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特開2024-225スイッチ装置、スイッチシステム、および制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000225
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】スイッチ装置、スイッチシステム、および制御装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20231225BHJP
   H01H 23/30 20060101ALI20231225BHJP
   H01H 89/00 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H01H36/00 J
H01H23/30
H01H89/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098891
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 元哉
【テーマコード(参考)】
5G035
5G046
5G052
【Fターム(参考)】
5G035AA04
5G035AA19
5G035CA04
5G035CB03
5G035DA03
5G046AA02
5G046AB02
5G046AC21
5G046AD02
5G046AE05
5G052AA35
5G052BB03
5G052BB10
(57)【要約】
【課題】被制御装置を動作させるスイッチ装置の操作性を高める。
【解決手段】導電体13が設けられたノブ11は、第一方向および当該第一方向と異なる第二方向へ変位可能である。検出部14は、導電体13における静電容量の変化を検出する。処理部12は、ノブ11が前記第一方向へ変位すると開閉装置22に第一動作を実行させ、ノブ11が第二方向へ変位すると開閉装置22に第二動作を実行させる。処理部12は、第一動作と第二動作の一方の継続中に検出部14により検出された静電容量の変化量が閾値を超えると当該動作を停止させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向および当該第一方向と異なる第二方向へ変位可能である可動体と、
前記可動体に設けられた導電体と、
前記導電体における静電容量の変化を検出する検出部と、
前記可動体が前記第一方向へ変位すると被制御装置に第一動作を実行させ、前記可動体が前記第二方向へ変位すると当該被制御装置に第二動作を実行させ、当該第一動作と当該第二動作の一方の継続中に前記検出部により検出された前記静電容量の変化量が閾値を超えると当該第一動作と当該第二動作の一方を停止させる処理部と、
を備えている、
スイッチ装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第一動作と前記第二動作の一方の継続中に前記検出部により検出された前記静電容量の変化量が閾値を超えると、前記可動体の変位に基づく前記第一動作と前記第二動作の少なくとも他方の実行を禁止する、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記被制御装置は、各々が前記第一動作と前記第二動作を実行可能な第一被制御装置と第二被制御装置を含んでおり、
前記検出部は、前記導電体における第一位置と第二位置の各々について前記静電容量の変化を検出可能であり、
前記処理部は、前記検出部により検出された前記第一位置における前記静電容量の変化量が閾値を超える状態で前記可動体が変位されると、前記第一被制御装置に前記第一動作と前記第二動作の一方を実行させ、前記検出部により検出された前記第二位置における前記静電容量の変化量が閾値を超える状態で前記可動体が変位されると、前記第二被制御装置に前記第一動作と前記第二動作の一方を実行させる、
請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記被制御装置は、開閉体の開閉装置であり、
前記第一動作は、前記開閉体を開く動作であり、
前記第二動作は、前記開閉体を閉める動作である、
請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
第一方向および当該第一方向と異なる第二方向へ変位可能である可動体と、
前記可動体に設けられた導電体と、
を備えているスイッチ装置と、
前記導電体における静電容量の変化を検出する検出装置と、
前記可動体が前記第一方向へ変位すると被制御装置に第一動作を実行させ、前記可動体が前記第二方向へ変位すると当該被制御装置に第二動作を実行させ、当該第一動作と当該第二動作の一方の継続中に前記検出装置により検出された前記静電容量の変化量が閾値を超えると当該第一動作と当該第二動作の一方を停止させる制御装置と、
