(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022476
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】トランス
(51)【国際特許分類】
H01F 30/10 20060101AFI20240208BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H01F30/10 C
H01F30/10 E
H01F30/10 A
H01F27/28 K
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086481
(22)【出願日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202210931533.6
(32)【優先日】2022-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】505326623
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】31-1 Xingbang Road, Guishan Industrial Zone, Taoyuan City 33370, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王柏勝
(72)【発明者】
【氏名】鍾熙国
(72)【発明者】
【氏名】陳志明
(72)【発明者】
【氏名】曾祥益
(72)【発明者】
【氏名】劉喜鎮
【テーマコード(参考)】
5E043
【Fターム(参考)】
5E043BA01
5E043BA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造プロセスが簡単で自動化を実現しやすく、製品品質及び寸法が安定しており、製品の共通性が高く、かつ、体積が小さいトランスを提供する。
【解決手段】本発明のトランスは、コア2と、巻枠3と、2つの第1コイル41と、第2コイルと、第1回路基板5、第2回路基板6と、を備える。コアは、第1磁性体21及び第2磁性体22を含み、巻枠は、巻枠本体31、巻枠貫通穴32及び巻線空間部33を含み、巻枠貫通穴は巻枠本体の対向する両面を貫通し、巻線空間部は巻枠本体の外周面に形成され、2つの第1コイルは巻線空間部に巻装され、第2コイルは、巻線空間部に巻装され、かつ、2つの第1コイルの間に位置し、回路基板は、巻枠貫通穴に接続された回路基板貫通穴52、62を有し、コアの第1中間コラム214及び第2中間コラム224は、回路基板貫通穴及び巻枠貫通穴を貫通する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁性体及び第2磁性体を含む、コアと、
巻枠本体、巻枠貫通穴及び巻線空間部を含み、前記巻枠貫通穴は前記巻枠本体の対向する両面を貫通し、前記巻線空間部は前記巻枠本体の外周面に形成される、巻枠と、
前記巻線空間部に巻装される、外側第1コイルと、
前記外側第1コイルと前記巻枠本体の前記外周面との間に位置する、内側第1コイルと、
前記巻線空間部に巻装され、かつ前記内側第1コイルと前記外側第1コイルとの間に位置する、第2コイルと、
前記巻枠貫通穴に接続された回路基板貫通穴を有する、第1回路基板と、
を備え、
前記コアの一部は、前記回路基板貫通穴及び前記巻枠貫通穴を貫通することを特徴とする、トランス。
【請求項2】
第2回路基板貫通穴を有し、前記第2磁性体と前記巻枠本体との間に位置する第2回路基板を更に備え、
前記第1回路基板は、前記第1磁性体と前記巻枠本体との間に位置し、かつ第1回路基板貫通穴を有し、
前記第1回路基板貫通穴、前記第2回路基板貫通穴及び前記巻枠貫通穴は、互いに連通しており、前記コアの一部は、前記第1回路基板貫通穴、前記第2回路基板貫通穴及び前記巻枠貫通穴を貫通することを特徴とする、請求項1に記載のトランス。
【請求項3】
前記第1磁性体は、第1主面、第1側面、第2側面及び第1中間コラムを含み、前記第1側面及び前記第2側面は、前記第1主面の対向する両端に接続され、前記第1中間コラムは、前記第1主面に接続され、かつ前記第1側面と前記第2側面との間に位置し、
前記第2磁性体は、第2主面、第3側面、第4側面及び第2中間コラムを含み、前記第2主面と前記第1主面は対向して設置され、前記第3側面及び前記第4側面は、前記第2主面の対向する両端に接続され、前記第3側面は前記第1側面に接続され、前記第4側面は前記第2側面に接続され、前記第2中間コラムは、前記第2主面に接続され、前記第3側面と前記第4側面との間に位置し、かつ前記第2中間コラムは前記第1中間コラムに接続され、前記第1中間コラム及び前記第2中間コラムは、前記第1回路基板貫通穴、前記第2回路基板貫通穴及び前記巻枠貫通穴を貫通することを特徴とする、請求項2に記載のトランス。
