(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022458
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】セミフレックスプリント回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20240208BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H05K3/00 N
H05K1/02 A
H05K3/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035147
(22)【出願日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】202210926097.3
(32)【優先日】2022-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523049177
【氏名又は名称】トライポッド (ウーシー) エレクトロニック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Tripod (WUXI) Electronic Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Tuan-Jie-Zhong Road, Xi-Shan-Kai-Fa-Qu(Industrial Park), WuXi City, Jiang Su Province 214101, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チェン ミン リュ
(72)【発明者】
【氏名】ハン-チン シィ
(72)【発明者】
【氏名】シュ ツ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン-チョ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ウ-チアン マ
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338BB19
5E338BB33
5E338BB47
5E338EE32
5E338EE33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】セミフレックスプリント回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】セミフレックスプリント回路基板の製造方法は、コア基板1を提供するステップと、コア基板の一方の側表面に突出し、内側にはコア基板に印刷領域が形成され、2つのレーザー切断凹溝の位置が印刷領域に対応する2つの金属バリア構造2及び凹んだ2つのレーザー切断凹溝3を形成するステップと、剥離可能な印刷インクIを印刷領域に印刷して、2つのレーザー切断凹溝内に充填するステップと、コア基板の側表面に貼合フィルム5及びコアプレート6を含むビルドアッププレート構造を圧接し、且つ、コア基板の他方の側表面にそれぞれ2つのレーザー切断凹溝に対応する2つのブラインドルーティング開口部F1を形成するステップと、コア基板の2つのブラインドルーティング開口部の間に位置する開蓋構造を取り外して、開蓋開口部を形成するステップと、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セミフレックスプリント回路基板の製造方法であって、
コア基板を提供するステップと、
前記コア基板の側表面に突出した2つの金属バリア構造及び凹んだ2つのレーザー切断凹溝を形成するステップであって、2つの前記金属バリア構造の内側には前記コア基板の前記側表面に印刷領域が形成され、2つの前記レーザー切断凹溝の位置は前記印刷領域に対応し、且つそれぞれ2つの前記金属バリア構造の内側に隣接する、ステップと、
剥離可能な印刷インクを前記コア基板の前記印刷領域に印刷し、且つ前記剥離可能な印刷インクを印刷中に2つの前記レーザー切断凹溝内に充填できるステップと、
前記コア基板の前記側表面にビルドアッププレート構造を圧接し、且つ前記コア基板の他方の側表面にブラインドルーティングによりそれぞれ2つの前記レーザー切断凹溝に対応する2つのブラインドルーティング開口部を形成するステップと、
前記コア基板の2つの前記ブラインドルーティング開口部の間に位置する開蓋構造を、2つの前記レーザー切断凹溝の位置から前記ビルドアッププレート構造と分離させて取り外して、開蓋開口部を形成するステップと、
