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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002239
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】車両用モニタ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B60R11/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101315
(22)【出願日】2022-06-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】濱田 浩
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC04
3D020BD02
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】車両用モニタ装置のメインブラケットを、車両の天井部から好適に支持する。
【解決手段】車両用モニタ装置は、車両の天井部に左右方向に延設された前後一対のフレーム2に支持されるメインブラケット10と、メインブラケット10に取り付けられるモニタ本体20と、前後一対のフレーム2のうちの後フレーム2Bとメインブラケット10との間に介装されるサブブラケット40と、を備える。サブブラケット40は、後フレーム2Bに固定される第1固定部と、メインブラケット10に固定される第2固定部と、を有し、第2固定部は、後フレーム2Bに対するメインブラケット10の高さを調整可能な高さ調整機構として長孔を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井部に左右方向に延設された前後一対のフレームに支持されるメインブラケットと、
前記メインブラケットに取り付けられるモニタと、
前記前後一対のフレームの少なくとも一方である対象フレームと前記メインブラケットとの間に介装されるサブブラケットと、を備え、
前記サブブラケットは、前記対象フレームに固定される第1固定部と、前記メインブラケットに固定される第2固定部と、を有し、
前記第1固定部および前記第2固定部の少なくとも一方は、前記対象フレームに対する前記メインブラケットの高さを調整可能な高さ調整機構を有することを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用モニタ装置において、
前記第2固定部は、前記メインブラケットの左右方向の少なくとも一方の端面に当接され、鉛直方向に延在する鉛直面を有し、
前記高さ調整機構は、前記メインブラケットの前記端面から左右方向に突出されたボルトが挿通するように、前記鉛直面に上下方向にわたって設けられた長孔により構成されることを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用モニタ装置において、
前記第1固定部は、前記対象フレームの底面に当接され、水平方向に延在する水平面を有し、
前記水平面に、前記対象フレームの底面を貫通するボルトが挿通されるように貫通孔が設けられることを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用モニタ装置において、
前記サブブラケットは、前記メインブラケットの左右方向両端部に固定される左右一対のサブブラケットであることを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用モニタ装置において、
前記左右一対のサブブラケットは、前後方向の中間部における基準線に関して線対称に構成され、
前記長孔は、前記基準線に関して対称位置に配置された第1長孔と第2長孔とを含み、
前記貫通孔は、前記基準線に関して対称位置に配置された第1貫通孔と第2貫通孔とを含むことを特徴とする車両用モニタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内の天井面に取り付けられる車両用モニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、車室内の天井部に取り付けられるブラケットと、ブラケットに支持されるベース部を有するモニタ本体と、を備える装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、天井部に設けられる前後一対のフレームに、ブラケットの前端部と後端部とがそれぞれボルトにより締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-090616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、天井部のフレームの高さにはばらつきがあり、ブラケットを取り付けるための取付面を精度よく形成することが困難な場合がある。