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特開2024-22475観察器具、微粒子収容体および観察器具の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022475
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】観察器具、微粒子収容体および観察器具の使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/00 20240101AFI20240208BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20240208BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20240208BHJP
   G09B 23/12 20060101ALI20240208BHJP
   G09B 23/06 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01N15/00 A
G01N1/02 N
G01N1/28 F
G09B23/12 A
G09B23/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084221
(22)【出願日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2022124410
(32)【優先日】2022-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594121408
【氏名又は名称】オクト産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】安達 良平
(72)【発明者】
【氏名】小澤 達郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真
【テーマコード(参考)】
2C032
2G052
【Fターム(参考)】
2C032BC03
2G052AA24
2G052AA36
2G052AA37
2G052AA40
2G052AB27
2G052AD15
2G052AD35
2G052AD55
2G052BA05
2G052BA17
2G052BA21
2G052GA09
2G052GA11
2G052GA31
2G052JA02
2G052JA03
2G052JA04
(57)【要約】
【課題】簡便な構成で微粒子を観察することができる観察器具、微粒子収容体および観察器具の使用方法を提供する。
【解決手段】 観察器具100は、筐体10と、筐体10内に設けられた光源12と、筐体10内を観察するための開口部14と、開口部14と光源12との間において、開口部14から光源12の光が直接見えないようにするための遮蔽部16と、筐体10の内部に微粒子を供給するための微粒子収容体20を設置するための収容体設置部22と、を含む。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に光を照射する光源と、
前記筐体内を観察するための開口部と、
前記開口部と前記光源との間において、前記開口部から前記光源の光が直接見えないようにするための遮蔽部と、
前記筐体の内部に微粒子を供給するための微粒子収容体を設置するための収容体設置部と、を含む観察器具。
【請求項2】
請求項1において、
前記収容体設置部は、前記微粒子収容体が前記遮蔽部に沿って置かれるように前記微粒子収容体を支持する支持体により構成されている観察器具。
【請求項3】
請求項2において、
前記支持体は、前記遮蔽部が伸びる方向での前記筐体の両側の側壁により構成される観察器具。
【請求項4】
請求項1または2において、
供給された微粒子を受ける微粒子受け部を挿入可能な挿入部が設けられている観察器具。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記筐体は、前記光源と前記遮蔽部との間の上部に第1の空気通過口が設けられている観察器具。
【請求項6】
請求項5において、
前記筐体の前記開口部側の正面下部において、第2の空気通過口が設けられている観察器具。
【請求項7】
請求項1または2に記載の観察器具に適用される微粒子収容体であって、
前記微粒子収容体は、微粒子が通過可能な微粒子通過部の内部および表面上の少なくともいずれかに設けられているものである微粒子収容体。
【請求項8】
請求項7において、
前記微粒子収容体は、前記微粒子が通過するための不織体が設けられている微粒子収容体。
【請求項9】
筐体と、
前記筐体内に光源の光を導入するための光導入口と、
前記筐体内を観察するための開口部と、
前記筐体の内部に微粒子を供給するための微粒子収容体を設置するための収容体設置部と、を含む観察器具。
【請求項10】
請求項9において、
