(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022323
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 25/04 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B65B25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125818
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】塚本 智貴
【テーマコード(参考)】
3E028
【Fターム(参考)】
3E028AB01
3E028BA10
3E028DA02
3E028DA06
3E028GA02
3E028GA04
3E028HA02
(57)【要約】
【課題】余剰部が引っ掛かるのを防止できる包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置は、弾性変形可能な寄集補助部材である樹脂板16と、包装シートを寄せ集める寄集手段131とを備える。また、包装装置は、包装シートを切断して余剰部を切り離す切離手段と、余剰部に対して圧縮空気を噴射する空気噴射手段とを備える。そして、寄集手段131の右側寄集回動体144の上羽根176には、圧縮空気の噴射時に樹脂板16の弾性変形を規制する規制手段201を設ける。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シートで農作物を包装する包装装置であって、
弾性変形可能な寄集補助部材と、
包装シートを寄せ集める寄集手段と、
前記寄集手段で寄せ集められた包装シートを切断して余剰部を切り離す切離手段と、
前記切離手段で切り離された余剰部に対して圧縮空気を噴射する空気噴射手段と、
前記空気噴射手段による圧縮空気の噴射時に前記寄集補助部材の弾性変形を規制する規制手段と
を備えることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
農作物が供給口部から供給され、この供給された農作物を包装シートで包装する包装装置であって、
前記供給口部を覆うように設けられた弾性変形可能な寄集補助部材と、
前記供給口部の下方位置で包装シートの上側部分を寄せ集める寄集手段と、
前記寄集手段で寄せ集められた包装シートの上側部分を切断して余剰部を切り離す切離手段と、
前記切離手段で切り離された余剰部に対して圧縮空気を噴射する空気噴射手段と、
前記空気噴射手段による圧縮空気の噴射時に前記寄集補助部材の下方側への弾性変形を規制する規制手段と
を備えることを特徴とする包装装置。
【請求項3】
前記規制手段は、前記寄集補助部材の下面との接触により当該寄集補助部材の下方側への弾性変形を規制する規制体を有する
ことを特徴とする請求項2記載の包装装置。
【請求項4】
前記寄集手段は、互いに接近する方向への回動により包装シートを寄せ集める対をなす寄集回動体を有し、
前記規制手段は、前記対をなす寄集回動体のうちの少なくともいずれか一方に設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の包装装置。
【請求項5】
前記空気噴射手段は、余剰部に対して圧縮空気を噴射する噴射ノズルを有し、
前記噴射ノズルは、農作物を支持する支持体側から後退した後退位置と、前記支持体側に進出した進出位置との間で移動可能であり、
前記進出位置は、前記支持体の中心点よりも進出側の位置である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装シートで農作物を包装する包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された包装装置が知られている。
【0003】
この従来の包装装置は、例えば開孔を覆うゴム板状の複数の補助絞り部材と、包装シートの上側部分を絞り込んで寄せ集める一対の挟持部材と、これら両挟持部材で寄せ集められた包装シートを切断して余剰部を切り離す一対の円盤カッターと、これら両円盤カッターで切り離された余剰部に対して圧縮空気を噴射する噴射ノズルとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の包装装置では、例えば噴射ノズルからの圧縮空気によって補助絞り部材が下方側に変形して垂れ下がった場合、その補助絞り部材に余剰部が引っ掛かるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、余剰部が引っ掛かるのを防止できる包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装装置は、包装シートで農作物を包装する包装装置であって、弾性変形可能な寄集補助部材と、包装シートを寄せ集める寄集手段と、前記寄集手段で寄せ集められた包装シートを切断して余剰部を切り離す切離手段と、前記切離手段で切り離された余剰部に対して圧縮空気を噴射する空気噴射手段と、前記空気噴射手段による圧縮空気の噴射時に前記寄集補助部材の弾性変形を規制する規制手段とを備えるものである。
【0008】
また、本発明に係る包装装置は、農作物が供給口部から供給され、この供給された農作物を包装シートで包装する包装装置であって、前記供給口部を覆うように設けられた弾性変形可能な寄集補助部材と、前記供給口部の下方位置で包装シートの上側部分を寄せ集める寄集手段と、前記寄集手段で寄せ集められた包装シートの上側部分を切断して余剰部を切り離す切離手段と、前記切離手段で切り離された余剰部に対して圧縮空気を噴射する空気噴射手段と、前記空気噴射手段による圧縮空気の噴射時に前記寄集補助部材の下方側への弾性変形を規制する規制手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、余剰部が引っ掛かるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る包装装置の前面側斜視図である。
【
図4】同上包装装置内の部分前面図(第1昇降体が上昇位置に位置した状態)である。
【
図5】同上包装装置内の部分前面図(第1昇降体が下降位置に位置した状態)である。
【
図6】同上包装装置の第1昇降駆動手段を示す側面図である。
【
図7】同上包装装置の支持手段を示す斜視図である。
【
図8】同上包装装置の寄集手段の部分平面図(寄集移動体が待機位置に位置した状態)である。
【
図9】同上寄集手段の部分平面図(寄集移動体が寄集位置に位置した状態)である。
【