このため、上記特許文献1記載の装置のように、前後一対のフレームにブラケットの前端部と後端部とをそれぞれボルトにより締結するようにしたのでは、ブラケットを取り付けるための調整が必要になり、取付作業を容易に行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である車両用モニタ装置は、車両の天井部に左右方向に延設された前後一対のフレームに支持されるメインブラケットと、メインブラケットに取り付けられるモニタと、前後一対のフレームの少なくとも一方である対象フレームとメインブラケットとの間に介装されるサブブラケットと、を備える。サブブラケットは、対象フレームに固定される第1固定部と、メインブラケットに固定される第2固定部と、を有し、第1固定部および第2固定部の少なくとも一方は、対象フレームに対するメインブラケットの高さを調整可能な高さ調整機構を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、メインブラケットの取付作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置の分解斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置の取付状態を示す斜視図。
図3】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置を構成するモニタ本体の平面図。
図4】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置を構成するモニタ本体の要部構成を示す斜視図。
図5A図1の締結ブラケットの全体構成を示す斜視図。
図5B図1の締結ブラケットの全体構成を示す側面図。
図6図5Aの締結ブラケットの取付状態を示す斜視図。
図7A図1のサブブラケットの全体構成を示す斜視図。
図7B図7Aの矢視B図。
図7C図7Aの矢視C図。
図8】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置を構成するメインブラケットの取付部の構成を示す斜視図。
図9】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置を構成するサブブラケットの取付部の構成を示す斜視図。
図10A】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置の取付手順として第1手順を示す図。
図10B図10Aに続く第2手順を示す図。
図10C図10Bに続く第3手順を示す図。
図10D図10Cに続く第4手順を示す図。
図10E図10Dに続く第5手順を示す図。
図10F図10Eに続く第6手順を示す図。
図10G図10Fに続く第7手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図10Gを参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置は、車内の天井部(天井面)の車幅方向中央部に取り付けられ、後席の乗員に対し各種の画像を提供するように構成される。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置100の分解斜視図であり、図2は、車両用モニタ装置100の取付状態を示す斜視図である。以下では、便宜上、車両用モニタ装置100の取付状態を基準として、図示のように前後方向(長さ方向)、左右方向(幅方向)および上下方向(高さ方向)を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。図1図2は、それぞれ車両用モニタ装置100を右斜め後方および上方から見た図である。
【0010】
図2に示すように、車両の天井部1は、車両の外面を覆うように延設された平面視略矩形状の金属製の薄板のルーフパネル4と、ルーフパネル4に対向して車室内に面して延設されたルーフライニング5とを有する。ルーフライニング5は樹脂等を構成材とした内装材であり、カッター等の工具を用いて車室内側から所定形状の孔空け加工を容易に行うことができる。ルーフパネル4とルーフライニング5との間には、前後一対のフレーム2が、前後方向に互いに所定距離隔てた状態で左右方向に架設される。なお、以下では、前側のフレーム2を前フレーム2A、後側のフレーム2を後フレーム2Bと呼ぶこともある。
【0011】
フレーム2は、図示しないセンターピラーの上端部近傍における天井部1の右端部から左端部にかけてアーチ状に架設される強度部材であり、ルーフパネル4と一体に設けられる。具体的には、マスチックシーラーなどの接着剤を用いてルーフパネル4に接合される。なお、図1図2では、便宜上、天井部1を透過した状態でフレーム2等の構成を示す。
【0012】
