(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022357
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ハンド及びロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240208BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B25J15/08 C
B25J15/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125878
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 陽平
(72)【発明者】
【氏名】福田 裕章
(72)【発明者】
【氏名】尾立 圭巳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄治
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS06
3C707BS10
3C707BT19
3C707DS01
3C707ES04
3C707ET08
3C707EU01
3C707EU02
3C707EU07
(57)【要約】
【課題】ハンドによる作業を簡便に実現する。
【解決手段】ハンド100は、ハンド本体2と、ワークを把持する把持器3と、ハンド本体2に対する把持器3の相対位置を変更可能に把持器3をハンド本体2に連結する連結器4と、連結器4の動作を拘束する拘束器9とを備えている。拘束器9は、把持器3に接触することによって連結器4の動作を拘束する拘束状態と、把持器3から離反することによって連結器4の動作の拘束を解放する解放状態とを開閉動作によって切り替える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンド本体と、
ワークを把持する把持器と、
前記ハンド本体に対する前記把持器の相対位置を変更可能に前記把持器を前記ハンド本体に連結する連結器と、
前記連結器の動作を拘束する拘束器とを備え、
前記拘束器は、前記把持器に接触することによって前記連結器の動作を拘束する拘束状態と、前記把持器から離反することによって前記連結器の動作の拘束を解放する解放状態とを開閉動作によって切り替えるハンド。
【請求項2】
請求項1に記載のハンドにおいて、
前記拘束器は、第1弾性部材を有し、前記拘束状態において前記把持器を弾性的に保持することによって前記連結器の動作を拘束するハンド。
【請求項3】
請求項2に記載のハンドにおいて、
前記拘束器は、前記拘束状態において前記把持器に接触する第1ホルダ及び第2ホルダと、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダを開閉動作させる拘束アクチュエータとを有し、
前記拘束アクチュエータは、駆動力を発生させる拘束駆動源と、前記拘束駆動源と前記第1ホルダ及び第2ホルダとを連結し、前記拘束駆動源の駆動力を前記第1ホルダ及び前記第2ホルダへ伝達する拘束伝達器とを有し、
前記第1弾性部材は、前記拘束伝達器に含まれるハンド。
【請求項4】
請求項3に記載のハンドにおいて、
前記拘束伝達器は、前記拘束駆動源から駆動力が入力される第1伝達器と、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダへ駆動力を伝達する第2伝達器とを有し、
前記第1弾性部材は、前記第1伝達器と前記第2伝達器とを弾性的に連結するハンド。
【請求項5】
請求項1に記載のハンドにおいて、
前記拘束器は、前記拘束状態において前記把持器に接触する第1ホルダ及び第2ホルダと、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダを開閉動作させる拘束アクチュエータとを有し、
前記第1ホルダ及び前記第2ホルダは、開閉動作を行うことによって前記把持器への接触状態と前記把持器からの離反状態とを切り替え、
前記第1ホルダは、前記接触状態において前記把持器と少なくとも2か所で接触し、
前記第2ホルダは、前記接触状態において前記把持器と1か所で接触するハンド。
【請求項6】
請求項5に記載のハンドにおいて、
前記把持器は、前記ハンド本体に対して所定の第1基準軸の方向へ直進するように構成され、
前記第1ホルダ及び前記第2ホルダは、前記第1基準軸の方向に対して交差する方向に開閉動作を行い、
前記ハンドが、前記第1基準軸が鉛直方向に対して交差する姿勢となった場合に、前記第2ホルダは、前記第1ホルダよりも低い位置に位置するハンド。
【請求項7】
請求項1に記載のハンドにおいて、
前記把持器は、前記ハンド本体に対して所定の第1基準軸の方向へ直進するように構成され、
前記拘束器は、前記拘束状態において前記把持器に接触する第1ホルダ及び第2ホルダと、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダを開閉動作させる拘束アクチュエータと、第1ホルダ及び第2ホルダを第1基準軸の方向へ弾性的に支持する緩衝器とを有し、
前記緩衝器は、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダを前記第1基準軸の方向へ変位可能に案内するガイドと、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダを前記ガイドに沿って弾性的に支持する第2弾性部材とを有するハンド。
【請求項8】
請求項1に記載のハンドにおいて、
前記ハンド本体は、前記把持器を前記ハンド本体に対して所定の第1基準軸の方向へ直進させる直進アクチュエータを有し、
前記拘束器は、前記拘束状態において前記把持器に接触する第1ホルダ及び第2ホルダと、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダを開閉動作させる拘束アクチュエータとを有し、
前記直進アクチュエータは、駆動力を発生させる直進駆動源と、前記直進駆動源の駆動力を前記把持器へ伝達する直進伝達器とを有し、
前記拘束アクチュエータは、駆動力を発生させる拘束駆動源と、前記拘束駆動源と前記第1ホルダ及び前記第2ホルダとを連結し、前記拘束駆動源の駆動力を前記第1ホルダ及び前記第2ホルダへ伝達する拘束伝達器とを有し、
前記直進駆動源と前記拘束駆動源とは、共通であるハンド。
【請求項9】
請求項1に記載のハンドにおいて、
前記ハンド本体には、所定の第1基準軸が規定され、
前記把持器には、所定の第2基準軸が規定され、
前記連結器は、前記第2基準軸が前記第1基準軸に対して偏心可能に前記把持器を支持する偏心連結器、及び、前記第2基準軸が前記第1基準軸に対して傾斜可能に前記把持器を支持する傾斜連結器の少なくとも一方を含むハンド。
【請求項10】
請求項9に記載のハンドにおいて、
前記連結器は、前記偏心連結器及び前記傾斜連結器の両方を含むハンド。
【請求項11】
請求項9に記載のハンドにおいて、
前記拘束器は、前記第1基準軸と前記第2基準軸とが一直線上に並ぶ状態で前記連結器の動作を拘束するハンド。
【請求項12】
請求項9に記載のハンドにおいて、
前記ハンド本体は、前記把持器を開閉させる開閉アクチュエータを有し、
前記連結器は、前記開閉アクチュエータの駆動力を前記把持器に伝達する動力伝達器を有し、
前記動力伝達器は、前記第2基準軸が前記第1基準軸に対して偏心又は傾斜した状態で前記開閉アクチュエータの駆動力を前記把持器に伝達するハンド。
【請求項13】
請求項12に記載のハンドにおいて、
前記開閉アクチュエータは、駆動力を発生する開閉駆動源と、前記第1基準軸を軸心として延び且つ前記開閉駆動源の駆動力によって前記第1基準軸回りに回転させられる開閉シャフトとを含み、
前記動力伝達器は、前記開閉シャフトと前記把持器とを連結する第1継手を含み、
前記連結器は、前記傾斜連結器を含み、
前記第1継手は、前記第2基準軸が前記第1基準軸に対して傾斜した状態で前記開閉シャフトの回転を前記把持器に伝達し、
前記把持器は、ベースと、前記ベースに支持され、前記開閉シャフトの回転によって開閉動作する複数の指とを有するハンド。
【請求項14】
請求項13に記載のハンドにおいて、
前記連結器は、前記偏心連結器をさらに含み、
前記第1継手は、前記第2基準軸が前記第1基準軸に対して偏心した状態で前記開閉シャフトの回転を前記把持器に伝達するハンド。
【請求項15】
請求項1に記載のハンドと、
前記ハンドが連結されたロボットアームと、
前記ロボットアーム及び前記ハンドを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記ハンドによって把持された前記ワークを所定の孔に挿入する挿入作業を前記ロボットアーム及び前記ハンドに実行させるロボットシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のロボットシステムにおいて、
前記ハンド本体には、所定の第1基準軸が規定され、
前記把持器には、所定の第2基準軸が規定され、
前記連結器は、前記第2基準軸が前記第1基準軸に対して偏心可能に前記把持器を支持する偏心連結器、及び、前記第2基準軸が前記第1基準軸に対して傾斜可能に前記把持器を支持する傾斜連結器の少なくとも一方を含み、
前記制御装置は、前記把持器によって把持された前記ワークを前記第2基準軸が前記孔の軸に対して偏心又は傾斜した状態から前記孔に挿入させるロボットシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のロボットシステムにおいて、
前記ハンド本体は、前記連結器に連結され、前記把持器を前記第2基準軸回りに回転させる回転アクチュエータを有し、
前記連結器は、前記傾斜連結器を含むと共に、前記第2基準軸が前記第1基準軸に対して傾斜した状態で前記回転アクチュエータの駆動力を前記把持器に伝達し、
前記制御装置は、
前記把持器によって把持された前記ワークを、前記拘束器によって前記傾斜連結器を拘束し且つ前記第2基準軸が前記孔の軸に対して傾斜した状態で前記孔の開口縁に点接触させるように前記ロボットアームを動作させ、
前記拘束器による前記傾斜連結器の拘束を解放した状態で、前記回転アクチュエータを動作させることによって前記ワークを前記孔に挿入させるロボットシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のロボットシステムにおいて、
前記連結器は、前記偏心連結器をさらに含むと共に、前記第2基準軸が前記第1基準軸に対して偏心した状態で前記回転アクチュエータの駆動力を前記把持器に伝達し、
前記制御装置は、前記把持器によって把持された前記ワークを前記孔に部分的に挿入させた後に、前記第1基準軸が前記孔の軸と略平行になるように前記ロボットアームを動作させ、その後、前記回転アクチュエータを動作させることによって前記ワークを前記孔にさらに挿入させるロボットシステム。
【請求項19】
請求項17に記載のロボットシステムにおいて、
前記制御装置は、前記把持器によって把持された前記ワークを、前記拘束器によって前記傾斜連結器を拘束し且つ前記第1基準軸が鉛直方向に対して交差する状態で、前記孔の開口縁に点接触させるように前記ロボットアームを動作させるロボットシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のロボットシステムにおいて、
前記把持器は、前記ハンド本体に対して所定の第1基準軸の方向へ直進するように構成され、
前記拘束器は、前記拘束状態において前記把持器に接触する第1ホルダ及び第2ホルダと、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダを開閉動作させる拘束アクチュエータとを有し、
前記第1ホルダ及び前記第2ホルダは、前記第1基準軸の方向に対して交差する方向に開閉動作を行うことによって前記把持器への接触状態と前記把持器からの離反状態とを切り替え、
前記第1ホルダは、前記接触状態において前記把持器と少なくとも2か所で接触し、
前記第2ホルダは、前記接触状態において前記把持器と1か所で接触し、
前記制御装置は、前記把持器によって把持された前記ワークを前記孔に挿入させるときに、前記第1基準軸が鉛直方向に対して交差し且つ前記第2ホルダが前記第1ホルダよりも低い位置に位置するように前記ロボットアームを動作させるロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、ハンド及びロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークを把持して作業を行うハンドが知られている。例えば、特許文献1には、部品を把持するハンドであって、把持した部品を別の部品の孔に挿入するハンドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述のようなハンドの作業においては、ハンドの位置精度が作業に与える影響が大きい。例えば、部品を孔に挿入する作業においては、部品と孔との位置がずれていると、部品の挿入作業が難しくなる。さらに、部品の挿入方向と孔の軸とが傾斜している場合も、部品の挿入作業が難しくなる。これは、部品の挿入作業に限定されず、部品をピックアップする作業、及び、部品を所定の場所に配置する作業等においても同様である。そのため、ハンドの位置精度を向上させることが考えられる。しかしながら、ハンドの位置精度を向上させるためには、ハンドの位置制御を行う際のセンシング及び制御の負荷が大きくなる。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハンドによる作業を簡便に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のハンドは、ハンド本体と、ワークを把持する把持器と、前記ハンド本体に対する前記把持器の相対位置を変更可能に前記把持器を前記ハンド本体に連結する連結器と、前記連結器の動作を拘束する拘束器とを備え、前記拘束器は、前記把持器に接触することによって前記連結器の動作を拘束する拘束状態と、前記把持器から離反することによって前記連結器の動作の拘束を解放する解放状態とを開閉動作によって切り替える。
【0007】
本開示のロボットシステムは、前記ハンドと、前記ハンドが連結されたロボットアームと、前記ロボットアーム及び前記ハンドを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記ハンドによって把持された前記ワークを所定の孔に挿入する挿入作業を前記ロボットアーム及び前記ハンドに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
前記ハンドによれば、ハンドによる作業を簡便に実現することができる。
【0009】
前記ロボットシステムによれば、ハンドによる作業を簡便に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ロボットシステムの構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線におけるハンドの断面図である。
【
図5】
図5は、
図3のV-V線におけるハンドの断面図である。
【
図8】
図8は、把持器がハンド本体に対して第2方向へ移動した状態を示すハンドの断面図である。
【
図9】
図9は、把持器がハンド本体に対して第1回転軸回りに回転した状態を示すハンド断面図である。
【
図10】
図10は、直進アクチュエータが把持器を第1基準軸方向へ進出させた状態を示すハンドの断面図である。
【
図11】
図11は、開閉アクチュエータが指を開動作させた状態を示すハンドの断面図である。
【
図15】
図15は、拘束器が解放状態のハンドの側面図である。
【
図16】
図16は、制御装置の概略的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図18】
図18は、接触動作の完了時のハンドを正面から見た模式図である。
【
図19】
図19は、接触動作の完了時のワークと孔との位置関係を示す模式的な平面図である。
【
図20】
図20は、導入動作の完了時のハンドを正面から見た模式図である。
【
図21】
図21は、挿入動作の開始時のワークと孔との位置関係を示す模式的な平面図である。
【
図22】
図22は、挿入動作時のハンドを正面から見た模式図である。
【
図23】
図23は、挿入動作時のワークと孔との位置関係を示す模式的な平面図である。
【
図24】
図24は、挿入動作の完了時のハンドを正面から見た模式図である。
【
図25】
図25は、水平方向に延びる孔への接触動作の完了時のハンドを正面から見た模式図である。
【
図26】
図26は、水平方向に延びる孔への導入動作の完了時のハンドを正面から見た模式図である。
【
図27】
図27は、水平方向に延びる孔への挿入動作時のハンドを正面から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
=ロボットシステム=
図1は、ロボットシステム1000の構成を示す模式図である。
【0013】
ロボットシステム1000は、ロボットアーム120及びハンド100を含むロボット110と、ロボットアーム120及びハンド100を制御する制御装置130とを備える。ハンド100は、ロボットアーム120に(具体的には、ロボットアーム120の先端に)連結されている。ハンド100は、ワークを把持して、様々な処理を実行する。例えば、制御装置130は、ハンド100によって把持されたワークを所定の孔に挿入する挿入作業をロボットアーム120及びハンド100に実行させる。ここで、ワークの挿入とは、ワークを孔へ圧入したり、ワークをネジ孔へ螺合したりすることも含む。
【0014】
ロボット110は、例えば、産業用ロボットである。ロボット110は、ロボットアーム120によってハンド100を動作、即ち、移動させる。ハンド100は、いわゆるエンドエフェクタの1つである。ハンド100は、ワークを把持する。さらに、ハンド100は、ワークを持ち直したり、ワークを他のワーク等へ組み込んだりする。
【0015】
ロボットアーム120は、複数のリンク121と、複数の関節122と、複数のモータとを備えている。各関節122は、隣り合う2つのリンク121を回転可能に接続している。複数のモータは、それぞれ、複数の関節122を回転駆動する。各モータは、例えば、サーボモータである。
【0016】
=ハンド=
図2は、ハンド100の斜視図である。
図3は、ハンド100の平面図である。
図4は、
図3のIV-IV線におけるハンド100の断面図である。
図5は、
図3のV-V線におけるハンド100の断面図である。尚、各図においては、構成をわかりやすく図示するための一部の要素の図示を省略している。以下の図においても同様である。
【0017】
ハンド100は、ハンド本体2と、ワークを把持する把持器3と、把持器3をハンド本体2に連結する連結器4とを備えている。ハンド本体2には、所定の第1基準軸Xが規定されている。把持器3には、所定の第2基準軸αが規定されている。連結器4は、ハンド本体2に対する把持器3の相対位置を変更可能に把持器3をハンド本体2に連結する。連結器4は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心可能に把持器3を支持する偏心連結器41、及び、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して傾斜可能に把持器3を支持する傾斜連結器47を含んでいる。