を備えている、
スイッチシステム。
【請求項6】
可動体が第一方向および当該第一方向と異なる第二方向のいずれに変位されたかを示す第一信号、および当該可動体に設けられた導電体における静電容量の変化を示す第二信号を受け付ける受付部と、
前記可動体が前記第一方向へ変位されたことを前記第一信号が示している場合に被制御装置に第一動作を実行させ、前記可動体が前記第二方向へ変位されたことを前記第一信号が示している場合に当該被制御装置に第二動作を実行させ、かつ当該第一動作と当該第二動作の一方の継続中に前記第二信号が示す前記静電容量の変化量が閾値を超える場合に当該第一動作と当該第二動作の一方を停止させる処理部と、
を備えている、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被制御装置を動作させるスイッチ装置に関する。本発明は、当該スイッチ装置を含むスイッチシステム、および当該スイッチ装置と当該被制御装置の間に介在しうる制御装置にも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、被制御装置の一例としてのウインドウレギュレータを動作させるスイッチ装置を開示している。可動体の一例としてのノブを第一方向に変位させる操作がなされると、ウインドウレギュレータは窓を開く動作を実行する。窓を開く動作の継続中に第一方向とは逆の第二方向へノブを変位させる操作がなされると、ウインドウレギュレータは、操作の入力時間に応じて窓を開く動作の中断または窓を閉める動作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-109212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、被制御装置を動作させるスイッチ装置の操作性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、スイッチ装置であって、
第一方向および当該第一方向と異なる第二方向へ変位可能である可動体と、
前記可動体に設けられた導電体と、
前記導電体における静電容量の変化を検出する検出部と、
前記可動体が前記第一方向へ変位すると被制御装置に第一動作を実行させ、前記可動体が前記第二方向へ変位すると当該被制御装置に第二動作を実行させ、当該第一動作と当該第二動作の一方の継続中に前記検出部により検出された前記静電容量の変化量が閾値を超えると当該第一動作と当該第二動作の一方を停止させる処理部と、
を備えている。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、スイッチシステムであって、
第一方向および当該第一方向と異なる第二方向へ変位可能である可動体と、
前記可動体に設けられた導電体と、
を備えているスイッチ装置と、
前記導電体における静電容量の変化を検出する検出装置と、
前記可動体が前記第一方向へ変位すると被制御装置に第一動作を実行させ、前記可動体が前記第二方向へ変位すると当該被制御装置に第二動作を実行させ、当該第一動作と当該第二動作の一方の継続中に前記検出装置により検出された前記静電容量の変化量が閾値を超えると当該第一動作と当該第二動作の一方を停止させる制御装置と、
を備えている。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、制御装置であって、
可動体が第一方向および当該第一方向と異なる第二方向のいずれに変位されたかを示す第一信号、および当該可動体に設けられた導電体における静電容量の変化を示す第二信号を受け付ける受付部と、
前記可動体が前記第一方向へ変位されたことを前記第一信号が示している場合に被制御装置に第一動作を実行させ、前記可動体が前記第二方向へ変位されたことを前記第一信号が示している場合に当該被制御装置に第二動作を実行させ、かつ当該第一動作と当該第二動作の一方の継続中に前記第二信号が示す前記静電容量の変化量が閾値を超える場合に当該第一動作と当該第二動作の一方を停止させる処理部と、
を備えている。
【0008】
上記の各態様に係る構成によれば、静電変化の変化量に係る閾値を例えばユーザが手指で導電体に触れたときの変化量に対応付けることにより、当該ユーザが可動体を第一方向へ変位させることによって開始された被制御装置による第一動作は、当該ユーザが手指で導電体に触れれば停止されうる。第一動作を停止させるために、例えば可動体を第二方向へ短時間変位させるといった操作が不要であるので、正確なタイミングで第一動作を停止させることが容易になる。また、「短時間」を超えて可動体を第二方向へ変位させてしまうことにより、意に反して被制御装置第二動作を開始させてしまう事態の発生を抑制できる。
【0009】
