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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022314
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/72 20060101AFI20240208BHJP
   B65D 23/04 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B65D85/72 200
B65D23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125806
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】黒河 賢哉
(72)【発明者】
【氏名】清泉 誠明
(72)【発明者】
【氏名】柿添 公伸
(72)【発明者】
【氏名】栗山 貴行
【テーマコード(参考)】
3E035
3E062
【Fターム(参考)】
3E035AA03
3E035AB10
3E035BA04
3E035BC03
3E035BD05
3E035CA01
3E062AA20
3E062AB02
3E062AC10
3E062CA11
3E062DA02
3E062HC01
3E062HD30
3E062JB01
3E062KA04
(57)【要約】
【課題】流量を問わず、液体の注ぎ出し方向が乱れることを抑制することができる飲料容器を提供することを目的とする。
【解決手段】内部に飲料を貯留する飲料容器1は、上下方向に延びる有底筒状の容器本体11と、容器本体11の上部において前方に突出する注出口54と、注出口54に繋がる流路55とを備える。流路55は、容器本体11から液体を取り込む後端部551から、注出口54と接続する前端部552へ向かって斜め上方へ延びる。流路55は、流路55の前端部551に配置され、流路55の天面55aから底面55bまで延びる分流壁70を有する。流路55内を流れる飲料は、分流壁70に沿って流れることにより、注ぎ出す液体の流量が小さい場合や大きい場合にも、注出口54の中央から液体を注ぎ出すことができる。すなわち、流量を問わず、液体の注ぎ出し方向が乱れることを抑制することができる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に飲料を貯留する飲料容器であって、
上下方向に延びる有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の上部において前方に突出する注出口と、
前記容器本体内から前記注出口に繋がる流路と、
を備え、
前記流路は、前記容器本体から液体を取り込む後端部から、前記注出口と接続する前端部へ向かって延び、
前記流路は、
前記流路の前端部に配置され、前記流路の天面から底面まで延びる分流壁
を有する、飲料容器。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料容器であって、
前記分流壁は、
前記分流壁の下端部に向かって厚みが小さくなるテーパ部
を有する、飲料容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の飲料容器であって、
前記注出口は、
前後方向に延びる底面中央部と、
前記底面中央部から右側および上方へ延びる右底部と、
前記底面中央部から左側および上方へ延びる左底部と、
を有し、
前記右底部の上端部と、前記左底部の上端部とは、前方へ向かうにつれて近づく、飲料容器。
【請求項4】
請求項3に記載の飲料容器であって、
前記右底部は、前方へ向かうにつれて、水平方向に対する角度が大きくなり、
前記左底部は、前方へ向かうにつれて、水平方向に対する角度が大きくなる、飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に飲料を貯留する飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料を内部に貯留し、斜めに傾けて飲料を注ぐタイプの飲料容器が知られている。このような、薬缶、保温ポット、電気ケトル等の飲料容器は、飲料容器の側方に突出する注出口を有している。かかる飲料容器は、把手を把持して本体部を斜めに傾けることにより、内部に貯留した液体が注出口から注がれる。
【0003】
