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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002241
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】薬剤分包装置及び薬剤分包システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101317
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】勝丸 智行
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 将貴
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴光
(72)【発明者】
【氏名】東 伸
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ03
4C047JJ07
4C047JJ13
4C047JJ15
4C047JJ26
4C047JJ31
4C047KK28
(57)【要約】
【課題】流れ係数のような散剤の種類ごとの値を予め設定することなく、分包精度を維持しつつ、分包にかかる時間が長くなることを抑制できる薬剤分包装置を提供する。
【解決手段】薬剤分包装置は、散剤を収容する散剤容器と、散剤容器を振動させて、散剤を散剤容器から供給する振動装置と、回動しつつ散剤容器から供給される散剤を収容する略円形の分配皿と、制御部と、を備え、振動装置は、散剤容器を振動させる強さを変更可能であり、前記制御部は、前記散剤容器に収容された散剤を供給するのに要した時間が予め設定されている基準時間を逸脱する場合に、当該散剤と散剤の種類に関する種類情報と一致する散剤を次回に供給する際の前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さを、前記散剤容器に収容された散剤を供給するのに要する時間が前記基準時間に合うように変更する自動調整制御を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも散剤の分包を実行する薬剤分包装置であって、
散剤を収容する散剤容器と、該散剤容器を振動させて、散剤を前記散剤容器から供給する振動装置と、回動しつつ前記散剤容器から供給される散剤を収容する円形の分配皿と、該分配皿に収容された散剤を掻き出す掻き出し部と、前記分配皿から掻き出された散剤を包装する包装部と、制御部と、を備え、
前記振動装置は、前記散剤容器を振動させる強さを変更可能であり、
前記制御部は、前記散剤容器から散剤を供給するのに要した時間が予め設定されている基準時間を逸脱する場合に、当該散剤と同一の種類の散剤を供給する際の前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さを、前記散剤容器から散剤を供給するのに要する時間が前記基準時間に近づくように変更する自動調整制御を実行する薬剤分包装置。
【請求項2】
少なくとも散剤の分包を実行する薬剤分包装置であって、
散剤を収容する散剤容器と、該散剤容器を振動させて、散剤を前記散剤容器から供給する振動装置と、回動しつつ前記散剤容器から供給される散剤を収容する円形の分配皿と、該分配皿に収容された散剤を掻き出す掻き出し部と、前記分配皿から掻き出された散剤を包装する包装部と、制御部と、を備え、
前記振動装置は、前記散剤容器を振動させる強さを変更可能であり、
前記制御部は、前記散剤容器から散剤を供給するのに要した時間が予め設定されている基準時間を逸脱する場合に、当該散剤と同一の種類がかつ同一の重量範囲内の重量の散剤を供給する際の前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さを、前記散剤容器にから散剤を供給するのに要する時間が前記基準時間に近づくように変更する自動調整制御を実行する薬剤分包装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記自動調整制御を実行し、前記振動の強さを強くする場合、前記振動装置の振動開始時点では前記散剤容器を振動させる振動の強さを強くせず、振動開始時点から遅れて振動の強さを強くするように前記振動装置を制御する請求項1又は2に記載の分包装置。
【請求項4】
前記散剤容器から供給される散剤を検知する散剤検知手段を備え、
前記制御部は、前記散剤検知手段の検知状態に基づいて前記散剤容器から散剤を供給するのに要した時間を計測する請求項1又は2に記載の薬剤分包装置。
【請求項5】
前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さを変更可能な操作部を備え、
前記制御部は、前記自動調整制御を実行する調整モードと、前記自動調整制御を実行しない非調整モードと、を切り替え可能であり、前記自動調整制御を実行する場合、前記振動装置により散剤が供給される間は前記操作部による振動の強さの変更を禁止する請求項1又は2に記載の薬剤分包装置。
【請求項6】
前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さの前記散剤の種類毎に設定された値である調整振動値を記憶する記憶部と、前記調整振動値を変更可能な操作部と、を備え、
前記制御部は、前記自動調整制御を実行することにより前記調整振動値を変更する一方で、前記自動調整制御を実行している間は前記調整振動値の前記操作部による変更を禁止する請求項1又は2に記載の薬剤分包装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記自動調整制御を実行する調整モードと、前記自動調整制御を実行しない非調整モードと、を切り替え可能である請求項1又は2に記載の薬剤分包装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記自動調整制御を実行する調整モードと、前記自動調整制御を実行しない非調整モードと、を散剤の種類ごとに切り替え可能である請求項1又は2に記載の薬剤分包装置。
【請求項9】
少なくとも散剤の分包を実行する薬剤分包装置と、該薬剤分包装置と通信可能な外部処理部と、を備える薬剤分包システムであって、
前記薬剤分包装置は、散剤を収容する散剤容器と、該散剤容器を振動させて、散剤を前記散剤容器から供給する振動装置と、回動しつつ前記散剤容器から供給される散剤を収容する円形の分配皿と、該分配皿に収容された散剤を掻き出す掻き出し部と、前記分配皿から掻き出された散剤を包装する包装部と、を備え、
前記振動装置は、前記散剤容器を振動させる強さを変更可能であり、
前記外部処理部は、前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さの前記散剤の種類毎に設定された値である調整振動値を記憶し、
前記薬剤分包装置は、前記外部処理部が記憶する前記調整振動値に基づいて、前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さを設定可能であり、
前記薬剤分包システムは、制御部をさらに備え、
前記制御部は、
前記散剤容器から散剤を供給するのに要した時間が予め設定されている基準時間を逸脱する場合に、当該散剤と同一の種類の散剤を供給する際の前記調整振動値を、前記散剤容器から散剤を供給するのに要する時間が前記基準時間に近づくように決定し、
前記外部処理部は、記憶する前記調整振動値を、前記制御部が決定した前記調整振動値に変更する薬剤分包システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散剤を分包可能な薬剤分包装置及び薬剤分包システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤分包装置として、特許文献1に記載の散薬分包装置が知られている。薬剤分包装置は、散剤を収容する散剤容器と、散剤容器を振動させ、散剤容器に収容された散剤の一部を散剤容器から落下させる振動台と、所定の速度で回転しつつ散剤容器から落下した散剤を受け止める分配皿と、分配皿から包装装置に散剤を掻き落とす掻き出し装置と、を備える。また、振動台は、散剤容器に収容された薬剤の種類に対して予め設定された流れ係数に応じた振動レベルで散剤容器を振動させる。
【0003】
以上のような薬剤分包装置によれば、薬剤の流れ係数にかかわらず単位時間当たりの薬剤の排出量を一定にできるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/46148号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような薬剤分包装置では、散剤容器から供給される散剤を分配皿に均等に供給して分包精度を高めつつ、分包にかかる時間が長くなることを抑制するためには、取り扱うすべての薬剤に対して流れ係数を設定する必要があり、予めの設定作業が煩雑であった。
【0006】
そこで、本発明は、流れ係数のような散剤の種類ごとの値を予め設定することなく、分包精度を維持しつつ、分包にかかる時間が長くなることを抑制できる薬剤分包装置及び薬剤分包システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の薬剤分包装置は、少なくとも散剤の分包を実行する薬剤分包装置であって、散剤を収容する散剤容器と、該散剤容器を振動させて、散剤を前記散剤容器から供給する振動装置と、回動しつつ前記散剤容器から供給される散剤を収容する円形の分配皿と、該分配皿に収容された散剤を掻き出す掻き出し部と、前記分配皿から掻き出された散剤を包装する包装部と、制御部と、を備え、前記振動装置は、前記散剤容器を振動させる強さを変更可能であり、前記制御部は、前記散剤容器から散剤を供給するのに要した時間が予め設定されている基準時間を逸脱する場合に、当該散剤と同一の種類の散剤を供給する際の前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さを、前記散剤容器から散剤を供給するのに要する時間が前記基準時間に近づくように変更する自動調整制御を実行するよう構成される。
