(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022498
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ICカードリーダ
(51)【国際特許分類】
G06K 7/00 20060101AFI20240208BHJP
G06K 13/06 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G06K7/00 069
G06K13/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114913
(22)【出願日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2022124737
(32)【優先日】2022-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FeliCa
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】梅田 賢
【テーマコード(参考)】
5B023
【Fターム(参考)】
5B023GA09
(57)【要約】
【課題】ICカードの差込量不足を報知可能な構成を提供する。
【解決手段】差込口13を介して差し込まれたICカードCが規定位置まで案内された第1の差込状態を検知するための第1スイッチ16と、差込口13を介して差し込まれたICカードCが上記規定位置に達する手前の差込中間位置まで案内された第2の差込状態を検知するための第2スイッチ17と、第2スイッチ17による第2の差込状態の検知から所定時間経過しても第1スイッチ16による第1の差込状態が検知されない場合に、ICカードCの差込量不足を報知する報知部25とが設けられる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触式のICカードの情報を読み取るICカードリーダであって、
前記ICカードを差し込む差込口と前記差込口を介して差し込まれた前記ICカードを規定位置まで案内する案内路とが設けられる筐体と、
前記規定位置まで案内された前記ICカードの外部接続端子を介して読み取った情報を利用して所定の処理を実施する処理部と、
前記差込口を介して差し込まれた前記ICカードが前記規定位置まで案内された第1の差込状態を検知するための第1の検知部と、
前記差込口を介して差し込まれた前記ICカードが前記規定位置に達する手前の差込中間位置まで案内された第2の差込状態を検知するための第2の検知部と、
前記第2の検知部による前記第2の差込状態の検知から所定時間経過しても前記第1の検知部による前記第1の差込状態が検知されない場合に、前記ICカードの差込量不足を報知する報知部と、
を備えることを特徴とするICカードリーダ。
【請求項2】
前記第2の検知部は、前記ICカードに接触することなく前記第2の差込状態を検知可能な非接触式スイッチとして構成されることを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダ。
【請求項3】
前記第2の検知部は、前記第2の差込状態の前記ICカードによって押圧された一対の端子が接続して通電状態になることで前記第2の差込状態を検知可能な接触式のスイッチとして構成され、
前記一対の端子の一方は、アース又はグランドに接続されることを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダ。
【請求項4】
前記報知部は、前記第1の検知部による前記第1の差込状態の検知後に前記処理部による前記所定の処理を実施できない状態が繰り返されていると、前記ICカードから情報を読み取れない読取異常状態を報知することを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダ。
【請求項5】
前記外部接続端子が前記案内路のカード読取端子に接続されるように前記差込口に対して挿入された前記ICカードの挿入向きを第1挿入向き、前記第1挿入向きに対して前記ICカードの長手方向を基準に表裏反転させた前記ICカードの挿入向きを第2挿入向きとするとき、
前記差込口に対して前記第2挿入向きにて挿入中の前記ICカードの前記外部接続端子に接触することで前記第2挿入向きを検知する第3の検知部を備え、
前記報知部は、前記第3の検知部により前記第2挿入向きが検知されると、前記第2挿入向きを示す報知を行うことを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダ。
【請求項6】
前記第3の検知部は、前記外部接続端子の予備端子に接触するように配置されることを特徴とする請求項5に記載のICカードリーダ。
【請求項7】
前記差込口に対して前記第1挿入向きにて挿入中の前記ICカードの前記外部接続端子に接触することで前記第1挿入向きを検知する第4の検知部を備え、
前記報知部は、前記第4の検知部により前記第1挿入向きが検知されるとともに前記第1の検知部により前記第1の差込状態が検知されている状態で、前記処理部により前記所定の処理が実施できない場合に、前記ICカードから情報を読み取れない読取異常状態を報知することを特徴とする請求項5に記載のICカードリーダ。
【請求項8】
前記ICカードには、前記外部接続端子が設けられる一方の面と異なる他方の面に磁気ストライプが設けられており、
前記第1挿入向きに対して前記ICカードの短手方向を基準に表裏反転させた前記ICカードの挿入向きを第3挿入向き、前記第3挿入向きに対して前記ICカードの長手方向を基準に表裏反転させた前記ICカードの挿入向きを第4挿入向きとするとき、
前記差込口に対して前記第3挿入向きにて挿入中の前記ICカードの前記磁気ストライプに接触することで前記第3挿入向きを検知する第5の検知部を備え、
前記報知部は、前記第5の検知部により前記第3挿入向きが検知されると、前記第3挿入向きを示す報知を行うことを特徴とする請求項5に記載のICカードリーダ。
【請求項9】
前記ICカードには、前記外部接続端子が設けられる一方の面と異なる他方の面に磁気ストライプが設けられており、
前記外部接続端子が前記案内路のカード読取端子に接続されるように前記差込口に対して挿入された前記ICカードの挿入向きを第1挿入向き、前記第1挿入向きに対して前記ICカードの長手方向を基準に表裏反転させた前記ICカードの挿入向きを第2挿入向き、前記第1挿入向きに対して前記ICカードの短手方向を基準に表裏反転させた前記ICカードの挿入向きを第3挿入向き、前記第3挿入向きに対して前記ICカードの長手方向を基準に表裏反転させた前記ICカードの挿入向きを第4挿入向きとするとき、
前記差込口に対して前記第2挿入向きにて挿入中の前記ICカードの前記磁気ストライプに接触することで前記第2挿入向きを検知する第6の検知部と、
前記差込口に対して前記第3挿入向きにて挿入中の前記ICカードの前記磁気ストライプに接触することで前記第3挿入向きを検知する第7の検知部と、
を備え、
前記報知部は、前記第6の検知部により前記第2挿入向きが検知されると、前記第2挿入向きを示す報知を行い、前記第7の検知部により前記第3挿入向きが検知されると、前記第3挿入向きを示す報知を行うことを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダ。
【請求項10】
前記ICカードには、前記外部接続端子が設けられる一方の面と異なる他方の面に磁気ストライプが設けられており、
前記外部接続端子が前記案内路のカード読取端子に接続されるように前記差込口に対して挿入された前記ICカードの挿入向きを第1挿入向き、前記第1挿入向きに対して前記ICカードの長手方向を基準に表裏反転させた前記ICカードの挿入向きを第2挿入向き、前記第1挿入向きに対して前記ICカードの短手方向を基準に表裏反転させた前記ICカードの挿入向きを第3挿入向き、前記第3挿入向きに対して前記ICカードの長手方向を基準に表裏反転させた前記ICカードの挿入向きを第4挿入向きとするとき、
前記差込口に対して前記第2挿入向きにて挿入中の前記ICカードの前記磁気ストライプが撮像可能となることで前記第2挿入向きを検知する第8の検知部と、
前記差込口に対して前記第3挿入向きにて挿入中の前記ICカードの前記磁気ストライプが撮像可能となることで前記第3挿入向きを検知する第9の検知部と、
を備え、