前記開蓋開口部の底部の残留インクを除去するステップと、を含む、セミフレックスプリント回路基板の製造方法。
【請求項2】
2つの前記金属バリア構造は金属エッチング作業によって形成され、且つ2つの前記レーザー切断凹溝はレーザー切断作業によって形成され、各前記金属バリア構造の形状は矩形又は台形であり、且つ各前記金属バリア構造の幅は30ミクロン~600ミクロンであり、且つ高さは15ミクロン~300ミクロンである、請求項1に記載のセミフレックスプリント回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記ビルドアッププレート構造は貼合フィルム及びコアプレートを含み、且つ前記貼合フィルムは前記コア基板と前記コアプレートとの間に設置される、請求項1に記載のセミフレックスプリント回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記貼合フィルムの側表面は前記剥離可能な印刷インク及び2つの前記金属バリア構造に貼合され、2つの前記金属バリア構造の外側の隙間にさらに落ち込んで、前記コア基板に貼合され、且つ前記貼合フィルムの他方の側表面は前記コアプレートに貼合されて、前記コア基板と前記コアプレートとを貼合する、請求項3に記載のセミフレックスプリント回路基板の製造方法。
【請求項5】
2つの前記ブラインドルーティング開口部はブラインドルーティング作業によって形成され、前記ブラインドルーティング作業は、2つのブラインドルーティングミーリングカッターを用いてそれぞれ2つの前記レーザー切断凹溝の位置に位置合わせして、前記コア基板の前記他方の側表面からそれぞれ2つの前記レーザー切断凹溝の方向へブラインドルーティングを行うことであり、且つ各前記ブラインドルーティングミーリングカッターのブラインドルーティング範囲はブラインドルーティング範囲に対応する前記レーザー切断凹溝と部分的に重なり、前記レーザー切断凹溝内に充填された前記剥離可能な印刷インクを部分的に除去し、続いて、2つの前記ブラインドルーティングミーリングカッターを取り外して、前記コア基板に2つの前記ブラインドルーティング開口部を形成し、2つの前記ブラインドルーティング開口部のブラインドルーティング深さはいずれも前記コア基板の厚さよりも小さく、且つ2つの前記ブラインドルーティング開口部のブラインドルーティング範囲はいずれも2つの前記金属バリア構造をカバーしていない、請求項1に記載のセミフレックスプリント回路基板の製造方法。
【請求項6】
各前記ブラインドルーティングミーリングカッターは、対応する前記レーザー切断凹溝の中心線が前記印刷領域からわずかに外れた位置でブラインドルーティングを行う、請求項5に記載のセミフレックスプリント回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記開蓋構造は、一部の前記コア基板及び前記剥離可能な印刷インクを含み、且つ前記開蓋構造は、前記剥離可能な印刷インクが2つの前記レーザー切断凹溝の位置から前記ビルドアッププレート構造と分離されることにより、形状が前記開蓋構造と相補的な前記開蓋開口部を形成する、請求項1に記載のセミフレックスプリント回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記残留インクは、化学薬液で洗浄されて除去される、請求項1に記載のセミフレックスプリント回路基板の製造方法。
【請求項9】
各前記金属バリア構造の前記開蓋開口部に面している側壁は金属バリア側壁として定義され、且つ各前記レーザー切断凹溝の前記開蓋開口部に面している側壁はレーザー切断側壁として定義され、前記金属バリア側壁と前記レーザー切断側壁との間に120°~150°の夾角がある、請求項1に記載のセミフレックスプリント回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記夾角は130°~140°である、請求項9に記載のセミフレックスプリント回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路基板の製造方法に関し、特にセミフレックスプリント回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、回路基板の製造プロセスの開蓋作業後に、その開蓋開口部のエッジに剥離可能なインクが半硬化接着剤と混合するため、洗浄時に剥離可能なインクが剥がれにくいという問題がある可能性がある。また、従来技術では、開蓋開口部のエッジの角度はレーザーによる影響を受けるため、薬液交換の問題が引き起こされ、剥離可能なインクの剥離時間が長くなり、且つ剥離可能なインクが残留するリスクが存在するため、回路基板完成品の電気的特性に影響を与える可能性がある。
