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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022361
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240208BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240208BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/302 101R
H01L21/302 101C
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125892
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】511265154
【氏名又は名称】SPPテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】西村 海斗
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084BB23
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084DD37
2G084DD38
2G084FF07
2G084FF08
5F004AA16
5F004BA20
5F004BB19
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BC06
5F004CA04
5F004CA06
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA17
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】プラズマによる静電チャックの露出面の損傷を抑制することが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】この基板処理装置100は、高周波電力が印加される基台21と、基台21の上面21a上に設けられ、プラズマ処理される基板1が載置される静電チャック22と、を備える。基台21の上面21aには、基板1が載置された状態での静電チャック22の上方への露出面22fに対応する位置に、露出面22fにおける静電容量を小さくする静電容量調整部21eが設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電力が印加される基台と、
前記基台の上面上に設けられ、プラズマ処理される基板が載置される静電チャックと、を備え、
前記基台の上面には、前記基板が載置された状態での前記静電チャックの上方への露出面に対応する位置に、前記露出面における静電容量を小さくする静電容量調整部が設けられている、基板処理装置。
【請求項2】
前記静電容量調整部は、前記基板の外周部の略全周に対応するように、略環形状に形成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基台の上面には、プラズマ処理中に前記基板を冷却する冷却ガスが流通する冷却ガス流通用溝が設けられており、
前記静電容量調整部は、前記冷却ガス流通用溝を避けるように途切れながら、略環形状に形成されている、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記静電容量調整部は、前記基板と、前記静電チャック上で前記基板の近傍に配置される装置構成物との間から上方へ露出する前記静電チャックの前記露出面に対応する位置に設けられている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記静電チャックは、複数の前記基板と、前記複数の基板を保持する前記装置構成物としての基板搬送トレイとが載置されるように構成されており、
前記基板搬送トレイは、前記複数の基板に対応するように複数設けられる開口と、前記複数の開口の各々に設けられて前記基板の外周部を下方から支持する支持部と、を含み、
前記支持部は、前記開口の内周に沿った方向に離間して複数設けられており、
前記静電容量調整部は、前記開口の内周に沿った方向における前記支持部同士の間で、かつ、前記開口の中心から離れる方向における前記基板の外周部と前記開口の内周部との間から上方へ露出する前記静電チャックの前記露出面に対応する位置に設けられている、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記静電容量調整部は、内部に空間または誘電体が配置された凹部を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板処理装置に関し、特に、プラズマ処理される基板が載置される静電チャックを備える基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマ処理される基板が載置される静電チャックを備える基板処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、プラズマ処理されるウエハ(基板)を搬送するためのトレイと、ウエハおよびトレイが載置される下部電極(静電チャック)とを備えるプラズマ処理装置(基板処理装置)が開示されている。