このような飲料容器では、一定の流量(以下、「第一流量」という)を越える場合、液体の流れは略乱れることはない。ところが、流量が第一流量未満の場合、液体の注ぎ出される方向が乱れはじめる。そして流量が小さくなればなるほど、液体の注ぎ出し方向の乱れ方はきつくなり、カップや湯飲み等に液体を適切に注ぐことが難しくなるという問題があった。この問題を解消するための構造として、例えば、下記特許文献1の飲料容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5765563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の飲料容器は、注口部にガイド溝や畝状の凸部を有する。このガイド溝等により、液体が注ぎ出される向きをガイドする。第一流量よりも小さい一定の流量(以下、「第二流量」という)未満のごく少ない流量では、ガイド溝等によるガイド効果によって液体の注ぎ出される向きの乱れを抑制することはできるが、流量が第二流量以上(かつ第一流量未満)になるとガイド溝等によるガイド効果がなくなり(薄まり)、液体の注ぎ出し方向が乱れ始める。すなわち、従来の飲料容器では、液体の流量が、第一流量以上の場合と、第二流量未満の場合となる場合とには、液体の注ぎ出し方向の乱れを抑制できるが、第一流量未満かつ第二流量以上の場合には液体の注ぎ出し方向の乱れを抑制できないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、流量を問わず、液体の注ぎ出し方向が乱れることを抑制することができる飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の飲料容器は、内部に飲料を貯留する飲料容器であって、上下方向に延びる有底筒状の容器本体と、前記容器本体の上部において前方に突出する注出口と、前記容器本体内から前記注出口に繋がる流路と、を備え、前記流路は、前記容器本体から液体を取り込む後端部から、前記注出口と接続する前端部へ向かって延び、前記流路は、前記流路の前端部に配置され、前記流路の天面から底面まで延びる分流壁を有する。
【0008】
本発明によれば、液体は分流壁によって流路の前端部で分けられその後合流する。分流壁を通過した後の液体の合流点で液体は、注ぎ出し方向と直交する方向において流路の中央部(液体の注ぎ出し方向の流心側)に集められた状態となる。これにより、液体は注ぎ出し方向の直交方向の乱れが抑制されたまま注出口から注ぎ出されることとなる。また、分流壁が流路の天面から底面まで延びるため、流路に流れ入る流量を問わず、上記の通りに液体を分流させ、そして合流させられ得る。このため、流量を問わず、液体の注ぎ出し方向が乱れることを抑制することができる。
【0009】
また、前記分流壁は、前記分流壁の下端部に向かって厚みが小さくなるテーパ部を有することが好ましい。これにより、注出口54へ出た2つの流れの左右方向の間隔が、下端部近くで小さくなる。このため、注ぎ出す液体の流量が小さい場合にも、分かれた2つの流れが合流しやすくなる。また、分流壁の横を流れる液体とテーパ部との接触面積が多くなる。これにより、2つの流れが流路の中央により引きつけられ、液体の流れを合流させやすくすることができる。
【0010】
また、前記注出口は、前後方向に延びる底面中央部と、前記底面中央部から右側および上方へ延びる右底部と、前記底面中央部から左側および上方へ延びる左底部と、を有し、前記右底部の上端部と、前記左底部の上端部とは、前方へ向かうにつれて近づくことが好ましい。これにより、流路から注出口へと流れ出た液体を中央により集めることができる。
【0011】
また、前記右底部は、前方へ向かうにつれて、水平方向に対する角度が大きくなり、前記左底部は、前方へ向かうにつれて、水平方向に対する角度が大きくなることが好ましい。これにより、流路において分流壁によって分かれた液体の流れが集められより合流しやすい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、飲料を内部に貯留し、斜めに傾けて飲料を注ぐタイプの飲料容器において、流量を問わず、液体の注ぎ出し方向が乱れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】飲料容器の側面図である。
図2】飲料容器の分解斜視図である。
図3】飲料容器の閉栓状態における断面図である。
図4】飲料容器の開栓状態における断面図である。
図5】飲料容器の蓋体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、本体部10の底部に対して蓋体20側を上側として上下方向を説明している。また、上下方向と直交する水平方向のうち、注出口54側を前側、ハンドル13側を後側として前後方向、前後方向と直交する方向を左右方向として説明する。しかしながら、これらの方向は使用時における飲料容器1の姿勢と異なっていてもよい。
【0015】
<1.飲料容器の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る飲料容器1の側面図である。図2は、飲料容器1の本体部10および蓋体20の分解斜視図である。図3は、飲料容器1の閉栓状態における断面図である。図4は、飲料容器1の開栓状態における断面図である。この飲料容器1は、内部に貯留した液体を加熱可能な電気ケトルと呼ばれる飲料容器である。またこの飲料容器1は、お茶やミネラルウォーターなどの飲料(液体)を内部に貯留することも可能である。