【0003】
従って、如何に回路基板の開蓋方法を提供して、上記欠陥を解消するかは、該プロジェクトが解決しようとする重要な課題の1つとなっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の欠陥に対してセミフレックスプリント回路基板の製造方法を提供することである。
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明が用いる1つの技術的解決手段としては、セミフレックスプリント回路基板の製造方法を提供し、コア基板を提供するステップと、前記コア基板の一方の側表面に突出した2つの金属バリア構造及び凹んだ2つのレーザー切断凹溝を形成するステップであって、2つの前記金属バリア構造の内側には前記コア基板の前記側表面に印刷領域が形成され、2つの前記レーザー切断凹溝の位置は前記印刷領域に対応し、且つそれぞれ2つの前記金属バリア構造の内側に隣接する、ステップと、剥離可能な印刷インクを前記コア基板の前記印刷領域に印刷し、且つ前記剥離可能な印刷インクを印刷中に2つの前記レーザー切断凹溝内に充填できるステップと、前記コア基板の前記側表面にビルドアッププレート構造を圧接し、且つ前記コア基板の他方の側表面にブラインドルーティングによりそれぞれ2つの前記レーザー切断凹溝に対応する2つのブラインドルーティング開口部を形成するステップと、前記コア基板の2つの前記ブラインドルーティング開口部の間に位置する開蓋構造を2つの前記レーザー切断凹溝の位置から前記ビルドアッププレート構造と分離させて取り外して、開蓋開口部を形成するステップと、前記開蓋開口部の底部の残留インクを除去するステップと、を含む。
【0006】
本発明は以下の有益な効果を有する。本発明が提供するセミフレックスプリント回路基板の製造方法は、「前記コア基板の一方の側表面に突出した2つの金属バリア構造及び凹んだ2つのレーザー切断凹溝を形成し、2つの前記金属バリア構造の内側には前記コア基板の前記側表面に印刷領域が形成され、2つの前記レーザー切断凹溝の位置は前記印刷領域に対応し、且つそれぞれ2つの前記金属バリア構造の内側に隣接し、剥離可能な印刷インクを前記コア基板の前記印刷領域に印刷し、且つ前記剥離可能な印刷インクを印刷中に2つの前記レーザー切断凹溝内に充填でき、前記コア基板の前記側表面にビルドアッププレート構造を圧接し、且つ前記コア基板の他方の側表面にブラインドルーティングによりそれぞれ2つの前記レーザー切断凹溝に対応する2つのブラインドルーティング開口部を形成し、前記コア基板の2つの前記ブラインドルーティング開口部の間に位置する開蓋構造を2つの前記レーザー切断凹溝の位置から前記ビルドアッププレート構造と分離させて取り外して、開蓋開口部を形成し、前記開蓋開口部の底部の残留インクを除去する」という技術的解決手段により、剥離可能な印刷インクが剥がれにくいという問題を解決し、剥離可能な印刷インクが残留する可能性を小さくすることができる。
【0007】
本発明の特徴及び技術内容をさらに理解できるために、以下の本発明に関する詳細な説明及び図面を参照するが、提供される図面は参照及び説明を提供するためのものに過ぎず、本発明を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS110の模式図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS120の模式図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS130の模式図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS140の模式図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS150の模式図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS160の模式図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS170の模式図である。
【
図8】
図8は