前記収容体設置部は、プリズムを載置可能である観察器具。
【請求項11】
請求項1または9において、
前記観察器具は、微粒子の浮遊もしくは落下状態、光の直進性または光の屈折もしくは光の反射を観察するための観察器具。
【請求項12】
請求項1または9において、
前記筐体内部に三次元透明体を設置し、前記光導入口から光を照射して前記三次元透明体内の光の進路を観察する観察器具。
【請求項13】
請求項1または9において、
前記筐体内部に各面に色彩が施された三次元透明体を設置し、前記光導入口から光を照射して前記三次元透明体内の光の進路を観察する観察器具。
【請求項14】
請求項1または9において、
前記筐体の内部に錐体の三次元透明体を設け、
前記錐体の三次元透明体の頂点に光を照射し、前記錐体の三次元透明体に生じた光の環を観察する観察器具。
【請求項15】
請求項1または9において、
前記光源の光の進路に設けられたR,G,Bの各カラーフィルタを配列したRGBフィルターを含み、
前記光源から発せられた光はRGBフィルターを経て、前記筐体の内面に投射される観察器具。
【請求項16】
請求項1または9に記載の観察器具の使用方法であって、
前記収容体設置部に三次元透明体を設置し、前記三次元透明体を通じて光を前記筐体内部に照射し、前記筐体の底部に投射された光を観察する観察器具の使用方法。
【請求項17】
請求項1または9に記載の観察器具の使用方法であって、
前記収容体設置部に第1の鏡を設置し、かつ、前記筐体内部に第2の鏡を設置し、前記光導入口から光を照射して前記第1の鏡と前記第2の鏡を利用して、前記光を反射させて、所定の領域に光を当てる観察器具の使用方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子を観察することができる観察器具、微粒子収容体および観察器具の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子を観察する微粒子観察装置として、レーザー光を利用した技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
学校では花粉、胞子、小麦粉が微粒子から出来ていることを教える際に、電子顕微鏡写真等を利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開公報WO2020/054466公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者らは、微粒子の電子顕微鏡写真を利用した場合、実物を使わないことから実感が薄く、生徒への訴えかけが小さく、教育効果が低いきらいがあるのではないかという課題を発見した。また、本願発明者らは、光学顕微鏡で実物を観察する場合には、スライドガラスの上に試料を置き、カバーガラスで挟み込んで作るプレパラート作成に時間を取られるので、限られた授業時間の中ではこの方法は取りにくいという課題も発見した。
【0006】
本発明の目的は、簡便な構成で微粒子を観察することができる観察器具、微粒子収容体および観察器具の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の微粒子観察器具は、
筐体と、
前記筐体内に光を照射する光源と、
前記筐体内を観察するための開口部と、
前記開口部と前記光源との間において、前記開口部から前記光源の光が直接見えないようにするための遮蔽部と、
前記筐体の内部に微粒子を供給するための微粒子収容体を設置するための収容体設置部と、を含む。
【0008】
本発明において、
前記収容体設置部は、前記微粒子収容体が前記遮蔽部に沿って置かれるように前記微粒子収容体を支持する支持体により構成されていることができる。
【0009】
本発明において、
前記支持体は、前記遮蔽部が伸びる方向での前記筐体の両側の側壁により構成されることができる。
【0010】
本発明において、供給された微粒子を受ける微粒子受け部を挿入可能な挿入部が設けられていることができる。
【0011】
本発明において、前記筐体は、前記光源と前記遮蔽部との間の上部に第1の空気通過口が設けられていることができる。
【0012】
本発明において、前記筐体の前記開口部側の正面下部において、第2の空気通過口が設けられていることができる。
【0013】
本発明の微粒子収容体は、本発明の微粒子観察器具に適用される微粒子収容体であって、
前記微粒子収容体は、微粒子が通過可能な微粒子通過部の内部および表面上の少なくともいずれかに設けられているものである。
【0014】
本発明において、前記微粒子収容体は、前記微粒子が通過するための不織体が設けられていることができる。
【0015】
本発明の第2の観察器具は、
筐体と、
前記筐体内に光源の光を導入するための光導入口と、
前記筐体内を観察するための開口部と、
前記筐体の内部に微粒子を供給するための微粒子収容体を設置するための収容体設置部と、を含む。
【0016】
本発明において、前記収容体設置部は、プリズムを載置可能であることができる。
【0017】