同様に、ユーザが可動体を第二方向へ変位させることによって開始された被制御装置による第二動作は、当該ユーザが手指で導電体に触れれば停止されうる。第二動作を停止させるために、例えば可動体を第一方向へ短時間変位させるといった操作が不要であるので、正確なタイミングで第二動作を停止させることが容易になる。また、「短時間」を超えて可動体を第一方向へ変位させてしまうことにより、意に反して被制御装置に第一動作を開始させてしまう事態の発生を抑制できる。よって、被制御装置を動作させるスイッチ装置の操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るスイッチ装置の機能構成を例示している。
図2図1のスイッチ装置におけるノブの外観を例示している。
図3図1のスイッチ装置が搭載される車両を例示している。
図4図1の処理部により実行される処理の流れの一例を示している。
図5図1の処理部により実行される処理の流れの別例を示している。
図6】一実施形態に係るスイッチシステムの機能構成を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面においては、各要素を認識可能な大きさとするために縮尺が適宜変更されている。
【0012】
図1は、一実施形態に係るスイッチ装置10の機能構成を例示している。スイッチ装置10は、ノブ11を備えている。図2は、図1における矢印IIの方向から見たノブ11の外観を例示している。
【0013】
スイッチ装置10は、図3に例示されるような車両20に搭載されうる。スイッチ装置10は、車両20の窓21を開閉する開閉装置22の動作を制御するための装置である。開閉装置22は、車両20のドアに内蔵されている。窓21は、開閉体の一例である。開閉装置22は、被制御装置の一例である。
【0014】
ノブ11は、乗員の手指により操作可能に構成されている。具体的には、ノブ11は、軸Aを中心として図1における時計回り方向と反時計回り方向へ回動可能に構成されている。以降の説明においては、図1における時計回り方向を第一方向と称し、図1における反時計回り方向を第二方向と称する。ノブ11は、可動体の一例である。回動は、変位の一例である。
【0015】
スイッチ装置10は、処理部12を備えている。処理部12は、ノブ11が第一方向に変位すると、第一制御信号CS1を出力するように構成されている。処理部12は、ノブ11が第二方向に変位すると、第二制御信号CS2を出力するように構成されている。第一制御信号CS1は、開閉装置22に窓21を開ける動作を実行させるように構成されている。第二制御信号CS2は、開閉装置22に窓21を閉める動作を実行させるように構成されている。窓を開ける動作は、第一動作の一例である。窓を閉める動作は、第二動作の一例である。
【0016】
ノブ11の変位は、周知のセンサを用いて、機械的、電気的、光学的、あるいは磁気的に検出されうる。処理部12は、当該センサより出力されるノブ11の変位方向に対応する信号を受け付けることにより、ノブ11の変位方向を判断する。
【0017】
ノブ11は、操作力が解除されると、不図示の復帰機構により図1に示される初期位置へ復帰するように構成されている。
【0018】
他方、本例に係るスイッチ装置10は、ノブ11が一旦第一方向へ変位されると、操作力の解除により初期位置へ復帰しても、窓21が全開状態に至るまでは第一制御信号CS1の出力が継続されるように構成されている。すなわち、乗員が手指でノブ11を第一方向へ回動させると、手指を離しても窓21を開ける動作が自動的に継続される。
【0019】
同様に、本例に係るスイッチ装置10は、ノブ11が一旦第二方向へ変位されると、操作力の解除により初期位置へ復帰しても、窓21が全閉状態に至るまでは第二制御信号CS2の出力が継続されるように構成されている。すなわち、乗員が手指でノブ11を第二方向へ回動させると、手指を離しても窓21を閉める動作が自動的に継続される。
【0020】
スイッチ装置10は、導電体13を備えている。導電体13は、ノブ11の表面における乗員の手指が触れることのできる位置に配置されている。
【0021】
スイッチ装置10は、検出部14を備えている。乗員の手指が導電体13に接近または接触すると、導電体13における静電容量の変化が生じる。検出部14は、当該変化を検出し、当該変化に対応する検出信号DSを出力するように構成されている。検出部14は、周知の構成を備えた静電センサにより実現されうる。
【0022】
検出信号DSは、処理部12に入力される。処理部12は、検出信号DSに基づいて、導電体13における静電容量の変化量が閾値を超えたかを判断するように構成されている。当該閾値は、乗員の手指が導電体13に触れた場合に静電容量の変化量がこれを超えるように定められる。
【0023】