図10】同上寄集手段の部分平面図(寄集回動体が待機位置に位置した状態)である。
【
図11】同上寄集手段の部分平面図(寄集回動体が寄集位置に位置した状態)である。
【
図13】寄集回動体に設けられた規制手段と樹脂板との位置関係を示す図で、(a)は寄集回動体が待機位置(開位置)に位置した状態の図、(b)は寄集回動体が寄集位置(閉位置)に位置した状態の図である。
【
図15】(a)ないし(d)は同上包装装置による包装処理の動作を説明するための説明図である。
【
図17】(a)ないし(d)は空気噴射手段の噴射ノズルの動作を説明するための説明図である。
【
図18】規制手段が右側寄集回動体に設けられていない比較例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態について
図1ないし
図18を参照して説明する。
【0012】
図中の1は包装装置で、この包装装置1は、例えば所定寸法の矩形状の包装シートSを用いて、球状の農作物(被包装物)W、すなわち例えばレタスを包装するレタス包装機(野菜包装機)である。
【0013】
つまり、包装装置1は、作業者の手作業によって供給口2から包装装置1の内部に供給された農作物Wを包装シートSで自動的に包装し、この包装後の農作物Wを排出口3から包装装置1の外部に自動的に排出するものである。
【0014】
包装シート(包装フィルム)Sは、ロール状のシートロールRから引き出した長尺シートS0を所定寸法ごとに切断して得られるもので、例えば比較的柔軟な合成樹脂製の透明なシート(フィルム)である。なお、シートロールRは、長く連続した包装用の長尺シートS0をロール状に巻いたもので、ロール支持手段4の支持ローラ5によって回転可能に支持される。また、包装シートSの素材は、例えばOPPフィルムやストレッチフィルム等である。
【0015】
包装装置1は、
図1及び
図2等に示すように、外形が略直方体をなす箱状の装置本体11を備えている。装置本体11の上板12には、矩形状の上側供給口13が形成されている。上板12の下方には、平面状に展開した包装シートSを載置状態に支持する水平状の支持板(包装シート支持部)14が設けられている。
【0016】
支持板14には、上側供給口13と対向する円形状の供給口部である下側供給口15が形成されており、これら上側供給口13及び下側供給口15によって作業者が手作業で包装前の農作物Wを上方から装置本体11内に供給するための供給口2が構成されている。なお、支持板14の下側供給口(供給口部)15は、当該下側供給口15の下方に位置する支持体33の中心点Pを中心とする円形状に形成されている(
図13参照)。
【0017】
そして、供給口2の下側供給口15の一部(外周側の部分)は、当該下側供給口15の周方向に並ぶ複数の弾性変形可能な板状の弾性体としての寄集補助部材である樹脂板16によって開閉可能に覆われている。つまり、装置本体11は、下側供給口15の一部を開閉可能に覆うように設けられた複数、すなわち例えば8枚の寄集補助用の弾性板である樹脂板16を有している。
【0018】
複数の樹脂板16は、農作物Wが下側供給口15から供給される供給時において、農作物Wに押されて先端側が下方側に一旦弾性変形した後、その農作物Wが下側供給口15を通過すると、弾性復元力で元の形状、すなわち水平な平板状の形状に復帰する。そして、この復帰の際に、当該樹脂板16は包装シートSの上側部分をある程度寄せ集める。つまり、当該樹脂板16は、後述する寄集手段131による寄せ集めを補助する寄集補助部材(補助絞り部材)である。
【0019】
複数の樹脂板16のうち、支持体33の周囲支持部108a,108bに対応して位置する前後左右4つの樹脂板16(16a)は、残りの4つの樹脂板16(16b)よりも大きく形成されている。また、各樹脂板16は、その基端部が支持板14に取り付けられ、かつ、その先端部が自由端部となっている。
【0020】
装置本体11の後板18には、包装後の農作物Wを装置本体11外に排出するための矩形状の排出口3が形成されている。つまり、この排出口3からは、包装シートSでその全体が包装された包装後の農作物Wが装置本体11外に排出される。なお、排出口3から排出された農作物(包装済み農作物)Wは、例えばコンベヤ等の搬送手段で次工程に搬送される。また、例えば排出口3から排出された農作物Wを容器内に収納するようにしてもよい。
【0021】
装置本体11の右板19には、包装後の包装シートSの余剰部S1を装置本体11外に排出するための矩形状の余剰部排出口20が形成されている。つまり、この余剰部排出口20からは、農作物Wを包んだ状態の包装シートSの上側部分から切り離された余剰部(包装シートの余剰分である余剰カス)S1が装置本体11外に排出される。なお、装置本体11には、例えば手動操作スイッチ(操作手段)21や設定パネル(設定手段)22等が設けられている。
【0022】
また、包装装置1は、
図3に示すように、装置本体11の供給口2から供給された包装前の農作物Wを包装シートSを介して受け取って支持しかつ包装後の農作物Wを排出口3側に送出してその排出口3から排出する支持手段(受取部)25と、この支持手段25の支持体33上の農作物Wを包んだ状態の包装シートSの上側部分に対して所定の処理(例えば寄せ集め、切り離し及び熱溶着)を行う処理手段(スライド部)26とを備えている。
【0023】
さらに、包装装置1は、処理手段26で包装シートSから切り離された余剰部(余剰カス)S1に対して圧縮空気を噴射してその余剰部S1を余剰部排出口20から排出する空気噴射手段(空気噴射部)27を備えている。
【0024】
また、包装装置1は、ロール支持手段4の支持ローラ5上のシートロールRから長尺シートS0を引出方向(左方向)に引き出す引出手段(シート引出部)28と、この引出手段28で引き出された長尺シートS0を切断して所定寸法(所定長さ)の包装シートSを得る切断手段(シート切断部)29とを備えている。
【0025】
このように、包装装置1は、装置本体11、ロール支持手段4、支持手段25、処理手段26、空気噴射手段27、引出手段28、及び切断手段29等を具備したものである。
【0026】
支持手段(支持送出手段)25は、
図4ないし
図6等に示すように、装置本体11の底部17に立設された案内体30と、この案内体30によって案内される昇降可能な第1昇降体31と、この第1昇降体31に昇降可能に設けられた第2昇降体32と、この第2昇降体32に左右方向の回動中心軸線(回動支点)L1を中心として回動可能に設けられ、農作物Wの下面を包装シートSを介して下方から載置状態に支持する支持体33と、第1昇降体31に前後方向の回動中心軸線(回動支点)L2を中心として回動可能に設けられ、支持体33によって支持された農作物Wの左右両側面を包装シートSを介して左右の両側方から保持(挟持)する左右1対の保持体(挟持体)34とを備えている。