トレイは、ウエハの直径と同程度の直径の3個の開口を有する。各開口には、開口の内周部から下方に突出しかつ開口の中心に向かって突出する3本の保持部材が設けられている。3本の保持部材は、周方向に等角度間隔で離間して配置されている。ウエハは、保持部材により下方から保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-114178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、上記特許文献1に記載されるようなプラズマ処理装置では、通常はトレイの開口の直径がウエハの直径よりもわずかに大きい。このため、開口にウエハが配置された状態では、開口の内周部とウエハの外周部との間にわずかな隙間が形成される。また、ウエハを保持する3本の保持部材が周方向に離間して配置されている(周方向の全周に設けられていない)ため、周方向における保持部材同士の間で、かつ、開口の内周部とウエハの外周部との隙間の位置では、下部電極の上面がウエハおよびトレイに覆われずに、上方へ露出する。そして、下部電極の上面が上方へ露出した状態でウエハがプラズマ処理された場合、露出した下部電極の上面にプラズマ中のイオンが衝突するため、プラズマにより下部電極の上面(静電チャックの露出面)が損傷するという問題点がある。なお、ウエハをトレイにより搬送する場合でなくても、下部電極(静電チャック)の上面が上方へ露出する場合には、同様の問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、プラズマによる静電チャックの露出面の損傷を抑制することが可能な基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による基板処理装置は、高周波電力が印加される基台と、基台の上面上に設けられ、プラズマ処理される基板が載置される静電チャックと、を備え、基台の上面には、基板が載置された状態での静電チャックの上方への露出面に対応する位置に、露出面における静電容量を小さくする静電容量調整部が設けられている。
【0008】
本発明による基板処理装置では、上記のように、基台の上面には、基板が載置された状態での静電チャックの上方への露出面に対応する位置に、露出面における静電容量を小さくする静電容量調整部が設けられている。これにより、露出面における静電容量を小さくすることができるので、露出面の上方のプラズマシースを薄くすることができる。その結果、露出面に衝突するプラズマ中のイオンの強さおよび量を低減することができるので、プラズマによる静電チャックの露出面の損傷を抑制することができる。
【0009】
上記発明による基板処理装置において、好ましくは、静電容量調整部は、基板の外周部の略全周に対応するように、略環形状に形成されている。このように構成すれば、静電容量調整部が基板の外周部の一部にのみ対応するように設けられる場合と異なり、静電容量調整部の存在に起因して、基板の外周部におけるプラズマ処理のバランスが悪くなること(面内分布の不均一性)を抑制することができる。なお、本願明細書では、環形状とは、円形の環形状だけでなく、矩形などの円形以外の環形状も含む広い概念である。
【0010】
この場合、好ましくは、基台の上面には、プラズマ処理中に基板を冷却する冷却ガスが流通する冷却ガス流通用溝が設けられており、静電容量調整部は、冷却ガス流通用溝を避けるように途切れながら、略環形状に形成されている。このように構成すれば、静電容量調整部が、基台の上面に共に設けられる冷却ガス流通用溝に干渉することを避けながら、静電容量調整部の存在に起因して、基板の外周部におけるプラズマ処理のバランスが悪くなることを抑制することができる。なお、静電容量調整部が全周にわたって連続した環形状の溝として設けられて冷却ガス流通用溝に接続される場合には、冷却ガス流通用溝に比べて静電容量調整部の溝の方が深さがあるため、冷却ガスが滞留することにより静電容量調整部の内部で放電現象が発生する懸念がある。また、静電容量調整部が全周にわたって連続した環形状として設けられて静電容量調整部の内部に誘電体が配置される場合には、静電容量調整部が冷却ガス流通用溝を分断してしまうため、冷却ガスにより基板を冷却することができなくなってしまう。静電容量調整部が冷却ガス流通用溝を避けるように途切れながら設けられることにより、これらの不都合が発生することを回避することができる。
【0011】
上記発明による基板処理装置において、好ましくは、静電容量調整部は、基板と、静電チャック上で基板の近傍に配置される装置構成物との間から上方へ露出する静電チャックの露出面に対応する位置に設けられている。このように構成すれば、装置構成物の構造上、基板と装置構成物との間から静電チャックが上方へ露出する場合に、プラズマによる静電チャックの露出面の損傷を抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、静電チャックは、複数の基板と、複数の基板を保持する装置構成物としての基板搬送トレイとが載置されるように構成されており、基板搬送トレイは、複数の基板に対応するように複数設けられる開口と、複数の開口の各々に設けられて基板の外周部を下方から支持する支持部と、を含み、支持部は、開口の内周に沿った方向に離間して複数設けられており、静電容量調整部は、開口の内周に沿った方向における支持部同士の間で、かつ、開口の中心から離れる方向における基板の外周部と開口の内周部との間から上方へ露出する静電チャックの露出面に対応する位置に設けられている。このように構成すれば、基板搬送トレイの構造上、開口の内周に沿った方向における支持部同士の間で、かつ、開口の中心から離れる方向における基板の外周部と開口の内周部との間から静電チャックが上方へ露出する場合に、プラズマによる露出面の損傷を抑制することができる。
