(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022413
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
G01N21/84 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143333
(22)【出願日】2022-09-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2022125762
(32)【優先日】2022-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】300074101
【氏名又は名称】株式会社レイマック
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】畑辺 真也
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AB02
2G051BA01
2G051BA20
2G051BB01
2G051BB03
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
(57)【要約】
【課題】正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易い検査装置を提供する
【解決手段】この検査装置1は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板20に搭載された複数個の光源21が設けられ、前記配列パターンに対応して複数個の光源21に対応する光パターン明部分と複数個の光源21間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンPを放射して物品Mに照射する照明器2と、物品Mからの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンQを撮像する撮像器3と、撮像器3が撮像した正反射光パターンQの画像QIを処理する画像処理器4と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、
前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、
該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、
を備える検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、
前記照明器は、前記光パターンを前記物品の表面に垂直になるように照射する同軸落射照明型である検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検査装置において、
前記照明器は、前記光パターンを前記物品の表面に所定の入射角で入射されるように照射し、前記複数個の光源の前記配列パターンが直線状のバー照明型である検査装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の検査装置において、
前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光を発光可能であり、
前記照明器は、波長が長い方の前記第1の光に対して拡散率が低く波長が短い方の前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する検査装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の検査装置において、
前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち波長が長い方の前記第1の光を発光可能であり、
前記照明器は、波長が短い方の前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、前記第1の光に対して拡散率が低く前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する検査装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の検査装置において、
前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち前記第1の光を発光可能であり、
前記照明器は、前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、ハーフミラーと前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記ハーフミラーにより反射又は前記ハーフミラーを透過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させ、前記ハーフミラーを透過又は前記ハーフミラーにより反射させて前記物品に照射する検査装置。
【請求項7】
複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射し、
前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像し、
撮像した前記正反射光パターンの画像を処理し該正反射光パターンの歪みを検査する検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に光を照射しそれを撮像器で撮像することにより物品を検査する検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場で生産された物品(製品)について、物品に光を照射しそれを撮像器(イメージセンサ)で撮像することにより検査を行う検査装置が用いられてきた。検査装置は、物品の種類及び異常の種類(凹み(欠陥など)、割れ、隆起、表面のキズ、表面の汚れなど)に対応して様々なものが有る。その中には、一定の方向から光を物品に照射し、その物品からの正反射光が撮像器に入射することによって物品を明視野観察で撮像する検査装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、光軸を撮像器の光軸と一致させるようにした光を物品に照射し、その物品からの正反射光を撮像器に入射させる同軸落射照明型の照明器を備えた検査装置が開示されている。なお、特許文献1及び特許文献2の検査装置では他の型の照明器も併用されているが、一般的に、同軸落射照明型の照明器は単一の照明器として用いることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-153580号公報
【特許文献2】特開2020-204470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような正反射光によって物品を明視野観察で撮像する検査装置は、物品の表面がはっきりと見えて、表面のキズや表面の汚れを見つけ易い。しかし、凹み(欠陥など)、割れ又は隆起などを見つけにくい場合が少なくない。
【0006】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易い検査装置及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の検査装置は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、を備える。
【0008】
請求項2に記載の検査装置は、請求項1に記載の検査装置において、前記照明器は、前記光パターンを前記物品の表面に垂直になるように照射する同軸落射照明型である。
【0009】
請求項3に記載の検査装置は、請求項1に記載の検査装置において、前記照明器は、前記光パターンを前記物品の表面に所定の入射角で入射されるように照射し、前記複数個の光源の前記配列パターンが直線状のバー照明型である。
【0010】
請求項4に記載の検査装置は、請求項1~3のいずれか1項に記載の検査装置において、前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光を発光可能であり、前記照明器は、波長が長い方の前記第1の光に対して拡散率が低く波長が短い方の前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する。
【0011】
請求項5に記載の検査装置は、請求項1~3のいずれか1項に記載の検査装置において、前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち波長が長い方の前記第1の光を発光可能であり、前記照明器は、波長が短い方の前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、前記第1の光に対して拡散率が低く前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する。
【0012】
請求項6に記載の検査装置は、請求項1又は2に記載の検査装置において、前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち前記第1の光を発光可能であり、前記照明器は、前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、ハーフミラーと前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記ハーフミラーにより反射又は前記ハーフミラーを透過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させ、前記ハーフミラーを透過又は前記ハーフミラーにより反射させて前記物品に照射する。
【0013】
