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特開2024-22309スリットノズル用導電性ペースト、硬化物およびスリットノズル用導電性ペーストの塗布方法
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  • 特開-スリットノズル用導電性ペースト、硬化物およびスリットノズル用導電性ペーストの塗布方法 図1
  • 特開-スリットノズル用導電性ペースト、硬化物およびスリットノズル用導電性ペーストの塗布方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022309
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】スリットノズル用導電性ペースト、硬化物およびスリットノズル用導電性ペーストの塗布方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20240208BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20240208BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20240208BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240208BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20240208BHJP
   C08G 59/18 20060101ALI20240208BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20240208BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20240208BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C09J9/02
C09J163/00
C09J11/04
C09J4/02
C08G59/18
H01B1/22 A
H05K3/32 B
C08K3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125797
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】西 孝行
【テーマコード(参考)】
4J002
4J036
4J040
5E319
5G301
【Fターム(参考)】
4J002CD021
4J002CD041
4J002CD051
4J002DA076
4J002EH157
4J002EJ038
4J002ET008
4J002EU118
4J002FA016
4J002FD116
4J002FD148
4J002FD207
4J002GQ05
4J036AA04
4J036AB07
4J036AD08
4J036DA09
4J036DB05
4J036DC40
4J036EA03
4J036EA04
4J036FA01
4J036JA06
4J040EC061
4J040EC062
4J040FA131
4J040FA132
4J040HA066
4J040HB35
4J040HB41
4J040HC16
4J040HC23
4J040JB02
4J040JB10
4J040KA12
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA32
4J040LA11
4J040NA20
4J040PB01
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB06
5E319BB11
5E319CC03
5E319CD27
5E319GG15
5E319GG20
5G301DA03
5G301DA42
5G301DA57
5G301DA60
5G301DD01
5G301DD03
5G301DE01
(57)【要約】
【課題】吐出後において必要以上の流動が抑制されたスリットノズル用導電性ペーストを提供すること。
【解決手段】銀含有粒子と、エポキシモノマーまたはエポキシ樹脂と、を含むスリットノズル用導電性ペーストであって、下記式(1)で示される粘度変化率Δη0.5が0より大きく0.20以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
Δη0.5=(η0.5(T1)-η0.5(T0))/η0.5(T0) (1)
式(1)中、η0.5(T0)およびη0.5(T1)は所定の手順で測定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀含有粒子と、
分子内に1または2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
を含むスリットノズル用導電性ペーストであって、
下記式(1)で示される粘度変化率Δη0.5が0より大きく0.20以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
Δη0.5=(η0.5(T1)-η0.5(T0))/η0.5(T0) (1)
式(1)中、η0.5(T0)およびη0.5(T1)は下記の<手順>で測定される
<手順>
(i)スリットノズル用導電性ペーストを粘度計の測定部にセットする。
(ii)25℃において当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T0)とする。
(iii)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T0)とする。
(iv)次いで、当該粘度計を停止させ、5分間静置する。
(v)次いで、当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T1)とする。
(vi)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T1)とする。
【請求項2】
銀含有粒子と、
エポキシモノマーまたはエポキシ樹脂と、
を含むスリットノズル用導電性ペーストであって、
下記式(2)で示される粘度変化率Δηが0より大きく0.20以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
Δη=(η5(T1)-η5(T0))/η5(T0) (2)
式(2)中、η5(T0)およびη5(T1)は下記の<手順>で測定される
<手順>
(i)当該スリットノズル用導電性ペーストを粘度計の測定部にセットする。
(ii)25℃において当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T0)とする。
(iii)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T0)とする。
(iv)次いで、当該粘度計を停止させ、5分間静置する。
(v)次いで、当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T1)とする。
(vi)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T1)とする。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスリットノズル用導電性ペーストであって、
η0.5(T0)/η5(T0)で示されるチキソ指数TI(T0)が1.0以上10.0以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
【請求項4】
請求項1または2に記載のスリットノズル用導電性ペーストであって、