処理部12は、窓21を開ける動作と閉める動作の一方の継続中に検出部14により検出された導電体13における静電容量の変化量が閾値を超えると、当該動作を停止させるように構成されている。
【0024】
図4は、上記のように構成された処理部12により実行される処理の流れの一例を示している。
【0025】
処理部12は、まずノブ11が第一方向に変位したかを判断する(STEP10)。ノブ11が第一方向に変位していないと判断されると(STEP10においてNO)、処理部12は、ノブ11が第二方向に変位したかを判断する(STEP11)。ノブが第二方向にも変位していないと判断されると(STEP11においてNO)、処理はSTEP10に戻る。すなわち、ノブ11が第一方向と第二方向のいずれかに変位したと判断されるまで、当該処理が繰り返される。
【0026】
ノブ11が第一方向に変位したと判断されると(STEP10においてYES)、処理部12は、第一制御信号CS1を開閉装置22へ出力する(STEP12)。これにより、開閉装置22は、窓21を開ける動作を実行する。
【0027】
続いて、処理部12は、検出部14により検出された導電体13における静電容量の変化量が閾値を超えたかを判断する(STEP13)。換言すると、検出部14から出力された検出信号DSに基づいて、乗員の手指が導電体13に接触したかが判断される。
【0028】
静電容量の変化量が閾値を超えていないと判断されると(STEP13においてNO)、処理はSTEP12に戻る。この状況は、ノブ11を第一方向へ回動させた手指がノブ11から離れている状態に対応している。したがって、開閉装置22による窓21を開ける動作が自動的に継続される。
【0029】
静電容量の変化量が閾値を超えたと判断されると(STEP13においてYES)、処理部12は、第一制御信号CS1の出力を停止する(STEP14)。すなわち、窓21を開ける動作の継続中に導電体13に対する乗員の手指の接触が検出されると、処理部12は、開閉装置22に窓21を開ける動作を中止させる。その後、処理は、STEP10に戻る。
【0030】
ノブ11が第二方向に変位したと判断されると(STEP11においてYES)、処理部12は、第二制御信号CS2を開閉装置22へ出力する(STEP15)。これにより、開閉装置22は、窓21を閉める動作を実行する。
【0031】
続いて、処理部12は、検出部14により検出された導電体13における静電容量の変化量が閾値を超えたかを判断する(STEP16)。換言すると、検出部14から出力された検出信号DSに基づいて、乗員の手指が導電体13に接触したかが判断される。
【0032】
静電容量の変化量が閾値を超えていないと判断されると(STEP16においてNO)、処理はSTEP15に戻る。この状況は、ノブ11を第二方向へ回動させた手指がノブ11から離れている状態に対応している。したがって、開閉装置22による窓21を閉める動作が自動的に継続される。
【0033】
静電容量の変化量が閾値を超えたと判断されると(STEP16においてYES)、処理部12は、第二制御信号CS2の出力を停止する(STEP17)。すなわち、窓21を閉める動作の継続中に導電体13に対する乗員の手指の接触が検出されると、処理部12は、開閉装置22に窓21を閉める動作を中止させる。その後、処理は、STEP10に戻る。
【0034】
このような構成によれば、静電変化の変化量に係る閾値を乗員が手指で導電体13に触れたときの変化量に対応付けることにより、当該乗員がノブ11を第一方向へ変位させることによって開始された開閉装置22による窓21を開ける動作は、当該乗員が手指で導電体13に触れれば停止されうる。当該動作を停止させるために、例えばノブ11を第二方向へ短時間変位させるといった操作が不要であるので、正確なタイミングで窓21を開ける動作を停止させることが容易になる。また、「短時間」を超えてノブ11を第二方向へ変位させてしまうことにより、意に反して開閉装置22に窓21を閉める動作を開始させてしまう事態の発生を抑制できる。
【0035】
同様に、乗員がノブ11を第二方向へ変位させることによって開始された開閉装置22による窓21を閉める動作は、当該乗員が手指で導電体13に触れれば停止されうる。当該動作を停止させるために、例えばノブ11を第一方向へ短時間変位させるといった操作が不要であるので、正確なタイミングで窓21を閉める動作を停止させることが容易になる。また、「短時間」を超えてノブ11を第一方向へ変位させてしまうことにより、意に反して開閉装置22に窓21を開ける動作を開始させてしまう事態の発生を抑制できる。よって、開閉装置22を動作させるスイッチ装置10の操作性を高めることができる。
【0036】
図5は、処理部12により実行される処理の流れの別例を示している。図4に示されたものと同一の処理要素については同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0037】
