(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002232
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】取付構造及びこの取付構造を有する筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 29/02 20060101AFI20231228BHJP
B43K 21/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B43K29/02 D
B43K21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101305
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝洋
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353FA04
(57)【要約】
【課題】磁石を用いた取付構造において、当該磁石の破損を抑制する。
【解決手段】取付構造20は、本体部30と、筆跡を変化させる筆跡変化具80と、を備え、本体部30及び筆跡変化具80の一方は、磁性部材87を有し、本体部30及び筆跡変化具80の他方は、磁性部材87と軸方向daに対向する磁石50と、磁石50と磁性部材87とが直接接触することを妨げる保護部材60と、を有し、筆跡変化具80は、磁石50の磁力により本体部30に対して着脱可能に取り付けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、筆跡を変化させる筆跡変化具と、を備えた取付構造であって、
前記本体部及び前記筆跡変化具の一方は、磁性部材を有し、
前記本体部及び前記筆跡変化具の他方は、前記磁性部材と軸方向に対向する磁石と、前記磁石と前記磁性部材とが直接接触することを妨げる保護部材と、を有し、
前記筆跡変化具は、前記磁石の磁力により前記本体部に対して着脱可能に取り付けられる、取付構造。
【請求項2】
前記本体部及び前記筆跡変化具の前記他方は、前記磁石を前記保護部材に対して固定する固定部材を有する、請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記保護部材は、前記磁石と前記磁性部材との間に位置する磁性体を含む、請求項1に記載の取付構造。
【請求項4】
前記筆跡変化具は、把持部材と、前記把持部材に固定された筆跡変化部材と、前記把持部材の一端に取り付けられた前記磁性部材を有し、
前記本体部は、前記磁石及び前記保護部材を有する、請求項1に記載の取付構造。
【請求項5】
前記筆跡変化具は、前記把持部材の他端に固定された他の磁性部材を有し、
前記筆跡変化具の前後を入れ替えても、前記筆跡変化具は、前記磁石の磁力により前記本体部に対して着脱可能に取り付けられる、請求項4に記載の取付構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の取付構造を有する、筆記具。
【請求項7】
前記本体部は、軸筒と、前記軸筒の内部に収容された筆記体を前方へ繰出す繰出機構と、を有し、
前記筆跡変化具は、前記本体部に取り付けられた状態において、前記繰出機構を操作可能である、請求項6に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付構造及びこの取付構造を有する筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消しゴム等の筆跡消去部材を、磁力により筆記具の後方部分に対して着脱可能に取り付けられたものが知られている。特許文献1には、鉛筆の後端に取り付けるためのキャップ内に取り付けられた永久磁石と、消しゴムの端部に取り付けられた永久磁石又は金属板と、を有し、永久磁石の磁力によって、消しゴムがキャップに対して着脱可能に取り付けられたものが開示されている。このような取付構造によれば、使い終えた消しゴムを新しい消しゴムと交換することが可能になるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような取付構造について、本件発明者らが検討を進めたところ、従来の磁石を用いた取付構造においては、金属部材が磁石に引き寄せられた際に、磁石と金属部材とが直接接触し、磁石と金属部材との間に衝撃が発生する。この場合、磁石と金属部材との間に生じる衝撃により、磁石が破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、磁石を用いた取付構造において、当該磁石の破損を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の取付構造は、
[1]本体部と、筆跡を変化させる筆跡変化具と、を備えた取付構造であって、
前記本体部及び前記筆跡変化具の一方は、磁性部材を有し、
前記本体部及び前記筆跡変化具の他方は、前記磁性部材と軸方向に対向する磁石と、前記磁石と前記磁性部材とが直接接触することを妨げる保護部材と、を有し、