【0008】
かかる構成によれば、制御部は、散剤容器から分配皿に散剤を供給するのに必要な時間が基準時間に近づくように、同一の種類の散剤を供給する際の振動装置が散剤容器を振動させる振動の強さを変更する自動調整制御を実行するので、分包精度が落ちることを抑制しつつ、散剤の供給にかかる時間が長くなることを抑制できる。
【0009】
また、本発明の薬剤分包装置は、少なくとも散剤の分包を実行する薬剤分包装置であって、散剤を収容する散剤容器と、該散剤容器を振動させて、散剤を前記散剤容器から供給する振動装置と、回動しつつ前記散剤容器から供給される散剤を収容する円形の分配皿と、該分配皿に収容された散剤を掻き出す掻き出し部と、前記分配皿から掻き出された散剤を包装する包装部と、制御部と、を備え、前記振動装置は、前記散剤容器を振動させる強さを変更可能であり、前記制御部は、前記散剤容器から散剤を供給するのに要した時間が予め設定されている基準時間を逸脱する場合に、当該散剤と同一の種類かつ同一の重量範囲内の重量の散剤を供給する際の前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さを、前記散剤容器から供給するのに要する時間が前記基準時間に近づくように変更する自動調整制御を実行するよう構成される。
【0010】
かかる構成によれば、制御部は、散剤容器から分配皿に散剤を供給するのに必要な時間が基準時間に近づくように、同一の種類かつ同一の重量範囲内の重量の散剤を供給する際の振動装置が散剤容器を振動させる振動の強さを変更する自動調整制御を実行するので、分包精度が落ちることを抑制しつつ、散剤の供給にかかる時間が長くなることを抑制できる。
【0011】
また、前記制御部は、前記自動調整制御を実行し、前記振動の強さを強くする場合、前記振動装置の振動開始時点では前記散剤容器を振動させる振動の強さを強くせず、振動開始時点から遅れて振動の強さを強くするように前記振動装置を制御するよう構成することもできる。
【0012】
かかる構成によれば、制御部は、供給開始時点から遅れて振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さを強くするので、供給開始時に散剤容器から多量の散剤が分配皿に供給されることを抑制できる。
【0013】
また、前記散剤容器から供給される散剤を検知する散剤検知手段を備え、前記制御部は、前記散剤検知手段の検知状態に基づいて前記散剤容器から散剤を供給するのに要した時間を計測するよう構成することもできる。
【0014】
かかる構成によれば、散剤容器から散剤を供給するのに必要な時間を散剤容器から分配皿への散剤の供給を検知して計測するので、散剤容器が振動していても散剤容器から分配皿に散剤が供給されている時間を確実に計測できる。
【0015】
また、前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さを変更可能な操作部を備え、前記制御部は、前記自動調整制御を実行する調整モードと、前記自動調整制御を実行しない非調整モードと、を切り替え可能であり、前記自動調整制御を実行する場合、前記振動装置により散剤が供給される間は前記操作部による振動の強さの変更を禁止するよう構成することもできる。
【0016】
かかる構成によれば、自動調整制御を実行している間に振動の強さを変更されることで、自動調整制御に悪影響が生じることを抑制できる。
【0017】
また、前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さの前記散剤の種類毎に設定された値である調整振動値を記憶する記憶部と、該調整振動値を変更可能な操作部と、を備え、前記制御部は、前記自動調整制御を実行することにより前記調整振動値を変更する一方で、前記自動調整制御を実行している間は前記調整振動値の変更を禁止するよう構成することもできる。
【0018】
かかる構成によれば、操作部を介した調整振動値の変更操作を行ったとしても、自動調整制御を実行することによって調整振動値が書き換えられる可能性がある。このため、操作部を介した変更操作が無駄になることを抑制できる。
【0019】
また、前記制御部は、前記自動調整制御を実行する調整モードと、前記自動調整制御を実行しない非調整モードと、を切り替え可能であるよう構成することもできる。
【0020】
かかる構成によれば、調整モードと非調整モードを切り替え可能であるので、非調整モードを適用した場合には同じ振動の強さの設定を使用できるため、あらかじめ設定した振動の強さを変更したくない場合の利便性が高まる。
【0021】
また、前記制御部は、前記自動調整制御を実行する調整モードと、前記自動調整制御を実行しない非調整モードと、を散剤の種類ごとに切り替え可能であるよう構成することもできる。
【0022】
かかる構成によれば、散剤の種類ごとに自動調整制御を実行するか否かを決められるため、自動調整制御などによって最適化された振動の強さが更に変更されることを抑制でき、あらかじめ設定した振動の強さを変更したくない場合の利便性が高まる。
【0023】
また、本発明の薬剤分包システムは、少なくとも散剤の分包を実行する薬剤分包装置と、該薬剤分包装置と通信可能な外部処理部と、を備える薬剤分包システムであって、前記薬剤分包装置は、散剤を収容する散剤容器と、該散剤容器を振動させて、散剤を前記散剤容器から供給する振動装置と、回動しつつ前記散剤容器から供給される散剤を収容する円形の分配皿と、該分配皿に収容された散剤を掻き出す掻き出し部と、前記分配皿から掻き出された散剤を包装する包装部と、を備え、前記振動装置は、前記散剤容器を振動させる強さを変更可能であり、前記外部処理部は、前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さの前記散剤の種類毎に設定された値である調整振動値を記憶し、前記薬剤分包装置は、前記外部処理部が記憶する前記調整振動値に基づいて、前記振動装置が前記散剤容器を振動させる振動の強さを設定可能であり、前記薬剤分包システムは、制御部をさらに備え、前記制御部は、前記散剤容器から散剤を供給するのに要した時間が予め設定されている基準時間を逸脱する場合に、当該散剤と同一の種類の散剤を供給する際の前記調整振動値を、前記散剤容器から散剤を供給するのに要する時間が前記基準時間に近づくように決定し、前記外部処理部は、記憶する前記調整振動値を、前記制御部が決定した前記調整振動値に変更するよう構成される。
【0024】
かかる構成によれば、制御部は、散剤容器から分配皿に散剤を供給するのに必要な時間が基準時間に近づくように、同一の種類の散剤を供給する際の振動装置が散剤容器を振動させる振動の強さを変更する自動調整制御を実行するので、分包精度が落ちることを抑制しつつ、散剤の供給にかかる時間が長くなることを抑制できる。また、散剤容器を振動させる振動の強さの散剤の種類毎に設定された値である調整振動値を、外部処理部の記憶部に記憶して一元的に管理することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、流れ係数のような散剤の種類ごとの値を予め設定することなく、分包精度を維持しつつ、分包にかかる時間が長くなることを抑制できる薬剤分包装置及び薬剤分包システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置の構成を示すブロック図である。
図2】同薬剤分包装置の散剤容器を示す斜視図である。
図3】同散剤容器を示す平面図である。
図4】同薬剤分包装置の振動装置及び分配皿の構成を示す平面図である。
図5図4に示すV-V断面図である。
図6】同薬剤分包装置の自動調整制御に関する設定についての設定画面を示す図である。
図7】同薬剤分包装置の散剤の種類ごとの設定についての設定画面を示す図である。
図8】同薬剤分包装置の分包に関する制御を示すフロー図である。
図9】供給制御における処理を示すフロー図である。
図10】自動調整供給工程における処理を示すフロー図である。
図11】調整値調整工程における処理を示すフロー図である。
図12】調整済供給工程における処理を示すフロー図である。
図13】(a)時間経過と散剤の供給量の関係を示す図である。(b)時間経過と散剤検出手段の検出状態の関係を示す図である。
図14】分包の状況を示す表示画面を示す図である。
図15】清掃制御における処理を示すフロー図である。
図16】本発明の他の実施形態に係る薬剤分包システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置1について図1乃至図15を参照して説明する。説明の都合上、上下方向は、薬剤分包装置1を使用する状態における上下方向を基準として説明する。
【0028】
図1に示すように、本発明の薬剤分包装置1は、散剤を収容する散剤容器2と、複数種類の散剤を種類ごとに散剤容器2に供給可能な散剤供給装置3と、散剤容器2を振動させる振動装置4と、散剤容器2から供給される散剤を収容する略円形の分配皿5と、散剤容器2から分配皿5に供給される散剤を検知する散剤検知手段6と、分配皿5に収容された散剤を掻き出す掻き出し部7と、分配皿5から掻き出された散剤を包装する包装部8と、制御部9と、を備える。また、本実施形態の薬剤分包装置1は、情報を記憶する記憶部10と、装置外部からの操作を受け付ける操作部11と、薬剤分包装置1の状態等を表示する表示部12と、を備える。このような薬剤分包装置1は、散剤を1服用分毎に個別に包装して排出する。
【0029】