本例においては、窓21を開ける動作の継続中に検出部14により検出された導電体13における静電容量の変化が閾値を超えたと判断されると(STEP13においてYES)、第一制御信号CS1の出力が停止され(STEP14)、かつ第二制御信号CS2の出力が禁止される(STEP18)。
【0038】
このような構成によれば、乗員が手指で導電体13に触れることにより窓21を開ける動作を停止させる際にノブ11が第二方向へ変位されても、窓21を閉める動作は開始されない。これにより、乗員の意に反して開閉装置22に窓21を閉める動作を開始させてしまう事態の発生を、より確実に抑制できる。
【0039】
なお、第二制御信号CS2の出力が禁止されるのに加えて、第一制御信号CS1の出力も禁止されうる。この場合、乗員が手指で導電体13に触れることにより窓21を開ける動作を停止させる際にノブ11が第一方向へ変位されても、窓21を開ける動作は開始されない。したがって、乗員の意に反して開閉装置22に窓21を開ける動作を再開させてしまう事態の発生も抑制できる。
【0040】
同様に、窓21を閉める動作の継続中に検出部14により検出された導電体13における静電容量の変化が閾値を超えたと判断されると(STEP16においてYES)、第二制御信号CS2の出力が停止され(STEP17)、かつ第一制御信号CS1の出力が禁止される(STEP19)。
【0041】
このような構成によれば、乗員が手指で導電体13に触れることにより窓21を閉める動作を停止させる際にノブ11が第一方向へ変位されても、窓21を開ける動作は開始されない。これにより、乗員の意に反して開閉装置22に窓21を開ける動作を開始させてしまう事態の発生を、より確実に抑制できる。
【0042】
なお、第一制御信号CS1の出力が禁止されるのに加えて、第二制御信号CS2の出力も禁止されうる。この場合、乗員が手指で導電体13に触れることにより窓21を閉める動作を停止させる際にノブ11が第二方向へ変位されても、窓21を閉める動作は開始されない。したがって、乗員の意に反して開閉装置22に窓21を閉める動作を再開させてしまう事態の発生も抑制できる。
【0043】
図2に例示されるように、車両20の右側ドアに設けられた窓を開閉する右開閉装置22Rと車両20の左側ドアに設けられた窓を開閉する左開閉装置22Lが、単一のノブ11によって制御されうる。
【0044】
この場合、検出部14は、導電体13における第一位置P1と第二位置P2の各々について静電容量の変化を検出できるように構成される。
【0045】
処理部12は、検出部14により検出された第一位置P1における静電容量の変化が閾値を超える状態でノブ11が第一方向へ変位されると、右開閉装置22Rに窓を開ける動作を実行させるように構成されている。
【0046】
他方、処理部12は、検出部14により検出された第二位置P2における静電容量の変化が閾値を超える状態でノブ11が第一方向へ変位されると、左開閉装置22Lに窓を開ける動作を実行させるように構成されている。
【0047】
すなわち、乗員が手指で導電体13に触れた状態でノブ11が第一方向へ変位されると、手指が触れた位置に応じて、右開閉装置22Rと左開閉装置22Lのいずれかに窓を開ける動作を実行させることができる。開始された窓を開ける動作を停止させるためには、再度手指で導電体13に触れればよい。
【0048】
同様に、処理部12は、検出部14により検出された第二位置P2における静電容量の変化が閾値を超える状態でノブ11が第二方向へ変位されると、右開閉装置22Rに窓を閉める動作を実行させるように構成されている。
【0049】
他方、処理部12は、検出部14により検出された第二位置P2における静電容量の変化が閾値を超える状態でノブ11が第二方向へ変位されると、左開閉装置22Lに窓を閉める動作を実行させるように構成されている。
【0050】
すなわち、乗員が手指で導電体13に触れた状態でノブ11が第二方向へ変位されると、手指が触れた位置に応じて、右開閉装置22Rと左開閉装置22Lのいずれかに窓を閉める動作を実行させることができる。開始された窓を閉める動作を停止させるためには、再度手指で導電体13に触れればよい。
【0051】
このような構成によれば、ノブ11の機械的な構成の大型化や複雑化を抑制しつつ、複数の開閉装置の動作を制御する機能をスイッチ装置10に付与できる。
【0052】
これまで説明した各種の機能を有する処理部12は、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムがプリインストールされた記憶素子を備えたマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されうる。
【0053】