前記報知部は、前記第8の検知部により前記第2挿入向きが検知されると、前記第2挿入向きを示す報知を行い、前記第9の検知部により前記第3挿入向きが検知されると、前記第3挿入向きを示す報知を行うことを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触式のICカードの情報を読み取るICカードリーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、接触式のICカードの情報を読み取るICカードリーダとして、例えば、下記特許文献1に開示されるカード処理装置が知られている。このカード処理装置では、カード挿入口(差込口)にカード案内部及び除電部材が設けられており、カード案内部を利用してカード挿入口に挿入されるICカード表面の静電気を除電部材にて除電することで、ICカードの静電気が筐体内の電子部品に悪影響を及ぼす不都合を回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接触式のICカードをICカードリーダの差込口に差し込んで決済処理等の所定の処理を実施する際、ユーザによるICカードの差込口への差込量(カードストローク)の不足によって、決済処理等が開始されない場合がある。例えば、筐体内部の静電気除去用端子を押しのけるようにICカードが差し込まれる際にその静電気除去用端子からの抗力が大きくなっている場合やICカード自体が変形しているために差込口への差し込み時に生じる接触抵抗が大きくなっている場合には、ICカードを規定位置まで差し込んだとユーザが誤認するために差込量不足が生じてしまう。このような差込量不足によって、ICカードの外部接続端子がICカードリーダのカード読取端子に接触しないために決済処理等が開始されない場合、ユーザ等はその原因を正確に把握できずにICカード又はICカードリーダが損傷等していると誤認する可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ICカードの差込量不足を報知可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
接触式のICカード(C)の情報を読み取るICカードリーダ(10)であって、
前記ICカードを差し込む差込口(13)と前記差込口を介して差し込まれた前記ICカードを規定位置まで案内する案内路(14)とが設けられる筐体(11)と、
前記規定位置まで案内された前記ICカードの外部接続端子を介して読み取った情報を利用して所定の処理を実施する処理部(21)と、
前記差込口を介して差し込まれた前記ICカードが前記規定位置まで案内された第1の差込状態を検知するための第1の検知部(16)と、
前記差込口を介して差し込まれた前記ICカードが前記規定位置に達する手前の差込中間位置まで案内された第2の差込状態を検知するための第2の検知部(17)と、
前記第2の検知部による前記第2の差込状態の検知から所定時間経過しても前記第1の検知部による前記第1の差込状態が検知されない場合に、前記ICカードの差込量不足を報知する報知部(25)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、差込口を介して差し込まれたICカードが規定位置まで案内された第1の差込状態を検知する第1の検知部と、差込口を介して差し込まれたICカードが上記規定位置に達する手前の差込中間位置まで案内された第2の差込状態を検知する第2の検知部と、第2の検知部による第2の差込状態の検知から所定時間経過しても第1の検知部による第1の差込状態が検知されない場合に、ICカードの差込量不足を報知する報知部とが設けられる。
【0008】
これにより、ICカードの差込量が不足している場合には、第2の差込状態が検知されても第1の差込状態が検知されない状態が継続することで、報知部によりICカードの差込量不足が報知される。このため、その報知を受けたユーザ等は、ICカードを利用した所定の処理が実施されない原因が、ICカード又はICカードリーダの損傷等ではなく、ICカードの差込量不足であることを容易に把握でき、その状態を速やかに解消することができる。
【0009】
請求項2の発明では、第2の検知部は、ICカードに接触することなく第2の差込状態を検知可能な非接触式スイッチとして構成される。これにより、第2の検知部がICカードに接触する接触スイッチとして構成される場合と比較して、差し込み時のICカードに対して第2の検知部からの抗力が作用することもない。このため、ICカードを規定位置まで差し込んだと誤認され難くなるので、第2の差込状態を検知する第2の検知部を設ける場合であっても、ICカードの差込量不足を抑制することができる。
【0010】
請求項3の発明では、第2の検知部は、第2の差込状態のICカードによって押圧された一対の端子が接続して通電状態になることで第2の差込状態を検知可能な接触式のスイッチとして構成され、一対の端子の一方は、アース又はグランドに接続される。これにより、第2の検知部をICカード表面の静電気を除去するための部材として兼用することができる。
【0011】
請求項4の発明では、第1の検知部による第1の差込状態の検知後に処理部による所定の処理を実施できない状態が繰り返されていると、ICカードから情報を読み取れない読取異常状態が報知部により報知される。これにより、ICカード又はICカードリーダが損傷等しているために、ICカードが規定位置まで差し込まれていても所定の処理が実施されない場合には、読取異常状態が報知部により報知される。このため、その報知を受けたユーザ等は、ICカードの差込量不足と異なる原因で所定の処理が実施されない読取異常状態であることを容易に把握することができる。
【0012】
請求項5の発明では、外部接続端子が案内路のカード読取端子に接続されるように差込口に対して挿入されたICカードの挿入向きを第1挿入向き、第1挿入向きに対してICカードの長手方向を基準に表裏反転させたICカードの挿入向きを第2挿入向きとするとき、差込口に対して第2挿入向きにて挿入中のICカードの外部接続端子に接触することで第2挿入向きを検知する第3の検知部を備え、報知部は、第3の検知部により第2挿入向きが検知されると、第2挿入向きを示す報知を行う。
【0013】
これにより、第1挿入向きと異なる誤った挿入向きでICカードが差込口に差し込まれたとしても、その誤った挿入向きが第2挿入向きであれば、第2挿入向きを示す報知が報知部により行われる。この報知を受けたユーザ等は、ICカードが誤った挿入向きで差し込まれているだけでなく、そのICカードをその長手方向を基準に表裏反転させることで正しい挿入向きになることを容易に把握することができる。
【0014】
請求項6の発明では、第3の検知部は、外部接続端子の予備端子に接触するように配置されるため、第3の検知部が接触することに起因する外部接続端子の接続不良等を抑制することができる。
【0015】
請求項7の発明では、差込口に対して第1挿入向きにて挿入中のICカードの外部接続端子に接触することで第1挿入向きを検知する第4の検知部を備え、報知部は、第4の検知部により第1挿入向きが検知されるとともに第1の検知部により第1の差込状態が検知されている状態で、処理部により所定の処理が実施できない場合に、ICカードから情報を読み取れない読取異常状態を報知する。
【0016】
これにより、ICカードの外部接続端子やICカードリーダのカード読取端子等が損傷しているために、ICカードが正しい挿入方向(第1挿入方向)で差し込まれていても所定の処理が実施されない場合には、読取異常状態が報知部により報知される。このため、その報知を受けたユーザ等は、ICカードは正しい挿入方向で差し込まれており、ICカードの誤った挿入方向と異なる原因で所定の処理が実施されない読取異常状態であることを容易に把握することができる。
【0017】
請求項8の発明では、ICカードには、外部接続端子が設けられる一方の面と異なる他方の面に磁気ストライプが設けられており、第1挿入向きに対してICカードの短手方向を基準に表裏反転させたICカードの挿入向きを第3挿入向き、第3挿入向きに対してICカードの長手方向を基準に表裏反転させたICカードの挿入向きを第4挿入向きとするとき、差込口に対して第3挿入向きにて挿入中のICカードの磁気ストライプに接触することで第3挿入向きを検知する第5の検知部を備え、報知部は、第5の検知部により第3挿入向きが検知されると、第3挿入向きを示す報知を行う。
【0018】
これにより、第1挿入向きと異なる誤った挿入向きでICカードが差込口に差し込まれたとしても、第2挿入向き又は第3挿入向きであればその旨が報知部により報知される。第2挿入向きを示す報知を受けたユーザ等は、ICカードが誤った挿入向きで差し込まれているだけでなく、そのICカードをその長手方向を基準に表裏反転させることで正しい挿入向きになることを容易に把握することができる。第3挿入向きを示す報知を受けたユーザ等は、ICカードが誤った挿入向きで差し込まれているだけでなく、そのICカードをその短手方向を基準に表裏反転させることで正しい挿入向きになることを容易に把握することができる。さらに、所定の処理が実施されておらず、第2挿入向き及び第3挿入向が検知されない場合には、第4挿入向きを示す報知を行うこともできる。この場合、第4挿入向きを示す報知を受けたユーザ等は、ICカードが誤った挿入向きで差し込まれているだけでなく、そのICカードを表裏反転させることなく180°回転させることで正しい挿入向きになることを容易に把握することができる。
【0019】
