(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022453
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】シートシステム及びシートの制御方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/14 20060101AFI20240208BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20240208BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20240208BHJP
B60N 3/06 20060101ALI20240208BHJP
A47C 7/50 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B60N2/14
B60N2/06
B60N2/22
B60N3/06
A47C7/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030157
(22)【出願日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】63/370284
(32)【優先日】2022-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/425811
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沼 弘治
(72)【発明者】
【氏名】冨田 佳弘
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087BA07
3B087BD03
3B087BD04
3B087BD13
3B088JA02
3B088JB02
(57)【要約】
【課題】フロアに対して鉛直軸回りに回転可能なシート本体を有するシートシステム及びシートの制御方法において、回転によってシート本体が周辺に位置する物体に衝突することを防止する。
【解決手段】シートシステム1であって、フロア13に対して上下方向に延びる鉛直軸Zを中心とする回転可能に支持された複数のシート本体15と、シート本体それぞれをフロアに対して回転させる駆動ユニット17と、シート本体それぞれの周辺に位置する物体に係る情報を取得するセンサ5と、センサによって取得された情報に基づいて、駆動ユニットをそれぞれ制御する制御装置9と、を有し、制御装置はセンサによって取得された情報に基づいて、シート本体の回転が可能であるかを判定し、回転が可能であると判定したときに、駆動ユニットによるシート本体の回転を許可する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートシステムであって、
フロアに対して上下方向に延びる鉛直軸を中心とする回転可能に支持された複数のシート本体と、
前記シート本体それぞれを前記フロアに対して回転させる駆動ユニットと、
前記シート本体それぞれの周辺に位置する物体に係る情報を取得するセンサと、
前記センサによって取得された情報に基づいて、前記駆動ユニットをそれぞれ制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が可能であるかを判定し、回転が可能であると判定したときに、前記駆動ユニットによる前記シート本体の回転を許可するシートシステム。
【請求項2】
前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させるスライド駆動装置とを備え、
前記シート本体の回転が不可能であると判定したときに、前記制御装置は、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記スライド駆動装置に前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させる請求項1に記載のシートシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記スライド駆動装置による前記シート本体の移動が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する請求項2に記載のシートシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記スライド駆動装置に前記シート本体を着座可能となる位置に移動させる請求項2又は請求項3に記載のシートシステム。
【請求項5】
前記シート本体は、シートクッションと、前記シートクッションに対して回転することにより傾倒可能なシートバックとを備え、
前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させるリクライニング駆動装置と、を備え、
前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させ、前記シートバックを起立させる請求項1に記載のシートシステム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置による前記シートバックの起立が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する請求項5に記載のシートシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを着座可能となる位置まで回転させる請求項5又は請求項6に記載のシートシステム。
【請求項8】
前記シート本体は、後端において前記フロアに回転可能に支持されたシートクッションと、シートバックとを備え、
前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シートクッションを前記フロアに対して回転させるチップアップ駆動装置とを有し、
前記制御装置は前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記シートクッションの前端が跳ね上がるように、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを回転させる請求項1に記載のシートシステム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記チップアップ駆動装置による前記シートクッションの回転が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する請求項8に記載のシートシステム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを着座可能となる位置まで回転させる請求項8又は請求項9に記載のシートシステム。
【請求項11】
フロア上に載置された複数のシート本体を鉛直軸の回りに回転させるためのシートの制御方法であって、
前記シート本体の位置及び姿勢を制御する制御装置が、
前記シート本体に設けられたセンサから前記シート本体の周辺に位置する物体に係る情報を取得し、
前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が可能であるかを判定し、前記シート本体が回転可能であるときに、前記シート本体を回転させる駆動ユニットによる前記シート本体の回転を許可するシートの制御方法。
【請求項12】
前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させるスライド駆動装置とを備え、
前記シート本体の回転が不可能であると判定したときに、前記制御装置は、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記スライド駆動装置に前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させる請求項11に記載のシートの制御方法。
【請求項13】
前記制御装置は、前記スライド駆動装置による前記シート本体の移動が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する請求項12に記載のシートの制御方法。
【請求項14】
前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記スライド駆動装置に前記シート本体を着座可能となる位置に移動させる請求項12又は請求項13に記載のシートの制御方法。
【請求項15】
前記シート本体は、シートクッションと、前記シートクッションに対して回転することにより傾倒可能なシートバックとを備え、
前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させるリクライニング駆動装置と、を備え、
前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させ、前記シートバックを起立させる請求項11に記載のシートの制御方法。
【請求項16】
前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置による前記シートバックの起立が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する請求項15に記載のシートの制御方法。
【請求項17】
前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを着座可能となる位置まで回転させる請求項15又は請求項16に記載のシートの制御方法。
【請求項18】
前記シート本体は、後端において前記フロアに回転可能に支持されたシートクッションと、シートバックとを備え、
前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シートクッションを前記フロアに対して回転させるチップアップ駆動装置とを有し、
前記制御装置は前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記シートクッションの前端が跳ね上がるように、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを回転させる請求項11に記載のシートの制御方法。
【請求項19】
前記制御装置は、前記チップアップ駆動装置による前記シートクッションの回転が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する請求項18に記載のシートの制御方法。
【請求項20】