散剤供給装置3は、散剤を保管するための保管容器を複数有し、保管容器から外部に各散剤を排出可能に構成されている。具体的に、散剤供給装置3は、一部に開口を有する複数の保管容器と、開口を開閉する開閉手段と、を備え、開閉手段が開口を開くことで、内部に収容された散剤が保管容器外部に排出されるように構成されている。また、各保管容器には1種類の散剤が収容されている。本実施形態の散剤供給装置3は、指定された重量分の散剤を排出し、散剤容器2に対して供給可能に構成されており、具体的には、散剤容器2に供給された散剤の重量を計量する計量手段を有し、開閉手段が開口を開いて散剤の供給を開始してから計量手段が指定された重量分の散剤が散剤容器2に排出されたと判断した場合に、散剤の供給を停止し、開閉手段が開口を閉じるように構成されている。なお、散剤供給装置3に設けられる保管容器のうち、複数に同じ種類の散剤(例えば使用頻度が高い散剤)が収容されていてもよい。
【0030】
図2及び図3に示すように、散剤容器2は、底面を有する容器底部21と、容器底部21の上面の外縁部から上方に延びる容器側壁部22と、を備え、容器底部21及び容器側壁部22によって画定される収容空間2aに散剤を収容可能な上部開口型の容器である。また、散剤容器2は、散剤を収容空間2aから外部に排出可能な開口部2bが先端部分に形成された容器である。開口部2bは、収容空間2aと外部とを連通するように設けられた開口であり、具体的には、容器底面の外縁部分の一部に形成される切欠き及び容器底面の切欠きと連通するように容器側壁部22に形成された切欠きである。なお、散剤容器2の形状は、上述したような形状に限らず、種々の形状を採用でき、例えば上部が閉じた形状の容器として構成することもできる。
【0031】
また、散剤容器2は、散剤供給装置3から供給された散剤を収容し一時的に貯留する一時貯留部23と、一時貯留部23の先端側に連結され、かつ、散剤が外部に移動可能なように開口が形成される排出先端部24と、一時貯留部23及び排出先端部24の間を仕切り、散剤の移動を規制する仕切部材25と、を備える。一時貯留部23には、基端部分に幅が広い幅広部26が設けられており、外部から散剤容器2に供給される散剤を確実に受けることができるように構成されている。このような幅広部26は、後述する下方側壁部221が他の部分よりも長く設けられていることで、幅が広くなるように構成されている。
【0032】
容器底部21は、上面及び下面が略平坦で、上下方向に直交する方向に延びる板状体である。また、容器底部21の上面は、一時貯留部23の底を構成する部分が排出先端部24の底を構成する部分よりも上方に位置するように構成されており、一時貯留部23の底を構成する部分と排出先端部24の底を構成する部分の間には段部21aが形成された板状体である(図5参照)。
【0033】
容器側壁部22は、容器底部21から上方に延びる壁体である。具体的に、容器側壁部22は、容器底部21の上面に連結され、容器側壁部22の下方部分を構成する下方側壁部221と、下方側壁部221の上端部から上方に延びる上方側壁部222と、を備える。下方側壁部221は、下端部が容器底部21の外周面に連結され、上端側が容器底部21の外縁よりも外方(収容空間2a基準で外方)に向かうように設けられた壁体であり、本実施形態では、内面が湾曲面である。上方側壁部222は、下方側壁部221の上端部に連結されたストレート形状の壁体であり、内面が上下方向に沿って延びる。
【0034】
仕切部材25は、一時貯留部23と排出先端部24と間を仕切るように設けられた板体であり、一時貯留部23と排出先端部24の間を閉じる状態と開く状態とを切り替え可能である。具体的に、仕切部材25は、一時貯留部23と排出先端部24の間を仕切る板状の仕切板部251と、仕切板部251と容器側壁部22を連結する軸部252と、仕切板部251が一時貯留部23と排出先端部24の間を閉じる状態と開く状態とを切り替えるレバー部253と、を備える。仕切板部251は、閉じた状態において、下端部が容器底部21に当接するように構成され、具体的には、段部21aに当接する。また、仕切板部251は、軸部252を軸心として回動し、下端部が段部21aから離れる方向に移動することで、一時貯留部23と排出先端部24の間を開く状態に切り替わる。
【0035】
軸部252は、上方側壁部222から収容空間2a基準で外方に延びるように設けられる軸であり、仕切板部251を、開閉するように回動可能な状態で上方側壁部222に連結する。具体的に、軸部252は、上方側壁部222と仕切板部251を連結する軸本体254と、軸本体254に設けられ、仕切板部251が閉じる方向に回動するように付勢する付勢手段255と、を備える。軸本体254は、上方側壁部222から収容空間2aの外方に延びる柱状の部位であり、本実施形態では略円柱状である。
【0036】
レバー部253は、上下方向に延びる板状の部材であり、上端部が仕切板部251に連結されており、外力を受けて軸部252周りに回動することで仕切板部251が段部21aから離れる方向に回動する。また、レバー部253は外力をうけなくなると、軸部252の付勢手段255によって仕切板部251が開く方向とは逆向きに回動し、連結された仕切板部251が段部21aに近づく方向に回動する。
【0037】
図4に示すように、振動装置4は、散剤容器2を保持可能であり、かつ、保持する散剤容器2を振動させることができる装置である。また、振動装置4は、散剤容器2を振動させる振動の強さを複数段階の振動の強さに変更可能に構成されている。具体的に、振動装置4は、散剤容器2が載置され、載置された散剤容器2を保持する容器保持部41と、振動を発生させる振動発生部42(図5参照)と、レバー部253に外力を加え、仕切板部251を開く板操作部(図示しない)と、を備える。板操作部は、振動発生部42が振動を発生させる前に、載置された散剤容器2のレバー部253に外力を加えて仕切板部251を開き、振動装置4の振動が終了するまで仕切板部251が開いた状態を維持するように構成されている。本実施形態の振動装置4は、1つの分配皿5に対して2つ設けられている。
【0038】
容器保持部41は、散剤容器2が載置される平坦な載置面41aを備える。載置面41aは、振動発生部42の上部に設けられる平坦な面であり、載置された散剤容器2の底面が略水平に延びるように構成されている。また、容器保持部41は、振動発生部42が発生された振動を載置された散剤容器2に伝達可能であり、かつ、散剤容器2に伝達された振動によって散剤容器2が載置面41aから脱落しないように固定するように構成されている。本実施形態の容器保持部41では、散剤容器2の底面と載置面41aとが係合して、散剤容器2を固定するように構成されている。
【0039】
振動発生部42は、電磁石やばね等を含んで構成され、振動を発生されることができるように構成されている。また、振動発生部42は、後述する制御部9によって制御され、制御部9の指示に対応した強さの振動を発生させることができる。また、振動発生部42は、発生させる振動の強さを変更可能に構成されており、具体的には、複数段階の振動の強さに切り替え可能に構成されている。本実施形態の振動発生部42は、主として散剤容器2に収容された散剤を分配皿5に供給する供給制御S1において散剤容器2を振動させる振動の強さである供給振動レベルと、主として散剤容器2に残留した散剤である残薬を排出するための清掃制御S2において散剤容器2を振動させる振動の強さである清掃振動レベルと、を有する。
【0040】
供給振動レベルは、主として供給制御S1において用いられる所定範囲内の振動の強さであり、本実施形態では、供給制御S1において用いられる複数段階の振動の強さである。供給振動レベルは、例えばレベル1~レベル12の12段階を有し、レベルが高いほど振動の強さが強くなるように構成されている。
【0041】
清掃振動レベルは、清掃制御S2においてのみ用いられる振動の強さであり、また、供給振動レベルの最も強い振動(例えばレベル12)よりも強い振動の強さである。本実施形態の清掃振動レベルは、振動発生部42が設置された環境で発生されることのできる最も強い振動に設定されるが、このような構成に限らない。
【0042】
分配皿5は、回動しつつ散剤容器2から供給される散剤を収容するように構成された平面視円環状の部位である。具体的に、分配皿5は、円環状であり、下方に窪む溝が上面に形成された皿本体51と、上下方向を軸として皿本体51を回動させる回動手段52と、皿本体51を清掃可能な清掃ブラシ54と、を備える。回動手段52は、制御部9によって制御され、制御部9の指示に基づいて回動し、回動力を皿本体51にベルト53等を介して伝動することで皿本体51を回動させるように構成されている。また、本実施形態の分配皿5は、皿本体51が振動発生部42に載置された散剤容器2の開口部2bの直下に位置するように設けられており、散剤容器2から落下した散剤を受け止めて皿本体51の溝に収容するように構成されている(図5参照)。清掃ブラシ54は、皿本体51の上面に付着した散剤などを掃き出すことができるブラシである。
【0043】
掻き出し部7は、分配皿5の皿本体51に収容された散剤を掻き出し、包装部8に供給する部位である。具体的に、掻き出し部7は、皿本体51の上面(溝)に当接して、皿本体51に収容された散剤を堰き止める堰き止め部71と、堰き止め部71に堰き止められた散剤を皿本体51の外部に掻き出す掻き板72と、を備える。掻き出し部7は、制御部9によって制御され、制御部9の指示に基づいて動作する。
【0044】
図4及び図5に示すように、散剤検知手段6は、散剤容器2から分配皿5に供給される散剤を検知する手段であり、本実施形態では、散剤容器2の開口から分配皿5に落下する散剤を検知可能な手段である。具体的に、散剤検知手段6は、散剤を検知可能なセンサ(例えば光学センサ)であり、上下方向において散剤容器2から分配皿5に落下途中の散剤を検知可能である。即ち、本実施形態の散剤検知手段は、散剤の落下方向に交わる方向を検知方向とする光学センサである。また、散剤検知手段6は、散剤を検知している間には、検知している旨の信号を発する(図13(b)におけるONの状態)。また、本実施形態では、散剤検知手段6が複数設けられており、各振動装置4に配置される散剤容器2に対応した位置に配置されている。