図1図2に示すように、車両用モニタ装置100は、車両の天井部1のフレーム2に支持されるメインブラケット10と、メインブラケット10に取り付けられるモニタ本体20と、天井部1(ルーフライニング5)とモニタ本体20との間に介装されるスペーサ30と、後フレーム2Bとメインブラケット10との間に介装されるサブブラケット40とを有する。図2に示すように、ルーフライニング5には、メインブラケット10の外形形状とほぼ同形状の開口部5aが開口され、開口部5aを介して車室内側からメインブラケット10がフレーム2に取り付けられる。
【0013】
図1に示すように、前フレーム2Aの左右方向中央部には略矩形状の開口部200が設けられ、開口部200を覆うようにしてメインブラケット10の前端部が取り付けられる。なお、開口部200を、モニタ本体20に接続されたケーブルやハーネス等を前フレーム2Aの上方に導くために用いることもできる。
【0014】
メインブラケット10は、略水平方向に延在する金属製の板部材により構成される。メインブラケット10の前端部にはステイ11が設けられる。ステイ11には、左右一対の貫通孔11aが開口され、貫通孔11aに挿通されたボルト(図8のボルト201a)が、前フレーム2Aの開口部200の周囲に設けられたねじ孔201に螺合することで、ステイ11が前フレーム2Aに固定される。ステイ11には、ステイ11の全体を覆うように下方からカバー31が取り付けられる。
【0015】
メインブラケット10には、複数のねじ孔13が設けられる。具体的には、メインブラケット10の左端部および右端部に、それぞれ前後方向3箇所にねじ孔13が設けられる。ねじ孔13には、モニタ本体20を貫通するねじが螺合し、これによりモニタ本体20がメインブラケット10に固定される。メインブラケット10の左右方向両端部には、前後方向中間部において、それぞれ上方に屈曲された屈曲部14が設けられる。メインブラケット10の左右方向両端部には、さらに後端部において、それぞれ上方に屈曲された屈曲部15が設けられる。屈曲部15には、後述するようにサブブラケット40が取り付けられる。
【0016】
モニタ本体20は、平面視略矩形のベース部21と、ベース部21の前端部に、左右方向に延在するヒンジを支点にして前後方向に回動可能に支持されたモニタ22とを有する。ベース部21は、樹脂材等により構成された筐体を有し、筐体内に各種電気部品が配置される。ベース部21は、メインブラケット10よりも左右方向に幅広に形成される。
【0017】
図3は、モニタ本体20の外観形状、特にベース部21の上面の構成を示す平面図(上方から見た図)である。図1,3に示すように、ベース部21の周縁部には、ベース部21の一部である矩形枠形状の導光パネル23が装着され、導光パネル23の内周縁に沿ってスペーサ30の取付部20aが設けられる。スペーサ30は、モニタ本体20よりも前後方向および左右方向の長さ(全長)が短い。このため、平面視でモニタ本体20から外側に突出することなく、モニタ本体20の上面に設けられた取付部20aに取り付けられる。ベース部21には、メインブラケット10のねじ孔13に対応して上下方向に貫通する貫通孔24が開口され、貫通孔24に挿通されたボルトがねじ孔13に螺合することで、モニタ本体20がメインブラケット10に固定される。図1に示すように、スペーサ30は、略矩形枠状に構成される。スペーサ30は、弾力性を有するゴム材等により構成される。
【0018】
図4は、スペーサ30が取り付けられた状態のモニタ本体20の要部構成を示す斜視図である。図4に示すように、ベース部21の上面には、上方かつ前方に向けて突設された左右一対のフック26が固定される。フック26は、メインブラケット10の屈曲部14(図1)の位置に対応して設けられる。これにより、メインブラケット10をフレーム2に固定した後、モニタ本体20をメインブラケット10に固定する前に、フック26を屈曲部14に係合してモニタ本体20を天井部1から吊持することができる。すなわち、モニタ本体20を仮保持することができる。これにより、モニタ本体20の取付作業が容易になる。
【0019】
本実施形態は、メインブラケット10の後端部における支持部の構成、すなわち、図1に示すように左右一対のサブブラケット40を介してメインブラケット10が後フレーム2Bに支持される点に特徴がある。以下、この点について説明する。サブブラケット40は、締結ブラケット50を介して後フレーム2Bに固定される。締結ブラケット50は、後フレーム2Bに設けられた複数のスロット孔202のうち、左右方向2箇所のスロット孔202に配置される。
【0020】
図5Aは、締結ブラケット50の全体構成を示す斜視図であり、図5Bは側面図である。図6は、締結ブラケット50の後フレーム2Bへの取付状態を示す斜視図(斜め下方から見た図)である。なお、図5A図5Bでは、図6に対応して締結ブラケット50の前後方向、左右方向および上下方向を示す。図5A図5Bに示すように、締結ブラケット50は、平板を略L字状に折り曲げて形成され、略水平に延在する略矩形状の横板部51と、横板部51の端部(図では左端部)から下方に延在する略矩形状の縦板部52とを有する。横板部51の上面の中央部には、ナット53が接合される。横板部51には、ナット53のねじ孔53aに沿って貫通孔51aが開口される。