前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを着座可能となる位置まで回転させる請求項18又は請求項19に記載のシートの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシート本体を含むシートシステム及びシートの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シート本体をフロアに対して回転させて、シート本体の向きを前方から後方に変えることのできる車両用シートを開示している。シート本体は、シートクッションの下部に配設されたスライダ装置によって、フロアに対し前後方向に移動する。更に、シート本体は、スライダ装置とフロアとの間に介在する回転装置によって、フロアに対する向きが変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両を自律走行させる技術開発が盛んに行われるようになっている。このような車両では、走行シーン等に応じて、シート本体の向きを変更し、車室内のシート本体のレイアウトを変更できるようにすることが求められている。
【0005】
しかしながら、シート本体それぞれ前後位置やリクライニング角度は、着座者の体型や好みによって変更されることがある。そのため、回転時に、シート本体が、周辺に位置するシート本体に衝突し、シート本体のレイアウトの変更が困難になる虞がある。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑み、フロアに対して鉛直軸回りに回転可能なシート本体を有するシートシステム及びシートの制御方法において、回転によってシート本体が周辺に位置する物体に衝突することを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、シートシステム(1)であって、フロア(13)に対して上下方向に延びる鉛直軸(Z)を中心とする回転可能に支持された複数のシート本体(15)と、前記シート本体それぞれを前記フロアに対して回転させる駆動ユニット(17)と、前記シート本体それぞれの周辺に位置する物体に係る情報を取得するセンサ(5)と、前記センサによって取得された情報に基づいて、前記駆動ユニットをそれぞれ制御する制御装置(9)と、を有し、前記制御装置は前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が可能であるかを判定し、回転が可能であると判定したときに、前記駆動ユニットによる前記シート本体の回転を許可する。
【0008】
この態様によれば、センサによって取得された周辺に位置する物体に係る情報に基づいて、シート本体の回転の可否が判定される。そのため、回転によって周辺に位置する物体にシート本体が衝突することが防止できる。
【0009】
上記の態様において、好ましくは、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置(39)と、前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させるスライド駆動装置(35)とを備え、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときに、前記制御装置は、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記スライド駆動装置に前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させる。
【0010】
この態様によれば、シート本体を周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0011】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記スライド駆動装置による前記シート本体の移動が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0012】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0013】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記スライド駆動装置に前記シート本体を着座可能となる位置に移動させる。
【0014】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【0015】
上記の態様において、好ましくは、前記シート本体は、シートクッション(19)と、前記シートクッションに対して回転することにより傾倒可能なシートバック(21)とを備え、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置(39)と、前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させるリクライニング駆動装置(47)と、を備え、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させ、前記シートバックを起立させる。
【0016】
この態様によれば、シートバックを周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0017】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置による前記シートバックの起立が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0018】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0019】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを着座可能となる位置まで回転させる。
【0020】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【0021】
上記の態様において、好ましくは、前記シート本体は、後端において前記フロアに回転可能に支持されたシートクッション(19)と、シートバック(21)とを備え、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置(39)と、前記シートクッションを前記フロアに対して回転させるチップアップ駆動装置(41)とを有し、前記制御装置は前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記シートクッションの前端が跳ね上がるように、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを回転させる。
【0022】
この態様によれば、シートクッションを周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0023】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記チップアップ駆動装置による前記シートクッションの回転が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0024】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0025】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを着座可能となる位置まで回転させる。
【0026】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【0027】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、フロア(13)上に載置された複数のシート本体(15)を鉛直軸(Z)の回りに回転させるためのシート(3)の制御方法であって、前記シート本体の位置及び姿勢を制御する制御装置(9)が、前記シート本体に設けられたセンサ(5)から前記シート本体の周辺に位置する物体に係る情報を取得し、前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が可能であるかを判定し、前記シート本体が回転可能であるときに、前記シート本体を回転させる駆動ユニット(17)による前記シート本体の回転を許可する。
【0028】
この態様によれば、センサによって取得された周辺に位置する物体に係る情報に基づいて、シート本体の回転の可否が判定される。そのため、回転によって周辺に位置する物体にシート本体が衝突することが防止できる。
【0029】
上記の態様において、好ましくは、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置(39)と、前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させるスライド駆動装置(35)とを備え、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときに、前記制御装置は、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記スライド駆動装置に前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させる。
【0030】
この態様によれば、シート本体を周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0031】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記スライド駆動装置による前記シート本体の移動が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0032】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0033】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記スライド駆動装置に前記シート本体を着座可能となる位置に移動させる。
【0034】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【0035】
上記の態様において、好ましくは、前記シート本体は、シートクッション(19)と、前記シートクッションに対して回転することにより傾倒可能なシートバック(21)とを備え、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置(39)と、前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させるリクライニング駆動装置(37)と、を備え、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させ、前記シートバックを起立させる。
