未使用の4台の直流電源ユニット3を使用して40kWの電力が供給される。
【0038】
このように、一度優先充電制御が終了した車両Mは、その後優先制御対象になることがなく、他の充電コネクタ6に新たな車両Mが接続されたら均等充電を実施する。よって、先の充電が開始された車両Mに対して一定量の充電が成されたら、後から充電コネクタ6に接続された車両Mは、待ち時間無く充電を開始できる。
【0039】
尚、上記実施形態では、優先充電制御を継続させる所定の条件を15分の充電時間としているが、この時間は満充電になるまでの充電時間よりは短い時間であることを前提としている。加えて、例えば50km等の一定距離を走行可能な電力量の充電を完了できる時間を想定して設定しているもので、満充電に達する平均的な時間より短ければ良く、15分に限定するものではない。
また、優先充電制御を充電時間で管理しているが、時間では無く車両Mの充電率(SOC)の数値を基に管理しても良い。例えば、充電開始からSOCが25%等一定の割合増加したら優先制御を終了するよう制御しても良い。この制御の場合、優先充電制御が充電率で管理されるため、蓄電残量の多い車両Mは優先充電時間が短く、少ない車両Mに対しては長くできる。よって、車両Mが一定の距離の走行を可能とする蓄電量の充電を優先充電制御により確保し易く、利便性が良い。
【符号の説明】
【0040】
1・・車両充電装置、2・・AC/DCコンバータ、3・・直流電源ユニット、5・・車両充電用通信部、6・・充電コネクタ、7・・電路選択リレー部、8・・出力リレー部、9・・制御部(組合せ制御部)、30・・直流電源部、31・・直流電源管理部、L2・・充電ケーブル、M(M1~M5)・・車両。
図1
図2
図3
図4