請求項9の発明では、ICカードには、外部接続端子が設けられる一方の面と異なる他方の面に磁気ストライプが設けられており、外部接続端子が案内路のカード読取端子に接続されるように差込口に対して挿入されたICカードの挿入向きを第1挿入向き、第1挿入向きに対してICカードの長手方向を基準に表裏反転させたICカードの挿入向きを第2挿入向き、第1挿入向きに対してICカードの短手方向を基準に表裏反転させたICカードの挿入向きを第3挿入向き、第3挿入向きに対してICカードの長手方向を基準に表裏反転させたICカードの挿入向きを第4挿入向きとするとき、差込口に対して第2挿入向きにて挿入中のICカードの磁気ストライプに接触することで第2挿入向きを検知する第6の検知部と、差込口に対して第3挿入向きにて挿入中のICカードの磁気ストライプに接触することで第3挿入向きを検知する第7の検知部と、を備え、報知部は、第6の検知部により第2挿入向きが検知されると、第2挿入向きを示す報知を行い、第7の検知部により第3挿入向きが検知されると、第3挿入向きを示す報知を行う。
【0020】
このようにしても、請求項8の発明と同等の効果を奏する。
【0021】
請求項10の発明では、ICカードには、外部接続端子が設けられる一方の面と異なる他方の面に磁気ストライプが設けられており、外部接続端子が案内路のカード読取端子に接続されるように差込口に対して挿入されたICカードの挿入向きを第1挿入向き、第1挿入向きに対してICカードの長手方向を基準に表裏反転させたICカードの挿入向きを第2挿入向き、第1挿入向きに対してICカードの短手方向を基準に表裏反転させたICカードの挿入向きを第3挿入向き、第3挿入向きに対してICカードの長手方向を基準に表裏反転させたICカードの挿入向きを第4挿入向きとするとき、差込口に対して第2挿入向きにて挿入中のICカードの磁気ストライプが撮像可能となることで第2挿入向きを検知する第8の検知部と、差込口に対して第3挿入向きにて挿入中のICカードの磁気ストライプが撮像可能となることで第3挿入向きを検知する第9の検知部と、を備え、報知部は、第8の検知部により第2挿入向きが検知されると、第2挿入向きを示す報知を行い、第9の検知部により第3挿入向きが検知されると、第3挿入向きを示す報知を行う。
【0022】
このようにしても、請求項9の発明と同等の効果を奏する。特に、第8の検知部及び第9の検知部は、ICカードに接触することなく対応する挿入向きを検知できるので、請求項9の発明と比較して、ICカードの差し込み時に要する力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態に係る決済端末を示す斜視図である。
【
図4】
図1の決済端末を差込口側から見た正面図である。
【
図5】筐体内に設けられる案内路と第1スイッチ及び第2スイッチとの配置関係等を説明する説明図である。
【
図6】
図1の決済端末の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【
図7】ICカードが差込口に差し込まれる際の第1スイッチ及び第2スイッチを利用した検知状態を説明する説明図であり、
図7(A)は、差込口にICカードが差し込まれた直後であって第1の差込状態及び第2の差込状態が検知されていない状態を示し、
図7(B)は、第2の差込状態のみが検知される状態を示し、
図7(C)は、第1の差込状態及び第2の差込状態の双方が検知される状態を示す。
【
図8】第1実施形態の第1変形例に係る決済端末の第2スイッチによる第2の差込状態の検知の流れを説明する説明図であり、
図8(A)は、第2の差込状態が検知されていない状態を示し、
図8(B)は、第2の差込状態が検知された状態を示す。
【
図9】差込口に挿入するICカードの挿入向きを説明する説明図であり、
図9(A)は、第1挿入向きを示し、
図9(B)は、第2挿入向きを示し、
図9(C)は、第3挿入向きを示し、
図9(D)は、第4挿入向きを示す。
【
図10】第2実施形態において筐体内に設けられる案内路と第3スイッチとの配置関係等を説明する説明図である。
【
図11】
図11(A)は、第2挿入向きで挿入中のICカードと第3スイッチとの位置関係を概略的に説明する説明図であり、
図11(B)は、
図11(A)を挿入方向手前側から見た状態を概略的に説明する説明図である。
【
図12】
図12(A)は、ICカードを説明する説明図であり、
図12(B)は、
図12(A)のカード側端子部の各端子を拡大して示す説明図である。
【
図13】第2実施形態において制御部によりなされるICカード決済処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図14】第3実施形態において筐体内に設けられる案内路と第4スイッチとの配置関係等を説明する説明図である。
【
図15】
図15(A)は、第1挿入向きで挿入中のICカードと第4スイッチとの位置関係を概略的に説明する説明図であり、
図15(B)は、
図15(A)を挿入方向手前側から見た状態を概略的に説明する説明図である。
【
図16】第3実施形態において制御部によりなされるICカード決済処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図17】第4実施形態において筐体内に設けられる案内路と磁気検知部との配置関係等を説明する説明図である。
【
図18】
図18(A)は、第3挿入向きで挿入中のICカードと磁気検知部との位置関係を概略的に説明する説明図であり、
図18(B)は、
図18(A)を挿入方向手前側から見た状態を概略的に説明する説明図である。
【
図19】第4実施形態において制御部によりなされるICカード決済処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図20】第5実施形態において筐体内に設けられる案内路と2つの磁気検知部との配置関係等を説明する説明図である。
【
図21】
図21(A)は、第2挿入向きで挿入中のICカードと両磁気検知部との位置関係を概略的に説明する説明図であり、
図21(B)は、
図21(A)を挿入方向手前側から見た状態を概略的に説明する説明図である。
【
図22】
図22(A)は、第3挿入向きで挿入中のICカードと両磁気検知部との位置関係を概略的に説明する説明図であり、
図22(B)は、
図22(A)を挿入方向手前側から見た状態を概略的に説明する説明図である。
【
図23】第5実施形態において制御部によりなされるICカード決済処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図24】第6実施形態において筐体内に設けられる案内路と両カラーセンサとの配置関係等を説明する説明図である。
【
図25】
図25(A)は、第2挿入向きで挿入中のICカードと両カラーセンサとの位置関係を概略的に説明する説明図であり、
図25(B)は、
図25(A)を挿入方向手前側から見た状態を概略的に説明する説明図である。
【
図26】
図26(A)は、第3挿入向きで挿入中のICカードと両カラーセンサとの位置関係を概略的に説明する説明図であり、
図26(B)は、
図26(A)を挿入方向手前側から見た状態を概略的に説明する説明図である。
【
図27】第6実施形態において制御部によりなされるICカード決済処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るICカードリーダを決済端末に適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る決済端末10は、決済情報が記録された接触式のICカード(以下、ICカードCともいう)の情報を読み取るICカードリーダとして機能するもので、ICカードCから読み取った決済情報を利用したICカード決済用の決済処理を行うように構成されている。特に、決済端末10は、ICカードCを利用したICカード決済だけでなく、購入者が複数の決済方式を選択可能なタッチパネル式の端末として構成されており、購入者がタッチ操作可能に店舗のカウンタ上に載置された状態で、上位機器となるPOS端末(図示略)に接続されて使用される。本実施形態では、複数の決済方式として、クレジットカード決済や電子マネー決済等が選択可能とされており、クレジットカード決済としては、上述したICカード決済に加えて、例えば、磁気カード決済などが想定される。
【0025】
図1~
図4に示すように、決済端末10は、その外郭を構成する筐体11の上面にタッチパネル23の操作面23aが配置され、この操作面23aに対して、購入者から見て右側となる位置に磁気カード用のスロット12が設けられ、購入者から見て手前側となる位置にICカード用の差込口13が設けられている。
【0026】
図5に示すように、筐体11内には、差込口13を介して差し込まれたICカードCを規定位置まで案内するための案内路14が設けられている。この案内路14には、規定位置まで案内されたICカードCの外部接続端子(図示略)に接続するカード読取端子15と、ICカードCの差込状態を検知するための第1スイッチ16及び第2スイッチ17とが設けられている。また、案内路14の最奥部には、規定位置まで案内されたICカードCの差込側の縁に接触した状態で、カード読取端子15に外部接続端子が接続する位置にICカードCを保持するための保持部14aが設けられている。また、案内路14には、差込口13を介して差し込まれたICカードCの表面の静電気を除電するための除電部材(図示略)が設けられている。なお、