図7におけるVIII領域の部分拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、特定の具体的な実施例により本発明に開示されている実施形態を説明し、当業者は、本明細書に開示されている内容から本発明の利点及び効果を理解することができる。本発明は他の異なる具体的な実施例を通じて実施又は応用することができ、本明細書における様々な詳細に対しては、異なる観点及び応用に応じて、本発明の構想から逸脱することなく様々な修正や変更を行うことができる。また、予め説明し、本発明の図面は模式的なものに過ぎず、実際のサイズで描かれるものではない。以下の実施形態は本発明の関連する技術内容をさらに詳細に説明するが、開示されている内容は本発明の保護範囲を制限するためのものではない。
【0010】
本明細書では「第1」、「第2」、「第3」等の用語を使用して様々な部品や信号を説明する可能性があるが、これらの部品や信号はこれらの用語によって制限されるべきではないと理解すべきである。これらの用語は主に1つの部品と他の部品、又は1つの信号と他の信号とを区別するためのものである。また、本明細書に使用される用語「又は」は、実際の状況に応じて、関連するリスト項目のいずれか1つ又は複数の組み合わせを含む可能性があるべきである。
【0011】
[セミフレックスプリント回路基板の製造方法]
【0012】
図1~
図8に示すように、本発明の実施例は、ステップS110と、ステップS120と、ステップS130と、ステップS140と、ステップS150と、ステップS160と、ステップS170とを含むセミフレックスプリント回路基板の製造方法(method for manufacturing semi-flex printed circuit)を提供する。本実施例に記載される各ステップの順序及び実際の操作方式はニーズに応じて調整することができ、本実施例に記載されるものに限定されないと説明すべきである。
【0013】
本発明の実施例のセミフレックスプリント回路基板の製造方法は、各ステップの前、その途中、又はその後に追加の操作を提供することができ、且つ説明されるいくつかの操作は、方法のその他の実施形態を実現するために、置き換え、削除、又は再設定されてもよい。以下、
図1~
図8を参照してセミフレックスプリント回路基板の製造方法について説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS110の模式図である。前記ステップS110は、コア基板1(コアボードとも呼ばれ、core)を提供し、且つ前記コア基板1の2つの側表面にいずれも金属被覆層M(例えば、金属銅箔)を敷設することを含む。
【0015】
図2は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS120の模式図である。前記ステップS120は、金属エッチング作業を実施し、前記コア基板1の一方の側表面に突出した2つの金属バリア構造2(metal dam structure)及び金属回路パターン4を形成し、且つレーザー切断作業を実施し、前記コア基板1に前記側表面から凹んだ2つのレーザー切断凹溝3(laser cut groove)を形成することを含む。
【0016】
コア基板1には、前記2つの金属バリア構造2の内側に取り囲まれた印刷領域Rを形成する。前記2つのレーザー切断凹溝3はコア基板1の該側表面から凹んで形成され、前記2つのレーザー切断凹溝3の位置は印刷領域Rに対応し、且つそれぞれ2つの金属バリア構造2の内側に隣接して形成する。すなわち、前記コア基板1には、各金属バリア構造2の内側に、前記各金属バリア構造2の内側に隣接して設置されたレーザー切断凹溝3が形成される。ただし、
図2における2つの金属バリア構造2及び2つのレーザー切断凹溝3は、回路基板構造の横断面から見られるものである。
【0017】
回路基板構造の平面図から見ると、前記金属バリア構造2は、例えば、前記印刷領域Rを取り囲んで形成するための2つの長尺状のダムであってもよいが、本発明はこれに限定されず、前記金属バリア構造2は、例えば、前記印刷領域Rを取り囲んで形成するための連続した環状構造(図示せず)であってもよい。前記金属バリア構造2の構造設計が前記印刷領域Rを取り囲んで形成できれば、それは本発明の保護精神に適合し、本発明の保護範囲に属する。
【0018】
より具体的には、前記金属エッチング作業は、コア基板1の金属被覆層Mをエッチング(例えば、ウェットエッチング又はドライエッチング)し、前記金属被覆層Mの一部を除去して、前記コア基板1に前記2つの突出した金属バリア構造2を形成することである。
【0019】
ただし、前記金属被覆層Mの一部が除去された後、前記コア基板1に前記印刷領域R内に位置しない前記金属回路パターン4がさらに形成されるが、本発明はこれに限定されない。前記金属回路パターン4は電子部材を一体に接続し、プリント回路基板に必要な電気的特性を提供することに用いられる。また、前記金属バリア構造2は単にバリア機能を有する構造であってもよいが、例えば電気的接続機能を同時に有する別の金属回路パターンであってもよい。