請求項7に記載の検査方法は、複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射し、前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像し、撮像した前記正反射光パターンの画像を処理し該正反射光パターンの歪みを検査する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の検査装置及び検査方法によれば、正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る検査装置を示すものであって、照明器は断面図で示し、物品と撮像器と画像処理器は模式図又はブロック図で示すものである。
【
図3】同上の検査装置の照明器を示すものであって、(a)は基板の正面図、(b)は放射する光パターンである。
【
図4】同上の検査装置の正反射光パターンの歪みを説明するものであって、(a)は凹みを有する物品の例の平面図、(b)はその正反射光パターン(及びその画像)の図である。
【
図5】同上の検査装置の実験を示すものであって、(a)は物品の写真、(b)は正反射光パターンの画像の写真である。
【
図6】同上の検査装置の照明器の変形例の断面図である。
【
図7】同上の検査装置の照明器の更なる変形例の断面図である。
【
図8】同上の検査装置の
図7の基板の正面図である。
【
図9】同上の検査装置の
図6及び
図7の照明器において第2の光を用いた場合の実験の画像の写真である。
【
図10】同上の検査装置の照明器の更に別な形の変形例の断面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る他の検査装置を示すものであって、照明器は断面図で示し、物品と撮像器と画像処理器は模式図又はブロック図で示すものである。
【
図14】同上の他の検査装置の照明器を示すものであって、(a)は基板の正面図、(b)は放射する光パターンである。
【
図15】同上の他の検査装置の正反射光パターンの歪みを説明するものであって、(a)は凹みを有する物品の例の平面図、(b)はその正反射光パターンの画像の図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る更に他の検査装置を示すものであって、照明器は断面図で示し、物品と撮像器と画像処理器は模式図又はブロック図で示すものである。
【
図18】同上の更に他の検査装置の照明器を示すものであって、(a)は基板の正面図、(b)は放射する光パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る検査装置1は、
図1に示すように、照明器2と撮像器3と画像処理器4を備えている。検査装置1では、
図2に示すように、照明器2により物品Mに光を照射し、物品Mを撮像器3で撮像し、撮像器3が撮像した画像を画像処理器4により処理することにより検査が行われる。
【0017】
照明器2は、筐体2aの中に、基板20に搭載された複数個の光源21が設けられている。光源21は、可視光(白色、青色、緑色、赤色など)や赤外光などを発光する。光源21は、通常、LEDであるが、ELなども可能である。光源21は、砲弾型であっても表面実装型であってもよい。複数個の光源21は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで搭載されている。所定の配列パターンは、規則的なものである。
【0018】
照明器2は、同軸落射照明型である。また、照明器2における複数個の光源21の配列パターンは、
図3(a)に示すように、2次元マトリックス状である。
図3(a)に示すものは縦18×横18の配列パターンであるが、縦横の光源21の数は、特に限定されるものではない。
【0019】
照明器2は、
図3(b)に示すように、光パターンPを放射する。光パターンPは、複数個の光源21の配列パターンに対応して複数個の光源21に対応する明るい光パターン明部分Paと複数個の光源21間の上記隙間に対応する暗い光パターン暗部分Pbを有する離散的かつ規則的な光のパターンである。
【0020】
光パターンPは、物品Mに照射される。照明器2では、光パターンPは、
図2の矢印付実線で示すように、透明板22を通過し、ハーフミラー23で反射されて、光軸が撮像器3の光軸と一致するように物品Mの表面に垂直になるように照射される。なお、透明板22は、塵埃などの異物が光源21などに付着するのを防止することができるが、省略することも可能である。
【0021】
物品Mに照射された光パターンPは、物品Mにより正反射されて正反射光パターンQとなる。正反射光パターンQの光は、撮像器3に向かう。照明器2では、正反射光パターンQの光は、光パターンPの逆向きに進みハーフミラー23を通過して、
図2の矢印付実線で示すように、撮像器3に向かう。
【0022】
正反射光パターンQは、光パターン明部分Paに対応する明るい正反射光パターン明部分Qaと光パターン暗部分Pbに対応する暗い正反射光パターン暗部分Qbを有する。物品Mの表面が平坦であると、正反射光パターンQは、光パターンPと同様に離散的かつ規則的である。
【0023】
これに対して、物品Mの表面に、例えば
図4(a)に示すような凹み(欠陥など)(
図4(a)中、破線で囲った部分)、割れ又は隆起などがあると、それに当たった光パターンPの一部の光は散乱して、上記の平坦な場合のようには撮像器3に向かわなくなる。そうすると、正反射光パターンQには、例えば
図4(b)に示すように、一部に歪み(規則的でない部分)が生じる。
【0024】
撮像器3は、正反射光パターンQを撮像する。撮像器3が撮像した正反射光パターンQの画像QIは、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaと正反射光パターン暗部分Qbの画像QIbを有する。正反射光パターンQの画像QIは、物品Mの表面が平坦であると、光パターンPと同様な規則性を有する。一方、物品Mの表面に凹み(欠陥など)、割れ又は隆起などがあると、
図4(b)に示した正反射光パターンQのように一部に歪みが生じることになる。なお、撮像器3は、エリアカメラを用いることができる。
【0025】
図5は、
図4に対応するものであり、本願発明者が実験で撮像した物品Mの写真であって、(a)は実験室での通常の写真、(b)は正反射光パターンQの画像QIの写真である。物品Mは、透明なプラスチック板である。
図5(a)には、
図4(a)の凹みに対応する部分に凹みがある。
図5(b)に示すように、物品Mの凹みにより正反射光パターンQの画像QIに歪みが実際に生じるのが分かる。なお、物品Mは略正四角形であるが、
図5(a)では、透明な物品Mを明瞭に示すように斜め上方から写しているために輪郭は正四角形には写っていない。
【0026】
画像処理器4は、撮像器3が撮像した正反射光パターンQの画像QIを処理する。画像処理器4は、例えば、物品Mの表面が完全に平坦な場合を基準として正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合を算出したり、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのエッジの強調などをして正反射光パターンQの画像QIを表示装置に表示したりすることができる。
【0027】
画像処理器4は、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合から正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。また、検査者は、表示装置に表示された正反射光パターンQの画像QIから正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。
【0028】
このようにして、検査装置1及び上記のようにして行う検査方法は、正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くすることが可能になる。
【0029】
検査装置1は、照明器2を変形して
図6に示すような照明器2A又は
図7に示すような照明器2A’に置き換えることも可能である。
【0030】
照明器2Aでは、光源21は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光(例えば、赤外光と可視光)を発光可能なものであり、どちらかの発光に切り替えて用いられる。また、照明器2Aでは、上記透明板22に代えて又は追加して拡散板22Aが設けられている(
図6参照)。追加する場合は、拡散板22Aは、透明板22に平行にして設けることができる。照明器2Aのその他の構造は、照明器2と同じにすることができる。
【0031】
この拡散板22Aは、波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)に対して拡散率が低く波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)に対して拡散率が高いものである。拡散板22Aは、例えば、半透明のアクリル製のものなどを用いることができる。一般的に、拡散板は、光の散乱を引き起こす物質を均一に含むようにすると、光を拡散する。光の散乱強度は、レイリー散乱の法則によると、波長の4乗に反比例する。そうすると、例えば、波長が950nmの赤外光は、波長が525nmの可視光(緑色光)に対し散乱強度が約9.3%となる。これにより、拡散板22Aは、波長が短い方の第2の光を適切に(高い拡散率で)拡散し、波長が長い方の第1の光の拡散(散乱)を適切に小さく(低い拡散率に)することができる。
【0032】
照明器2A’は、
図7及び
図8に示すように、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)を発光可能な複数個の光源21の他に、波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)を発光可能な他の複数個の光源24(
図7では断面で示している)が設けられている。照明器2A’では、複数個の光源21を発光させるか複数個の光源24を発光させるかどちらかに切り替えて用いられる。複数個の光源24は、通常、複数個の光源21の間に設けられる。また、照明器2A’では、照明器2Aの場合と同様の拡散板22Aが設けられている。照明器2A’のその他の構造は、照明器2と同じにすることができる。
【0033】