図5及び後述する
図7では、便宜上、断面で示す部材の一部のみにハッチングを付している。
【0027】
第1スイッチ16は、差込口13を介して差し込まれたICカードCが上記規定位置まで案内された差込状態(以下、第1の差込状態ともいう)時にON状態となる接触式スイッチとして構成されている。第1スイッチ16は、第1の差込状態を検知するため、
図5に示すように、案内路14の最奥部に設置されて、保持部14aによる保持状態のICカードCを、カード読取端子15とともに上下から挟持するように配置されている。なお、第1スイッチ16は、「第1の検知部」の一例に相当し得る。
【0028】
第2スイッチ17は、差込口13を介して差し込まれたICカードCが上記規定位置に達する手前の差込中間位置まで案内された差込状態(以下、第2の差込状態ともいう)時にON状態となる接触式スイッチとして構成されている。第2スイッチ17は、
図5に示すように、差し込まれたICカードCによって押し上げられる弾性変形可能な可動端子17aと基板面等に設けられる固定端子17bとを備えている。第2スイッチ17は、第2の差込状態のICカードCによって押し上げられるように押圧された可動端子17aと固定端子17bとが接続して通電状態になることで、ON状態となって第2の差込状態を検知するように構成されている。本実施形態では、第2スイッチ17をICカード表面の静電気を除去するための部材として兼用するため、可動端子17a及び固定端子17bの一方は、アース又はグランドに接続されている。なお、第2スイッチ17は、「第2の検知部」の一例に相当し、可動端子17a及び固定端子17bは、「一対の端子」の一例に相当し得る。
【0029】
また、筐体11内には、決済端末10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、半導体メモリ等からなる記憶部22とともに情報処理装置を構成している。記憶部22には、各種の決済処理を実行するためのプログラムや後述するタッチ操作に応じた入力処理を実行するためのプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。
【0030】
また、
図6に示すように、決済端末10は、上述した制御部21及び記憶部22に加えて、タッチパネル23、操作部24、報知部25、外部インタフェース26、決済情報読取部27などを備えている。タッチパネル23は、公知のタッチパネル型の表示装置として構成されており、液晶表示器等の公知の表示デバイスとして構成される表示部と、この表示部の表示画面に重ねられて当該表示画面に対して押圧操作(接触)している範囲を操作面23aとして検出可能な透明性の操作パネルとを備えている。このタッチパネル23は、制御部21によって表示部の表示内容が制御される。操作部24は、上記操作パネルと筐体の側面等に設けられる1又は2以上のキーとを備えるように構成されることで、タッチパネル23の操作面23aに対するタッチ操作やキー操作に応じた信号を制御部21に出力するように構成される。
【0031】
報知部25は、LEDなどの発光部やスピーカ、ブザー等を備えており、制御部21による制御によって発光部の発光状態やスピーカの報音状態、ブザーの鳴動状態等が制御されることで、ユーザに対して決済処理等に関する所定の報知を行うように構成されている。外部インタフェース26は、POS端末等の外部機器との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行うように機能する。
【0032】
決済情報読取部27は、ICカード用の読取部(以下、ICカード読取部27aともいう)と、磁気カード用の読取部(以下、磁気カード読取部27bともいう)と、電子マネー(携帯アプリ,Felica等)や非接触式のクレジットカード用の非接触通信部27cとを備えている。
【0033】
ICカード読取部27aは、上記規定位置まで差し込まれたICカードCの外部接続端子に接続するカード読取端子15を介して当該ICカードCのICチップから読み取った決済情報を制御部21に出力するように構成されている。
【0034】
磁気カード読取部27bは、スロット12をスワイプされる磁気カードから読み取った決済情報を制御部21に出力するように構成されている。非接触通信部27cは、所定の読取面にかざされた電子マネー(携帯アプリ,Felica等)や非接触式のクレジットカード用の媒体から読み取った決済情報を制御部21に出力するように構成されている。
【0035】
次に、上述のように構成される決済端末10において、ICカードCを利用したICカード決済時に、制御部21にてなされるICカード決済処理及び差込量不足報知処理等について、以下に説明する。
【0036】
本実施形態に係るICカード決済処理は、第1スイッチ16及び第2スイッチ17を利用してICカードCの第2の差込状態及び第1の差込状態が順に検知されることで開始される。具体的には、制御部21により、第1スイッチ16のON/OFF状態及び第2スイッチ17のON/OFF状態が監視されている。そして、ユーザがICカードCを差込口13から差し込み(
図7(A)参照)、第2スイッチ17がON状態になって第2の差込状態が検知された後に(
図7(B)参照)、第1スイッチ16がON状態になって第1の差込状態が検知されることで(
図7(C)参照)、ICカード決済処理が開始される。
【0037】
このICカード決済処理の開始時には、ICカードCが規定位置まで差し込まれていることを示す所定の報知(第1の報知)が、制御部21により制御された報知部25の発光部の発光状態やスピーカの報音状態、ブザーの鳴動状態等を利用して行われる。そして、制御部21では、第1の差込状態のICカードCからICカード読取部27aによって読み取られた決済情報を利用した決済処理が実施される。なお、制御部21は、規定位置まで案内されたICカードCの外部接続端子を介して読み取った情報を利用して所定の処理を実施する「処理部」の一例に相当し得る。
【0038】
一方、
図7(B)に例示するように、ユーザによるICカードCの差込口13への差込量が不足していると、第2スイッチ17がON状態になっても第1スイッチ16がON状態にならないため、制御部21によってICカード決済処理が開始されることはない。
【0039】
このため、本実施形態では、第2スイッチ17がON状態になってから所定時間(例えば、2秒間)経過しても第1スイッチ16がON状態にならない場合、すなわち、第2の差込状態の検知から所定時間経過しても第1の差込状態が検知されない場合には、制御部21によって差込量不足報知処理がなされる。
【0040】
この差込量不足報知処理では、ICカードCの差込量不足を示す所定の報知(第2の報知)が、制御部21により制御された報知部25の発光部の発光状態やスピーカの報音状態、ブザーの鳴動状態等を利用して行われる。具体的には、例えば、制御部21により制御されたスピーカにより「ICカードを奥まで差し込んで下さい」などの音声ガイダンス等が実施される。これにより、差込口13から差し込んだICカードCが差込量不足であるために、さらにICカードCを奥側へ差し込む必要があることを、ユーザに対して報知することができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10では、差込口13を介して差し込まれたICカードCが規定位置まで案内された第1の差込状態を検知するための第1スイッチ16と、差込口13を介して差し込まれたICカードCが上記規定位置に達する手前の差込中間位置まで案内された第2の差込状態を検知するための第2スイッチ17と、第2スイッチ17による第2の差込状態の検知から所定時間経過しても第1スイッチ16による第1の差込状態が検知されない場合に、ICカードCの差込量不足を報知する報知部25とが設けられる。
【0042】
これにより、ICカードCの差込量が不足している場合には、第2の差込状態が検知されても第1の差込状態が検知されない状態が継続することで、報知部25によりICカードCの差込量不足が報知される。このため、その報知を受けたユーザ等は、ICカードCを利用したICカード決済処理が実施されない原因が、ICカードC又は決済端末10の損傷等ではなく、ICカードCの差込量不足であることを容易に把握でき、その状態を速やかに解消することができる。
【0043】
特に、第2スイッチ17は、第2の差込状態のICカードCによって押圧された可動端子17aと固定端子17bとが接続して通電状態になることで第2の差込状態を検知可能な接触式のスイッチとして構成され、可動端子17a及び固定端子17bの一方は、アース又はグランドに接続される。これにより、第2スイッチ17をICカード表面の静電気を除去するための部材として兼用することができる。
【0044】
なお、本実施形態の第1変形例として、第2の差込状態を検知するための第2の検知部として、第2スイッチ17に代えて、ICカードCに接触することなく第2の差込状態を検知可能な非接触式スイッチとして構成される第2スイッチ18が採用されてもよい。具体的には、第2スイッチ18は、