【0013】
上記発明による基板処理装置において、好ましくは、静電容量調整部は、内部に空間または誘電体が配置された凹部を含む。このように構成すれば、簡素な構造で、露出面における静電容量を小さくする静電容量調整部を実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記のように、プラズマによる静電チャックの露出面の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態による基板処理装置の構成を示した模式図である。
図2】一実施形態による基板載置部の構成を示した模式図である。
図3】一実施形態による基板搬送トレイの模式的な平面図である。
図4】一実施形態による静電チャックの模式的な平面図である。
図5】一実施形態による静電吸着用電極の模式的な平面図である。
図6】(A)は一実施形態による静電吸着用電極を説明するための図であり、(B)は静電吸着用電極が2層設けられている例を説明するための図である。
図7】一実施形態による基板が配置された基板搬送トレイの開口の模式的な平面図である。
図8】一実施形態による基台の模式的な平面図である。
図9】一実施形態による静電チャックと静電容量調整部との平面的な関係を説明するための図である。
図10】(A)は比較例によるプラズマシースの状態を説明するための図であり、(B)は一実施形態によるプラズマシースの状態を説明するための図である。
図11】変形例による基板載置部の構成を示した模式図である。
図12図11の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1図10を参照して本実施形態の基板処理装置100の構成について説明する。
【0018】
(基板処理装置)
図1に示すように、基板処理装置100は、処理チャンバ10内にプラズマを形成して基板1のドライエッチングを行うプラズマ処理装置である。基板1は、たとえばシリコンにより形成されたシリコンウェハである。
【0019】
基板処理装置100は、処理チャンバ10と、基板載置部20と、ガス供給装置30と、プラズマ生成装置40と、排気装置50と、高周波電源60と、温度調整部70とを備える。
【0020】
処理チャンバ10は閉塞空間を有し、閉塞空間内に基板載置部20を収容している。処理チャンバ10は、相互に連通した内部空間を有する上チャンバ11および下チャンバ12から構成される。
【0021】
基板載置部20には、プラズマ処理される基板1が載置される。本実施形態では、基板載置部20には、複数の基板1と、複数の基板1を保持する基板搬送トレイ2とが載置される。なお、基板搬送トレイ2は、特許請求の範囲の「装置構成物」の一例である。
【0022】
ガス供給装置30は、処理チャンバ10内にたとえばエッチングガスおよび保護膜形成ガスを供給する。ガス供給装置30は、エッチングガスを供給するエッチングガス供給部31と、保護膜形成ガスを供給する保護膜形成ガス供給部32とを含む。エッチングガス供給部31および保護膜形成ガス供給部32は、ガス供給用の供給管33により、上チャンバ11の上面から処理チャンバ10内に接続している。供給管33を介して、処理チャンバ10内にエッチングガスおよび保護膜形成ガスが供給される。
【0023】
プラズマ生成装置40は、処理チャンバ10内に供給されたガスにより誘導結合プラズマ(ICP)を生成する装置である。プラズマ生成装置40は、上チャンバ11の外周に設けられた螺旋状のコイル41と、このコイル41に高周波電力を供給する高周波電源42とを含む。高周波電源42によってコイル41に高周波電力を供給することにより、上チャンバ11内に供給されたガスがプラズマ化される。
【0024】
排気装置50は、処理チャンバ10内の圧力を減圧する。排気装置50は、処理チャンバ10内のガスを排気する真空ポンプ51と、真空ポンプ51を処理チャンバ10内に接続する排気管52とを含む。排気管52を介して、真空ポンプ51が処理チャンバ10内のガスを排気し、処理チャンバ10内を所定の真空圧力状態とする。
【0025】
高周波電源60は、後述する基台21にバイアス電位用の高周波電力を供給する。高周波電源60は、基板載置部20の基台21に高周波電力を供給することで、基台21とプラズマとの間にバイアス電位を与える。
【0026】
温度調整部70は、プラズマ処理中に基板1や基板搬送トレイ2を冷却する。具体的には、温度調整部70は、冷媒を循環させるチラー装置71と、冷却ガスを供給する冷却ガス供給部72とを含む。チラー装置71は、後述する冷媒流路21dに冷媒を導入して、冷媒の温度を管理しながら冷媒を循環させる。冷媒は、たとえば、フロリナート(登録商標)、ガルデン(登録商標)または純水などである。冷却ガス供給部72は、基板1や基板搬送トレイ2の裏面と後述する静電チャック22の表面との間に冷却ガスを供給することにより、プラズマ処理中の基板1や基板搬送トレイ2を冷却する。冷却ガスは、たとえば、Heガスなどである。