前記筆跡変化具は、前記磁石の磁力により前記本体部に対して着脱可能に取り付けられる、取付構造、である。
【0007】
本発明の取付構造は、
[2]前記本体部及び前記筆跡変化具の前記他方は、前記磁石を前記保護部材に対して固定する固定部材を有する、[1]に記載の取付構造、である。
【0008】
本発明の取付構造は、
[3]前記保護部材は、前記磁石と前記磁性部材との間に位置する磁性体を含む、請求項[1]又は[2]に記載の取付構造、である。
【0009】
本発明の取付構造は、
[4]前記筆跡変化具は、把持部材と、前記把持部材に固定された筆跡変化部材と、前記把持部材の一端に取り付けられた前記磁性部材を有し、
前記本体部は、前記磁石及び前記保護部材を有する、[1]~[3]のいずれか1つに記載の取付構造、である。
【0010】
本発明の取付構造は、
[5]前記筆跡変化具は、前記把持部材の他端に固定された他の磁性部材を有し、
前記筆跡変化具の前後を入れ替えても、前記筆跡変化具は、前記磁石の磁力により前記本体部に対して着脱可能に取り付けられる、[4]に記載の取付構造、である。
【0011】
本発明の筆記具は、
[6]上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の取付構造を有する、筆記具、である。
【0012】
本発明の筆記具は、
[7]前記本体部は、軸筒と、前記軸筒の内部に収容された筆記体を前方へ繰出す繰出機構と、を有し、
前記筆跡変化具は、前記本体部に取り付けられた状態において、前記繰出機構を操作可能である、[6]に記載の筆記具、である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、磁石を用いた取付構造において、当該磁石の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態を示す図であって、筆記具の一例を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の筆記具の取付構造を拡大して示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、取付構造の筆跡変化具を示す外観図である。
【
図5】
図5は、筆跡変化具を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、取付構造の本体部を示す縦断面図である。
【
図7】
図7は、本体部の一部を示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、取付構造の一変形例を示す縦断面図である。
【
図9】
図9は、
図8の取付構造を、筆跡変化具の前後を入れ替えて本体部に取り付けた状態で示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0016】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0017】
本明細書では、取付構造及び筆記具の中心軸線Aが延びる方向(長手方向、縦断面図における上下方向)を軸方向da、軸方向daと直交する方向を径方向、中心軸線A周りの円周に沿った方向を周方向とする。また、軸方向daに沿って、筆記する際に紙面等の筆記面に近接する側を前方とし、筆記面から離間する側を後方とする。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態を示す図であって、筆記具10の一例を示す縦断面図であり、
図2は、筆記具10の取付構造20を拡大して示す縦断面図である。
【0019】
本実施形態の筆記具10は、取付構造20を有している。取付構造20は、本体部30と、筆跡を変化させる筆跡変化具80と、を含んでいる。本実施形態の筆記具10では、筆跡変化具80を本体部30に取り付けた状態において、本体部30と筆跡変化具80とが一体化されて筆記具として使用することができる。とりわけ、筆記具10が繰出機構40を有している場合、筆跡変化具80を、繰出機構40を作動させるための操作体として機能するように構成することができる。また、筆跡変化具80が本体部30から取り外された状態において、筆跡変化具80で筆跡を変化させることができる。筆記具10は特に限られないが、例えば、ボールペン、万年筆、マーカー、棒状芯繰出具(シャープペンシル、ノック式クレヨン繰出具等)、スタイラスペンである。本実施形態では、筆記具10がシャープペンシルである例について説明する。
【0020】
本体部30は、磁石50と、保護部材60と、固定部材70と、を含んでいる。
図1に示された例では、本体部30は、軸筒32と、繰出機構40と、をさらに含んでいる。
【0021】
軸筒32は、筆記具10の中心軸線Aに沿って軸方向daに延びている。したがって、本体部30の中心軸線及び軸筒32の中心軸線は、いずれも筆記具10の中心軸線Aと一致する。軸筒32の内部には、繰出機構40が配置される。軸筒32は、軸筒本体34と、軸筒本体34の前端部に連結された先端部材36と、先端部材36の前端に取り付けられたスリーブ38と、を有している。