η0.5(T1)/η5(T1)で示されるチキソ指数TI(T1)が1.0以上10.0以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
【請求項5】
請求項1または2に記載のスリットノズル用導電性ペーストであって、
前記銀含有粒子のレーザ回折散乱法による体積基準のメジアン径D50が1.0μm以上15.0μm以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
【請求項6】
請求項1または2に記載のスリットノズル用導電性ペーストであって、
前記銀含有粒子の含有量が当該スリットノズル用導電性ペーストの全量を100質量部としたとき70質量部以上98質量部以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
【請求項7】
請求項1または2に記載のスリットノズル用導電性ペーストであって、
さらに(メタ)アクリルモノマーを含む、スリットノズル用導電性ペースト。
【請求項8】
請求項1または2に記載のスリットノズル用導電性ペーストを硬化して得られる硬化物。
【請求項9】
請求項1または2に記載のスリットノズル用導電性ペーストをジェットディスペンス法により被着面に塗布する、スリットノズル用導電性ペーストの塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスリットノズル用導電性ペースト、硬化物およびスリットノズル用導電性ペーストの塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子部品は、たとえば接着層を介して基板上に搭載される。このような接着層には導電性を有する樹脂組成物が用いられることがある。導電性を有する樹脂組成物に関する技術としては、たとえば特許文献1に記載されるものが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、(A)プレート型銀微粒子と、(B)前記(A)成分以外の平均粒子径が0.5~30μmである銀粉と、(C)熱硬化性樹脂と、を含み、前記(A)成分の銀微粒子と前記(B)成分の銀粉の合計量を100質量部としたとき、前記(C)成分が1~20質量部配合されていることを特徴とする樹脂組成物が記載されており、当該樹脂組成物は導電性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-194013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体パッケージの小型化やデザインの多様化がさらに進行し、導電性ペーストにもこのようなパッケージに対応する技術が求められていた。
このような状況に対応するため、近年では、導電性ペーストをスリットノズル法により塗布することが要請されている。しかし、かかる要請に対して従来の導電性ペーストでは充分に対応できていなかった。
【0006】
スリットノズル法により微細な印刷を行う場合、吐出後に導電性ペーストがダレてしまうと(つまり吐出後に導電性ペーストが必要以上に流動してしまうと)、微細な印刷が困難になってしまう。
導電性ペーストの流動しやすさの指標にはBLTを用いることができる。BLTとはBond Line Thickness(接着層の積層方向厚み)のことであり、BLTが小さいほど導電性ペーストが流動しやすく、逆にBLTが大きいほど導電性ペーストが流動しづらい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
【0008】
[1]
銀含有粒子と、
分子内に1または2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
を含むスリットノズル用導電性ペーストであって、
下記式(1)で示される粘度変化率Δη0.5が0より大きく0.20以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
Δη0.5=(η0.5(T1)-η0.5(T0))/η0.5(T0) (1)
式(1)中、η0.5(T0)およびη0.5(T1)は下記の<手順>で測定される
<手順>
(i)スリットノズル用導電性ペーストを粘度計の測定部にセットする。
(ii)25℃において当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T0)とする。
(iii)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T0)とする。
(iv)次いで、当該粘度計を停止させ、5分間静置する。
(v)次いで、当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T1)とする。
(vi)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T1)とする。
[2]
銀含有粒子と、
エポキシモノマーまたはエポキシ樹脂と、
を含むスリットノズル用導電性ペーストであって、
下記式(2)で示される粘度変化率Δηが0より大きく0.20以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
Δη=(η5(T1)-η5(T0))/η5(T0) (2)
式(2)中、η5(T0)およびη5(T1)は下記の<手順>で測定される
<手順>
(i)当該スリットノズル用導電性ペーストを粘度計の測定部にセットする。
(ii)25℃において当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T0)とする。
(iii)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T0)とする。
(iv)次いで、当該粘度計を停止させ、5分間静置する。
(v)次いで、当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T1)とする。
(vi)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T1)とする。
[3]
上記[1]または[2]に記載のスリットノズル用導電性ペーストであって、
η0.5(T0)/η5(T0)で示されるチキソ指数TI(T0)が1.0以上10.0以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
[4]
上記[1]~[3]のいずれかに記載のスリットノズル用導電性ペーストであって、
η0.5(T1)/η5(T1)で示されるチキソ指数TI(T1)が1.0以上10.0以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
[5]
上記[1]~[4]のいずれかに記載のスリットノズル用導電性ペーストであって、
前記銀含有粒子のレーザ回折散乱法による体積基準のメジアン径D50が1.0μm以上15.0μm以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
[6]
上記[1]~[5]のいずれかに記載のスリットノズル用導電性ペーストであって、
前記銀含有粒子の含有量が当該スリットノズル用導電性ペーストの全量を100質量部としたとき70質量部以上98質量部以下である、スリットノズル用導電性ペースト。
[7]
上記[1]~[6]のいずれかに記載のスリットノズル用導電性ペーストであって、
さらに(メタ)アクリルモノマーを含む、スリットノズル用導電性ペースト。
[8]
上記[1]~[7]のいずれかに記載のスリットノズル用導電性ペーストを硬化して得られる硬化物。
[10]
上記[1]~[7]のいずれかに記載のスリットノズル用導電性ペーストをジェットディスペンス法により被着面に塗布する、スリットノズル用導電性ペーストの塗布方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吐出後において必要以上の流動が抑制されたスリットノズル用導電性ペーストが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストにより接着層が形成された半導体装置を示す断面図である。