【0045】
一部が図4に示されるように、包装部8は、分配皿5から排出された散剤を受け、1服用分毎に包装する部位である。具体的に、包装部8は、分配皿5における、掻き出し部7が散剤を掻き出す位置に対応した位置の下方に設けられ、掻き出された散剤を受け止めるホッパ部81と、ホッパ部81が受け止めた散剤を包装材(例えば分包紙)で包装する包装本体部(図示しない)と、を備える。本実施形態の包装本体部は、シート状の分包紙を折り曲げて形成された空間に投入された散剤を、外縁部分をヒートシールすることで散剤を包装する。なお、このように限らず、硬質の容器(例えば硬質プラスチックの瓶や皿状の容器)に散剤を投入し包装するように構成することもできる。
【0046】
図6及び図7に示すように、操作部11は、外部から操作を入力するための部位であり、具体的には、コントローラである。操作部11は、薬剤分包装置1の各種設定に関する設定情報や、分包における指示に関する分包情報などを入力可能である。分包情報には、散剤容器2から分配皿5に供給される散剤の種類に関する種類情報(本実施形態では散剤の名称)、散剤容器2から分配皿5に供給される散剤の重量に関する重量情報、及び、分配皿5に供給された散剤を何分割にして包装するかに関する包数情報が含まれる。なお、操作部11は、薬剤分包装置1に設けられるコントローラに限らず、外部から有線又は無線で接続されるコンピュータ等として構成することもできる。
【0047】
表示部12は、薬剤分包装置1の設定や分包の状況について表示する部位であり、具体的には、コントローラにおけるタッチパネルである。操作部11によって入力された各種情報は、記憶部10に記憶され、表示部12に表示される。
【0048】
本実施形態で、操作部11と表示部12は一体として構成されており、具体的に、操作部11及び表示部12は、タッチパネルを有するコントローラである。また、本実施形態で、操作部11は、表示された画面に基づいて入力を行うこと薬剤分包装置1に対して外部から入力を行うことができる。具体的に操作部11としてのタッチパネルには、図6に示すように、後述する自動調整制御の設定について、自動調整制御を行う調整モードと自動調整制御を行わない非調整モードを切り替えるモード切替ボタン111と、基準時間を設定するための基準時間入力部112と、設定された基準時間を初期値に戻すリセットボタン113と、が表示される。また、図7に示すように、散剤の種類ごとの設定について、設定対象の散剤の種類情報を表示する散剤情報表示部114と、自動調整制御を行う調整モードと自動調整制御を行わない非調整モードを散剤毎に設定可能な個別切替ボタン115と、調整モードにおける散剤の種類ごとの振動の強さを設定可能な振動レベル設定部116と、を備える。本実施形態での各ボタンは、タッチパネル上に表示される仮想のボタンである。
【0049】
図6に示すように、モード切替ボタン111は、自動調整制御を実行するか否かを切り替えるボタンである。モード切替ボタン111で非調整モードに切り替えられると、全ての散剤の分包において自動調整制御を実行せず、かつ、自動調整制御で調整された振動の強さ(振動レベル設定部116に表示される調整振動値)を使わずに予め設定された振動の強さ(非調整モードにおける振動の強さ)を使って分包を行う。基準時間入力部112には、散剤容器2から散剤を供給するのに要する時間の基準となる時間を設定可能である。本実施形態では、基準時間入力部112には、散剤のカテゴリ(顆粒のカテゴリ、一般(顆粒以外)のカテゴリ)ごとに、散剤容器2から分配皿5に供給される散剤の重量に関する重量情報(具体的には、散剤の重量の範囲に関する情報)に対応した基準時間を設定可能である。基準時間は、分配皿5への散剤の均一な堆積を実現するために、散剤容器2から散剤を供給するのに必要な時間を考慮して設定されるものである。散剤容器2から供給する散剤の性質や重量によって、振動による散剤の移動のしやすさが異なる。このため、散剤の性質や重量に応じて基準時間を設定可能とすることが望ましい。散剤の流動性や比重などの散剤の性質に応じて散剤のカテゴリを区別し、それぞれのカテゴリに対して散剤の重量に関する重量情報に対応した基準時間を設定可能である。具体的には、初期値として設定された基準時間を変更することで基準時間の設定を可能である。このように、顆粒と顆粒以外のカテゴリとしているのは、顆粒が顆粒以外の散剤よりも振動で移動しやすいためである。また、リセットボタン113は、設定された基準時間を初期値に変更するためのボタンであり、リセットボタン113が押されると、基準時間が初期値に変更される。なお、分配皿5に散剤を均一に堆積させることにより、一回の分包で包装される各包の重量のばらつき(例えば、変動係数が6.1%以上となるようなばらつき)を抑制することができる。
【0050】
図7に示すように、散剤情報表示部114は、散剤の種類を特定するための情報を表示する部分であり、本実施形態では、散剤の名称と、散剤の名称を識別するための識別子としての薬剤コードと、を表示する。個別切替ボタン115は、散剤情報表示部114に表示された散剤の種類情報が示す散剤について調整モードと非調整モードを切り替えるボタンである。個別切替ボタン115で散剤について調整モードから非調整モードに切り替えられると、非調整モードに設定された散剤を散剤容器2から分配皿5に供給する際に自動調整制御を実行せず、かつ、過去に自動調整制御によって調整された調整振動値を使う。なお、調整振動値は、振動レベル設定部116を操作することによっても設定可能である。本実施形態では、散剤の種類ごとの調整振動値を設定可能であり、また、各重量情報(具体的には、散剤の重量の範囲に関する情報)に対応した調整振動値を設定可能である。
【0051】
記憶部10は、各種情報を記憶し、記憶した情報を制御部9に対して送信する。記憶部10は、基準時間と調整振動値を記憶し、基準時間又は調整振動値が変更される場合には、変更後の基準時間又は調整振動値を記憶する。なお、記憶部10は、基準時間の初期値と調整振動値の初期値を予め記憶しておく。過去に自動調整制御又は手動で調整振動値が変更されていない場合には、初期値が調整振動値となる。本実施形態では、記憶部10は、散剤のカテゴリごとの重量情報に対応した基準時間と散剤の種類ごとの重量情報に対応した調整振動値とを記憶し、この基準時間又は調整振動値が変更される場合には、変更後の基準時間又は変更後の調整振動値を記憶する。具体的には、散剤のカテゴリごとに、散剤容器2から供給される散剤の重量の範囲が、3.0g未満の場合、3.0g以上10.0g未満の場合、10.0g以上30.0g未満の場合、30.0g以上60.0g未満の場合、60.0g以上100.0g未満の場合、100.0g以上の場合のそれぞれに対応した基準時間を記憶する。また、散剤の種類ごとに、散剤容器2から供給される散剤の重量の範囲が、3.0g未満の場合、3.0g以上10.0g未満の場合、10.0g以上30.0g未満の場合、30.0g以上60.0g未満の場合、60.0g以上100.0g未満の場合、100.0g以上の場合のそれぞれに対応した調整振動値を記憶する。なお、記憶部10は、散剤のカテゴリごとの基準時間の初期値と散剤の種類ごとの重量情報に対応した調整振動値の初期値を記憶する。散剤の種類ごとの調整振動値の初期値は、各散剤で同一の強さとして設定され、具体的には、前述した振動レベル1~12のうち振動レベル3が初期値として設定される。なお、記憶部10は、調整振動値とは別に、非調整モードにおける振動の強さを散剤の種類ごとに記憶する。
【0052】
制御部9は、散剤容器2に収容された散剤を分包するための制御を実行する。本実施形態では、操作部11によって入力された分包情報に基づいて散剤容器2に収容された散剤を分包するための制御をする。具体的に、制御部9は、操作部11に入力された分包情報に基づいて散剤容器2に収容された散剤を分配皿5に供給する供給制御S1と、散剤容器2に付着した残薬を清掃する清掃制御S2と、分配皿5に供給された散剤を個別に分包する分包制御S3と、を順に実行する。また、本実施形態の制御部9は、分包情報に基づいて散剤供給装置3を制御し、所定量の散剤を散剤容器2に散剤の種類ごとに供給させる。本実施形態では、分配皿5に供給すべき量の全量が散剤供給装置3から散剤容器2の一時貯留部23に供給される。さらに、本実施形態の制御部9は、所定量の散剤を散剤容器2に供給後に、散剤容器2を振動装置4に移動させるように制御を行い、具体的には、薬剤分包装置1に設けられる散剤容器移送手段(図示しない)で散剤供給装置3から供給される散剤を受けた散剤容器2を振動装置4の載置面41aに移動する。なお、このような構成に限らず、制御部9が使用者等に対して散剤容器2を移送するように報知するなどして、使用者等が散剤容器2を載置面41aに移送するように構成することもできる。また、分包する散剤が散剤供給装置3の保管容器に収容されていない場合等に、使用者等が散剤を薬瓶等から散剤容器2に所定量投入して、散剤が収容された散剤容器2を載置面41aに載置することもできる。また、載置面に41aに載置された状態の散剤容器2に対して、散剤供給装置3または使用者等が散剤を所定量投入するようにすることもできる。
【0053】