【0021】
図6に示すように、横板部51の前後方向長さは、後フレーム2Bのスロット孔202の前後方向長さよりも長く、横板部51は、スロット孔202と交差するようにスロット孔202の上方に配置される。縦板部52の前後方向長さ、特に縦板部52の上端部における前後方向長さは、スロット孔202の前後方向長さと等しく、あるいはスロット孔202の前後方向長さよりもやや短い。このため、横板部51の下方から、貫通孔51a(図5B)を介してナット53のねじ孔53a(図5B)にボルト55が螺合された際、縦板部52の側面52aがスロット孔202の縁部に当接して、締結ブラケット50の所定方向の回転が阻止される。
【0022】
横板部51の前後方向長さは、スロット孔202の左右方向長さよりも短い。このため、横板部51を、図6の状態から90°回転させた状態で、後フレーム2Bの下方から後フレーム2Bの上方に、スロット孔202を貫通して横板部51を導くことができる。その後、再び横板部51を90°回転させると、図6の状態になる。
【0023】
図7Aは、サブブラケット40,特に右側のサブブラケット40の全体構成を示す斜視図であり、図7Bは平面図(図7Aの矢視B図)、図7Cは側面図(図7Aの矢視C図)である。左右のサブブラケット40は互いに同一形状であり、図7Aのサブブラケット40を180°回転させると、左側のサブブラケット40になる。
【0024】
図7A図7Cに示すように、サブブラケット40は、金属製の板部材により構成され、前後方向中間位置の鉛直面に沿った基準線LNに関し前後方向対称形状を呈する。より詳しくは、サブブラケット40は、所定形状のプレートを略直角に屈曲して構成され、略水平方向に延在する横板部41と、横板部41の右端部から下方に延在する縦板部42とを有する。横板部41は、平面視略矩形状を呈し、縦板部42は、側面視略矩形状を呈する。横板部41は、縦板部42よりも前後方向に突出して形成される。なお、横板部41の左端部には、下方に屈曲した折り曲げ部43が設けられる。
【0025】
横板部41の前後方向両端部には、横板部41を上下方向に貫通する略円形の貫通孔44,45が穿設される。縦板部42には、貫通孔44よりも後方かつ貫通孔45よりも前方において、縦板部42を左右方向に貫通する長孔46,47が穿設される。長孔46,47は、上下方向に延びて形成される。図7Aに示すように、横板部41の上面は略平坦であり、水平面41aを構成する。縦板部42の左右方向外側端面(図7Aでは右端面)は略平坦であり、鉛直面42aを構成する。
【0026】
図8は、前後のフレーム2へのメインブラケット10の取付部の構成を示す斜視図(斜め上方から見た図)であり、図9は、右側のサブブラケット40の取付部の構成を示す斜視図(斜め下方から見た図)である。図9に示すように、サブブラケット40の横板部41の後端部の貫通孔44には、下方からボルト55(図6)が挿通される。より詳しくは、横板部41の上面の水平面41a(図8)が、後フレーム2Bの底面203に当接された状態で、ボルト55が挿通される。図8に示すように、ボルト55は、締結ブラケット50のナット53に螺合され、これにより右側のサブブラケット40が後フレーム2Bに固定される。このとき貫通孔45にはボルトが挿通されない。なお、左側のサブブラケット40は、右側のサブブラケット40を180°反転して用いるため、左側のサブブラケット40の貫通孔45にはボルト55が挿通され、貫通孔44にはボルトは挿通されない。
【0027】
図9に示すように、メインブラケット10の後端部における右端部から上方に立ち上がる屈曲部15には、右方に向けてボルト16が突設される。ボルト16は、溶接などにより屈曲部15と一体に設けられる。ボルト16は、サブブラケット40の前側の長孔46を挿通し、このボルト16に、図8に示すように右方からナット17が螺合される。これにより、メインブラケット10の後端部がサブブラケット40を介して後フレーム2Bに支持される。このとき、図9に示すように、長孔47にはボルトが挿通されない。このように長孔46を貫通したボルト16によりメインブラケット10が固定されるため、サブブラケット40に対するメインブラケット10の上下方向(矢印A方向)の位置調整が可能である。
【0028】
図示は省略するが、メインブラケット10の後端部における左端部から上方に立ち上がる屈曲部15(図1)には、左方に向けてボルト16が突設される。このボルトは、左側のサブブラケット40の長孔47を挿通した後、先端部にナット17が螺合される。これにより、メインブラケット10の左右両端部が、サブブラケット40を介して後フレーム2Bに支持される。メインブラケット10がサブブラケット40に固定された状態では、図9に示すように、メインブラケット10の後端部は後フレーム2Bよりも前方に位置する。したがって、メインブラケット10を前後方向に短尺に構成することができる。
【0029】