図2】スリットノズルの(A)底面図、(B)側面図、(C)背面図および(D)前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、「a~b」は特に断りがなければ「a以上b以下」を表す。
【0012】
[ジェットディスペンス法の概要]
まず、ジェットディスペンス法による接着層の形成の概要について、図1および2を用いて説明する。
【0013】
図1は本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストにより接着層が形成された半導体装置100を示す断面図である。ジェットディスペンス法においては、スリットノズルから基板30の表面にスリットノズル用導電性ペーストを吐出し、接着層10が形成する。そして、接着層10を介して半導体素子20が搭載される。
【0014】
図2は、スリットノズルノズルの一例を示す図である。図2(A)には底面図、図2(B)には側面図、図2(C)には背面図、図2(D)には前面図がそれぞれ示されている。
【0015】
[スリットノズル用導電性ペースト]
本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペーストは、
銀含有粒子と、
エポキシモノマーまたはエポキシ樹脂と、
を含むスリットノズル用導電性ペーストであって、
下記式(1)で示される粘度変化率Δη0.5が0より大きく0.20以下である。
Δη0.5=(η0.5(T1)-η0.5(T0))/η0.5(T0) (1)
式(1)中、
η0.5(T0)およびη0.5(T1)は下記の手順で測定される。
<手順>
(i)スリットノズル用導電性ペーストを粘度計の測定部にセットする。
(ii)25℃において当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T0)とする。
(iii)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T0)とする。
(iv)次いで、当該粘度計を停止させ、5分間静置する。
(v)次いで、当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T1)とする。
(vi)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T1)とする。
【0016】
本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペーストは、
銀含有粒子と、
エポキシモノマーまたはエポキシ樹脂と、
を含むスリットノズル用導電性ペーストであって、
下記式(2)で示される粘度変化率Δηが0より大きく0.20以下である。
Δη=(η5(T1)-η5(T0))/η5(T0) (2)
式(2)中、
η5(T0)およびη5(T1)は下記の手順で測定される。
<手順>
(i)当該スリットノズル用導電性ペーストを粘度計の測定部にセットする。
(ii)25℃において当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T0)とする。
(iii)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T0)とする。
(iv)次いで、当該粘度計を停止させ、5分間静置する。
(v)次いで、当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T1)とする。
(vi)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T1)とする。
【0017】
本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストは、BLTの低減が抑制されている。すなわち、本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストは、吐出後における必要以上の流動が抑制されている。
【0018】
<レオロジー特性>
本発明者は、スリットノズル用導電性ペーストが下記(I)および(II)の要件を満たすことにより、レオロジー特性が適切になり、BLTの低減が抑制されるようになるということを新たに見出した。
(I)銀含有粒子と、エポキシモノマーまたはエポキシ樹脂と、を含むこと。
(II)上記の方法で算出される粘度変化率Δη0.5が0より大きく0.20以下であること。
【0019】
スリットノズル用導電性ペーストが上記(I)および(II)の要件を満たすことにより上述の課題が解決されるメカニズムは明らかではないが、ペーストに配合された各成分どうしの相互作用により、ペーストのレオロジー特性が適切な範囲に調整されるものと推測される。
【0020】
また、本発明者は、スリットノズル用導電性ペーストが下記(III)および(IV)の要件を満たすことにより、レオロジー特性が適切になり、BLTの低減が抑制されるようになるということを見出した。
(III)銀含有粒子と、エポキシモノマーまたはエポキシ樹脂と、を含むこと。
(IV)上記の方法で算出される粘度変化率Δηが0より大きく0.20以下であること。
【0021】
スリットノズル用導電性ペーストが上記(III)および(IV)の要件を満たすことにより上述の課題が解決されるメカニズムは明らかではないが、ペーストに配合された各成分どうしの相互作用により、ペーストのレオロジー特性が適切な範囲に調整されるものと推測される。
【0022】
以下、本実施形態にかかる導電性ペーストのレオロジー特性について記載する。本実施形態にかかる導電性ペーストは以下に示す数値範囲であることが好ましい。このようにすることで安定的に塗布を行うことが可能になる。
【0023】
本実施形態にかかる導電性ペーストのレオロジー特性は、粘度計により測定された数値に基づいて議論されるが、粘度計としては、例えば、Brookfield社製のDVNXHBCBGを用いることができる。
【0024】
上記の方法で測定された粘度η0.5(T0)は、好ましくは10Pa・s以上であり、より好ましくは20Pa・s以上であり、さらに好ましくは30Pa・s以上である。
【0025】
上記の方法で測定された粘度η0.5(T0)は、好ましくは450Pa・s以下であり、より好ましくは400Pa・s以下であり、さらに好ましくは350Pa・s以下である。
【0026】
上記の方法で測定された粘度η5(T0)は、好ましくは2.0Pa・s以上であり、より好ましくは3.0Pa・s以上であり、さらに好ましくは5.0Pa・s以上である。
【0027】
上記の方法で測定された粘度η5(T0)は、好ましくは100Pa・s以下であり、より好ましくは70Pa・s以下であり、さらに好ましくは50Pa・s以下である。
【0028】
上記の方法で測定された粘度η0.5(T1)は、好ましくは20Pa・s以上であり、より好ましくは30Pa・s以上であり、さらに好ましくは40Pa・s以上である。
【0029】
上記の方法で測定された粘度η0.5(T1)は、好ましくは500Pa・s以下であり、より好ましくは450Pa・s以下であり、さらに好ましくは400Pa・s以下である。
【0030】
上記の方法で測定された粘度η5(T1)は、好ましくは3.0Pa・s以上であり、より好ましくは5.0Pa・s以上であり、さらに好ましくは7.0Pa・s以上である。
【0031】
上記の方法で測定された粘度η5(T1)は、好ましくは120Pa・s以下であり、より好ましくは80Pa・s以下であり、さらに好ましくは60Pa・s以下である。
【0032】
下記式(1)で示されるものを粘度変化率Δη0.5とする。
Δη0.5=(η0.5(T1)-η0.5(T0))/η0.5(T0) (1)
【0033】