【0027】
〈基板載置部の構成〉
図2に示すように、基板載置部20は、基台21と、基台21の上面21a上に設けられ、プラズマ処理される基板1や基板搬送トレイ2が載置される静電チャック22と、静電チャック22の周囲を取り囲むフォーカスリング23とを含む。
【0028】
基台21は、アルミニウムなどの金属製であり、高周波電源60により高周波電力が印加される。基台21は、側面視で凸状の略円板形状を有する。すなわち、基台21は、静電チャック22と略同じ直径の小径部21bと、小径部21bの下側に位置して小径部21bよりも大きな直径を有する大径部21cとを有する。また、基台21は、プラズマ処理中にチラー装置71により循環される冷媒が流通する冷媒流路21dを内部に有する。冷媒流路21dは、チラー装置71に接続されている。冷媒流路21dに冷媒が流通されることにより、基台21および静電チャック22が冷却される。また、基台21の周囲および下方には、それぞれ、インシュレータ24aおよび24bが設けられている。また、インシュレータ24aおよび24bの周囲には、接地されたカバーリング25が設けられている。
【0029】
本実施形態では、静電チャック22には、複数の基板1と、複数の基板1を保持する基板搬送トレイ2とが載置される。静電チャック22は、小径部21bの上面上に設けられ、略円板形状を有する。小径部21bの上面が、上面21aである。また、静電チャック22は、セラミックスなどの誘電体に静電吸着用電極22aを埋め込んで構成されている。静電チャック22の誘電体の材質は、たとえば、アルミナセラミックスである。静電吸着用電極22aは、静電吸着用の電圧を印加する静電吸着用電源80と接続されている。静電吸着用電極22aに電圧を印加すると、静電誘導により、複数の基板1および基板搬送トレイ2が静電チャック22の上面に吸着される。
【0030】
フォーカスリング23は、小径部21bおよび静電チャック22の外周側面を囲むように設けられ、略円形の環形状を有する。フォーカスリング23は、基台21の大径部21cの上面上、インシュレータ24aの上面上およびカバーリング25の上面上に跨って設けられている。フォーカスリング23の材質は、たとえば、アルミナセラミックスである。
【0031】
また、基板載置部20には、リフトピン26と、リフトピン26を昇降させる昇降シリンダ27(図1参照)とが設けられている。リフトピン26は、昇降シリンダ27に取り付けられている。プラズマ処理前の基板1は、基板搬送トレイ2と共に、搬送ロボット(図示せず)によって、処理チャンバ10の外部から内部に搬送される。そして、基板搬送トレイ2が静電チャック22よりも上方に突出したリフトピン26上に載置される。その後、昇降シリンダ27によってリフトピン26が降下することにより静電チャック22の上面上に基板1および基板搬送トレイ2が載置される。また、プラズマ処理後は、昇降シリンダ27によってリフトピン26が上昇し、基板1および基板搬送トレイ2が上昇される。そして、上昇された基板1および基板搬送トレイ2は、搬送ロボットによって処理チャンバ10の内部から外部に搬送される。
【0032】
〈基板搬送トレイの構成〉
図3に示すように、基板搬送トレイ2は、複数の基板1に対応するように複数(図3では7つ)設けられる開口2aと、複数の開口2aの各々に設けられて基板1の外周部を下方から支持する支持部2bとを含む。開口2aは、略円形状の基板1に対応するように、略円形状に形成されている。開口2aの直径は、基板1の直径よりもわずかに大きい。このため、開口2aに基板1が配置された状態では、基板1の外周部と開口2aの内周部との間にわずかな隙間G(図7参照)が形成される。支持部2bは、開口2aの内周部から下方に突出しかつ開口2aの中心に向かって突出するように形成されている。また、支持部2bは、周方向に離間して複数(図3では4つ)設けられている。複数の支持部2bは、2つの短い部分と、この短い部分よりも長い2つの長い部分とを含む。なお、以下では、基板搬送トレイ2の1つの開口2aに対する周方向を、単に周方向と呼び、基板搬送トレイ2の1つの開口2aに対する径方向を、単に径方向と呼ぶ。また、周方向は、特許請求の範囲の「開口の内周に沿った方向」の一例であり、径方向は、特許請求の範囲の「開口の中心から離れる方向」の一例である。
【0033】
〈静電チャック22の上面の構成〉
図4に示すように、静電チャック22の上面には、基板1が載置される基板載置部22bと、基板搬送トレイ2が載置されるトレイ載置部22cとが設けられている。トレイ載置部22cは、静電チャック22の上面の基板載置部22b以外の部分により構成されている。また、基板載置部22bの上面とトレイ載置部22cとの上面とは、同じ高さ位置(同一平面)に配置されている。また、基板載置部22bは、基板搬送トレイ2の複数の開口2aに対応するように複数(図4では7つ)設けられている。複数の基板載置部22bの各々の位置には、基板1の冷却用の冷却ガスが流通する冷却ガス流通用溝22dと、基板搬送トレイ2の支持部2b(図3参照)が挿入される支持部挿入用溝22eとが設けられている。冷却ガス流通用溝22dと支持部挿入用溝22eとは、静電チャック22の上面から下方に向かって窪んでいる。