【0018】
ハンド100は、把持器3によって把持されたワークを第1基準軸Xの回りに回転させながら第1基準軸X方向へ直進させることができる。これにより、ハンド100は、例えば、ワークを孔に挿入したり、ネジ孔に螺合させたりする。以下、第1基準軸X方向において把持器3がハンド本体2から進出する側を単に「進出側」又は「先端側」と称し、第1基準軸X方向において把持器3がハンド本体2へ後退する側を単に「後退側」又は「本体側」と称する。
【0019】
ハンド100は、連結器4の動作を拘束する拘束器9をさらに備えている。拘束器9は、把持器3に接触することによって連結器4の動作を拘束する拘束状態と、把持器3から離反することによって連結器4の動作の拘束を解放する解放状態とを切り替える。拘束器9は、拘束状態と解放状態とを開閉動作によって切り替える。拘束器9が拘束状態となることによって、連結器4の動作が拘束され、ハンド本体2に対する把持器3の相対位置が変更不能になる。拘束器9が解放状態となることによって、連結器4が自由に動作できるようになり、ハンド本体2に対する把持器3の相対位置が変更可能となる。
【0020】
ハンド100は、
図4に示すように、把持器3に作用する、第1基準軸Xの方向への力を吸収する第1緩衝器10とをさらに備えている。
【0021】
ハンド本体2は、
図2に示すように、箱状のケーシングである。ハンド本体2は、概ね直方体状である。ハンド本体2は、把持器3をハンド本体2に対して第1基準軸Xの方向へ直進させる直進アクチュエータ6と、把持器3を第2基準軸α回りに回転させる回転アクチュエータ7と、把持器3を開閉させる開閉アクチュエータ8とを有している。ハンド本体2は、直進アクチュエータ6、回転アクチュエータ7、開閉アクチュエータ8及び第1緩衝器10を収容している。
【0022】
-把持器-
把持器3は、
図4に示すように、ベース31と、ベース31に支持された複数の指32と、複数の指32を開閉動作させる動作機構33とを有している。この例では、把持器3は、
図2に示すように、3本の指32を有している。
【0023】
ベース31は、
図2に示すように、概ね円筒状である。詳しくは、ベース31は、第1筒34aと第2筒34bと天井34cと底34dとを有している。天井34cは、
図4等に図示されている。
図4等に示すように、第1筒34a及び第2筒34bは、第2基準軸αを軸心として同軸状に延びる略円筒である。天井34cは、第1筒34aの第2基準軸α方向の一端に設けられている。天井34cは、第2基準軸αを中心とする略円盤である。天井34cの略中央には、開口が形成されている。第1筒34a及び天井34cは、単一ユニットとして形成されている。第2筒34bは、天井34cに取り付けられている。底34dは、第1筒34aの第2基準軸α方向の他端に取り付けられている。底34dは、第2基準軸αを中心とする略円盤である。底34dは、第1筒34a及び天井34cと別体で形成され、第1筒34aに取り付けられている。
【0024】
底34dには、底34dを厚み方向に貫通し且つ第2基準軸αを中心とする半径方向に延びる3本のスリット34eが形成されている。
図4には、1本のスリット34eが図示されている。スリット34eは、第2基準軸αを中心とする周方向において等間隔(即ち、120度間隔)に配置されている。
【0025】
指32は、スリット34eに沿って摺動可能に底34dに支持されている。具体的には、指32は、ベース31に支持される第1端部32aと、ワークと接触する第2端部32bとを有している。第1端部32aは、ベース31の内側に配置され、底34dに摺動可能に係合している。これにより、指32は、第2基準軸αを中心とする半径方向へ移動可能にベース31に支持されている。指32は、第2基準軸αと略平行にベース31から延びている。
【0026】
3本の指32は、第2基準軸αを中心とする周方向において等間隔(即ち、120度間隔)に配置されている。3本の指32は、第2基準軸αを中心とする半径方向へ互いに離反及び接近して、開閉する。指32は、第2端部32bでワークを把持する。
【0027】
動作機構33は、複数の指32に連結された複数のリンク36と、第2基準軸αを軸心として延び且つ第2基準軸α回りに回転する送りネジ37と、送りネジ37に螺合し且つ複数のリンク36が連結されたブロック38とを有している。動作機構33は、いわゆるリンク機構である。
【0028】
各指32に、1本のリンク36が連結されている。リンク36の一端部は、指32(具体的には、第1端部32a)に回転可能に連結されている。
【0029】
送りネジ37とブロック38とは、いわゆる送りネジ機構を形成する。送りネジ37は、ベース31内に配置されている。送りネジ37は、第2基準軸αを軸心として延び且つ第2基準軸α回りに回転可能に底34dに支持されている。
【0030】
ブロック38には、複数のリンク36が連結されている。詳しくは、リンク36のうち指32に連結された端部と反対側の端部は、ブロック38に回転可能に連結されている。すなわち、リンク36の一端部は、指32に連結され、リンク36の他端部は、ブロック38に連結されている。指32は、スリット34eを貫通し、ベース31に対して第2基準軸α回りに回転不能となっている。そのため、リンク36を介して3本の指32に連結されたブロック38も、ベース31に対して第2基準軸α回りに回転不能となっている。
【0031】
送りネジ37が回転すると、ブロック38が第2基準軸α方向へ移動する。ブロック38が第2基準軸α方向へ移動すると、リンク36が連動し、それにより、指32が第2基準軸αを中心とする半径方向へ移動する。ブロック38が底34dに接近すると、指32が半径方向外側へ移動する。一方、ブロック38が底34dから離反すると、指32が半径方向内側へ移動する。
【0032】
-連結器-
連結器4は、ベース31をハンド本体2に連結する。連結器4は、
図4に示すように、ハンド本体2の回転アクチュエータ7に連結されている。連結器4は、第2筒34bの内側に配置されている。
図6は、偏心連結器41の斜視断面図である。
【0033】
偏心連結器41は、回転アクチュエータ7に連結されている。詳しくは後述するが、回転アクチュエータ7は、第1基準軸Xを軸心とする回転シャフト71を有している。回転シャフト71の2つの端部のうち連結器4に近い方の端部である第1端部71aには、第1基準軸Xに略直交する平面内で拡がる鍔状の第1円盤71c及び第2円盤71dが設けられている。第1円盤71cの方が第2円盤71dよりも第1端部71aの先端側に配置されている。偏心連結器41は、回転シャフト71の第1端部71aに連結されている。
【0034】
偏心連結器41は、
図4,5及び6に示すように、回転シャフト71に対して第1基準軸Xに略直交する方向へ移動可能に連結された偏心体42を有している。偏心体42は、略円筒状の筒42aと、略円盤状の天井42bと、略円盤状の底42cとを有している。偏心体42は、全体として略円筒の箱状となっている。筒42a、天井42b及び底42cは、同軸状に配置されている。すなわち、筒42aは、軸Cを軸心として延びており、天井42b及び底42cの軸心も軸Cである。天井42bの略中央には、開口が形成されている。底42cの略中央には、開口が形成されている。偏心体42は、回転シャフト71の第1円盤71cを収容している。すなわち、回転シャフト71が天井42bの開口を貫通し、第1円盤71cが天井42bと底42cとの間に配置されている。第1円盤71cは、天井42b及び底42cのそれぞれと略平行となっている。つまり、軸Cは、第1基準軸Xと略平行となる。天井42bと第1円盤71cとの間には、複数の転動体43が第1基準軸Xを中心とする周方向に配列されている。同様に、底42cと第1円盤71cとの間には、複数の転動体43が第1基準軸Xを中心とする周方向に配列されている。この例では、転動体43は、玉である。複数の転動体43が転動することによって、偏心体42は、回転シャフト71に対して第1基準軸Xに略直交する方向へ移動できる。このとき、偏心体42は、姿勢を変更することなく(即ち、軸Cと第1基準軸Xとの略平行を維持したまま)、第1基準軸Xに略直交する方向へ平行移動する。偏心体42は、筒42aが第1円盤71cに接触する範囲で平行移動することができる。ただし、偏心体42は、回転シャフト71に対して第1基準軸X方向へは移動できない。
【0035】
偏心体42には、
図4及び5に示すように、傾斜連結器47を介して把持器3が連結されている。そのため、把持器3も、偏心体42と共に、回転シャフト71に対して第1基準軸Xに略直交する方向へ移動できる。
【0036】
偏心連結器41は、第2継手45をさらに有している。第2継手45は、回転シャフト71と把持器3とを連結する。第2継手45は、偏心した略平行な2軸を連結する継手であり、偏心した2軸間で回転を伝達する。この例では、第2継手45は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心した状態で回転シャフト71の回転を把持器3に伝達する。この例では、第2継手45は、いわゆるオルダム継手である。
【0037】
詳しくは、第2継手45は、
図6に示すように、第1ハブとしての第2円盤71dと、インサート45aと、第2ハブとしての偏心体42を有している。偏心体42、インサート45a及び第2円盤71dは、この順でベース31側から第1基準軸X方向に並んでいる。第2円盤71dは、回転シャフト71(具体的には、第1端部71a)に一体的に形成されている。第2円盤71dとインサート45aとは、第1基準軸Xと略直交する第1方向B1へ移動可能に互いに連結されている。インサート45aと偏心体42とは、第1基準軸Xに略直交し且つ第1方向B1に略直交する第2方向B2へ移動可能に互いに連結されている。つまり、偏心体42は、第2円盤71dに対して第1基準軸Xと略直交する平面内で自在に移動できるように構成されている。このとき、偏心体42は、姿勢を変更することなく、第1基準軸Xに略直交する方向へ平行移動する。ただし、偏心体42は、第2円盤71dに対して第1基準軸X回りに回転することはできない。
【0038】
回転シャフト71は、
図4,5及び6に示すように、インサート45aを貫通し、偏心体42の内側に進入している。第2円盤71dは、回転シャフト71と一体的に回転する。第2円盤71dが第1基準軸X回りに回転すると、偏心体42は、第2円盤71dに対して回転不能に構成されているので、第2円盤71dに連動して回転する。このとき、偏心体42の軸Cが第1基準軸Xに対して偏心している場合には、偏心体42が第1基準軸Xに略直交する方向へ相対的に平行移動しながら回転することによって、偏心体42は、軸Cと第1基準軸Xとの位置関係を維持したまま軸C回りに回転する。つまり、第2円盤71dに入力される、第1基準軸X回りの回転が、第1基準軸Xに対して偏心した軸C回りの回転として偏心体42へ出力される。偏心体42には把持器3が連結されているので、偏心体42が回転すると把持器3も共に回転する。
【0039】
図7は、傾斜連結器47の斜視断面図である。傾斜連結器47は、第3継手48を有している。第3継手48は、回転シャフト71と把持器3とを連結する。第3継手48は、互いに傾斜した2軸(即ち、偏角を有する2軸)を連結する継手であり、傾斜した2軸間で回転を伝達する。この例では、第3継手48は、第2基準軸αが第1基準軸Xに傾斜した状態で回転シャフト71の回転を把持器3に伝達する。つまり、傾斜連結器47は、把持器3を回転シャフト71に対して単に傾斜可能に連結するだけでなく、第2基準軸αが第1基準軸Xに傾斜した状態で回転シャフト71の回転を把持器3に伝達する。この例では、第3継手48は、偏心連結器41を介在させて、回転シャフト71と把持器3とを連結している。
【0040】
第3継手48は、連結要素48aを有している。連結要素48aは、略円環状となっている。連結要素48aは、互いに略直交する方向に延びる第1回転軸D1及び第2回転軸D2を有している。この例では、第1回転軸D1及び第2回転軸D2は、同一平面内に存在し、第1回転軸D1と第2回転軸D2とは、互いに略直交している。連結要素48aには、第1回転軸D1回りに回転可能に偏心体42が連結されている。より詳しくは、偏心体42の底42cが連結要素48aに連結されている。第1回転軸D1は、偏心体42の軸Cと略直交している。さらに、連結要素48aには、第2回転軸D2回りに回転可能にベース31が連結されている。より詳しくは、ベース31の天井34cが連結要素48aに連結されている。第2回転軸D2は、把持器3の第2基準軸αと略直交している。
【0041】
連結要素48aは、偏心体42に対して第1回転軸D1回りに自在に回転でき、ベース31は、連結要素48aに対して第2回転軸D2回りに自在に回転できる。そのため、把持器3は、偏心体42の軸Cに対して自在に傾斜する。第3継手48は、いわゆる自在継手、より詳しくは、十字軸型の自在継手である。
【0042】
このように構成された連結器4の動作について説明する。
【0043】
まず、偏心連結器41の動作について説明する。ハンド本体2及び把持器3の少なくとも一方に、ハンド本体2と把持器3とを第1基準軸Xと略直交する方向へ相対的に移動させる力が作用すると、偏心体42は、複数の転動体43の転動によって回転シャフト71に対して第1基準軸Xに略直交する方向へ移動する。それと同時に、インサート45aが第2円盤71dに対して第1方向B1へ移動すると共に、第2ハブである偏心体42がインサート45aに対して第2方向B2へ移動する。偏心体42の移動によって、軸Cが第1基準軸Xに対して偏心するように偏心体42がハンド本体2に対して移動する。偏心体42に連結されている把持器3は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心するようにハンド本体2に対して移動する。
【0044】
図8は、把持器3がハンド本体2に対して第2方向B2へ移動した状態を示すハンド100の断面図である。偏心体42がインサート45aに対して第2方向B2へ平行移動している。それに伴い、偏心体42に連結されている把持器3もインサート45aに対して第2方向B2へ平行移動している。その結果、把持器3の第2基準軸αがハンド本体2の第1基準軸Xに対して偏心する。
【0045】
同様に、インサート45aは、第2円盤71dに対して第1方向B1へ平行移動し得る。それに伴い、インサート45aを介して第2円盤71dに連結されている把持器3も第2円盤71dに対して第1方向B1へ平行移動し得る。このような把持器3の第1方向B1への平行移動と第2方向B2への平行移動とが複合的に生じることによって、把持器3は、第1基準軸Xに略直交する任意の方向へ平行移動し、第1基準軸Xに対して偏心する。
【0046】
尚、把持器3が固定され、ハンド本体2が把持器3に対して移動する場合には、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心するように、ハンド本体2が第1基準軸Xに略直交する方向へ把持器3に対して移動する。
【0047】
さらに、第2基準軸α、即ち、軸Cが第1基準軸Xに対して偏心した位置に拘束された状態で回転シャフト71が第1基準軸X回りに回転すると、インサート45aが第2円盤71dに対して相対移動し且つ偏心体42がインサート45aに対して相対移動することによって、軸Cと第1基準軸Xとの偏心状態が維持されたまま、偏心体42が軸C回りに回転する。このように、偏心連結器41は、把持器3を第1基準軸Xに対して偏心させるだけでなく、第1基準軸X回りの回転シャフト71の回転を、第1基準軸Xから偏心した軸C回りの回転として偏心体42に伝える。偏心体42には把持器3が連結されているので、把持器3も第1基準軸Xから偏心した第2基準軸α回りに回転する。
【0048】
このように、第1円盤71c及び転動体43と第2継手45とはそれぞれ、偏心体42、即ち、把持器3を第1基準軸Xに略直交する方向へ平行移動可能に回転シャフト71に連結している。ここで、第1円盤71c及び転動体43は、把持器3及びワーク等の第1基準軸X方向の荷重が第2継手45だけに作用しないように、該荷重を回転シャフト71へ伝達する機能も担っている。第2継手45は、前述の如く、互いに偏心した第1基準軸Xと軸Cとの間で回転を伝達する機能も担っている。
【0049】
次に、傾斜連結器47の動作について説明する。ハンド本体2及び把持器3の少なくとも一方に、ハンド本体2と把持器3とを相対的に傾斜させる力が作用すると、ベース31は、偏心体42に対して、第1回転軸D1及び第2回転軸D2回りに自在に回転する。その結果、ベース31の第2基準軸αは、偏心体42の軸Cに対して自在に傾斜する。偏心体42の軸Cは、第1基準軸Xと略平行である。そのため、ベース31の第2基準軸αは、第1基準軸Xに対して傾斜する。
【0050】
図9は、把持器3がハンド本体2に対して第1回転軸D1回りに回転した状態を示すハンド100の断面図である。ベース31及び連結要素48aが偏心体42に対して第1回転軸D1回りに回転している。その結果、把持器3の第2基準軸αがハンド本体2の第1基準軸Xに対して傾斜する。
【0051】
同様に、ベース31は、連結要素48aに対して第2回転軸D2回りに回転し得る。その結果、把持器3の第2基準軸αが、ハンド本体2の第1基準軸Xに対して
図9とは異なる方向へ傾斜する。このような把持器3の第1回転軸D1回りの回転と第2回転軸D2回りの回転とが複合的に生じることによって、把持器3は、第1基準軸Xに対して任意の方向へ傾斜する。
【0052】
尚、把持器3が固定され、ハンド本体2が把持器3に対して移動する場合には、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して傾斜するように、ハンド本体2が把持器3に対して移動する。
【0053】
ここで、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して傾斜した状態で拘束されたまま偏心体42が軸C回りに回転すると、連結要素48aが偏心体42に対して第1回転軸D1回りに相対的に回転し且つベース31が連結要素48aに対して第2回転軸D2回りに相対的に回転することによって、第2基準軸αが姿勢を変えることなく、ベース31が第2基準軸α回りに回転する。
【0054】
このように、連結器4は、第1基準軸Xに対して偏心可能に把持器3を支持すると共に、第1基準軸Xに対して傾斜可能に把持器3を支持する。それに加えて、連結器4は、把持器3の第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心又は傾斜した状態で、第1基準軸X回りの回転シャフト71の回転を第2基準軸α回りの回転として把持器3に伝達する。
【0055】
-直進アクチュエータ及び回転アクチュエータ-
直進アクチュエータ6は、回転シャフト71を第1基準軸X方向へ移動させることによって、把持器3を第1基準軸X方向へ直進させる。回転アクチュエータ7は、回転シャフト71を第1基準軸X回りに回転させることによって把持器3を第1基準軸X回りに回転させる。尚、この例では、直進アクチュエータ6と回転アクチュエータ7との間で要素の一部が共通となっている。また、直進アクチュエータ6は、開閉アクチュエータ8との間で要素の一部が共通となっている。回転アクチュエータ7は、開閉アクチュエータ8との間で要素の一部が共通となっている。
【0056】