照明器2A又は2A’は、波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)の光パターンPが放射された場合、拡散板22Aの拡散率が低いので、その光パターンPを拡散板22Aを通過させて(つまり、光パターン明部分Paと光パターン暗部分Pbを有した状態で)物品Mに照射する。一方、波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)の光パターンPが放射された場合、拡散板22Aの拡散率が高いので、第2の光を拡散板22Aにより拡散させて(つまり、光パターン明部分Paと光パターン暗部分Pbの区別が無視できる状態で)物品Mに照射する。
【0034】
撮像器3は、物品Mを撮像する。撮像器3が撮像した画像は、波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)の場合は、正反射光パターンQの画像QIであり、物品Mの表面が平坦であると、上記のように、光パターンPと同様な規則性を有する。一方、物品Mに凹み(欠陥など)、割れ又は隆起などがあると、
図4(b)に示した正反射光パターンQのような歪みが生じる。また、撮像器3が撮像した画像は、波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)の場合、物品Mの表面の画像QI’であり、キズや表面の汚れなどが写り易くなっている。例えば、
図9に示すものは
図5(a)で示した物品Mの表面の画像QI’であるが、物品Mの表面のキズや表面の汚れが良く写っている。
【0035】
このように照明器2A又は照明器2A’を備える検査装置1は、切り替えにより波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)と波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)を放射させることにより、物品Mの凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くできるとともに、表面のキズや表面の汚れなども見つけ易くなる。
【0036】
検査装置1は、照明器2を更に別な形に変形して
図10に示すような照明器2Bに置き換えることも可能である。
【0037】
照明器2Bでは、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち第1の光(例えば、赤色光)を発光可能な複数個の光源21とそれを搭載した基板20の他に、第2の光(例えば、青色光)を発光可能な他の複数個の光源24とそれを搭載した基板25が設けられている。第1の光と第2の光は、特に限定されるものではなく、また、どちらの波長が長くてもよい。また、照明器2の場合と同様のハーフミラー23の他に、ハーフミラー26が設けられている。また、複数個の光源24には、拡散板27が設けられている。この拡散板27は、照明器2A(及び2A’)の拡散板22Aのようには第1の光を通過させるものではないので、第1の光に対する拡散率は考慮する必要がなく、第2の光に対する拡散率が高いものであればよい。
【0038】
照明器2Bでは、複数個の光源21から第1の光(例えば、赤色光)の光パターンPが放射され、複数個の光源24から第2の光(例えば、青色光)が放射される。第1の光の光パターンPはハーフミラー26で反射され(
図11参照)、かつ、第2の光は拡散板27により拡散されてからハーフミラー26を透過して、ともにハーフミラー23で反射されて、光軸が撮像器3の光軸と一致するように物品Mの表面に垂直になるように照射される。なお、
図11においては、第2の光の図示は省略している。
【0039】
また、
図10では、上下方向のサイズが大きくならないように、図において複数個の光源21を上側に配置して、かつ、上記の透明板22を省略し、複数個の光源24を右側に配置している。図における上下方向のサイズが大きくなるが、複数個の光源21と複数個の光源24(及び拡散板27)の位置を入れ替えて、第1の光がハーフミラー26を透過し、かつ、第2の光がハーフミラー26で反射されるようにすることも可能である。
【0040】
照明器2Bでは、第1の光と第2の光を同時に放射されるようにでき、或いは、切り替えて放射されるようにもできる。第1の光と第2の光が同時に放射される場合は、物品Mを撮像する撮像器3は、第1の光についての上記の画像QI(正反射光パターンQの画像QI)と第2の光についての上記の画像QI’(物品Mの表面の画像QI’)を同時に取得できるもの(典型的には、カラー対応の撮像器)である。そうすると、1回の撮像で、物品Mの凹み、割れ又は隆起などを見つけ、更に、表面のキズや表面の汚れなども見つけることが可能になる。第1の光と第2の光が切り替えて放射される場合は、撮像器3は、照明器2(及び2A及び2A’)の場合と同様のものでよい。
【0041】
次に、本発明の実施形態に係る他の検査装置5を説明する。検査装置5は、
図12に示すように、照明器6と撮像器7と画像処理器8を備えている。検査装置5では、
図13に示すように、照明器6により物品M’に光を照射し、物品M’を撮像器7で撮像し、撮像器7が撮像した画像を画像処理器8により処理することにより検査が行われる。物品M’は、例えば、シート状のものとし、照明器6により照射される部分が連続的に移動するものとすることができる。
【0042】
照明器6は、筐体6aの中に、基板60に搭載された複数個の光源61が設けられている。光源61は、可視光(白色、青色、緑色、赤色など)や赤外光などを発光する。光源61は、通常、LEDであるが、ELなども可能である。光源61は、砲弾型であっても表面実装型であってもよい。複数個の光源61は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで搭載されている。所定の配列パターンは、規則的なものである。
【0043】
照明器6は、同軸落射照明型である。また、照明器6における複数個の光源61の配列パターンは、
図14(a)に示すように、直線状である。
図14(a)に示すものは縦1×横18の配列パターンであるが、縦横の光源61の数は、特に限定されるものではない。
【0044】
照明器6は、
図14(b)に示すように、光パターンPを放射する。光パターンPは、複数個の光源61の配列パターンに対応して複数個の光源61に対応する明るい光パターン明部分Paと複数個の光源61間の上記隙間に対応する暗い光パターン暗部分Pbを有する離散的かつ規則的な光のパターンである。
【0045】
光パターンPは、物品M’に照射される。照明器6では、光パターンPは、
図13の矢印付実線で示すように、透明板62を通過し、ハーフミラー63で反射されて、光軸が撮像器7の光軸と一致するように物品M’の表面に垂直になるように照射される。なお、透明板62は、塵埃などの異物が光源61などに付着するのを防止することができるが、省略することも可能である。
【0046】
物品M’に照射された光パターンPは、物品M’により正反射されて正反射光パターンQとなる。正反射光パターンQの光は、撮像器7に向かう。照明器6では、正反射光パターンQの光は、光パターンPの逆向きに進みハーフミラー63を通過して、
図13の矢印付実線で示すように、撮像器7に向かう。
【0047】
正反射光パターンQは、光パターン明部分Paに対応する明るい正反射光パターン明部分Qaと光パターン暗部分Pbに対応する暗い正反射光パターン暗部分Qbを有する。物品M’の表面が平坦であると、正反射光パターンQは、光パターンPと同様に離散的かつ規則的である。
【0048】
これに対して、物品M’の表面に、例えば
図15(a)に示すような凹み(欠陥など)(
図15(a)中、破線で囲った部分)、割れ又は隆起などがあると、それに当たった光パターンPの一部の光は散乱して、上記の平坦な場合のようには撮像器7に向かわなくなる。そうすると、正反射光パターンQには、一部に歪み(規則的でない部分)が生じる。
【0049】
撮像器7は、正反射光パターンQを撮像する。撮像器7が撮像した正反射光パターンQの画像QIは、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaと正反射光パターン暗部分Qbの画像QIbを有する。正反射光パターンQの画像QIでは、照明器6により照射される部分が連続的に移動する物品M’の場合、正反射光パターン明部分Qaは連続して線状の画像QIaになっており、正反射光パターン暗部分Qbは連続して線状の画像QIbになっている。正反射光パターンQの画像QIは、物品M’の表面が平坦な部分では、
図15(b)の左半分に示すような規則性を有する。一方、物品M’の表面に凹み(欠陥など)、割れ又は隆起などがあると、その部分では、
図15(b)の右半分に示すように一部に歪みが生じることになる。なお、撮像器7は、ラインカメラを用いることができる。
【0050】
画像処理器8は、撮像器7が撮像した正反射光パターンQの画像QIを処理する。画像処理器8は、例えば、物品M’の表面が完全に平坦な場合を基準として正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合を算出したり、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのエッジの強調などをして正反射光パターンQの画像QIを表示装置に表示したりすることができる。
【0051】
画像処理器8は、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合から正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。また、検査者は、表示装置に表示された正反射光パターンQの画像QIから正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。
【0052】
このようにして、検査装置5及び上記のようにして行う検査方法は、正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くすることが可能になる。
【0053】
検査装置5は、上記の検査装置1の照明器2を照明器2A又は照明器2A’に変形したように照明器6を変形することも可能である。そうすることで、検査装置1と同様に、検査装置5は、切り替えにより波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)と波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)を放射させることにより、物品M’の凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くできるとともに、表面のキズや表面の汚れなども見つけ易くなる。