【0022】
軸筒本体34は、略筒状の形状を有する部材であり、使用者が筆記具10で筆記を行う際に、指でつかむことが意図されている。軸筒本体34は、1つの部材で構成されてもよいし、複数の部材で構成されてもよい。例えば、軸筒本体34は、前軸と、当該前軸の後方に配置された後軸とを含んでもよい。また、軸筒本体34は、内軸と、当該内軸の外側に配置されたグリップ部を含んでもよい。グリップ部は、使用者が筆記具10で筆記を行う際に、指で把持される部分である。
【0023】
先端部材36は、筆記具10の先端部分を形成する部材である。先端部材36は、略円錐形状を有しており、前方に向かうにつれてその外径が小さくなっている。先端部材36の後端部が軸筒本体34の前端部に取付けられることにより、先端部材36が軸筒本体34に対して連結される。一例として、軸筒本体34の前端部の外周に形成された雄ネジ部に対して、先端部材36の後端部の内周に形成された雌ネジ部が螺合することにより、先端部材36が軸筒本体34に対して連結される。
【0024】
スリーブ38は、筆記芯90の前端部を保持する部材である。本実施形態では、スリーブ38は、先端部材36に対して固定されている。繰出機構40により前方へ繰り出された筆記芯90は、スリーブ38を通ってスリーブ38の前端から前方へ突出する。なお、これに限られず、スリーブ38は、芯ホルダー46とともに先端部材36に対して前後動してもよい。この場合、筆記芯90の前端が摩耗すると、スリーブ38が紙面等の筆記面に当接して先端部材36に対して後退する。これにより、筆記芯90の繰出し操作を行わなくても筆記を継続することができる。
【0025】
繰出機構40は、軸筒32の内部に収容された筆記体90を前方へ繰出す機構である。筆記具10がシャープペンシルである場合、筆記体90は黒鉛等で形成された筆記芯である。これにともなって、本実施形態では、筆記体90を筆記芯90とも呼ぶ。なお、筆記体90は筆記芯に限られない。筆記具10がボールペンである場合、筆記体90はボールペンレフィルであってもよい。筆記具10が万年筆である場合、筆記体90は万年筆用のペン先であってもよい。筆記具10がマーカーである場合、筆記体90はマーカー用のペン先であってもよい。筆記具10がクレヨン繰出具である場合、筆記体90はクレヨンであってもよい。また、筆記具10がスタイラスペンである場合、筆記体90はタッチパネルで検出可能な導電体であってもよい。
【0026】
本実施形態の筆記具10では、筆跡変化具80が本体部30に対して取り付けられた状態で使用者が筆跡変化具80を前方に向けて押圧することにより、繰出機構40が作動して筆記芯90が前方へ繰り出される。したがって、本実施形態の筆跡変化具80は、繰出機構40を作動させるための操作体としても機能する。
【0027】
本実施形態の繰出機構40は、芯パイプ41と、チャック42と、弾発部材43と、受け部材44と、締具45と、芯ホルダー46とを含んでいる。芯パイプ41は、筆記芯90を収容する部材である。芯パイプ41は、全体として円筒状(パイプ状)の形状を有している。芯パイプ41は、後述の保護部材60を介して筆跡変化具80から受けた押圧力をチャック42へ伝達する機能も有する。芯パイプ41は、例えば樹脂で形成される。チャック42は、筆記芯90を把持する部材である。チャック42は、芯パイプ41と一体的に前後方向に移動することが可能である。
図1に示された例では、チャック42の後端部は、芯パイプ41の前端部内に挿入されており、これにより、チャック42が芯パイプ41に対して固定されている。
【0028】
芯パイプ41の前方には、弾発部材43が配置されている。弾発部材43は、例えばコイルスプリングである。弾発部材43の前方には、受け部材44が配置されており、弾発部材43は、芯パイプ41の前端部と、受け部材44との間に、圧縮状態で配置されている。受け部材44は、弾発部材43の弾発力を受ける部材であり、弾発部材43の弾発力により前方へ押圧され、先端部材36の内面に形成された段部に当接している。
図1に示された例では、芯パイプ41の前端部は、受け部材44内に後方から挿入されている。これにより、芯パイプ41の前端部と受け部材44とが径方向にずれることが抑制される。締具45は、チャック42の前方部分に対して径方向の外側に位置する環状の部品である。締具45の後端部が受け部材44に当接することにより、締具45の後方への移動が規制されている。芯ホルダー46は、チャック42の前方に配置されており、筆記芯90の外面に当接して筆記芯90を保持する部材である。芯ホルダー46は、樹脂またはゴム等の弾性部材で形成されており、チャック42が筆記芯90を把持していないときに、筆記芯90が軸方向daに移動することを抑制する。
【0029】
次に、
図3~
図5を参照して、筆跡変化具80について説明する。
図3は、筆跡変化具80を示す外観図であり、
図4は、筆跡変化具80を示す縦断面図であり、
図5は、筆跡変化具80を示す分解斜視図である。
【0030】