直進アクチュエータ6は、駆動力を発生させる第2モータ61と、第2モータ61の駆動力を前記把持器へ伝達する直進伝達器67とを有する。第2モータ61は、直進駆動源の一例である。直進伝達器67は、第2モータ61の駆動力(即ち、回転トルク)を伝達する第1ギヤ列62と、送りネジ機構63と、回転シャフト71と、ギヤボックス72とを有している。直進アクチュエータ6の大部分は、
図4に示すように、ハンド本体2の内部に配置されている。
【0057】
回転シャフト71は、
図4及び5に示すように、第1基準軸Xを軸心として延びる略円筒である。回転シャフト71は、ハンド本体2に取り付けられた軸受12に第1基準軸X方向へ移動可能且つ第1基準軸X回りに回転可能に支持されている。回転シャフト71において、第1基準軸X方向における一端部を第1端部71aと称し、第1基準軸X方向における他端部を第2端部71bと称する。第1端部71aは、第1基準軸X方向における進出側の端部である。第2端部71bは、第1基準軸X方向における後退側の端部である。回転シャフト71は、ハンド本体2の底21を貫通している。第1端部71aは、ハンド本体2の外側に配置されている。
【0058】
回転シャフト71の第1端部71aには、第1基準軸Xに略直交する平面内で拡がる鍔状の第1円盤71c及び第2円盤71dが設けられている。第1円盤71cの方が第2円盤71dよりも第1端部71aの先端の近くに配置されている。
【0059】
第2モータ61は、
図3に示すように、ハンド本体2の内部に配置されている。第2モータ61は、例えば、サーボモータであり、エンコーダが設けられている。また、第2モータ61のドライバには、電流センサが設けられている。第2モータ61は、ハンド本体2に支持されている。
【0060】
第1ギヤ列62は、
図3に示すように、ハンド本体2の内部に配置されている。第1ギヤ列62は、回転可能にハンド本体2に支持された複数の歯車を有している。第1ギヤ列62は、第1歯車62a、第2歯車62b、第3歯車62c、第4歯車62d、第5歯車62e、第6歯車62f及び第7歯車62gを含んでいる。第1歯車62a、第2歯車62b、第3歯車62c、第4歯車62d、第5歯車62e及び第6歯車62fは、この順で並んで、互いに噛合している。第7歯車62gは、第4歯車62dに噛合している。第1歯車62aは、第2モータ61の出力軸に取り付けられている。第1歯車62aは、駆動歯車である。第2歯車62b、第3歯車62c、第4歯車62d、第5歯車62e、第6歯車62f及び第7歯車62gは、第2モータ61の駆動力を伝達する被動歯車である。第2歯車62b及び第6歯車62fは、第2モータ61の駆動力を直進アクチュエータ6の送りネジ64へ伝達する。第4歯車62dは、第2モータ61の駆動力を回転アクチュエータ7のボールスプライン73cへ伝達する。第7歯車62gは、第2モータ61の駆動力を後述する拘束アクチュエータ93の送りネジ910へ伝達する。第3歯車62c及び第5歯車62eは、いわゆる中間歯車(即ち、アイドルギヤ)である。
【0061】
直進アクチュエータ6は、
図4に示すように、2組の送りネジ機構63を有している。送りネジ機構63は、送りネジ64と、送りネジ64に噛合する直進要素としてのナット65とを有している。
【0062】
各送りネジ64の軸Fは、第1基準軸Xと略平行に延びている。一方の送りネジ64は、第1ギヤ列62の第2歯車62bに回転不能に連結されている。他方の送りネジ64は、第1ギヤ列62の第6歯車62fに回転不能に連結されている。すなわち、2本の送りネジ64はそれぞれ、第2歯車62b及び第6歯車62fと一体的に軸F回りに回転する。
【0063】
ナット65は、送りネジ64に噛合している。ナット65は、ギヤボックス72に収容されている。ナット65は、軸F回りに回転しないように、ギヤボックス72によって回り止めされている。ナット65は、筒状に形成された本体65aと、本体65aに設けられたフランジ65bとを有している。
【0064】
ナット65は、第1緩衝器10によって、ギヤボックス72に軸F方向、即ち、第1基準軸X方向へ弾性的に押し付けられている。第1緩衝器10は、バネである。具体的には、第1緩衝器10は、コイルバネである。尚、
図4では、第1緩衝器10は、簡略化されて図示されている。第1緩衝器10は、フランジ65bに対して第1基準軸X方向の進出側に配置されている。第1緩衝器10は、フランジ65bとギヤボックス72との間で圧縮した状態となっている。第1緩衝器10は、弾性力によってギヤボックス72を第1基準軸X方向の進出側へ押圧する。ギヤボックス72は、第1基準軸X方向の進出側へナット65に押し付けられる。これにより、ナット65が軸F方向へ移動すると、ギヤボックス72もナット65と一体的に軸F方向、即ち、第1基準軸X方向へ移動する。
【0065】
ギヤボックス72は、
図3に示すリニアガイド28によって第1基準軸X方向に移動可能に支持されている。尚、
図3では、ギヤボックス72の図示が省略されている。ハンド本体2は、第1基準軸X方向に延びる2本のリニアガイド28を有している。ギヤボックス72は、リニアガイド28に支持されているので、第1基準軸X回りには回転不能となっている。さらに、ギヤボックス72には、
図4に示すように、回転シャフト71が第1基準軸X回りに回転可能に且つ第1基準軸X方向へ移動不能に連結されている。ギヤボックス72が第1基準軸X方向へ移動すると、回転シャフト71もギヤボックス72と共に第1基準軸X方向へ移動する。
【0066】
回転アクチュエータ7は、駆動力を発生させる第2モータ61と、第1基準軸Xを軸心として延び且つ第2モータ61の駆動力によって第1基準軸X回りに回転させられる回転シャフト71とを有している。回転アクチュエータ7は、第2モータ61の駆動力を伝達する第1ギヤ列62と、ギヤボックス72と、第2モータ61の駆動力を第1ギヤ列62から回転シャフト71へさらに伝達する第2ギヤ列73とをさらに有している。つまり、回転アクチュエータ7の第2モータ61、第1ギヤ列62、回転シャフト71及びギヤボックス72は、直進アクチュエータ6と共通である。第2モータ61は、回転駆動源の一例である。
【0067】
第2ギヤ列73は、
図5に示すように、第1歯車73a及び第2歯車73bを含んでいる。第1歯車73aと第2歯車73bとは、互いに噛合している。
【0068】
第1歯車73aは、ボールスプライン73cを介して第1ギヤ列62の第4歯車62dと連結されている。ボールスプライン73cの軸Gは、第1基準軸Xと略平行に延びている。ボールスプライン73cは、第4歯車62dに回転不能に連結されている。つまり、ボールスプライン73cは、第4歯車62dと一体的に軸G回りに回転する。
【0069】
第1歯車73aは、軸G回りに回転不能且つ軸G方向へ移動可能にボールスプライン73cに連結されている。さらに、第1歯車73aは、軸G方向へ移動不能に且つ、軸G回りに回転可能にギヤボックス72に支持されている。つまり、ボールスプライン73cが軸G回りに回転すると、第1歯車73aは、ギヤボックス72に対して相対的に且つボールスプライン73cと一体的に軸G回りに回転する。また、ギヤボックス72が第1基準軸X方向、即ち、軸G方向へ移動する場合には、第1歯車73aもギヤボックス72と一体的に軸G方向へ移動する。第1歯車73aは、軸G方向の位置が変わっても、ボールスプライン73cと一体的に軸G回りに回転する。
【0070】
第2歯車73bは、第1基準軸X回りに回転不能且つ第1基準軸X方向へ移動不能に回転シャフト71に連結されている。第2歯車73bは、回転シャフト71と一体的に第1基準軸X回りに回転し、回転シャフト71と一体的に第1基準軸X方向へ移動する。第2歯車73bは、回転シャフト71のうちギヤボックス72の内部に位置する部分に連結されている。ギヤボックス72が第1基準軸X方向へ移動する場合には、回転シャフト71及び第2歯車73bもギヤボックス72と共に第1基準軸X方向へ移動する。このとき、第1歯車73aと第2歯車73bとの噛合は維持される。
【0071】
このように構成された直進アクチュエータ6及び回転アクチュエータ7の動作について説明する。
図10は、直進アクチュエータ6が把持器3を第1基準軸X方向へ進出させた状態を示すハンド100の断面図である。
【0072】
第2モータ61が駆動されると、第2モータ61の回転駆動力は、第1ギヤ列62を介して直進アクチュエータ6の2本の送りネジ64及び回転アクチュエータ7のボールスプライン73cに伝達される。つまり、送りネジ64が回転する際にはボールスプライン73cも回転する。
【0073】
送りネジ64が軸F回りに回転すると、
図10に示すように、送りネジ64に螺合するナット65が軸F方向へ移動する。ナット65が軸F方向へ移動すると、ギヤボックス72も軸F方向、即ち、第1基準軸X方向へ移動する。ギヤボックス72が第1基準軸X方向へ移動すると、回転シャフト71もギヤボックス72と一体的に第1基準軸X方向へ移動する。このとき、第1歯車73a及び第2歯車73bは、互いに噛合したまま、回転シャフト71及びギヤボックス72と共に第1基準軸X方向へ移動する。
【0074】
ボールスプライン73cが軸G回りに回転すると、第1歯車73aがボールスプライン73cと一体的に軸G回りに回転する。第1歯車73aの回転によって、第2歯車73bが第1基準軸X回りに回転し、第2歯車73bと一体的に回転シャフト71が回転する。
【0075】
このように、回転シャフト71は、第1基準軸X回りに回転しながら第1基準軸X方向へ移動する。回転シャフト71には、連結器4を介して把持器3が連結されている。そのため、把持器3は、回転シャフト71と共に、第1基準軸X方向へ移動する。さらに、把持器3は、第2基準軸α回りに回転しながら移動する。
【0076】
-開閉アクチュエータ-
開閉アクチュエータ8は、駆動力を発生する第1モータ81と、第1基準軸Xを軸心として延び且つ第1モータ81の駆動力によって第1基準軸X回りに回転させられる開閉シャフト84とを含む。開閉アクチュエータ8は、動作機構33を動作させることによって指32を開閉させる。開閉アクチュエータ8は、第1ベルト伝達機構85と、第2ベルト伝達機構86と、ギヤボックス72とを有している。つまり、開閉アクチュエータ8のギヤボックス72は、直進アクチュエータ6及び回転アクチュエータ7と共通である。第1モータ81は、開閉駆動源の一例である。
【0077】
開閉シャフト84は、
図5に示すように、第1基準軸Xを軸心として延びる略円柱である。開閉シャフト84において、第1基準軸X方向における一端部をそれぞれ第1端部84aと称し、第1基準軸X方向における他端部を第2端部84bと称する。第1端部84aは、第1基準軸X方向における進出側の端部である。第2端部84bは、第1基準軸X方向における後退側の端部である。開閉シャフト84は、第1基準軸X回りに回転可能に回転シャフト71の中に挿入される。第2端部84bは、回転シャフト71の第2端部71bから外側へ突出している。
【0078】
さらに、開閉シャフト84は、第1基準軸X回りに回転可能に且つ第1基準軸X方向へ移動不能にギヤボックス72に支持されている。そのため、ギヤボックス72が第1基準軸X方向へ移動すると、開閉シャフト84もギヤボックス72と一体的に第1基準軸X方向へ移動する。このとき、回転シャフト71もギヤボックス72と一体的に第1基準軸X方向へ移動するので、回転シャフト71と開閉シャフト84との第1基準軸X方向の相対的な位置は変わらない。
【0079】
開閉シャフト84は、回転シャフト71に挿入されている。回転シャフト71は、軸受12を介してハンド本体2に支持されているので、開閉シャフト84は、実質的にハンド本体2に支持されている。
【0080】
第1モータ81は、
図3に示すように、ハンド本体2の内部に配置されている。尚、第1モータ81は、第1基準軸X方向において第1ギヤ列62と異なる位置に配置されている。第1モータ81は、例えば、サーボモータであり、エンコーダが設けられている。また、第1モータ81のドライバには、電流センサが設けられている。第1モータ81は、ハンド本体2に支持されている。
【0081】
第1ベルト伝達機構85は、
図3に示すように、第1プーリ85aと第2プーリ85bとタイミングベルト85cとを有している。第1プーリ85aは、第1モータ81の出力軸に取り付けられている。第2プーリ85bは、
図5に示すように、ボールスプライン87に連結されている。ボールスプライン87は、第1基準軸Xと略平行な軸Eを有している。ボールスプライン87は、軸E回りに回転可能にハンド本体2に支持されている。第2プーリ85bは、軸E回りに回転不能且つ軸E方向へ移動不能にボールスプライン87に連結されている。タイミングベルト85cは、第1プーリ85aと第2プーリ85bとに巻回されている。第1モータ81の駆動力は、第1プーリ85a及びタイミングベルト85cを介して第2プーリ85bに伝達される。ボールスプライン87は、第2プーリ85bと一体的に軸E回りに回転する。
【0082】
第2ベルト伝達機構86は、
図5に示すように、第3プーリ86aと第4プーリ86bとタイミングベルト86cとを有している。第3プーリ86aは、軸E回りに回転不能且つ軸E方向へ移動可能にボールスプライン87に連結されている。第3プーリ86aは、軸E回りに回転可能且つ軸E方向へ移動不能にギヤボックス72に支持されている。第4プーリ86bは、第1基準軸X回りに回転不能且つ第1基準軸X方向へ移動不能に開閉シャフト84に連結されている。詳しくは、第4プーリ86bは、開閉シャフト84のうち回転シャフト71から突出している第2端部84bに連結されている。第4プーリ86bは、第1基準軸X回りに回転可能且つ第1基準軸X方向へ移動不能にギヤボックス72に支持されている。タイミングベルト86cは、第3プーリ86aと第4プーリ86bとに券回されている。軸E回りのボールスプライン87の回転は、第3プーリ86a及びタイミングベルト86cを介して第4プーリ86bに伝達される。
【0083】
このように、第1モータ81の駆動力は、第1ベルト伝達機構85及び第2ベルト伝達機構86を介して開閉シャフト84に伝達される。これにより、開閉シャフト84は、第1基準軸X回りに回転する。開閉シャフト84は、第1基準軸X回りに回転可能に回転シャフト71内に挿入されているので、開閉シャフト84は、回転シャフト71から独立して第1基準軸X回りに回転する。また、開閉シャフト84及び第2ベルト伝達機構86は、第1基準軸X方向へ移動不能にギヤボックス72に支持されている。そのため、ギヤボックス72が第1基準軸X方向へ移動する際には、開閉シャフト84及び第2ベルト伝達機構86は、ギヤボックス72と共に第1基準軸X方向へ移動する。このとき、第3プーリ86aは、ボールスプライン87に沿って軸E方向へ移動する。開閉シャフト84及び第2ベルト伝達機構86がギヤボックス72と共に第1基準軸X方向へ移動しても、第1モータ81の駆動力は、第1ベルト伝達機構85及び第2ベルト伝達機構86を介して開閉シャフト84に伝達される。
【0084】
連結器4は、
図5に示すように、開閉アクチュエータ8の駆動力を把持器3に伝達する動力伝達器5を有している。動力伝達器5は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心又は傾斜した状態で開閉アクチュエータ8の駆動力を把持器3に伝達する。動力伝達器5は、開閉シャフト84と把持器3とを連結する第1継手51を含んでいる。具体的には、第1継手51は、開閉シャフト84と把持器3の動作機構33とを連結している。
【0085】
第1継手51は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心又は傾斜した状態で開閉シャフト84の回転を動作機構33、即ち、把持器3に伝達する。第1継手51は、2つの軸間に偏角又は偏心等のずれが生じていても回転を伝達する継手である。具体的には、第1継手51は、第1ボールカップリング52と第2ボールカップリング53とを含んでいる。尚、第1ボールカップリング52及び第2ボールカップリング53は、簡略化されて図示されている。第1ボールカップリング52及び第2ボールカップリング53はそれぞれ、ユニバーサルジョイント(即ち、自在継手)とスプラインの機能を併せ持つ継手であり、2つの軸間に偏角又は偏心等のずれが生じていても回転を伝達する継手である。
【0086】
第1ボールカップリング52は、開閉シャフト84の第1端部84aと第2ボールカップリング53とを連結している。第1ボールカップリング52は、第1基準軸X回りの開閉シャフト84の回転を第2ボールカップリング53に伝達する。第2ボールカップリング53は、第1ボールカップリング52と動作機構33の送りネジ37とを連結している。第2ボールカップリング53は、第1ボールカップリング52の回転を第2基準軸α回りの回転として送りネジ37へ伝達する。
【0087】
第1基準軸Xに対して第2基準軸αが偏心又は傾斜していても、第1ボールカップリング52及び第2ボールカップリング53は、第1基準軸Xと第2基準軸αとの間の偏心及び偏角を吸収し、第1基準軸X回りの回転を第2基準軸α回りの回転として伝達することができる。
【0088】
このように構成された開閉アクチュエータ8及び動力伝達器5の動作について説明する。
図11は、開閉アクチュエータ8が指32を開動作させた状態を示すハンド100の断面図である。尚、
図11において、把持器3は第1基準軸X方向へ後退した状態となっている。
【0089】
第1モータ81が作動すると、第1モータ81の回転駆動力は、
図3及び
図5に示すように、第1プーリ85a、タイミングベルト85c及び第2プーリ85bを介してボールスプライン87に伝達される。ボールスプライン87が軸E回りに回転すると、ボールスプライン87に連結された第3プーリ86aが軸E回りに回転する。第3プーリ86aの回転は、タイミングベルト86c及び第4プーリ86bを介して開閉シャフト84に伝達する。こうして、開閉シャフト84が第1基準軸X回りに回転する。第1基準軸X回りの開閉シャフト84の回転は、動力伝達器5を介して、第2基準軸α回りの回転として動作機構33の送りネジ37へ伝達される。送りネジ37が第2基準軸α回りに回転すると、ブロック38が第2基準軸α方向へ移動する。このとき、
図11に示すように、ブロック38が底34dに接近すると、指32が第2基準軸αを中心とする半径方向外側へ移動する。一方、
図4に示すように、ブロック38が底34dから離反すると、指32が半径方向内側へ移動する。こうして、開閉アクチュエータ8は、指32を開閉させる。これにより、複数の指32は、ワークを把持したり、ワークの把持を解放したりする。このとき、複数の指32は、第2基準軸αからの距離が互いに同じになるように開閉する。つまり、複数の指32は、第2基準軸αを中心に開閉する。
【0090】
ブロック38の第2基準軸α方向への移動の向き、即ち、指32が開くか閉じるかは、第1モータ81の回転方向によって切り替えられる。また、指32の第2基準軸αを中心とする半径方向の位置、即ち、指32の開閉の程度は、第1モータ81のエンコーダ出力に基づいて検出される。さらに、3つの指32の開閉時の第1モータ81の回転トルクは、電流センサの検出結果に基づいて検出される。
【0091】
ここで、直進アクチュエータ6が回転シャフト71及び把持器3を第1基準軸X方向に移動させると、ギヤボックス72に支持されている開閉シャフト84及び第2ベルト伝達機構86も回転シャフト71等と共に第1基準軸X方向へ移動する。第1モータ81の駆動力は、第1ベルト伝達機構85及び第2ベルト伝達機構86を介して開閉シャフト84に伝達可能な状態が維持される。つまり、回転シャフト71及び把持器3が第1基準軸X方向へ移動しても、第1モータ81の駆動力によって把持器3の指32を開閉させることができる。