【0016】
飲料容器1は、本体部10と、蓋体20と、電源プレート30とを有する。本体部10は、内部に貯留させた液体(飲料)を加熱可能な容器である。蓋体20は、本体部10の上部の開口を覆う。電源プレート30は、本体部10を載置するための載置台であり、また本体部10に電力を供給するための電源部である。
【0017】
本体部10は、容器本体11、ヒータ12、およびハンドル(把手)13を有する。
【0018】
容器本体11は、上下方向に延びる有底筒状の容器である。容器本体11は、外筒部41、内筒部42、外底部43、および内底部44を有する。
【0019】
外筒部41および内筒部42は、上下方向に延びる略筒状の部材である。外筒部41と内筒部42とは、間隔を空けて配置される。これにより、外筒部41と内筒部42との間には、空気層が介在する。
【0020】
外底部43は、外筒部41の下側の開口を覆う。外底部43は、上方に凹む電源接続部45を有する。本体部10が電源プレート30に載置されると、電源プレート30の後述する電力供給部32が電源接続部45と電気的に接続される。これにより、電源プレート30を介して本体部10のヒータ12等に電力が供給可能となる。
【0021】
内底部44は、内筒部42の下側の開口を覆う。内底部44は、外底部43の上方に配置される。内筒部42および内底部44により構成される有底筒状の内瓶に、液体が貯留される。内底部44は、金属等の熱伝導性の高い材料で形成される。外底部43と内底部44との間には、内底部44を加熱するヒータ12が配置されている。ヒータ12が内底部44を加熱すると、本体部10の内部に貯留された液体が、内底部44を介して加熱される。
【0022】
図2に示すように、外筒部41および内筒部42は、前側の上端部から下方へ凹む切り欠き110を有する。本体部10に蓋体20が取り付けられた際に、切り欠き110には、蓋体20の後述する口部22が嵌まる。
【0023】
ハンドル13は、容器本体11の後側に固定された把持部である。ハンドル13が容器本体11の後方に取り付けられることにより、飲料容器1を前方へ傾けやすい。液体の注ぎ出し時には、ユーザは、蓋体20のロックを外した開栓状態で、ハンドル13を把持して、本体部10の前側が下がるように前後方向に傾ける。これにより、本体部10の内部に貯留された液体が、注出口54から注ぎ出る。
【0024】
図1図4に示すように、蓋体20は、円板状の蓋本体21と、蓋本体21から前方に嘴状に突出する口部22とを有する。蓋本体21は、容器本体11の上部の開口に嵌まる。口部22は、容器本体11の上部の切り欠き110に嵌まる。また、図3および図4に示すように、蓋体20は、ロックボタン51と、凹部52と、内側弁53と、注出口54と、流路55と、開閉部56を有する。
【0025】
ロックボタン51は、蓋本体21の上面に備えられる。凹部52は、蓋本体21の下面から、上方へ凹む。内側弁53は、ロックボタン51の動きに連動して、図3に示す閉鎖位置と、図4に示す開放位置とに移動可能である。
【0026】
注出口54は、口部22の先端(前端)に配置される。注出口54は、容器本体11の上部において、切り欠き110付近から、前方へ突出する。流路55は、注出口54と繋がる。流路55の後端部は、凹部52の内部に連通接続する取水端部551である。また、流路55の前端部は、注出口54に連通接続する出水端部552である。流路55は、取水端部551から出水端部552へ向かって斜め上方へ延びる。より具体的には、流路55は、取水端部551から出水端部552へ向かって、上方かつ前方へ延びる。開閉部56は、注出口54の上部の開口を覆う。開閉部56は、ロックボタン51の動きに連動して、図3に示す閉鎖位置と、図4に示す開放位置とに移動可能である。
【0027】
ロックボタン51が押し込まれていない状態では、内側弁53は、閉鎖位置において、凹部52の内部に収容される。これにより、図3に示すように、容器本体11の内部空間と流路55の取水端部551との連通が遮断される。また、ロックボタン51が押し込まれていない状態では、開閉部56が閉鎖位置に配置され、注出口54が開閉部56で覆われる。
【0028】
ロックボタン51が下方へ押し込まれると、内側弁53は下方へ移動し、凹部52の下方の開放位置に配置される。これにより、図4中に矢印で示すように、液体を貯留する容器本体11が、内側弁53の外周、凹部52および取水端部551を介して流路55と連通する。また、ロックボタン51が下方へ押し込まれると、開閉部56が開放位置に配置され、注出口54が露出する。これにより、ハンドル13を把持して本体部10を傾けることによって、容器本体11に貯留された液体が、内側弁53の外側、凹部52および流路55を介して、注出口54から注ぎ出る。
【0029】