【0036】
この態様によれば、シートバックを周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0037】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置による前記シートバックの起立が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0038】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0039】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを着座可能となる位置まで回転させる。
【0040】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【0041】
上記の態様において、好ましくは、前記シート本体は、後端において前記フロアに回転可能に支持されたシートクッション(19)と、シートバック(21)とを備え、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置(39)と、前記シートクッションを前記フロアに対して回転させるチップアップ駆動装置(41)とを有し、前記制御装置は前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記シートクッションの前端が跳ね上がるように、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを回転させる。
【0042】
この態様によれば、シートクッションを周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0043】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記チップアップ駆動装置による前記シートクッションの回転が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0044】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0045】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを着座可能となる位置まで回転させる。
【0046】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【発明の効果】
【0047】
本発明は、シートシステムであって、フロアに対して上下方向に延びる鉛直軸を中心とする回転可能に支持された複数のシート本体と、前記シート本体それぞれを前記フロアに対して回転させる駆動ユニットと、前記シート本体それぞれの周辺に位置する物体に係る情報を取得するセンサと、前記センサによって取得された情報に基づいて、前記駆動ユニットをそれぞれ制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が可能であるかを判定し、回転が可能であると判定したときに、前記駆動ユニットによる前記シート本体の回転を許可する。
【0048】
この態様によれば、センサによって取得された周辺に位置する物体に係る情報に基づいて、シート本体の回転の可否が判定される。そのため、回転によって周辺に位置する物体にシート本体が衝突することが防止できる。
【0049】
上記の態様において、好ましくは、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させるスライド駆動装置とを備え、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときに、前記制御装置は、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記スライド駆動装置に前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させる。
【0050】
この態様によれば、シート本体を周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0051】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記スライド駆動装置による前記シート本体の移動が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0052】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0053】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記スライド駆動装置に前記シート本体を着座可能となる位置に移動させる。
【0054】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【0055】
上記の態様において、好ましくは、前記シート本体は、シートクッションと、前記シートクッションに対して回転することにより傾倒可能なシートバックとを備え、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させるリクライニング駆動装置と、を備え、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させ、前記シートバックを起立させる。
【0056】
この態様によれば、シートバックを周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0057】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置による前記シートバックの起立が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0058】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0059】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを着座可能となる位置まで回転させる。
【0060】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【0061】
上記の態様において、好ましくは、前記シート本体は、後端において前記フロアに回転可能に支持されたシートクッションと、シートバックとを備え、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シートクッションを前記フロアに対して回転させるチップアップ駆動装置とを有し、前記制御装置は前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記シートクッションの前端が跳ね上がるように、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを回転させる。
【0062】
この態様によれば、シートクッションを周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0063】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記チップアップ駆動装置による前記シートクッションの回転が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0064】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0065】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを着座可能となる位置まで回転させる。
【0066】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【0067】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、フロア上に載置された複数のシート本体を鉛直軸の回りに回転させるためのシートの制御方法であって、前記シート本体の位置及び姿勢を制御する制御装置が、前記シート本体に設けられたセンサから前記シート本体の周辺に位置する物体に係る情報を取得し、前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が可能であるかを判定し、前記シート本体が回転可能であるときに、前記シート本体を回転させる駆動ユニットによる前記シート本体の回転を許可する。
【0068】
この態様によれば、センサによって取得された周辺に位置する物体に係る情報に基づいて、シート本体の回転の可否が判定される。そのため、回転によって周辺に位置する物体にシート本体が衝突することが防止できる。
【0069】
上記の態様において、好ましくは、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させるスライド駆動装置とを備え、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときに、前記制御装置は、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記スライド駆動装置に前記シート本体を前記フロアに対して平行移動させる。
【0070】
この態様によれば、シート本体を周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0071】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記スライド駆動装置による前記シート本体の移動が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0072】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0073】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記スライド駆動装置に前記シート本体を着座可能となる位置に移動させる。
【0074】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【0075】