【0092】
ただし、直進アクチュエータ6によって回転シャフト71及び把持器3が第1基準軸X方向へ移動する際には、把持器3は、回転アクチュエータ7によって第1基準軸X回りに回転させられる。つまり、ベース31及び指32は、第1基準軸X回りに回転する。このとき、開閉シャフト84が第1基準軸X回りに回転しないと、送りネジ37も第1基準軸X回りに回転しないので、送りネジ37に対してベース31が相対的に第1基準軸X回りに回転する。その結果、ブロック38が第2基準軸α方向へ移動して、指32の開閉状態が変化する。
【0093】
そのため、回転シャフト71が第1基準軸X方向へ移動するときであって指32の開閉状態を維持する場合には、第1モータ81は、第1基準軸X回りの把持器3の回転に合わせて、開閉シャフト84を第1基準軸X回りに回転させる。具体的には、第1モータ81がトルク制御され、第1モータ81のトルクが一定に維持されるように制御される。これにより、指32は、開閉状態を維持したまま(例えば、指32がワークを把持した状態を維持したまま)、第1基準軸X回りに回転しつつ第1基準軸X方向へ移動する。
【0094】
また、把持器3が連結器4によって支持されているので、把持器3の第2基準軸αは、
図8に示すように第1基準軸Xに対して偏心し得る。あるいは、把持器3の第2基準軸αは、
図9に示すように第1基準軸Xに対して傾斜し得る。そのような場合でも、第1ボールカップリング52及び第2ボールカップリング53が変形することによって、開閉シャフト84と動作機構33とが連結された状態が維持される。さらには、第1基準軸X回りの開閉シャフト84の回転が、第1ボールカップリング52及び第2ボールカップリング53を介して、動作機構33へ第2基準軸α回りの回転として伝達される。ここで、第1継手51は、2つの継手、即ち、第1ボールカップリング52及び第2ボールカップリング53を含んでいるので、第1継手51は、第1基準軸Xと第2基準軸αとの偏心及び傾斜に柔軟に対応することができる。
【0095】
-第1緩衝器-
第1緩衝器10は、把持器3を第1基準軸X方向へ弾性的に支持する。第1緩衝器10は、把持器3に作用する、第1基準軸X方向への力を把持器3の弾性支持によって吸収する。
【0096】
前述の如く、第1緩衝器10は、バネである。第1緩衝器10は、
図4に示すように、送りネジ機構63のナット65とギヤボックス72とを弾性的に連結している。ハンド100は、2組の送りネジ機構63を有しているので、2つの第1緩衝器10を有している。具体的には、第1緩衝器10は、ギヤボックス72内に収容されている。ギヤボックス72がナット65に対して第1基準軸X方向における後退側へ変位可能なようにナット65とギヤボックス72とを弾性的に連結している。ギヤボックス72には、開閉シャフト84及び回転シャフト71が連結されている。開閉シャフト84及び回転シャフト71には連結器4を介して把持器3が連結されている。すなわち、第1緩衝器10は、第1基準軸X方向における後退側へ把持器3が変位可能に、実質的に把持器3を支持する。
【0097】
このような第1緩衝器10においては、第1基準軸X方向における後退側へ把持器3(例えば、指32)に力が作用すると、その力は、把持器3から連結器4、回転シャフト71、ギヤボックス72及び第1緩衝器10を介してナット65に伝わる。このとき、第1緩衝器10が弾性変形、即ち、圧縮変形して、ギヤボックス72が第1基準軸X方向における後退側へ移動する。ギヤボックス72と一体的に、開閉シャフト84、回転シャフト71及び把持器3も第1基準軸X方向における後退側へ移動する。こうして、把持器3へ作用する力が第1緩衝器10によって吸収される。
【0098】
-拘束器-
図12は、ハンド100の側面図である。
図13は、ハンド100の正面図である。拘束器9は、伝達ゴム97を有し、拘束状態において把持器3を弾性的に保持することによって連結器4の動作を拘束する。この例では、拘束器9は、第1基準軸Xと第2基準軸αとが一直線上に並ぶ状態で連結器4の動作を拘束する。説明の便宜上、第1基準軸Xに略直交するY軸及びZ軸を設定する。Y軸及びZ軸は、互いに略直交する。すなわち、第1基準軸X、Y軸及びZ軸によって直交3軸を形成する。
【0099】
拘束器9は、拘束状態において把持器3に接触する第1ホルダ91及び第2ホルダ92と、第1ホルダ91及び第2ホルダ92を開閉動作させる拘束アクチュエータ93とを有している。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、開閉動作を行うことによって把持器3への接触と把持器3からの離反とを切り替える。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、第1基準軸X方向に対して交差する方向に開閉動作を行う。この例では、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、第1基準軸X方向に略直交する方向へ移動することによって開閉動作を行う。より詳しくは、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、Z軸と略平行な方向へ開閉する。以下、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開閉方向を「開閉方向Z」と称する。拘束器9は、伝達ゴム97の弾性力を介して、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開閉方向Zへ弾性的に把持器3を保持する。つまり、拘束状態の拘束器9に保持された把持器3は、伝達ゴム97の弾性変形によって第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開閉方向Zへ変位することができる。
【0100】
さらに、拘束器9は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92を第1基準軸X方向へ弾性的に支持する第2緩衝器98を有している。つまり、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、第2緩衝器98によって、第1基準軸X方向へ変位可能となっている。その結果、拘束状態の拘束器9に保持された把持器3は、第2緩衝器98の作用によって第1基準軸X方向へ変位することができる。第2緩衝器98は、緩衝器の一例である。
【0101】
以下、拘束器9について詳しく説明する。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、
図12に示すように、第1基準軸Xを挟んで、互いに対向するように配置されている。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、開閉方向Zにおいて把持器3の外側に配置されている。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、底21よりも第1基準軸X方向の先端側に配置されている。第1ホルダ91及び第2ホルダ92はそれぞれ、概ねY軸方向に延びている。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、互いの間隔、具体的には、開閉方向Zの間隔を変更するように開閉する。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、把持器3を外側から挟み込むことによって把持器3を保持する。
【0102】
図14は、
図13のXIV-XIV線におけるハンド100の断面図である。尚、
図14では、把持器3の内部、即ち、連結器4の図示を省略している。第1ホルダ91は、接触状態において把持器3と少なくとも2か所で接触する。第2ホルダ92は、接触状態において把持器3と1か所で接触する。具体的には、第1ホルダ91は、把持器3と接触する第1接触面91a及び第2接触面91bとを有している。第1接触面91a及び第2接触面91bは、略平面である。第1接触面91aの法線方向と第2接触面91bの法線方向とは、互いに交差する。つまり、第1接触面91a及び第2接触面91bは、互いに平行ではなく、同一平面でもない。第2ホルダ92は、把持器3と接触する第3接触面92aを有している。第3接触面92aは、略平面である。第1接触面91a、第2接触面91b及び第3接触面92aは、把持器3の第2筒34bと点接触又は線接触する。尚、第1接触面91a、第2接触面91b及び第3接触面92aのそれぞれは、平面であっても、曲面であってもよい。
【0103】
拘束アクチュエータ93は、駆動力を発生させる第2モータ61と、第2モータ61と第1ホルダ91及び第2ホルダ92とを連結し、第2モータ61の駆動力を第1ホルダ91及び第2ホルダ92へ伝達する拘束伝達器94とを有する。第2モータ61は、拘束駆動源の一例である。尚、この例では、拘束アクチュエータ93と直進アクチュエータ6との間で要素の一部が共通となっている。
【0104】
伝達ゴム97は、拘束伝達器94に含まれる。具体的には、拘束伝達器94は、第2モータ61から駆動力が入力される第1伝達器95と、第1ホルダ91及び第2ホルダ92へ駆動力を伝達する第2伝達器96と、第1伝達器95と第2伝達器96とを弾性的に連結する伝達ゴム97とを有している。伝達ゴム97は、第1弾性部材の一例である。
【0105】
第1伝達器95は、
図13に示すように、第2モータ61の駆動力(即ち、回転トルク)を伝達する第1ギヤ列62と、第1基準軸Xと略平行に延びる送りネジ910と、送りネジ910に螺合するブロック911と、ブロック911に取り付けられたアーム912とを有している。
【0106】
図3に示すように、第1ギヤ列62には、第7歯車62gが含まれている。第7歯車62gには、第1歯車62a、第2歯車62b、第3歯車62c及び第4歯車62dを介して第2モータ61の駆動力が伝達する。
【0107】
送りネジ910の軸Iは、
図13に示すように、第1基準軸Xと略平行に延びている。送りネジ910は、第1ギヤ列62の第7歯車62gに回転不能に連結されている。送りネジ910は、第7歯車62gと一体的に軸I回りに回転する。送りネジ910は、軸I回りに回転可能に底21に支持されている。
【0108】
ブロック911は、送りネジ910に螺合する。送りネジ910及びブロック911は、送りネジ機構を形成する。
【0109】
アーム912は、ブロック911に固定的に取り付けられている。アーム912は、軸I回りに回転不能に構成されている。具体的には、アーム912は、ブロック911から軸Iに交差する方向における両側へ延伸している。アーム912は、第1基準軸X方向へ移動可能にハンド本体2に支持されている。詳しくは、アーム912は、
図13に示すように、軸IからY軸方向の両側へ延伸している。アーム912の延伸方向における両端部912aは、
図12に示すように、Y軸方向から開閉方向Zへ屈曲している。アーム912の両端部912aは、一対の第1ガイド23に取り付けられている。一対の第1ガイド23は、第1基準軸Xを挟んで対向する位置に配置されている。具体的には、ハンド本体2は、
図13及び14に示すように、第1基準軸Xを挟んで対向する2つの側壁22A及び22Bを有している。側壁22A及び側壁22Bは、Y軸方向と略直交している。一対の第1ガイド23は、側壁22A及び22Bにそれぞれ配置されている。第1ガイド23は、アーム912、具体的には、端部912aが取り付けられるブロック23aと、ブロック23aを第1基準軸X方向へ案内するレール23bとを有している。アーム912は、ブロック23aがレール23bに沿って第1基準軸X方向へ移動することによって第1基準軸X方向へ平行移動、即ち、姿勢を変えることなく移動する。アーム912は、第1基準軸X方向へのみ移動可能となっている。
【0110】
アーム912は、第1ガイド23に取り付けられることによって、軸I回りに回転不能となっている。そのため、ブロック911も、軸I回りに回転不能となっている。つまり、ブロック911及びアーム912は、送りネジ910に対しては相対的に軸I回りに回転可能である一方、ハンド本体2に対しては相対的に軸I回りに回転不能となっている。そのため、ブロック911及びアーム912は、送りネジ910が軸I回りに回転すると、軸I回りに回転することなく軸I方向、即ち、第1基準軸X方向へ移動する。
【0111】
第2伝達器96は、
図12及び13に示すように、リンク機構を形成している。第2伝達器96には、第1ホルダ91及び第2ホルダ92がそれぞれ連結されている。拘束伝達器94は、一対の第2伝達器96を有している。一対の第2伝達器96は、第1基準軸Xを挟んで対向する位置に配置されている。一対の第2伝達器96は、一対の第1ガイド23と対応する位置に配置されている。具体的には、一対の第2伝達器96は、ハンド本体2の2つの側壁22A及び22Bにそれぞれ配置されている。尚、側壁22Aに配置された第2伝達器96と側壁22Bに配置された第2伝達器96とは、第1リンク96aを基準に左右が反転している。それ以外は、一対の第2伝達器96は、互いに同じ構成を有している。第1ホルダ91は、一対の第2伝達器96のそれぞれに連結されている。第2ホルダ92は、一対の第2伝達器96のそれぞれに連結されている。
【0112】
第2伝達器96は、第1リンク96aと第2リンク96bと第3リンク96cと第4リンク96dと第5リンク96eと第6リンク96fと第7リンク96gとを有している。第1リンク96a、第2リンク96b、第3リンク96c及び第4リンク96dは、一方の四節リンクを形成する。第1リンク96a、第5リンク96e、第6リンク96f及び第7リンク96gは、他方の四節リンクを形成する。つまり、第1リンク96aは、一方の四節リンクと他方の四節リンクとで共通のリンクである。
【0113】
詳しくは、第2リンク96bの一端部は、第1リンク96aに回転可能に連結され、第2リンク96bの他端部は、第3リンク96cに回転可能に連結されている。第4リンク96dの一端部は、第1リンク96aに回転可能に連結され、第4リンク96dの他端部は、第3リンク96cに回転可能に連結されている。第5リンク96eの一端部は、第1リンク96aに回転可能に連結され、第5リンク96eの他端部は、第6リンク96fに回転可能に連結されている。第7リンク96gの一端部は、第1リンク96aに回転可能に連結され、第7リンク96gの他端部は、第6リンク96fに回転可能に連結されている。第1リンク96a、第3リンク96c及び第6リンク96fは、第1基準軸Xと略平行に延びている。第1リンク96aは、第3リンク96cと第6リンク96fとの間に配置されている。
【0114】
第1リンク96aは、第1伝達器95からの駆動力が入力されるリンクである。第1リンク96aは、第1基準軸X方向へ移動可能にハンド本体2に支持されている。具体的には、第1リンク96aは、
図13に示すように、第2ガイド24に取り付けられている。ハンド本体2の対向する2つの側壁22A及び22Bに一対の第2ガイド24がそれぞれ配置されている。第2ガイド24は、第1リンク96aが取り付けられるブロック24aと、ブロック24aを第1基準軸X方向へ案内するレール24bとを有している。レール24bは、第1ガイド23のレール23bと一体に形成されている。すなわち、レール23b及びレール24bは、共通のレールで形成されている。第1リンク96aは、ブロック24aがレール24bに沿って第1基準軸X方向へ移動することによって第1基準軸X方向へ平行移動、即ち、姿勢を変えることなく移動する。第1リンク96aは、第1基準軸X方向へのみ移動可能となっている。
【0115】
第3リンク96cは、
図12及び13に示すように、駆動力を第1ホルダ91に伝達するリンクである。第3リンク96cは、開閉方向Zへ移動可能にハンド本体2に支持されている。具体的には、第3リンク96cは、第3ガイド25に取り付けられている。ハンド本体2の対向する2つの側壁22A及び22Bに一対の第3ガイド25がそれぞれ配置されている。第3ガイド25は、第3リンク96cが取り付けられるブロック25aと、ブロック25aを開閉方向Zへ案内するレール25bとを有している。第3リンク96cは、ブロック25aがレール25bに沿って開閉方向Zへ移動することによって開閉方向Zへ平行移動、即ち、姿勢を変えることなく移動する。第3リンク96cは、開閉方向Zへのみ移動可能となっている。
【0116】
第6リンク96fは、駆動力を第2ホルダ92に伝達するリンクである。第6リンク96fは、開閉方向Zへ移動可能にハンド本体2に支持されている。具体的には、第6リンク96fは、第4ガイド26に取り付けられている。ハンド本体2の対向する2つの側壁22A及び22Bに一対の第4ガイド26がそれぞれ配置されている。第4ガイド26は、第6リンク96fが取り付けられるブロック26aと、ブロック26aを開閉方向Zへ案内するレール26bとを有している。第6リンク96fは、ブロック26aがレール26bに沿って開閉方向Zへ移動することによって開閉方向Zへ平行移動、即ち、姿勢を変えることなく移動する。第6リンク96fは、開閉方向Zへのみ移動可能となっている。
【0117】
第1リンク96aには、アーム912が連結されている。具体的には、第1リンク96aには、アーム912が伝達ゴム97を介して連結されている。伝達ゴム97は、
図12に示すように、アーム912に、詳しくは、アーム912の端部912aに取り付けられている。伝達ゴム97は、第1リンク96aに形成された係合孔96h内に配置されている。アーム912が第1基準軸X方向へ移動すると、伝達ゴム97は、アーム912と一体的に第1基準軸X方向へ移動し、第1リンク96aを第1基準軸X方向へ押圧する。こうして、駆動力がアーム912から伝達ゴム97を介して第1リンク96aへ伝達する。
【0118】
また、第1リンク96aには、係合孔96hの第1基準軸X方向の寸法を調節するボルト99が設けられている。ボルト99は、第1リンク96aを第1基準軸X方向に貫通し、ボルト99の一部が係合孔96h内に配置されている。この例では、ボルト頭が係合孔96h内に位置している。ボルト99のボルト頭は、係合孔96h内の第1基準軸X方向の一端部に設けられている。すなわち、第1基準軸X方向において、伝達ゴム97とボルト99のボルト頭とが並んでいる。係合孔96h内に配置された伝達ゴム97の第1基準軸X方向の一端は、係合孔96hの内周面に接触する。伝達ゴム97の第1基準軸X方向の他端は、ボルト99のボルト頭に接触する。
【0119】
第1リンク96aへのボルト99の捻じ込み量が調節されることによって、係合孔96h内におけるボルト99の第1基準軸X方向の位置が調節される。第1基準軸X方向における係合孔96hの内周面とボルト99との間隔が係合孔96hの第1基準軸X方向の実質的な寸法となる。ボルト99が係合孔96hを第1基準軸X方向の内方へ移動すると、係合孔96hの第1基準軸X方向の実質的な寸法が小さくなる。一方、ボルト99が係合孔96hを第1基準軸X方向の外方へ移動すると、係合孔96hの第1基準軸X方向の実質的な寸法が大きくなる。
【0120】
伝達ゴム97の第1基準軸X方向の寸法が第1基準軸X方向における係合孔96hの内周面とボルト99との間隔よりも大きい場合には、伝達ゴム97の第1基準軸X方向の一端は、係合孔96hの内周面に接触し、且つ、伝達ゴム97の第1基準軸X方向の他端は、ボルト99に接触する。この状態で、ボルト99の捻じ込み量が調節されると、第1基準軸X方向への伝達ゴム97の圧縮変形量が変化する。伝達ゴム97の圧縮変形量が大きくなるほど、伝達ゴム97はさらなる圧縮変形がしづらくなる。つまり、伝達ゴム97の圧縮変形量が変化すると、伝達ゴム97の実質的な剛性が変化する。ここで、伝達ゴム97の実質的な剛性とは、伝達ゴム97の自然な状態、即ち、外力が作用していない状態の剛性ではなく、伝達ゴム97がアーム912と第1リンク96aとを連結している状態の剛性を意味する。