【0054】
また、検査装置5は、上記の検査装置1の照明器2を照明器2Bに変形したように照明器6を変形することも可能である。そうすることで、検査装置1と同様に、検査装置5は、同時に又は切り替えにより第1の光(例えば、赤色光)と第2の光(例えば、青色光)を放射させることにより、物品M’の凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くできるとともに、表面のキズや表面の汚れなども見つけ易くなる。
【0055】
次に、本発明の実施形態に係る更に他の検査装置9を説明する。検査装置9は、
図16に示すように、照明器10と撮像器11と画像処理器12を備えている。検査装置9では、
図17に示すように、照明器10により物品M’に光を照射し、物品M’を撮像器11で撮像し、撮像器11が撮像した画像を画像処理器12により処理することにより検査が行われる。物品M’は、上記と同様に、例えば、シート状のものとし、照明器10により照射される部分が連続的に移動するものとすることができる。
【0056】
照明器10は、筐体10aの中に、基板100に搭載された複数個の光源101が設けられている。光源101は、可視光(白色、青色、緑色、赤色など)や赤外光などを発光する。光源101は、通常、LEDであるが、ELなども可能である。光源101は、砲弾型であっても表面実装型であってもよい。複数個の光源101は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで搭載されている。所定の配列パターンは、規則的なものである。
【0057】
照明器10は、バー照明型であり、照明器10における複数個の光源101の配列パターンは、
図18(a)に示すように、直線状である。
図18(a)に示すものは縦1×横18の配列パターンであるが、縦横の光源101の数は、特に限定されるものではない。
【0058】
照明器10は、
図18(b)に示すように、光パターンPを放射する。光パターンPは、複数個の光源101の配列パターンに対応して複数個の光源101に対応する明るい光パターン明部分Paと複数個の光源101間の上記隙間に対応する暗い光パターン暗部分Pbを有する離散的かつ規則的な光のパターンである。
【0059】
光パターンPは、物品M’に照射される。照明器10では、光パターンPは、
図17の矢印付実線で示すように、透明板102を通過し、物品M’の表面に所定の入射角で入射されるように照射される。なお、透明板102は、塵埃などの異物が光源101などに付着するのを防止することができるが、省略することも可能である。
【0060】
物品M’に照射された光パターンPは、物品M’により所定の反射角で正反射されて正反射光パターンQとなる。正反射光パターンQの光は、撮像器11に向かう。
【0061】
正反射光パターンQは、光パターン明部分Paに対応する明るい正反射光パターン明部分Qaと光パターン暗部分Pbに対応する暗い正反射光パターン暗部分Qbを有する。物品M’の表面が平坦であると、正反射光パターンQは、光パターンPと同様に離散的かつ規則的である。
【0062】
これに対して、物品M’の表面に、例えば前述した
図15(a)に示すような凹み(欠陥など)(
図15(a)中、破線で囲った部分)、割れ又は隆起などがあると、それに当たった光パターンPの一部の光は散乱して、上記の平坦な場合のようには撮像器11に向かわなくなる。そうすると、正反射光パターンQには、一部に歪み(規則的でない部分)が生じる。
【0063】
撮像器11は、正反射光パターンQを撮像する。撮像器11が撮像した正反射光パターンQの画像QIは、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaと正反射光パターン暗部分Qbの画像QIbを有する。正反射光パターンQの画像QIでは、照明器10により照射される部分が連続的に移動する物品M’の場合、正反射光パターン明部分Qaは連続して線状の画像QIaになっており、正反射光パターン暗部分Qbは連続して線状の画像QIbになっている。正反射光パターンQの画像QIは、物品M’の表面が平坦な部分では、前述した
図15(b)の左半分に示すような規則性を有する。一方、物品M’の表面に凹み(欠陥など)、割れ又は隆起などがあると、その部分では、前述した
図15(b)の右半分に示すように一部に歪みが生じることになる。なお、撮像器11は、ラインカメラを用いることができる。
【0064】
画像処理器12は、撮像器11が撮像した正反射光パターンQの画像QIを処理する。画像処理器12は、例えば、物品M’の表面が完全に平坦な場合を基準として正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合を算出したり、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのエッジの強調などをして正反射光パターンQの画像QIを表示装置に表示したりすることができる。
【0065】
画像処理器12は、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合から正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。また、検査者は、表示装置に表示された正反射光パターンQの画像QIから正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。
【0066】
このようにして、検査装置9及び上記のようにして行う検査方法は、正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くすることが可能になる。
【0067】
検査装置9は、上記の検査装置1の照明器2を照明器2A又は照明器2A’に変形したように照明器10を変形することも可能である。そうすることで、検査装置1と同様に、検査装置9は、切り替えにより波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)と波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)を放射させることにより、物品M’の凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くできるとともに、表面のキズや表面の汚れなども見つけ易くなる。
【0068】
以上、本発明の実施形態に係る検査装置及び検査方法について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。
【0069】
1、5、9 検査装置
2、2A、2A’、2B、6、10 照明器
2a、6a、10a 筐体
20、60、100 基板
21、61、101 光源
22、62、102 透明板
22A 拡散板
23、63,103 ハーフミラー
24 他の光源
25 他の基板
26 他のハーフミラー
27 拡散板
3、7、11 撮像器
4、8、12 画像処理器
M、M’ 物品
P 光パターン
Pa 光パターン明部分
Pb 光パターン暗部分
Q 正反射光パターン
Qa 正反射光パターン明部分
Qb 正反射光パターン暗部分
QI 正反射光パターンの画像
QIa 正反射光パターン明部分の画像
QIb 正反射光パターン暗部分の画像
QI’ 物品の表面の画像
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個のLEDが設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個のLEDに対応する光パターン明部分と前記複数個のLED間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、
前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、
該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、
を備える検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、
前記照明器は、前記光パターンを前記物品の表面に垂直になるように照射する同軸落射照明型である検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検査装置において、
前記照明器は、前記光パターンを前記物品の表面に所定の入射角で入射されるように照射し、前記複数個のLEDの前記配列パターンが直線状のバー照明型である検査装置。
【請求項4】
互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、
前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、
該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、
を備え、
前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光を発光可能であり、
前記照明器は、波長が長い方の前記第1の光に対して拡散率が低く波長が短い方の前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する検査装置。
【請求項5】
互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、
前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、
該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、
を備え、
前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち波長が長い方の前記第1の光を発光可能であり、