電源プレート30は、台座部31と、電力供給部32と、電源コード(図示省略)とを有する。電源コードは、その先端に、配線用差込接続器(コンセント)に接続するための差込プラグを有する電気配線である。電源コードがコンセントと接続されると、電力供給部32を介して本体部10へと電力を供給可能となる。
【0030】
<2.注出口および流路の構成>
続いて、注出口54および流路55の具体的な構成について説明する。
【0031】
図5は、蓋体20の斜視図である。図5に示すように、注出口54の底部の上面は、底面中央部61と、右底部62と、左底部63とを有する。なお、説明の便宜上、注出口54の底部の上面が、明確に底面中央部61と、右底部62と、左底部63とを区別して有するものとして説明するが、明確に区別されている訳ではなく、平面状、曲面状となっているのが一般的である。この注出口54は、左右対称形状である。底面中央部61は、注出口54の左右対称の対称軸上の部位である。底面中央部61は、前後方向に延びるとともに、前方に向かうにつれて上方に向かう。右底部62は、底面中央部61から右側および上方へ延びる。左底部63は、底面中央部61から左側および上方へ延びる。右底部62の上端部620と、左底部63の上端部630とは、前方へ向かうにつれて互いに近づく。すなわち、注出口54は嘴状の形状をしている。これにより、流路55から注出口54へと流れ出る液体を中央に集めることができる。
【0032】
流路55は、流路55の前端部に配置される分流壁70を有する。分流壁70は、流路55の天面55aから底面55bまで延びる板状の部位である。液体の注ぎ出し時には、液体が、流路55内を取水端部551から1つのまとまった流れとして出水端部552へ向かう。そして、当該流れは、分流壁70によって左右2つの流れに分流する。その後、注出口54において、2つに分かれた流れが合流して、再び1つのまとまった流れとなって、注ぎ出る。
【0033】
流路に分流壁を備えておらず、注出口にガイド溝等を備えていない従来のタイプの飲料容器では、注ぎ出し時の液体の流量が一定の流量(第一流量)よりも小さい場合、表面張力の影響により液体の流れが、流路および注出口の表面に沿うものの、カオス性によって所望の注ぎ出し方向とは異なる向きに注ぎ出る虞がある。
【0034】
また、引用文献1に記載の飲料容器のように、注出口にガイド溝等を備えているが、流路に分流壁を備えていないタイプの飲料容器では、注ぎ出し時の液体の流量が、第一流量よりも小さな第二流量未満のごく少ない流量である場合には、ガイド溝等によるガイド効果によって、液体の注ぎ出し方向を所望の向きにガイドできるものの、第二流量以上かつ第一流量未満の流量の場合には、液体の注ぎ出し方向の乱れを抑制できない。
【0035】
この飲料容器1では、流路55の中央に上下方向に延びる分流壁70を設けることにより、流路55および注出口54の表面に沿って流れ出る液体が、表面張力によって、流路55および注出口54の表面だけでなく、分流壁70の表面にも引きつけられる。分流壁70は、流路55の左右方向の中央に配置されている。このため、流路55の出水端部552付近において、液体の2つの流れが、流路55の中央(左右方向の中央)に引きつけられ、分流壁70に沿って注出口54へと向かう。このため、2つの流れはそれぞれ、注出口54の中央付近に注ぎ出る。
【0036】
そして、注出口54において、液体の2つの流れは合流して、1つのまとまった流れとなる。このとき、2つの流れはそれぞれ流路55の中央に引きつけられながら流れているため、注出口54の中央(左右方向の中央)においてスムーズに合流するとともに、合流後も、注出口54の中央を流れて先端へ向かう。このように、流路55の下流側端部である出水端部552付近に分流壁70があることによって、注ぎ出す液体の流量が小さい場合にも、注出口54の中央から液体を注ぎ出すことができる。
【0037】
このように、液体は分流壁70によって流路55の前端部付近で分けられ、分流壁70を通過した後合流する。合流点で液体は注ぎ出し方向(前後方向)と直交する左右方向において流路の中央部に集められた状態となる。これにより、液体は注ぎ出し方向(前後方向)の直交方向(左右方向)の乱れを抑制されたまま注出口54から注ぎ出されることとなる。
【0038】
特に、分流壁70が流路の天面55aから底面55bまで延びることにより、流量が第一流量以上の場合も、第一流量未満かつ第二流量以上の場合も、第二流量未満の場合にも、流路55において、液体の流れが分流壁70によって2つに分けられるとともに、分流壁70に沿って流路55の中央(左右方向)に引きつけられる。したがって、注ぎ出す液体の流量を問わず、所望の注ぎ出し方向が乱れることを抑制することができる。
【0039】
また、図5に示すように、分流壁70は、等厚部71と、テーパ部72とを有する。等厚部71は分流壁70の上端部を含む上側の一部であり、テーパ部72は、分流壁70の下端部を含む下側の一部である。等厚部71は、上方から下方までの厚み(左右方向の厚み)が略一定であるか、あるいは、上方から下方に向かってわずかに厚みが小さくなる。テーパ部72は、分流壁70の下端部に向かって次第に厚み(左右方向の厚み)が小さくなる。