Δη0.5は、0より大きく、好ましくは0.02以上であり、より好ましくは0.05以上である。
【0034】
Δη0.5が上記下限値以上であると、基板に吐出された導電性ペーストが過度に流動することが抑制される。これにより、BLTの低減が抑制されるようになる。
【0035】
Δη0.5は、0.20以下であり、好ましくは0.15以下であり、より好ましくは0.10以下である。
【0036】
Δη0.5が上記上限値以下であると、基板に吐出された導電性ペーストが適度に流動するようになる。これにより、導電性ペーストのレベリング性がより向上する。
【0037】
下記式(2)で示されるものを粘度変化率Δηとする。
Δη=(η5(T1)-η5(T0))η5(T0) (2)
【0038】
Δηは、0より大きく、好ましくは0.02以上であり、より好ましくは0.05以上である。
【0039】
Δηが上記下限値以上であると、基板に吐出された導電性ペーストが過度に流動することが抑制される。これにより、BLTの低減が抑制されるようになる。
【0040】
Δηは、0.20以下であり、好ましくは0.15以下であり、より好ましくは0.10以下である。
【0041】
Δηが上記上限値以下であると、基板に吐出された導電性ペーストが適度に流動するようになる。これにより、導電性ペーストのレベリング性がより向上する。
【0042】
本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペースト中の銀粒子の含有割合をFC(Filler Content)(質量%)とする。また、下記式(3)で示される銀粒子以外の成分の含有割合をRC(Resin Content)(質量%)とする。
RC=100-FC (3)
【0043】
Δη0.5/RCは、好ましくは0より大きく、より好ましくは0.002以上であり、さらに好ましくは0.005以上である。
【0044】
Δη0.5/RCが上記下限値以上であると、基板に吐出された導電性ペーストが過度に流動することが抑制される。これにより、BLTの低減が抑制されるようになる。
【0045】
Δη0.5/RCは、好ましくは0.010以下であり、より好ましくは0.008以下であり、さらに好ましくは0.007以下である。
【0046】
Δη0.5/RCが上記上限値以下であると、基板に吐出された導電性ペーストが適度に流動するようになる。これにより、導電性ペーストのレベリング性がより向上する。
【0047】
Δη/RCは、好ましくは0より大きく、より好ましくは0.002以上であり、さらに好ましくは0.005以上である。これにより、 Δη/RCが上記下限値以上であると、基板に吐出された導電性ペーストが過度に流動することが抑制される。これにより、BLTの低減が抑制されるようになる。
【0048】
Δη/RCは、好ましくは0.010以下であり、より好ましくは0.008以下であり、さらに好ましくは0.007以下である。これにより、基板に吐出された導電性ペーストが適度に流動するようになる。これにより、導電性ペーストのレベリング性がより向上する。
【0049】
η0.5(T0)/η5(T0)をチキソ指数TI(T0)とする。
η0.5(T0)とη5(T0)の差が大きい場合、すなわちチキソトロピー効果が大きい場合、TI(T0)は大きくなる。
【0050】
TI(T0)は、好適に1.0以上であり、より好ましくは2.0以上であり、さらに好ましくは4.0以上である。これにより、チキソトロピー効果がより向上し、ジェットディスペンサ静止時の液垂れ抑制とジェットディスペンサからの吐出時の吐出性とがより高度に両立される。
【0051】
TI(T0)は、好適に10.0以下であり、より好ましくは8.0以下であり、さらに好ましくは7.0以下である。
【0052】
η0.5(T1)/η5(T1)をチキソ指数TI(T1)とする。
η0.5(T1)とη5(T1)の差が大きい場合、すなわちチキソトロピー効果が大きい場合、TI(T1)は大きくなる。
【0053】
TI(T1)は、好適に1.0以上であり、より好ましくは2.0以上であり、さらに好ましくは4.0以上である。これにより、チキソトロピー効果がより向上し、ジェットディスペンサ静止時の液垂れ抑制とジェットディスペンサからの吐出時の吐出性とがより高度に両立される。
【0054】
TI(T1)は、好適に10.0以下であり、より好ましくは8.0以下であり、さらに好ましくは7.0以下である。
【0055】
<製法上の特徴>
本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストは、例えば、あらかじめ銀含有粒子以外の成分を充分に混合し、その後銀含有粒子を添加し、さらに混合することにより製造することができる。このような方法で製造を行うことにより、銀含有粒子の種類や含有量を調整することが容易になる。具体的には、銀含有粒子以外の成分を調整後、そのレオロジーを確認してから銀含有粒子の種類や含有量を調整できるようになる。
【0056】
<各成分>
以下、本実施形態のジェットディペンス用導電性ペーストが含有する各成分について説明する。
【0057】
(銀含有粒子)
本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペーストは銀含有粒子を含有する。
【0058】
本実施形態にかかる銀含有粒子は、ジェットディペンス用導電性ペーストにより接着層10が形成された後、ペーストが硬化する際に銀含有粒子が凝集してシンタリング構造(粒子連結構造)を形成する。当該シンタリング構造により、導電性や熱伝導性、基材への密着性が発現する。
【0059】
銀含有粒子のレーザ回折散乱法による体積基準のメジアン径D50は、好ましくは1.0μm以上であり、より好ましくは1.5μm以上であり、さらに好ましくは2.0μm以上である。?50が上記下限値以上であることにより、銀含有粒子の比表面積の過度な増大を抑制し、接触熱抵抗による熱伝導性低下を抑えることできる。
【0060】
銀含有粒子のレーザ回折散乱法による体積基準のメジアン径D50は、好ましくは15.0μm以下であり、より好ましくは14.0μm以下であり、さらに好ましくは13.0μm以下である。?50が上記上限値以下であることにより、吐出後のペーストの流動性をより適切にすることができる。また、?50が上記上限値以下であることにより、銀含有粒子どうしのシンタリング構造の形成を促進することができる。
【0061】
銀含有粒子のレーザ回折散乱法による体積基準のメジアン径D50は、例えば、シスメックス株式会社製フロー式粒子像分析装置FPIA(登録商標)-3000を用いて湿式で計測を行い、粒子画像計測を行うことで求めることができる。
【0062】
銀含有粒子の比表面積は、好ましくは0.1m/g以上5.0m/g以下、より好ましくは0.2m/g以上4.0m/g以下、さらに好ましくは0.3m/g以上3.0m/g以下である。
【0063】
銀含有粒子のタップ密度は、好ましくは1.0g/cm以上10.0g/cm以下、より好ましくは1.5g/cm以上8.5g/cm以下、さらに好ましくは2.0g/cm以上7.0g/cm以下である。銀含有粒子のタップ密度は、ISO 3953-1985(E)「金属粉-タップ密度の測定方法」に従って測定することができる。
【0064】
銀含有粒子の量は、スリットノズル用導電性ペーストの全量を100質量部としたとき、好ましくは70質量部以上であり、より好ましくは80質量部以上であり、さらに好ましくは90質量部以上である。銀含有粒子の量が上記下限値以上であることにより、本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペーストから形成される接着層の導電性および熱伝導性がより向上する。
【0065】
銀含有粒子の量は、スリットノズル用導電性ペーストの全量を100質量部としたとき、好ましくは98質量部以下であり、より好ましくは97質量部以下であり、さらに好ましくは95質量部以下である。銀含有粒子の量が上記上限値以下であることにより、塗布性能がより向上する。また、銀含有粒子の量が上記上限値以下であることにより、本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペーストから形成される接着層の被着面への密着性がより向上する。