筆跡変化具80は、本体部30に対して着脱可能に取り付けられている。とりわけ、筆跡変化具80は、本体部30の磁石50の磁力により、本体部30に対して着脱可能に取り付けられている。本実施形態では、筆跡変化具80は、本体部30から取り外された状態において、筆跡を変化させることができるように構成されている。本実施形態の筆跡変化具80は、把持部材81と、筆跡変化部材83と、カバー部材85と、磁性部材87と、を有している。
【0031】
把持部材81は、本体部30から取り外された状態において、筆跡変化具80で筆跡を変化させる際に、使用者が把持することが意図された部材である。把持部材81は、内孔を有する略円筒形状を有している。筆跡変化具80が本体部30に取り付けられた状態において、把持部材81の中心軸線は、本体部30(軸筒32)の中心軸線Aと概ね一致する。把持部材81の後端の少なくとも一部は閉塞されてもよい。把持部材81の材料としては、例えば、樹脂、金属等が用いられる。筆跡変化具80が本体部30に取り付けられた状態において、把持部材81の後端部は、本体部30(軸筒32、軸筒本体34)の後端縁から後方へ向けて突出している。
【0032】
把持部材81の外周面には、径方向の外側に向かって突出した突出部81aが設けられている。本実施形態では、把持部材81は、軸方向daに配列された2つの突出部81aを有している。なお、これに限られず、把持部材81は、1つ又は3つ以上の突出部81aを有してもよい。
図1~
図5に示された例では、突出部81aは、周方向に延びており、環状の形状を有している。筆跡変化具80が本体部30に取り付けられた状態において、突出部81aは、軸筒32(軸筒本体34)の内周面34aに接触する、又は、内周面34aに対してわずかな隙間を有して対面する。把持部材81の外周面における突出部81a以外の箇所は、内周面34aに対して離間する。これにより、筆跡変化具80と軸筒32(軸筒本体34)の内周面34aとの間にがたつきが生じることを抑制することができるとともに、筆跡変化具80と軸筒32(軸筒本体34)の内周面34aとの間に生じ得る摩擦力を低減することができる。
【0033】
筆跡変化部材83は、筆跡を変化させる部材である。とりわけ、筆跡変化部材83は、紙等の筆記面に接触して当該筆記面を変化させることが意図されている。筆跡変化部材83は、把持部材81の前端部に取り付けられている。
図1~
図5に示された例では、筆跡変化部材83がカバー部材85に対して圧入され、筆跡変化部材83及びカバー部材85が把持部材81の内孔の前端部に挿入されている。これにより、筆跡変化部材83がカバー部材85を介して把持部材81に固定されている。
【0034】
筆跡変化部材83は、鉛芯による筆跡を擦過して除去する合成ゴム製の消しゴムや、インキによる筆跡を擦過して削り取る砂消しゴムであってもよい。また、筆跡変化部材83は、熱変色性を有するインキ又は熱変色性を有する固形芯による筆跡を摩擦し、摩擦熱により筆跡の色を変化させる摩擦体であってもよい。この場合、筆跡は、摩擦熱により第1の色から当該第1の色と異なる第2の色に変化してもよく、摩擦熱により有色から無色に変化してもよい。筆跡変化部材83は、筆跡の上から塗料を塗布して当該筆跡を隠蔽するための修正液を吐出する吐出器や、筆跡の上からテープなどを張り付けて当該筆跡を隠蔽するための修正テープを繰出す修正テープ繰出器であってもよい。さらに、筆跡変化部材83は、表示画面上にスタイラスペン等で形成された筆跡を変化させることが可能な導電体であってもよい。この場合、筆跡変化部材83は、例えば、表示画面に接触又は近接することにより、表示画面上に形成された筆跡を消去するものであってもよい。
【0035】
部品点数の増大を抑制するとともに取付構造20の大型化を抑制する観点からは、筆跡変化部材83は、消しゴム、砂消しゴム、摩擦体又は導電体であることが好ましい。摩擦体は、弾性材料で構成されることが好ましい。弾性材料は、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)であることが好ましい。このような弾性材料は、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等であってもよい。
【0036】
把持部材81の一端(前端)には、磁性部材87が取り付けられている。磁性部材87は、筆跡変化具80が本体部30に取り付けられたときに、本体部30の保護部材60に当接することが意図されている。筆跡変化部材83及び磁性部材87は、筆跡変化具80において、軸方向daの同じ側に位置している。したがって、筆跡変化部材83を前方へ向けると、磁性部材87も前方へ向く。とりわけ、
図1~
図5に示された例では、磁性部材87の少なくとも一部は、筆跡変化部材83の少なくとも一部に対して、径方向の外側に位置している。換言すると、径方向から見たときに、磁性部材87の少なくとも一部と筆跡変化部材83の少なくとも一部とは重なっている。磁性部材87は、把持部材81の中心軸線と一致する中心軸線を有する略円筒形状を有している。本実施形態では、後方から磁性部材87の内部に把持部材81の前端が圧入されることにより、磁性部材87が把持部材81に対して固定されている。磁性部材87の前端には、内方に向かって突出する内鍔部87aが設けられている。内鍔部87aは、把持部材81の前端を前方から覆っている。本実施形態では、筆跡変化具80が本体部30に取り付けられたときに、内鍔部87aが本体部30の保護部材60に当接する。