前記照明器は、波長が短い方の前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、前記第1の光に対して拡散率が低く前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する検査装置。
【請求項6】
互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、
前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、
該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、
を備え、
前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち前記第1の光を発光可能であり、
前記照明器は、前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、ハーフミラーと前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記ハーフミラーにより反射又は前記ハーフミラーを透過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させ、前記ハーフミラーを透過又は前記ハーフミラーにより反射させて前記物品に照射する検査装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の検査装置を用いて、
前記光パターン明部分と前記光パターン暗部分を有する前記光パターンを放射して前記物品に照射し、
前記物品からの前記正反射光パターン明部分と前記正反射光パターン暗部分を有する前記正反射光パターンを撮像し、
撮像した前記正反射光パターンの前記画像を処理し該正反射光パターンの歪みを検査する検査方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の検査装置は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個のLEDが設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個のLEDに対応する光パターン明部分と前記複数個のLED間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項3に記載の検査装置は、請求項1に記載の検査装置において、前記照明器は、前記光パターンを前記物品の表面に所定の入射角で入射されるように照射し、前記複数個のLEDの前記配列パターンが直線状のバー照明型である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項4に記載の検査装置は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、を備え、前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光を発光可能であり、前記照明器は、波長が長い方の前記第1の光に対して拡散率が低く波長が短い方の前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項5に記載の検査装置は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、を備え、前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち波長が長い方の前記第1の光を発光可能であり、前記照明器は、波長が短い方の前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、前記第1の光に対して拡散率が低く前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項6に記載の検査装置は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、を備え、前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち前記第1の光を発光可能であり、前記照明器は、前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、ハーフミラーと前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記ハーフミラーにより反射又は前記ハーフミラーを透過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させ、前記ハーフミラーを透過又は前記ハーフミラーにより反射させて前記物品に照射する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項7に記載の検査方法は、請求項1~6のいずれか1項に記載の検査装置を用いて、前記光パターン明部分と前記光パターン暗部分を有する前記光パターンを放射して前記物品に照射し、前記物品からの前記正反射光パターン明部分と前記正反射光パターン暗部分を有する前記正反射光パターンを撮像し、撮像した前記正反射光パターンの前記画像を処理し該正反射光パターンの歪みを検査する。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、
前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、
該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、
を備え、
前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光を発光可能であり、
前記照明器は、波長が長い方の前記第1の光に対して拡散率が低く波長が短い方の前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する検査装置。
【請求項2】
互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、
前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、
該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、
を備え、
前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち波長が長い方の前記第1の光を発光可能であり、
前記照明器は、波長が短い方の前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、前記第1の光に対して拡散率が低く前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する検査装置。
【請求項3】
互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、
前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、
該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、
を備え、
前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち前記第1の光を発光可能であり、
前記照明器は、前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、ハーフミラーと前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記ハーフミラーにより反射又は前記ハーフミラーを透過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させ、前記ハーフミラーを透過又は前記ハーフミラーにより反射させて前記物品に照射する検査装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の検査装置を用いて、
前記光パターン明部分と前記光パターン暗部分を有する前記光パターンを放射して前記物品に照射し、
前記物品からの前記正反射光パターン明部分と前記正反射光パターン暗部分を有する前記正反射光パターンを撮像し、
撮像した前記正反射光パターンの前記画像を処理し該正反射光パターンの歪みを検査する検査方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に光を照射しそれを撮像器で撮像することにより物品を検査する検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場で生産された物品(製品)について、物品に光を照射しそれを撮像器(イメージセンサ)で撮像することにより検査を行う検査装置が用いられてきた。検査装置は、物品の種類及び異常の種類(凹み(欠陥など)、割れ、隆起、表面のキズ、表面の汚れなど)に対応して様々なものが有る。その中には、一定の方向から光を物品に照射し、その物品からの正反射光が撮像器に入射することによって物品を明視野観察で撮像する検査装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、光軸を撮像器の光軸と一致させるようにした光を物品に照射し、その物品からの正反射光を撮像器に入射させる同軸落射照明型の照明器を備えた検査装置が開示されている。なお、特許文献1及び特許文献2の検査装置では他の型の照明器も併用されているが、一般的に、同軸落射照明型の照明器は単一の照明器として用いることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-153580号公報
【特許文献2】特開2020-204470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような正反射光によって物品を明視野観察で撮像する検査装置は、物品の表面がはっきりと見えて、表面のキズや表面の汚れを見つけ易い。しかし、凹み(欠陥など)、割れ又は隆起などを見つけにくい場合が少なくない。