図9に示すように、供給制御S1は、散剤容器2から散剤を供給する制御であり、本実施形態では、操作部11で設定された自動調整制御に関する設定に基づいて複数の制御を実行する。具体的に、供給制御S1では、調整モードであるか非調整モードであるかを判断するモード判断工程S11と、散剤容器2から供給する散剤の種類について設定されているモードが調整モードであるか非調整モードであるかを判断する個別モード判断工程S12と、を実行する。モード判断工程S11で調整モードでない(調整モードがOFF)と判断された場合(モード判断工程S11においてYES)には、非調整モードにおける振動の強さに基づいて散剤の供給を行う供給工程S4を実行する。また、モード判断工程S11で調整モードである(調整モードがON)と判断された場合(モード判断工程S11においてNO)には、個別モード判断工程S12に移行し、個別モード判断工程S12で散剤容器2から供給する散剤の種類について調整モードである(個別調整モードがONである)と判断された場合(個別モード判断工程S12においてYES)には、図10及び図11に示す自動調整供給工程S5aに移行し、散剤容器2から供給する散剤の種類について非調整モードである(個別調整モードがOFFである)と判断された場合(個別モード判断工程S12においてNO)には、図12に示す供給工程S5bに移行する。また、自動調整供給工程S5aを実行している間は、記憶部10に記憶された調整振動値の操作部11を介した変更が禁止される。このような構成によれば、手動で変更した調整振動値が自動調整制御により書き換えられて、手動での設定変更が無駄になることを抑制できる。なお、散剤の種類ごとに調整振動値が記憶部10に記憶される場合には、散剤容器2から供給される散剤と同一種類の散剤の調整振動値について操作部11を介した変更が禁止され、他の種類の散剤の調整振動値について操作部11を介した変更が許可されるように構成してもよい。また、散剤の種類ごとの重量情報に対応した振動調整値が記憶部10に記憶される場合には、散剤容器2から供給される散剤と同一種類かつ同一重量範囲の調整振動値について操作部11を介した変更が禁止され、供給される散剤と同一種類かつ同一重量範囲外の調整振動値及び供給される散剤と異なる種類の散剤の調整振動値について、操作部11を介した変更が許可されるように構成してもよい。即ち、実行中の自動調整制御に係る散剤と同一種類かつ同一重量範囲内の調整振動値の変更が禁止されれば、その他の散剤又は重量範囲についての調整振動値の変更を禁止する構成とすることもできるし、許可する構成とすることもできる。
【0054】
図9に示すように、供給工程S4は、振動装置4が非調整モードにおける振動の強さで散剤容器2を振動させて、散剤容器2から分配皿5に散剤を供給する工程である。本実施形態では、供給工程S4では、散剤容器2から分配皿5に供給する散剤に対応した非調整モードにおける振動の強さとしての振動値を取得する振動値取得工程S41と、取得した振動値を表示部12に表示する振動値表示工程S42と、取得した振動値に対応する振動の強さで散剤容器2の振動を開始させる振動工程S43と、散剤容器2から分配皿5に散剤の供給が開始されたことを確認する供給開始確認工程S44と、散剤容器2から分配皿5への散剤の供給が終了したことを確認する供給終了確認工程S45と、振動装置4の振動を停止して散剤容器2の振動を停止する振動停止工程S46と、を行う。
【0055】
振動値取得工程S41は、記憶部10に記憶された非調整モードにおける振動の強さとしての振動値を取得する工程である。具体的に、振動値取得工程S41では、操作部11に入力された分包情報に基づいて、散剤容器2から分配皿5に供給される散剤の種類情報及び重量情報を把握し、種類情報に一致し、重量情報に対応する非調整モードにおける振動の強さとしての振動値を記憶部10から取得する。なお、このような構成に限らず、振動値が散剤の重量情報にかかわらず一律の振動の強さに設定されている場合には、種類情報に一致する振動値を取得するように構成することもできるし、散剤のカテゴリごとに振動値が設定されている場合には、供給される散剤のカテゴリごとの振動値を取得するように構成することもできる。
【0056】
振動値表示工程S42は、振動値取得工程S41で取得した振動値を表示部12に表示する工程である。本実施形態の振動値表示工程S42では、図14に示すような分包の状況を示す画面に振動値が表示部12に表示される。具体的に、分包の状況を示す画面には、現在の分包に関する設定を表示する状況表示部121と、各振動装置4の状況を表示する振動情報表示部122と、が設けられる。状況表示部121には、分包情報に基づく情報が表示され、具体的には、散剤の包数に関する情報や、分包する散剤の服用時期、分包する散剤が処方される患者に関する情報などが表示される。また、振動情報表示部122には、振動装置4の振動開始前の時点では振動開始段階の振動値に関する情報を示し、振動装置4の振動開始後の時点では振動装置4の現在の振動値に関する情報を示す振動値表示部123と、振動装置4の振動の強さを変更する操作を行う振動値変更操作部125と、振動装置4に載置された散剤容器2に収容された散剤に関する情報を表示する載置散剤情報表示部124と、が設けられ、振動値表示工程S42では、振動値表示部123に振動値が表示される。振動値表示部123には、後述する各制御で振動の強さが変更された場合に変更後の数値が表示される。
【0057】
振動工程S43は、取得された振動値に基づく振動の強さで散剤容器2を振動させる工程であり、具体的には、振動装置4の振動発生部42を制御して、振動値に対応した振動を発生させ、発生した振動を載置面41aに載置された散剤容器2に伝達することで、散剤容器2を振動値に基づく振動の強さで振動させる。また、振動工程S43では、振動発生部42が振動を発生させるのと同時又は振動発生に先立って分配皿5を所定速度で回動させるように制御し、具体的には、回動手段52を所定速度で回動させ、回動力を皿本体51に伝動することで皿本体51を所定速度で回動させる。さらに、振動工程S43では、振動発生部42が振動を発生させるのと同時又は振動発生に先立って、仕切部材25を開くように板操作部を制御する。
【0058】
図5に示すように、散剤容器2が振動すると、一時貯留部23に収容された散剤が先端側向かって移動し、排出先端部24及び開口部2bに移動する。開口部2bまで移動した散剤は散剤容器2から落下し、分配皿5に供給される。図13に示すように、本実施形態の散剤容器2は、仕切部材25と開口部2bの間に距離があるので、散剤容器2が振動し始めてから移動時間t1経過と前後して散剤が開口部2bに到達して、分配皿5に供給され始める(図13参照)。
【0059】
供給開始確認工程S44は、散剤容器2から分配皿5に散剤が供給され始めたことを確認する工程であり、具体的には、散剤検知手段6がON(散剤を検知する状態)であることを確認する工程である。なお、供給開始確認工程S44では、散剤検知手段6が所定時間以上(例えば1秒以上)継続してONになっている場合に、ONになった時点から散剤が供給され始めた(図13に示す供給時間t2が開始された)と判断する。このような構成によれば、誤検知や、微量の散剤が突発的に落下した場合などで散剤の供給(連続的な供給)が開始されていないにもかかわらず、散剤の供給が開始されたと判断することを抑制できる。
【0060】
本実施形態では供給開始確認工程S44で散剤容器2から分配皿5に散剤か供給され始めたと判断されてから所定時間経過するごとに、散剤容器2の振動の強さを強くする制御を実行する。具体的には、散剤の供給開始から所定時間(例えば20秒)経過する度に、振動の強さを1段階強くする制御を実行する。なお、振動の強さが、供給振動レベルの上限である場合には、振動を強くする制御を行わない。また、操作部11の振動値変更操作部125を介して振動の強さを変更する入力を行うことで、手動で振動の強さを変更することもできる。振動の強さを変更する入力がされると、制御部9は、振動の強さが変更後の振動の強さになるように振動装置4を制御する。
【0061】
供給終了確認工程S45は、散剤容器2から分配皿5への散剤の供給が完了したことを確認する工程であり、本実施形態では、散剤容器2に収容された散剤の全量が分配皿5に供給されたことを確認する工程である。具体的に、供給終了確認工程S45は、散剤容器2から分配皿5に散剤が落下していないことを確認する工程であり、本実施形態では、散剤検知手段6がOFF(散剤を検知しない状態)であることを確認する工程である。なお、供給終了確認工程S45では、散剤検知手段6があらかじめ設定された終了時間t3以上(例えば3秒以上)継続してOFFになっている場合に、OFFになった時点で散剤の供給が終了したと判断し、OFFになった時点で供給時間t2が終了したと判断する。このような構成によれば、散剤が散剤容器2から分配皿5に供給され続けているにもかかわらず散剤検知手段6がOFFになった場合(例えば、供給によって散剤容器内の散剤が減少し、とぎれとぎれの供給になった場合)でも、終了時間t3途中に散剤を検知できれば再び散剤検知手段6がONになり、散剤の供給が終了したと判断されることを抑制できるので、散剤容器2に収容された散剤の全量を確実に分配皿5に供給できる。
【0062】
振動停止工程S46は、散剤容器2の振動を停止させる工程である。本実施形態の、供給終了確認工程S45では、散剤の供給が終了したと判断されてから、振動発生部42を停止させて、散剤容器2の振動を停止させる。振動停止工程S46が完了すると、供給工程S4が完了し、供給制御S1が完了する。
【0063】
図10に示すように、自動調整供給工程S5aは、記憶部10に記憶された調整振動値を自動で変更する制御である自動調整制御を実行する工程である。具体的に、自動調整供給工程S5aでは、供給する散剤に対応した振動の強さとして記憶部10に記憶された調整振動値を取得する振動値取得工程S51と、取得した調整振動値を表示する振動値表示工程S52と、取得した調整振動値に対応する振動の強さで散剤容器2を振動させる振動工程S53と、供給開始確認工程S54と、供給時間t2の計測を開始する計測開始工程S55と、供給終了確認工程S56と、供給時間t2の計測を終了する計測終了工程S57と、振動停止工程S58と、供給時間t2に基づいて調整振動値を調整する調整工程S59と、を実行する。本実施形態では、記憶部10に記憶された散剤の種類ごとの重量情報に対応した調整振動値を自動で変更する制御である自動調整制御を実行する。以下、自動調整供給工程S5aにおいて、図6及び図7に示すように、3.0g未満の重量でカテゴリが一般の散剤Aを散剤容器2から分配皿5に供給する場合(例1)、及び、30.0g以上60.0g未満の重量でカテゴリが一般の散剤Aを散剤容器2から分配皿5に供給する場合(例2)について説明する。
