(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022404
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ファイル関連情報の管理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 16/14 20190101AFI20240208BHJP
【FI】
G06F16/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125962
(22)【出願日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】510189662
【氏名又は名称】ヴイアールアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110652
【弁理士】
【氏名又は名称】塩野谷 英城
(72)【発明者】
【氏名】藤田 岳史
(57)【要約】
【課題】ファイルにコメント、タグ又は注釈等のファイル関連情報を紐づけるにあたり、当該ファイルの変更を伴わないようにする。
【解決手段】ユーザの操作に基づきファイル記憶部1からファイル処理部3にファイルを供給するステップS1と、ファイル処理部3が、リンク情報取得規則に基づいて供給したファイルの固有のリンク情報を取得し、当該リンク情報を伴う問い合わせをファイル関連情報処理部5に行うステップS2,S3と、ファイル関連情報処理部5が、問い合わせを受けたリンク情報をファイル関連情報記憶部6から検索し、該当したリンク情報に紐づいたファイル関連情報を読み出し、問い合わせ元のファイル処理部3に渡すステップS4,S5と、ファイル処理部3が、ファイル関連情報を取得し、ユーザに閲覧させるステップS6とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作に基づきファイル記憶部からファイル処理部にファイルを供給するステップと、
前記ファイル処理部が、リンク情報取得規則に基づいて前記供給したファイルの固有のリンク情報を取得し、当該リンク情報を伴う問い合わせをファイル関連情報処理部に行うステップと、
前記ファイル関連情報処理部が、前記問い合わせを受けたリンク情報をファイル関連情報記憶部から検索し、該当したリンク情報に紐づいたファイル関連情報を読み出し、前記問い合わせ元のファイル処理部に渡すステップと、
前記ファイル処理部が、前記ファイル関連情報を取得し、前記ユーザに閲覧させるステップと、を備えたファイル関連情報の管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の管理方法において、
前記ファイル処理部が、前記ファイル関連情報を閲覧したユーザからファイル関連情報の追加又は編集を受け付け、当該追加又は編集されたファイル関連情報を前記リンク情報に紐づけて前記ファイル関連情報処理部に渡すステップと、
当該ファイル関連情報処理部が、前記ファイル処理部から受けたファイル関連情報を前記リンク情報に紐づけて前記ファイル管理情報記憶部に更新するステップと、を備えたファイル関連情報の管理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の管理方法において、
前記問い合わせを受けたリンク情報をファイル関連情報記憶部から検索できない場合、
前記ファイル関連情報処理部は、前記問い合わせ元のファイル処理部から新規のファイル関連情報を受け付け、前記リンク情報に紐づけて前記ファイル関連情報記憶部に登録する、ファイル関連情報の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイル関連情報の管理方法に係り、特に、ファイルに紐づけるコメント、タグ又は注釈等のファイル関連情報の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファイル自体にコメント、タグ又は注釈等のファイル関連情報を記録する技術が知られている。また、インターネット上の文書や画像等のコンテンツに対しコメント等の関連情報を紐づける技術が知られている。
【0003】
しかし、前者は、ファイル内容の編集を伴う。また、後者は、コンテンツ毎に専用のコメント等入力欄にアクセスしてコメント等を入力する必要がある。
【0004】
出願人は、上記背景技術に関する先行技術文献の存在を知らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、特に、ファイルにコメント、タグ又は注釈等のファイル関連情報を紐づけるにあたり、当該ファイルの変更を伴わないようにする。また、コンテンツ毎に専用のコメント等入力欄にアクセスすることを不要とし、比較的簡単な操作でファイルにコメント等を紐づけることができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、ユーザの操作に基づきファイル記憶部からファイル処理部にファイルを供給するステップと、ファイル処理部が、リンク情報取得規則に基づいて供給したファイルの固有のリンク情報を取得し、当該リンク情報を伴う問い合わせをファイル関連情報処理部に行うステップとを備える。また、ファイル関連情報処理部が、問い合わせを受けたリンク情報をファイル関連情報記憶部から検索し、該当したリンク情報に紐づいたファイル関連情報を読み出し、問い合わせ元のファイル処理部に渡すステップと、 ファイル処理部が、ファイル関連情報を取得し、ユーザに閲覧させるステップと、を有する。