【0027】
また、支持手段25は、案内体30に対して第1昇降体31を昇降させる第1昇降駆動手段36と、第1昇降体31に対して第2昇降体32を昇降させる第2昇降駆動手段37と、第2昇降体32に対して支持体33を回動中心軸線L1を中心として回動させる第1回動駆動手段38と、第1昇降体31に対して左右の両保持体34を回動中心軸線L2を中心として回動(開閉)させる第2回動駆動手段39とを備えている。
【0028】
第1昇降体31を上下方向に案内する案内体30は、第1昇降体31の筒状部41を案内する上下方向長手状で丸棒状の第1案内部材51と、第1昇降体31のローラ部42を案内する上下方向長手状でコ字枠状の第2案内部材52とを有している。
【0029】
第1昇降駆動手段36は、装置本体11に対して支持体33を第1昇降体31等と一緒に昇降させるための駆動源であるモータ(駆動源)55と、このモータ55からの動力に基づいて回行する無端状のチェーン56とを有し、このチェーン56は互いに離間対向する上下のスプロケット57に掛け渡され、その張力が張力調整手段58で調整可能となっている。
【0030】
張力調整手段58は、支軸59を中心として回動可能なタイトナー60を有し、このタイトナー60の先端部に下側のスプロケット57が取り付けられている。タイトナー60の基端部には連結棒61が連結され、この連結棒61が調整バネ62で上方側に付勢されている。また、チェーン56の途中には、取付板63が取り付けられ、この取付板63には第1昇降体31の取付部43が取り付けられている。
【0031】
そして、第1昇降体31は、モータ55からの動力に基づくチェーン56の一方向への回行によって案内体30に対して上昇位置まで上昇し(
図4参照)、モータ55からの動力に基づくチェーンの他方向への回行によって案内体30に対して農作物Wの大きさ(高さ)に応じた下降位置まで下降する(
図5参照)。
【0032】
ここで、上昇位置は、農作物Wの大きさに拘わらず、予め決められた一定の位置である。他方、下降位置は、農作物Wの大きさに応じて決定される任意の位置(農作物の大きさに対応する対応下降位置である包装位置)である。
【0033】
すなわち例えば、供給口2から供給された農作物Wの通過を検知する検知手段(光電センサ等)49からの情報に基づいて制御手段50がその農作物Wの大きさに応じた下降位置を決定する。制御手段50は、例えばセンサやスイッチ等からの情報に基づいて各駆動源(モータ及びエアシリンダ等)を適宜制御する。そして、この制御手段50による制御により、例えば検知手段49による農作物Wの通過検知後、モータ55が停止する前に、その農作物Wを支持した支持体33が下降している途中で寄集手段131が寄集動作を自動的に開始する。
【0034】
第2昇降体32は、第1昇降体31が有する複数(例えば左右2つ)の案内部44によって案内される昇降可能な複数の被案内部65を有し、この上下方向長手状で棒状の被案内部65の上端部が水平状のベース板部66に取り付けられている。
【0035】
また、第2昇降体32は、ベース板部66に対して上下動可能なコ字枠部67を有し、このコ字枠部67には、支持体33が回動中心軸線L1を中心として上下回動可能に取り付けられている。そして、コ字枠部67は、図示しないが、農作物Wが支持体33に載置される際(支持体への農作物のセット時)における農作物Wへの衝撃を緩和するための緩衝手段である緩衝バネで弾性的に支持されており、この緩衝バネの内側のガイドピンが筒状の緩衝ガイド部内に摺動可能に挿入されている。
【0036】
第2昇降駆動手段37は、伸縮可能な流体圧シリンダである昇降シリンダ(駆動源)71を有している。つまり、第2昇降駆動手段37は、昇降シリンダ71のみで構成されている。昇降シリンダ71は、第1昇降体31に取り付けられたシリンダ本体72と、このシリンダ本体72内に対して出入りするロッド73とを有している。ロッド73の先端部は、第2昇降体32のベース板部66に取り付けられている。
【0037】
そして、第2昇降体32は、昇降シリンダ71の縮み動作によって第1昇降体31に対して下位置まで下降し、昇降シリンダ71の伸び動作によって第1昇降体31に対して上位置まで上昇する。つまり、互いに大きさが異なる農作物Wに対応できるように、第2昇降体31が第1昇降体31に対して昇降可能であり、支持体33が保持体34に対して上位置及び下位置間で昇降可能となっている。
【0038】
保持体(挟持体)34は、第1昇降体31に対する回動中心軸線L2を中心とする回動により、開状態(農作物を挟持しない状態)及び閉状態(農作物を両側方から挟持する状態)になるものである。
【0039】
つまり、対をなす両保持体34は、回動中心軸線L2を中心とする回動に基づく互いに接近する方向への同期移動(閉動作)により閉状態となり、回動中心軸線L2を中心とする回動に基づく互いに離反する方向への同期移動(開動作)により開状態となる。
【0040】
保持体34は、第1昇降体31に回動中心軸線L2を中心として回動可能に設けられたL字状のアーム部76と、このアーム部76の上端側の先端部に設けられ、保持体34の閉状態で農作物Wの側面に包装シートSを介して接触してその側面を保持する保持部77と、アーム部76の下端側の基端部に設けられ、保持体34の開状態で第2回動駆動手段39のローラ接触板85と接触するローラ部78とを有している。
【0041】
保持部77は、例えば矩形状の保持板79と、この保持板79の表面(少なくとも農作物と包装シートを介して接触する面)を覆うように当該保持板79に貼り付けられたスポンジ等のクッション材80とで構成されている。
【0042】
第2回動駆動手段39は、伸縮可能な流体圧シリンダである開閉シリンダ(駆動源)81を有している。開閉シリンダ81は、第1昇降体31に取り付けられたシリンダ本体82と、このシリンダ本体82内に対して出入りするロッド83とを有している。ロッド83の先端部には、付勢手段である閉じバネ84の付勢力に抗してローラ部78を持ち上げるローラ接触板85が取り付けられている。ローラ接触板85は、上下方向に延びるガイドピン86によって案内されて昇降する。
【0043】
保持体34を閉状態にするための閉じバネ84は、第1昇降体31と保持体34との間に架設されている。つまり、閉じバネ84は、その一端部が第1昇降体31のバネ取付部45に取り付けられ、かつ、その他端部が保持体34のバネ取付部46に取り付けられている。
【0044】
そして、保持体34は、開閉シリンダ81の伸び動作によって第1昇降体31に対して回動中心軸線L2を中心として回動して開状態となり(