【0066】
本実施形態にかかる銀含有粒子の形状は、特に限定されないが、たとえば球状、楕球状、フレーク状、および鱗片状等を挙げることができる。本実施形態においては、銀含有粒子が球状粒子を含むことが好適である。これにより、銀含有粒子の凝集の均一性を向上させることができる。また、コストを低減させる観点からは、銀含有粒子がフレーク状粒子を含む態様を採用することもできる。さらには、コストの低減と凝集の均一性のバランスを向上させる観点から、銀含有粒子が球状粒子とフレーク状粒子の双方を含んでいてもよい。
【0067】
銀含有粒子は、(I)実質的に銀のみからなる粒子であってもよいし、(II)銀と銀以外の成分からなる粒子であってもよい。また、金属含有粒子として(I)および(II)が併用されてもよい。
【0068】
(I)実質的に銀のみからなる粒子としては、例えば銀粒子を挙げることができる。
【0069】
(II)銀と銀以外の成分からなる粒子としては、例えば銀コート樹脂粒子を挙げることができる。銀コート樹脂粒子は、樹脂粒子の表面が銀でコートされた粒子である。樹脂粒子の表面が銀でコートされた銀コート樹脂粒子は熱伝導性が良く、かつ、銀のみからなる粒子と比較してやわらかいため、銀コート樹脂粒子を用いることで、熱伝導率や貯蔵弾性率を適切な値に設計しやすくなる。
【0070】
銀コート樹脂粒子においては、樹脂粒子の表面の少なくとも一部の領域を銀層が覆っていればよい。もちろん、樹脂粒子の表面の全面を銀が覆っていてもよい。
【0071】
具体的には、銀コート樹脂粒子において、銀層は、樹脂粒子の表面の好ましくは50%以上、より好ましく75%以上、さらに好ましくは90%以上を覆っている。特に好ましくは、銀コート樹脂粒子において、銀層は、樹脂粒子の表面の実質的に全てを覆っている。
別観点として、銀コート樹脂粒子をある断面で切断したときには、その断面の周囲全部に銀層が確認されることが好ましい。
【0072】
さらに別観点として、銀コート樹脂粒子中の、樹脂/銀の質量比率は、例えば90/10~10/90、好ましくは80/20~20/80、より好ましくは70/30~30/70である。
【0073】
銀コート樹脂粒子における「樹脂」としては、例えば、シリコーン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などを挙げることができる。もちろん、これら以外の樹脂であってもよい。また、樹脂は1種のみであってもよいし、2種以上の樹脂が併用されてもよい。
弾性特性や耐熱性の観点から、樹脂は、シリコーン樹脂または(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
【0074】
また、(II)銀と銀以外の成分からなる粒子のうち、銀コート樹脂粒子は、例えば、三菱マテリアル社、積水化学工業社、株式会社山王等より入手することができる。
【0075】
本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペーストは、エポキシモノマーまたはエポキシ樹脂を含む。
【0076】
(エポキシ化合物)
本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペーストは分子内に1または2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含有する
【0077】
分子内に1のみのエポキシ基を有する単官能エポキシ化合物としては、たとえば、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、m,p-クレジルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0078】
分子内に2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物としては、たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールなどのビスフェノール化合物またはこれらの誘導体をエポキシ化したもの;
水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビフェノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノールなどの脂環構造を有するジオールまたはこれらの誘導体をエポキシ化したもの;
ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオールまたはこれらの誘導体をエポキシ化したもの;
トリメチロールプロパン骨格、トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する化合物またはこれらの誘導体をエポキシ化したもの;
フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂またはこれらの誘導体をエポキシ化した多官能のものなどが挙げられる。
【0079】
たとえば、シクロヘキサンジメタノールを有するジオールの誘導体をエポキシ化したものとしては、1,4-ビス[(オキシラン-2-イルメトキシ)メチル]シクロヘキサンなどを挙げることができる。
【0080】
エポキシ化合物を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0081】
エポキシ化合物の量は、スリットノズル用導電性ペーストの全量を100質量部としたとき、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。
【0082】
エポキシ化合物の量は、スリットノズル用導電性ペーストの全量を100質量部としたとき、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
【0083】
本実施形態にかかるエポキシ化合物の分子量は、好ましくは150以上、より好ましくは160以上、さらに好ましくは180以上である。
【0084】
本実施形態にかかるエポキシ化合物の分子量は、好ましくは2000以下、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは600以下である。
【0085】
(その他の成分)
本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペーストは、銀粒子と、エポキシモノマーまたはエポキシ樹脂以外の成分を含有していてもよい。
【0086】
・(メタ)アクリルモノマー
本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペーストは(メタ)アクリルモノマーを含有する。本実施形態における(メタ)アクリルモノマーとは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーのことである。
【0087】
本実施形態にかかる(メタ)アクリルモノマーは、ジェットディペンス用導電性ペーストにより接着層10が形成された後、ペースト硬化時の熱処理等によりペースト中の他成分等と反応する。これにより接着層10による固定がより一層強化される。
【0088】
本実施形態にかかる(メタ)アクリルモノマーは、その構造中に(メタ)アクリル基を1つ備える単官能(メタ)アクリルモノマーであってもよいし、その構造中に(メタ)アクリル基を2つ備える2官能(メタ)アクリルモノマーであってもよいし、その構造中に(メタ)アクリル基を3つ以上備える3官能以上の(メタ)アクリルモノマーであってもよい。
【0089】