【0121】
あるいは、伝達ゴム97の第1基準軸X方向の寸法が第1基準軸X方向における係合孔96hの内周面とボルト99との間隔よりも小さい場合には、伝達ゴム97は、係合孔96h内で第1基準軸X方向へ移動し得る。そのため、第1基準軸X方向へのアーム912の移動に対して、第1基準軸X方向への第1リンク96aの移動が遅延し得る。例えば、伝達ゴム97がボルト99に接触した状態から第1基準軸X方向の反対向きへ移動するとき、伝達ゴム97は、係合孔96h内を少し移動してから係合孔96hの内周面に接触する。つまり、第1リンク96aは、伝達ゴム97が移動しても直ちには移動しない。ボルト99の捻じ込み量が調節されると、このようなアーム912の移動と第1リンク96aの移動との遅延量が調節される。
【0122】
第3リンク96cには、第1ホルダ91が連結されている。第1ホルダ91は、一方の第2伝達器96の第3リンク96cと他方の第2伝達器96の第3リンク96cとにそれぞれ連結されている。第6リンク96fには、第2ホルダ92が連結されている。第2ホルダ92は、一方の第2伝達器96の第6リンク96fと他方の第2伝達器96の第6リンク96fとにそれぞれ連結されている。詳しくは、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、第2緩衝器98を介して第3リンク96c及び第6リンク96fに連結されている。
【0123】
第2緩衝器98は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92を第1基準軸Xの方向へ変位可能に案内するガイド98aと、第1ホルダ91及び第2ホルダ92をガイド98aに沿って弾性的に支持する第2バネ98bとを有する。第2バネ98bは、第2弾性部材の一例である。
【0124】
この例では、第2緩衝器98は、4本のガイド98a及び4つの第2バネ98bを含んでいる。2つの第3リンク96c及び2つの第6リンク96fのそれぞれに1本のガイド98aが設けられている。詳しくは、第3リンク96cの一端部、具体的には、第1基準軸X方向において把持器3に近い方の端部に、ガイド98aが設けられている。第6リンク96fの一端部、具体的には、第1基準軸X方向において把持器3に近い方の端部に、ガイド98aが設けられている。全てのガイド98aは、互いに同じ構成を有している。例えば、ガイド98aは、ボールスプラインである。ガイド98aは、スプライン軸98cと、スプライン軸98cに嵌められた外筒98dとを有している。第1ホルダ91に対応するガイド98aでは、スプライン軸98cが第3リンク96cに取り付けられ、外筒98dが第1ホルダ91に取り付けられている。第2ホルダ92に対応するガイド98aでは、スプライン軸98cが第6リンク96fに取り付けられ、外筒98dが第2ホルダ92に取り付けられている。スプライン軸98cは、第1基準軸X方向に延びている。スプライン軸98cと外筒98dとの間には、ボールが配置されている。これにより、外筒98dは、スプライン軸98cに沿って第1基準軸X方向へ滑らかに摺動する。スプライン軸98cの先端には、外筒98dの抜けを防止するための抜け止めが設けられている。
【0125】
第2バネ98bは、各ガイド98aに設けられている。例えば、第2バネ98bは、コイルバネである。ガイド98aは、第2バネ98bに挿入されている。第1ホルダ91に対応する第2バネ98bは、第3リンク96cと第1ホルダ91との間に圧縮状態で配置されている。そのため、第2バネ98bは、弾性力によって、第1ホルダ91をスプライン軸98cの先端の方へ付勢している。第1ホルダ91は、通常時、即ち、第1ホルダ91に第1基準軸X方向の外力が作用していないときには、第1基準軸X方向において第3リンク96cから最も離れた位置に位置している。第2ホルダ92に対応する第2バネ98bは、第6リンク96fと第2ホルダ92との間に圧縮状態で配置されている。そのため、第2バネ98bは、弾性力によって、第2ホルダ92をスプライン軸98cの先端の方へ付勢している。第2ホルダ92は、通常時、即ち、第2ホルダ92に第1基準軸X方向の外力が作用していないときには、第1基準軸X方向において第6リンク96fから最も離れた位置に位置している。
【0126】
このように構成された拘束器9の動作について説明する。
図15は、拘束器9が解放状態のハンド100の側面図である。
図15は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の一部が断面で表されている。
図15中の破線の矢印は、拘束器9が解放状態から拘束状態へ遷移するときのハンド100の各要素の動作を表している。
【0127】
まず、拘束器9が解放状態から拘束状態となるときの動作について説明する。拘束器9の解放状態において、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、開いて、把持器3から離反した状態となっている。このとき、把持器3は、直進アクチュエータ6によってハンド本体2から第1基準軸X方向の先端側へ進出した状態となっている。
【0128】
拘束アクチュエータ93の第2モータ61が動作すると、第2モータ61の回転駆動力は、第1ギヤ列62を介して送りネジ910に伝達される。送りネジ910が軸I回りに回転すると、送りネジ910に螺合するブロック911と共にアーム912が軸I方向、即ち、第1基準軸X方向へ移動する。このとき、アーム912が第1基準軸X方向の本体側へ移動するように、第2モータ61の回転方向が設定されている。
【0129】
アーム912が第1基準軸X方向の本体側へ移動すると、第2伝達器96の第1リンク96aは、伝達ゴム97によって押圧されて第1基準軸X方向の本体側へ移動する。第1リンク96aが第1基準軸X方向の本体側へ移動すると、それに連動して、第3リンク96c及び第6リンク96fが開閉方向Zにおいて互いに閉じる向きへ移動する。第1ホルダ91及び第2ホルダ92も、第3リンク96c及び第6リンク96fと共に開閉方向Zにおいて互いに閉じる向きへ移動する。尚、第3リンク96c、第6リンク96f、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、第1基準軸X方向へは移動せず、開閉方向Zへのみ移動する。
【0130】
第2モータ61は直進アクチュエータ6の駆動源でもあるので、拘束アクチュエータ93が動作するときには直進アクチュエータ6も動作する。つまり、把持器3は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開閉動作に連動して、第1基準軸X方向へ移動する。具体的には、第1ホルダ91及び第2ホルダ92が閉動作するときには、把持器3は、第1基準軸X方向において本体側へ移動する。第1ホルダ91及び第2ホルダ92が開閉方向Zへ閉じるのに従って、把持器3は、第1基準軸X方向において第1ホルダ91及び第2ホルダ92の間へ深く進入する。
【0131】
やがて、第1ホルダ91及び第2ホルダ92が把持器3の第2筒34bに接触する。このとき、第2筒34bは、
図12に示すように、第1基準軸X方向において第1ホルダ91及び第2ホルダ92との間に完全に進入している。こうして、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、第2筒34bを開閉方向Zから挟持することによって把持器3を保持する。
【0132】
ここで、第1ホルダ91及び第2ホルダ92が第2筒34bに接触しても、第2モータ61は直ちには停止しなくてもよい。第2モータ61は、動作を継続して、アーム912の第1基準軸X方向の本体側への移動を継続させてもよい。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、開閉方向Zの閉じる向きに移動できないので、第1リンク96aも第1基準軸X方向の本体側へは移動できない。アーム912が第1基準軸X方向の本体側へ移動すると、伝達ゴム97が圧縮変形する。これにより、第1ホルダ91及び第2ホルダ92による把持器3の保持剛性が向上する。このように、第1ホルダ91及び第2ホルダ92が第2筒34bに接触してからアーム912を第1基準軸X方向の本体側へさらに移動させることによって、アーム912による第1リンク96aへの伝達ゴム97の押付力が調節され、結果として、把持器3への第1ホルダ91及び第2ホルダ92の押付力が調節される。当然ながら、第1ホルダ91及び第2ホルダ92が第2筒34bに接触すると直ちにアーム912の移動を停止してもよい。
【0133】
第1ホルダ91及び第2ホルダ92が把持器3の動作を拘束することによって、偏心連結器41及び傾斜連結器47の動作を拘束する。具体的には、第1ホルダ91及び第2ホルダ92が把持器3を保持することによって、第1基準軸Xと略直交する方向への把持器3の移動、及び、第1基準軸Xに対して第2基準軸αが傾斜する把持器3の移動が阻止される。このとき、
図4に示すように、第1基準軸Xと第2基準軸αとが一直線上に並んでいる。このように、拘束器9は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92と把持器3との接触によって、第1基準軸Xと第2基準軸αとが一直線上に並んだ状態で偏心連結器41及び傾斜連結器47の動作を拘束する。
【0134】
拘束器9の拘束状態においては、
図14に示すように、第1ホルダ91の第1接触面91a及び第2接触面91bが第2筒34bと接触し、第2ホルダ92の第3接触面92aが第2筒34bと接触する。つまり、把持器3は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92と少なくとも3点で支持される。その結果、拘束状態において、第1基準軸Xと略直交する面内における把持器3の位置決め精度が向上する。
【0135】
次に、拘束器9が拘束状態から解放状態となるときの動作について説明する。拘束器9の拘束状態において、
図12、13及び14に示すように、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、閉じて、把持器3に接触した状態となっている。このとき、把持器3は、直進アクチュエータ6によってハンド本体2の方へ後退しており、第1基準軸X方向において第2筒34bが全体的に第1ホルダ91及び第2ホルダ92との間に進入した状態となっている。尚、拘束状態から解放状態に遷移するときには、ハンド100の各要素は、
図15中の破線の矢印とは逆向きに動作する。
【0136】
拘束アクチュエータ93の第2モータ61が動作すると、第2モータ61の回転駆動力は、第1ギヤ列62を介して送りネジ910に伝達される。このとき、第2モータ61の回転方向は、拘束器9を拘束状態にするときとは逆向きに設定されている。送りネジ910が軸I回りに回転すると、送りネジ910に螺合するブロック911と共にアーム912が軸I方向、即ち、第1基準軸X方向の先端側へ移動する。
【0137】
アーム912が第1基準軸X方向の先端側へ移動すると、第2伝達器96の第1リンク96aは、伝達ゴム97によって押圧されて第1基準軸X方向の先端側へ移動する。第1リンク96aが第1基準軸X方向の先端側へ移動すると、それに連動して、第3リンク96c及び第6リンク96fが開閉方向Zにおいて互いに開く向きへ移動する。第1ホルダ91及び第2ホルダ92も、第3リンク96c及び第6リンク96fと共に開閉方向Zにおいて互いに開く向きへ移動する。その結果、第1ホルダ91及び第2ホルダ92が把持器3の第2筒34bから離反する。尚、第3リンク96c、第6リンク96f、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、第1基準軸X方向へは移動せず、開閉方向Zへのみ移動する。
【0138】
第1ホルダ91及び第2ホルダ92が把持器3の第2筒34bに接触しない状態となると、第1ホルダ91及び第2ホルダ92による把持器3の動作の拘束が解放される。それにより、偏心連結器41及び傾斜連結器47の動作の拘束も解放される。具体的には、第1基準軸Xと略直交する方向への把持器3の移動、及び、第1基準軸Xに対して第2基準軸αが傾斜する把持器3の移動が可能となる。こうして、第1ホルダ91及び第2ホルダ92による把持器3の動作の拘束が解放され、その結果、連結器4の動作の拘束が解放される。
【0139】
前述の如く、拘束アクチュエータ93に連動して、直進アクチュエータ6も動作する。把持器3は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開閉動作に連動して、第1基準軸X方向へ移動する。第1ホルダ91及び第2ホルダ92が開動作するときに、把持器3は、第1基準軸X方向において先端側へ移動する。把持器3が第1基準軸X方向において本体側へ最も後退した位置から先端側へ移動を開始するときに、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開動作が開始され、把持器3の保持が解除される。把持器3が、第1基準軸X方向において第1ホルダ91及び第2ホルダ92から離れていくのに従って、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開度が大きくなる。
【0140】
このように構成された拘束器9において、拘束伝達器94は伝達ゴム97を含んでいるため、拘束状態の第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、伝達ゴム97の弾性力を介して把持器3を開閉方向Zへ弾性的に保持する。詳しくは、拘束器9による拘束状態においてはアーム912の位置は固定されている。第1リンク96aの位置は、アーム912の位置に依存するものの、伝達ゴム97の弾性変形によってアーム912に対して相対変位可能である。そのため、第1ホルダ91又は第2ホルダ92に開閉方向Zの開く向きへ外力が作用すると、第1リンク96aが第1基準軸X方向へ移動して、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、開閉方向Zの開く向きへ移動することができる。このように、拘束器9は、把持器3及び連結器4の動作を拘束しつつ、把持器3及び連結器4の開閉方向Zへの多少の変位を許容する。
【0141】
このときの拘束器9による把持器3の保持剛性は、ボルト99の捻じ込み量、及び、アーム912による第1リンク96aへの伝達ゴム97の押付力によって調節される。前述の如く、ボルト99の捻じ込み量によって伝達ゴム97の実質的な剛性が調節される。さらに、拘束器9の拘束状態におけるアーム912による第1リンク96aへの伝達ゴム97の押付力によって、把持器3への第1ホルダ91及び第2ホルダ92の押付力が調節される。
【0142】
それに加えて、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、第2緩衝器98によって第1基準軸X方向へ弾性的に支持されている。つまり、拘束器9による拘束状態であっても、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、ハンド本体2と把持器3との第1基準軸X方向への相対的な移動を拘束しない。そのため、拘束器9による拘束状態であっても、第1緩衝器10は有効に機能する。
【0143】
続いて、制御装置130によるロボットアーム120及びハンド100の制御について説明する。
図16に、制御装置130の概略的なハードウェア構成を示す。制御装置130は、制御部131、記憶部132及びメモリ133を有している。
【0144】
制御部131は、記憶部132からプログラムをメモリ133に読み出して展開することによって、制御装置130の各種機能を実現する。制御部131は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサから形成される。制御部131は、MCU(Micro Controller Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLC(Programmable Logic Controller)、システムLSI(large scale integrated circuit)等から形成されてもよい。
【0145】
制御部131は、ロボットアーム120のモータを制御することによって、ロボットアーム120の動作を制御する。また、制御部131は、第1モータ81及び第2モータ61を制御することによって、ハンド100の動作を制御する。
【0146】
記憶部132は、制御部131で実行されるプログラム及び各種データを記憶する。記憶部132は、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等で形成される。メモリ133は、データ等を一時的に記憶する。メモリ133は、例えば、揮発性メモリで形成される。
【0147】
続いて、制御装置130による具体的な制御について説明する。ハンド100によって把持されたワークW1を別のワークW2に形成された孔Hに挿入する挿入作業について説明する。ワークW1は、軸Mを軸心として延びる円柱状である。孔Hは、ワークW1が嵌る丸孔である。孔Hは、軸Nを軸心として略鉛直方向へ延びている。
図17は、挿入作業のフローチャートである。
【0148】
まず、制御装置130は、ステップS1において、把持器3でワークW1を把持する把持動作をロボットアーム120及びハンド100に実行させる。具体的には、制御装置130は、3本の指32をワークW1の外径よりも大きく開かせる。制御装置130は、3本の指32の内側にワークW1の一端部が位置するようにロボットアーム120を移動させる。続いて、制御装置130は、3本の指32を閉じさせる。これにより、3本の指32は、ワークW1を把持する。このとき、ワークW1の軸Mは、第2基準軸αと一直線上に並んでいる。尚、第1基準軸Xと第2基準軸αとは一直線上に並んでいるので、ワークW1の軸Mは、第1基準軸Xとも一直線上に並んでいる。
【0149】
このとき、制御装置130は、拘束器9を拘束状態にしている。つまり、第1ホルダ91及び第2ホルダ92が把持器3を保持し、把持器3は、ハンド本体2の第1基準軸Xに対して偏心及び傾斜しない状態となっている。これにより、制御装置130は、把持動作又は後に続く動作において、把持器3の位置合わせを精度よく行うことができる。
【0150】
あるいは、制御装置130は、拘束器9の解放状態で把持動作を実行させてもよい。その場合、把持器3が第1基準軸Xに対して自在に偏心及び傾斜可能であるので、把持器3とワークW1との正確な位置合わせを行わなくても、把持器3でワークW1を適切に把持できるように把持器3の位置が自然に調整される。
【0151】
把持器3でワークW1を把持した後、制御装置130は、ステップS2において、ワークW1を孔Hの開口縁に接触させる接触動作をロボットアーム120及びハンド100に実行させる。
図18は、接触動作の完了時のハンド100を正面から見た模式図である。
図19は、接触動作の完了時のワークW1と孔Hとの位置関係を示す模式的な平面図である。
【0152】
具体的には、制御装置130は、