【請求項4】
前記巻枠本体は、第1壁面、第2壁面、第1挿設部及び第2挿設部を有し、前記第1壁面及び前記第2壁面は、前記巻枠本体の対向する両端に設置され、前記巻枠本体の前記外周面は、前記第1壁面と前記第2壁面との間に位置し、前記巻枠貫通穴は、前記巻枠本体の前記第1壁面及び前記第2壁面を貫通し、前記第1挿設部は、前記巻枠本体の前記第1壁面の一端に接続され、前記第1挿設部は、前記巻枠貫通穴を覆うことなく前記巻枠貫通穴とずれて設置され、前記第1挿設部は、第1挿入穴が設けられた第1内凹部を有し、前記第2挿設部は、前記巻枠本体の前記第2壁面の一端に接続され、前記第2挿設部は、前記巻枠貫通穴を覆うことなく前記巻枠貫通穴とずれて設置され、前記第2挿設部は、第2挿入穴が設けられた第2内凹部を有することを特徴とする、請求項2に記載のトランス。
【請求項5】
前記第1回路基板は、第1回路基板本体を有し、前記第1回路基板貫通穴は、前記第1回路基板本体を貫通し、前記第1回路基板本体の一部は、前記第1挿入穴に挿入され、前記第1回路基板は、前記巻枠本体と前記第1磁性体の第1主面との間に位置し、
前記第2回路基板は、第2回路基板本体を有し、前記第2回路基板貫通穴は、前記第2回路基板本体を貫通し、前記第2回路基板本体の一部は、前記第2挿入穴に挿入され、前記第2回路基板は、前記巻枠本体と前記第2磁性体の第2主面との間に位置することを特徴とする、請求項4に記載のトランス。
【請求項6】
前記外側と内側第1コイルはともに前記トランスの一次コイルの一部であり、前記第2コイルは前記トランスの二次コイルの一部であり、前記第1回路基板は前記トランスの前記一次コイルの他の部分であり、前記第2回路基板は前記トランスの前記二次コイルの他の部分であることを特徴とする、請求項2に記載のトランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランス、特に回路基板を利用してコイルを形成するトランスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用電力の分野では、モータの電力消費が産業用電力消費全体の65%以上を占めており、周波数変換器を使用したモータは電力消費を40%以上節約し、二酸化炭素排出量を削減することができる。また、周波数変換器によってモータの速度を調整することで、電力損失を大幅に低減し、始動電流による電力網への衝撃を低減し、モータやその他の機械設備の摩耗を低減して、メンテナンスコストを削減することができる。このように、周波数変換器の性能を向上させると、モータの全体的な性能が向上する。
【0003】
周波数変換器内のトランスは、通常異なる機能のためにマルチコイル設計を採用している。従来のトランスのマルチコイルの各コイルは、不規則な配置でコアに巻かれているため、トランスの実際の使用電圧はドリフトしやすく、製造プロセスが複雑で自動化を実現できないため、従来のトランスは、人工的な設置のコストが増加し、産業自動化の効率が低下し、製品特性及び寸法が不安定になるなどの欠点がある。
【0004】
そこで、上記の欠点を克服するトランスをどのように開発するかは、現在急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、内側第1コイルが外側第1コイルと巻枠本体の外周面との間に位置し、第2コイルが内側第1コイルと外側第1コイルとの間に位置し、すなわち、外側第1コイル、第2コイル及び内側第1コイルが積層方向に順次設けられるトランスを提供することである。本発明のトランスの内側第1コイル、外側第1コイル及び第2コイルが上記のように配置されることで、トランスの漏れインダクタンスを大幅に低下させることができるとともに、トランスの内側第1コイル、外側第1コイル及び第2コイルの配置が順序的で交互に巻かれにくいため、本発明のトランスは、製造プロセスが簡単で自動化を実現しやすく、製品品質及び寸法が安定しており、製品の共通性が高く、体積が小さいという利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、コアと、巻枠と、内側第1コイルと、外側第1コイルと、第2コイルと、少なくとも1つの回路基板とを備えるトランスである。コアは第1磁性体及び第2磁性体を含む。巻枠は、巻枠本体、巻枠貫通穴及び巻線空間部を含み、巻枠貫通穴は巻枠本体の対向する両面を貫通し、巻線空間部は前記巻枠本体の外周面に形成される。内側第1コイル及び外側第1コイルは巻線空間部に巻装され、内側第1コイルは外側第1コイルと巻枠本体の外周面との間に位置する。第2コイルは、巻線空間部に巻装され、かつ内側第1コイルと外側第1コイルとの間に位置する。少なくとも1つの回路基板は、巻枠貫通穴に接続された回路基板貫通穴を有し、コアの一部は、回路基板貫通穴及び巻枠貫通穴を貫通する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態のトランスの組合せ構造概略図である。