処理部12の機能と検出部14の機能の少なくとも一方は、スイッチ装置10とは独立した装置により実現されうる。図6は、そのように構成されたスイッチシステム30を例示している。スイッチシステム30は、スイッチ装置31、制御装置32、および検出装置33を含んでいる。
【0054】
スイッチ装置31に関しては、図1から図5を参照して説明したスイッチ装置10における要素と実質的に同一の構成や機能を有する要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0055】
スイッチ装置31は、ノブ11の変位方向に応じた第一検出信号DS1を出力するように構成されている。第一検出信号DS1は、デジタル信号であってもよいし、アナログ信号であってもよい。
【0056】
制御装置32は、受付部321を備えている。受付部321は、第一検出信号DS1を受け付け可能なインタフェースとして構成されている。第一検出信号DS1がアナログ信号である場合、受付部321は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0057】
制御装置32は、処理部322と出力部323を備えている。処理部322は、第一検出信号DS1に基づいて、ノブ11が第一方向と第二方向のいずれに変位されたかを判断するように構成されている。処理部322は、ノブ11が第一方向に変位されたと判断すると、出力部323から第一制御信号CS1を出力するように構成されている。処理部322は、ノブ11が第二方向に変位されたと判断すると、出力部323から第二制御信号CS2を出力するように構成されている。
【0058】
したがって、出力部323は、第一制御信号CS1と第二制御信号CS2を出力可能なインタフェースとして構成されている。第一制御信号CS1と第二制御信号CS2の各々は、デジタル信号であってもよいし、アナログ信号であってもよい。第一制御信号CS1と第二制御信号CS2の各々がアナログ信号である場合、出力部323は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0059】
検出装置33は、スイッチ装置31の導電体13における静電容量の変化を検出可能に構成されている。検出装置33は、当該変化に対応する第二検出信号DS2を出力するように構成されている。第二検出信号DS2は、デジタル信号であってもよいし、アナログ信号であってもよい。
【0060】
制御装置32の受付部321は、第二検出信号DS2も受け付け可能なインタフェースとして構成されている。第二検出信号DS2がアナログ信号である場合、受付部321は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0061】
制御装置32の処理部322は、第二検出信号DS2に基づいて、窓21を開ける動作と閉める動作の一方の継続中に検出装置33により検出された導電体13における静電容量の変化量が閾値を超えると、当該動作を停止させるように構成されている。具体的な処理の流れは、図4に示された例および図5に示された例と同様である。
【0062】
上記のような機能を有する処理部322は、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムがプリインストールされた記憶素子を備えたマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されうる。
【0063】
上記のような機能を有する処理部322は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されうる。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。
【0064】
上記のような機能を有する処理部322は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによって実現されてもよい。
【0065】
これまで説明した様々な実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜の変更や組み合わせがなされうる。
【0066】
上記の実施形態においては、スイッチ装置10は、車両20の窓21を開閉する開閉装置22の動作を制御している。しかしながら、スイッチ装置10は、車両20に搭載された他の開閉体を開閉する開閉装置の動作を制御するように構成されうる。他の開閉体の例としては、ドアやサンルーフが挙げられる。ドアやサンルーフの開閉方式は、ヒンジ方式であってもよいし、スライド方式であってもよい。
【0067】
スイッチ装置10は、車両20に搭載された他の被制御装置を動作させるように構成されうる。他の被制御装置の例としては、映像音響機器、空調装置、照明装置、シートやステアリングホイールの位置や角度を調節する装置などが挙げられる。
【0068】