図18に示すように、第1基準軸X及び第2基準軸αが孔Hの軸Nに対して傾斜した状態でワークW1を孔Hの開口縁に接触させるようにロボットアーム120を移動させる。ロボットアーム120は、ワークW1のうち指32に把持された端部とは反対側の端部の端縁を孔Hの開口縁に接触させる。ワークW1の軸Mは、第2基準軸αと一直線上に並んでいるので、ワークW1の軸Mも孔Hの軸Nに対して傾斜している。
【0153】
ワークW1は円柱なので、ワークW1の端縁は円形である。孔Hは丸孔なので、孔Hの開口縁は円形である。ワークW1の軸Mが孔Hの軸Nに対して傾斜した状態でワークW1の円形の端縁が孔Hの円形の開口縁に接触すると、ワークW1は、孔Hの開口縁に点接触又は線接触する。この例では、ロボットアーム120は、軸Mと軸Nとをねじれの位置に配置することによって、
図19に示すように、ワークW1を孔Hの開口縁に点Pにおいて点接触させる。
【0154】
接触動作においては、拘束器9は、拘束状態となっており、偏心連結器41及び傾斜連結器47を拘束している。これにより、制御装置130は、把持器3の位置合わせ、即ち、ワークW1の位置合わせを精度よく行うことができる。尚、拘束器9の拘束状態においても、第2緩衝器98の作用によって第1緩衝器10は有効に機能するので、ワークW1を孔Hの開口縁に接触させる際にワークW1が受ける衝撃を第1緩衝器10及び第2緩衝器98で吸収することができる。そのため、ロボットアーム120及びハンド100による迅速な作業を実現することができる。
【0155】
続いて、制御装置130は、ステップS3において、解放動作及び導入動作をハンド100に実行させる。解放動作は、拘束器9による連結器4の拘束を解放する動作である。導入動作は、第1基準軸Xが孔Hの軸Nに対して傾斜した状態で回転アクチュエータ7を動作させることによってワークW1を孔Hに部分的に挿入する動作である。ハンド100は、解放動作と導入動作とを同時に実行する。
図20は、導入動作の完了時のハンド100を正面から見た模式図である。
図21は、導入動作の開始時のワークW1と孔Hとの位置関係を示す模式的な平面図である。
【0156】
具体的には、制御装置130は、第2モータ61を動作させる。第2モータ61が動作すると、直進アクチュエータ6、回転アクチュエータ7及び拘束アクチュエータ93が動作する。直進アクチュエータ6は、把持器3を第1基準軸X方向において先端側へ移動させる。回転アクチュエータ7は、把持器3の進出方向を向いて把持器3を時計回りに回転させる。拘束アクチュエータ93は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92を開閉方向Zへ開かせる。
【0157】
拘束器9が拘束状態から解放状態となるので、連結器4の動作が可能となる。連結器4は、第1基準軸X回りに回転しながら第1基準軸X方向へ進出する。連結器4の動作が可能となっているので、把持器3は、第1基準軸Xに対して自在に偏心及び傾斜可能な状態で、連結器4と共に移動する。連結器4が第1基準軸X方向へ進出するのに従って、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開閉方向Zへの間隔が拡がる。つまり、把持器3の可動範囲が拡がる。
【0158】
このとき、ワークW1は、
図21に示すように、孔Hの開口縁に点接触した状態から第2基準軸α回り、即ち、軸M回りに回転する(二点鎖線の矢印参照)。その結果、ワークW1が点Pをピボットに回転し、ワークW1が孔Hの開口縁に案内されて、ワークW1の端部が孔Hに嵌るようになる(太線の矢印参照)。その際、ワークW1は、軸Mが孔Hの軸Nに一致するように姿勢を変えていく。拘束器9による連結器4の拘束が解放されているため、把持器3は、第1基準軸Xに対して自在に偏心及び傾斜できる。つまり、ワークW1は、把持器3に把持されたまま、軸Mが軸Nと一致するように姿勢を変えることができる。さらに、傾斜連結器47は、把持器3の第2基準軸αを第1基準軸Xに対して傾斜させた状態で、第1基準軸X回りの回転シャフト71の回転を第2基準軸α回りの回転として把持器3へ伝達することができる。そのため、ワークW1は、第2基準軸α回り、即ち、軸M回りに回転しながら、軸Mが軸Nに一致するように姿勢を変えていく。こうして、ワークW1の端部が孔Hに円滑に挿入される。解放・導入動作を開始してからの、第1基準軸X方向への連結器4の進出量が所定量に達すると、制御装置130は、解放・導入動作を完了させる。
【0159】
解放・導入動作の完了時においては、
図20に示すように、把持器3の第2基準軸αは、第1基準軸Xに対して傾斜している。第2基準軸α及びワークW1の軸Mは、孔Hの軸Nと一直線上に並んでいる。ハンド本体2の位置及び姿勢は、解放・導入動作の開始時から変化していない。
【0160】
続いて、制御装置130は、ステップS4において、第1基準軸Xが孔Hの軸Nと略平行な状態で回転アクチュエータ7を動作させることによってワークW1を孔Hに挿入する挿入動作をロボットアーム120及びハンド100に実行させる。
図22は、挿入動作時のハンド100を正面から見た模式図である。
図23は、挿入動作時のワークW1と孔Hとの位置関係を示す模式的な平面図である。
図24は、挿入動作の完了時のハンド100を正面から見た模式図である。
【0161】
具体的には、制御装置130は、
図22に示すように、ロボットアーム120によってハンド本体2の傾きを変更させ、第1基準軸Xを孔Hの軸Nと略平行にさせる。ワークW1の端部が孔Hに挿入されているので、把持器3は、第2基準軸αが孔Hの軸Nと一直線上に並ぶ状態で拘束されている。連結器4の存在によって、把持器3は、第1基準軸Xに対して自在に偏心及び傾斜できる。その結果、ハンド本体2は、第1基準軸Xが第2基準軸α及び軸Nに対して略平行で且つ偏心した状態となり得る。尚、場合によっては、第1基準軸Xが第2基準軸α及び軸Nと一直線上に並ぶこともあり得る。
【0162】
この状態で、制御装置130は、直進アクチュエータ6及び回転アクチュエータ7を動作させる。傾斜連結器47は、把持器3の第2基準軸αを第1基準軸Xに対して偏心させた状態で、第1基準軸X回りの回転シャフト71の回転を第2基準軸α回りの回転として把持器3へ伝達することができる。その結果、ワークW1は、第2基準軸α回りに回転しながら第2基準軸α方向へ進出する。第2基準軸αと軸M及び軸Nとは一直線上に並んでいるので、ワークW1は、
図23に示すように、軸Mが軸Nと一致した状態で軸N回りに回転しながら孔Hに挿入されていく。その結果、ワークW1は、孔Hに円滑に挿入されていく。
【0163】
尚、直進アクチュエータ6及び回転アクチュエータ7が動作するときには、拘束アクチュエータ93も動作する。そのため、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開閉方向Zの間隔も拡がっていく。
【0164】
図24に示すように、挿入動作を開始してからの、第1基準軸X方向への連結器4の進出量が所定量に達すると、制御装置130は、挿入動作を完了させる。尚、挿入動作が完了する前にワークW1が孔Hの底に到達した場合には、第1緩衝器10が変形することによって把持器3及びワークW1の移動が吸収される。また、ワークW1の挿入は、連結器4の進出だけでなく、ロボットアーム120によるハンド100の押し込みによって実現されてもよい。
【0165】
その後、制御装置130は、開閉アクチュエータ8を動作させて、指32によるワークW1の把持を解除させる。こうして、制御装置130は、ワークW1の挿入作業を完了する。
【0166】
挿入作業は、鉛直方向の孔だけでなく、横向きの孔にも対応可能である。例えば、ハンド100によってワークW1を略水平方向へ延びる孔Hに挿入する挿入作業について説明する。挿入作業のフローチャートは、前述の
図17の通りである。
【0167】
ステップS1の把持動作は、前述の説明と同様である。
【0168】
ステップS2において、制御装置130は、接触動作をロボットアーム120及びハンド100に実行させる。
図25は、軸Nが水平方向に延びる孔Hへの接触動作の完了時のハンド100を正面から見た模式図である。
【0169】
具体的には、制御装置130は、
図25に示すように、第1基準軸X及び第2基準軸αが孔Hの軸Nに対して傾斜した状態でワークW1を孔Hの開口縁に接触させるようにロボットアーム120を移動させる。拘束器9は、拘束状態となっている。
【0170】
孔Hの軸Nは水平方向へ延びているので、ハンド100は、第1基準軸Xが鉛直方向に対して交差する姿勢となっている。鉛直方向の孔Hの場合も、ハンド100は、第1基準軸Xが鉛直方向に対して傾斜しているが、その場合よりも鉛直方向と第1基準軸Xとのなす角は大きくなっている。このとき、第2ホルダ92は、第1ホルダ91よりも低い位置に位置する。把持器3及びワークW1の自重の大部分を第2ホルダ92が支える。尚、「第1ホルダ91よりも低い位置」は、第1ホルダ91に対して鉛直方向の真下である必要はない。つまり、第2ホルダ92は、第1ホルダ91と鉛直方向に並んでいる必要はなく、第1ホルダ91の高さ位置が第2ホルダ92の高さ位置よりも低ければよい。
【0171】
続いて、ステップS3において、制御装置130は、解放動作及び導入動作をハンド100に実行させる。
図26は、水平方向に延びる孔Hへの導入動作の完了時のハンド100を正面から見た模式図である。
【0172】
拘束アクチュエータ93は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92を開閉方向Zへ開かせる。それと並行して、直進アクチュエータ6は、把持器3を第1基準軸X方向において先端側へ移動させ、回転アクチュエータ7は、把持器3の進出方向を向いて把持器3を時計回りに回転させる。
【0173】
拘束器9が解放状態となることによって、把持器3は、第1基準軸Xに対して偏心及び傾斜可能となる。第1基準軸Xは鉛直方向に対して傾斜しているので、把持器3及びワークW1の自重により、把持器3は、第1基準軸Xに対して偏心及び傾斜する。把持器3に対して第1基準軸Xを中心とする半径方向外側には、第1ホルダ91及び/又は第2ホルダ92が位置している。そのため、偏心及び傾斜した把持器3は、第1ホルダ91及び/又は第2ホルダ92に支持される。この例では、第2ホルダ92が第1ホルダ91よりも低い位置に位置しているので、把持器3及びワークW1の自重の多くは第2ホルダ92に支えられる。拘束器9は伝達ゴム97を有しているので、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、把持器3及びワークW1の自重によって伝達ゴム97の弾性力に抗して開閉方向Zへ少し開く。
【0174】
ここで、第2ホルダ92の第3接触面92aは、把持器3と1か所で接触する(
図14参照)。つまり、第2ホルダ92は、第3接触面92aに沿った把持器3の移動を阻害しない。連結器4によって偏心及び傾斜可能な把持器3は、第3接触面92aに沿って移動することができる。
【0175】
引き続き、直進アクチュエータ6、回転アクチュエータ7及び拘束アクチュエータ93が動作し、ワークW1は、第2基準軸α回り、即ち、軸M回りに回転しながら、軸Mが軸Nに一致するように姿勢を変えていく。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、開閉方向Zへ徐々に開いていく。ただし、拘束器9は伝達ゴム97を有しているので、把持器3が第1ホルダ91又は第2ホルダ92に接触する場合には、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、把持器3の動作を阻害しないように開閉方向Zへ弾性的に変位する。こうして、ワークW1の端部が孔Hに円滑に挿入される。
【0176】
その後、ステップS4において、制御装置130は、挿入動作をロボットアーム120及びハンド100に実行させる。
図27は、水平方向に延びる孔Hへの挿入動作時のハンド100を正面から見た模式図である。
【0177】
ロボットアーム120は、ハンド本体2の傾きを変更させ、第1基準軸Xを孔Hの軸Nと略平行にさせる。ハンド本体2は、第1基準軸Xが第2基準軸α及び軸Nに対して略平行で且つ偏心した状態となり得る。この状態で、直進アクチュエータ6及び回転アクチュエータ7は、連結器4を第1基準軸X回りに回転させながら第1基準軸X方向へ進出させる。偏心連結器41は、把持器3の第2基準軸αを第1基準軸Xに対して偏心させた状態で、第1基準軸X回りの回転シャフト71の回転を第2基準軸α回りの回転として把持器3へ伝達する。その結果、ワークW1は、第2基準軸α回りに回転しながら第2基準軸α方向へ進出する。第2基準軸αと軸M及び軸Nとは一直線上に並んでいるので、ワークW1は、軸Mが軸Nと一致した状態で軸N回りに回転しながら孔Hに挿入されていく。その結果、ワークW1は、孔Hに円滑に挿入されていく。
【0178】
尚、直進アクチュエータ6及び回転アクチュエータ7が動作するときには、拘束アクチュエータ93も動作する。そのため、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開閉方向Zの間隔も拡がっていく。
【0179】
挿入動作が完了すると、制御装置130は、開閉アクチュエータ8を動作させて、指32によるワークW1の把持を解除させる。こうして、制御装置130は、ワークW1の挿入作業を完了する。
【0180】
このように、挿入作業では第2基準軸αを孔Hの軸Nに対して傾斜させ且つワークW1を孔Hの開口縁に点接触又は線接触させた状態からワークW1を第2基準軸α回りに回転させることによってワークW1を孔Hへ挿入させる(以下、このような挿入を「回転傾斜挿入」という)。ハンド100を挿入作業に用いることによって、ワークW1の回転傾斜挿入を容易に実現することができる。つまり、孔Hの軸Nに対して第2基準軸αが傾斜し且つワークW1が孔Hの開口縁に点接触又は線接触した状態から回転アクチュエータ7を動作させる、即ち、回転シャフト71を第1基準軸X回りに回転させることによって、軸Mを軸Nに一致させるようにワークW1が孔Hへ挿入されていき、それを可能とするように把持器3が第1基準軸Xに対して傾斜していく。連結器4は、第1基準軸Xに対して把持器3が傾斜した状態であっても、第1基準軸X回りの回転シャフト71の回転を第2基準軸α回りの回転として把持器3に伝達することができる。ワークW1を第2基準軸α回りに回転させながら孔Hに挿入するので、孔HへのワークW1の挿入がより円滑になる。ハンド100を挿入作業に用いることによって、孔Hの軸Nの向きにかかわらず、ワークW1の回転傾斜挿入を容易に実現することができる。
【0181】
このように構成されたハンド100によれば、連結器4が把持器3を柔軟に支持、具体的には、第1基準軸Xに対して偏心可能且つ傾斜可能に支持しているので、把持器3によって把持されたワークの位置が所望の位置に対してずれていても、連結器4が位置ずれを吸収して、ワークを所望の位置へ配置することができる。そのため、ハンド100及びロボットアーム120に要求される位置決め精度を低下させることができる。
【0182】
ハンド100は、このような把持器3の柔軟な支持をハンド100の部品間のがたつき又は部品自体の剛性で実現しているのではなく、偏心連結器41及び傾斜連結器47によって実現している。部品間のがたつき等で把持器3を柔軟に支持する場合には、支持の柔軟性は成り行きで決まるので、設計及び管理が難しい。一方、偏心連結器41及び傾斜連結器47によれば、把持器3の支持の柔軟性及び可動領域を適切に設計及び管理することができる。
【0183】
それに加えて、連結器4は、ハンド本体2を含むハンド100の全体を柔軟に支持するのではなく、把持器3を柔軟に支持している。つまり、連結器4がハンド本体2も支持する場合に比べて、連結器4が支持する部材の重量が低減される。その結果、連結器4が支持する部材のイナーシャ(即ち、慣性モーメント)が低減され、把持器3を第1基準軸Xに対して傾斜又は偏心させる際の応答性が向上する。
【0184】
さらに、把持器3の低イナーシャ化を実現するために、把持器3を開閉させる開閉アクチュエータ8は、ハンド本体2に配置されている。連結器4は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心又は傾斜した状態で開閉アクチュエータ8の駆動力を把持器3に伝達する動力伝達器5を有している。具体的には、動力伝達器5は、第1ボールカップリング52と第2ボールカップリング53とを含む第1継手51を有している。開閉アクチュエータ8をハンド本体2へ配置しつつ、連結器4によって把持器3を偏心可能又は傾斜可能に支持する構成であっても、このような動力伝達器5を設けることによって開閉アクチュエータ8の駆動力で把持器3を開閉させることができる。
【0185】
また、把持器3は、第2基準軸α回りに回転するように構成されている。これにより、ハンド100を用いることによって、ワークを孔へ挿入する作業を容易に行うことができる。つまり、ワークを回転させながら孔へ挿入する場合、ワークを回転させることなく単に孔へ挿入する場合と比べて、ワークが孔に円滑に挿入され得る。
【0186】
さらに、把持器3の低イナーシャ化を実現するために、把持器3を第2基準軸α回りに回転させる回転アクチュエータ7は、ハンド本体2に配置されている。連結器4は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心又は傾斜した状態で回転アクチュエータ7の駆動力を把持器3に伝達する。その結果、回転アクチュエータ7をハンド本体2へ配置しつつ、連結器4によって把持器3を傾斜可能又は偏心可能に支持する構成であっても、回転アクチュエータ7の駆動力で把持器3を回転させることができる。
【0187】
また、ハンド100は、直進アクチュエータ6によって連結器4を第1基準軸X方向へ移動させる。そのため、ハンド本体2を移動させなくても、即ち、ロボットアーム120を移動させなくても、ワークW1の傾きを変更させながら、ワークW1を孔Hに挿入することができる。
【0188】
さらに、直進アクチュエータ6及び回転アクチュエータ7の駆動源は共通の第2モータ61であり、直進アクチュエータ6と回転アクチュエータ7とは同時に動作するので、回転シャフト71を第1基準軸X回りに回転させながら第1基準軸X方向へ進出させることを容易に実現することができる。
【0189】
また、ハンド100は拘束器9を備えているので、把持器3は第1基準軸Xに対して常に偏心可能又は傾斜可能ではなく、拘束器9によって把持器3を偏心不能且つ傾斜不能にすることができる。拘束器9で連結器4を拘束することによって、把持器3の位置を安定させることができる。例えば、ワークW1を孔Hの開口縁に点接触させる際に拘束器9で連結器4を拘束することによって、ワークW1の位置を安定させ、ワークW1の位置合わせを精度よく行うことができる。
【0190】
さらに、拘束器9によって連結器4を拘束したときには、第2基準軸αは第1基準軸Xと一直線上に並ぶ。そのため、拘束器9による拘束状態においては、ハンド本体2の第1基準軸Xを基準にしてハンド100の位置を制御することによって、必然的に把持部3の第2基準軸αの位置を制御することができる。例えば、ロボットアーム120及びハンド100に接触動作を実行させる際の位置制御が容易になる。
【0191】