上記の態様において、好ましくは、前記シート本体は、シートクッションと、前記シートクッションに対して回転することにより傾倒可能なシートバックとを備え、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させるリクライニング駆動装置と、を備え、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを前記シートクッションに対して回転させ、前記シートバックを起立させる。
【0076】
この態様によれば、シートバックを周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0077】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記リクライニング駆動装置による前記シートバックの起立が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0078】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0079】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記リクライニング駆動装置に前記シートバックを着座可能となる位置まで回転させる。
【0080】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【0081】
上記の態様において、好ましくは、前記シート本体は、後端において前記フロアに回転可能に支持されたシートクッションと、シートバックとを備え、前記駆動ユニットは、前記シート本体を前記フロアに対して回転させる回転駆動装置と、前記シートクッションを前記フロアに対して回転させるチップアップ駆動装置とを有し、前記制御装置は前記センサによって取得された情報に基づいて、前記シート本体の回転が不可能であると判定したときには、前記シート本体の回転を可能とするべく、前記シートクッションの前端が跳ね上がるように、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを回転させる。
【0082】
この態様によれば、シートクッションを周辺に位置する物体と離れた衝突し難い位置に移動させることができる。そのため、シート本体が回転時に周辺に位置する物体と衝突することを防止することができる。
【0083】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記チップアップ駆動装置による前記シートクッションの回転が完了する前に、前記回転駆動装置に前記シート本体の回転を許可する。
【0084】
この態様によれば、シート本体の回転が完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0085】
上記の態様において、好ましくは、前記制御装置は、前記回転駆動装置による前記シート本体の回転が完了した後に、前記チップアップ駆動装置に前記シートクッションを着座可能となる位置まで回転させる。
【0086】
この態様によれば、シート本体が鉛直軸回りに回転した後に、シート本体への着座が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】実施形態に係るシートシステムが搭載された車両の車室内の斜視図
【
図2】実施形態に係るシートシステムが搭載された車両の車室内の(A)上面図及び(B)側面図
【
図4】(A)スライド駆動装置、(B)リクライニング駆動装置、及び、(C)回転駆動装置によるシート本体の位置及び姿勢の変化を説明するための説明図
【
図5】(A)チップアップ駆動装置、(B)中折れ駆動装置、及び、(C)オットマン駆動装置によるシート本体の位置及び姿勢の変化を説明するための説明図
【
図7】リラックスモードから通常モードに切り替えられるときのシート本体の移動及び変形を説明するための説明図
【
図8】リラックスモードから通常モードに切り替えられるときのシート本体の移動及び変形を説明するための説明図
【
図9】ヘッドレストを除くシート本体の骨組みを示す斜視図、及び、破線部分の拡大図
【
図10】座部フレームが押上位置にあるときのクッションフレーム及びバックフレームを示す斜視図
【
図11】電動モータ及び変換ボックスが組付けられた状態のモータブラケットをシート外側から見たときの斜視図
【
図13】ピニオンギヤ、セクタギヤ及び支持ブラケットを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0088】
以下、図面を参照して、本発明に係るシートシステムが前席及び後席の2列の座席が設けられた自動車に適用された例について説明する。以下、自動車の前後方向を基準として、前後、左右、上下の各方向を定めて説明を行う。
【0089】
図1及び
図2(A)に示すように、シートシステム1は、複数の乗物用シート3(
図1参照)と、乗物用シート3それぞれの周辺情報を取得するセンサ5(
図2(A)参照)と、車室内に報知を行う報知装置7(
図2(A)参照)と、センサ5によって取得された情報に基づいて乗物用シート3を制御する制御装置9(
図2(A)参照)と、を備えている。
【0090】
図1、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、自動車には、前席を構成する左右一対の乗物用シート3Aと、後席を構成する左右一対の乗物用シート3Bとが設けられている。乗物用シート3はそれぞれ、自動車の車室11内において、車室11を構成するフロア13上に載置されている。
【0091】
以下では、まず、
図1、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、着座した使用者が前方に向くように、乗物用シート3がフロア13上に載置されているときを例示して、乗物用シート3の構成の概略について説明を行う。
【0092】
乗物用シート3は、使用者が着座するシート本体15(
図1参照)と、シート本体15を変位・変形させるべく駆動する駆動ユニット17(
図5参照)と、を備えている。
【0093】
図1、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、シート本体15は、シートクッション19と、シートクッション19の後部に支持されたシートバック21とを備えている。シートクッション19は、使用者の臀部を下方から支持し、シートバック21は使用者の背部を後方から支持する。シートバック21の上端にはヘッドレスト23が設けられている。
【0094】
本実施形態では、
図1に示すように、シート本体15にそれぞれ足置きとして機能するオットマン25が設けられている。シートバック21の車外側側面にアームレスト27が回動可能に接続されている。更に、シートクッション19の車外側側面にはサイドカバー29が設けられている。シートバック21の車内側側面にもカップホルダ30を備えたアームレスト31が固定されている。
【0095】
駆動ユニット17(駆動装置群や、単に駆動装置ともいう)は、電動モータ等の各種アクチュエータを含み、シート本体15を移動及び/又は変形させる。
図3に示すように、駆動ユニット17は、スライド駆動装置35、リクライニング駆動装置37、回転駆動装置39及びチップアップ駆動装置41を含む。
【0096】
スライド駆動装置35は、シート本体15をフロア13に対して平行移動(スライド移動)させる。詳細には、
図2及び
図4(A)に示すように、シート本体15とフロア13との間にスライド機構45が設けられている。シート本体15がスライド機構45を介してフロア13に接続されることによって、シート本体15はフロア13に対して前後方向に平行移動可能となっている。スライド駆動装置35(
図3参照)は、スライド機構45を駆動し、シート本体15を前後方向に平行移動(スライド移動)させる。
【0097】
リクライニング駆動装置37は、シートクッション19に対して、シートバック21を傾倒させる。詳細には、
図2及び
図4(B)に示すように、シートクッション19と、シートバック21との間に、リクライニング機構47が設けられている。シートバック21がリクライニング機構47を介してシートクッション19に接続されることによって、シートバック21はシートクッション19の後端に左右方向に延びる回転軸Y0を中心として回転可能に接続されている。リクライニング駆動装置37(
図3参照)は、リクライニング機構47を駆動し、シートバック21をシートクッション19に対して回転させ、シートバック21をシートクッション19に対して後傾・起立させる。
【0098】
回転駆動装置39は、シート本体15をフロア13に対して回転させ、前方に向く状態と、後方に向く状態との間で変位させる。詳細には、
図2及び
図4(C)に示すように、シート本体15とフロア13との間に、回転機構49が設けられている。シート本体15が回転機構49を介してフロア13に接続されることによって、シート本体15はフロア13に対して上下方向(鉛直方向)に延びる鉛直軸Zを中心として回転可能となっている。回転駆動装置39(
図3参照)は、回転機構49を駆動し、鉛直軸Zを中心としてシート本体15を回転させる。
【0099】
チップアップ駆動装置41(チルトアップ駆動装置ともいう)は、シートクッション19を、座面19Aが略水平をなす位置(以下、水平位置)と、前端が後端よりも持ち上げられ、座面19Aがはね上げられた位置(以下、上昇位置。跳ね上げ位置ともいう)との間で変位させる。詳細には、
図2及び
図5(A)に示すように、シート本体15に、シートクッション19を、水平位置と上昇位置とに変位可能とするためのチップアップ機構51(チルトアップ機構ともいう)が設けられている。チップアップ駆動装置41は、チップアップ機構51を駆動し、シートクッション19を回転軸Y1回りに回転させることで、シートクッション19を水平位置と上昇位置との間で変位させる。
【0100】
本実施形態では、シートバック21の前面を着座者の体型に合わせて変形させる中折れ機構53(背凭れ面調節機構ともいう)が設けられている。
図2及び
図5(B)に示すように、中折れ機構53によって、シートバック21の上部前側が回転軸Y2を中心に回転し、傾倒可能に構成されている。すなわち、中折れ機構53によって、シートバック21の上部前面は、略上下方向に沿う初期位置と、上部前面が前方に傾斜する前傾位置とに変位自在となっている。シート本体15には、中折れ機構53を駆動するための中折れ駆動装置55が設けられている。
【0101】
その他、シート本体15にオットマン25が設けられているときには、オットマン25は上端において、オットマン駆動機構57を介して、左右方向に延びる軸線を中心とする回転可能にシートクッション19の前端に接続されていてもよい。このとき、