図8に例示するように、案内路14の下側面等に配置される投光部18aと上側面等に配置される受光部18bとを備える光電センサとして構成されて、投光部18aから投光された光が受光部18bにて受光される状態(
図8(A)参照)から受光部18bにて受光されない状態(
図8(B)参照)に変わる場合に、ICカードCの第2の差込状態が検知される。
【0045】
これにより、第2スイッチ17のように第2の検知部がICカードCに接触する接触スイッチとして構成される場合と比較して、差し込み時のICカードCに対して非接触式スイッチである第2スイッチ18からの抗力が作用することもない。このため、ICカードCを規定位置まで差し込んだと誤認され難くなるので、第2の差込状態を検知する第2の検知部を設ける場合であっても、ICカードCの差込量不足を抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態の第2変形例として、第1スイッチ16を利用した第1の差込状態の検知後に制御部21によるICカード決済処理を実施できない状態が繰り返されていると、ICカードCから情報を読み取れない読取異常状態を、制御部21により制御された報知部25の発光部の発光状態やスピーカの報音状態、ブザーの鳴動状態等を利用して報知してもよい。具体的には、例えば、ICカード決済処理が実施されることなく所定回数連続して第1の差込状態が検知された場合やICカード決済処理が実施されることなく第1の差込状態が検知される状態が所定時間継続した場合等に、上述した読取異常状態を報知部25によって報知する。
【0047】
これにより、ICカードC又は決済端末10が損傷等しているために、ICカードCが規定位置まで差し込まれていてもICカード決済処理が実施されない場合には、読取異常状態が報知部25により報知される。このため、その報知を受けたユーザ等は、ICカードCの差込量不足と異なる原因でICカード決済処理が実施されない読取異常状態であることを容易に把握することができる。
【0048】
そして、上述した読取異常状態の報知時には、読取異常確認用に別途用意されたICカードを差込口13に差し込んでそのICカードから読取異常確認用の情報が読み取られた場合に、ICカードCが損傷等していることを報知部25によって報知してもよい。また、このような構成では、読取異常状態の報知時に読取異常確認用のICカードから読取異常確認用の情報が読み取られない場合に、決済端末10が損傷等していると判断することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明に係るICカードリーダを決済端末に適用した第2実施形態について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、誤った第2挿入向きでICカードCが差込口13に差し込まれた場合にその旨を報知する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
ICカードCが上記規定位置まで差し込まれていたとしても、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれていると、そのICカードCから決済情報が読み取られないため、ICカード決済処理が完了しない。例えば、ICカードCの表面(一方の面)に配置される外部接続端子Ctがカード読取端子15に接続されるように差込口13に対して挿入されたICカードCの挿入向き(正しい挿入向き)を第1挿入向き(
図9(A)参照)とするとき、この第1挿入向きに対してICカードCの長手方向を基準(長辺を軸)に表裏反転させた挿入向き(第2挿入向き:
図9(B)参照)でICカードCが差し込まれていると、ICカード決済処理が完了しない。
【0051】
同様に、第1挿入向きに対してICカードCの短手方向を基準(短辺を軸)に表裏反転させた挿入向き(第3挿入向き:
図9(C)参照)や、第3挿入向きに対してICカードCの長手方向を基準に表裏反転させた挿入向き(第4挿入向き:
図9(D)参照)でも、ICカード決済処理が完了しない。なお、第4挿入向きは、第1挿入向きに対してICカードCを表裏反転させることなく180°回転させた挿入向きとなる。また、
図9では、ICカードCの裏面(他方の面)に配置される磁気ストライプ(磁気記録部分)に符号Cmを付して図示している。
【0052】
上述のようにICカードCが第2挿入向き等で差し込まれていると、ユーザ(購入者)がICカードCを誤った挿入向きで差し込んでいることに気づいたとしても、そのICカードCの挿入向きをどのように変えれば正しい挿入向きになるか容易に把握できない場合がある。このような場合、数回挿入向きを変えて試すことになり、ユーザにストレスを感じさせてしまうという問題がある。特に、視覚障害者等であれば、上記問題がより顕著になる。
【0053】
このため、本実施形態では、
図10に示すように、第2挿入向きを検知するための第3スイッチ30が案内路14に設けられている。第3スイッチ30は、一対の端子部31,32を備えており、
図11(A)(B)に示すように、差込口13に対して第2挿入向きにて挿入中のICカードCの外部接続端子Ctに対して端子部31及び端子部32が同時に接触することで導通状態となるスイッチとして構成されている。この第3スイッチ30の導通状態は制御部21により監視されている。なお、
図11(A)では、ICカードCに対して相対移動する第3スイッチ30の軌跡を符号30aにて図示している。また、第3スイッチ30は、「第3の検知部」の一例に相当し得る。
【0054】
ICカードCは、そのカードサイズが国際規格ISO/IEC 7810のID-1に従ったサイズ(85.60 mm×53.98mm)であり、
図12(A)に示すように、所定の位置にICチップの外部接続用の端子となる外部接続端子Ctが配置されている。外部接続端子Ctは、
図12(B)に示すように、国際規格ISO/IEC 7816-2で定義されるCt1~Ct8の8個の端子が所定の配列パターンにて配列されるように構成されている。端子Ct1は電源端子(VCC)であり、端子Ct2は、リセット端子(RST)であり、端子Ct3は、クロック端子(CLK)であり、端子Ct5は、グランド端子(GND)であり、端子Ct6は、プログラム供給電圧用の端子であり、端子Ct7は、通信用のデータ入出力端子(I/O)である。また、端子Ct4及び端子Ct8は、予備端子であって、
図12(A)に示すICカードCの長手方向(長辺)に沿う所定の基準線CL上に位置するように配置されている。
【0055】
第3スイッチ30は、端子部31及び端子部32が、第2挿入向きにて挿入中のICカードCに対して基準線CLに沿って接触するように配置されている。より具体的には、第3スイッチ30は、端子部31及びICカードCの表面の接触位置と端子部32及びICカードCの表面の接触位置との中間位置が基準線CL上となるように配置されている。
【0056】
ICカードCは、通常、外部接続端子Ctが配置される表面と磁気ストライプCmが配置される裏面とは、外部接続端子Ctを除いて、絶縁(非導通)されている。このため、第3スイッチ30は、第2挿入向きにて挿入中のICカードCの外部接続端子Ct(端子Ct4又は端子Ct8)が端子部31,32に同時に接触するタイミングで導通状態になる。一方、第3スイッチ30は、第2挿入向きと異なる挿入向き(第1挿入向き,第3挿入向き,第4挿入向き)では、端子部31,32が同時に導通部分に接触しないため、導通状態にはならない。
【0057】
そこで、本実施形態では、制御部21にてなされるICカード決済処理にて、決済情報の読み取りに失敗した場合に、端子部31及び端子部32の導通状態の検出に応じて第2挿入向きを検知して、第2挿入向きを示す報知を行う。
【0058】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされるICカード決済処理について、
図13に示すフローチャートを参照して説明する。
本実施形態においても、第2スイッチ17がON状態になって第2の差込状態が検知された後に、第1スイッチ16がON状態になって第1の差込状態が検知されることで、ICカード決済処理が開始される。
【0059】
本実施形態におけるICカード決済処理では、まず、
図13のステップS101に示すICカード読取処理により、ICカード読取部27aによってICカードCから決済情報を読み取るために処理がなされる。決済情報の読み取りが成功すると(S102でYes)、ステップS103に示す決済情報通信処理にて、読み取った決済情報が外部インタフェース26を介してPOS端末に出力されることで、本ICカード決済処理が完了する。
【0060】
一方、決済情報の読み取りに失敗すると(S102でNo)、ステップS104の判定処理にて、差込口13に対して挿入されたICカードCの挿入向きが第2挿入向きであるか否かについて判定される。
【0061】
ここで、第1の差込状態が検知される直前に、