図4参照)、開閉シリンダ81の縮み動作によって閉じバネ84から付勢力(弾性復元力)を受け、この付勢力に基づいて第1昇降体31に対して回動中心軸線L2を中心として回動して閉状態となる(
図5参照)。
【0045】
図5に示すように、保持体34が開状態から閉状態に切り換わると、支持体33上の農作物Wは、閉じバネ84の付勢力に基づいて、両保持体34の保持部(挟持部)77によって左右両側から挟持される。
【0046】
支持体(載置体)33は、第2昇降体32に対する回動中心軸線L1を中心とする回動により、第1状態(農作物を下方から支持する支持状態)及び第2状態(農作物を側方に送出する送出状態)になるものである。
【0047】
つまり、支持体33は、回動中心軸線L1を中心とする一方向(前方側)への回動により水平状の第1状態(農作物が載置される状態)となり、回動中心軸線L1を中心とする他方向(後方側)への回動により後下がりの傾斜状の第2状態(農作物が排出される状態)となる。
【0048】
支持体33は、
図7にも示すように、当該支持体33の第1状態では農作物Wの下面を包装シートSを介して載置状態に下方から支持するが、当該支持体33の第2状態では農作物Wをその自重により後方(側方)へ送出する皿状の支持部91と、この支持部91に下方に向かって突設された下方突出状の取付部92とを有している。つまり、支持体33は、第2昇降体32に回動中心軸線L1を中心として回動可能に取り付けられた取付部92と、この取付部92の上部に固設され、農作物Wの下面側を支持する支持部(受取部)91とを有している。
【0049】
取付部92は、ねじ等の取付具93によって支持部91の下面に取り付けられた取付板94を有している。取付板94の両端部からは、互いに離間対向する左右1対の対向板95が下方に向かって突出している。両対向板95の前後方向中央部には、左右方向に延びる円筒状の挿入筒96が設けられている。
【0050】
そして、挿入筒96にボルト97が挿入され、そのボルト97にナット98が螺合されることによって、取付部92が第2昇降体32のコ字枠部67に回動中心軸線L1を中心として回動可能に取り付けられている。このボルト97の軸部の軸芯を通る線が回動中心軸線L1である。
【0051】
また、取付部92の両対向板95の前端部には、第1回動駆動手段38の回動シリンダ121のロッド123の先端部が取付手段100を介して回動可能に取り付けられている。取付手段100は、例えばボルト101、ナット102及びスペーサ103で構成されている。
【0052】
支持部91は、支持体33の第1状態では農作物Wを下方側から支持しかつ支持体33の第2状態では農作物Wを後方側に送出するもので、例えば平面視で十字状をなす皿状の支持板(受皿)105と、この支持板105の表面(少なくとも農作物と包装シートを介して接触する面)を覆うように当該支持板105に貼り付けられたスポンジ等のクッション材106とで構成されている。
【0053】
ここで、支持部91は、農作物Wの下面の中央部を包装シートSを介して支持する矩形板状の中央支持部107と、この中央支持部107の前後左右の4つの端部(外縁部)に斜め上方に向かって突設され、農作物Wの下面のうちその中央部の周囲に位置する周囲部の4箇所を包装シートSを介して支持する矩形板状の周囲支持部108a,108bとを有している。
【0054】
前後1対の周囲支持部108aは、左右1対の周囲支持部108bよりも大きく形成されている。そして、前後1対の周囲支持部108aは、中央支持部107に対して傾斜状に位置する傾斜部分109と、中央支持部107と平行状に位置する先端部分110とで構成されている。左右1対の周囲支持部108bは、中央支持部107に対して傾斜状に位置する傾斜部分111のみで構成されている。なお、支持体33の第1状態時においては、中央支持部107は水平面に沿って位置する。他方、支持体33の第2状態時においては、前側の周囲支持部108aの傾斜部分109は鉛直面に沿って位置する。
【0055】
第1回動駆動手段38は、伸縮可能な流体圧シリンダである回動シリンダ(駆動源)121を有している。つまり、第1回動駆動手段38は、回動シリンダ121のみで構成されている。回動シリンダ121は、第2昇降体32のシリンダ取付部124に取り付けられたシリンダ本体122と、このシリンダ本体122内に対して出入りするロッド123とを有している。ロッド123の先端部は、取付手段100を介して支持体33の取付部92に取り付けられている。
【0056】
そして、支持体33は、回動シリンダ121の縮み動作によって第2昇降体32に対して回動中心軸線L1を中心として回動して水平状の第1状態(支持状態)となり、回動シリンダ121の伸び動作によって第2昇降体32に対して回動中心軸線L1を中心として回動して傾斜状の第2状態(送出状態)となる。
【0057】
支持体33が第2状態になった場合、支持部91上の農作物Wは、搬送体126の搬送部127上に送出(排出)され、その後、農作物Wは、その傾斜状の搬送部127によって排出口3に向けて搬送されて当該排出口3から装置本体11外へ排出される。
【0058】
搬送体126の搬送部127は、例えば後下がりの傾斜状の搬送板128と、この搬送板128の上面を覆うように当該搬送板128に貼り付けられたスポンジ等のクッション材129とで構成されている。
【0059】
また、支持体33の回動中心軸線(回動支点)L1は、支持体33の第1状態において、側面視で支持部91の中央支持部107の中心点(支持体の中心部)Pよりも反送出側、つまり水平姿勢の中央支持部107の前後方向中心位置よりも前方側にずれて位置する。換言すると、回動中心軸線L1は、支持体33の第1状態における側面視で、支持部91によって載置状態に支持された球状の農作物Wの中心点(重心位置)Oを通る鉛直方向の線よりも前方側(反送出側)に位置する。また、平面視において、支持部91の中心点(受皿中心)Pと、この支持部91上の農作物Wの中心点(農作物重心)Oとは、互いに一致(略一致を含む)するようになっている。
【0060】
なお、
図7においては、支持体33のクッション材106及び保持体34のクッション材80の図示が省略されている。当該
図7に図示した3つのシリンダ(昇降シリンダ71、開閉シリンダ81及び回動シリンダ121)は、例えばエアシリンダである。また、
図5では包装シートSの図示が省略されている。
【0061】
処理手段26は、
図8ないし
図13等に示すように、支持手段25の支持体33で支持された農作物Wを包んだ状態(農作物の略全体を包んだ状態)の包装シートSのうち、当該支持体33上の農作物Wよりも上方に位置する部分である上側部分(包装前の展開状態では外周側の部分)に対して所定の処理を行うもので、例えば寄集手段131と、切離手段132と、熱溶着手段133とを備えている。