【0040】
注ぎ出す液体の流量が比較的大きい場合、仮に、分流壁70の厚みが大きく、流路55から注出口54へ出た2つの流れの左右方向の間隔が比較的大きい場合であっても、コアンダ効果によって2つの流れが1つに合流しやすい。一方、注ぎ出す液体の流量が小さい場合、流路55から注出口54へ出た2つの流れの左右方向の間隔が大きいと、2つの流れが合流し難い。
【0041】
本実施形態では、分流壁70が下端部にテーパ部72を有することにより、分流壁70によって分流した2つの流れが流路55から注出口54へ出る際に、2つの流れの左右の間隔が下端部に向かうほど小さくなる。注ぎ出す液体の流量が小さい場合、流路55内の液体の流れは、流路55のごく下側のみを通過する。すなわち、注ぎ出す液体の流量が小さい場合、分流壁70によって分流した2つの流れは、テーパ部72に沿って前方へ向かう。このため、注出口54へ出た2つの流れの左右方向の間隔が小さく、合流しやすい。
【0042】
また、テーパ部72が湾曲していることにより、分流壁70の厚みが一定である場合と比べて、分流壁70と、分流壁70に沿って流れる液体との接触面積が大きくなる。これにより、液体が分流壁70に引きつけられる力が大きくなり、流路55から注出口54へ出た2つの流れが、分流壁70に沿って流路55の中央(左右方向)により引きつけられる。
【0043】
また、本実施形態では、右底部62は、前方へ向かうにつれて、水平方向に対する角度が大きくなる。左底部63は、前方へ向かうにつれて、水平方向に対する角度が大きくなる。これにより、注出口54の後端部において注出口54の底面形状(前後方向に対して垂直な断面の形状)はU字状であるのに対して、注出口54の前端部(先端部)付近に近づくにつれて、注出口54の底面形状(前後方向に対して垂直な断面の形状)はV字状に近づく。これにより、流路55において分流壁70によって2つに分かれた液体の流れが、より合流しやすくなる。
【0044】
また、本実施形態では、図3および図4に示すように、分流壁70の前端部は、上下方向に略平行である。これにより、開閉部56が開放された状態において、外観上、分流壁70がユーザの視野に入りにくい。したがって、分流壁70が飲料容器1のデザインに影響を及ぼしにくい。
【0045】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0046】
上記の実施形態では、流路55の延びる方向において、分流壁70の長さは、流路55の長さの25~30%程度であったが、本発明はこれに限られない。分流壁の長さは、流路の長さ、流路断面積、注出口の形状、注ぎ出す液体の想定流量範囲によって適宜変更し得る。
【0047】
また、上記の実施形態では、分流壁70がテーパ部72を有していたが、本発明はこれに限られない。分流壁は、流路の天面55aから底面55bまで、厚み(左右方向の厚み)が一定であってもよい。
【0048】
また、上記の実施形態では、分流壁70の前端部が上下方向に略平行であったが、本発明はこれに限られない。分流壁の前端部は、上下方向に対して傾いていてもよいし、必ずしも直線状でなくてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態では、注出口54が前端部(先端部)付近に近づくにつれて窄む嘴状であったが、本発明はこれに限られない。注出口は、例えば、前後方向に対する垂直な断面形状が略一定である等、上記の実施形態と異なる形状であってもよい。
【0050】
また、上記の実施形態では、注出口54が容器本体11の前方に配置されるのに対して、把持部であるハンドル13が容器本体11の後方に配置された。しかしながら、ハンドル等の把持部は、注出口が容器本体の前方に配置される場合に、容器本体11の上方に配置されたり、容器本体11の上方から後方にかけて配置されたり、その他の位置に配置されたりしてもよい。
【0051】
また、上記の実施形態では、蓋体20が注出口54を有していたが、本発明はこれに限られない。注出口は、本体部に備えられてもよい。すなわち、注出口は、容器本体に対して取り外し不可能に取り付けられていてもよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、飲料容器は電気ケトルであったが、本発明はこれに限られない。本発明は、薬缶、保温ポット等の、傾けて液体を注ぎ出す飲料容器に適用可能である。
【0053】
また、飲料容器の細部の形状については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 飲料容器
10 本体部
11 容器本体
11 底部
13 ハンドル
20 蓋体
54 注出口
55 流路
55a 天面
55b 底面
61 底面中央部
62 右底部
63 左底部
70 分流壁
72 テーパ部
551 取水端部
552 出水端部
図1
図2
図3
図4
図5