【0034】
冷却ガス流通用溝22dは、略円形の環形状に形成されている。また、冷却ガス流通用溝22dには、冷却ガスが流通する貫通孔220が複数(図4では2つ)設けられている。貫通孔220は、静電チャック22を上下方向に貫通し、基台21の後述する冷却ガス流通用溝21f(図8参照)に接続されている。基板1の冷却用の冷却ガスは、貫通孔220から導入され、冷却ガス流通用溝22dを流通して、基板1の裏面の全体を冷却する。
【0035】
また、静電チャック22には、リフトピン26(図2参照)が挿通されるリフトピン孔22gと、基板搬送トレイ2の冷却用の冷却ガスが流通する冷却ガス流通用溝22hとが設けられている。リフトピン孔22gは、静電チャック22を上下方向に貫通し、基台21の後述するリフトピン孔21i(図8参照)に接続されている。また、リフトピン孔22gは、基板搬送トレイ2の冷却用の冷却ガスが流通する貫通孔も兼ねている。また、リフトピン孔22gは、複数(図4では5つ)設けられている。複数のリフトピン孔22gは、周方向に略等角度間隔互いに離間して配置されており、略円形の環形状の冷却ガス流通用溝22hにより互いに接続されている。基板搬送トレイ2の冷却用の冷却ガスは、リフトピン孔22gから導入され、冷却ガス流通用溝22hを流通して、基板搬送トレイ2の裏面を冷却する。
【0036】
支持部挿入用溝22eは、基板載置部22bの位置ごとに、複数の支持部2bに対応するように複数(図4では4つ)設けられている。複数の支持部挿入用溝22eは、支持部2bと同様に、周方向に離間して設けられるとともに、2つの短い部分と、この短い部分よりも長い2つの長い部分とを含む。図6(A)に示すように、支持部2bが支持部挿入用溝22eに挿入された状態では、基板1の下面が基板載置部22bの上面に当接するとともに、基板搬送トレイ2の下面がトレイ載置部22cの上面に当接する。なお、支持部2bが支持部挿入用溝22eに挿入された際には、基板1の下面が基板載置部22bの上面に載置されて、支持部2bから基板1が離れた後、基板搬送トレイ2の下面がトレイ載置部22cの上面に載置される。また、支持部挿入用溝22eの深さは、支持部2bの下方への突出量よりも大きい。
【0037】
〈電極の構成〉
図5に示すように、静電吸着用電極22aは、プラス側電極221と、マイナス側電極222とを含む。プラス側電極221は、基板載置部22bに対応するように設けられる基板吸着部223と、トレイ載置部22cに対応するように設けられるトレイ吸着部224とを有する。トレイ吸着部224の一部は、プラス側給電端子(図示せず)に接続される給電部225として機能する。また、マイナス側電極222は、基板載置部22bに対応するように設けられる基板吸着部226と、トレイ載置部22cに対応するように設けられるトレイ吸着部227とを有する。トレイ吸着部227の一部は、マイナス側給電端子(図示せず)に接続される給電部228として機能する。また、基板吸着部223および226には、静電チャック22の貫通孔220に対応する貫通孔229が設けられている。
【0038】
また、基板吸着部223とトレイ吸着部224との間、および、基板吸着部226とトレイ吸着部227との間は、接続部230により、互いに接続されている。接続部230は、基板吸着部223とトレイ吸着部224との間、および、基板吸着部226とトレイ吸着部227との間に、掛け渡されるように設けられている。また、接続部230は、周方向における静電チャック22の支持部挿入用溝22e(図4参照)同士の間の位置に設けられている。すなわち、接続部230は、支持部挿入用溝22eが設けられていない位置に設けられている。
【0039】
ここで、本実施形態とは異なり、静電チャック22の基板載置部22bをトレイ載置部22cよりも上方に島状に突出させたり、支持部挿入用溝22eを全周にわたって連続する略円形の環形状に設けたりする場合には、図6(B)に示す例のように、静電吸着用電極22aを埋め込む層を深さ方向に2層に分ける必要がある。この場合、2つの層同士の間を接続する構造を設ける必要があるため、静電チャック22の内部の静電吸着用電極22aの構造が複雑になる。これに対して、本実施形態では、支持部挿入用溝22eを周方向に離間して複数設け、周方向における支持部挿入用溝22e同士の間に接続部230を設ける。これにより、図6(A)に示すように、静電吸着用電極22aを埋め込む層を2層に分けずに1層にすることができるので、2つの層同士の間を接続する構造を設ける必要がない。その結果、静電チャック22の内部の静電吸着用電極22aの構造を簡素化することができる。
【0040】
〈静電容量調整凹部の構成〉
ここで、図7に示すように、基板搬送トレイ2の開口2aに基板1が配置された状態では、開口2aの内周部と基板1の外周部との間にわずかな隙間Gが形成される。また、基板1を下方から支持する複数の支持部2bが周方向に離間して配置されている(周方向の全周に設けられていない)ため、周方向における支持部2b同士の間で、かつ、開口2aの内周部と基板1の外周部との隙間Gの位置(図7において破線部Xにより囲む位置)では、静電チャック22の上面が基板1および基板搬送トレイ2に覆われずに、上方へ露出する。これにより、静電チャック22の上方への露出面22fが形成される。