【0007】
また、他の発明は上記に加え、ファイル処理部が、ファイル関連情報を閲覧したユーザから入力装置を介してファイル関連情報の追加又は編集を受け付け、当該追加又は編集されたファイル関連情報をリンク情報に紐づけてファイル関連情報処理部に渡すステップと、当該ファイル関連情報処理部が、ファイル処理部から受けたファイル関連情報をリンク情報に紐づけてファイル管理情報記憶部に更新するステップと、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ファイルにコメント、タグ又は注釈等のファイル関連情報を紐づけるにあたり、当該ファイルの変更を伴わない。また、コンテンツ毎に専用のコメント等入力欄にアクセスすることを不要とし、ファイル処理部にファイルを供給するという比較的簡単な操作に基づき、ファイルにコメント等を紐づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態であるファイル関連情報管理システムの構成図である。同システムは、ローカルコンピュータ10とリモートコンピュータ20とで構成され、両者がインターネット等のコンピュータネットワークを介して通信することで動作する。リモートコンピュータ20に対して、ローカルコンピュータ10は複数を設けることができる。
【0011】
ローカルコンピュータ10は、ファイル記憶部1と、ユーザインターフェース2と、ファイル処理部3と、リンク情報取得規則4とを備えている。
【0012】
ファイル記憶部1は、ファイル関連情報にアクセスするキー(鍵)となるファイルを記憶している。ファイル記憶部1は、ローカルコンピュータ10のハードディスク等の補助記憶に配置されている。記憶されるファイルは、例えば、文書、画像又は動画等の実ファイル又は当該実ファイルへのショートカットファイル等である。ショートカットファイルは、インターネット上に置かれた実ファイルへのショートカットファイルでもよい。本実施形態では、ファイル記憶部1がローカルコンピュータ10に接続されているものとして説明するが、これに限らず、ローカルエリア内のオンプレミスサーバ上や、リモート側のクラウド上などに置かれていてもよい。本発明としてはファイル記憶部1の置き場所は限定されない。
【0013】
ユーザインターフェース2は、ローカルコンピュータ10のプロセッサが実行するプログラムの機能により、アプリケーションプログラム(アプリ)の機能として又はウェブブラウザ上で動作するプロセスの機能として提供される。ユーザインターフェース2は、ユーザの操作に応じて、ファイル記憶部1からのファイルの入力、出力装置へのファイル関連情報等の出力(表示)又は入力装置からのファイル関連情報等の入力等を行う。ローカルコンピュータ10は、複数のプロセッサが分散処理を行う構成でもよい。
【0014】
ファイル処理部3は、プロセッサが所定のプログラムを実行することにより、各種の機能を実現する。その動作については後述する。
【0015】
リンク情報取得規則4は、ファイル記憶部1に格納されたファイルに基づき当該ファイルの固有(ユニーク)な識別情報(リンク情報)を取得するための規則を予め規定している。リンク情報の取得規則は、一例として以下を想定する。
【0016】
(1)ファイルのファイル名、作者、作成日、更新日、保管コンピュータ名、現在のディレクトリ又はファイルサイズ等の属性の特定の組み合わせによりリンク情報を取得すること。
【0017】
(2)ファイルのディレクトリやファイルの保管場所を示すURL(ユニフォーム・リソース・ロケータ)等のファイルのアドレスをリンク情報として取得すること。
【0018】
(3)実ファイルに対応するNFT(ノン・ファンジブル・トークン)に記録された実ファイルのアドレスをリンク情報として取得すること。
【0019】
リンク情報取得規則4は、ローカルコンピュータ10に接続された補助記憶に格納されていてもよいし、ファイル処理部3が実行するプログラム内に記述されていてもよい。又は、リンク情報取得規則4は、リモート側で管理し、逐次ローカルコンピュータ10から参照してもよい。
【0020】
一方、リモートコンピュータ20は、ファイル関連情報処理部5と、ファイル関連情報記憶部6とを備えている。
【0021】
ファイル関連情報処理部5は、リモートコンピュータ20のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより動作する。当該動作については後述する。リモートコンピュータ20は、複数のプロセッサが分散処理を実行する構成でもよい。
【0022】
ファイル関連情報記憶部6は、リモートコンピュータ20の補助記憶に設けられ、リンク情報ごとにファイル関連情報を紐づけて記憶する。ファイル関連情報は、ファイル内容についての注釈やコメント等である。ローカルコンピュータ10及びリモートコンピュータ20は、プロセッサ、入力装置、出力装置、記憶装置及び通信装置等のコンピュータの一般的な要素を備えている。
【0023】
次に、本実施形態の動作を