図11(A)(B)に示すように、端子部31,32がICカードCの外部接続端子Ctに接触することで第3スイッチ30が導通状態になっていると、第2挿入向きが検知される(S104でYes)。
【0062】
この場合には、ステップS105に示す第2挿入向き報知処理がなされる。この処理では、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれており、かつ、そのICカードCをその長手方向を基準(長辺を軸)に表裏反転させることで正しい挿入向きになることを示す情報が、制御部21により制御された報知部25の発光部の発光状態やスピーカの報音状態、ブザーの鳴動状態やタッチパネル23による表示等を利用して報知される。その後、ステップS107の判定処理にて、ICカードCが再差し込みされているか否か(第1スイッチ16がOFF状態になった後で再び第1スイッチ16がON状態になっているか否か)について判定される。
【0063】
上記報知を受けたユーザが正しい挿入向きでICカードCを差込口13に再び差し込んだ場合には(S107でYes)、そのICカードCから決済情報の読み取りが成功することで(S102でYes)、読み取った決済情報が上述のようにPOS端末に出力される(S103)。
【0064】
一方、第3スイッチ30が導通状態になっていないことから第2挿入向きが検知されていない場合には(S104でNo)、ステップS106に示す他挿入向き報知処理がなされる。この処理では、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれており、かつ、そのICカードCをその短手方向を基準(短辺を軸)に表裏反転させるか表裏反転させることなく180°回転させることで正しい挿入向きになることを示す情報が、制御部21により制御された報知部25の発光部の発光状態やスピーカの報音状態、ブザーの鳴動状態やタッチパネル23による表示等を利用して報知される。その後、上述したステップS107以降の処理がなされる。
【0065】
第3挿入向き時に上記報知を受けたユーザがICカードCをその短手方向を基準に表裏反転させて再び差し込んだ場合には(S107でYes)、そのICカードCから決済情報の読み取りが成功することで(S102でYes)、読み取った決済情報が上述のようにPOS端末に出力される(S103)。また、第4挿入向き時に上記報知を受けたユーザがICカードCを表裏反転させることなく180°回転させて再び差し込んだ場合には(S107でYes)、そのICカードCから決済情報の読み取りが成功することで(S102でYes)、読み取った決済情報が上述のようにPOS端末に出力される(S103)。
【0066】
一方、第4挿入向き時に上記報知を受けたユーザがICカードCをその短手方向を基準に表裏反転させて再び差し込んだ場合には(S107でYes)、第2挿入向きになるために決済情報の読み取りに失敗して(S102でNo,S104でYes)、上記第2挿入向き報知処理がなされる(S105)。また、第3挿入向き時に上記報知を受けたユーザがICカードCを表裏反転させることなく180°回転させて再び差し込んだ場合にも(S107でYes)、第2挿入向きになるために決済情報の読み取りに失敗するため(S102でNo,S104でYes)、上記第2挿入向き報知処理がなされる(S105)。なお、上記他挿入向き報知処理では、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれていることのみ報知してもよい。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10では、差込口13に対して第2挿入向きにて挿入中のICカードCの外部接続端子Ctに接触することで第2挿入向きを検知する第3の検知部となる第3スイッチ30を備え、第3スイッチ30を利用して第2挿入向きが検知されると(S104でYes)、第2挿入向きを示す報知処理が行われる(S105)。
【0068】
これにより、第1挿入向き(正しい挿入向き)と異なる誤った挿入向きでICカードCが差込口13に差し込まれたとしても、その誤った挿入向きが第2挿入向きであれば、第2挿入向きを示す報知が報知部25等を利用して行われる。この報知を受けたユーザ等は、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれているだけでなく、そのICカードCをその長手方向を基準に表裏反転させることで正しい挿入向きになることを容易に把握することができる。
【0069】
特に、第3スイッチ30は、第2挿入向き時に、端子部31,32にて外部接続端子Ctの予備端子である端子Ct4,Ct8に接触するように配置されるため、第3スイッチ30の端子部31,32が接触することに起因する外部接続端子Ctの接続不良等を抑制することができる。
【0070】
[第3実施形態]
次に、本発明に係るICカードリーダを決済端末に適用した第3実施形態について、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、第1挿入向きが検知される状態でICカードCから決済情報が読み取られない場合に、読取異常状態を報知する点が、上記第2実施形態と主に異なる。したがって、第2実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
ICカードCの外部接続端子Ctや決済端末10のカード読取端子15等が損傷しているために、ICカードCが正しい挿入方向(第1挿入方向)で差込口13に差し込まれていても、決済情報が読み取られないためにICカード決済処理が完了しない場合がある。
【0072】
このため、本実施形態では、
図14に示すように、第1挿入向きを検知するための第4スイッチ40が案内路14に設けられている。第4スイッチ40は、一対の端子部41,42を備えており、
図15(A)(B)に示すように、差込口13に対して第1挿入向きにて挿入中のICカードCの外部接続端子Ctに対して端子部41及び端子部42が同時に接触することで導通状態となるスイッチとして構成されている。この第4スイッチ40の導通状態は制御部21により監視されている。なお、
図15(A)では、ICカードCに対して相対移動する第4スイッチ40の軌跡を符号40aにて図示している。また、第4スイッチ40は、「第4の検知部」の一例に相当し得る。
【0073】
第4スイッチ40は、端子部41及び端子部42が、第1挿入向きにて挿入中のICカードCに対して基準線CLに沿って接触するように配置されている。より具体的には、第4スイッチ40は、端子部41及びICカードCの表面の接触位置と端子部42及びICカードCの表面の接触位置との中間位置が基準線CL上となるように配置されている。このため、第4スイッチ40は、第1挿入向きにて挿入中のICカードCの外部接続端子Ct(端子Ct4又は端子Ct8)が端子部41,42に同時に接触するタイミングで導通状態になる。一方、第4スイッチ40は、第1挿入向きと異なる挿入向き(第2挿入向き,第3挿入向き,第4挿入向き)では、端子部41,42が同時に導通部分に接触しないため、導通状態にはならない。
【0074】
本実施形態では、上記第1の差込状態が検知されていることから制御部21にてなされるICカード決済処理にて、第4スイッチ40を利用して第1挿入向きが検知される状態で、ICカードCから決済情報が読み取られない場合に、読取異常状態を報知する。なお、ICカードCから決済情報が読み取られない場合は、処理部として機能する制御部21により「所定の処理」が実施できない場合の一例に相当し得る。
【0075】
具体的には、
図16に示すフローチャートのように、決済情報の読み取りが失敗した場合に(S102でNo)、ステップS201に示す判定処理にて、差込口13に対して挿入されたICカードCの挿入向きが第1挿入向きであるか否かについて判定される。
【0076】
ここで、第1の差込状態が検知される直前に、
図15(A)(B)に示すように、端子部41,42がICカードCの外部接続端子Ctに接触することで第4スイッチ40が導通状態になっていると、第1挿入向きが検知される(S201でYes)。
【0077】
この場合には、ステップS202に示す読取異常報知処理がなされる。この処理では、ICカードCが正しい挿入向きで差し込まれているが、そのICカードCから決済情報を読み取れない状態であることを示す情報が、制御部21により制御された報知部25の発光部の発光状態やスピーカの報音状態、ブザーの鳴動状態やタッチパネル23による表示等を利用して報知されて、本ICカード決済処理が終了する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10では、差込口13に対して第1挿入向きにて挿入中のICカードCの外部接続端子Ctに接触することで第1挿入向きを検知する第4の検知部となる第4スイッチ40を備え、第4スイッチ40を利用して第1挿入向きが検知されるとともに上記第1の差込状態が検知されている状態で、ICカードCから決済情報が読み取られない場合に、ICカードCから情報を読み取れない読取異常状態を報知する(S202)。
【0079】