単官能(メタ)アクリルモノマーとしては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのような脂肪族(メタ)アクリレート;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレートのような脂環式(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p-クミルフェニル(メタ)アクリレート、o-ビフェニル(メタ)アクリレート、1-ナフチル(メタ)アクリレート、2-ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(o-フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(1-ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(2-ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートのような芳香族(メタ)アクリレート;
2-テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N-カルバゾールのような複素環式(メタ)アクリレート
などを挙げることができる。
【0090】
2官能(メタ)アクリルモノマーとしては、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサン-1,6-ジオールビス(2-メチルアクリレート)、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートのような脂肪族ジ(メタ)アクリレート;
シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートのような脂環式ジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、フルオレン型ジ(メタ)アクリレートのような芳香族ジ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートのような複素環式ジ(メタ)アクリレート
などを挙げることができる。
【0091】
3官能以上の(メタ)アクリルモノマーとしては、たとえば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレートのような脂肪族(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートのような複素環式(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0092】
(メタ)アクリルモノマーを用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0093】
(メタ)アクリルモノマーの量は、スリットノズル用導電性ペーストの全量を100質量部としたとき、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。これにより、ヒートサイクル耐性や被着体への密着性などの性能のバランスがより良好になる。
【0094】
(メタ)アクリルモノマーの量は、スリットノズル用導電性ペーストの全量を100質量部としたとき、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
【0095】
本実施形態にかかる(メタ)アクリルモノマーの分子量は、好ましくは150以上、より好ましくは160以上、さらに好ましくは180以上である。
【0096】
本実施形態にかかる(メタ)アクリルモノマーの分子量は、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下、さらに好ましくは600以下である。
【0097】
・硬化剤
本実施形態にかかる導電性ペーストは、硬化剤をさらに含むことが好ましい。これにより、エポキシモノマーやエポキシ樹脂を硬化させることができる。
【0098】
本実施形態にかかる硬化剤としては、フェノール系硬化剤、イミダゾール系硬化剤などを挙げることができる。
【0099】
フェノール系硬化剤としては、たとえば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、フェノール-ビフェニルノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;ポリビニルフェノール;トリフェニルメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF(ジヒドロキシジフェニルメタン)等のビスフェノール化合物;ビフェノールなどのビフェニレン骨格を有する化合物などを挙げることができる。
【0100】
イミダゾール系硬化剤としては、たとえば、2-フェニル-1H-イミダゾール-4,5-ジメタノール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2-メチルイミダゾリル-(1)]-エチル-s-トリアジン、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2-メチルイミダゾリル-(1)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイトなどを挙げることができる。
【0101】
その他の硬化剤としては、たとえば、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;ジシアンジアミド、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、ベンジルジメチルアミン等のアミジンや3級アミン、これらの4級アンモニウム塩等の窒素原子含有化合物などを挙げることができる。
【0102】
硬化剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0103】
硬化剤の量は、スリットノズル用導電性ペーストの全量を100質量部としたとき、例えば0.05~20質量部、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部である。
【0104】
・ラジカル重合開始剤
本実施形態にかかる導電性ペーストは、ラジカル重合開始剤をさらに含むことが好ましい。これにより(メタ)アクリルモノマーを硬化させることができる。
【0105】
ラジカル重合開始剤としては、たとえば、アゾ化合物、過酸化物などを用いることができる。上記具体例のうち、例えば、過酸化物を用いることが好ましい。
【0106】
上記過酸化物としては、たとえば、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタールなどの有機過酸化物を挙げることができ、より具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;
1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;
p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;
ビス(1-フェニル-1-メチルエチル)ペルオキシド、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-へキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;
ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;
ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;
2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-へキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル;などを挙げることができる。