【0037】
磁性部材87は、磁性体で形成されている。好ましくは、磁性部材87は、強磁性体で形成されている。強磁性体は、その物質内の原子の磁気モーメントが互いに平行に並んでいる物質であり、磁場により強く磁化され、磁場を除いても磁化が残る性質を有する。強磁性体には、例えば、鉄、コバルト、ニッケルとそれらの合金、フェライト等が含まれる。
【0038】
次に、
図2、
図6及び
図7を参照して、本体部30に含まれる磁石50、保護部材60及び固定部材70について説明する。磁石50は、筆跡変化具80を本体部30に取り付けるための磁力を有する部材である。とりわけ、磁石50の磁力により、筆跡変化具80の磁性部材87が磁石50に引き寄せられ、これにより、筆跡変化具80が本体部30に取り付けられる。磁石50としては、永久磁石が用いられることが好ましい。永久磁石としては、例えば、フェライト磁石、ネオジム磁石等を用いることができる。本実施形態では、磁石50は、中心軸線Aと一致する中心軸線を有する略円筒状の形状を有している。磁石50は、筆跡変化具80の磁性部材87と軸方向daに対向して配置されている。換言すると、軸方向daに沿って見たときに、磁石50の少なくとも一部は、磁性部材87の少なくとも一部と重なっている。
【0039】
筆跡変化具80の磁性部材87を磁石50に近づけると、磁石50の磁力に引き寄せられて、筆跡変化具80が速度を増しながら磁石50へ向けて前方へ移動する。本件発明者らの検討によれば、筆跡変化具80(磁性部材87)が、速度を増した状態で磁石50に接触すると、この接触の際に生じる衝撃力により、磁石50が破損するおそれがあることがわかった。例えば、フェライト磁石を構成するフェライトは、比較的脆い材料である。したがって、磁石50としてフェライト磁石を用いた場合には、筆跡変化具80(磁性部材87)と磁石50との間に生じる衝撃力により、磁石50にひび割れや欠けが生じるおそれがある。ネオジム磁石は、酸化しやすく錆が生じやすいことから、通常、ニッケル等のめっきで被覆されている。磁石50としてネオジム磁石を用いた場合には、筆跡変化具80(磁性部材87)と磁石50との間に生じる衝撃力により、被覆層に傷が生じ、この傷から磁石50に錆が生じるおそれがある。また、磁石50として他の磁石を用いた場合にも、上記と同様の問題が生じ得る。
【0040】
このような問題が生じることを抑制するため、本実施形態では、取付構造20は、磁石50と磁性部材87とが直接接触することを妨げる保護部材60を有している。保護部材60は、内孔61を有する略円筒形状を有している。保護部材60の中心軸線は、本体部30(軸筒32)の中心軸線Aと一致する。保護部材60は、保護部材60の本体部分の外径よりも小さい外径を有する前端部63を有している。本実施形態では、前端部63が芯パイプ41の後端41aから芯パイプ41内に圧入されることにより、保護部材60が芯パイプ41に対して固定されている。内孔61は、保護部材60を軸方向daに貫通しており、前端部63において芯パイプ41の内部に連通している。これにより、筆跡変化具80が本体部30から取り外された状態において、保護部材60の内孔61を介して芯パイプ41内に筆記芯90を補充することができる。
図2、
図6及び
図7に示された例では、内孔61は、傾斜面61aを有している。傾斜面61aは、前方に向かうにつれて中心軸線Aに近づくように延びている。傾斜面61aは、筆記芯90を補充する際に、筆記芯90の前端を芯パイプ41内に向けて誘導する機能を有する。図示された例では、保護部材60は、筆跡変化具80が本体部30に取り付けられた状態において、使用者により筆跡変化具80が前方へ押圧されたときに、筆跡変化具80からの押圧力を芯パイプ41に伝達する機能も有する。
【0041】
保護部材60は、磁石50と磁性部材87とが直接接触することを阻害する接触阻害部65を有している。本実施形態では、接触阻害部65は、筆跡変化具80が本体部30に取り付けられた状態において、軸方向daにおける磁石50と磁性部材87との間に位置して、磁石50と磁性部材87とが直接接触することを阻害している。
図2、
図6及び
図7に示された例では、接触阻害部65は、保護部材60の後端から径方向の外側へ向かって突出する外鍔部67を有する。外鍔部67は、周方向に延びており、環状の形状を有している。外鍔部67は、磁石50を後方から覆うように配置されている。外鍔部67は、筆跡変化具80が本体部30に取り付けられた状態において、軸方向daにおける磁石50と磁性部材87との間に位置する。なお、接触阻害部65は、磁石50と磁性部材87とが直接接触することを阻害することができればよく、接触阻害部65の具体的形状は、
図2、
図6及び
図7に示されたものに限られない。
【0042】