【0006】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易い検査装置及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の検査装置は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、を備え、前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光を発光可能であり、前記照明器は、波長が長い方の前記第1の光に対して拡散率が低く波長が短い方の前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する。
【0008】
請求項2に記載の検査装置は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、を備え、前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち波長が長い方の前記第1の光を発光可能であり、前記照明器は、波長が短い方の前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、前記第1の光に対して拡散率が低く前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記拡散板を通過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させて前記物品に照射する。
【0009】
請求項3に記載の検査装置は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで基板に搭載された複数個の光源が設けられ、前記配列パターンに対応して前記複数個の光源に対応する光パターン明部分と前記複数個の光源間の前記隙間に対応する光パターン暗部分を有する光パターンを放射して物品に照射する照明器と、前記物品からの正反射光パターン明部分と正反射光パターン暗部分を有する正反射光パターンを撮像する撮像器と、該撮像器が撮像した前記正反射光パターンの画像を処理する画像処理器と、を備え、前記複数個の光源は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち前記第1の光を発光可能であり、前記照明器は、前記第2の光を発光可能な他の複数個の光源が設けられ、更に、ハーフミラーと前記第2の光に対して拡散率が高い拡散板が設けられ、前記第1の光の前記光パターンを前記ハーフミラーにより反射又は前記ハーフミラーを透過させて前記物品に照射し、前記第2の光を前記拡散板により拡散させ、前記ハーフミラーを透過又は前記ハーフミラーにより反射させて前記物品に照射する。
【0010】
請求項4に記載の検査方法は、請求項1~3のいずれか1項に記載の検査装置を用いて、前記光パターン明部分と前記光パターン暗部分を有する前記光パターンを放射して前記物品に照射し、前記物品からの前記正反射光パターン明部分と前記正反射光パターン暗部分を有する前記正反射光パターンを撮像し、撮像した前記正反射光パターンの前記画像を処理し該正反射光パターンの歪みを検査する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の検査装置及び検査方法によれば、正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る検査装置を示すものであって、照明器は断面図で示し、物品と撮像器と画像処理器は模式図又はブロック図で示すものである。
【
図3】同上の検査装置の照明器を示すものであって、(a)は基板の正面図、(b)は放射する光パターンである。
【
図4】同上の検査装置の正反射光パターンの歪みを説明するものであって、(a)は凹みを有する物品の例の平面図、(b)はその正反射光パターン(及びその画像)の図である。
【
図5】同上の検査装置の実験を示すものであって、(a)は物品の写真、(b)は正反射光パターンの画像の写真である。
【
図6】同上の検査装置の照明器の変形例の断面図である。
【
図7】同上の検査装置の照明器の更なる変形例の断面図である。
【
図8】同上の検査装置の
図7の基板の正面図である。
【
図9】同上の検査装置の
図6及び
図7の照明器において第2の光を用いた場合の実験の画像の写真である。
【
図10】同上の検査装置の照明器の更に別な形の変形例の断面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る他の検査装置を示すものであって、照明器は断面図で示し、物品と撮像器と画像処理器は模式図又はブロック図で示すものである。
【
図14】同上の他の検査装置の照明器を示すものであって、(a)は基板の正面図、(b)は放射する光パターンである。
【
図15】同上の他の検査装置の正反射光パターンの歪みを説明するものであって、(a)は凹みを有する物品の例の平面図、(b)はその正反射光パターンの画像の図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る更に他の検査装置を示すものであって、照明器は断面図で示し、物品と撮像器と画像処理器は模式図又はブロック図で示すものである。
【
図18】同上の更に他の検査装置の照明器を示すものであって、(a)は基板の正面図、(b)は放射する光パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る検査装置1は、
図1に示すように、照明器2と撮像器3と画像処理器4を備えている。検査装置1では、
図2に示すように、照明器2により物品Mに光を照射し、物品Mを撮像器3で撮像し、撮像器3が撮像した画像を画像処理器4により処理することにより検査が行われる。
【0014】
照明器2は、筐体2aの中に、基板20に搭載された複数個の光源21が設けられている。光源21は、可視光(白色、青色、緑色、赤色など)や赤外光などを発光する。光源21は、通常、LEDであるが、ELなども可能である。光源21は、砲弾型であっても表面実装型であってもよい。複数個の光源21は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで搭載されている。所定の配列パターンは、規則的なものである。
【0015】
照明器2は、同軸落射照明型である。また、照明器2における複数個の光源21の配列パターンは、
図3(a)に示すように、2次元マトリックス状である。
図3(a)に示すものは縦18×横18の配列パターンであるが、縦横の光源21の数は、特に限定されるものではない。
【0016】
照明器2は、
図3(b)に示すように、光パターンPを放射する。光パターンPは、複数個の光源21の配列パターンに対応して複数個の光源21に対応する明るい光パターン明部分Paと複数個の光源21間の上記隙間に対応する暗い光パターン暗部分Pbを有する離散的かつ規則的な光のパターンである。
【0017】
光パターンPは、物品Mに照射される。照明器2では、光パターンPは、
図2の矢印付実線で示すように、透明板22を通過し、ハーフミラー23で反射されて、光軸が撮像器3の光軸と一致するように物品Mの表面に垂直になるように照射される。なお、透明板22は、塵埃などの異物が光源21などに付着するのを防止することができるが、省略することも可能である。
【0018】
物品Mに照射された光パターンPは、物品Mにより正反射されて正反射光パターンQとなる。正反射光パターンQの光は、撮像器3に向かう。照明器2では、正反射光パターンQの光は、光パターンPの逆向きに進みハーフミラー23を通過して、
図2の矢印付実線で示すように、撮像器3に向かう。
【0019】
正反射光パターンQは、光パターン明部分Paに対応する明るい正反射光パターン明部分Qaと光パターン暗部分Pbに対応する暗い正反射光パターン暗部分Qbを有する。物品Mの表面が平坦であると、正反射光パターンQは、光パターンPと同様に離散的かつ規則的である。
【0020】
これに対して、物品Mの表面に、例えば
図4(a)に示すような凹み(欠陥など)(
図4(a)中、破線で囲った部分)、割れ又は隆起などがあると、それに当たった光パターンPの一部の光は散乱して、上記の平坦な場合のようには撮像器3に向かわなくなる。そうすると、正反射光パターンQには、例えば
図4(b)に示すように、一部に歪み(規則的でない部分)が生じる。
【0021】
撮像器3は、正反射光パターンQを撮像する。撮像器3が撮像した正反射光パターンQの画像QIは、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaと正反射光パターン暗部分Qbの画像QIbを有する。正反射光パターンQの画像QIは、物品Mの表面が平坦であると、光パターンPと同様な規則性を有する。一方、物品Mの表面に凹み(欠陥など)、割れ又は隆起などがあると、
図4(b)に示した正反射光パターンQのように一部に歪みが生じることになる。なお、撮像器3は、エリアカメラを用いることができる。
【0022】
図5は、
図4に対応するものであり、本願発明者が実験で撮像した物品Mの写真であって、(a)は実験室での通常の写真、(b)は正反射光パターンQの画像QIの写真である。物品Mは、透明なプラスチック板である。
図5(a)には、
図4(a)の凹みに対応する部分に凹みがある。
図5(b)に示すように、物品Mの凹みにより正反射光パターンQの画像QIに歪みが実際に生じるのが分かる。なお、物品Mは略正四角形であるが、
図5(a)では、透明な物品Mを明瞭に示すように斜め上方から写しているために輪郭は正四角形には写っていない。
【0023】
画像処理器4は、撮像器3が撮像した正反射光パターンQの画像QIを処理する。画像処理器4は、例えば、物品Mの表面が完全に平坦な場合を基準として正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合を算出したり、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのエッジの強調などをして正反射光パターンQの画像QIを表示装置に表示したりすることができる。
【0024】