それに加えて、拘束器9は、開閉動作によって、把持器3への接触による連結器4の拘束状態と把持器3からの離反による連結器4の開放状態とを切り替える。そのため、連結器4の拘束状態と解放状態とを即座に切り替えることができる。例えば、別の構成として、把持器3と別の部材とを第1基準軸X方向へ嵌め合わせることによって連結器4の動作を拘束する構成が考えられる。しかし、拘束状態を解放するためには把持器3及び別の部材の一方から他方を完全に抜く必要があり、拘束状態の解放まで時間を要する。また、把持器3及び他の部材の一方から他方を抜く動作中に抜く方向に交差する方向へ力が作用すると、把持器3と他の部材とが引っかかって、抜く動作が円滑に行われない虞がある。それに対し、拘束器9は開閉動作によって把持器3から離反するため把持器3から即座に離反することができ、その結果、連結器4の拘束を即座に解放することができる。また、拘束状態からの解放においては、把持器3からの拘束器9の離反によって把持器3と拘束器9との距離が拡大するので、把持器3と拘束器9との引っかかりが生じにくくなる。さらに、拘束器9が開閉動作によって把持器3から離反することは、拘束状態の解放だけでなく、把持器3との引っかかりを解消する動作にもなる。つまり、把持器3と拘束器9との引っかかりが生じても、拘束器9は、引っかかりを容易に解消することができる。
【0192】
また、拘束器9は伝達ゴム97を有している具体的には、第2モータ61の駆動力を伝達して第1ホルダ91及び第2ホルダ92を変位させる拘束伝達器94が、伝達ゴム97を含んでいる。より具体的には、拘束伝達器94において、第1伝達器95と第2伝達器96とが伝達ゴム97によって弾性的に連結されている。拘束器9は、把持器3を弾性的に保持するので、把持器3は、拘束器9によって保持された状態であっても伝達ゴム97の弾性変形に応じて変位することができる。その結果、ハンド100は、拘束器9の拘束状態においても把持器3の位置ずれを伝達ゴム97の弾性変形の範囲で吸収することができる。
【0193】
さらに、把持器3は偏心又は傾斜可能であるが故に、拘束器9の解放状態において、把持器3が第1ホルダ91及び/又は第2ホルダ92に接触する場合がある。特に、第1基準軸Xが鉛直方向に対して交差するような姿勢をハンド100が取る場合には、拘束器9の解放状態において、把持器3は、自重及びワークW1の荷重によって偏心又は傾斜しやすい。第1基準軸Xの傾斜角度及び第1ホルダ91及び第2ホルダ92の開度によっては、把持器3は、第1ホルダ91及び/第2ホルダ92に接触し、第1ホルダ91及び/又は第2ホルダ92に支持される。このような場合にも、第1ホルダ91及び/又は第2ホルダ92は、開閉方向Zへ弾性的に変位可能であるため、把持器3の動作を阻害することなく弾性的に支持することができる。その結果、把持器3の円滑な動作を実現することができる。
【0194】
さらに、第1ホルダ91は、接触状態において把持器3と少なくとも2か所で接触し、第2ホルダ92は、接触状態において把持器3と1か所で接触するので、把持器3の位置精度を向上させることができる。
【0195】
それに加えて、拘束器9の解放状態において把持器3が相対変位すると、把持器3が第1ホルダ91及び/又は第2ホルダ92と接触し得る。第2ホルダ92が第1ホルダ91よりも下方に位置する姿勢でハンド100が使用される場合、把持器3は、相対的に下方に位置する第2ホルダ92に接触し、第2ホルダ92に支えられ得る。このとき、第2ホルダ92は把持器3を1か所で支持するので、把持器3は、第2ホルダ92の形状に沿って移動することができる。仮に、把持器3が第1ホルダ91によって支持されている場合には、第1ホルダ91は、把持器3を2か所で支持するため、把持器3を変位不能に支持する。その場合、把持器3の位置を変更可能という連結器4の機能が十分に発揮されない。つまり、第2ホルダ92は、把持器3を1か所のみで支持することによって、連結器4の機能が発揮される状態で把持器3の自重を支えることができる。
【0196】
また、ハンド100は、第1緩衝器10を備えているので、把持器3に第1基準軸X方向の過度な力が作用した場合には、第1緩衝器10によってそのような力を吸収することができる。その結果、第1基準軸X方向への把持器3の位置制御の精度を緩くすることができる。
【0197】
それに加えて、拘束器9は、第2緩衝器98によって第1ホルダ91及び第2ホルダ92を第1基準軸X方向へ弾性的に支持している。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、第1基準軸X方向へ弾性的に変位可能であるため、拘束器9による拘束状態であっても、把持器3は、ハンド本体2に対して第1基準軸X方向への相対移動することができる。このように、拘束器9は、第1基準軸X方向への弾性的な変位可能に把持器3を保持することによって、拘束状態においても、把持器3に作用する、第1基準軸Xの方向への力を吸収する第1緩衝器10を有効に機能させることができる。
【0198】
また、拘束アクチュエータ93の駆動源は、第2モータ61であり、直進アクチュエータ6の駆動源と共通である。さらに、拘束アクチュエータ93の駆動源は、回転アクチュエータ7の駆動源と共通である。そのため、ハンド100の駆動源を低減することができ、部品点数及びコストを低減することができる。さらに、駆動源が共通なので、直進アクチュエータ6、回転アクチュエータ7及び拘束アクチュエータ93が連動している。そのため、拘束器9の解放動作とワークW1の導入動作とを並行して実行することができる。その結果、孔Hの開口縁へのワークW1の接触が完了してから、ワークW1を孔Hに部分的に挿入するまでの時間が短縮され、ひいては、挿入作業に要する時間が短縮される。
【0199】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0200】
例えば、ハンド100は、ロボットアーム120に連結されていなくてもよい。ハンド100は、ロボット110ではなく、専用機等に適用されてもよい。
【0201】
ハンド100が行う作業は、挿入作業に限定されない。ハンド100の作業は、部品を単にピッキングする作業、又は、部品を所定の場所に配置する作業等であってもよい。
【0202】
挿入作業は、孔HへのワークW1の単純な挿入だけでなく、孔HへのワークW1の圧入又はネジ孔へのワークW1の螺合等であってもよい。また、挿入作業は、回転傾斜挿入に限定されない。つまり、孔HへワークW1を挿入する際に、第2基準軸αと孔Hの軸Nとが略平行又は一直線上に並んだ状態からワークW1を孔Hに挿入してもよい。あるいは、孔HへワークW1を挿入する際に、ワークW1が孔Hの開口縁に線接触又は複数点接触した状態からワークW1を孔Hに挿入してもよい。
【0203】
前述の挿入作業においては、ロボットシステム1000は、回転傾斜挿入によって孔HへのワークW1の導入動作を行った後、第1基準軸Xを孔Hの軸Nに対して略平行にした状態でさらに挿入動作を実行しているが、これに限定されない。例えば、導入動作の後、第1基準軸Xが孔Hの軸Nに傾斜したまま、孔HへのワークW1の挿入を継続してもよい。
【0204】
ハンド100は、直進アクチュエータ6及び回転アクチュエータ7の少なくとも一方が省略されてもよい。例えば、ロボットアーム120によってハンド100の全体を第1基準軸X方向へ直進させたり、又は、第1基準軸X回りに回転させたりしてもよい。
【0205】
連結器4は、把持器3の第2基準軸αを第1基準軸Xに対して偏心又は傾斜させればよい。つまり、連結器4は、把持器3の偏心及び傾斜の一方が可能であればよい。
【0206】
把持器3の第2基準軸αを第1基準軸Xに対して偏心させる機構は、偏心連結器41の構成に限定されない。例えば、偏心連結器41は、第2継手45と、偏心体42、転動体43及び第1円盤71cとの何れか一方だけを有していてもよい。
【0207】
第2継手45は、オルダム継手に限定されない。第2継手45は、偏心した2軸間で回転を伝達する継手であればよい。例えば、第2継手45は、シュミット継手、又は、一方の軸の円盤に取り付けたピンを他方の軸の円盤に設けた丸穴に嵌めて、回転を伝える継手であるピン継手であってもよい。
【0208】
第3継手48は、自在継手に限定されない。第3継手48は、傾斜した2軸(即ち、偏角を有する2軸)間で回転を伝達する継手であればよい。例えば、第3継手48は、撓み継手、トルクコイル又はボールジョイントであってもよい。
【0209】
把持器3の動作機構33は、リンク機構に限定されない。動作機構33は、開閉シャフト84の回転によって駆動され、指32を開閉させる機構であればよい。例えば、動作機構33は、スライダ方式、又は、ラック・ピニオン方式で指32を開閉させる機構であってもよい。
【0210】
第1継手51は、第1ボールカップリング52及び第2ボールカップリング53に限定されない。第1継手51は、偏心又は傾斜した2軸間で回転を伝達する継手であればよい。例えば、第1継手51は、1又は複数の自在継手、撓み継手、トルクコイル、ボールジョイント、オルダム継手、シュミット継手又はピン継手であってもよい。
【0211】
拘束器9は、前述の構成に限定されない。拘束器9は、開閉動作によって拘束状態と解放状態とを切り替える限り、任意の構成を採用することができる。例えば、拘束器9は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92に加えて、1又は複数の別のホルダをさらに備えていてもよい。例えば、拘束器9は、開閉動作する3つのホルダを有していてもよい。
【0212】
拘束器9は、拘束状態において、把持器3の第2筒34b以外の部分、例えば、第1筒34aに接触することによって、把持器3を保持してもよい。
【0213】
また、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、閉じることによって把持器3に外側から接触しているが、これに限定されない。第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、把持器3の内部に配置され、開くことによって把持器3に内側から接触してもよい。
【0214】
拘束アクチュエータ93の構成は、前述の構成に限定されない。拘束アクチュエータ93の駆動源は、直進アクチュエータ6又は回転アクチュエータ7の駆動源と分離されていてもよい。つまり、拘束アクチュエータ93は、直進アクチュエータ6又は回転アクチュエータ7から独立して、第1ホルダ91及び第2ホルダ92を動作させてもよい。拘束伝達器94は、第1伝達器95、第2伝達器96及び伝達ゴム97を含む構成でなくてもよい。例えば、拘束伝達器94は、モータの駆動力を第1ホルダ91及び第2ホルダ92に伝達し、第1ホルダ91及び第2ホルダ92を開閉方向Zへ案内するリニアガイド又は送りネジ機構であってもよい。その場合、リニアガイド又は送りネジ機構と第1ホルダ91及び第2ホルダ92とを連結する部分に、第1弾性部材が含まれ得る。
【0215】
拘束状態において把持器3を弾性的に保持する第1弾性部材は、伝達ゴム97に限定されない。例えば、第1弾性部材は、ゴムではなく、バネであってもよい。例えば、係合孔96h内に伝達ゴム97に代えてコイルバネが第1弾性部材として配置されていてもよい。また、第1弾性部材の配置は、前述の伝達ゴム97の配置に限定されない。例えば、第1ホルダ91と第3リンク96cとが第1弾性部材を介して開閉方向Zへ弾性的に連結されていてもよい。同様に、第2ホルダ92と第6リンク96fとが第1弾性部材を介して開閉方向Zへ弾性的に連結されていてもよい。あるいは、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、シリコンゴム等の弾性体で形成され、開閉方向Zへの弾性を有していてもよい。
【0216】
第2緩衝器98は、第2伝達器96と第1ホルダ91及び第2ホルダ92との間に設けられているが、これに限定されない。
【0217】
フローチャートは、一例に過ぎない。フローチャートにおけるステップを適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行ってもよい。また、フローチャートにおけるステップの順番を変更したり、直列的な処理を並列的に処理したりしてもよい。例えば、ステップS3とステップS4とが連続的に実行され、導入動作と挿入動作との境界が無くてもよい。
【0218】
本明細書中に記載されている構成要素により実現される機能は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、集積回路、ASICs(Application Specific Integrated Circuits)、CPU(a Central Processing Unit)、従来型の回路、及び/又はそれらの組合せを含む、回路(circuitry)又は演算回路(processing circuitry)において実装されてもよい。プロセッサは、トランジスタ及びその他の回路を含み、回路又は演算回路とみなされる。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する、プログラマブルプロセッサ(programmed processor)であってもよい。
【0219】
本明細書において、回路(circuitry)、ユニット、手段は、記載された機能を実現するようにプログラムされたハードウェア、又は実行するハードウェアである。当該ハードウェアは、本明細書に開示されているあらゆるハードウェア、又は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、又は、実行するものとして知られているあらゆるハードウェアであってもよい。
【0220】
当該ハードウェアが回路(circuitry)のタイプであるとみなされるプロセッサである場合、当該回路、手段、又はユニットは、ハードウェアと、当該ハードウェア及び又はプロセッサを構成する為に用いられるソフトウェアの組合せである。
【0221】
本開示の技術をまとめると、以下のようになる。
【0222】
[1]ハンド100は、ハンド本体2と、ワークを把持する把持器3と、前記ハンド本体2に対する前記把持器3の相対位置を変更可能に前記把持器3を前記ハンド本体2に連結する連結器4と、前記連結器4の動作を拘束する拘束器9とを備え、前記拘束器9は、前記把持器3に接触することによって前記連結器4の動作を拘束する拘束状態と、前記把持器3から離反することによって前記連結器4の動作の拘束を解放する解放状態とを開閉動作によって切り替える。
【0223】
この構成によれば、ハンド100は、ハンド本体2に対する相対位置が変更可能な把持器3によってワークを把持する。ハンド100は、把持器3の位置ずれを連結器4によって吸収することができる。そのため、把持器3の位置精度があまり高くなくても、把持器3による作業を適切に実行することができる。さらに、ハンド本体2を含むハンド100全体の位置が変更されるのではなく、把持器3の相対位置が変更可能となっている。それにより、連結器4で支持する部材の慣性モーメントを低減できる。その結果、把持器3の相対位置を変更させる際の応答性を向上させることができる。
【0224】
それに加えて、拘束器9は、開閉動作によって連結器4の拘束状態と連結器4の開放状態とを切り替えるので、拘束状態と解放状態とを即座に切り替えることができる。また、拘束状態からの解放において、把持器3からの拘束器9の離反によって把持器3と拘束器9との距離が拡大するので、把持器3と拘束器9との引っかかりが生じにくくなる。さらに、拘束器9が開閉動作によって把持器3から離反することは、拘束状態の解放だけでなく、把持器3との引っかかりを解消する動作にもなる。仮に、把持器3と拘束器9との引っかかりが生じても、拘束器9は、引っかかりを容易に解消することができる。
【0225】
[2] [1]に記載のハンド100において、前記拘束器9は、伝達ゴム97(第1弾性部材)を有し、前記拘束状態において前記把持器3を弾性的に保持することによって前記連結器4の動作を拘束する。
【0226】
この構成によれば、把持器3は、拘束器9によって保持された状態であっても伝達ゴム97の弾性変形に応じて変位することができる。つまり、連結器4は、拘束器9の拘束状態においても伝達ゴム97の弾性変形の範囲で把持器3をハンド本体2に対して相対変位させることができる。その結果、ハンド100は、拘束器9の拘束状態においても把持器3の位置ずれを伝達ゴム97の弾性変形の範囲で吸収することができる。そのため、把持器3の位置精度があまり高くなくても、把持器3による作業を適切に実行することができる。
【0227】
[3] [1]又は[2]に記載のハンド100において、前記拘束器9は、前記拘束状態において前記把持器3に接触する第1ホルダ91及び第2ホルダ92と、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92を開閉動作させる拘束アクチュエータ93とを有し、前記拘束アクチュエータ93は、駆動力を発生させる第2モータ61(拘束駆動源)と、前記第2モータ61と前記第1ホルダ91及び第2ホルダ92とを連結し、前記第2モータ61の駆動力を前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92へ伝達する拘束伝達器94とを有し、前記伝達ゴム97は、前記拘束伝達器94に含まれる。
【0228】
この構成によれば、第2モータ61の駆動力を伝達して第1ホルダ91及び第2ホルダ92を変位させる拘束伝達器94に伝達ゴム97が含まれている。伝達ゴム97が弾性変形すると、拘束伝達器94の状態が変化し、結果として、第1ホルダ91及び第2ホルダ92の位置が変化し得る。つまり、拘束伝達器94の状態が弾性的に変化することによって、第1ホルダ91及び第2ホルダ92による把持器3の弾性的な保持を実現することができる。
【0229】
[4] [1]乃至[3]の何れか1つに記載のハンド100において、前記拘束伝達器94は、前記第2モータ61から駆動力が入力される第1伝達器95と、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92へ駆動力を伝達する第2伝達器96とを有し、前記伝達ゴム97は、前記第1伝達器95と前記第2伝達器96とを弾性的に連結する。
【0230】
この構成によれば、拘束伝達器94に含まれる第1伝達器95と第2伝達器96とを伝達ゴム97が弾性的に連結する。つまり、伝達ゴム97は、第2モータ61の駆動力を第1伝達器95から第2伝達器96へ伝達する。また、第1ホルダ91及び第2ホルダ92へ作用する外力は、第2伝達器96を介して伝達ゴム97へ伝わる。その結果、伝達ゴム97が弾性変形し、それに応じて、第1ホルダ91及び第2ホルダ92が弾性的に変位することができる。
【0231】
[5] [1]乃至[4]の何れか1つに記載のハンド100において、前記拘束器9は、前記拘束状態において前記把持器3に接触する第1ホルダ91及び第2ホルダ92と、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92を開閉動作させる拘束アクチュエータ93とを有し、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92は、開閉動作を行うことによって前記把持器3への接触状態と前記把持器3からの離反状態とを切り替え、前記第1ホルダ91は、前記接触状態において前記把持器3と少なくとも2か所で接触し、前記第2ホルダ92は、前記接触状態において前記把持器3と1か所で接触する。
【0232】
この構成によれば、第1ホルダ91及び第2ホルダ92によって把持器3を少なくとも3点で接触して保持するため、把持器3の位置精度を向上させることができる。
【0233】