接触阻害部65は、磁石50と直接接触していることが好ましい。また、接触阻害部65は、磁性体で形成されていることが好ましい。とりわけ、接触阻害部65は、強磁性体で形成されていることが好ましい。これにより、磁石50の磁力により接触阻害部65が磁化し、筆跡変化具80の磁性部材87に対して適切に磁力を作用させることができる。なお、強磁性体は、その物質内の原子の磁気モーメントが互いに平行に並んでいる物質であり、磁場により強く磁化され、磁場を除いても磁化が残る性質を有する。強磁性体には、例えば、鉄、コバルト、ニッケルとそれらの合金、フェライト等が含まれる。なお、
図2、
図6及び
図7に示された例では、保護部材60は、強磁性体で一体的に形成されている。すなわち、保護部材60は、その全体が強磁性体で形成されている。
【0043】
固定部材70は、磁石50を保護部材60に対して固定する機能を有する部材である。固定部材70は、中心軸線Aと一致する中心軸線を有する略円筒状の形状を有している。固定部材70の後端には、磁石50に対して前方から接触する接触部72が形成されている。固定部材70は、保護部材60に対して固定されている。本実施形態では、保護部材60が固定部材70に対して後方から挿入されている。保護部材60の外周面には、爪部69が形成されており、この爪部69が固定部材70の内周面に係合することにより、固定部材70が保護部材60に対して固定されている。この状態で、磁石50は、軸方向daにおいて、固定部材70の接触部72と保護部材60の接触阻害部65(外鍔部67)との間に挟持される。これにより、磁石50が保護部材60に対して固定される。このような固定部材70は、樹脂、金属等により形成され得る。
【0044】
上述の筆記具10において、使用者が筆跡変化具80を前方へ押圧すると、弾発部材43が圧縮され、弾発部材43の弾発力に抗して、筆跡変化具80及び保護部材60とともに芯パイプ41及びチャック42が前方へ移動する。チャック42の前方部分の外面は、チャック42が前方へ押圧されていないときには、締具45に内側から当接している。したがって、チャック42の前方部分が径方向の外側に開くことが抑制されている。これにより、チャック42の前方部分が筆記芯90を把持する。チャック42が締具45とともに前方へ移動すると、チャック42に把持された筆記芯90が前方へ移動する。チャック42がさらに前方へ移動すると、締具45が先端部材36の内段に当接してチャック42の前方部分が締具45に対して前方へ移動する。これにより、チャック42の前方部分が外側に開き、チャック42の前方部分に把持されていた筆記芯90が解放される。このとき、筆記芯90は、芯ホルダー46により保持される。
【0045】
使用者による筆跡変化具80の押圧が解除されると、弾発部材43の弾発力により、筆跡変化具80、保護部材60、芯パイプ41及びチャック42が、後方へ移動する。これにより、チャック42の前方部分が締具45の内側へ移動し、締具45に当接して筆記芯90を把持する。このとき、筆記芯90は、芯ホルダー46により保持されているので、筆記芯90の後方への移動が抑制される。
【0046】
上記の工程を繰り返すことにより、筆記芯90が前方へ繰り出され、筆記芯90の前端がスリーブ38を通ってスリーブ38の前端から前方へ突出する。
【0047】
図1及び
図2に示された、筆跡変化具80が本体部30に取り付けられた状態において、使用者が筆跡変化具80(把持部材81)を後方へ引き出すことにより、筆跡変化具80を本体部30から取り外すことができる。
【0048】
筆跡変化具80が本体部30から取り外された状態(
図3及び
図4参照)において、筆跡変化具80を用いて筆跡を変化させることができる。筆跡変化具80の筆跡変化部材83が消しゴムである場合、筆跡変化部材83で鉛芯による筆跡を擦過して除去することができる。筆跡変化部材83が砂消しゴムである場合、筆跡変化部材83でインキによる筆跡を擦過して削り取ることができる。筆跡変化部材83が摩擦体である場合、筆跡変化部材83で熱変色性を有するインキ又は熱変色性を有する固形芯による筆跡を摩擦し、摩擦熱により筆跡の色を変化させることができる。筆跡変化部材83が修正液を吐出する吐出器である場合、筆跡変化部材83で筆跡の上から塗料を塗布して当該筆跡を隠蔽することができる。筆跡変化部材83が修正テープ繰出器である場合、筆跡変化部材83で筆跡の上からテープなどを張り付けて当該筆跡を隠蔽することができる。筆跡変化部材83が導電体である場合、筆跡変化部材83を表示画面に接触又は近接させることにより、表示画面上にスタイラスペン等で形成された筆跡を変化させることができる。
【0049】
また、筆跡変化具80が本体部30から取り外された状態(
図6参照)において、保護部材60の内孔61を介して芯パイプ41内に筆記芯90を補充することができる。
【0050】