図10A~10Gは、車両用モニタ装置100の取付手順の一例を示す図である。車両用モニタ装置100を取り付ける場合には、まず、図10Aに示すように、後フレーム2Bのスロット孔202に、下方から左右一対の締結ブラケット50を挿入する。次いで、図10Bに示すように、サブブラケット40の貫通孔44,45に下方からボルト55を挿通した後、ボルト55を締結ブラケット50のナット53に螺合する。これにより左右一対のサブブラケット40を後フレーム2Bに取り付ける。この時点では、ボルト55を緩めておく。このため、サブブラケット40は、ボルト55を支点にして矢印方向に回動可能である。
【0030】
次いで、サブブラケット40を左右方向外側に回動(退避)させてから、図10Cに示すように、左右のサブブラケット40の間にメインブラケット10を配置する。さらに、左右のサブブラケット40を左右方向内側(図10Cの矢印方向)に回動させて、メインブラケット10の左右両端の屈曲部15から左右方向外側に突出した左右一対のボルト16を、サブブラケット40の長孔46,47に挿通する。これによりメインブラケット10をサブブラケット40に仮保持する。このとき、屈曲部15の左右方向外側の端面15a(図9)とサブブラケット40の縦板部42の左右方向内側の鉛直面42a(図10B)とを平行にしてこれらを隙間なく当接させる。
【0031】
次いで、図10Dに示すように、メインブラケット10の前端部のステイ11の貫通孔11aに、下方からボルト201aを挿通するとともに、ボルト201aを、前フレーム2Aの開口部200の周囲に設けられたねじ孔201に螺合する。これによりメインブラケット10の前端部が前フレーム2Aに固定される。次いで、図10Eに示すように、サブブラケット40の後端部を挿通したボルト55に締結力を付与して、サブブラケット40を後フレーム2Bに固定する。
【0032】
次いで、図10Fに示すように、サブブラケット40の長孔46,47(図10C)に挿通されたボルト16にナット17を螺合し、メインブラケット10の後端の左右両端部をサブブラケット40に固定する。このとき、メインブラケット10の上面が水平状態となるようにメインブラケット10の高さ(傾き)を調整しながら、メインブラケット10をサブブラケット40に固定する。次いで、メインブラケット10の下方からステイ11を覆うようにカバー31(図1)を取り付ける。さらに、モニタ本体20のベース部21の貫通孔24(図3)を挿通したボルトをメインブラケット10のねじ孔13に螺合し、図10Gに示すように、モニタ本体20をメインブラケット10に固定する。以上で、車両用モニタ装置100の取付が完了する。
【0033】
このように本実施形態では、サブブラケット40の縦板部42に上下方向に細長の長孔46,47を設けるので、メインブラケット10から左右方向に突設されたボルト16が長孔46,47に沿って移動可能である。これにより、後フレーム2Bに対するメインブラケット10の高さ調整が可能である。その結果、後フレーム2Bの高さ(例えば左右方向の異なる位置における高さ)にばらつきがある場合であっても、ボルトを用いてメインブラケット10を取り付ける際、フレーム2やメインブラケット10に過大な応力が発生することを防止できる。
【0034】
また、車両用モニタ装置100の取付過程において、左右一対のサブブラケット40を回動可能に設けるので(図10B)、メインブラケット10の左右方向の位置を精度よく規定した上で、メインブラケット10を取り付けることができる。さらに、サブブラケット40は、基準線LNを中心として前後方向対称に構成されるので、同一形状のサブブラケット40を左右両側に用いることができ、部品点数(部品の種類)を節約できる。サブブラケット40は前後方向細長に形成され、サブブラケット40を後フレーム2Bに固定するための貫通孔44,45と、メインブラケット10をサブブラケット40に固定するための長孔46,47とは、前後方向に離間して設けられる。これによりメインブラケット10を後フレーム2Bよりも前方に配置することができ、メインブラケット10を前後方向に小型化できる。
【0035】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両用モニタ装置100は、車両の天井部1に左右方向に延設された前後一対のフレーム2(前フレーム2A,後フレーム2B)に支持されるメインブラケット10と、メインブラケット10に取り付けられるモニタ本体20と、後フレーム2Bとメインブラケット10との間に介装されるサブブラケット40と、を備える(図1)。サブブラケット40は、後フレーム2Bに固定される横板部41、すなわち貫通孔44,45が開口された横板部41と、メインブラケット10に固定される縦板部42、すなわち長孔46,47が開口された縦板部42と、を有する(図7A図7C)。長孔46,47は、後フレーム2Bに対するメインブラケット10の高さを調整可能な高さ調整機構として機能する。
【0036】