本発明において、前記観察器具は、微粒子の浮遊もしくは落下状態、光の直進性または光の屈折もしくは光の反射を観察するためのものであることができる。
【0018】
本発明において、前記筐体内部に三次元透明体を設置し、前記光導入口から光を照射して前記三次元透明体内の光の進路を観察するものであることができる。
【0019】
本発明において、前記筐体内部に各面に色彩が施された三次元透明体を設置し、前記光導入口から光を照射して前記三次元透明体内の光の進路を観察するものであることができる。
【0020】
本発明において、前記筐体の内部に錐体の三次元透明体を設け、前記錐体の三次元透明体の頂点に光を照射し、前記錐体の三次元透明体に生じた光の環を観察するものであることができる。
【0021】
本発明において、前記光源の光の進路に設けられたR,G,Bの各カラーフィルタを配列したRGBフィルターを含み、前記光源から発せられた光はRGBフィルターを経て、前記筐体の内面に投射されるものであることができる。
【0022】
本発明の第1の観察器具の使用方法は、
前記収容体設置部に三次元透明体を設置し、前記三次元透明体を通じて光を前記筐体内部に照射し、前記筐体の底部に投射された光を観察するものである。
【0023】
本発明の第2の観察器具の使用方法は、
前記収容体設置部に第1の鏡を設置し、かつ、前記筐体内部に第2の鏡を設置し、前記光導入口から光を照射して前記第1の鏡と前記第2の鏡を利用して、前記光を反射させて、所定の領域に光を当てるものである。
【発明の効果】
【0024】
微粒子観察器具は、たとえば、学校の理科教材で、花粉、胞子、小麦粉等が微粒子から出来ていることを学ぶために使うことができる。花粉、胞子、小麦粉等が微粒子であることを、生徒たちが自分の眼で目視できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態に係る微粒子観察器具を模式的に示す図である。
図2】実施の形態に係る微粒子観察器具を模式的に示す図である。
図3】実施の形態に係る微粒子保持体の層構造を模式的に示す図である。
図4】実施の形態に係る微粒子保持体を模式的に示す図である。
図5】実施の形態に係る微粒子保持体を模式的に示す図である。
図6】実施の形態に係る微粒子受け部を模式的に示す図である。
図7】微粒子ごとの目視観察の例を示す図である。(A)は塩の例であり、(B)は砂糖の例であり、(C)は片栗粉の例である。
図8】実験に用いられる観察器具を示す図である。
図9】光の直進観察の例を示す。
図10】光の屈折観察の図である。
図11】ガラスピラミッドの観察例を示す。
図12】立方体プリズムを利用した観察例を示す。
図13】RGBフィルタによる観察例を示す。
図14】RGBフィルタの距離の違いによる光の重ね合わせ例を示す。
図15】光の反射観察をする場合の観察器具の例を示す。
図16】鏡を利用した光の反射観察の例を示す。
図17】虹観察をする場合の観察器具の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
1.基本的構成
図1図6を参照しながら、観察器具の実施の形態として微粒子観察器具100を説明する。
【0028】
実施の形態に係る微粒子観察器具100は、筐体10と、筐体10内に光を照射する光源12と、筐体10内を観察するための開口部14とを含む。光源12は、たとえば、LED光源12とすることができる。正面側の筐体10の内部に別の光源12を設けてもよい。微粒子の大きさは、たとえば、20μm以上、好ましくは20~100μm、より好ましくは40~80μmのものに好適である。光源12は、筐体10内に設けられていても、筐体10に光の入射口があれば筐体10の外側に設けられていてもよい。
【0029】
図1および図2に示すように、筐体10内における開口部14と光源12との間において、開口部14から光源12の光が直接見えないようにするための遮蔽部16が設けられている。遮蔽部16が、光源12からの光が観察者の眼に直接入らないようにし、微粒子の観察をしやすくするためのものである。
【0030】
筐体10の内部に微粒子を供給するための微粒子収容体20を設置するための収容体設置部22が設けられている。収容体設置部22は、微粒子収容体20が遮蔽部16に沿って置かれるように微粒子収容体20を支持する支持体18により構成されていることができる。支持体18は、たとえば、遮蔽部16が伸びる方向での筐体10の両側の側壁により構成されることができる。支持体18は、筐体10の側壁にその機能をもたせる他に、別途、微粒子収容体20を固定する固定部や載置部があってもよい。
【0031】
供給された微粒子を受ける微粒子受け部30を挿入可能な挿入部34が設けられていることができる。微粒子受け部30の出し入れが容易となる。
【0032】
筐体10は、光源12と遮蔽部16との間の上部に第1の空気通過口40が設けられていることができる。第1の空気通過口40を通じて空気の流入があるため、光源12から発生する熱を逃がすことができる。第1の空気通過口40を設けることで、光源12と遮光部との間の距離を確保することができる。筐体10は、その材質は特に限定されず、たとえば、紙製(たとえば段ボール製)であっても、プラスチック製であってもよい。