図5(C)に示すように、駆動ユニット17は、オットマン25をシートクッション19に対して回転させるオットマン駆動装置59を含んでいてもよい。
【0102】
図3に示すように、センサ5は、車室11内の画像取得や、測距を行うことにより、乗物用シート3それぞれの周辺に位置する物体に係る情報を検出し、制御装置9に出力する。
【0103】
図2に示すように、センサ5は車室11内を撮像するカメラ61(車内カメラ)によって構成されていてもよい。その場合には、カメラ61は車室11の上縁を画定する天井の左前縁、右前縁、左後縁、及び、右後縁において、それぞれ車室11側を向くように配置されているとよい。天井の左前縁に位置するカメラ61の撮像範囲は左前席を構成するシート本体15の移動範囲を網羅するように設定され、天井の右前縁に位置するカメラ61の撮像範囲は右前席を構成するシート本体15の移動範囲を網羅するように設定されているとよい。天井の左後縁に位置するカメラ61の撮像範囲は左後席を構成するシート本体15の移動範囲を網羅するように設定され、天井の右後縁に位置するカメラ61の撮像範囲は右後席を構成するシート本体15の移動範囲を網羅するように設定されているとよい。カメラ61はそれぞれ、CMOSイメージセンサによって構成されたものであってよい。カメラ61は複数の撮像素子を含む複眼カメラによって構成され、ステレオ計測や光切断法といった三角測量に基づく距離撮像が可能であることが好ましい。
【0104】
センサ5はその他、シート本体15に設けられた測距センサ63によって構成されていてもよい。測距センサ63は光源と検出器とを含み、光源から発せられた光が検出器に到達するまでの時間を取得することにより測距を行うToF(Time of Flight)センサ5モジュールによって構成されていてもよい。センサ5は、例えば、シートクッション19の外周面に沿って配置されていてもよく、また、ヘッドレスト23の適所に設けられていてもよい。その他、センサ5は、ドアパネル64(
図1参照)やフロア13において、前後に並ぶように配設されていてもよい。
【0105】
図3に示すように、その他、センサ5はスライド駆動装置35、リクライニング駆動装置37、回転駆動装置39、チップアップ駆動装置41、中折れ駆動装置55及びオットマン駆動装置59にそれぞれ設けられ、対応する駆動ユニット17の駆動量を取得する駆動量センサ65によって構成されていてもよい。
図2(B)にはスライド駆動装置35の駆動量を検出する駆動量センサ65が例示されている。
【0106】
報知装置7は車室11内に向けて音や画面表示により報知を行う。
図2(A)に示すように、報知装置7は車室11内に向けて音を発するスピーカ67であってもよく、また、車室11内に設けられ、画面表示を行うディスプレイ69であってもよい。スピーカ67はドアパネル64に設けられていてもよく、また、ヘッドレスト23に設けられていてもよい。
【0107】
制御装置9はいわゆる電子制御ユニット(Electronic Control Unit)であって、センサ5によって取得された情報に基づいて乗物用シート3を制御する。
図3に示すように、制御装置9は、CPU(中央演算処理装置)等によって構成されたプロセッサ71、RAM73(ランダムアクセスメモリ)やROM75(リードオンリーメモリ)等のメモリ77、SSD(ソリッドステートドライブ)やHDD(ハードディスクドライブ)等の記憶装置79を備えたコンピュータによって構成されている。制御装置9はセンサ5及び駆動ユニット17に信号線によって接続されている。駆動ユニット17及び制御装置9は車両に搭載されたバッテリ(不図示)に接続され、それぞれに対して電力が供給されている。制御装置9は、センサ5によって取得された情報に基づいて、乗物用シート3それぞれのシート本体15の前後位置や、シートバック21の位置及び姿勢、シートクッション19の位置及び姿勢等のシート本体15に係る情報を取得可能に構成されている。
【0108】
制御装置9は、所定の切り替えを指示する指示信号を受信したときに、指示信号に応じて、乗物用シート3を駆動させて、シート本体15の姿勢を選択的に変更する。例えば、制御装置9は、駆動ユニット17を制御することにより、前席のシート本体15及び後席のシート本体15がそれぞれ前方を向く通常モード(
図1及び
図2(B)参照)と、前席のシート本体15が前方を向き、後席のシート本体15が後方を向くリラックスモード(
図7(A)参照)とに、変更することができる。指示信号は、例えば、インスツルメントパネルやディスプレイ69に対する入力に基づいて、車両の制御を行う車両制御装置から送信されるものであってよい。指示信号はその他、車両を自律走行させることのできる車両制御装置から、手動運転と自動運転との間の切り替え時に送信されるものであってよい。
【0109】
制御装置9(詳細には、プロセッサ71)は、所定の指示信号を受信したとき、切り替えプログラムを実行することにより、駆動ユニット17それぞれを制御し、リラックスモードから通常モードへの切り替え処理を行う。制御装置9は切り替え処理を行うための制御プログラムを実行し、フロア13上に載置された複数のシート本体15を鉛直軸Zの回りに回転させるための乗物用シート3の制御方法を実施する。
【0110】
以下、切り替え処理の詳細について、
図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0111】
制御装置9は、切り替え処理の最初のステップST1において、センサ5によって取得したシート本体15それぞれの周辺に位置する物体の情報に基づき、全てのシート本体15の位置及び姿勢を取得する。その後、シート本体15は、前席のシート本体15に衝突することなく、後席のシート本体15が回転可能かを判定する。回転可能であると判定したときには、制御装置9はステップST2を実行し、回転できないと判定したときには制御装置9はステップST3を実行する。
【0112】
制御装置9は、ステップST2において、後席のシート本体15の回転駆動装置39を駆動させて、後席のシート本体15を、それぞれが前方を向く位置になるまで回転させる。換言すれば、制御装置9は、ステップST2において、回転駆動装置39の駆動を許可し、回転駆動装置39に後席のシート本体15をそれぞれが前方を向く位置になるまで回転させる。後席のシート本体15がそれぞれ前方を向き位置になると、制御装置9はステップST4を実行する。
【0113】
制御装置9は、ステップST3において、センサ5によって取得したシート本体15それぞれの周辺に位置する物体の情報に基づき、回転時に後席のシート本体15のシートクッション19が周辺に位置する物体に衝突するかを判定する。衝突するときには制御装置9はステップST5を、衝突しないときに制御装置9はステップST6をそれぞれ実行する。
【0114】
制御装置9は、ステップST4において、全てのシート本体15の位置及び姿勢を取得し、駆動ユニット17を駆動させることによって、それぞれのシート本体15の位置及び姿勢が着座に適切な位置及び姿勢(以下、着座位置)となるように調整する。調整が完了すると、制御装置9は、切り替え処理を終える。
【0115】
制御装置9は、ステップST5において、チップアップ駆動装置41を駆動させて、後席のシート本体15のシートクッション19をそれぞれ、水平位置から上昇位置に変位させる。上昇位置への変位が完了すると、制御装置9はステップST6を実行する。
【0116】
制御装置9は、ステップST6において、センサ5によって取得したシート本体15それぞれの周辺に位置する物体の情報に基づき、回転時に後席のシート本体15のシートバック21が周辺に位置する物体に衝突するかを判定する。制御装置9はステップST6において、センサ5の検出結果を新たに取得し、物体に衝突するかを判定するとよい。衝突するときには制御装置9はステップST7を、衝突しないときに制御装置9はステップST8それぞれ実行する。
【0117】
制御装置9は、ステップST7において、リクライニング駆動装置37を駆動させて、前席のシート本体15のシートバック21と、後席のシート本体15のシートバック21とをそれぞれ起立させる。全てのシートバック21の起立が完了すると、制御装置9はステップST8を実行する。
【0118】
制御装置9は、ステップST8において、センサ5によって取得したシート本体15それぞれの周辺に位置する物体の情報に基づき、前席のシート本体15を車両前方に、後席のシート本体15を車両後方にそれぞれスライド移動させることによって、後席のシート本体15の鉛直軸Z回りの回転が可能となるかを判定する。制御装置9はステップST8において、センサ5の検出結果を新たに取得し、回転が可能となるかを判定するとよい。スライド移動によって回転可能となるときには、制御装置9はステップST9を、スライド移動によっても回転可能とならない場合には、制御装置9はステップST10をそれぞれ実行する。
【0119】
制御装置9は、ステップST9において、スライド駆動装置35を駆動させて、前席のシート本体15と、後席のシート本体15とをそれぞれ後席のシート本体15が鉛直軸Z回りに回転可能となる位置に移動させる。制御装置9は、このとき、例えば、前席のシート本体15を車両前方に移動させ、後席のシート本体15を車両後方に移動させるとよい。
【0120】
制御装置9は前席のシート本体15と後席のシート本体15との移動が完了すると、制御装置9はステップST2を実行する。
【0121】
但し、制御装置9は、ステップST8において、センサ5によって取得したシート本体15それぞれの周辺に位置する物体の情報に基づき、前席及び後席のシート本体15をスライド移動させることなく、後席のシート本体15を回転させることができる場合には、ステップST9において制御装置9はスライド駆動装置35を駆動させることなく、ステップST2を実行してもよい。
【0122】
制御装置9はステップST10において、報知装置7によってリラックスモードから通常モードへの切り替えが不可能である旨の報知を行う。報知装置7がスピーカ67を含むときには、制御装置9はステップST10においてスピーカ67から切り替えが不可能であることを通知する音を発生させてもよい。報知装置7がディスプレイ69を含むときには、制御装置9はステップST10においてディスプレイ69に切り替えが不可能であることを通知する表示を行わせてもよい。報知が完了すると、制御装置9は切り替え処理を終える。
【0123】
次に、このように構成したシートシステム1の動作について説明する。
【0124】
以下では前席のシート本体15と後席のシート本体15とが互い近接しており、後席のシート本体15の回転に、シートクッション19のチップアップ(跳ね上げ)と、シートバック21の起立と、スライド移動とが全て必要となる場合を例示して説明する。
【0125】
制御装置9は、リラックスモード(
図7(A))から通常モード(