【0041】
そこで、本実施形態では、基台21の上面21aには、基板1が載置された状態での静電チャック22の上方への露出面22fに対応する位置に、露出面22fにおける静電容量を小さくする静電容量調整部21e(図2参照)が設けられている。静電容量調整部21eは、基板1と、静電チャック22上で基板1の近傍に配置される装置構成物としての基板搬送トレイ2との間から上方へ露出する静電チャック22の露出面22fに対応する位置に設けられている。具体的には、静電容量調整部21eは、周方向における基板搬送トレイ2の支持部2b同士の間で、かつ、径方向における基板1の外周部と開口2aの内周部との間から上方へ露出する静電チャック22の露出面22fに対応する位置に設けられている。また、静電容量調整部21eは、露出面22fの周囲(基板1を載置した状態での静電チャック22の上方への露出面22fがない静電チャック22の領域)に比べて露出面22fにおける静電容量を小さくするように構成されている。静電容量調整部21eは、たとえば、露出面22fの周囲に比べて露出面22fにおける静電容量を10分の1以下にするように構成されている。また、静電容量調整部21eは、静電容量調整部21eがない場合と比べて露出面22fにおける静電容量を小さくするように構成されている。なお、露出面22fにおける静電容量とは、静電容量調整部21eと、露出面22fの位置における静電チャック22との合成静電容量を意味する。
【0042】
また、本実施形態では、静電容量調整部21eは、内部に空間または誘電体が配置された凹部を含む。具体的には、静電容量調整部21eは、内部に空間が配置された凹部により構成されているか、または、凹部および凹部の内部に配置された誘電体により構成されている。誘電体は、たとえば、アルミナセラミックス、テフロン(登録商標)、石英またはSiC(シリコンカーバイド)などである。静電容量調整部21eの凹部は、基台21の上面21aから下方に向かって窪んでいるとともに、溝状に形成されている。静電容量調整部21eの凹部の位置、深さ、幅および中身を変えることにより、露出面22fにおける静電容量を所望の静電容量に調整することが可能である。また、静電容量調整部21eの凹部の内部に空間(空気)が配置される場合には、静電容量調整部21eの凹部の内部における放電現象を抑制するために、静電容量調整部21eの凹部の内部を所定の真空圧力に減圧することが好ましい。
【0043】
また、静電容量調整部21eは、基板1の外周に沿って設けられている。また、静電容量調整部21eは、露出面22fとオーバーラップするように、露出面22fの直下の位置に設けられている。静電容量調整部21eは、露出面22fの略全体とオーバーラップするように、露出面22fに相当する領域以上の領域にわたって設けられている。静電容量調整部21eは、たとえば、静電容量調整部21eの凹部の内径≦基板1の外径<静電容量調整部21eの凹部の外径の条件を満たすように設けられている。また、静電容量調整部21eは、たとえば、露出面22fの外径≦静電容量調整部21eの凹部の外径の条件を満たすように設けられている。なお、静電容量調整部21eの凹部の内径とは、静電容量調整部21eの凹部の基板1の中心に近い側であり、静電容量調整部21eの凹部の外径とは、静電容量調整部21eの凹部の基板1の中心から遠い側である。また、露出面22fの外径とは、露出面22fの基板1の中心から遠い側であり、基板搬送トレイ2の開口2aの内径に相当する。
【0044】
また、本実施形態では、図8および図9に示すように、静電容量調整部21eは、基板1の外周部の略全周に対応するように、略円形の略環形状に形成されている。すなわち、静電容量調整部21eは、露出面22fに対応する位置だけでなく、露出面22fに対応する位置以外にも形成されている。具体的には、基台21の上面21aには、静電容量調整部21eの他に、プラズマ処理中に基板1を冷却する冷却ガスが流通する冷却ガス流通用溝21fが設けられており、静電容量調整部21eは、冷却ガス流通用溝21fを避けるように途切れながら、略円形の略環形状に形成されている。なお、静電容量調整部21eの深さは、冷却ガス流通用溝21fの深さよりも大きい。また、静電容量調整部21eの幅は、冷却ガス流通用溝21fの幅よりも大きい。
【0045】
静電容量調整部21eは、基板載置部22bの位置ごとに設けられている。中央の基板載置部22bに対応する静電容量調整部21eは、放射状に設けられた冷却ガス流通用溝21fを避けるように複数個所(図8では6個所)で途切れながら、略円形の略環形状に形成されている。中央の基板載置部22bに対する周囲の基板載置部22bに対応する静電容量調整部21eは、直線状に設けられた冷却ガス流通用溝21fを避けるように1個所で途切れながら、略円形の略環形状に形成されている。また、冷却ガス流通用溝21fは、中央の基板載置部22bに冷却ガスを導く略円形の環形状の部分と、周囲の基板載置部22bに冷却ガスを導く放射状に延びる部分とを有する。また、冷却ガス流通用溝21fには、冷却ガスが流通する貫通孔211が設けられている。貫通孔211は、基台21を上下方向に貫通し、冷却ガス供給部72に接続されている。また、基台21の上面21aには、静電吸着用電極22aの給電部225に接続されるプラス側給電端子が挿入される貫通孔21gと、給電部228に接続されるマイナス側給電端子が挿入される貫通孔21hとが設けられている。また、基台21には、リフトピン26(図2参照)が挿通されるリフトピン孔21iが設けられている。リフトピン孔21iは、基台21を上下方向に貫通している。また、リフトピン孔21iは、基板搬送トレイ2の冷却用の冷却ガスが流通する貫通孔も兼ねている。また、リフトピン孔21iは、複数(図8では5つ)設けられている。