【0033】
筐体10の開口部14側の正面下部において、第2の空気通過口42が設けられていることができる。第2の空気通過口42を設けることで、微粒子をなるべく長く浮遊させるために箱内に上昇気流を発生させる目的で微粒子観察器具100の前面下方の第2の空気通過口42を通じて空気取り入れ、後面上部の第1の空気通過口40から空気を排出もすることができる。
【0034】
微粒子収容体20は、微粒子が通過可能な微粒子通過部20aの内部および表面上の少なくともいずれかに設けられているものであることができる。微粒子収容体20は、微粒子が通過するための多孔質体または不織体(不織布やティッシュを含む)が設けられていることができる。微粒子収容体20は、たとえば、収容体設置部22が貫通孔からなっている場合に、その貫通孔にはめ込む態様で設置することができる。
【0035】
微粒子収容体20は、たとえば、試料保持方式、試料振り掛け方式、試料ブランク方式が考えられる。図3(A)に示す試料保持方式は、カバー部20cと微粒子通過部20aとの画定される領域内に微粒子を保持する方式である。図3(B)に示す試料振り掛け方式は、試料をふりかけて微粒子保持部の表面に付着させて保持するものである。図3(C)に示す試料ブランク方式は、使用者が使用時に観察をしたいものを微粒子保持空間20fに入れる方式である。
【0036】
試料振り掛け方式を具体的に説明すると、試料を微粒子保持部20eにふりかけて、微粒子保持部20eで付着保持するものである。微粒子保持部20eに試料が保持された場合に、微粒子保持部20eの表面を覆うフィルム20dを貼り合わせることができる。フィルム20dは、使用時にはがすことで微粒子をより確実に保持することができる。帯電した微粒子がつかないように、静電気を帯びない材質からなることが好ましい。使用前の落下を防ぐために落下防止フィルム20dを被せて微粒子収容体20を得てもよい。微粒子収容体20をトントンと叩いて落ちるように構成するとよい。微粒子保持部20eは、たとえば、多孔質紙より構成し、多孔質紙の繊維で微粒子を保持するといった態様をとることができる。
【0037】
微粒子収容体20は、図4に示すように、カバー部20cを折り曲げて構成することができる。谷折り線L1の一例を図4に示す。
【0038】
微粒子の散乱光を目視確認すると、単なる光の粒ではなく花火の様な形状または大きな形状のものに見える。図2において、微粒子を模式的に示しているところ、A1は微粒子を模式的に示し、B1は散乱光であたかも大きくなったように観察される微粒子の概略イメージを示す。
【0039】
教育目的の他に、自然界にない人工的なものを筐体10内に空中浮遊させることで、何か感動的な事を起こさせるものとして使用することができる。
【0040】
2.具体的構成
微粒子を観察箱としての筐体10に、程良く浮遊させるために微粒子収容体20を設けている。小麦粉などの微粒子を指でつまんで観察箱としての筐体10内に落とした場合、浮遊せずに塊のまま落下してしまうことから、多孔質紙や金属フィルターのメッシュを通して落下させる。
【0041】
一例として、多孔質紙を利用した場合1mm平方の中に30μm程度の微粒子が通過できる90μm程度の孔が7個ほど在り、微粒子浮遊補助部の微粒子落下窓20bの大きさを10mmx150mmに設定した場合、200個程の通過孔があり、微粒子を浮遊させるのに適している。なお微粒子を浮遊させる際は、微粒子浮遊補助部を指で軽くトントンと叩くことにより小麦粉などの微粒子が適量観察箱の中にゆっくりと落ち、ふわふわと浮遊させることができる。
【0042】
筐体10の底に載置台32を設け、載置台32の上に微粒子受け部30、例えば顕微鏡観察用のスライドガラスを置くことで、落下微粒子が適度の数だけ微粒子受け部30の上に落ちる。微粒子受け部30は、載置台32に粘着テープなどの固定部32aにより固定されることができる。微粒子受け部30の背板を取り出し、試料が乗った微粒子受け部30にカバーグラスを乗せれば、光学顕微鏡用のプレパラートが簡便に作ることができる。
【0043】
花粉、胞子、小麦粉などが微粒子である事を目視確認出来、教育効果が非常に高い。筐体10の開口部14を長方形とすれば複数人(たとえば4、5人)で観察が可能になり、学校教育における班単位の授業にも有効である。観察する花粉、胞子、小麦粉などの試料は予め微粒子浮遊補助部に入れて供給されるので、試料作りの手間が省け、限りある授業時間の有効利用が可能である。図7に、塩、砂糖、片栗粉の例を示す。
【0044】
また、光学顕微鏡用のプレパラートが目視観察と同時に作成できるので、このプレパラートを光学顕微鏡で観察する事により、微粒子の拡大観察も可能となる。
【0045】
学校教育に使われているタブレット端末と、タブレット端末とWiFi等で結合して使用するカメラ型顕微鏡を用いて、上記プレパラートを観察すれば複数人で画像を観察でき、班単位教育に有効で、効率よく授業を進めることができる。
【0046】