画像処理器4は、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合から正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。また、検査者は、表示装置に表示された正反射光パターンQの画像QIから正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。
【0025】
このようにして、検査装置1及び上記のようにして行う検査方法は、正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くすることが可能になる。
【0026】
検査装置1は、照明器2を変形して
図6に示すような照明器2A又は
図7に示すような照明器2A’に置き換えることも可能である。
【0027】
照明器2Aでは、光源21は、互いに波長が異なる第1の光と第2の光(例えば、赤外光と可視光)を発光可能なものであり、どちらかの発光に切り替えて用いられる。また、照明器2Aでは、上記透明板22に代えて又は追加して拡散板22Aが設けられている(
図6参照)。追加する場合は、拡散板22Aは、透明板22に平行にして設けることができる。照明器2Aのその他の構造は、照明器2と同じにすることができる。
【0028】
この拡散板22Aは、波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)に対して拡散率が低く波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)に対して拡散率が高いものである。拡散板22Aは、例えば、半透明のアクリル製のものなどを用いることができる。一般的に、拡散板は、光の散乱を引き起こす物質を均一に含むようにすると、光を拡散する。光の散乱強度は、レイリー散乱の法則によると、波長の4乗に反比例する。そうすると、例えば、波長が950nmの赤外光は、波長が525nmの可視光(緑色光)に対し散乱強度が約9.3%となる。これにより、拡散板22Aは、波長が短い方の第2の光を適切に(高い拡散率で)拡散し、波長が長い方の第1の光の拡散(散乱)を適切に小さく(低い拡散率に)することができる。
【0029】
照明器2A’は、
図7及び
図8に示すように、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)を発光可能な複数個の光源21の他に、波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)を発光可能な他の複数個の光源24(
図7では断面で示している)が設けられている。照明器2A’では、複数個の光源21を発光させるか複数個の光源24を発光させるかどちらかに切り替えて用いられる。複数個の光源24は、通常、複数個の光源21の間に設けられる。また、照明器2A’では、照明器2Aの場合と同様の拡散板22Aが設けられている。照明器2A’のその他の構造は、照明器2と同じにすることができる。
【0030】
照明器2A又は2A’は、波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)の光パターンPが放射された場合、拡散板22Aの拡散率が低いので、その光パターンPを拡散板22Aを通過させて(つまり、光パターン明部分Paと光パターン暗部分Pbを有した状態で)物品Mに照射する。一方、波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)の光パターンPが放射された場合、拡散板22Aの拡散率が高いので、第2の光を拡散板22Aにより拡散させて(つまり、光パターン明部分Paと光パターン暗部分Pbの区別が無視できる状態で)物品Mに照射する。
【0031】
撮像器3は、物品Mを撮像する。撮像器3が撮像した画像は、波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)の場合は、正反射光パターンQの画像QIであり、物品Mの表面が平坦であると、上記のように、光パターンPと同様な規則性を有する。一方、物品Mに凹み(欠陥など)、割れ又は隆起などがあると、
図4(b)に示した正反射光パターンQのような歪みが生じる。また、撮像器3が撮像した画像は、波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)の場合、物品Mの表面の画像QI’であり、キズや表面の汚れなどが写り易くなっている。例えば、
図9に示すものは
図5(a)で示した物品Mの表面の画像QI’であるが、物品Mの表面のキズや表面の汚れが良く写っている。
【0032】
このように照明器2A又は照明器2A’を備える検査装置1は、切り替えにより波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)と波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)を放射させることにより、物品Mの凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くできるとともに、表面のキズや表面の汚れなども見つけ易くなる。
【0033】
検査装置1は、照明器2を更に別な形に変形して
図10に示すような照明器2Bに置き換えることも可能である。
【0034】
照明器2Bでは、互いに波長が異なる第1の光と第2の光のうち第1の光(例えば、赤色光)を発光可能な複数個の光源21とそれを搭載した基板20の他に、第2の光(例えば、青色光)を発光可能な他の複数個の光源24とそれを搭載した基板25が設けられている。第1の光と第2の光は、特に限定されるものではなく、また、どちらの波長が長くてもよい。また、照明器2の場合と同様のハーフミラー23の他に、ハーフミラー26が設けられている。また、複数個の光源24には、拡散板27が設けられている。この拡散板27は、照明器2A(及び2A’)の拡散板22Aのようには第1の光を通過させるものではないので、第1の光に対する拡散率は考慮する必要がなく、第2の光に対する拡散率が高いものであればよい。
【0035】
照明器2Bでは、複数個の光源21から第1の光(例えば、赤色光)の光パターンPが放射され、複数個の光源24から第2の光(例えば、青色光)が放射される。第1の光の光パターンPはハーフミラー26で反射され(
図11参照)、かつ、第2の光は拡散板27により拡散されてからハーフミラー26を透過して、ともにハーフミラー23で反射されて、光軸が撮像器3の光軸と一致するように物品Mの表面に垂直になるように照射される。なお、
図11においては、第2の光の図示は省略している。
【0036】
また、
図10では、上下方向のサイズが大きくならないように、図において複数個の光源21を上側に配置して、かつ、上記の透明板22を省略し、複数個の光源24を右側に配置している。図における上下方向のサイズが大きくなるが、複数個の光源21と複数個の光源24(及び拡散板27)の位置を入れ替えて、第1の光がハーフミラー26を透過し、かつ、第2の光がハーフミラー26で反射されるようにすることも可能である。
【0037】
照明器2Bでは、第1の光と第2の光を同時に放射されるようにでき、或いは、切り替えて放射されるようにもできる。第1の光と第2の光が同時に放射される場合は、物品Mを撮像する撮像器3は、第1の光についての上記の画像QI(正反射光パターンQの画像QI)と第2の光についての上記の画像QI’(物品Mの表面の画像QI’)を同時に取得できるもの(典型的には、カラー対応の撮像器)である。そうすると、1回の撮像で、物品Mの凹み、割れ又は隆起などを見つけ、更に、表面のキズや表面の汚れなども見つけることが可能になる。第1の光と第2の光が切り替えて放射される場合は、撮像器3は、照明器2(及び2A及び2A’)の場合と同様のものでよい。
【0038】
次に、本発明の実施形態に係る他の検査装置5を説明する。検査装置5は、
図12に示すように、照明器6と撮像器7と画像処理器8を備えている。検査装置5では、
図13に示すように、照明器6により物品M’に光を照射し、物品M’を撮像器7で撮像し、撮像器7が撮像した画像を画像処理器8により処理することにより検査が行われる。物品M’は、例えば、シート状のものとし、照明器6により照射される部分が連続的に移動するものとすることができる。
【0039】
照明器6は、筐体6aの中に、基板60に搭載された複数個の光源61が設けられている。光源61は、可視光(白色、青色、緑色、赤色など)や赤外光などを発光する。光源61は、通常、LEDであるが、ELなども可能である。光源61は、砲弾型であっても表面実装型であってもよい。複数個の光源61は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで搭載されている。所定の配列パターンは、規則的なものである。
【0040】
照明器6は、同軸落射照明型である。また、照明器6における複数個の光源61の配列パターンは、
図14(a)に示すように、直線状である。
図14(a)に示すものは縦1×横18の配列パターンであるが、縦横の光源61の数は、特に限定されるものではない。
【0041】
照明器6は、
図14(b)に示すように、光パターンPを放射する。光パターンPは、複数個の光源61の配列パターンに対応して複数個の光源61に対応する明るい光パターン明部分Paと複数個の光源61間の上記隙間に対応する暗い光パターン暗部分Pbを有する離散的かつ規則的な光のパターンである。
【0042】
光パターンPは、物品M’に照射される。照明器6では、光パターンPは、
図13の矢印付実線で示すように、透明板62を通過し、ハーフミラー63で反射されて、光軸が撮像器7の光軸と一致するように物品M’の表面に垂直になるように照射される。なお、透明板62は、塵埃などの異物が光源61などに付着するのを防止することができるが、省略することも可能である。
【0043】
物品M’に照射された光パターンPは、物品M’により正反射されて正反射光パターンQとなる。正反射光パターンQの光は、撮像器7に向かう。照明器6では、正反射光パターンQの光は、光パターンPの逆向きに進みハーフミラー63を通過して、
図13の矢印付実線で示すように、撮像器7に向かう。
【0044】
正反射光パターンQは、光パターン明部分Paに対応する明るい正反射光パターン明部分Qaと光パターン暗部分Pbに対応する暗い正反射光パターン暗部分Qbを有する。物品M’の表面が平坦であると、正反射光パターンQは、光パターンPと同様に離散的かつ規則的である。