スイッチ装置10は、車両20以外の移動体にも搭載されうる。そのような移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【0069】
スイッチ装置10は、移動体に搭載されることを要しない。被制御装置を動作させるためにユーザによる操作が求められる適宜の住宅設備や家電機器などに搭載されうる。この場合、当該住宅設備や家電機器に搭載された適宜の装置の動作が、スイッチ装置10により制御される。
【0070】
ノブ11は、必ずしもユーザの手指により操作されることを要しない。検出部14または検出装置33により検出される静電容量の変化を導電体13に生じさせることができるのであれば、ノブ11は、他の身体部分や適宜の道具により操作されるように構成されてもよい。
【0071】
上記の実施形態においては、ノブ11は、軸Aを中心として回動可能なレバーとして構成されている。しかしながら、被制御装置における異なる動作に対応付けられた第一方向と第二方向へ変位可能であれば、ノブ11は、直線的に摺動されるスライダや、軸を中心として回転可能なダイヤルとして構成されてもよい。
【0072】
以下に列挙する構成もまた、実施態様例として本開示の一部を構成する。

(1):第一方向および当該第一方向と異なる第二方向へ変位可能である可動体と、
前記可動体に設けられた導電体と、
前記導電体における静電容量の変化を検出する検出部と、
前記可動体が前記第一方向へ変位すると被制御装置に第一動作を実行させ、前記可動体が前記第二方向へ変位すると当該被制御装置に第二動作を実行させ、当該第一動作と当該第二動作の一方の継続中に前記検出部により検出された前記静電容量の変化量が閾値を超えると当該第一動作と当該第二動作の一方を停止させる処理部と、
を備えている、
スイッチ装置。

(2):前記処理部は、前記第一動作と前記第二動作の一方の継続中に前記検出部により検出された前記静電容量の変化量が閾値を超えると、前記可動体の変位に基づく前記第一動作と前記第二動作の少なくとも他方の実行を禁止する、
(1)に記載のスイッチ装置。

(3):前記被制御装置は、各々が前記第一動作と前記第二動作を実行可能な第一被制御装置と第二被制御装置を含んでおり、
前記検出部は、前記導電体における第一位置と第二位置の各々について前記静電容量の変化を検出可能であり、
前記処理部は、前記検出部により検出された前記第一位置における前記静電容量の変化量が閾値を超える状態で前記可動体が変位されると、前記第一被制御装置に前記第一動作と前記第二動作の一方を実行させ、前記検出部により検出された前記第二位置における前記静電容量の変化量が閾値を超える状態で前記可動体が変位されると、前記第二被制御装置に前記第一動作と前記第二動作の一方を実行させる、
(1)または(2)に記載のスイッチ装置。

(4):前記被制御装置は、開閉体の開閉装置であり、
前記第一動作は、前記開閉体を開く動作であり、
前記第二動作は、前記開閉体を閉める動作である、
(1)から(3)のいずれかに記載のスイッチ装置。

(5):第一方向および当該第一方向と異なる第二方向へ変位可能である可動体と、
前記可動体に設けられた導電体と、
を備えているスイッチ装置と、
前記導電体における静電容量の変化を検出する検出装置と、
前記可動体が前記第一方向へ変位すると被制御装置に第一動作を実行させ、前記可動体が前記第二方向へ変位すると当該被制御装置に第二動作を実行させ、当該第一動作と当該第二動作の一方の継続中に前記検出装置により検出された前記静電容量の変化量が閾値を超えると当該第一動作と当該第二動作の一方を停止させる制御装置と、
を備えている、
スイッチシステム。

(6):可動体が第一方向および当該第一方向と異なる第二方向のいずれに変位されたかを示す第一信号、および当該可動体に設けられた導電体における静電容量の変化を示す第二信号を受け付ける受付部と、
前記可動体が前記第一方向へ変位されたことを前記第一信号が示している場合に被制御装置に第一動作を実行させ、前記可動体が前記第二方向へ変位されたことを前記第一信号が示している場合に当該被制御装置に第二動作を実行させ、かつ当該第一動作と当該第二動作の一方の継続中に前記第二信号が示す前記静電容量の変化量が閾値を超える場合に当該第一動作と当該第二動作の一方を停止させる処理部と、
を備えている、
制御装置。
【符号の説明】
【0073】
10:スイッチ装置、11:ノブ、12:処理部、13:導電体、14:検出部、21:窓、22:開閉装置、22L:左開閉装置、22R:右開閉装置、30:スイッチシステム、31:スイッチ装置、32:制御装置、321:受付部、322:処理部、33:検出装置、DS1:第一検出信号、DS2:第二検出信号、P1:第一位置、P2:第二位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6