図8(C)参照)への切り替えを指示する指示信号を受信すると、切り替え処理を開始する。
【0126】
制御装置9は切り替え処理の最初のステップST1において、センサ5によって取得した情報に基づいて後席のシート本体15が回転可能であるかを判定する。回転可能である場合には(ST1においてNo)、制御装置9は後席のシート本体15を回転させる(ST2)。
【0127】
制御装置9はステップST1において、後席のシート本体15が回転不能であると判定(ST1においてNo)し、回転時にシートクッション19が衝突すると判定する(ST3においてYes)。これにより、制御装置9は、
図7(B)に示すように、後席のシート本体15に設けられたチップアップ駆動装置41を駆動し、シートクッション19を上昇位置に変位させる(ST5)。
【0128】
後席のシートクッション19が上昇位置となると、制御装置9はなお、回転時に前席のシートバック21と、後席のシートバック21とが衝突すると判定し(ST6においてYes)、
図7(C)に示すように、前席及び後席のリクライニング駆動装置37を駆動させて、それぞれのシートバック21を起立させる(ST7)。
【0129】
シートバック21を起立させた後、制御装置9は、前席及び/又は後席をスライド移動させることにより、後席の回転が可能となるかを判定し(ST8)、回転が可能となるときには、
図8(A)に示すように、前席及び後席のシート本体15をそれぞれ互いに離れるようにスライド移動させる(ST9)。
【0130】
その後、制御装置9は、
図8(B)に示すように、後席のシート本体15の回転を許可し、回転駆動装置39に後席のシート本体15を回転させる(ST2)。その後、制御装置9は、
図8(C)に示すように、前席及び後席のシート本体15をそれぞれ着座に適した位置や姿勢になるように調整し(ST4)、切り替え処理を終える。
【0131】
次に、このように構成したシートシステム1の効果について説明する。
【0132】
制御装置9はセンサ5によって取得された情報に基づいて、シート本体15の回転が可能であるかを判定し、回転が可能であると判定したときに、シート本体15の回転が許可される。そのため、回転時に、周辺に位置する物体(例えば、前席のシート本体15)等に後席のシート本体15が衝突することが防止できる。
【0133】
前席のシート本体15と後席のシート本体15とが互い近接しているとき、制御装置9は必要に応じて後席のシートクッション19を跳ね上げて上昇位置に移動させる(ST5)。一方、シートクッション19が上昇位置にある場合には、上昇位置にない場合に比べて、シートクッション19が鉛直軸Zに近接するため、後席のシート本体15の回転半径を小さくすることができる。よって、回転時に後席のシート本体15が周辺の物体に衝突し難くなる。
【0134】
また、前席のシート本体15と後席のシート本体15とが互い近接しているとき、制御装置9は必要に応じて、前席及び後席それぞれのリクライニング駆動装置37にシートバック21をシートクッション19に対して回転させ、前席及び後席のシートバック21を起立位置に移動させる。これにより、前席のシート本体15と後席のシート本体15とが近接し難くなるとともに、後席のシートバック21が鉛直軸Zに近接するため、後席のシート本体15の回転半径を小さくすることができる。よって、回転時に後席のシート本体15が周辺の物体に衝突し難くなる。
【0135】
また、前席のシート本体15と後席のシート本体15とが互い近接しているとき、制御装置9は必要に応じて、前席及び後席のシート本体15を互いに避けた位置に移動させる。これにより、前席のシート本体15と後席のシート本体15とをそれぞれ、周辺に位置するシート本体15から離れた衝突し難い位置に移動させることができるため、回転時に後席のシート本体15が他のシート本体15に衝突し難くなる。
【0136】
<変形例1>
また、制御装置9は、ステップST9におけるシート本体15のスライド駆動装置35による移動が完了する前に、ステップST2を実行し、回転駆動装置39によるシート本体15の回転を開始するように構成されていてもよい。これにより、後席のシート本体15が鉛直軸Z回りに回転された状態となるまでの時間を短縮することができる。
【0137】
<変形例2>
また、制御装置9は、ステップST7におけるシートバック21のリクライニング駆動装置37による起立が完了する前に、ステップST2を実行し、回転駆動装置39によるシート本体15の回転を開始するように構成されていてもよい。例えば、制御装置9は、リクライニング駆動装置37による起立が完了する前に、ステップST8を実行し、スライド駆動装置35を駆動することなく、回転駆動装置39による後席のシート本体15の回転が回転であるときに、ステップST2の実行を開始するとよい。これにより、後席のシート本体15が鉛直軸Z回りに回転された状態となるまでの時間を短縮することができる。
【0138】
<変形例3>
また、制御装置9は、ST5におけるチップアップ駆動装置41によるシートクッション19の回転が完了する前に、ステップST2を実行し、回転駆動装置39によるシート本体15の回転を開始するように構成されていてもよい。例えば、制御装置9は、チップアップ駆動装置41による回転が完了する前に、ステップST6においてシートバック21が衝突しないと判定し、且つ、ST8においてスライドすることなく後席のシート本体15が回転可能であると判定したときに、ステップST2を実行し、回転駆動装置39によるシート本体15の回転を開始するとよい。これにより、後席のシート本体15が鉛直軸Z回りに回転された状態となるまでの時間を短縮することができる。
【0139】
<変形例4>
制御装置9は、ステップST4において、前席及び後席のシート本体15の前後位置をそれぞれ、切り替え処理が開始される前の位置(初期位置)に戻すように構成されていてもよい。その他、制御装置9は、ステップST4において、前席及び後席のリクライニング角度を、切り替え処理が開始される前の角度(初期リクライニング角度、単に初期角度ともいう)に戻すように構成されていてもよい。その他、制御装置9は、ステップST4において、後席のシートクッション19の跳ね上げ角度を、切り替え処理が開始される前の角度(初期跳ね上げ角度。単に初期角度ともいう)に戻すように構成されていてもよい。
【0140】
このように構成した場合には、シート本体15の回転が完了したときに、着座者が着座可能となるとともに、前席及び後席のシート本体15の位置や姿勢が着座者の好みに即した位置となる。
【0141】
その他、ステップST4の着座位置等の調整は、シート本体15の鉛直軸Z回りの回転が完了する前に開始されてもよい。これにより、シート本体15の変位が完了するまでの時間を短縮することができる。
【0142】
<シート本体15の構造>
次に、シート本体15の構造の詳細について、車両右側に位置するシート本体15を例示して、図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両左側に位置するシート本体15と、車両右側に位置するシート本体15とは、車両の中心を通過し、前後方向に延びる線を中心として左右対称をなすように構成されている。以下、例示して説明する車両右側に位置するシート本体15においては、シート左側が車内側、シート右側が車外側に対応する。
【0143】
図9に示すように、シート本体15は、シートクッション19の骨組みを構成するクッションフレーム101と、シートバック21の骨組みを構成するバックフレーム103と、ヘッドレスト23の骨組みを構成するヘッドレストフレーム(不図示)と、を有している。
【0144】
<クッションフレーム101>
図10に示すように、クッションフレーム101は前後方向に延在する左右一対のクッションサイドフレーム105と、左右一対のクッションサイドフレーム105の間に配置された座部フレーム107と、を有している。座部フレーム107は、クッションパッド(図示省略)を下方から支持する。クッションフレーム101にはその他、左右方向に延在し、左右のサイドフレームの中央部分を接続するフレーム(メンバともいう)等が設けられていてもよい。
【0145】
本実施形態では、クッションサイドフレーム105は前後に延在するように設けられた内側サイドフレーム109と、内側サイドフレーム109に対してシート外側に設けられ、前後に延在する外側サイドフレーム111とを備えている。内側サイドフレーム109と外側サイドフレーム111とはそれぞれ板金部材によって構成されている。内側サイドフレーム109と外側サイドフレーム111とは少なくとも一部において結合され、部分的に閉断面113を構成するとよい。このように、サイドフレームを内側サイドフレーム109と外側サイドフレーム111との2つの板金部材によって構成することで、内側サイドフレーム109のみや、外側サイドフレーム111のみでクッションサイドフレーム105を構成した場合に比べて、クッションサイドフレーム105の剛性が高められる。
【0146】
座部フレーム107にはオットマン25の骨格を構成するオットマンフレーム115が設けられている。オットマンフレーム115は略前方を向く面を有する板状をなしている。座部フレーム107には金属製の線状部材117が溶接され、その線状部材117にオットマンフレーム115がブラケット119を介して結合されている。これにより、オットマンフレーム115は座部フレーム107に固定されている。線状部材117は中実の部材(ワイヤ)によって構成されていてもよく、また、中空の部材(パイプ)によって構成されていてもよい。
【0147】
クッションフレーム101は、フロア13にスライド機構45、回転機構49を介して支持されている。
【0148】
<スライド機構45・スライド駆動装置35>
スライド機構45は左右一対のスライドレール121によって構成されている。スライドレール121はそれぞれ、フロア13に対してブラケット123を介して固定され、前後に延在するロアレール125と、ロアレール125に摺動可能に接続されたアッパレール127とを備えている。アッパレール127がロアレール125に対してスライド移動することによって、クッションフレーム101は前後方向にスライド移動可能となっている。
【0149】
スライド駆動装置35は、公知の電動モータ(不図示)と、電動モータからの出力をロアレール125に対するアッパレール127のスライド移動に変換するための公知の変換機構(不図示)とを備えている。電動モータは電流が流れる方向に応じて、正転・逆転可能に構成されている。
【0150】
2つのアッパレール127の上面には左右に延在し、2つのアッパレール127を接続するベース部材129が設けられている。
【0151】
<回転機構49・回転駆動装置39>