【0045】
これに対して、物品M’の表面に、例えば
図15(a)に示すような凹み(欠陥など)(
図15(a)中、破線で囲った部分)、割れ又は隆起などがあると、それに当たった光パターンPの一部の光は散乱して、上記の平坦な場合のようには撮像器7に向かわなくなる。そうすると、正反射光パターンQには、一部に歪み(規則的でない部分)が生じる。
【0046】
撮像器7は、正反射光パターンQを撮像する。撮像器7が撮像した正反射光パターンQの画像QIは、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaと正反射光パターン暗部分Qbの画像QIbを有する。正反射光パターンQの画像QIでは、照明器6により照射される部分が連続的に移動する物品M’の場合、正反射光パターン明部分Qaは連続して線状の画像QIaになっており、正反射光パターン暗部分Qbは連続して線状の画像QIbになっている。正反射光パターンQの画像QIは、物品M’の表面が平坦な部分では、
図15(b)の左半分に示すような規則性を有する。一方、物品M’の表面に凹み(欠陥など)、割れ又は隆起などがあると、その部分では、
図15(b)の右半分に示すように一部に歪みが生じることになる。なお、撮像器7は、ラインカメラを用いることができる。
【0047】
画像処理器8は、撮像器7が撮像した正反射光パターンQの画像QIを処理する。画像処理器8は、例えば、物品M’の表面が完全に平坦な場合を基準として正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合を算出したり、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのエッジの強調などをして正反射光パターンQの画像QIを表示装置に表示したりすることができる。
【0048】
画像処理器8は、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合から正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。また、検査者は、表示装置に表示された正反射光パターンQの画像QIから正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。
【0049】
このようにして、検査装置5及び上記のようにして行う検査方法は、正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くすることが可能になる。
【0050】
検査装置5は、上記の検査装置1の照明器2を照明器2A又は照明器2A’に変形したように照明器6を変形することも可能である。そうすることで、検査装置1と同様に、検査装置5は、切り替えにより波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)と波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)を放射させることにより、物品M’の凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くできるとともに、表面のキズや表面の汚れなども見つけ易くなる。
【0051】
また、検査装置5は、上記の検査装置1の照明器2を照明器2Bに変形したように照明器6を変形することも可能である。そうすることで、検査装置1と同様に、検査装置5は、同時に又は切り替えにより第1の光(例えば、赤色光)と第2の光(例えば、青色光)を放射させることにより、物品M’の凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くできるとともに、表面のキズや表面の汚れなども見つけ易くなる。
【0052】
次に、本発明の実施形態に係る更に他の検査装置9を説明する。検査装置9は、
図16に示すように、照明器10と撮像器11と画像処理器12を備えている。検査装置9では、
図17に示すように、照明器10により物品M’に光を照射し、物品M’を撮像器11で撮像し、撮像器11が撮像した画像を画像処理器12により処理することにより検査が行われる。物品M’は、上記と同様に、例えば、シート状のものとし、照明器10により照射される部分が連続的に移動するものとすることができる。
【0053】
照明器10は、筐体10aの中に、基板100に搭載された複数個の光源101が設けられている。光源101は、可視光(白色、青色、緑色、赤色など)や赤外光などを発光する。光源101は、通常、LEDであるが、ELなども可能である。光源101は、砲弾型であっても表面実装型であってもよい。複数個の光源101は、互いに隙間を有して所定の配列パターンで搭載されている。所定の配列パターンは、規則的なものである。
【0054】
照明器10は、バー照明型であり、照明器10における複数個の光源101の配列パターンは、
図18(a)に示すように、直線状である。
図18(a)に示すものは縦1×横18の配列パターンであるが、縦横の光源101の数は、特に限定されるものではない。
【0055】
照明器10は、
図18(b)に示すように、光パターンPを放射する。光パターンPは、複数個の光源101の配列パターンに対応して複数個の光源101に対応する明るい光パターン明部分Paと複数個の光源101間の上記隙間に対応する暗い光パターン暗部分Pbを有する離散的かつ規則的な光のパターンである。
【0056】
光パターンPは、物品M’に照射される。照明器10では、光パターンPは、
図17の矢印付実線で示すように、透明板102を通過し、物品M’の表面に所定の入射角で入射されるように照射される。なお、透明板102は、塵埃などの異物が光源101などに付着するのを防止することができるが、省略することも可能である。
【0057】
物品M’に照射された光パターンPは、物品M’により所定の反射角で正反射されて正反射光パターンQとなる。正反射光パターンQの光は、撮像器11に向かう。
【0058】
正反射光パターンQは、光パターン明部分Paに対応する明るい正反射光パターン明部分Qaと光パターン暗部分Pbに対応する暗い正反射光パターン暗部分Qbを有する。物品M’の表面が平坦であると、正反射光パターンQは、光パターンPと同様に離散的かつ規則的である。
【0059】
これに対して、物品M’の表面に、例えば前述した
図15(a)に示すような凹み(欠陥など)(
図15(a)中、破線で囲った部分)、割れ又は隆起などがあると、それに当たった光パターンPの一部の光は散乱して、上記の平坦な場合のようには撮像器11に向かわなくなる。そうすると、正反射光パターンQには、一部に歪み(規則的でない部分)が生じる。
【0060】
撮像器11は、正反射光パターンQを撮像する。撮像器11が撮像した正反射光パターンQの画像QIは、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaと正反射光パターン暗部分Qbの画像QIbを有する。正反射光パターンQの画像QIでは、照明器10により照射される部分が連続的に移動する物品M’の場合、正反射光パターン明部分Qaは連続して線状の画像QIaになっており、正反射光パターン暗部分Qbは連続して線状の画像QIbになっている。正反射光パターンQの画像QIは、物品M’の表面が平坦な部分では、前述した
図15(b)の左半分に示すような規則性を有する。一方、物品M’の表面に凹み(欠陥など)、割れ又は隆起などがあると、その部分では、前述した
図15(b)の右半分に示すように一部に歪みが生じることになる。なお、撮像器11は、ラインカメラを用いることができる。
【0061】
画像処理器12は、撮像器11が撮像した正反射光パターンQの画像QIを処理する。画像処理器12は、例えば、物品M’の表面が完全に平坦な場合を基準として正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合を算出したり、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのエッジの強調などをして正反射光パターンQの画像QIを表示装置に表示したりすることができる。
【0062】
画像処理器12は、正反射光パターン明部分Qaの画像QIaのずれの割合から正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。また、検査者は、表示装置に表示された正反射光パターンQの画像QIから正反射光パターンQの歪みを検査し、不良品の判定などを行うことが可能である。
【0063】
このようにして、検査装置9及び上記のようにして行う検査方法は、正反射光によって物品を明視野観察で撮像し、しかも凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くすることが可能になる。
【0064】
検査装置9は、上記の検査装置1の照明器2を照明器2A又は照明器2A’に変形したように照明器10を変形することも可能である。そうすることで、検査装置1と同様に、検査装置9は、切り替えにより波長が長い方の第1の光(例えば、赤外光)と波長が短い方の第2の光(例えば、可視光)を放射させることにより、物品M’の凹み、割れ又は隆起などを見つけ易くできるとともに、表面のキズや表面の汚れなども見つけ易くなる。
【0065】
以上、本発明の実施形態に係る検査装置及び検査方法について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。
【0066】
1、5、9 検査装置
2、2A、2A’、2B、6、10 照明器
2a、6a、10a 筐体
20、60、100 基板
21、61、101 光源
22、62、102 透明板
22A 拡散板
23、63,103 ハーフミラー
24 他の光源
25 他の基板
26 他のハーフミラー
27 拡散板
3、7、11 撮像器
4、8、12 画像処理器
M、M’ 物品
P 光パターン
Pa 光パターン明部分
Pb 光パターン暗部分
Q 正反射光パターン
Qa 正反射光パターン明部分
Qb 正反射光パターン暗部分
QI 正反射光パターンの画像
QIa 正反射光パターン明部分の画像
QIb 正反射光パターン暗部分の画像
QI’ 物品の表面の画像