【0062】
そして、寄集手段(収束手段)131は、支持板14に形成された円形状の下側供給口15の下方位置において、支持体33の支持部91で支持された農作物Wよりも上方に位置する包装シートSの上側部分を周囲から絞るように収束して寄せ集める手段である。
【0063】
切離手段132は、寄集手段131で寄せ集められた包装シートSの上側部分における所定位置である切断位置を切断することにより、包装シートSのうち農作物Wの全体を包装した部分である包装部分から余剰部S1を切り離す手段であり、例えば切離刃135で構成されている。
【0064】
熱溶着手段133は、寄集手段131で寄せ集められた包装シートSの上側部分のうち切断位置よりも若干下方に位置する部分を熱溶着して封鎖(閉鎖)する手段であり、例えば前後1対のヒーター136,137で構成されている。
【0065】
寄集手段131は、前後方向に細長い棒状に形成された左右1対の案内体である案内棒140と、これら両案内棒140に沿った互いに接近する方向への移動(スライド移動)により包装シートSの上側部分を前後側から挟持するように寄せ集める前後1対の寄集移動体である前側寄集移動体141及び後側寄集移動体142と、これら両寄集移動体141,142に連動した互いに接近する方向への回動により包装シートSの上側部分を左右側から挟持するように寄せ集める左右1対の寄集回動体である左側寄集回動体143及び右側寄集回動体144とを備えている。
【0066】
また、寄集手段131は、案内棒140に対して前側寄集移動体141を待機位置及び寄集位置間で前後方向に移動させる第1移動駆動手段146と、案内棒140に対して後側寄集移動体142を待機位置及び寄集位置間で前後方向に移動させる第2移動駆動手段147とを備えている。
【0067】
なお、両寄集回動体143,144は、互いに同じ構成のもの(複数の共通部品からなるもの)で、両移動駆動手段146,147の作動に基づく両寄集移動体141,142の前後方向(第1方向)の移動に応じて左右方向(第1方向に対して交差する第2方向)に回動する。つまり、寄集回動体143,144は、移動駆動手段146,147からの動力に基づいて移動する寄集移動体141,142に連動して回動する。また、両寄集移動体141,142や両移動駆動手段146,147等も、互いに同じ構成のものであり、この寄集手段131では部品の共通化が図られている。
【0068】
まず、
図8等に示すように、前側寄集移動体141は、案内棒140の前側部分140aに沿って前後方向にスライド移動する移動部材151を有し、この移動部材151の左右両端側のスライダー部152に案内棒140が挿通されている。移動部材151には、ガイドカラー153、スライド板154及びシート締板155が設けられ、そのシート締板155の先端側に切離刃135及びヒーター136が取り付けられている。
【0069】
第1移動駆動手段146は、伸縮可能な流体圧シリンダであるシリンダ(例えばエアシリンダ等の駆動源)156を有し、このシリンダ156は、シリンダ本体158と、このシリンダ本体158内に対して出入りするロッド159とで構成されている。ロッド159の先端部には、シリンダアーム160の後端部が連結され、このシリンダアーム160の前端部が移動部材151の左端部に連結されている。
【0070】
後側寄集移動体142は、案内棒140の後側部分140bに沿って前後方向にスライド移動する移動部材161を有し、この移動部材161の左右両端側のスライダー部162に案内棒140が挿通されている。移動部材161には、ガイドカラー163、スライド板164及びシート締板165が設けられ、そのシート締板165の先端側にヒーター137が取り付けられている。なお、前側寄集移動体141側のヒーター136と後側寄集移動体142側のヒーター137とで包装シートSの所定部分が挟持されて熱溶着される。
【0071】
第2移動駆動手段147は、伸縮可能な流体圧シリンダであるシリンダ(例えばエアシリンダ等の駆動源)166を有し、このシリンダ166は、シリンダ本体168と、このシリンダ本体168内に対して出入りするロッド169とで構成されている。ロッド169の先端部には、シリンダアーム170の前端部が連結され、このシリンダアーム170の後端部が移動部材161の右端部に連結されている。なお、互いに離間対向する2本の両案内棒140は、前フレーム138及び後フレーム139間に架設されている。
【0072】
次いで、
図10等に示すように、左側寄集回動体143は、複数、すなわち例えば2枚の板状の羽根部材である上羽根171及び下羽根172を有し、その下羽根172には長孔部173が曲線状に形成され、この長孔部(カム孔部)173には後側寄集移動体142の挿入部であるガイドカラー(ローラ部)163が当該長孔部173に沿って摺動可能に挿入されている。
【0073】
右側寄集回動体144は、複数、すなわち例えば2枚の板状の羽根部材である上羽根176及び下羽根177を有し、その下羽根177には長孔部178が曲線状に形成され、この長孔部(カム孔部)178には前側寄集移動体141の挿入部であるガイドカラー(ローラ部)153が当該長孔部178に沿って摺動可能に挿入されている。
【0074】
ここで、対をなす寄集回動体143,144のうちの一方の寄集回動体である左側寄集回動体(左側の上羽根及び下羽根)143は、装置本体11の後側に固定的に設けられた第1支点である第1支軸部(第1回動中心)181を中心として、待機位置(平面視で支持体33の支持部91と重ならない位置である離反位置)と寄集位置(平面視で支持体33の支持部91と重なる位置である接近位置)との間で、左右方向に回動可能となっている。
【0075】
これに対し、対をなす寄集回動体143,144のうちの他方の寄集回動体である右側寄集回動体(右側の上羽根及び下羽根)144は、装置本体11の前側に固定的に設けられた第2支点である第2支軸部(第2回動中心)182を中心として、待機位置(平面視で支持体33の支持部91と重ならない位置である離反位置)と寄集位置(平面視で支持体33の支持部91と重なる位置である接近位置)との間で、左右方向に回動可能となっている。
【0076】
なお、これら左右の寄集回動体143,144がそれぞれ寄集位置に向かって回動(互いに接近回動)することにより包装シートSの上側部分が寄せ集められるが、当該両寄集回動体143,144が寄集位置に位置した状態において、両者間には予め設定された所定寸法の隙間183が存在する(
図11参照)。この隙間183の存在により、両ヒーター136,137による包装シートSの熱溶着が適切に行われる。
【0077】
そして、