【
図2】
図1に示すトランスの分解構造概略図である。
【
図3】
図1に示すトランスのA-A'方向に沿った断面構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において詳細に記述する。本発明は異なる態様において様々な変更を加えることができ、いずれも本発明の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に説明するために用いられものであり、本発明を限定する意図はないことを理解されたい。
【0009】
図1、
図2及び
図3を参照し、
図1は本発明の第1実施形態のトランスの組合せ構造概略図であり、
図2は
図1に示すトランスの分解構造概略図であり、
図3は
図1に示すトランスのA-A'方向に沿った部分断面構造概略図である。
図1~
図3に示すように、トランス1は、コア2、巻枠3、2つの第1コイル41(すなわち、内側第1コイル41及び外側第1コイル41)、第2コイル42、第1回路基板5、及び第2回路基板6を備える。
【0010】
コア2は、第1磁性体21及び第2磁性体22を含む。本実施形態では、
図2に示すように、第1磁性体21は、第1主面211、第1側面212、第2側面213、及び第1中間コラム214を含む。第1側面212及び第2側面213は、それぞれ第1主面211の対向する両端に接続され、トランス1の対向する両側に位置する。第1中間コラム214は第1主面211に接続され、第1側面211と第2側面212との間に位置する。第2磁性体22は、第2主面221、第3側面222、第4側面223、及び第2中間コラム224を含む。第2主面221及び第1主面211は、それぞれトランス1の対向する両側に位置する。第3側面222及び第4側面223は、それぞれ第2主面221の対向する両端に接続され、トランス1の対向する両側に位置し、第3側面222は、空間的に第1側面212に対応して設置され、第2主面221と第1主面211との間に位置し、第4側面223は、空間的に第2側面213に対応して設置され、第2主面221と第1主面211との間に位置する。第2中間コラム224は、第2主面221に接続され、第3側面222と第4側面223との間に位置し、第2中間コラム224は空間的に第1中間コラム214に対応し設置され、第2主面221と第1主面211との間に位置する。
【0011】
巻枠3は、巻枠本体31、巻枠貫通穴32、及び少なくとも1つの巻線空間部33を含む。図面を簡略化するために、
図3ではコア2の構造的特徴が示されていない。
図2及び
図3に示すように、巻枠本体31は、第1壁面311、第2壁面312及び外周面313を有する。巻枠本体31の第1壁面311及び第2壁面312は、巻枠本体の対向する両端に設置され、第1壁面311は、第1磁性体21の第1主面211と第2壁面312との間に位置し、第2壁面312は、第2磁性体22の第2主面221と第1壁面311との間に位置し、巻枠本体31の外周面313は、第1壁面311と第2壁面312との間に位置する。
図2及び
図3に示すように、巻枠本体31の第1壁面311は対応する外周面313から突出し、巻枠本体31の第2壁面312は対応する外周面313から突出する。本実施形態の巻枠3の巻線空間部33の数は1つであり、巻線空間部33は、外周面313から突出する第1壁面311、外周面313から突出する第2壁面312、及び外周面313によって画定され、それによって、巻線空間部33は巻枠本体31の外周面313に形成され、巻枠本体31は中空構造であり、前記中空構造は巻枠貫通穴32を形成し、巻枠貫通穴32は巻枠本体31の第1壁面311及び第2壁面312を貫通する。
【0012】
内側第1コイル41及び外側第1コイル41はともに、トランス1の一次コイルの一部を構成し、巻線空間部33に巻装され、内側第1コイル41は、巻線空間部33に巻装され、外側第1コイル41と巻枠本体31の外周面313との間に位置する。第2コイル42は、トランス1の二次コイルの一部を構成し、内側第1コイル41に巻装されかつ巻線空間部33に巻まれる。第2コイル42は、内側第1コイルと外側第1コイルとの間に位置し、すなわち、外側第1コイル41、第2コイル42及び内側第1コイル41が積層方向に順次設けられている。