図2に基づいて説明する。ユーザがドラッグ・アンド・ドロップ等の操作により、ファイル記憶部1からユーザインターフェース2を介してファイル処理部3に特定のファイルを供給すると、ファイル処理部3は、当該ファイルの供給操作を検知する(S1)。ファイル処理部3は、リンク情報取得規則4に基づき、供給したファイルの固有のリンク情報を取得し、当該リンク情報を伴う問い合わせをファイル関連情報処理部5に行う(S2,S3)。ファイル関連情報処理部5は、問い合わせを受けたリンク情報をファイル関連情報記憶部6から検索し、該当したリンク情報に紐づいたファイル関連情報を読み出し、問い合わせ元のファイル処理部3に渡す(S4,S5)。ファイル処理部3は、ファイル関連情報を取得し、ユーザインターフェース2を通じて、ユーザに閲覧させる(S6)。この際、ファイル処理部3は、元ファイルの内容をユーザインターフェース2に表示すると共に、対応するファイル関連情報(注釈やコメント)をファイルの内容に重畳して表示してもよい。
【0024】
ファイル処理部3は、ユーザインターフェース2を介して、ファイル関連情報を閲覧したユーザからファイル関連情報の追加又は編集を受け付ける(S6)。ファイル関連情報の追加又は編集の受け付けは、キーボード等の入力装置を介して行われる。ファイル処理部3は、当該追加又は編集されたファイル関連情報をリンク情報に紐づけてファイル関連情報処理部5に渡す(S7)。当該ファイル関連情報処理部5は、ファイル処理部3から受けたファイル関連情報をリンク情報に紐づけてファイル管理情報記憶部6に更新する(S8)。
【0025】
一方、S4において、問い合わせを受けたリンク情報をファイル関連情報記憶部6から検索できない場合、ファイル関連情報処理部5は、その旨をファイル処理部3に返す。この場合、ファイル処理部3は、ユーザインターフェース2を介して元ファイルに対するファイル関連情報の入力を新規に受け付け、入力されたファイル関連情報を元ファイルに対応するリンク情報に紐づけてファイル関連情報処理部5に渡す(S7)。ファイル関連情報処理部5は、ファイル処理部3から新規のファイル関連情報を受け付け、対応するリンク情報に紐づけてファイル関連情報記憶部6に登録する(S8)。
【0026】
以上説明した本実施形態によれば、ファイルにコメント、タグ又は注釈等のファイル関連情報を紐づけるにあたり、当該ファイルの変更を伴わない。また、コンテンツ毎に専用のコメント等入力欄にアクセスすることを不要とし、ファイル処理部3にファイルを供給するという比較的簡単な操作に基づいて当該ファイルにコメント等を紐づけることができる。更に、元ファイルに注釈等を付加する場合でも、当該ファイルをリモート側に送信する必要がない。元ファイルの内容はリモート側に流出しない。元ファイルをリモート側で複製保管したり、変更や共有を行わなくとも、当該ファイルに注釈等を付加することができる。リモート側で元ファイルを保存しておく必要はなく、リモートコンピュータ20の記憶容量は元ファイルによって消費されない。
【0027】
複数のローカルコンピュータ10において、リンク情報が同一である元ファイル又はそのショートカットファイルを各々のファイル処理部3に供給できる場合、同一の元ファイルの内容に対して、複数のユーザがコメント等を付加することができる。
【0028】
[NFTの利用について]
リンク情報の取得規則の一例として、(3)実ファイルに対応するNFTに記録された実ファイルのアドレスをリンク情報として取得することに触れた。これを詳述すると、NFTマーケットプレイスやNFTウォレットを介してNFT作品を登録すると、多くの場合、作品のコンテンツ名称、説明やコンテンツデータのURL等のメタデータがオフチェーンに記録されると共に、作品のTokenID、所有者アドレスやTokenURI等がブロックチェーンに記録されることが知られている。
【0029】
また、NFTマーケットプレイスやNFTウォレットに表示されたNFT作品を選択すると、当該NFT作品に紐づいたTokenURIやコンテンツデータのURL等の閲覧(取得)が可能であることが知られている。
【0030】
上記実施形態において、ファイル処理部3のプログラムは、ユーザインターフェース2の上で、NFTマーケットプレイス又はNFTウォレットからのNFT作品の供給を検知すると、当該NFT作品に対応するTokenURI又はコンテンツデータのURLをNFTマーケットプレイス又はNFTウォレットを介して問い合わせる。コンテンツデータのURLは、IPFS(インタープラネタリ・ファイルシステム)のコンテンツIDでもよい。
【0031】
そして、ファイル処理部3のプログラムは、上記問い合わせの戻り値として得たTokenURI又はコンテンツデータのURLをリンク情報として用い、その後の処理を実行する。
【0032】
以上の動作を実現するにあたり、ファイル処理部3のプログラムは、NFTマーケットプレイス又はNFTウォレットのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)やアドオンを利用してもよい。
【0033】
ここで、本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲であり、上記実施形態の範囲に限定されるものではない。例えば、リンク情報に紐づけるコメント等には、動画等のURLを含めることによって、元ファイルに動画等を紐づけることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 ファイル記憶部
2 ユーザインターフェース
3 ファイル処理部
4 リンク情報取得規則
5 ファイル関連情報処理部
6 ファイル関連情報記憶部
10 ローカルコンピュータ
20 リモートコンピュータ