回転機構49は、ベース部材129に回転可能に支持された回転部材131(回転デバイス)を備えている。本実施形態では、ベース部材129の上面に円環状の凹部(不図示)が設けられている。ベース部材129の凹部にはボール(不図示)が周方向に並ぶように配置されている。
【0152】
回転部材131は凹部に沿って延在する円環状をなしている。回転部材131はそのボールを介してベース部材129に支持されている。これにより、ボールが凹部に沿って転動することによって、回転部材131は凹部の軸線を中心とする回転可能にベース材に支持される。回転部材131には、上下方向を向く面を有する連結部材133が固定されている。
【0153】
回転駆動装置39は、電動モータ(不図示)と、電動モータからの出力を回転部材131のベース部材129に対する回転に変換するための公知の変換機構(不図示)とを備えている。電動モータは電流が流れる方向に応じて、正転・逆転可能に構成されている。
【0154】
<チップアップ機構51・チップアップ駆動装置41>
座部フレーム107はチップアップ機構51を介してクッションサイドフレーム105に結合されている。チップアップ機構51は左右一対の連結ブラケット141を含む。
【0155】
連結ブラケット141はそれぞれ一端において対応するクッションサイドフレーム105に左右に延びる回転軸Y1を中心として回転可能に結合されている。本実施形態では、連結ブラケット141は内側サイドフレーム109に対してシート内側に配置され、その一端において内側サイドフレーム109に回転可能に結合されている。
【0156】
連結ブラケット141は他端において座部フレーム107に固定されている。本実施形態では、連結ブラケット141は他端において線状部材117に固定され、線状部材117を介して座部フレーム107に固定されている。
【0157】
連結ブラケット141を回転軸Y1回りに回転させることによって、座部フレーム107は上方を向く面を有し、パッド部材を下方から支持する支持位置と、前方側が後方側に対し上方に押し上げられた押上位置との間で変位する。
【0158】
チップアップ駆動装置41は電動モータ143と、電動モータ143の動力により、連結ブラケット141を回転させる動力伝達装置145とを備えている。
【0159】
電動モータ143及び動力伝達装置145はそれぞれ座部フレーム107の下方に配置されている。これにより、乗物用シート3をコンパクトに構成することができる。また、電動モータ143及び動力伝達装置145は、回転部材131の上方に配置されている。これにより、回転機構49と、チップアップ機構51とを乗物用シート3に設けることができる。
【0160】
動力伝達装置145は、ロッド147と、電動モータ143の回転駆動力をロッド147に伝達するための複数のギヤ(不図示)と、ギヤを収容するギヤボックス149とを備えている。
【0161】
ロッド147は棒状をなし、前後方向に延在するように配置されている。ロッド147は一端側において連結ブラケット141の一方に結合されている。具体的には、ロッド147は一端側において左側の連結ブラケット141の下端部に枢支されている。詳細には、ロッド147と左側の連結ブラケット141との連結位置Pは、連結ブラケット141とクッションサイドフレーム105との回転軸Y1とは異なる位置に設定されている。詳細には、ロッド147と左側の連結ブラケット141との連結位置Pは、連結ブラケット141とクッションサイドフレーム105との回転軸Y1に対して、下方且つ前方に設定されている。ギヤボックス149の適所には、ロッド147の他端側が挿通されるロッド挿通穴(不図示)が設けられている。
【0162】
ギヤボックス149内のギヤは互いに噛合い、協働して、電動モータ143の動力をロッド147の略前後方向の往復運動に変換する。動力伝達装置145はギヤとして、モータの回転軸から回転駆動力が入力される入力ギヤと、ギヤボックス149に挿通されたロッド147のネジ溝と噛み合う出力ギヤと、入力ギヤに入力された回転駆動力を減速して出力ギヤに伝達する伝達ギヤを有している。
【0163】
座部フレーム107が支持位置にあるときに、電動モータ143の回転軸(駆動軸)が第1方向に回転駆動すると、入力ギヤが回転し、入力ギヤの回転によって、出力ギヤが回転する。これにより、ロッド147は、回転しながら略前方にスライド移動する。ロッド147の略前方へのスライド移動によって、左側の連結ブラケット141の下端部が前方に移動するように、シート内側から見て反時計回りに回転する。左右の連結ブラケット141がともにクッションフレーム101に接続されているため、左側の連結ブラケット141の回転に伴い、右側の連結ブラケット141も回転する。これにより、座部フレーム107は支持位置から押上位置に移動し、シートクッション19は、座面19Aが略水平をなす位置(水平位置)から、前端が後端よりも持ち上げられ、座面19Aがはね上げられた位置(上昇位置)に変位する。
【0164】
座部フレーム107が押上位置にあるときに、電動モータ143の回転軸が第1方向とは逆の第2方向に回転駆動すると、ロッド147は、回転しながら略後方にスライド移動し、左側の連結ブラケット141の下端部が後方に移動するように回転する。左側の連結ブラケット141の回転に伴い、右側の連結ブラケット141も回転して、座部フレーム107は押上位置から支持位置に移動する。これにより、シートクッション19は、上昇位置から水平位置に変位する。
【0165】
このように、チップアップ駆動装置41(チップアップアクチュエータともいう)が電動モータ143と、ロッド147、ギヤ及びギヤボックス149を含む動力伝達装置145とによって構成されることによって、シートクッション19をチップアップ(跳ね上げる)ためのチップアップ駆動装置41を簡素に構成することができる。
【0166】
<バックフレーム103>
次に、シートバック21を構成するバックフレーム103の構成について詳細に説明する。バックフレーム103はシートバック21の縁形状を形成するメインフレーム161と、バックフレーム103の上半部に設けられた可動フレーム163とを有している。
【0167】
メインフレーム161は、上下に延在する左右一対のバックサイドフレーム165と、バックサイドフレーム165の上部を互いに接続するアッパフレーム167と、バックサイドフレーム165の下部を互いに接続するロアフレーム169とを有している。バックサイドフレーム165の下部は、クッションサイドフレーム105の後部にリクライニング機構47を介して左右方向に延びる回転可能に接続されている。
【0168】
可動フレーム163は、左右一対の可動サイドフレーム171と、可動サイドフレーム171の上端部を接続する可動アッパフレーム173とを備えている。可動サイドフレーム171は上部を構成する上部サイドフレーム175と、上部サイドフレーム175の下部に結合された取付フレーム177とによって構成されていてもよい。本実施形態では、可動アッパフレーム173にヘッドレスト23のピラーがそれぞれ挿入される左右一対のピラーガイド178が設けられている。
【0169】
可動サイドフレーム171のシート外側の外面には保形部材179が設けられている。保形部材179は中実のワイヤによって構成されている。保形部材179を構成するワイヤは一端において可動サイドフレーム171の外面に溶接され、シート外方に延び、更に、下方に延びた後、シート内方に延びて可動サイドフレーム171の前面に溶接されている。本実施形態では保形部材179は中実のワイヤによって構成されていたが、中空のパイプ材によって構成されていてもよい。
【0170】
<中折れ機構53・中折れ駆動装置55>
中折れ機構53は可動フレーム163とメインフレーム161との間に設けられ、可動フレーム163をメインフレーム161に対して左右方向に延びる軸線を中心とした回転可能に接続する。中折れ機構53は、可動サイドフレーム171の下部と、バックサイドフレーム165の上下方向中央部分とを回転可能に連結する連結部181と、可動サイドフレーム171の回転範囲を規制する規制機構183とを含むとよい。
【0171】
シートバック21の上部前面が略上下方向に沿う初期位置にあるときには、可動サイドフレーム171の前面は概ねバックサイドフレーム165の前面に対して前後方向に揃うように構成されている。
【0172】
中折れ駆動装置55は、可動フレーム163をメインフレーム161に対して回動させる。中折れ駆動装置55は電動モータ185と、電動モータ185の出力を可動フレーム163の回転に変換する変換機構187とを備えている。
【0173】
中折れ駆動装置55はバックフレーム103の左右一方側にのみ設けられている。そのため、中折れ駆動装置55をバックフレーム103の左右両側に設けた場合に比べて、電動モータ185や変換機構187の数を少なくすることができる。
【0174】
電動モータ185は電流が流れる方向に応じて、正転・逆転可能に構成されている。電動モータ185はバックサイドフレーム165に固定されている。本実施形態では、電動モータ185は、その回転軸(駆動軸)が下方に延びるように配置されて、バックサイドフレーム165にモータブラケット189を介して、バックサイドフレーム165に固定されている。モータブラケット189はバックサイドフレーム165のシート内方において間隔をおいて配置され、カラー等を介してバックサイドフレーム165に結合されているとよい。
【0175】
電動モータ185は、左側の可動サイドフレーム171と、左側のバックサイドフレーム165との間に配置されている。これにより、電動モータ185は可動サイドフレーム171にシート外側に配置されるため、可動サイドフレーム171のシート内側に電動モータ185を配置した場合と比べて、シートバック21に凭れかかった着座者が違和感(異物感)を覚えることを防止することができる。
【0176】
シートバック21の上部前面が初期位置及び前傾位置のいずれの位置にあるときにも、電動モータ185は保形部材179(詳細には、保形部材179を構成するワイヤ)の後方に位置している。これにより、着座した乗員の荷重が電動モータ185に加わることを防止することができる。
【0177】
変換機構187は、電動モータ185の回転軸の回転をシート内方に突出する軸部191(
図11参照)の回転に変換する変換ボックス193と、軸部191に同軸をなすように固定され、軸部191とともに回転するピニオンギヤ195と、ピニオンギヤ195に噛合うセクタギヤ197とを有している。
【0178】
変換ボックス193は複数のギヤと、ギヤを収容するギヤボックス194と有し、軸部191はギヤボックス194に回転可能に支持されている。軸部191は変換ボックス193に収容されたギヤを介して電動モータ185に接続され、電動モータ185の駆動によって回転する。電動モータ185及び変換ボックス193はそれぞれ締結具193A(ボルトなど)によって、軸部191がシート内方に突出するようにバックサイドフレーム165に固定されている。本実施形態では、変換ボックス193は左側のバックサイドフレーム165に固定されている。軸部191はモータブラケット189に設けられた貫通孔(不図示)を介して、モータブラケット189に対してシート内側(右側。