【0020】
また、前記各金属バリア構造4では、前記金属バリア構造4の材質は銅金属であり、且つ前記金属バリア構造4の横断面は、略矩形(例えば、
図2)又は台形(図示せず)である。前記金属バリア構造4の幅Wは30ミクロン~600ミクロンであり、好ましくは30ミクロン~175ミクロンであり、特に好ましくは50ミクロン~155ミクロンである。前記金属バリア構造4の高さHは15ミクロン~300ミクロンであり、好ましくは17.5ミクロン~280ミクロンである。
【0021】
前記レーザー切断作業はレーザー切断機(例えば、PCBレーザー切断機)を用いて、前記コア基板1をレーザー切断して、一部の前記コア基板1の材料を除去することにより、前記コア基板1に凹んだ2つのレーザー切断凹溝3を形成することである。本実施例では、前記各レーザー切断凹溝3の形状はすべて略V字形であるが、本発明はこれに限定されない。また、前記各レーザー切断凹溝3の深さは製品の設計ニーズに応じて調整することができる。
【0022】
図3は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS130の模式図である。前記ステップS130は、印刷作業を実施し、剥離可能な印刷インクIを該コア基板1の2つの金属バリア構造2の内側の印刷領域R内に印刷し、且つ前記剥離可能な印刷インクIを印刷中に2つのレーザー切断凹溝3内にさらに充填できることを含む。
【0023】
本発明の実施例のセミフレックスプリント回路基板の製造方法は、金属バリア構造2及びレーザー切断凹溝3の設計により、剥離可能な印刷インクIが印刷中に溢れ出すことを回避でき、且つ剥離可能な印刷インクIの後続の剥離作業での剥離効率及び除去効果を向上させるのを支援できる。
【0024】
より具体的には、前記金属バリア構造2は、剥離可能な印刷インクIが印刷中に溢れ出すことを回避でき、且つ前記剥離可能な印刷インクIが印刷中にレーザー切断凹溝3内に充填されることは、剥離可能な印刷インクIが金属バリア構造2の位置から溢れ出すことを回避するのを支援できる。また、前記レーザー切断凹溝3は、剥離可能な印刷インクIの後続の剥離効率及び除去効果を支援できる。
【0025】
材料の種類について、前記剥離可能な印刷インクIは例えばPCBで一般的に使用される剥離可能なインク、ゴールドフィンガー保護インク、電気めっき防止インク、PI又はPFG等であってもよいが、分離を支援できる材料に限定されない。また、前記ステップS130は、前記剥離可能な印刷インクIを陰干し又は焼付して、前記剥離可能な印刷インクIを硬化状態にさせて、後続の剥離作業を容易にすることをさらに含む。
【0026】
図4は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS140の模式図である。前記ステップS140は、圧接作業を実施し、前記コア基板1の金属バリア構造2が設置された側表面にビルドアッププレート構造を圧接し、且つブラインドルーティング作業を実施し、ブラインドルーティング成形機を用いて、前記コア基板1の他方の側表面に対してブラインドルーティングを行うことを含む。
【0027】
前記ビルドアッププレート構造は貼合フィルム5(例えば、PP接着剤、プリプレグとも呼ばれる)及びコアプレート6(例えば、他層のコアボードcore)を含む。前記貼合フィルム5は該コア基板1とコアプレート6との間に貼合されて、前記コア基板1とコアプレート6とを接着する。
【0028】
より具体的には、前記貼合フィルム5の一方の側表面は剥離可能な印刷インクI、金属バリア構造2、及び金属回路パターン4に貼合され、且つ前記貼合フィルム5は前記金属バリア構造2と金属回路パターン4との間の隙間(印刷領域Rに位置しない部分)に落ち込んで、さらに前記コア基板1に貼合される。また、前記貼合フィルム5の他方の側表面はコアプレート6に貼合される。
【0029】
さらに、前記ブラインドルーティング作業は、2つのブラインドルーティングミーリングカッターFを用いてそれぞれ2つのレーザー切断凹溝3の位置に位置合わせして、前記コア基板1の他方の側表面からブラインドルーティングを行うことである。前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFはコア基板1の他方の側表面からレーザー切断凹溝3の方向へブラインドルーティングを行い、且つ前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFのブラインドルーティング範囲はレーザー切断凹溝3と部分的に重なり、レーザー切断凹溝3内に部分的に充填された剥離可能な印刷インクIを除去する。