図10から明らかなように、平面視において、左側寄集回動体143の後端部(第1支点側の基端部)を回動可能に支持する第1支軸部181と、右側寄集回動体144の前端部(第2支点側の基端部)を回動可能に支持する第2支軸部182とは、支持体33の支持部91の中心点(農作物の中心部)Pを中心とした点対称の位置に位置している。
【0078】
つまり、両支軸部181,182は、平面視で支持体33の中心点Pを通る左右方向の直線Laに対して互いに異なる側に位置しており、より具体的には、第1支軸部181は直線Laよりも後側に位置しかつ第2支軸部182は直線Laよりも前側に位置している。また、両支軸部181,182は、平面視で支持体33の中心点Pを通る前後方向の直線Lbに対して互いに異なる側に位置しており、より具体的には、第1支軸部181は直線Lbよりも左側に位置しかつ第2支軸部182は直線Lbよりも右側に位置している。
【0079】
そして、この
図10に示す状態は、農作物Wを供給口2から支持体33上にセットできるように、両寄集移動体141,142が互いに離反して待機位置に位置しかつ両寄集回動体143,144も互いに離反して待機位置に位置した状態であるが、この状態から両シリンダ156,166が伸び動作を開始する(つまり寄集手段131が寄集動作を開始する)と、当該両シリンダ156,166の伸び動作によって両寄集移動体141,142が互いに接近する方向に寄集位置まで同期移動し、その結果、これら両寄集移動体141,142によって包装シートSの上側部分が前後側から寄せ集められる。
【0080】
また同時に、ガイドカラー153,163が長孔部173,178内を摺動することによって両寄集回動体143,144が互いに接近する方向に寄集位置まで点対称の支軸部181,182を中心に同期回動し、その結果、これら両寄集回動体143,144によって包装シートSの上側部分が左右側から寄せ集められる。
【0081】
こうして両寄集移動体141,142と両寄集回動体143,144とで包装シートSの上側部分が寄せ集められるが、このような寄集手段131による寄集動作の終期には、切離刃135が包装シートSの上側部分における所望の切断位置を切断して余分な余剰部S1を包装シートSの包装部分から切り離すとともに、両ヒーター136,137が包装シートSの上側部分のうちその切断位置よりも若干下方に位置する部分を熱溶着して封鎖する。これにより、その熱溶着で封鎖された包装シートSによって農作物Wの全体が包装されて包装完了となる。
【0082】
この包装完了後、両移動駆動手段146,147のシリンダ156,166が縮み動作を行うと、両寄集移動体141,142及び両寄集回動体143,144がもとの待機位置に戻る。
【0083】
また一方、包装装置1は、
図13や
図17等にも示すように、空気噴射手段27による圧縮空気の噴射時、すなわち圧縮空気による余剰部S1の排出時(除去時)に、樹脂板16の下方側(余剰部が通過する空間)への弾性変形を規制する規制手段201を備えている。
【0084】
規制手段201は、両寄集回動体143,144のうちの少なくともいずれか一方、すなわち例えば右側寄集回動体144の上羽根176の上面側に当該右側寄集回動体144と一緒に回動するように固設されている。
【0085】
具体的には、規制手段201は、空気噴射手段27による圧縮空気の噴射時に、水平状の樹脂板16の下面との接触により当該樹脂板16の下方側への弾性変形を規制する板状の規制体である規制板(垂下り防止板である樹脂板ガイド)202を有している。
【0086】
規制板202は、平面視で略く字状をなす平板状に形成されたもので、複数(例えば2本)の支持棒203で水平状に支持されている。つまり、複数の支持棒203が右側寄集回動体144の上羽根176の上面における先端側に立設され、当該支持棒203の上端部に規制板202が固着されて樹脂板16の下面近傍位置に配置されている。
【0087】
そして、右側寄集回動体144が寄集位置(閉位置)に位置した状態では、平面視で複数の樹脂板16の先端部と規制板202とが互いに重なっている(
図13(b)参照)。このため、当該樹脂板16は、規制板202との接触により下方側への変形が規制される。また、規制板202は、寄集位置に位置した左側寄集回動体143と平面視で重なる三角状の先端部分202aを有している。なお、左右の両寄集回動体143,144は、互いに同じ構成のもの(両者とも同じ複数の共通部品からなるもの)であるが、前記の如く右側寄集回動体144のみに規制板202が支持棒203を介して取り付けられている。
【0088】
また、空気噴射手段27は、
図14や
図17等にも示すように、包装シートSから分離した余剰部S1に対して圧縮空気を先端部の噴射口から噴射する噴射ノズル206と、この噴射ノズル206を中央側の支持体33に対して後退位置(支持体33の上方側から後退した位置)及び進出位置(支持体33の上方側に進出した位置)間で左右方向に移動させる移動駆動手段207とを備えている。
【0089】
移動駆動手段207は、伸縮可能な流体圧シリンダであるシリンダ(例えばエアシリンダ等の駆動源)211を有し、このシリンダ211は、フレーム210に固定されたシリンダ本体212と、このシリンダ本体212内に対して出入りするロッド213とで構成されている。ロッド213の先端部にはノズル取付部材214が取り付けられ、このノズル取付部材214に噴射ノズル206が複数取り付けられている。
【0090】
また、ノズル取付部材214には、シリンダ211のロッド213と平行に位置する連結ロッド215の先端部が連結されている。連結ロッド215は、フレーム210に固定された筒状のガイド部216に挿通されている。
【0091】
そして、
図14の実線で示す状態は、農作物Wを供給口2から支持体33上にセットできるように、噴射ノズル206が左方向(後退方向)に移動して支持体33側から後退した後退位置に位置した状態であるが、この状態からシリンダ211が伸び動作を開始すると、
図14の2点鎖線で示すように、当該シリンダ211の伸び動作によって噴射ノズル206が右方向(進出方向)に進出位置まで移動しかつその移動途中から圧縮空気をその進出方向に向けて噴射し、その結果、余剰部S1がその圧縮空気により吹き飛ばされて規制板202の下方を通って余剰部排出口20から外部に排出される。
【0092】
ここで、
図14からも明らかなように、噴射ノズル206は、シリンダ211の伸縮動作に応じて、支持体33側から後退した後退位置と支持体33側に進出した進出位置との間で移動可能となっており、その進出位置は、当該支持体33の中心点Pよりも進出側(進出方向側)の位置、すなわち余剰部排出口20側の位置である。
【0093】