使用者が、磁性部材87を前方に向けて、筆跡変化具80を後方から本体部30(軸筒32)内に挿入すると、磁石50の磁力により筆跡変化具80を本体部30へ取り付けることができる。このとき、磁性部材87が磁石50に近づくと、磁石50の磁力に引き寄せられて、筆跡変化具80が速度を増しながら磁石50へ向けて前方へ移動する。その後、磁性部材87が保護部材60の接触阻害部65(外鍔部67)に接触して、筆跡変化具80が本体部30に取り付けられる。このとき、磁石50と磁性部材87との間には、保護部材60の接触阻害部65(外鍔部67)が配置されているので、磁性部材87は、磁石50に直接接触しない。速度を増した筆跡変化具80による衝撃力は、磁性部材87から保護部材60に作用する。したがって、筆跡変化具80から磁石50に作用する衝撃力が緩和される。これにより、筆跡変化具80による衝撃力で磁石50が破損することが効果的に抑制される。
【0051】
本実施形態の取付構造20は、本体部30と、筆跡を変化させる筆跡変化具80と、を備え、本体部30及び筆跡変化具80の一方は、磁性部材87を有し、本体部30及び筆跡変化具80の他方は、磁性部材87と軸方向daに対向する磁石50と、磁石50と磁性部材87とが直接接触することを妨げる保護部材60と、を有し、筆跡変化具80は、磁石50の磁力により本体部30に対して着脱可能に取り付けられる。
【0052】
本実施形態の筆記具10は、上述の取付構造20を有する。
【0053】
このような取付構造20及び筆記具10によれば、磁石50と磁性部材87とが直接接触することを妨げる保護部材60を有していることにより、筆跡変化具80を本体部30へ取り付ける際に、筆跡変化具80による衝撃力で磁石50が破損することが効果的に抑制される。具体的には、磁石50の磁力に引き寄せられて、筆跡変化具80が速度を増しながら磁石50へ向けて前方へ移動しても、筆跡変化具80による衝撃力は、磁性部材87から保護部材60に作用する。したがって、筆跡変化具80から磁石50に作用する衝撃力が緩和される。これにより、筆跡変化具80による衝撃力で磁石50が破損することが抑制される。
【0054】
なお、本実施形態では、本体部30が磁石50と保護部材60とを有し、筆跡変化具80が磁性部材87を有した例について説明したが、これに限られず、本体部30が磁性部材87を有し、筆跡変化具80が磁石50と保護部材60とを有してもよい。
【0055】
本実施形態の取付構造20では、本体部30及び筆跡変化具80の他方は、磁石50を保護部材60に対して固定する固定部材70を有する。
【0056】
このような取付構造20によれば、固定部材70により、磁石50を保護部材60に対して適切に固定することができる。これにより、筆跡変化具80の本体部30への取付け時の衝撃によって磁石50が保護部材60から離脱してしまうことを抑制することができる。また、保護部材60を介して、磁石50が筆跡変化具80の磁性部材87を適切に引き寄せることができる。
【0057】
本実施形態の取付構造20では、保護部材60は、磁石50と磁性部材87との間に位置する磁性体を含む。
【0058】
このような取付構造20によれば、磁石50の磁力により保護部材60の磁性体が磁化し、筆跡変化具80の磁性部材87に対して適切に磁力を作用させることができる。
【0059】
本実施形態の取付構造20では、筆跡変化具80は、把持部材81と、把持部材81に固定された筆跡変化部材83と、把持部材81の一端に取り付けられた磁性部材87を有し、本体部30は、磁石50及び保護部材60を有する。
【0060】
このような取付構造20によれば、筆跡変化具80が本体部30から取り外された状態(
図3及び
図4参照)において、筆跡変化具80を用いて筆跡を変化させることができる。
【0061】
本実施形態の筆記具10は、本体部30は、軸筒32と、軸筒32の内部に収容された筆記体90を前方へ繰出す繰出機構40と、を有し、筆跡変化具80は、本体部30に取り付けられた状態において、繰出機構40を操作可能である。
【0062】
このような筆記具10によれば、筆跡変化具80は、繰出機構40を作動させるための操作体としても機能する。したがって、筆跡変化具80と繰出機構40を作動させるための操作体とをそれぞれ設ける場合と比較して、部品点数を減少させることができるとともに、筆記具10全体を小型化することができる。
【0063】
なお、上述した実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、上述した実施形態の変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0064】
図8は、取付構造20の一変形例を示す縦断面図であり、
図9は、取付構造20を、筆跡変化具80の前後を入れ替えて本体部30に取り付けた状態で示す縦断面図である。
【0065】
本変形例における取付構造20では、筆跡変化具80は、前後を入れ替えて本体部30に取り付けることができるように構成されている。筆跡変化具80は、第1の磁性部材(磁性部材)87と、第2の磁性部材(他の磁性部材)89と、を有している。第1の磁性部材87は、
図1~
図5を参照して説明した例における磁性部材87と同様に構成されるので、詳細な説明は省略する。
【0066】
図1~