【0013】
第1回路基板5内の配線は、トランス1の一次コイルの他の部分を構成し、
図1に示すように、第1回路基板5は、第1磁性体21の第1主面211と巻枠本体31の第1壁面311との間に位置し、かつ第1磁性体21の第1主面211と第2回路基板6との間に位置する。第1回路基板5は、第1回路基板本体51及び第1回路基板貫通穴52を有する。第1回路基板貫通穴52は、第1回路基板本体51を貫通し、空間的に巻枠貫通穴32に対応している。第2回路基板6内の配線は、トランス1の二次コイルの他の部分を構成し、
図1及び
図2に示すように、第2回路基板6は、第2磁性体22の第2主面221と巻枠本体31の第2壁面312との間に位置し、かつ第2磁性体22の第2主面221と第1回路基板5との間に位置する。第2回路基板6は、第2回路基板本体61及び第2回路基板貫通穴62を有し、第2回路基板貫通穴62は、第2回路基板本体61を貫通し、空間的に巻枠貫通穴32に対応している。第1回路基板貫通穴52、第2回路基板貫通穴62及び巻枠貫通穴32が連通しており、コア2の第1磁性体21の第1中間コラム214は第1回路基板貫通穴52及び巻枠貫通穴32を貫通し、コア2の第2磁性体22の第2中間コラム224は、第2回路基板貫通穴62及び巻枠貫通穴32を貫通し、第1磁性体21の第1中間コラム214及び第2磁性体22の第2中間コラム224は、巻枠貫通穴32内で互いに接続されているため、内側第1コイル41、外側第1コイル41及び第2コイル42は、第1磁性体21の第1中間コラム214及び第2磁性体22の第2中間コラム224にも巻まれ、第1磁性体21の第1側面212と第2磁性体22の第3側面222が互いに接続され、第1磁性体21の第2側面213と第2磁性体22の第4側面223が互いに接続されることで、トランス1が組み立てられる(
図1に示すように)。
【0014】
上記から分かるように、本発明のトランス1の内側第1コイル41は外側第1コイル41と巻枠本体31の外周面313との間に位置し、第2コイル42は内側第1コイルと外側第1コイルとの間に位置し、すなわち、外側第1コイル41、第2コイル42及び内側第1コイル41が積層方向に順次設けられるため、従来のトランスの各コイルがコアに不規則に巻かれているのに対し、本発明のトランス1の内側第1コイル41、外側第1コイル41及び第2コイル42が上記のように配置されることで、トランス1の漏れインダクタンスを大幅に低下させることができるとともに、トランス1における内側第1コイル41、外側第1コイル41及び第2コイル42の配置が順序的で交互に巻かれにくいため、本発明のトランス1は、製造プロセスが簡単で自動化を実現しやすく、製品品質及び寸法が安定しており、製品の共通性が高く、体積が小さいという利点がある。
【0015】
再び
図1及び
図2を参照し、巻枠本体31は、第1挿設部314及び第2挿設部315をさらに有する。第1挿設部314及び第2挿設部315は、それぞれ巻枠本体31の対向する両側に設置され、第1挿設部314は、巻枠本体31の第1壁面311の一端に接続され、巻枠貫通穴32を覆うことなく巻枠貫通穴32とずれて設置される。トランス1が組み立てられると、すなわち、コア2の第1磁性体21の第1中間コラム214が第1回路基板貫通穴52及び巻枠貫通穴32を貫通し、コア2の第2磁性体22の第2中間コラム224が第2回路基板貫通穴62及び巻枠貫通穴32を貫通し、第1磁性体21の第1中間コラム214及び第2磁性体22の第2中間コラム224が巻枠貫通穴32内で互いに接続されると、
図1に示すように、第1挿設部314は第1磁性体21の第1主面211に隣接し、第1挿設部314の端縁は第1主面211と同一平面上に位置し、前記平面は巻枠本体31の第1壁面311と平行である。本実施形態では、第1挿設部314は、第1挿設部314の頂面が凹んで形成され、第1挿入穴317が設けられた第1内凹部316をさらに有する。第2挿設部315は、巻枠本体31の第2壁面312の一端に接続され、巻枠貫通穴32を覆うことなく巻枠貫通穴32とずれて設置され、トランス1が組み立てられると、すなわち、コア2の第1磁性体21の第1中間コラム214が第1回路基板貫通穴52及び巻枠貫通穴32を貫通し、コア2の第2磁性体22の第2中間コラム224が第2回路基板貫通穴62及び巻枠貫通穴32を貫通し、第1磁性体21の第1中間コラム214及び第2磁性体22の第2中間コラム224が巻枠貫通穴32内で互いに接続されると、