図11の紙面裏側)に突出している。ピニオンギヤ195は軸部191に結合されている。
【0179】
本実施形態では、
図12に示すように、モータブラケット189には支持ブラケット198が結合されている(
図9では、支持ブラケット198は省略されている)。支持ブラケット198は上下に延びる板金部材によって構成されている。支持ブラケット198は上部において、ピニオンギヤ195及びセクタギヤ197の上方にて支持ブラケット198のシート内側の側面に溶接されている。支持ブラケット198は下部において、ピニオンギヤ195及びセクタギヤ197に対してシート内方から対向している。ピニオンギヤ195は支持ブラケット198に枢支されている。これにより、支持ブラケット198及びモータブラケット189を介して、ピニオンギヤ195はバックサイドフレーム165に回転可能に支持される。
【0180】
図13に示すように、ピニオンギヤ195には軸部191の突端を受容する凹部195Aが設けられている。ピニオンギヤ195の凹部195Aに軸部191が突入することにより軸部191の突端と凹部195Aとが噛合う。これにより、軸部191とピニオンギヤ195とが結合し、軸部191の回転によってピニオンギヤ195が回転する。
【0181】
セクタギヤ197の一端にはシート内外方向に突出するギヤ支持軸201が設けられている。ギヤ支持軸201はモータブラケット189に設けられた貫通孔203(
図11参照)と、支持ブラケット198の下部198Aに設けられた貫通孔205(
図12参照)とに回転可能に受容されている。これにより、ギヤ支持軸201はモータブラケット189及び支持ブラケット198にシート内外方向から回転可能に支持される。モータブラケット189及び支持ブラケット198はともにバックサイドフレーム165に固定されているため、セクタギヤ197はバックサイドフレーム165に回転可能に結合される。
【0182】
図9に示すように、セクタギヤ197は他端において上部サイドフレーム175(詳細には、左側の上部サイドフレーム175)に複数のブラケット207(本実施形態では2つのブラケット207)を介して固定されている(
図12も参照)。これにより、セクタギヤ197は、ブラケット207と協働して、
図13に示すように、左側の可動サイドフレーム171の下端部分、すなわち、取付フレーム177を構成する。セクタギヤ197はピニオンギヤ195に設けられた歯(不図示)に噛合う歯197Aを備えている。
【0183】
図9の矢印に示すように、ピニオンギヤ195が回転するとセクタギヤ197はギヤ支持軸201の軸線を中心に回転する。セクタギヤ197は可動フレーム163に固定されているため、可動フレーム163もまたギヤ支持軸201の軸線を中心に回転し、可動フレーム163はメインフレーム161に対してギヤ支持軸201の軸線を中心に傾倒する。すなわち、ギヤ支持軸201の軸線が可動フレーム163とメインフレーム161との回転軸Y2に相当している。ギヤ支持軸201によって可動サイドフレーム171の下部と、バックサイドフレーム165の上下方向中央部分とを回転可能に連結する連結部181が構成される。また、セクタギヤ197は、電動モータ185の回転軸の回転に伴って回転し、可動フレーム163を傾倒させる係合部に相当する。
【0184】
図13に示すように、支持ブラケット198にはセクタギヤ197に向けて突出する突出部215が設けられている。セクタギヤ197には突出部215を受容する受容孔217が設けられている。支持ブラケット198はバックサイドフレーム165に、セクタギヤ197は可動フレーム163にそれぞれ固定されているため、突出部215が受容孔217に受容されることにより、セクタギヤ197の回転範囲を規制される。すなわち、突出部215と受容孔217とによって、規制機構183が構成されている。受容孔217の縁部にはセクタギヤ197の回転範囲の両端に位置する部分においてシート外側に向けて起立する突出壁217Aが設けられているとよい。突出壁217Aは受容孔217の縁部にはセクタギヤ197の回転範囲の両端に位置する部分の剛性を高めるとともに、突出部215が回転範囲の端部にあるときに、突出部215に当接する面を形成する。
【0185】
<その他>
図9に示すように、バックフレーム103にはシートベルトが挿通されるベルトガイドを設けるためのガイドブラケット221が設けられている。更に、バックフレーム103には、シートベルトの巻き取りを行うベルト巻き取り装置(不図示)を固定するための巻取装置用ブラケット223が取り付けられている。ベルト巻き取り装置は巻取装置用ブラケット223を介して、バックフレーム103に固定される。
【0186】
ガイドブラケット221はバックフレーム103の車外側上部(図中のシートでは右側上部)に設けられている。巻取装置用ブラケット223もまたバックフレーム103の車外側上部(図中のシートでは右側上部)に設けられている。中折れ機構53の電動モータ185及び変換機構187はバックフレーム103の車内側(図中のシートでは左側)の中央部に設けられている。このように、ともに重量が重いベルト関連部品(ガイドブラケット221)と、電動モータ185とが、左右に分けて配置されているため、バックフレーム103の重量の左右差を抑えることできる。
【0187】
次に、乗物用シート3、及び、シートシステム1の製造方法について説明する。
【0188】
乗物用シート3を製造する作業者は、シートクッション19の左右のクッションサイドフレーム105に連結部材133を取り付けるステップと、連結ブラケット141を左右のクッションサイドフレーム105に回動可能に取り付けるステップとを順に実行する。
【0189】
連結ブラケット141を左右のクッションサイドフレーム105に回動可能に取り付けるステップにおいて、作業者は、連結ブラケット141をクッションサイドフレーム105のうち、内側サイドフレーム109に回動可能に取り付ける。
【0190】
その後、作業者は、連結部材133に、電動モータ143、複数のギヤを備えたギヤボックス149、ロッド147等を備えたチップアップ駆動装置41を取り付けるステップを行う。このとき、作業者はチップアップ駆動装置41を座部フレーム107の下方に配置し、連結部材133に固定する。
【0191】
作業者はまた、バックフレーム103に中折れ駆動装置55を取り付けるステップを実行する。このとき、作業者は、電動モータ185の回転軸をギヤボックス149内のギヤ及びピニオンギヤ195を介して、セクタギヤ197に係合させる。これにより、電動モータ185の駆動によって、可動フレーム163は傾倒可能となる。
【0192】
その後、作業者は、シートバック21のメインフレーム161の車外側上部にガイドブラケット221を取り付け、シートバック21のメインフレーム161の車外側上部に巻取装置用ブラケット223を取り付けるステップを行う。ガイドブラケット221及び巻取装置用ブラケット223の取り付けが完了すると、作業者は、可動フレーム163にセクタギヤ197及び保形部材179を結合させるステップと、可動フレーム163をメインフレーム161に回転可能に取り付けるステップとを順に行う。
【0193】
次に、作業者は可動フレーム163とメインフレーム161との間に中折れ機構53の電動モータ185、変換ボックス193とを配置して、メインフレーム161に取り付けるステップを行う。このとき、作業者は電動モータ185を保形部材179の後方であって、車外側の可動サイドフレーム171と車外側のバックサイドフレーム165の間の空間内に配置し、バックサイドフレーム165のシート内側の側面に結合させる。これにより、電動モータ185はシートバック21のメインフレーム161の車内側であって、上下方向略中央部分に取り付けられる。また、このとき、作業者はピニオンギヤ195と可動フレーム163のセクタギヤ197とが係合するように、変換ボックス193をメインフレーム161に取り付ける。これにより、電動モータ185の回転駆動力がセクタギヤ197に伝えられ、可動フレーム163が電動モータ185の駆動によって傾倒する。
【0194】
その後、作業者は、パッド部材及び表皮材をクッションフレーム101及び、バックフレーム103にそれぞれ被せるステップを実行することによって、シート本体15を構成する。
【0195】
次に、作業者は、ベース部材129と、ベース部材129に設けられたボールと、ボールを介して回転可能に支持された回転部材131とを順に重ねた介在部材を用意するステップを実行する。その後、作業者は、その介在部材の下面(すなわち、ベース部材129の下面)に左右一対のロアレール125及びアッパレール127を備えたスライド機構45を結合させるステップを実行する。このとき、ロアレール125には、ロアレール125をフロア13に取り付けるためのフット(ブラケット)が設けられているとよい。
【0196】
次に、作業者は、介在部材の上面(すなわち、回転部材131の上面)に連結部材133を結合させることにより、シート本体15を介在部材に結合させるステップを実行する。このとき、回転部材131は連結部材133の下側に配置され、連結部材133の上面にチップアップ駆動装置41が設けられているため、チップアップ駆動装置41の電動モータ143は回転部材131の上方に配置される。その後、作業者はロアレール125をフロア13に固定することによって、シート本体15はフロア13に組付けられる。
【0197】
その後、作業者が車両の適所に設けられた制御装置9に、各種電動モータを接続することによって、シートシステム1が完成する。
【0198】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【0199】
上記実施形態では、シートシステム1において制御装置9が複数の乗物用シート3の制御を行うように構成されていたが、制御装置9はそれぞれの乗物用シート3に設けられて、対応する乗物用シート3を制御するように構成されていてもよい。制御装置9は互いに通信を行うことによって、対応する乗物用シート3を自律的に移動させるとよい。このとき、制御装置9はシート本体15を鉛直軸Z回りに回転させるときに、他の乗物用シート3のシート本体15と衝突すると判定したときには、対応する制御装置9に対して、衝突しない位置へのシート本体15の移動やシート本体15の変形を指示する指示信号を送信するとよい。
【符号の説明】
【0200】
1 :シートシステム
3 :乗物用シート
5 :センサ
9 :制御装置
13 :フロア
15 :シート本体
17 :駆動装置
19 :シートクッション
21 :シートバック
35 :スライド駆動装置
37 :リクライニング駆動装置
39 :回転駆動装置
41 :チップアップ駆動装置
Z :鉛直軸