【0030】
また、前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFのブラインドルーティング深さはコア基板1の厚さよりも小さく、すなわち、ブラインドルーティング作業が終了した後、前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFは前記コア基板1を貫通していない。
【0031】
引き続き
図4を参照し、本実施例では、前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFは、それに対応するレーザー切断凹溝3の中心線位置に位置合わせしてブラインドルーティングを行うことではなく、前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFは、それに対応するレーザー切断凹溝3の中心線が印刷領域Rからわずかに外れた位置でブラインドルーティングを行って、後続の開蓋作業を容易にするが、本発明はこれに限定されない。
【0032】
図5は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS150の模式図である。前記ステップS150は、前記2つのブラインドルーティングミーリングカッターFを取り外して、前記コア基板1に2つのブラインドルーティング開口部F1を形成することを含む。より具体的には、前記2つのブラインドルーティング開口部F1はコア基板1の他方の側表面からそれぞれ2つの金属バリア構造2の方向へ凹んで形成され、且つ形状がブラインドルーティングミーリングカッターと相補的である。前記2つのブラインドルーティング開口部F1のブラインドルーティング範囲はそれぞれ2つのレーザー切断凹溝3と部分的に重なり、レーザー切断凹溝3内に充填された剥離可能な印刷インクIを部分的に除去する。また、前記2つのブラインドルーティング開口部F1のブラインドルーティング範囲は金属バリア構造2をカバーしていない。
【0033】
図6は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS160の模式図である。前記ステップS160は、開蓋作業を実施し、前記コア基板1の2つのブラインドルーティング開口部F1の間に位置する開蓋構造Cを取り外して、開蓋開口部C1を形成することを含む。
【0034】
前記開蓋作業中に、前記2つのブラインドルーティング開口部F1の間に位置する開蓋構造Cは2つのレーザー切断凹溝3の位置からビルドアッププレート構造(貼合フィルム5及びコアプレート6を含む)と分離される。前記開蓋構造Cは略凸字形であるが、本発明はこれに限定されない。
【0035】
より具体的には、前記開蓋構造Cは一部のコア基板1材料及び一部の剥離可能な印刷インクI材料を含み、且つ前記開蓋構造Cは、剥離可能な印刷インクIが2つのレーザー切断凹溝3の位置からビルドアッププレート構造と分離されることにより、形状が開蓋構造Cと相補的な開蓋開口部C1を形成する。
【0036】
前記開蓋作業が完了した後、前記開蓋開口部C1の底部の、貼合フィルム5、金属バリア構造2の側壁、及びレーザー切断凹溝3の側壁に位置する部分には、剥離可能な印刷インクIから残留した残留インクI1が存在し、後続のステップでさらに除去する必要がある。
【0037】
図7は本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS170の模式図である。前記ステップS170は、洗浄作業を実施し、開蓋開口部C1の底部の残留インクI1を除去することを含む。
【0038】
前記洗浄作業は、化学薬液を用いて開蓋開口部C1の底部の残留インクI1を洗浄して、前記残留インクI1を除去することである。前記化学薬液は例えば変性アルコールエーテルを含有する化学薬液であってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
図8に示すように、前記各金属バリア構造2の開蓋開口部C1に面している側壁は金属バリア側壁21として定義され、且つ前記各レーザー切断凹溝3の開蓋開口部C1に面している側壁はレーザー切断側壁31として定義される。前記金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間に夾角αがあり、且つ前記夾角αは、好ましくは120°~150°であり、特に好ましくは130°~140°である。例えば、前記夾角αは例えば135°であってもよい。
【0040】