より具体的には、その進出位置は、平面視において噴射ノズル206の先端部の噴射口が支持体33の中心点Pを通る前後方向の直線Lbよりも進出側(排出側)である右側に位置する位置である。そして、当該図示した例では、進出位置に位置した状態の噴射ノズル206の先端部は、支持体33の右側の周囲支持部108bよりも右側に位置するとともに、熱溶着部であるヒーター136,137よりも右側に位置する。
【0094】
なお、引出手段28は、移動体191に設けられて長尺シートS0を保持する上側保持体192及び下側保持体193等を備えている。さらに、切断手段29は、受け体195、この受け体195のシート受け部196に長尺シートS0を押し付ける押付体197、この押付体197でシート受け部196に押し付けられて当該シート受け部196に直接接触した状態の長尺シートS0を切断して所定寸法の包装シートSを得る切断体である切断刃198等を備えている。
【0095】
次に、包装装置1による包装処理の動作について
図15ないし
図17を参照して説明する。
【0096】
まず、
図15(a)及び(b)に示すように、引出手段28の上側保持体192及び下側保持体193が長尺シートS0の先端部を挟持して保持した後、移動体191が保持位置から保持解除位置まで移動することにより、長尺シートS0がシートロールRから引き出される。
【0097】
次いで、
図15(c)及び(d)に示すように、切断手段29の押付体197が受け体195のシート受け部196に長尺シートS0の中間部を押し付けた後、切断刃198がその長尺シートS0を切断することにより、所定寸法の包装シートSが得られる。
【0098】
そして、引出手段28の両保持体192,193による包装シートSの保持が解除されると、包装シートSは、その自重で装置本体11の支持板14上に落下する。
【0099】
このとき、包装シートSは、押付体197で押し付けられていたシート受け部196の受け部分196aに貼り付いておらず(付着せず)、当該受け部分196aからスムーズに離れる。このため、作業者は、農作物Wを包装シートSを介して支持体33上に適切にセットすることが可能である。
【0100】
次いで、
図16(e)に示すように、包装シートSが自重で落下して支持板14上に載置された状態で、作業者は、手で持った包装対象の農作物Wで樹脂板16を押し下げて一旦弾性変形させつつ、その農作物Wを供給口2から包装装置1内に供給して支持体33上に載置する。
【0101】
すると、
図16(f)に示すように、農作物Wは、その略全体(上面中央部を除く部分)が包装シートSで包装された状態となって、支持手段25の支持体33の支持部91上に包装シートSを介して載置される。こうして、農作物Wは、第1状態の支持体33の支持部91上に包装シートSを介して適切にセットされる。
【0102】
そして、両保持体34が閉動作により開状態から閉状態となって農作物Wの左右側面を両側方から挟持した後、第1昇降体31がこれと一体的に昇降する第2昇降体32及び支持体33等とともに上昇位置から下降位置(対応下降位置)までモータ55からの動力に基づいて下降して停止する。
【0103】
すると、
図16(g)に示すように、第1状態の支持体33の支持部91上に包装シートSを介して載置された農作物Wは、その大きさに応じた包装位置に停止する。この停止状態で、包装シートSの上側部分(余分な部分)は、複数の樹脂板16によってある程度寄せ集められた状態として支持されている。
【0104】
また、検知手段49による農作物Wの通過検知後、モータ55が停止する前の段階、すなわち支持体33が下降中の段階で、処理手段26の寄集手段131が制御手段50による制御に基づいて寄集動作を開始し、
図16(h)に示すように、当該寄集手段131にて包装シートSの上側部分が更に寄せ集められる。
【0105】
そして、その寄集動作の終期には、切離手段132の切離刃135が包装シートSの上側部分における切断位置を切断して余剰部S1を切り離し、かつ、熱溶着手段133のヒーター136,137が包装シートSの上側部分のうちその切断位置よりも若干下方に位置する部分を熱溶着(熱融着)して封鎖する。
【0106】
つまり、このように処理手段26が包装シートSの上側部分に対して所定の処理、すなわち例えば寄せ集め、切り離し及び熱溶着を行う。
【0107】
その結果、支持体33上の農作物Wは、熱溶着で封鎖された包装シートSによって当該農作物Wの全体が包装されて包装完了となり、また、その封鎖状態の包装シートSから余剰部(余剰カス)S1が切り離される。
【0108】
そして、その切り離された余剰部S1は、
図17に示すように、空気噴射手段27の噴射ノズル206から噴射された圧縮空気により側方に吹き飛ばされて余剰部排出口20から包装装置1外へ排出される。
【0109】
具体的には、まず、
図17(a)に示すように、切離刃135による切断とヒーター136,137による熱溶着が終了した後、右側寄集回動体144が寄集位置に位置した状態で、噴射ノズル206が後退位置から進出方向(右方向)へ移動を開始する。なお、この噴射ノズル206の移動開始のタイミングは、熱溶着が終了した時点でもよく、両ヒーター136,137が離れ始めてからでもよい。
【0110】
そして、
図17(b)に示すように、進出方向への移動途中で、噴射ノズル206は、圧縮空気を噴射して余剰部S1を余剰部排出口20側に吹き飛ばす。なお、噴射ノズル206が噴射を開始すると同時(例えば噴射の直前又は直後等でもよい)に、両寄集移動体141,142が離反移動を開始して右側寄集回動体144も規制板202と一緒に動き出す。
【0111】
この噴射ノズル206による圧縮空気の噴射時において、規制手段201の規制板202が樹脂板16の下方側への弾性変形を規制するため、樹脂板16は圧縮空気が当たっても下方側には弾性変形せず、その結果、余剰部S1は、規制板202の下方を通って余剰部排出口20側に向かって移動し、その余剰部排出口20から外部へ排出される。
【0112】
次いで、
図17(c)及び(d)に示すように、噴射ノズル206は、圧縮空気を噴射しながらヒーター136,137よりも余剰部排出口20側の位置である規制板202の下方の進出位置まで移動した後、その進出位置で噴射を停止してから後退方向(左方向)へ移動を開始する。この
図17(d)に示す状態では、右側寄集回動体144は待機位置への回動途中である。なお、噴射ノズル206は、後退位置まで移動すると、その後退位置で停止して待機する。また、噴射ノズル206は、右側寄集回動体144が待機位置に向かって回動している途中で後退位置に到達してもよく、右側寄集回動体144が待機位置まで回動した後に後退位置に到達してもよい。
【0113】
また一方で、支持手段25の両保持体34が開動作により閉状態から開状態に戻り、当該両保持体34による農作物Wの挟持が解除される。