この構成により、後フレーム2Bの高さにばらつきがある場合に、高さのばらつきを長孔46,47によって吸収することができる。したがって、メインブラケット10の取付作業を容易に行うことができる。また、メインブラケット10の取付時に、フレーム2やメインブラケット10に過大な応力を発生させることなく、メインブラケット10を所望の水平姿勢にしてフレーム2Aから支持することができる。これによりモニタ本体20をメインブラケット10に最適に取り付けることができる。
【0037】
(2)サブブラケット40の縦板部42は、メインブラケット10の左右方向外側の端面15aに当接され、鉛直方向に延在する鉛直面42aを有する(図9図10B)。高さ調整機構は、メインブラケット10の左右方向外側の端面15aから左右方向外側に突出されたボルト16が挿通するように、鉛直面42aに上下方向にわたって延設された長孔46,47により構成される(図9)。これにより簡易な構成で、メインブラケット10の高さ調整が可能である。
【0038】
(3)サブブラケット40の横板部41は、後フレーム2Bの底面203に当接され、水平方向に延在する水平面41aを有する(図8図9)。水平面41aには、後フレーム2Bの底面203を貫通するボルト55が挿通されるように貫通孔44,45が設けられる(図8)。これにより、サブブラケット40を後フレーム2Bに容易かつ強固に固定することができる。
【0039】
(4)サブブラケット40は、メインブラケット10の左右方向両端部に固定される左右一対のサブブラケットである。これにより、メインブラケット10の左右方向両端部を、サブブラケット40を介して後フレーム2Bから安定して支持することができる。
【0040】
(5)左右一対のサブブラケット40は、前後方向の中間部における基準線LNに関して線対称に構成される(図7A図7C)。長孔46、47は、基準線LNに関して対称位置に配置され、貫通孔44,45は、基準線LNに関して対称位置に配置される(図7A図7C)。これにより、左右方向に非対称な形状であるサブブラケット40を180°反転することで、メインブラケット10の左右両側に用いることができる。その結果、部品の種類を削減でき、コストを低減できる。
【0041】
本実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、前後一対のフレームである前フレーム2Aおよび後フレーム2Bのうち後フレーム2Bに、高さ調整機構を有するサブブラケット40を固定するようにしたが、前フレーム2Aに高さ調整機構を有するサブブラケットを固定するようにしてもよい。すなわち、サブブラケットが固定される対象フレームは、前フレームと後フレームのいずれであってもよい。前フレームと後フレームの両方に、サブブラケットを固定してもよい。
【0042】
上記実施形態では、サブブラケット40の横板部41に、後フレーム2Bに固定される第1固定部として貫通孔44,45を設けるとともに、サブブラケット40の縦板部42に、メインブラケット10に固定される第2固定部として長孔46,47を設けるようにしたが、第1固定部と第2固定部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、サブブラケット40の縦板部42(第2固定部)に、高さ調整機構として長孔46,47を設けるようにしたが、高さ調整機構の構成はこれに限らない。第1固定部に高さ調整機構を設けてもよい。第1固定部と第2固定部の双方に、高さ調整機構を設けてもよい。
【0043】
上記実施形態では、メインブラケット10の左右両側に設けられるサブブラケット40を互いに同一形状とした。すなわち、横板部41の互いに対象位置に、貫通孔44(第1貫通孔)と貫通孔45(第2貫通孔)とを設けるとともに、縦板部42の互いに対象位置に、長孔46(第1長孔)と長孔47(第2長孔)とを設けたが、単一の貫通孔と単一の長孔とを設けるとともに、左右のサブブラケットの形状を互いに異なる形状としてもよい。
【0044】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
2 フレーム、2A 前フレーム、2B 後フレーム、10 メインブラケット、15a 端面、16 ボルト、20 モニタ本体、40 サブブラケット、41 横板部、41a 水平面、42 縦板部、44,45 貫通孔、46、47 長孔、50 締結ブラケット、55 ボルト、100 車両用モニタ装置、LN 基準線
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井部に左右方向に延設された前後一対のフレームに支持されるメインブラケットと、
前記メインブラケットに取り付けられるモニタと、
前記前後一対のフレームの少なくとも一方である対象フレームと前記メインブラケットとの間に介装されるサブブラケットと、を備え、
前記サブブラケットは、前記対象フレームに設けられた締結部に、上下方向に延在する第1のボルトを介して固定される第1固定部と、前記メインブラケットに固定される第2固定部と、を有し、
前記第2固定部は、鉛直方向に延在し、前記メインブラケットの左右方向の一方の端面に当接される鉛直面を有し、