また、花粉の様に30μ程度の微粒子であれば光学顕微鏡で観察することも出来る。
【0047】
花粉、胞子、小麦粉等の微粒子を観察箱の中で浮遊させ、それに光を照射し、微粒子により発生する散乱光を用いて観察することができる。微粒子は30μm程度の大きさであれば、散乱光現象により肉眼で観察できるまでの大きさの光の粒と成ることを確認した。
【0048】
3.観察例
観察器具による観察例について説明する。観察例に係る観察器具は、図8に示すように、光の性質を観察する光学実験暗箱として使うことができる。光の直進、反射、屈折、色を観察する道具で、部屋のカーテンを閉めずに小型の暗箱(筐体)内で観察をすることができる。 光源12として、たとえばレーザーポインター12a、LED懐中電灯12bを使用することができる。筐体を段ボール製とすることができる。
【0049】
(1)光の直進観察
図9に光の直進観察の例を示す。図9(A)に示すように、レーザーポインター12aにて光を筐体10の内面に投射したものであるが、微粒子が落下していない場合には光の直進性が確認できない。図9(B)に示すように、微粒子収容体20から微粒子を上から降らすことで直進する光を開口部14から観察することができる。微粒子通過部には30μ前後の微粒子が通過できる孔を持つ多孔質紙を使用している。微粒子として片栗粉を適用した。
【0050】
(2)光の屈折観察
図10に光の屈折観察の例を示す。試料袋から試料を落としながら、レーザーポインターをアクリルブロックに照射すると、光が微粒子に当たることで光の進路を確認することができるとともに、アクリルブロックにて光が屈折することも確認することができる。また、アクリルブロックに光線を真っすぐに入ると光が直進することも確かめられる。
【0051】
(3)ガラスピラミッドを利用した光の性質の観察例
図11(A)は、ガラスのピラミッド(三次元透明体)50を筐体内に置き、ガラスピラミッドの頂点に赤いレーザー光を照射すると8角形の光の環が観察できる。このガラスピラミッドを筐体内部に置いて、微粒子を落としながら光の挙動を観察することができる。
【0052】
(4)立方体プリズムを利用した観察例
図12は、立方体プリズムを利用した観察例を示す。各面に色彩が施された立方体プリズム(三次元透明体)50を筐体内に置き、白色光を照射する。左右方向に、直進方向にそれぞれ対応する面の光が分光され観察できる。
【0053】
(5)RGBフィルタを利用した観察例
図13は、RGBフィルタを利用した観察例を示す。筐体10にフィルタ装着筒10aを設けることができる。フィルタ装着筒10aにはRGBフィルタ52が設けられている。フィルタ装着筒10aにLED懐中電灯12bを差し込み光をスクリーン54に向けて出すことで、光の進む方と光の重ね合わせの確認ができる。図13では、微粒子を落としていないがこのような観察方法であれば光の進む方と光の重ね合わせを同時に観察することができる。
【0054】
図14(A)はRGBフィルタを示す。はスクリーンに近い位置にRGBフィルタを設定した場合にRGBが映る(図14(B)参照)。筐体10の中間の位置にRGBフィルタを設けた場合にはイエローとシアンが現れる(図14(C)参照)。RGBフィルタを光源側の位置に設置するとRGBが重なり白色になる。この観察方法により距離による光の広がり方の違いを利用して、白色光を観察することができる。
【0055】
(6)反射観察
図15に光の反射観察をする場合の観察器具の例を示す。図16は、鏡を利用した光の反射観察の例を示す。三枚の鏡M1,M2,M3を使って光を反射させ、的の後方から入射した光を的に当てる実験をすることができる。導入口から入射された光は、鏡M1、鏡M2、鏡M3をどのように配置すれば、その順に光を反射させたときに最後に的T1に当たるかをこの観察方法を用いて確認することができる。
【0056】
(7)虹の観察
図17は虹観察をする場合の観察器具の例を示す。収容体設置部22にプリズム(三次元透明体)50を置き、プリズム50に白色光を照射し、筐体(光学実験暗箱)10内に虹を観察できる。収容体設置部22に微粒子収容体の他にプリズムを置くこともでき(図示せず)、微粒子収容体から微粒子を降下させながら、プリズムに白色光を照射し、光学実験暗箱内に虹を観察できる。
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 筐体
12 光源
14 開口部(観察窓)
16 遮蔽部
18 支持体
20 微粒子収容体
20a 微粒子通過部
20b 微粒子落下窓
20c カバー部
20d フィルム
20e 微粒子保持部
20f 微粒子保持空間
22 収容体設置部
30 微粒子受け部(スライドガラス)
32 載置台
32a 固定部
34 挿入部
40 第1の空気通過口
42 第2の空気通過口
50 三次元透明体
100 微粒子観察器具
A1 微粒子
B1 散乱光であたかも大きくなったように観察される微粒子
L1 谷折り線


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17