【0064】
振動値取得工程S51は、記憶部10に記憶された調整振動値を取得する工程である。振動値取得工程S51では、調整振動値を記憶部10から取得する。本実施形態では、振動値取得工程S51では、操作部11により入力された分包情報に基づいて、散剤容器2から分配皿5に供給される散剤の種類情報及び重量情報を把握し、種類情報及び重量情報に対応する調整振動値を記憶部10から取得する。具体的に、図7(a)に示すように、例1及び例2の両方で振動レベル3を調整振動値として取得する。
【0065】
振動値表示工程S52は、振動値取得工程S51で取得した調整振動値を表示部12に表示する工程である。本実施形態の振動値表示工程S52では、図14に示すように、振動値表示部123に取得した調整振動値を表示する(図14では、「フィーダー」の枠に「3」と表示)。
【0066】
振動工程S53は、取得された調整振動値に基づく振動の強さで散剤容器2を振動させる工程であり、具体的には、振動装置4の振動発生部42を制御して、調整振動値に対応した振動を発生させ、発生した振動を載置面41aに載置された散剤容器2に伝達することで、散剤容器2を調整振動値に基づく振動の強さで振動させる。また、振動工程S53では、振動発生部42が振動を発生させるのと同時又は振動発生に先立って分配皿5を所定速度で回動させるように制御し、具体的には、回動手段52を所定速度で回動させ、回動力を皿本体51に伝動することで皿本体51を所定速度で回動させる。さらに、振動工程S53では、振動発生部42が振動を発生させるのと同時又は振動発生に先立って、仕切部材25を開くように板操作部を制御する。具体的には、例1及び例2の両方で振動レベル3に対応する振動の強さで散剤容器2を振動させる。
【0067】
振動工程S53では、調整振動値が調整振動値の初期値(振動レベル3)よりも強い振動に対応する場合に、振動を開始させる時点では調整振動値の初期値に対応する振動の強さで散剤容器2を振動させ、供給開始確認工程S54で散剤容器2から分配皿5に散剤か供給され始めたと判断されると、取得した調整振動値に対応する振動の強さで振動させるように制御する。このような構成によれば、散剤容器2に最初から強い振動をかけないようにすることで、多量の散剤が一度に分配皿5に供給されることを抑制できる。なお、振動工程S53では、振動を開始させる時点で、取得した調整振動値に対応する振動の強さで振動させるように制御することもできる。このような構成によれば、散剤が開口部2bに到達して供給され始めるまでの移動時間t1を短縮することができる。
【0068】
供給開始確認工程S54は、供給工程S4における供給開始確認工程S44と同様である。即ち、散剤検知手段6が所定時間以上継続してON(散剤を検知する状態)である場合に、散剤検知手段6がONになった時点から散剤容器2から分配皿5への散剤の供給が開始されたと判断する。
【0069】
本実施形態では供給開始確認工程S54で散剤容器2から分配皿5に散剤が供給され始めたと判断され、取得した調整振動値に対応する振動の強さで振動させてから所定時間経過するごとに、散剤容器2の振動の強さを強くする制御を実行する。具体的には、散剤の供給開始から所定時間(例えば20秒)経過する度に、振動の強さを1段階強くする制御を実行する。なお、振動の強さが、供給振動レベルの上限である場合には、振動を強くする制御を行わない。また、調整振動値に対応する振動の強さで振動を開始した後は、振動の強さを一定にするように制御することもできる。
【0070】
計測開始工程S55は、供給時間t2の計測を開始する工程である。計測開始工程S55では、供給開始確認工程S54で散剤容器2から分配皿5への散剤の供給が開始されたと判断した時点から計測を開始し、本実施形態では、散剤検知手段6が所定時間以上継続してONになった場合に、所定時間分遡った時点から供給が開始されたものとして供給時間t2の計測を行う。
【0071】
供給終了確認工程S56は、供給工程S4における供給終了確認工程S45と同様である。即ち、供給終了確認工程S56は、散剤検知手段6があらかじめ設定された終了時間t3以上(例えば3秒以上)継続してOFFになっている場合に、OFFになった時点で散剤の供給が終了したと判断し、OFFになった時点で供給時間t2が終了したと判断する。
【0072】
計測終了工程S57は、供給時間t2の計測を終了する工程である。計測終了工程S57では、供給終了確認工程S56で散剤容器2から分配皿5への散剤の供給が終了したと判断された時点で計測を終了し、本実施形態では、散剤検知手段6が所定時間以上継続してOFFになった場合に、終了時間t3分遡った時点で供給が終了したものとして供給時間t2の計測を行う。
【0073】
図13に示すように、供給時間t2は、散剤検知手段6がONになった時点からOFFになった時点までに経過した時間である。即ち、供給時間t2は、散剤容器2に収容された散剤の全量が分配皿5に供給されるまでにかかった時間である。
【0074】
振動停止工程S58は、供給工程S4における振動停止工程S46と同様であり、供給終了確認工程S56で散剤容器2から分配皿5への散剤の供給が終了したと判断されてから、振動発生部42を停止させて、散剤容器2の振動を停止させる。
【0075】
以上の各工程で、散剤容器2から分配皿5への散剤の供給は完了し、次に供給結果に基づいて調整振動値を調整する調整工程S59を実行する。
【0076】
自動調整供給工程S5a中に、自動調整供給工程S5a中に操作部11の振動値変更操作部125を介して振動の強さの変更が試みられた場合には、振動値表示部123に表示される振動値に関する情報を変更するとともに、振動装置4の振動開始時または現在の振動の強さを変更する。そして、調整工程S59を実行することなく自動調整制御を終了する。なお、自動調整供給工程S5a中に操作部11の振動値変更操作部125を介して振動の強さの変更が試みられた場合には、自動調整制御を中止するか否かを使用者に確認し、自動調整制御を中止する入力がされた場合には操作部11を介しての振動の強さの変更を許可するようにしてもよい。また、自動調整供給工程S5a中は、操作部11の振動値変更操作部125を介して振動の強さの変更を禁止するようにしてもよい。自動調整供給工程S5a中に振動の強さが変更されると、自動調整供給工程S5aを行っても散剤を供給するのに要する時間を基準時間に近づけることができない可能性があり、次回の供給時に精度が落ちたり時間がかかったりするなどの悪影響が生じることを抑制できる。
【0077】
調整工程S59は、供給した散剤と同一の種類の散剤を供給する際の散剤容器2を振動させる振動の強さを、散剤容器2から散剤を供給するのに要する時間が基準時間に近づくように変更する。本実施形態では、図11に示すように、調整工程S59は、供給した散剤と同一の種類の散剤を、供給した散剤の同一の重量範囲内の重量分供給する際の散剤容器2の振動の強さを基準時間に近づけるように変更する工程である。具体的に、調整工程S59では、供給時間t2が基準時間を逸脱するか否かを判断する逸脱判断工程S591と、供給時間t2が基準時間を上回るかを判断するか否かを判断する上回り判断工程S592と、を実行し、判断結果に基づいて調整振動値を変更又は維持する。本実施形態の調整工程S59では、判断結果に基づいて、供給した散剤と同一種類の散剤を散剤容器2から分配皿5へ供給を開始する際の散剤容器2の振動の強さを変更する。振動の強さの変更は、記憶部10に記憶された調整振動値を変更することにより行われる。以下説明において、例1の場合の供給時間t2が15秒であり、例2の場合の供給時間t2が55秒である場合を例に説明する。
【0078】
逸脱判断工程S591は、計測された供給時間t2が基準時間を逸脱するか否かを判断する工程である。本実施形態では、逸脱判断工程S591では、記憶部10に記憶された、供給された散剤のカテゴリ及び重量情報に対応した基準時間を取得して、取得した基準時間と供給時間t2を比較することで、供給時間t2が基準時間を逸脱するか否かを判断する。例えば、図6に示すように、3.0g未満の重量範囲でカテゴリが一般の散剤Aを散剤容器2から分配皿5に供給する場合について設定された基準時間は、20秒から40秒であり、例1では供給時間t2が15秒であるので、例1の場合には、基準時間を逸脱すると判断される。また、30.00g以上60.0g未満の重量範囲でカテゴリが一般の散剤Aを散剤容器2から分配皿5に供給する場合について設定された基準時間は30秒から50秒であり、例2では供給時間t2が55秒であるので、例2の場合にも基準時間を逸脱すると判断される。供給時間t2が基準時間を逸脱すると判断された場合(逸脱判断工程S591においてYES)には、上回り判断工程S592に移行する。また、逸脱判断工程S591において供給時間t2が基準時間を逸脱しないと判断された場合(逸脱判断工程S591においてNO)には、調整振動値を変更しない調整値維持工程S593が実行され、調整工程S59が終了する。
【0079】