図5を参照して説明したように、第1の磁性部材87は、把持部材81の一端(前端)に取り付けられている。本変形例では、第2の磁性部材89は、把持部材81における、他端(後端)に取り付けられている。なお、他端とは、軸方向daにおいて一端に対して反対側に位置する端部を指す。
【0067】
第2の磁性部材89は、把持部材81の中心軸線と一致する中心軸線を有する略円筒形状を有している。第2の磁性部材89における、他端(後端)側の端部の少なくとも一部は閉塞されていてもよい。本変形例では、一端側(前方側)から第2の磁性部材89の内部に把持部材81の他端(後端)が圧入されることにより、第2の磁性部材89が把持部材81に対して固定されている。
【0068】
本変形例では、
図8に示された状態において、使用者が筆跡変化具80(把持部材81)を後方へ引き出すことにより、筆跡変化具80を本体部30から取り外すことができる。取り外された筆跡変化具80は、
図9に示されているように、前後を入れ替えて本体部30に取り付けることができる。具体的には、第2の磁性部材89を前方に向けて、すなわち筆跡変化部材83を後方へ向けて、筆跡変化具80を本体部30(軸筒32)内に挿入すると、磁石50の磁力により第2の磁性部材89が引き寄せられて、筆跡変化具80を本体部30へ取り付けることができる。このとき、第2の磁性部材89が磁石50に近づくと、磁石50の磁力に引き寄せられて、筆跡変化具80が速度を増しながら磁石50へ向けて前方へ移動する。その後、第2の磁性部材89が保護部材60の接触阻害部65(外鍔部67)に接触して、筆跡変化具80が本体部30に取り付けられる。このとき、磁石50と第2の磁性部材89との間には、保護部材60の接触阻害部65(外鍔部67)が配置されているので、第2の磁性部材89は、磁石50に直接接触しない。速度を増した筆跡変化具80による衝撃力は、第2の磁性部材89から保護部材60に作用する。したがって、筆跡変化具80から磁石50に作用する衝撃力が緩和される。これにより、本変形例において、筆跡変化具80の前後を入れ替えて筆跡変化具80を本体部30に取り付ける際にも、筆跡変化具80による衝撃力で磁石50が破損することが効果的に抑制される。
【0069】
図9に示された状態において、筆跡変化具80が本体部30に取り付けられているとともに、筆跡変化部材83は、本体部30(軸筒32、軸筒本体34)の後端から後方へ突出している。この場合、使用者は、本体部30(軸筒32、軸筒本体34)を把持して、筆跡変化部材83を用いて筆跡を変化させることができる。これにより、軽い力でも適切に筆跡を変化させることができる。
【0070】
なお、
図9に示された状態において、使用者が筆跡変化具80(把持部材81)を後方へ引き出すことにより、筆跡変化具80を本体部30から取り外すことができる。取り外された筆跡変化具80は、再度前後を入れ替えて本体部30に取り付けることができる。これにより、
図8に示された状態に戻る。
【0071】
本変形例の取付構造20では、筆跡変化具80は、把持部材81の一端に取り付けられた磁性部材(第1の磁性部材)87と、把持部材81の他端に固定された他の磁性部材(第2の磁性部材)89とを有し、筆跡変化具80の前後を入れ替えても、筆跡変化具80は、磁石50の磁力により本体部30に対して着脱可能に取り付けられる。
【0072】
このような取付構造20によれば、筆跡変化部材83が本体部30(軸筒32、軸筒本体34)の後端から後方へ突出している状態で、使用者は、本体部30(軸筒32、軸筒本体34)を把持して、筆跡変化部材83を用いて筆跡を変化させることができる。これにより、軽い力でも適切に筆跡を変化させることができる。
【0073】
上記の実施形態では、取付構造20が筆記具10に組み込まれる例、すなわち本体部30が筆記具10の一部である例、について説明した。しかし、本体部30は、筆記具10の一部に限られず、他の器具の一部や他の部材であってもよい。例えば、本体部30は、筆跡変化具80に取り付けられて筆跡変化部材83を覆うキャップ部材であってもよい。この場合、
図8及び
図9を参照して説明したように、筆跡変化具80が、把持部材81の一端に取り付けられた第1の磁性部材87と、把持部材81の他端に固定された第2の磁性部材89とを有し、筆跡変化具80の前後を入れ替えても、筆跡変化具80は、磁石50の磁力により本体部(キャップ部材)30に対して着脱可能に取り付けられるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 筆記具
20 取付構造
30 本体部
32 軸筒
34 軸筒本体
34a 内周面
36 先端部材
38 スリーブ
40 繰出機構
41 芯パイプ
41a 後端
42 チャック
43 弾発部材
44 受け部材
45 締具
46 芯ホルダー
50 磁石
60 保護部材
61 内孔
61a 傾斜面
63 前端部
65 接触阻害部
67 外鍔部
69 爪部
70 固定部材
72 接触部
80 筆跡変化具
81 把持部材
81a 突出部
83 筆跡変化部材
85 カバー部材
87 磁性部材(第1の磁性部材)
87a 内鍔部
89 他の磁性部材(第2の磁性部材)
90 筆記芯
A 中心軸線
da 軸方向