また、1,1-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)シクロヘキサン等、1分子中に2以上のペルオキシ基を有する化合物を挙げることもできる。
【0107】
ラジカル重合開始剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0108】
ラジカル重合開始剤の量は、スリットノズル用導電性ペーストの全量を100質量部としたとき、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.5~5質量部である。
【0109】
・シランカップリング剤
本実施形態にかかる導電性ペーストは、シランカップリング剤をさらに含むことが好ましい。これにより、接着力の向上を図ることができる。
【0110】
シランカップリング剤としては、公知のシランカップリング剤を挙げることができ、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン;
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン;
p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリルシラン;
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリルシラン;
メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリルシラン;
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シランなどのアミノシラン;
イソシアヌレートシラン;
アルキルシラン;
3-ウレイドプロピルトリアルコキシシランなどのウレイドシラン;
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ポリスルフィドなどのメルカプトシラン;
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネートシランなどを挙げることができる。
【0111】
シランカップリング剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0112】
本実施形態の導電性ペーストがシランカップリング剤を含む場合、その量は、導電性ペーストの全量を100質量部としたとき、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.5~5質量部である。
【0113】
本実施形態にかかる導電性ペーストには、必要に応じて、溶剤;(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アリルエステル樹脂、ポリブタジエン等の樹脂成分(以下、その他の樹脂と呼ぶことがある);シリカ、アルミナ等の無機充填材;微細シリカ等のチキソ調整剤;酸化防止剤;分散剤;消泡剤;レベリング剤;脂肪酸または脂肪酸エステル等の成分を一種または二種以上添加することもできる。
これらの成分の含有割合は、導電性ペーストを適用する用途に合わせて適宜設定することができる。
【0114】
本実施形態にかかる導電性ペーストは、上述の各成分と、必要に応じてその他の成分とを、従来公知の方法で混合することにより得ることができる。
【0115】
<BLT>
本発明にかかるスリットノズル用導電性ペーストは、吐出後における必要以上の流動が抑制されている。
【0116】
導電性ペーストの流動しやすさの指標にはBLTを用いることができる。BLTとはBond Line Thickness(接着層の積層方向厚み)のことであり、スリットノズルの設定高さを基準として、BLTがそれよりも小さい場合、導電性ペーストが流動していることを示す。つまり、仮に導電性ペーストがまったく流動しなかった場合、スリットノズルの設定高さとBLTは等しくなるため、BLTがそれよりも小さいということは、導電性ペーストが流動しているということになる。
本実施形態のでは、スリットノズルから基板に吐出した導電性ペーストの厚みを測定し、この値をBLTとする。
【0117】
本実施形態の導電性ペーストのBLTは、塗布厚みを50.0μmに設定した場合において、好ましくは42.0μm以上であり、より好ましくは43.0μm以上であり、さらに好ましくは44.0μm以上である。
BLTが上記下限値以上であることにより、吐出後におけるペーストの必要以上の流動が抑制される。これによりペーストでより一層微細なパターンを描くことができる。
また、BLTが上記下限値以上であることにより、半導体チップと基板との間に発生する応力をより一層緩和できる。これにより半導体パッケージにおける反りをより一層低減できる。
【0118】
本実施形態にかかる導電性ペーストから形成される接着層のBLTは、塗布厚みを50μmに設定した場合において、好ましくは57.0μm以下であり、より好ましくは56.5μm以下であり、さらに好ましくは56.0μm以下である。
BLTが上記上限値以下であることにより、半導体パッケージの熱抵抗および電気抵抗をより一層低減できる。
また、BLTが上記上限値以下であることにより、半導体パッケージの厚みをより一層薄くできる。これは半導体パッケージが搭載された最終製品の小型化に貢献する。
【0119】
<算術平均粗さRaと最大高さRz>
本実施形態の導電性ペーストから形成される硬化物の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上であり、さらに好ましくは1.0μm以上である。
【0120】
本実施形態の導電性ペーストから形成される硬化物の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは14.0μm以下であり、より好ましくは12.0μm以下であり、さらに好ましくは10.0μm以下である。
Raが上記上限値以下であることにより、硬化物表面の凹凸に由来する欠陥がより一層防止される。
【0121】
RaはJIS B0601 1994に準拠して測定することができる。
【0122】
本実施形態の導電性ペーストから形成される硬化物の表面の最大高さRzは、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上であり、さらに好ましくは1.0μm以上である。
【0123】
本実施形態の導電性ペーストから形成される硬化物の表面の最大高さRzは、好ましくは80μm以下であり、より好ましくは75μm以下であり、さらに好ましくは70μm以下である。
Rzが上記上限値以下であることにより、硬化物表面の凹凸に由来する欠陥がより一層防止される。
【0124】
RzはJIS B0601 1994に準拠して測定することができる。
【0125】
<用途>
本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストは、BLTの必要以上の低減が抑制されている。そのため、本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストは、微細な印刷パターンの形成に有利であり、特に、スリットノズルを用いたジェットディスペンス法による塗布に好適に用いられる。
【0126】
図2にはスリットノズルの一例が示されている。図2(A)には底面図、図2(B)には側面図、図2(C)には背面図、図2(D)には前面がそれぞれ示されている。
【0127】
一般にスリットノズルのノズル幅は非常に微細であり、通常300μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
【0128】