上回り判断工程S592は、計測された供給時間t2が基準時間を上回るか上回らない(下回る)かを判断する工程である。具体的には、供給時間と逸脱判断工程S591で取得された基準時間とを比較して供給時間t2が基準時間を上回るか否かを判断する。例えば、例1の場合には、基準時間が20秒から40秒であり、供給時間t2が15秒であるので、基準時間を上回らない(下回る)と判断される(上回り判断工程S592においてNO)。また、例2の場合には、基準時間が30秒から50秒であり、供給時間t2が55秒であるので基準時間を上回ると判断される(上回り判断工程S592においてYES)。上回り判断工程S592において、供給時間t2が基準時間を上回ると判断された場合(上回り判断工程S592においてYES)には、調整振動値を上げる調整振動値加算工程S594が実行され、供給時間t2が基準時間を上回らない(下回る)と判断された場合(上回り判断工程S592においてNO)には、調整振動値を下げる調整振動値減算工程S595が実行される。本実施形態の調整振動値加算工程S594では、供給時間t2の基準時間に対する逸脱の程度にかかわらず調整振動値を一段階加算させる(図7(a)→(b)参照)。このように一段階だけの加算とすることで、供給した散剤と同一の種類の散剤を次回または次回以降供給する時にも分配皿5に散剤を均一に堆積させることにより、分包精度が落ちることを抑制できる。また、調整振動値減算工程S595では、供給時間t2の基準時間に対する逸脱の程度にかかわらず調整振動値を一段階減算させる(図7(a)→(c)参照)。このような構成によれば、供給した散剤と同一の種類の散剤を次回または次回以降供給する時に散剤を分配皿5に供給するのに過大な時間がかかることを抑制できる。なお、このような構成に限らず、供給時間t2の基準時間に対する逸脱の程度によって、調整振動値加算工程S594又は調整振動値減算工程S595での調整振動値の加算量又は減算量を変えるように構成することもできる。調整振動値加算工程S594又は調整振動値減算工程S595が実行されると、調整工程S59が終了する。
【0080】
このように、調整振動値を変更または維持することで、次回以降に同じ条件(散剤の種類や重量)で散剤容器2から分配皿5に散剤を供給する際に、分包精度が落ちることを抑制しつつ、散剤の供給に時間がかかる時間が長くなることを抑制できる。なお、本実施形態では、調整工程S59が完了した後に受け付けた分包情報に基づく分包を次回以降の分包として取り扱い、散剤容器2から散剤を供給する際に調整後の調整振動値を適用するが、このような構成に限らず、受付済の分包情報に基づく分包についても散剤容器2から散剤を供給する際に調整後の調整振動値を適用することもできる。
【0081】
このような自動調整供給工程S5aを実行することで、供給した散剤と同一の種類の散剤を供給する際の散剤容器2を振動させる振動の強さが変更される。これにより、散剤容器2から散剤を供給するのに要する時間を基準時間に近づけることが可能となる。具体的に、供給時間t2が基準時間を上回る場合には、振動を強くして散剤の供給速度を上げることで、供給時間t2を短縮できるため、供給時間t2が基準時間に近づく。また、供給時間t2が基準時間を下回る場合には、振動を弱くして散剤の供給速度を下げることで、供給時間t2を延長できるため、供給時間t2が基準時間に近づく。このように、調整振動値及び基準時間を設定するだけでよいので、従来技術における流れ係数のような多数の設定を不要とすることができる。本実施形態では、図7(d)に示すように、基準時間で散剤容器2から分配皿5に供給するための散剤の種類ごとの重量情報に対応した振動の強さを得ることができる。また、自動調整供給工程S5aを繰り返し実行することで、供給した散剤と同一の種類の散剤について、散剤容器2から散剤を供給するのに要する時間を基準時間に一致させることができ、最適な振動の強さを導き出すことができる。そして、その散剤の種類について最適な調整振動値が設定された場合には、個別切替ボタン115を操作して個別調整モードをOFFにし、その散剤の種類についての調整振動値の変更を禁止することで、最適化された振動の強さが更に変更されることを抑制できる。
【0082】
供給工程S5bは、調整振動値に基づいて散剤容器2から分配皿5に散剤を供給する一方で、自動調整制御は行わない工程である。例えば、上記自動調整供給工程S5aを繰り返し実行されたことにより最適化された振動の強さを得ることができた種類の散剤を供給する際に実行される。図12に示すように、供給工程S5bでは、振動値取得工程S51と、振動値表示工程S52と、振動工程S53と、供給開始確認工程S54と、供給終了確認工程S56と、振動停止工程S58と、を実行する。一方で、供給工程S5bでは、計測開始工程S55、計測終了工程S57、及び調整工程S59を実行しない点で自動調整供給工程S5aと異なる。また、供給工程S5bを実行している間に、操作部11を介して記憶部10に記憶された調整振動値を手動で変更可能であり、操作部11を介して散剤容器2の振動の強さを変更可能である点が自動調整供給工程S5aと異なる。振動値取得工程S51、振動値表示工程S52、振動工程S53、供給開始確認工程S54、供給終了確認工程S56、振動停止工程S58は、自動調整供給工程S5aにおける各工程と同一であるため、説明を省略する。
【0083】
以上工程により、散剤容器2に収容された散剤が分配皿5に供給され、供給制御S1が完了する。供給制御S1が完了すると、清掃制御S2に移行する。本実施形態では、供給制御S1が完了すると、残薬の有無にかかわらず清掃制御S2が実行される。このような構成によれば、残薬の発生を確実に抑制できる。なお、このような構成に限らず、残薬の有無を確認できる残薬検知手段によって、残薬の有無を確認し、残薬があると判断された場合にのみ清掃制御S2を実行するように構成することもできる。このような構成によれば、残薬があると判断された場合には清掃制御S2を実行し、残薬がないと判断された場合には清掃制御S2を実行しないので、残薬がある場合には清掃制御S2によって残薬を排出でき、残薬がない場合には清掃にかかる時間を短縮できる。よって、散剤容器2に残薬が発生することを抑制しつつ、分包作業を効率化できる。残薬検知手段としては、載置面41aに載置された状態の散剤容器2を撮像可能なカメラを用いることができ、このような構成では、散剤容器2の表面に付着した残薬を撮像された画像に基づいて確実に発見できる。
【0084】
図15に示すように、清掃制御S2は、供給制御S1で散剤容器2に収容される散剤の全量が排出されたと判断された後(散剤検知手段6がOFFの状態が終了時間t3以上継続した後)に、振動装置4で散剤容器2を振動させて、散剤容器2に付着した残薬を排出する制御である。具体的に、清掃制御S2では、振動装置4で散剤容器2を間欠振動させる間欠振動動作工程S21と、残薬を排出するための排出振動動作工程S22と、を実行する。また、本実施形態で、清掃制御S2を実行している間、分配皿5が回動するように制御部9が制御し、具体的には、供給制御S1が実行されている場合における分配皿5の回動速度と同等の速度で回動するように制御する。
【0085】
間欠振動動作工程S21では、振動装置4が、散剤容器2を振動させる動作と散剤容器2の振動を停止させる動作とを繰り返し実行する工程である。本実施形態の間欠振動動作工程S21において、振動装置4は、清掃振動レベルで散剤容器2を振動させる動作を間欠的に行い、散剤容器2を停止させる際には、振動を急停止させる。また、間欠振動動作工程S21で、散剤容器2を振動させる時間は、停止させる時間よりも長く、具体的には、停止させる時間の2倍以上であり、本実施形態では10倍程度である。このような間欠振動動作工程S21により、散剤容器2に付着した散剤、特に容器側壁部22及び仕切板部251に付着した散剤を間欠振動によって加わる衝撃により容器底部21に落とすことができる。
【0086】
排出振動動作工程S22は、間欠振動動作工程S21で落とされた散剤を排出するための振動を加える工程である。具体的には、供給振動レベルの振動のうち、最も強い振動の強さで散剤容器2を振動させることで、容器底部21に落ちた残薬を排出する工程である。排出された残薬は開口部2bから散剤容器2(収容空間2a)の外部に排出され、分配皿5に落下することで分配皿5に供給される。ここで、分配皿5は清掃制御S2が実行されている間回動しているので、清掃制御S2で排出された残薬が分配皿5の一部分に偏って堆積することを抑制できる。
【0087】
以上の工程により、散剤容器2内の残薬が排出されると、分配皿5の回動速度を低下させ、分配皿5の回動を一旦停止させる。本実施形態では、清掃制御が実行された後の散剤容器2は、手動又は散剤容器移送手段(図示しない)によって、散剤供給装置3へと移送され、散剤供給装置3から供給される次の散剤を直接受けて収容する。このような構成であるので、清掃完了した状態の散剤容器2で薬剤供給装置から供給される散剤を受けるので残薬の混入を防止しつつ分包効率を高めることができる。
【0088】
分包制御S3は、供給制御S1及び清掃制御S2で散剤容器2から分配皿5に排出された散剤を、掻き出し部7で包装部8に掻き出して、包装する制御である。具体的には、分配皿5を回動させつつ堰き止め部71を皿本体51の上面に当接させることで、分配皿5における所定角度分の散剤を堰き止め、堰き止められた散剤を掻き板72で掻き出すことで、所定量(1服用分)の散剤を包装部8に供給して、包装する。このように、清掃制御S2により散剤容器2から分配皿に散剤を排出してから分包制御S3に移行するため、供給制御S1で供給された散剤と清掃制御S2で排出された残薬をまとめて分包することができ、分包される散剤が、散剤容器2から供給した量よりも残薬の分だけ少なくなることを抑制できる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0090】
例えば、上記実施形態において、供給制御S1及び清掃制御S2のいずれか一方を上記実施形態とは異なる構成とすることができる。
【0091】