これにより、ICカードCの外部接続端子Ctや決済端末10のカード読取端子15等が損傷しているために、ICカードCが正しい挿入方向(第1挿入方向)で差し込まれていても決済情報が読み取られない場合には、読取異常状態が報知部25等を利用して報知される。このため、その報知を受けたユーザ等は、ICカードCは正しい挿入方向で差し込まれており、ICカードの誤った挿入方向と異なる原因で決済情報が読み取られない読取異常状態であることを容易に把握することができる。
【0080】
[第4実施形態]
次に、本発明に係るICカードリーダを決済端末に適用した第4実施形態について、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、第3挿入向き及び第4挿入向きをも検知して報知する点が、上記第3実施形態と主に異なる。したがって、第3実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
本実施形態では、
図17に示すように、第3挿入向きを検知するための磁気検知部50が案内路14に設けられている。磁気検知部50は、磁気カード読取部27bに設けられる磁気ヘッド等に相当するもので、
図18(A)(B)に示すように、差込口13に対して第3挿入向きにて挿入中のICカードCの磁気ストライプCmに接触した磁気接触状態を検出する検知部として構成されている。この磁気検知部50の磁気接触状態は制御部21により監視されている。なお、
図18(A)では、ICカードCに対して相対移動する磁気検知部50の軌跡を符号50aにて図示している。また、磁気検知部50は、「第5の検知部」の一例に相当し得る。
【0082】
本実施形態では、上記第1の差込状態が検知されていることから制御部21にてなされるICカード決済処理にて、磁気検知部50を利用した磁気接触状態の検出に応じて第3挿入向きを検知して、第3挿入向きを示す報知を行う。
【0083】
具体的には、
図19に示すフローチャートのように、差込口13に対して挿入されたICカードCの挿入向きが第1挿入向き及び第2挿入向きのいずれでもない場合に(S201,S104でNo)、ステップS301の判定処理にて、差込口13に対して挿入されたICカードCの挿入向きが第3挿入向きであるか否かについて判定される。
【0084】
ここで、
図18(A)(B)に示すように、ICカードCの磁気ストライプCmに接触する磁気検知部50によって磁気接触状態が検出されることで、第3挿入向きが検知される(S301でYes)。
【0085】
この場合には、ステップS302に示す第3挿入向き報知処理がなされる。この処理では、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれており、かつ、そのICカードCをその短手方向を基準(短辺を軸)に表裏反転させることで正しい挿入向きになることを示す情報が、制御部21により制御された報知部25の発光部の発光状態やスピーカの報音状態、ブザーの鳴動状態やタッチパネル23による表示等を利用して報知される。その後、ステップS107の判定処理にて、ICカードCが再差し込みされているか否かについて判定される。
【0086】
上記報知を受けたユーザが正しい挿入向きでICカードCを差込口13に再び差し込んだ場合には(S107でYes)、そのICカードCから決済情報の読み取りが成功することで(S102でYes)、読み取った決済情報が上述のようにPOS端末に出力される(S103)。
【0087】
一方、磁気検知部50によって磁気接触状態が検出されていない場合には(S301でNo)、第4挿入向きでICカードCが差込口13に差し込まれていることが明らかであるため、ステップS303に示す第4挿入向き報知処理がなされる。この処理では、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれており、かつ、そのICカードCを表裏反転させることなく180°回転させることで正しい挿入向きになることを示す情報が、制御部21により制御された報知部25の発光部の発光状態やスピーカの報音状態、ブザーの鳴動状態やタッチパネル23による表示等を利用して報知される。その後、ステップS107の判定処理にて、ICカードCが再差し込みされているか否かについて判定される。
【0088】
上記報知を受けたユーザが正しい挿入向きでICカードCを差込口13に再び差し込んだ場合には(S107でYes)、そのICカードCから決済情報の読み取りが成功することで(S102でYes)、読み取った決済情報が上述のようにPOS端末に出力される(S103)。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10では、差込口13に対して第3挿入向きにて挿入中のICカードCの磁気ストライプCmに接触することで第3挿入向きを検知する第5の検知部となる磁気検知部50を備え、磁気検知部50を利用して第3挿入向きが検知されると(S301でYes)、第3挿入向きを示す報知を行う(S302)。第3挿入向きが検知されない場合には(S301でNo)、第4挿入向きを示す報知を行う(S303)。
【0090】
これにより、第1挿入向きと異なる誤った挿入向きでICカードCが差込口13に差し込まれたとしても、第2挿入向き又は第3挿入向きであればその旨が報知部25等を利用して報知される。第2挿入向きを示す報知を受けたユーザ等は、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれているだけでなく、そのICカードCをその長手方向を基準に表裏反転させることで正しい挿入向きになることを容易に把握することができる。第3挿入向きを示す報知を受けたユーザ等は、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれているだけでなく、そのICカードCをその短手方向を基準に表裏反転させることで正しい挿入向きになることを容易に把握することができる。さらに、第2挿入向き及び第3挿入向が検知されない場合には、第4挿入向きを示す報知を行うことができる。この場合、第4挿入向きを示す報知を受けたユーザ等は、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれているだけでなく、そのICカードCを表裏反転させることなく180°回転させることで正しい挿入向きになることを容易に把握することができる。
【0091】
[第5実施形態]
次に、本発明に係るICカードリーダを決済端末に適用した第5実施形態について、図面を参照して説明する。
本第5実施形態では、2つの磁気検知部を利用することで各挿入向きを検知して報知する点が、上記第4実施形態と主に異なる。したがって、第4実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0092】
本実施形態に係る決済端末10は、上述した第4実施形態に対して、
図20に示すように、第3スイッチ30及び第4スイッチ40を廃止して、上述した磁気検知部50と第2挿入向きを検知するための磁気検知部60とが案内路14に設けられるように構成されている。
【0093】
磁気検知部60は、磁気カード読取部27bに設けられる磁気ヘッド等に相当するもので、
図21及び
図22に示すように、差込口13に対して第2挿入向きにて挿入中のICカードCの磁気ストライプCmに接触した磁気接触状態を検出する検知部として構成されている。この磁気検知部60の磁気接触状態は制御部21により監視されている。なお、
図21(A)では、ICカードCに対して相対移動する磁気検知部60の軌跡を符号60aにて図示しており、
図22(A)では、ICカードCに対して相対移動する磁気検知部50の軌跡を符号50aにて図示している。また、本実施形態では、磁気検知部60は、第2挿入向きを検知する「第6の検知部」の一例に相当し、磁気検知部50は、第3挿入向きを検知する「第7の検知部」の一例に相当し得る。
【0094】
本実施形態では、上記第1の差込状態が検知されていることから制御部21にてなされるICカード決済処理にて、磁気検知部60を利用した磁気接触状態の検出に応じて第2挿入向きを検知して、第2挿入向きを示す報知を行う。同様に、磁気検知部50を利用した磁気接触状態の検出に応じて第3挿入向きを検知して、第3挿入向きを示す報知を行う。
【0095】
具体的には、
図23に示すフローチャートのように、決済情報の読み取りに失敗すると(S102でNo)、ステップS104aの判定処理にて、差込口13に対して挿入されたICカードCの挿入向きが第2挿入向きであるか否かについて判定される。
【0096】
本実施形態では、
図21(A)(B)に示すように、磁気検知部60がICカードCの磁気ストライプCmに接触した磁気接触状態が検出されていると、第2挿入向きが検知される(S104aでYes)。この場合には、上述したステップS105に示す第2挿入向き報知処理がなされる。
【0097】
一方、