【0046】
図10(A)および(B)を参照して、静電容量調整部21eの作用について説明する。図10(A)に示す静電容量調整部21eが設けられていない比較例では、露出面22fの上方のプラズマシース90が周囲と同程度で比較的厚いため、露出面22fに衝突するプラズマ中のイオンの強さおよび量が比較的多くなる。この場合、プラズマによる露出面22fの損傷を抑制することが困難である。一方、図10(B)に示す静電容量調整部21eが設けられている本実施形態では、静電容量調整部21eにより露出面22fにおける静電容量を小さくすることができるので、図10(A)に示す比較例の場合に比べて露出面22fの上方のプラズマシース90を薄くすることができる。これにより、露出面22fに衝突するプラズマ中のイオンの強さおよび量を低減することができるので、プラズマによる露出面22fの損傷を抑制することができる。
【0047】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0048】
本実施形態の基板処理装置100では、上記のように、基台21の上面21aには、基板1が載置された状態での静電チャック22の上方への露出面22fに対応する位置に、露出面22fにおける静電容量を小さくする静電容量調整部21eが設けられている。これにより、露出面22fにおける静電容量を小さくすることができるので、露出面22fの上方のプラズマシース90を薄くすることができる。その結果、露出面22fに衝突するプラズマ中のイオンの強さおよび量を低減することができるので、プラズマによる静電チャック22の露出面22fの損傷を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、静電容量調整部21eは、基板1の外周部の略全周に対応するように、略環形状に形成されている。これにより、静電容量調整部21eが基板1の外周部の一部にのみ対応するように設けられる場合と異なり、静電容量調整部21eの存在に起因して、基板1の外周部におけるプラズマ処理のバランスが悪くなること(面内分布の不均一性)を抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、基台21の上面21aには、プラズマ処理中に基板1を冷却する冷却ガスが流通する冷却ガス流通用溝21fが設けられており、静電容量調整部21eは、冷却ガス流通用溝21fを避けるように途切れながら、略環形状に形成されている。これにより、静電容量調整部21eが、基台21の上面21aに共に設けられる冷却ガス流通用溝21fに干渉することを避けながら、静電容量調整部21eの存在に起因して、基板1の外周部におけるプラズマ処理のバランスが悪くなることを抑制することができる。なお、静電容量調整部21eが全周にわたって連続した環形状の溝として設けられて冷却ガス流通用溝21fに接続される場合には、冷却ガス流通用溝21fに比べて静電容量調整部21eの溝の方が深さがあるため、冷却ガスが滞留することにより静電容量調整部21eの内部で放電現象が発生する懸念がある。また、静電容量調整部21eが全周にわたって連続した環形状として設けられて静電容量調整部21eの内部に誘電体が配置される場合には、静電容量調整部21eが冷却ガス流通用溝21fを分断してしまうため、冷却ガスにより基板1を冷却することができなくなってしまう。静電容量調整部21eが冷却ガス流通用溝21fを避けるように途切れながら設けられることにより、これらの不都合が発生することを回避することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、静電容量調整部21eは、基板1と、静電チャック22上で基板1の近傍に配置される装置構成物との間から上方へ露出する露出面22fに対応する位置に設けられている。これにより、装置構成物の構造上、基板1と装置構成物との間から静電チャック22が上方へ露出する場合に、プラズマによる静電チャック22の露出面22fの損傷を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、静電チャック22は、複数の基板1と、複数の基板1を保持する装置構成物としての基板搬送トレイ2とが載置されるように構成されており、基板搬送トレイ2は、複数の基板1に対応するように複数設けられる開口2aと、複数の開口2aの各々に設けられて基板1の外周部を下方から支持する支持部2bと、を含み、支持部2bは、開口2aの内周に沿った方向(周方向)に離間して複数設けられており、静電容量調整部21eは、開口2aの内周に沿った方向(周方向)における支持部2b同士の間で、かつ、開口2aの中心から離れる方向(径方向)における基板1の外周部と開口2aの内周部との間から上方へ露出する露出面22fに対応する位置に設けられている。これにより、基板搬送トレイ2の構造上、開口2aの内周に沿った方向(周方向)における支持部2b同士の間で、かつ、開口2aの中心から離れる方向(径方向)における基板1の外周部と開口2aの内周部との間から静電チャック22が上方へ露出する場合に、プラズマによる露出面22fの損傷を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、静電容量調整部21eは、内部に空間または誘電体が配置された凹部を含む。これにより、簡素な構造で、露出面22fにおける静電容量を小さくする静電容量調整部21eを実現することができる。