また、散剤容器2に収容された散剤の全量を分配皿5に供給する場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、保管容器移送手段により保管容器を振動装置4の載置面41aに移送し、保管容器に収容された散剤の一部を分配皿5に供給するように構成することもできる。この場合、制御部9は、散剤容器(保管容器)に収容された散剤を供給するのに要した時間が予め設定されている基準時間を逸脱する場合に、供給した散剤と同一の種類の散剤を供給する際の振動装置4が散剤容器(保管容器)を振動させる振動の強さを、散剤容器(保管容器)に収容された散剤を供給するのに要する時間が基準時間に近づくように変更する自動調整制御を実行する。このような構成を採用する場合には、例えば、振動装置4に移送された保管容器の重量を測る重量計を設け、保管容器の重量の変化量で所定量の散剤が保管容器から分配皿5に供給されたことを検知させる。そして、重量計の計測結果に応じて保管容器から所定量の散剤を供給するのに要した時間を計測し、散剤容器2から散剤を供給する場合と同様に自動調整制御を実行する。なお、散剤検知手段6は、散剤の落下を検知するセンサである場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、散剤容器(保管容器)の重量を測る重量計が、散剤検知手段6を兼ねるように構成することもできる。また、散剤検知手段6をセンサとして構成する場合であっても、光学センサに限らず、種々の検出方式のセンサを採用できる。
【0092】
さらに、振動装置4は、散剤容器2を振動させる振動の強さを複数段階で切り替え可能である場合について説明したが、このような構成に限らず、振動装置4が散剤容器2を振動させる振動の強さを無段階に変動するように調整可能に構成することもできる。
【0093】
また、自動調整制御において供給時間が基準時間を逸脱した場合に、散剤を供給する際の振動の強さ(調整振動値)を変更する場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、散剤の供給開始時点から振動を段階的に強くする場合において、振動を強めるまでの時間を変更することで供給時間が基準時間に合うようにすることもできる。
【0094】
さらに、散剤容器2に収容された散剤を供給するのに要した時間として、供給時間t2を採用する場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、散剤容器2の振動開始から振動停止までの時間(移動時間t1、供給時間t2、及び、終了時間t3の合計)や、散剤容器2の振動開始から散剤の供給完了までの時間(移動時間t1及び供給時間t2の合計)を採用することもできる。このような構成を採用する場合には、基準時間を、散剤容器2に収容された散剤を供給するのに要した時間として採用する時間に合わせて設定されることが好ましい。
【0095】
また、調整振動値が散剤の種類ごとの重量情報に対応して設定される場合について説明したが、このような構成に限らず、調整振動値を、重量情報にかかわらず散剤の種類情報ごとに設定されるように構成することもできる。また、調整振動値を、散剤の種類情報にかかわらず重量情報に対応して設定されるよう構成することもできる。また、調整振動値を、散剤の種類および重量情報にかかわらず設定されるように構成することもできる。また、基準時間が散剤のカテゴリごとの重量情報に対応して設定される場合について説明したが、基準時間を、重量情報にかかわらず散剤のカテゴリごとに設定されるように構成することもできる。また、基準時間を、散剤のカテゴリにかかわらず重量情報に対応して設定されるよう構成することもできる。また、基準時間を、散剤のカテゴリおよび重量情報にかかわらず設定されるよう構成することもできる。また、散剤のカテゴリに代えて、散剤の種類情報を採用することもできる。
【0096】
また、散剤の種類情報が散剤の名称である場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、顆粒の散剤については同一の種類情報として分類し、具体的な散剤の名称での分類をしないように構成することもできるし、流動性や比重が同程度の散剤を同一の種類情報として分類するように構成することもできる。
【0097】
さらに、自動調整制御において、上回り判断工程S592を実行する場合について説明したが、このような構成に限らず、供給時間が基準値を下回るか否かを判断する工程を実行するように構成することもできる。
【0098】
さらに、清掃制御S2では散剤容器2を間欠振動させる場合について説明したが、このような構成に限らず、単に供給制御S1において用いられる振動よりも強い振動を与えるように構成することもできる。
【0099】
また、清掃制御S2で排出された残薬は供給制御S1で供給された散剤と一緒に包装される場合について説明したが、このような構成に限らず、残薬を廃棄するように構成することもできる。
【0100】
さらに、排出振動動作工程S22が完了すると清掃制御が終了する場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、排出振動動作工程S22が完了後に散剤の落下がある場合には、残薬をすべて排出できていないと判断して、再度排出振動動作工程S22を実行したり、使用者に対して残薬がある旨を報知したりすることができる。
【0101】
また、供給制御S1において、制御部9が逸脱判断工程S591及び上回り判断工程S592を実行する場合について説明したが、このような構成に限らず、制御部9が測定された供給時間t2を薬剤分包装置1の外部に設けられる外部処理部13に送信し、外部処理部13が逸脱判断工程S591及び上回り判断工程S592を実行して、供給時間t2が基準時間に近づくような散剤容器2の振動の強さとしての調整振動値を導出して制御部9に送信し、外部処理部13から送信された調整振動値を制御部9が取得するように構成された、薬剤分包システムSとして構成することもできる。また、このような薬剤分包システムSにおいては、外部処理部13が逸脱判断工程S591を実行する場合に、例えば、上回り判断工程S592を実行せず、外部処理部13が過去に導出した他の複数の薬剤分包装置1に関する調整振動値を参照して、供給時間t2が基準時間に合うような散剤容器2の振動の強さを制御部9に送信するように構成することもできる。このような構成によれば、制御部9の自動調整制御における処理の負荷を軽減できる。さらに、薬剤分包システムSにおいて、薬剤分包装置1の制御部9が逸脱判断工程S591及び上回り判断工程S592を実行するように構成し、一の薬剤分包装置1の制御部9が自動調整制御の結果を外部処理部13が受信して、他の薬剤分包装置1の制御部9に対して送信し、他の薬剤分包装置1の制御部9が外部処理部13から受信した情報に基づいて散剤容器2を振動させる強さを変更するように構成することもできる。
【0102】
薬剤分包装置1と外部処理部13を備える薬剤分包システムSを以下のように構成することもできる。薬剤分包装置1と外部処理部13とは通信可能に構成される。外部処理部13は、薬剤分包装置1の振動装置4が散剤容器2を振動させる振動の強さの散剤の種類毎に設定された値である調整振動値を記憶する記憶手段を備える。薬剤分包装置1は、外部処理部13の記憶手段に記憶された調整振動値に基づいて、振動装置4が散剤容器2を振動させる振動の強さを設定可能である。薬剤分包装置1の制御部9は、散剤容器2から散剤を供給するに要した時間が予め設定されている基準時間を逸脱する場合に、供給した散剤と同一の種類の散剤を供給する際の調整振動値を、散剤容器2から散剤を供給するのに要する時間が基準時間に近づくように決定し、決定した調整振動値を外部処理部13に送信する。そして、外部処理部13は、記憶手段に記憶された調整振動値を、薬剤分包装置1の制御部9が決定した調整振動値に変更する。また、散剤容器2から散剤を供給するのに要した時間が予め設定されている基準時間を逸脱する場合に、外部処理部13の制御手段が、供給した散剤と同一の種類の散剤を供給する際の調整振動値を、散剤容器2から散剤を供給するのに要する時間が基準時間に近づくように決定するように構成することもできる。これらの構成によれば、調整振動値を外部処理部13の記憶手段に記憶して一元的に管理することができる。そして、複数の薬剤分包装置1が外部処理部13と通信可能に構成される場合、それぞれの薬剤分包装置1が外部処理部13の記憶手段に記憶された調整振動値に基づいて振動装置4が散剤容器2を振動させる振動の強さを設定することが可能になる。このため、それぞれの薬剤分包装置1において、分包精度が落ちることを抑制しつつ、散剤の供給にかかる時間が長くなることを抑制でき、また、散剤容器を振動させる振動の強さの散剤の種類毎に設定された値である調整振動値を、外部処理部の記憶手段に記憶して一元的に管理することができる。なお、薬剤分包装置1の制御部9または外部処理部13の制御部が、散剤容器2から散剤を供給するのに要する時間が基準時間に近づくように調整振動値を決定する構成に限らず、薬剤分包装置1の制御部9及び外部処理部13が協働して調整振動値を決定するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…薬剤分包装置、2…散剤容器、2a…収容空間、2b…開口部、21…容器底部、22…容器側壁部、23…一時貯留部、24…排出先端部、25…仕切部材、251…仕切板部、252…軸部、253…レバー部、254…軸本体、255…付勢手段、26…幅広部、3…散剤供給装置、4…振動装置、41…容器保持部、41a…載置面、42…振動発生部、5…分配皿、51…皿本体、52…回動手段、53…ベルト、54…清掃ブラシ、6…散剤検知手段、7…掻き出し部、71…堰き止め部、72…掻き板、8…包装部、81…ホッパ部、9…制御部、10…記憶部、11…操作部、111…モード切替ボタン、112…基準時間入力部、113…リセットボタン、114…散剤情報表示部、115…個別切替ボタン、116…振動レベル設定部、12…表示部、121…状況表示部、122…振動情報表示部、123…振動値表示部、124…載置散剤情報表示部、125…振動値変更操作部、13…外部処理部、S…薬剤分包システム
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10
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