【0114】
その後、包装完了した包装処理済みの農作物Wは、第1昇降体31が下降位置に停止した状態(第2昇降体32も停止状態)のまま、支持体33が第2昇降体32に対して回動中心軸線L1を中心として回動角度(例えば60度)だけ回動することによって、支持体33の支持部91上から送出され、搬送部127上を滑落して排出口3から包装装置1外へ排出される。
【0115】
このようにして包装装置1が包装シートSを用いて農作物Wを自動的に包装するため、作業者は包装対象の農作物(例えばレタス)Wを供給口2から順次投入して供給すればよい。
【0116】
そして、上述した包装装置1によれば、空気噴射手段27の噴射ノズル206による圧縮空気の噴射時に樹脂板16の下方側への弾性変形を規制する規制手段202を備えるため、樹脂板16に余剰部S1が引っ掛かるのを防止でき、よって、余剰部S1を余剰部排出口20から外部に適切に排出できる。
【0117】
つまり、例えば規制手段202を備えていない構成とした場合には、
図18に示す比較例のように、噴射ノズル206からの圧縮空気が当たって下方側へ弾性変形した樹脂板16の先端部に余剰部S1が引っ掛かってしまう不具合が生じるが、本実施形態の如く規制手段202を備えた構成であれば、そのような不具合の発生を適切に防止できる。
【0118】
しかも、規制手段202は、右側寄集回動体144の上面側に当該右側寄集回動体144とともに待機位置及び寄集位置間で回動するように設けられているため、農作物Wの供給時には樹脂板16の下方側への弾性変形を適切に許容でき、かつ、圧縮空気の噴射時(余剰部の排出時)には樹脂板16の下方側への弾性変形を適切に規制できる。
【0119】
また、空気噴射手段27の噴射ノズル206は、支持体33側から後退した後退位置と支持体33側に進出した進出位置との間で移動可能であり、その進出位置は支持体33の中心点(熱融着中心位置)Pよりも進出側(排出側)の位置であるから、余剰部S1の他の機械部分への引っ掛かるのを効果的に防止できるため、余剰部S1を余剰部排出口20から外部により一層適切に排出できる。
【0120】
また一方、平面視で左側寄集回動体143の第1支軸部(第1支点)181と右側寄集回動体144の第2支軸部(第2支点)182とが両寄集回動体143,144による包装シートSの寄せ集めに偏りが生じないように互いに異なる側に位置する構成、すなわち例えば支持体33の中心点Pを中心とした点対称の位置に位置する構成であるため、包装シートSの寄せ集めに偏りが生じるのを防止でき、よって、寄集手段131にて包装シートSの上側部分を偏りなく均等に綺麗に寄せ集めることができる。
【0121】
しかも、包装シートSを寄せ集める寄集手段131による寄せ集め時に、包装シートSによって農作物Wが引っ張られる方向も対称になるので、支持体33上での農作物Wの位置ずれを防止できる。
【0122】
また、左右の両寄集回動体143,144は、互いに同じ構成のものであるから、部品の共通化を図ることができ、よって、寄集手段131を構成する部品の種類を少なくできる。なお、左右の両寄集回動体143,144のうち、右側寄集回動体144のみに樹脂板16の弾性変形を規制する規制板202が支持棒203を介して取り付けられており、この点で両者に相違がある。
【0123】
さらに、第1昇降駆動手段36のモータ55が停止する前に、支持体33が下降している途中で寄集手段131が寄集動作を開始するため、包装シートSが広がりにくくなり、包装シートSの上側部分を締まり良くより一層綺麗に寄せ集めることができるとともに、全体の動作時間の短縮により作業効率の向上を図ることができる。
【0124】
また、支持手段25の支持体33の回動中心軸線L1は、当該支持体33の第1状態において側面視で支持部91の中心点Pよりも反送出側に位置するため、その支持部91からの送出の際に農作物Wが衝撃を受けにくく、包装後の農作物Wの損傷を適切に防止できる。
【0125】
さらに、支持体33の第2状態において、当該第2状態の支持体33上の送出前の農作物Wの上端位置が比較的低いため、下降位置に停止した第1昇降体31をそれ以上下降させることなく、送出時における農作物Wと処理手段26との干渉を回避でき、よって、包装後の農作物Wの損傷をより適切に防止できるとともに、第1昇降体31の下降動作の省略によりモータ等の耐久性の向上も図ることができる。
【0126】
また、支持体33の支持部91は、農作物Wの下面の中央部を支持する中央支持部107と、農作物Wの下面のうち中央部の周囲に位置する周囲部を支持する複数(例えば4つ)の周囲支持部108a,108bとを有し、支持体33の回動中心軸線L1が第1状態において側面視で中央支持部107の中心点Pよりも反送出側に位置するため、包装後の農作物Wの損傷を効果的に防止できる。
【0127】
なお、包装対象の被包装物である農作物は、レタス(球状の野菜)には限定されず、例えばキャベツ、メロン、リンゴ等でもよく、その形状等も任意である。
【0128】
また、駆動源であるシリンダは、例えば流体圧シリンダであるエアシリンダには限定されず、例えば油圧シリンダ等でもよく、またシリンダに代えてモータ等の駆動源を用いてもよい。
【0129】
さらに、農作物との接触部分(支持部、保持部、搬送部等)は、農作物への衝撃緩和のために、弾性部材であるクッション材を有することが好ましいが、例えば農作物の種類等によってはクッション材は不要である。
【0130】
また、寄集手段は、寄集移動体及び寄集回動体の両方を備えたものが好ましいが、例えば寄集回動体のみを備えたもの等でもよい。
【0131】
さらに、寄集回動体が寄集移動体に連動して回動するものには限定されず、例えば寄集移動体を移動させる移動駆動手段とは別に、寄集回動体を回動させる回動駆動手段を設けてもよい。
【0132】
また、第1支点及び第2支点は、装置本体に対して一定位置に固定されたものには限定されず、例えば左右方向に位置調整可能なもの等でもよい。
【0133】
さらに、規制手段は、対をなす寄集回動体のうちの一方のみに設けられた構成には限定されず、例えば両方に設けられた構成等でもよい。
【0134】
また、寄集補助部材は、樹脂製の樹脂板には限定されず、例えばゴム板等の他の弾性素材からなるものでもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 包装装置
15 供給口部である下側供給口
16 寄集補助部材である樹脂板
27 空気噴射手段
33 支持体
131 寄集手段
132 切離手段
143,144 寄集回動体
201 規制手段
202 規制体である規制板
206 噴射ノズル
S 包装シート
S1 余剰部
W 農作物
P 中心点