[6] [1]乃至[5]の何れか1つに記載のハンド100において、前記把持器3は、前記ハンド本体2に対して所定の第1基準軸Xの方向へ直進するように構成され、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92は、前記第1基準軸Xの方向に対して交差する方向に開閉動作を行い、前記ハンド100が、前記第1基準軸Xが鉛直方向に対して交差する姿勢となった場合に、前記第2ホルダ92は、前記第1ホルダ91よりも低い位置に位置する。
【0234】
この構成によれば、拘束器9を拘束状態から解放状態に切り替わると、把持器3は、連結器4によって相対変位可能となる。拘束器9の解放状態において第1ホルダ91及び第2ホルダ92と把持器3との距離があまり離れていない場合には、把持器3が相対変位して第1ホルダ91又は第2ホルダ92と接触し得る。第2ホルダ92が第1ホルダ91よりも低い位置に位置するので、自重によって変位する把持器3を第2ホルダ92が支えることができる。第2ホルダ92は把持器3を1か所で支持するので、把持器3は、第2ホルダ92の形状に沿って移動することができる。つまり、第2ホルダ92は、連結器4が機能を発揮できる状態で把持器3の自重を支えることができる。
【0235】
つまり、拘束器9の拘束状態においては、第1ホルダ91及び第2ホルダ92によって把持器3を高い位置精度で保持することができ、拘束器9の解放状態においては、把持器3を第2ホルダ92によって相対変位可能な状態で支持することができる。
【0236】
[7] [1]乃至[6]の何れか1つに記載のハンド100において、前記把持器3は、前記ハンド本体2に対して所定の第1基準軸X方向へ直進するように構成され、前記拘束器9は、前記拘束状態において前記把持器3に接触する第1ホルダ91及び第2ホルダ92と、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92を開閉動作させる拘束アクチュエータ93と、第1ホルダ91及び第2ホルダ92を第1基準軸Xの方向へ弾性的に支持する第2緩衝器98(緩衝器)とを有し、前記第2緩衝器98は、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92を前記第1基準軸Xの方向へ変位可能に案内するガイド98aと、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92を前記ガイド98aに沿って弾性的に支持する第2バネ98b(第2弾性部材)とを有する。
【0237】
この構成によれば、第1ホルダ91及び第2ホルダ92は、拘束アクチュエータ93によって開閉動作させられる一方で、第2緩衝器98によって第1基準軸X方向へ弾性的に支持されている。そのため、拘束器9による拘束状態であっても、把持器3は、第1ホルダ91及び第2ホルダ92と共に、ハンド本体2に対して第1基準軸X方向への相対移動することができる。例えば、ハンド100が把持器3に作用する、第1基準軸Xの方向への力を吸収する第1緩衝器10を備える構成においては、拘束器9の拘束状態においても、第1緩衝器10を有効に機能させることができる。
【0238】
[8] [1]乃至[7]の何れか1つに記載のハンド100において、前記把持器3を前記ハンド本体に対して所定の第1基準軸Xの方向へ直進させる直進アクチュエータ6をさらに備え、前記拘束器9は、前記拘束状態において前記把持器3に接触する第1ホルダ91及び第2ホルダ92と、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92を開閉動作させる拘束アクチュエータ93とを有し、前記直進アクチュエータ6は、駆動力を発生させる第2モータ61(直進駆動源)と、前記第2モータ61の駆動力を前記把持器3へ伝達する直進伝達器67とを有し、前記拘束アクチュエータ93は、駆動力を発生させる第2モータ61と、前記第2モータ61と前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92とを連結し、前記第2モータ61の駆動力を前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92へ伝達する拘束伝達器94とを有し、直進アクチュエータ6の前記第2モータ61と拘束アクチュエータ93の前記第2モータ61とは、共通である。
【0239】
この構成によれば、共通の第2モータ61によって直進アクチュエータ6及び拘束アクチュエータ93を動作させることができる。ハンド100の駆動源の個数を低減することによって、ハンド100における部品点数及びコストを低減できる。
【0240】
[9] [1]乃至[8]の何れか1つに記載のハンド100において、前記ハンド本体2には、所定の第1基準軸Xが規定され、前記把持器3には、所定の第2基準軸αが規定され、前記連結器4は、前記第2基準軸αが前記第1基準軸Xに対して偏心可能に前記把持器3を支持する偏心連結器41、及び、前記第2基準軸αが前記第1基準軸Xに対して傾斜可能に前記把持器3を支持する傾斜連結器47の少なくとも一方を含む。
【0241】
この構成によれば、ハンド100は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心可能又は傾斜可能な把持器3によってワークを把持する。把持器3の位置ずれを偏心連結器41又は傾斜連結器47によって吸収することができる。そのため、把持器3の位置精度があまり高くなくても、把持器3による作業を適切に実行することができる。さらに、連結器4は、ハンド本体2を含むハンド100全体を偏心可能又は傾斜可能に支持するのではなく、把持器3を偏心可能又は傾斜可能に支持している。それにより、連結器4で支持する部材の慣性モーメントを低減することができる。その結果、把持器3を第1基準軸Xに対して傾斜又は偏心させる際の応答性を向上させることができる。
【0242】
[10] [1]乃至[9]の何れか1つに記載のハンド100において、連結器4は、偏心連結器41及び傾斜連結器47の両方を含んでいる。
【0243】
この構成によれば、連結器4は、第1基準軸Xに対する第2基準軸αの偏心及び偏角の両方を吸収することができる。つまり、連結器4は、把持器3の位置ずれをより柔軟に吸収することができる。
【0244】
[11] [1]乃至[10]の何れか1つに記載のハンド100において、前記拘束器9は、前記第1基準軸と前記第2基準軸とが一直線上に並ぶ状態で前記連結器の動作を拘束する。
【0245】
この構成によれば、拘束器9による拘束状態においては、ハンド本体2の第1基準軸Xを基準にしてハンド100の位置を制御することによって、必然的に把持器3の第2基準軸αの位置を制御することができる。
【0246】
[12] [1]乃至[11]の何れか1つに記載のハンド100において、ハンド本体2は、把持器3を開閉させる開閉アクチュエータ8を有し、連結器4は、開閉アクチュエータ8の駆動力を把持器3に伝達する動力伝達器5を有し、動力伝達器5は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心又は傾斜した状態で開閉アクチュエータ8の駆動力を把持器3に伝達する。
【0247】
この構成によれば、把持器3を開閉させる開閉アクチュエータ8をハンド本体2に設けることによって、把持器3の軽量化を促進することができる。さらに、開閉アクチュエータ8がハンド本体2に設けられ且つ連結器4が把持器3を第1基準軸Xに対して偏心可能又は傾斜可能に支持する構成であっても、動力伝達器5を介して開閉アクチュエータ8の駆動力を把持器3に適切に伝達することができる。つまり、動力伝達器5が設けられていることによって、ハンド本体2に配置された開閉アクチュエータ8による把持器3の駆動と連結器4による偏心可能又は傾斜可能な把持器3の支持とを両立することができる。
【0248】
[13] [1]乃至[12]の何れか1つに記載のハンド100において、開閉アクチュエータ8は、駆動力を発生する第1モータ81(開閉駆動源)と、第1基準軸Xを軸心として延び且つ第1モータ81の駆動力によって第1基準軸X回りに回転させられる開閉シャフト84とを含み、動力伝達器5は、開閉シャフト84と把持器3とを連結する第1継手51を含み、連結器4は、傾斜連結器47を含み、第1継手51は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して傾斜した状態で開閉シャフト84の回転を把持器3に伝達し、把持器3は、ベース31と、ベース31に支持され、開閉シャフト84の回転によって開閉動作する複数の指32とを有する。
【0249】
この構成によれば、開閉アクチュエータ8は、第1基準軸X回りに開閉シャフト84を回転させる。開閉シャフト84は、動力伝達器5の第1継手51を介して把持器3に連結されている。これにより、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して傾斜した状態であっても、第1基準軸X回りの開閉シャフト84の回転が把持器3に伝達される。その結果、複数の指32を適切に開閉させることができる。
【0250】
[14] [1]乃至[13]の何れか1つに記載のハンド100において、連結器4は、偏心連結器41をさらに含み、第1継手51は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心した状態で開閉シャフト84の回転を把持器3に伝達する。
【0251】
この構成によれば、連結器4は、偏心連結器41及び傾斜連結器47の両方を含んでいる。第1継手51は、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心した状態でも傾斜した状態でも開閉シャフト84の回転を把持器3に伝達することができる。その結果、把持器3が第1基準軸Xに対して偏心及び傾斜する場合であっても、複数の指32を適切に開閉させることができる。
【0252】
[15]ロボットシステム1000は、[1]乃至[14]の何れか1つに記載のハンド100と、前記ハンド100が連結されたロボットアーム120と、前記ロボットアーム120及び前記ハンド100を制御する制御装置130とを備え、前記制御装置130は、前記ハンド100によって把持された前記ワークW1を所定の孔Hに挿入する挿入作業を前記ロボットアーム120及び前記ハンド100に実行させる。
【0253】
この構成によれば、ハンド100を用いてワークW1を孔Hに挿入する挿入作業が実行される。ハンド100の把持器3は、ハンド本体2に対する相対位置を変更可能に連結器4によって支持されている。そのため、孔Hに対するワークW1の位置合わせを厳密に行わなくても、連結器4が把持器3を適宜変位させることによって孔HへのワークW1の挿入作業を円滑に行うことができる。
【0254】
[16] [15]に記載のロボットシステムにおいて、前記ハンド本体2には、所定の第1基準軸Xが規定され、前記把持器3には、所定の第2基準軸αが規定され、前記連結器は、前記第2基準軸αが前記第1基準軸Xに対して偏心可能に前記把持器3を支持する偏心連結器41、及び、前記第2基準軸αが前記第1基準軸Xに対して傾斜可能に前記把持器3を支持する傾斜連結器47の少なくとも一方を含み、制御装置130は、把持器3によって把持されたワークW1を第2基準軸αが孔Hの軸Nに対して偏心又は傾斜した状態から孔Hに挿入させる。
【0255】
この構成によれば、ワークW1が孔Hから多少ずれた状態からワークW1が孔Hに挿入される。その場合、ワークW1は、孔Hの開口縁に案内されて、孔Hに嵌ろうとする。このとき、把持器3は、第1基準軸Xに対して偏心可能又は傾斜可能となっているので、ワークW1は姿勢を自在に変更することができ、孔Hに円滑に嵌るようになる。
【0256】
[17] [15]又は[16]に記載のロボットシステム1000において、ハンド本体2は、連結器4に連結され、把持器3を第2基準軸α回りに回転させる回転アクチュエータ7を有し、連結器4は、傾斜連結器47を含むと共に、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して傾斜した状態で回転アクチュエータ7の駆動力を把持器3に伝達し、前記制御装置130は、前記把持器3によって把持された前記ワークW1を、前記拘束器9によって前記傾斜連結器47を拘束し且つ前記第2基準軸αが前記孔Hの軸Nに対して傾斜した状態で前記孔Hの開口縁に点接触させるように前記ロボットアーム120を動作させ、前記拘束器9による前記傾斜連結器47の拘束を解放した状態で、前記回転アクチュエータ7を動作させることによって前記ワークW1を前記孔Hに挿入させる。
【0257】
この構成によれば、まず、ロボットアーム120は、第2基準軸αが孔Hの軸Nに対して傾斜し且つワークW1が孔Hの開口縁に点接触する状態にハンド100を移動させる。このとき、拘束器9が傾斜連結器47を拘束しているので、把持器3及びワークW1の位置決めを精度よく行うことができる。そして、孔HへのワークW1の挿入が実行されるときには、拘束器9による傾斜連結器47の拘束が解放されている。第2基準軸αが孔Hの軸Nに対して傾斜し且つワークW1が孔Hの開口縁に点接触した状態からワークW1を第2基準軸α回りに回転させることによってワークW1を孔Hへ挿入させる回転傾斜挿入が実行される。回転傾斜挿入によれば、ワークW1が孔Hの開口縁に案内され、孔HへのワークW1の導入が円滑に行われる。連結器4は、把持器3を第1基準軸Xに対して傾斜可能に支持しつつ、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して傾斜した状態で回転アクチュエータ7の駆動力を把持器3に伝達することができる。そのため、把持器3は、ワークW1が孔Hに導入されるのに従って第2基準軸αが孔Hの軸Nに一致するように姿勢を変えながら且つ第2基準軸α回りの回転を継続することができる。このような把持器3の動作は、ハンド本体2を移動させなくても、連結器4による把持器3の柔軟な支持によって実現できる。
【0258】
[18] [15]乃至[17]の何れか1つに記載のロボットシステム1000において、連結器4は、偏心連結器41をさらに含むと共に、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心した状態で回転アクチュエータ7の駆動力を把持器3に伝達し、制御装置130は、把持器3によって把持されたワークW1を孔Hに部分的に挿入させた後に、第1基準軸Xが孔Hの軸Nと略平行になるようにロボットアーム120を動作させ、その後、回転アクチュエータ7を動作させることによってワークW1を孔Hにさらに挿入させる。
【0259】
この構成によれば、回転傾斜挿入によってワークW1を孔Hへ部分的に挿入させた後に、第1基準軸Xが孔Hの軸Nと略平行になるようにロボットアーム120が移動する。ワークW1が孔Hに挿入されているので、第2基準軸αは軸Nと一直線上に並ぶ。そのため、第1基準軸Xは、第2基準軸αと一直線上に並ぶか又は略平行になる。連結器4は、把持器3を第1基準軸Xに対して偏心可能に支持すると共に、第2基準軸αが第1基準軸Xに対して偏心した状態で回転アクチュエータ7の駆動力を把持器3に伝達することができる。そのため、ハンド100は、第2基準軸αが第1基準軸Xと一直線上に並ぶか又は偏心した状態で回転アクチュエータ7によって把持器3を第2基準軸α回りに回転させることができる。その結果、ワークW1は、軸N回りに回転しながら孔Hに挿入されていく。このとき、第1基準軸Xが軸Nと一直線上に並ぶか又は略平行となっているので、第1基準軸Xと軸Nとが傾斜している場合に比べて、ワークW1の孔Hへのかじりを低減することができる。その結果、孔HへのワークW1の挿入を円滑に行うことができる。
【0260】
[19] [15]乃至[18]の何れか1つに記載のロボットシステム1000において、前記制御装置130は、前記把持器3によって把持された前記ワークW1を、前記拘束器9によって前記傾斜連結器47を拘束し且つ前記第1基準軸Xが鉛直方向に対して交差する状態で、前記孔Hの開口縁に点接触させるように前記ロボットアーム120を動作させる。
【0261】
この構成によれば、ハンド本体2の第1基準軸Xが鉛直方向に対して交差するので、把持器3は、拘束器9の解放状態において、自重及びワークW1の荷重によって偏心又は傾斜する。鉛直方向に対する第1基準軸Xの角度及び把持器3と拘束器9との距離によっては、偏心又は傾斜した把持器3は拘束器9と接触する。そのような場合であっても、拘束器9は、把持器3を弾性的に支持する。つまり、拘束器9は、把持器3の動作を阻害することなく、把持器3を支持する。その結果、把持器3の円滑な動作が実現される。
【0262】
[20] [15]乃至[19]の何れか1つに記載のロボットシステム1000において、前記把持器3は、前記ハンド本体2に対して所定の第1基準軸Xの方向へ直進するように構成され、前記拘束器9は、前記拘束状態において前記把持器3に接触する第1ホルダ91及び第2ホルダ92と、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92を開閉動作させる拘束アクチュエータ93とを有し、前記第1ホルダ91及び前記第2ホルダ92は、前記第1基準軸Xの方向に対して交差する方向に開閉動作を行うことによって前記把持器3への接触状態と前記把持器3からの離反状態とを切り替え、前記第1ホルダ91は、前記接触状態において前記把持器3と少なくとも2か所で接触し、前記第2ホルダ92は、前記接触状態において前記把持器3と1か所で接触し、前記制御装置130は、前記把持器3によって把持された前記ワークW1を前記孔Hに挿入させるときに、前記第1基準軸Xが鉛直方向に対して交差し且つ前記第2ホルダ92が前記第1ホルダ91よりも低い位置に位置するように前記ロボットアーム120を動作させる。
【0263】
この構成によれば、拘束器9の解放状態において第1ホルダ91及び第2ホルダ92と把持器3との距離があまり離れていない場合には、把持器3が相対変位して第1ホルダ91又は第2ホルダ92と接触し得る。第2ホルダ92が第1ホルダ91よりも低い位置に位置するので、自重によって変位する把持器3を第2ホルダ92が支えることができる。第2ホルダ92は把持器3を1か所で支持するので、把持器3は、第2ホルダ92の形状に沿って移動することができる。つまり、第2ホルダ92は、連結器4が機能を発揮できる状態で把持器3の自重を支えることができる。
【0264】
つまり、拘束器9の拘束状態においては、第1ホルダ91及び第2ホルダ92によって把持器3を高い位置精度で保持することができ、拘束器9の解放状態においては、把持器3を第2ホルダ92によって相対変位可能な状態で支持することができる。
【符号の説明】
【0265】
1000 ロボットシステム
120 ロボットアーム
130 制御装置
100 ハンド
2 ハンド本体
3 把持器
31 ベース
32 指
4 連結器
41 偏心連結器
47 傾斜連結器
5 動力伝達器
51 第1継手
6 直進アクチュエータ
61 第2モータ(直進駆動源、拘束駆動源)
67 直進伝達器
7 回転アクチュエータ
8 開閉アクチュエータ
81 第1モータ(開閉駆動源)
84 開閉シャフト
9 拘束器
91 第1ホルダ
92 第2ホルダ
93 拘束アクチュエータ
94 拘束伝達器
95 第1伝達器
96 第2伝達器
97 伝達ゴム(第1弾性部材)
98 第2緩衝器(緩衝器)
98a ガイド
98b 第2バネ(第2弾性部材)
H 孔
X 第1基準軸
W1 ワーク
α 第2基準軸