前記金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間に夾角αがあるため、前記金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間にフラッシングスペースが形成され得る。それにより、前記化学薬液は金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間のフラッシングスペースで十分な薬液交換を行って、前記金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間の残留インクI1を十分に除去することができる。
【0041】
従来技術では、回路基板の製造プロセスの開蓋作業後に、その開蓋開口部のエッジに剥離性接着剤がPP接着剤と混合するため、洗浄時に剥離性接着剤が剥がれにくいという問題がある可能性がある。本発明の実施例が提供するプリント回路基板の開蓋方法によれば、剥離可能な印刷インクI(すなわち剥離性接着剤)は貼合フィルム5(すなわちPP接着剤)のエッジと接触しなくなり、且つブラインドルーティング開口部F1はレーザー切断凹溝3に直接当接するため、上記剥離性接着剤が剥がれにくいという問題を解決することができる。
【0042】
また、従来技術では、開蓋開口部のエッジの角度はレーザーによる影響を受けるため、薬液交換の問題が引き起こされ、剥離性接着剤の剥離時間が長くなり、且つ剥離性接着剤が残留するリスクが存在するため、回路基板完成品の電気的特性に影響を与える可能性がある。本発明の実施例が提供するプリント回路基板の開蓋方法によれば、剥離可能な印刷インクI(すなわち剥離性接着剤)の側辺が金属バリア構造2(すなわち金属回路)に当接するように変更され、金属銅表面に対して剥離可能な印刷インクIを比較的容易に除去でき、それにより剥離可能な印刷インクIが残留する可能性を小さくする。
【0043】
さらに、本発明の実施例のセミフレックスプリント回路基板の製造方法は、金属バリア構造2及びレーザー切断凹溝3の設計により、剥離可能な印刷インクIが印刷中に溢れ出すことを回避でき、且つ剥離可能な印刷インクIの後続の剥離作業での剥離効率及び除去効果を向上させるのを支援できる。より具体的には、前記金属バリア構造2は、剥離可能な印刷インクIが印刷中に溢れ出すことを回避でき、且つ前記剥離可能な印刷インクIは、印刷中にレーザー切断凹溝3内に充填されると、剥離可能な印刷インクIが金属バリア構造2の位置から溢れ出すことを回避するのを支援できる。また、前記レーザー切断凹溝3は、剥離可能な印刷インクIの後続の剥離効率及び除去効果を支援できる。
【0044】
[実施例の有益な効果]
【0045】
本発明は以下の有益な効果を有する。本発明が提供するセミフレックスプリント回路基板の製造方法は、「前記コア基板の一方の側表面に突出した2つの金属バリア構造及び凹んだ2つのレーザー切断凹溝を形成し、2つの前記金属バリア構造の内側には前記コア基板の前記側表面に印刷領域が形成され、2つの前記レーザー切断凹溝の位置は前記印刷領域に対応し、且つそれぞれ2つの前記金属バリア構造の内側に隣接し、剥離可能な印刷インクを前記コア基板の前記印刷領域に印刷し、且つ前記剥離可能な印刷インクを印刷中に2つの前記レーザー切断凹溝内に充填でき、前記コア基板の前記側表面にビルドアッププレート構造を圧接し、且つ前記コア基板の他方の側表面にブラインドルーティングによりそれぞれ2つの前記レーザー切断凹溝に対応する2つのブラインドルーティング開口部を形成し、前記コア基板の2つの前記ブラインドルーティング開口部の間に位置する開蓋構造を2つの前記レーザー切断凹溝の位置から前記ビルドアッププレート構造と分離させて取り外して、開蓋開口部を形成し、前記開蓋開口部の底部の残留インクを除去する」という技術的解決手段により、剥離可能な印刷インクが剥がれにくいという問題を解決し、剥離可能な印刷インクが残留する可能性を小さくすることができる。
【0046】
以上に開示されている内容は本発明の好ましい実現可能な実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するものではなく、従って、本発明の明細書及び図面の内容を用いてなされた等価な技術的変化はすべて本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1:コア基板
2:金属バリア構造
21:金属バリア側壁
3:レーザー切断凹溝
31:レーザー切断側壁
4:金属回路パターン
5:貼合フィルム
6:コアプレート
M:金属被覆層
R:印刷領域
W:幅
H:高さ
I:剥離可能な印刷インク
I1:残留インク
F:ブラインドルーティングミーリングカッター
F1:ブラインドルーティング開口部
C:開蓋構造
C1:開蓋開口部
α:夾角