本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストは、MAP(Mold Array Package)成形品を製造する際に用いることが好ましい。MAP成形品においては、基板上に複数の半導体素子が搭載されるため、導電性ペーストにより、微細であり且つ密集したパターンを形成することになる。そのため、微細な印刷パターンの形成に有利である本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストを用いることが好ましい。
【0129】
また、本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストは、ダウンセットのあるような多様なデザインの成形品を製造する場合など、印刷に高度な位置制御が求められる場合に用いることが好ましい。
【0130】
[硬化物]
本実施形態にかかる硬化物は、上記のスリットノズル用導電性ペーストを硬化して得られる。
【0131】
たとえば、上記のスリットノズル用導電性ペーストを基板上に塗布して接着層を形成し、当該接着層を介して当該基板の表面に半導体素子が搭載され、当該接着層が焼結処理等により硬化された場合、硬化された当該接着層が本実施形態の硬化物に該当する。
【0132】
[スリットノズル用導電性ペーストの塗布方法]
本実施形態のスリットノズル用導電性ペーストの塗布方法では、上記のスリットノズル用導電性ペーストをジェットディスペンス法により被着面に塗布する。
【0133】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0134】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0135】
[スリットノズル用導電性ペーストの調製]
表1に示す配合に従い各成分を均一に混合することによりスリットノズル用導電性ペーストを調製した。表1における各成分の含有量の単位は、質量部である。
【0136】
表1に示す成分の詳細は以下のとおりである。
【0137】
<銀含有粒子>
・銀粒子(1)(フレーク状、D50:5μm、比表面積:2m/g、タップ密度:3g/cm
・銀粒子(2)(フレーク状、D50:8.5μm、比表面積:0.45m/g、タップ密度:5g/cm
・銀粒子(3)(フレーク状、D50:6.2μm、比表面積:0.3m/g、タップ密度:3.7g/cm
・銀粒子(4)(フレーク状、D50:3.9μm、比表面積:0.75m/g、タップ密度:3.5g/cm
・銀粒子(5)(フレーク状、D50:8μm、比表面積:0.27m/g、タップ密度:3.3g/cm
・銀粒子(6)(フレーク状、D50:2.5μm、比表面積:1.1m/g、タップ密度:4.1g/cm
【0138】
<エポキシ化合物>
・エポキシ化合物(1)(m,p-クレジルグリシジルエーテル、分子量165、エポキシ当量165)
・エポキシ化合物(2)(t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、分子量206、エポキシ当量210)
・エポキシ化合物(3)(ビスフェノール-F-ジグリシジルエーテル、分子量330、エポキシ当量165)
・エポキシ化合物(4)(ビスフェノール-F-ジグリシジルエーテル、分子量330、エポキシ当量170)
・エポキシ化合物(5)(水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、分子量353、エポキシ当量206)
【0139】
<(メタ)アクリルモノマー>
・(メタ)アクリルモノマー(1)(1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、株式会社三菱ケミカルホールディングス製、製品名:CHDMMA)
【0140】
<硬化剤>
・硬化剤(1)(ジヒドロキシジフェニルメタン)
・硬化剤(2)(2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール)
・硬化剤(3)(2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール)
・硬化剤(4)(ジシアンジアミド)
【0141】
<ラジカル重合開始剤>
・ラジカル重合開始剤(1)(ビス(1-フェニル-1-メチルエチル)ペルオキシド、化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:PERCADOX(登録商標)BC)
【0142】
<溶剤>
・溶剤(1)(N-ブチルセロソルブアセテ-ト)
・溶剤(2)(トリプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル)
【0143】
[スリットノズル用導電性ペーストの粘度測定]
得られたスリットノズル用導電性ペーストの粘度を下記の手順により測定した。結果を表2に示す。表2に示す粘度の単位はPa・sである。
<手順>
(1)得られたスリットノズル用導電性ペーストを、粘度計の測定部にセットした。粘度計としてはBrookfield社製のDVNXHBCBGを用いた。
(2)25℃において当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T0)とした。
(3)次いで、当該粘度計をせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T0)とした。
(4)次いで、当該粘度計を停止させ、5分間静置する。
(5)次いで、当該粘度計をせん断速度0.5rpmで回転させ、回転開始から6分後に粘度を測定し、測定された粘度をη0.5(T1)とした。
(6)次いで、当該レオメータをせん断速度5rpmで回転させ、回転開始から2分後に粘度を測定し、測定された粘度をη5(T1)とした。
【0144】
粘度変化率Δη0.5を下記式(1)により算出した。結果を表1に示す。
Δη0.5=(η0.5(T1)-η0.5(T0))/η0.5(T0) (1)
【0145】
粘度変化率Δηを下記式(2)により算出した。結果を表1に示す。
Δη=(η5(T1)-η5(T0))/η5(T0) (2)
【0146】
本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペースト中の銀粒子の含有割合をFC(Filler Content)(質量%)とした。また、下記式(3)で示される銀粒子以外の成分の含有割合をRC(Resin Content)(質量%)とした。
RC=100-FC (3)
【0147】
Δη0.5/RCおよびΔη/RCを表1に示す。
【0148】
η0.5(T0)/η5(T0)をチキソ指数TI(T0)とした。結果を表1に示す。
【0149】
η0.5(T1)/η5(T1)をチキソ指数TI(T1)とした。結果を表1に示す。
【0150】
[スリットノズル法による塗布]
実施例および比較例のそれぞれについて、得られたスリットノズル用導電性ペーストを150メッシュでろ過し、シリンジに充填した。次いで、このシリンジにスリットノズル(武蔵エンジニアリング社製、ノズル幅100μm)を装着し、さらにディスペンサ(機種名:ML-5000XII、武蔵エンジニアリング社製)に装着し、スリットノズルの高さ(ノズル‐基板間距離)を50μmとし、吐出100gf、吐出時間100ms、常温で、基板(材質:Cu)上に塗布した。
【0151】
[レーザ顕微鏡による測定]
基板に塗布したスリットノズル用導電性ペーストの(BLT:Bond Line Thickness、Ra(算術平均粗さ)およびRz(最大高さ)を、塗布後1時間以内に、レーザ顕微鏡(キーエンス社製、機種名:VK-X1100)により測定した。結果を表1に示す。
【0152】
【表1】
【0153】
実施例にかかる導電性ペーストのBLTは、比較例にかかる導電性ペーストのBLTより大きかった。このことから、本実施形態にかかるスリットノズル用導電性ペーストでは、吐出後において必要以上の流動が抑制されていたことがわかる。
【符号の説明】
【0154】
10 接着層
20 半導体素子
30 基板
40 ボンディングワイヤ
50 モールド樹脂
60 半田ボール
100 半導体装置
図1
図2