図22(A)(B)に示すように、磁気検知部50がICカードCの磁気ストライプCmに接触した磁気接触状態が検出されていると、第2挿入向きが検知されず(S104aでNo)、第3挿入向きが検知される(S301aでYes)。この場合には、上述したステップS302に示す第3挿入向き報知処理がなされる。また、磁気検知部60及び磁気検知部50の双方で磁気接触状態が検出されないために、第2挿入向き及び第3挿入向きが検知されない場合には(S104a,S301aでNo,)、上述したステップS303に示す第4挿入向き報知処理がなされる。
【0098】
上記報知を受けたユーザが正しい挿入向きでICカードCを差込口13に再び差し込んだ場合には(S107でYes)、そのICカードCから決済情報の読み取りが成功することで(S102でYes)、読み取った決済情報が上述のようにPOS端末に出力される(S103)。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10では、差込口13に対して第2挿入向きにて挿入中のICカードCの磁気ストライプCmに接触することで第2挿入向きを検知する第6の検知部となる磁気検知部60と、差込口13に対して第3挿入向きにて挿入中のICカードCの磁気ストライプCmに接触することで第3挿入向きを検知する第7の検知部となる磁気検知部50と、を備え、磁気検知部60を利用して第2挿入向きが検知されると(S104aでYes)、第2挿入向きを示す報知を行い(S105)、磁気検知部50を利用して第3挿入向きが検知されると(S301aでYes)、第3挿入向きを示す報知を行う(S302)。第2挿入向き及び第3挿入向きが検知されない場合には(S104a,S301aでNo)、第4挿入向きを示す報知を行う(S303)。
【0100】
これにより、第1挿入向きと異なる誤った挿入向きでICカードCが差込口13に差し込まれたとしても、その誤った挿入向きを示す報知が報知部25等を利用して行われる。この報知を受けたユーザ等は、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれているだけでなく、そのICカードCの挿入向きをどのように変えることで正しい挿入向きになるかを容易に把握することができる。
【0101】
[第6実施形態]
次に、本発明に係るICカードリーダを決済端末に適用した第6実施形態について、図面を参照して説明する。
本第6実施形態では、2つの磁気検知部に代えて2つのカラーセンサを利用して各挿入向きを検知して報知する点が、上記第5実施形態と主に異なる。したがって、第5実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0102】
本実施形態に係る決済端末10は、上述した第5実施形態に対して、
図24に示すように、磁気検知部50及び磁気検知部60に代えて、カラーセンサ70及びカラーセンサ80が案内路14に設けられるように構成されている。
【0103】
カラーセンサ70及びカラーセンサ80は、磁気ストライプCmを撮像して認識するためのセンサである。カラーセンサ70は、
図25(A)(B)に示すように、差込口13に対して第2挿入向きにて挿入中のICカードCの磁気ストライプCmが近距離で撮像可能となる位置に配置されている。カラーセンサ80は、
図26(A)(B)に示すように、差込口13に対して第3挿入向きにて挿入中のICカードCの磁気ストライプCmが近距離で撮像可能となる位置に配置されている。カラーセンサ70及びカラーセンサ80は、所定の隙間を介して磁気ストライプCmを近距離撮像している撮像状態(撮像領域に占める黒色領域の比率が一定時間継続して所定値以上となる撮像状態)時に、磁気検知信号を制御部21に出力するように構成されている。なお、
図25(A)では、ICカードCに対して相対移動するカラーセンサ70の撮像範囲の軌跡を符号70aにて図示しており、
図26(A)では、ICカードCに対して相対移動するカラーセンサ80の撮像範囲の軌跡を符号80aにて図示している。また、本実施形態では、カラーセンサ70は、第2挿入向きを検知する「第8の検知部」の一例に相当し、カラーセンサ80は、第3挿入向きを検知する「第9の検知部」の一例に相当し得る。
【0104】
本実施形態では、上記第1の差込状態が検知されていることから制御部21にてなされるICカード決済処理にて、カラーセンサ70からの磁気検知信号の出力に応じて第2挿入向きを検知して、第2挿入向きを示す報知を行う。同様に、カラーセンサ80からの磁気検知信号の出力に応じて第3挿入向きを検知して、第3挿入向きを示す報知を行う。
【0105】
具体的には、
図27に示すフローチャートのように、決済情報の読み取りに失敗すると(S102でNo)、ステップS104bの判定処理にて、差込口13に対して挿入されたICカードCの挿入向きが第2挿入向きであるか否かについて判定される。
【0106】
本実施形態では、
図25(A)(B)に示すように、カラーセンサ70によってICカードCの磁気ストライプCmが近距離撮像されていることから磁気検知信号が出力されていると、第2挿入向きが検知される(S104bでYes)。この場合には、上述したステップS105に示す第2挿入向き報知処理がなされる。
【0107】
一方、
図26(A)(B)に示すように、カラーセンサ80によってICカードCの磁気ストライプCmが近距離撮像されていることから磁気検知信号が出力されていると、第2挿入向きが検知されず(S104bでNo)、第3挿入向きが検知される(S301bでYes)。この場合には、上述したステップS302に示す第3挿入向き報知処理がなされる。また、カラーセンサ70及びカラーセンサ80の双方で磁気検知信号が出力されていないために、第2挿入向き及び第3挿入向きが検知されない場合には(S104b,S301bでNo,)、上述したステップS303に示す第4挿入向き報知処理がなされる。
【0108】
上記報知を受けたユーザが正しい挿入向きでICカードCを差込口13に再び差し込んだ場合には(S107でYes)、そのICカードCから決済情報の読み取りが成功することで(S102でYes)、読み取った決済情報が上述のようにPOS端末に出力される(S103)。
【0109】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10では、差込口13に対して第2挿入向きにて挿入中のICカードCの磁気ストライプCmが近距離撮像可能となることで第2挿入向きを検知する第8の検知部となるカラーセンサ70と、差込口13に対して第3挿入向きにて挿入中のICカードCの磁気ストライプCmが近距離撮像可能となることで第3挿入向きを検知する第9の検知部となるカラーセンサ80と、を備え、カラーセンサ70を利用して第2挿入向きが検知されると(S104bでYes)、第2挿入向きを示す報知を行い(S105)、カラーセンサ80を利用して第3挿入向きが検知されると(S301bでYes)、第3挿入向きを示す報知を行う(S302)。第2挿入向き及び第3挿入向きが検知されない場合には(S104b,S301bでNo)、第4挿入向きを示す報知を行う(S303)。
【0110】
これにより、第1挿入向きと異なる誤った挿入向きでICカードCが差込口13に差し込まれたとしても、その誤った挿入向きを示す報知が報知部25等を利用して行われる。この報知を受けたユーザ等は、ICカードCが誤った挿入向きで差し込まれているだけでなく、そのICカードCの挿入向きをどのように変えることで正しい挿入向きになるかを容易に把握することができる。特に、カラーセンサ70及びカラーセンサ80は、ICカードCに接触することなく対応する挿入向きを検知できるので、上記第5実施形態に係る決済端末10と比較して、ICカードCの差し込み時に要する力を軽減することができる。
【0111】
なお、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、ICカード決済を含めた複数の決済方式を選択可能な決済端末10に適用されることに限らず、例えば、ICカード決済のみ利用可能な決済端末に適用されてもよい。
【0112】
(2)本発明は、ICカードCから読み取った決済情報を利用したICカード決済処理を行う決済端末10に適用されることに限らず、例えば、接触式のICカードを利用した入退場管理を行うICカードリーダなど、接触式のICカードから読み取った情報を利用して所定の処理を実施するICカードリーダに適用されてもよい。
【0113】
(3)上記第2実施形態及び第3実施形態に係るICカードとして、磁気ストライプが設けられないICカードが採用されてもよい。
【0114】
10…決済端末(ICカードリーダ)
11…筐体
13…差込口
14…案内路
15…カード読取端子
16…第1スイッチ(第1の検知部)
17,18…第2スイッチ(第2の検知部)
21…制御部(処理部)
25…報知部
27…決済情報読取部
27a…ICカード読取部
30…第3スイッチ(第3の検知部)
40…第4スイッチ(第4の検知部)
50…磁気検知部(第5の検知部,第7の検知部)
60…磁気検知部(第6の検知部)
70…カラーセンサ(第8の検知部)
80…カラーセンサ(第9の検知部)
C…ICカード
Cm…磁気ストライプ
Ct…外部接続端子