前記鉛直面には、前記メインブラケットの前記端面から左右方向に突出された第2のボルトが挿通するように、上下方向にわたって長孔が設けられることを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用モニタ装置において、
前記第1固定部は、該第1固定部が前記第2固定部よりも前記対象フレーム側に位置するように前後方向の一方に設けられることを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用モニタ装置において、
前記第1固定部は、前記対象フレームの底面に当接され、水平方向に延在する水平面を有し、
前記水平面に、前記対象フレームの底面を貫通して前記第1のボルトが挿通されるように貫通孔が設けられることを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用モニタ装置において、
前記サブブラケットは、前記メインブラケットの左右方向両端部に固定される左右一対のサブブラケットであることを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用モニタ装置において、
前記左右一対のサブブラケットは、前後方向の中間部における基準線に関して線対称に構成され、
前記長孔は、前記基準線に関して対称位置に配置された第1長孔と第2長孔とを含み、
前記貫通孔は、前記基準線に関して対称位置に配置された第1貫通孔と第2貫通孔とを含むことを特徴とする車両用モニタ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の一態様である車両用モニタ装置は、車両の天井部に左右方向に延設された前後一対のフレームに支持されるメインブラケットと、メインブラケットに取り付けられるモニタと、前後一対のフレームの少なくとも一方である対象フレームとメインブラケットとの間に介装されるサブブラケットと、を備える。サブブラケットは、対象フレームに設けられた締結部に、上下方向に延在する第1のボルトを介して固定される第1固定部と、メインブラケットに固定される第2固定部と、を有し、第2固定部は、鉛直方向に延在し、メインブラケットの左右方向の一方の端面に当接される鉛直面を有し、鉛直面には、メインブラケットの端面から左右方向に突出された第2のボルトが挿通するように、上下方向にわたって長孔が設けられる
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図8は、前後のフレーム2へのメインブラケット10の取付部の構成を示す斜視図(斜め上方から見た図)であり、図9は、右側のサブブラケット40の取付部の構成を示す斜視図(斜め下方から見た図)である。図9に示すように、サブブラケット40の横板部41の後端部の貫通孔45には、下方からボルト55(図6)が挿通される。より詳しくは、横板部41の上面の水平面41a(図8)が、後フレーム2Bの底面203に当接された状態で、ボルト55が挿通される。図8に示すように、ボルト55は、締結ブラケット50のナット53に螺合され、これにより右側のサブブラケット40が後フレーム2Bに固定される。このとき貫通孔44にはボルトが挿通されない。なお、左側のサブブラケット40は、右側のサブブラケット40を180°反転して用いるため、左側のサブブラケット40の貫通孔44にはボルト55が挿通され、貫通孔45にはボルトは挿通されない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
この構成により、後フレーム2Bの高さにばらつきがある場合に、高さのばらつきを長孔46,47によって吸収することができる。したがって、メインブラケット10の取付作業を容易に行うことができる。また、メインブラケット10の取付時に、フレーム2やメインブラケット10に過大な応力を発生させることなく、メインブラケット10を所望の水平姿勢にしてフレーム2から支持することができる。これによりモニタ本体20をメインブラケット10に最適に取り付けることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
上記実施形態では、メインブラケット10の左右両側に設けられるサブブラケット40を互いに同一形状とした。すなわち、横板部41の互いに対位置に、貫通孔44(第1貫通孔)と貫通孔45(第2貫通孔)とを設けるとともに、縦板部42の互いに対位置に、長孔46(第1長孔)と長孔47(第2長孔)とを設けたが、単一の貫通孔と単一の長孔とを設けるとともに、左右のサブブラケットの形状を互いに異なる形状としてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7A
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
図8
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9