【0054】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0055】
たとえば、上記実施形態では、静電チャックに、複数の基板と、複数の基板を保持する基板搬送トレイとが載置される構成において、静電容量調整部を設ける例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、図11および図12に示す変形例では、基板載置部120は、上記実施形態の基台21、静電チャック22およびフォーカスリング23に代えて、基台121、静電チャック122およびフォーカスリング123を含む。静電チャック122は、1つの基板1のみが載置されるように構成されている。また、フォーカスリング123は、フォーカスリング123の中心に向かって、静電チャック122の上面上まで突出する突出部123aを有する。突出部123aは、基台121の小径部21bおよび静電チャック122の外周側面と、フォーカスリング123の内周側面との間に形成される隙間G1(図12参照)を、プラズマから保護するように構成されている。これにより、プラズマにより隙間G1の部分にエッチング時の反応生成物や保護膜形成時の保護膜などの堆積物が堆積したり、プラズマにより隙間G1の部分が損傷したりすることを抑制することができる。
【0056】
ここで、フォーカスリング123の突出部123aの内側に基板1が配置された状態では、突出部123aの内周部と基板1の外周部との間にわずかな隙間G2(図12参照)が形成される。このため、突出部123aの内周部と基板1の外周部との隙間G2の位置では、静電チャック122の上面が基板1に覆われずに、上方へ露出する。これにより、静電チャック122の上方への露出面122f(図12参照)が形成される。
【0057】
そこで、変形例では、基台121の上面21aには、基板1が載置された状態での静電チャック22の上方への露出面122fに対応する位置に、露出面122fにおける静電容量を小さくする静電容量調整部121eが設けられている。これにより、上記実施形態と同様に、プラズマによる静電チャック122の露出面122fの損傷を抑制することができる。また、静電容量調整部121eは、基板1と、静電チャック22上で基板1の近傍に配置される装置構成物としてのフォーカスリング123との間から上方へ露出する露出面122fに対応する位置に設けられている。具体的には、静電容量調整部121eは、基板1に対する径方向における基板1の外周部とフォーカスリング123の突出部123aの内周部との間から上方へ露出する露出面122fに対応する位置に設けられている。
【0058】
また、上記実施形態では、静電容量調整部が、基板の外周部の略全周に対応するように、略環形状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、静電容量調整部が、露出面に対応する位置のみに形成されていてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、静電容量調整部が、冷却ガス流通用溝を避けるように途切れながら、略環形状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、静電容量調整部が、冷却ガス流通用溝と干渉しない場合には、静電容量調整部が、全周にわたって連続する環形状に形成されていてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、静電吸着用電極を埋め込む層が1層である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図6(B)に示す例のように、静電吸着用電極を埋め込む層が2層になってもよい。
【0061】
また、本発明では、露出面における静電容量を小さくすることが可能であれば、静電容量調整部の位置、数および形状などは特に限定されない。
【0062】
また、上記実施形態では、基板、基板搬送トレイおよび基板搬送トレイの開口が略円形状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板、基板搬送トレイおよび基板搬送トレイの開口が略矩形状に形成されていてもよい。この場合、静電容量調整部が、略矩形の略環形状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1:基板、2:基板搬送トレイ(装置構成物)、2a:開口、2b:支持部、21、121:基台、21a:基台の上面、21e、121e:静電容量調整部、21f:冷却ガス流通用溝、22、122:静電チャック、22f、122f:露出面、100:基板処理装置、123:フォーカスリング(装置構成物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12