図1に示すように、第2挿設部315は第2磁性体22の第2主面221に隣接し、第2挿設部315の端縁は第2主面221と同一平面上に位置し、前記平面は巻枠本体31の第2壁面312と平行である。本実施形態では、第2挿設部315は、第2挿設部315の頂面が凹んで形成され、第2挿入穴が設けられた第2内凹部318をさらに有し、
図2に第2挿入穴の位置が示されていないが、第2挿入穴の設置位置が第1挿入穴317の設置位置に対応していることは明らかである。
【0016】
再び
図2を参照し、本実施形態では、第1回路基板本体51は、一体的に形成された第1サブ本体511及び第2サブ本体512を含み、第1サブ本体511の幅W1は、第2サブ本体512の幅W2よりも小さく、第1回路基板貫通穴52は第1サブ本体511に位置する。第1回路基板本体51は第1挿設部314の底面を通って第1挿入穴317に挿入されるため、第1サブ本体511の少なくとも一部が第1内凹部316に位置し、第2サブ本体512の少なくとも一部が第1挿設部314の底面に位置する。第1回路基板本体51の第1サブ本体511は、巻枠本体31の第1壁面311と第1磁性体21の第1主面211との間に位置し、第1回路基板貫通穴52は巻枠貫通穴32に連通していることで、第1磁性体21の第1中間コラム214は、第1回路基板貫通穴52及び巻枠貫通穴32を順次貫通する。第2回路基板本体61は、一体的に形成された第3サブ本体611及び第4サブ本体612を含み、第3サブ本体611の幅W3は、第4サブ本体612の幅W4よりも小さく、第2回路基板貫通穴62は第3サブ本体611に位置する。第2回路基板本体61は第2挿設部315の底面を通って第2挿入穴に挿入されるため、第3サブ本体611の少なくとも一部が第2内凹部に位置し、第4サブ本体612の少なくとも一部が第2挿設部315の底面に位置する。第2回路基板本体61の第3サブ本体611は、巻枠本体31の第2壁面312と第2磁性体22の第2主面221との間に位置し、第2回路基板貫通穴62は巻枠貫通穴32に連通していることで、第2磁性体22の第2中間コラム224は、第2回路基板貫通穴62及び巻枠貫通穴32を順次貫通する。いくつかの実施形態では、第2サブ本体512の幅W2は第1サブ本体511の幅W1以下であり、それによって、第1回路基板本体51は、第1挿設部314の頂面を通って第1挿入穴317に挿入されることができる。第4サブ本体612の幅W4は第3サブ本体611の幅W3以下であり、それによって、第2回路基板本体61は、第2挿設部315の頂面を通って第2挿入穴に挿入されることができる。
【0017】
もちろん、いくつかの実施形態では、トランスは第1挿設部314及び第2挿設部315を含まなくてもよく、第1磁性体21の第1中間コラム214が第1回路基板貫通穴52及び巻枠貫通穴32を順次貫通するだけによって、第1回路基板5を第1磁性体21の第1主面211と巻枠本体31との間に設置する。同様に、第2磁性体22の第2中間コラム224が第2回路基板貫通穴62及び巻枠貫通穴32を順次貫通するだけによって、第2回路基板6を第2磁性体22の第2主面221と巻枠本体31との間に設置することができる。
【0018】
上記のように、本発明のトランスの内側第1コイルは外側第1コイルと巻枠本体の外周面との間に位置し、第2コイルは内側第1コイルと外側第1コイルとの間に位置し、すなわち、外側第1コイル、第2コイル及び内側第1コイルが積層方向に順次設けられるため、従来のトランスの各コイルがコアに不規則に巻かれているのに対し、本発明のトランスの内側第1コイル、外側第1コイル及び第2コイルが上記のように配置されることで、トランスの漏れインダクタンスを大幅に低下させることができるとともに、トランスにおける内側第1コイル、外側第1コイル及び第2コイルの配置が順序的で交互に巻かれにくいため、本発明のトランスは、製造プロセスが簡単で自動化を実現しやすく、製品品質及び寸法が安定しており、製品の共通性が高く、体積が小さいという利点がある。
【符号の説明】
【0019】
1:トランス
2:コア
21:第1磁性体
211:第1主面
212:第1側面
213:第2側面
214:第1中間コラム
22:第2磁性体
221:第2主面
222:第3側面
223:第4側面
224:第2中間コラム
3:巻枠
31:巻枠本体
311:第1壁面
312:第2壁面
313:外周面
314:第1挿設部
315:第2挿設部
316:第1内凹部
317:第1挿入穴
318:第2内凹部
32:巻枠貫通穴
33:巻線空間部
41:第1コイル
42:第2コイル
5:第1回路基板
51:第1回路基板本体
511:第1サブ本体
512:第2サブ本体
52:第1回路基板貫通穴
6:第2回路基板
61:第2回路基板本体
611:第3サブ本体
612:第4サブ本体
62:第2回路基板貫通穴
W1、W2、W3、W4:幅